レンタカー業の開業届と税務の届出一覧|貸渡許可と車両の償却も確認

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レンタカー業の開業では、運輸支局で自家用自動車有償貸渡業の許可を取る手続きと、税務署への開業届や青色申告承認申請書などの届出を並行して進めます。窓口も期限も別々なので、期限のある届出を一覧で押さえ、車両の減価償却と消費税の扱いを開業前に決めておくのが効率的です。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

貸渡しの許可は運輸支局、税務の届出は税務署・北海道と、窓口が分かれます。期限のある届出を開業直後にまとめて出し、車両の償却方法と消費税の扱いを車両の購入前に決めておきます。

  • 個人は開業届を開業から1か月以内、青色申告承認申請書を原則3月15日まで(1月16日以後の開業は2か月以内)に出す
  • 貸し出す車両は「貸自動車業用」の耐用年数で減価償却する。届出をしなければ個人は定額法、法人は定率法
  • 車両購入の消費税は、課税事業者として本則課税で申告すれば還付を受けられる場合がある
  • インボイス登録は、観光客中心か、法人・代車の利用が多いかで判断する
  • 予約サイト経由の売上は手数料を差し引く前の総額で計上し、前金は貸し出した期間の売上にする
目次

レンタカー開業で税務署に出す届出と期限は?

個人でレンタカー業を始める場合、税務署へ出す主な届出は次のとおりです。期限は許可の進み具合に関係なく、開業日から進みます。

届出期限提出する人・ポイント
個人事業の開業届出書開業の日から1か月以内全員。納税地(原則は住所地)の税務署へ
所得税の青色申告承認申請書その年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は開業の日から2か月以内)車両の購入で赤字が出やすい初年度こそ重要。期限を過ぎるとその年は白色申告
青色事業専従者給与に関する届出書開業した年は、青色申告承認申請書と同じ期限家族に給与を払う場合
給与支払事務所等の開設届出書開設の日から1か月以内受付・洗車・回送のスタッフを雇う場合
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書提出した月の翌月末日までに通知がなければ、翌々月の納付分から適用給与の支払いを受ける人が常時10人未満なら、源泉所得税の納付が年2回になる
減価償却資産の償却方法の届出書開業した年の確定申告期限まで車両を定率法で償却したい場合(出さなければ定額法)
消費税課税事業者選択届出書適用を受けたい課税期間の初日の前日まで(開業した課税期間はその期間中)車両購入の消費税の還付を受けたい場合に検討
適格請求書発行事業者の登録申請書任意(判断のしかたは後述)法人の利用や代車の依頼が多い場合に検討
個人で開業する場合の主な国税の届出(2026年10月時点)

税務署とは別に、北海道(道税事務所)にも個人事業の開始の申告をします。レンタカーなどの物品貸付業は個人事業税の対象業種で、所得から事業主控除290万円を差し引いた額に5%の税率がかかります。

法人で始める場合の届出

届出期限
法人設立届出書(税務署)設立の日以後2か月以内
青色申告承認申請書設立の日以後3か月を経過した日と、最初の事業年度終了の日のうち、いずれか早い日の前日まで
給与支払事務所等の開設届出書開設の日から1か月以内(役員報酬だけを払う場合も対象)
法人設立の届出(北海道・市町村)各自治体が定める期限まで
法人で開業する場合の主な届出(2026年10月時点)

法人は届出をしなければ車両を定率法で償却します。赤字の年でも法人住民税の均等割がかかり、役員1人だけでも健康保険・厚生年金の強制適用事業所になります。個人と法人のどちらで始めるかは、レンタカー業の法人化のタイミングと判断基準で詳しく比べています。

貸渡しの許可など、レンタカー業ならではの手続きは?

レンタカー業(自家用自動車有償貸渡業)を営むには、道路運送法に基づく許可が必要です。窓口は事業所を管轄する運輸支局です。保険の加入や車両の点検・整備の体制なども確認され、要件や添付書類は変わることがあるため、申請前に運輸支局の最新の案内で確認します。許可を受けた後は、貸し渡す車両をレンタカー用として登録します。

許可の審査中でも、税務の届出の期限は開業日や設立日から進みます。二つの手続きは別々にスケジュールを管理し、開業までを次の順番で進めると抜け漏れを防げます。

  1. 事業計画と資金計画車両の台数と調達方法(購入かリースか)、稼働率の見込み、季節ごとの資金繰りを試算します。
  2. 個人か法人かを決める法人なら設立登記を先に行い、設立後の届出の期限に注意します。
  3. 消費税の方針を決めるインボイス登録と課税事業者を選ぶかどうかを、車両を購入する時期とあわせて決めます。
  4. 貸渡しの許可を申請する運輸支局に申請し、許可後に車両をレンタカー用として登録します。
  5. 税務の届出を出す開業届と青色申告承認申請書を期限内に出し、人を雇うなら給与支払事務所等の開設届も出します。
  6. 記帳と資金管理を整える事業用の口座とカード、会計ソフト、車両ごとの台帳を用意します。

開業前の支出と車両の購入はどう処理する?

開業前の支出は「開業費」に

許可申請の書類作成を専門家に頼んだ費用や、開業前の広告費、打合せの交通費などは「開業費」として資産に計上し、開業後の好きな年に経費にできます。車両や備品は開業費には含めず、事業に使い始めた日から減価償却の対象になります。

貸し出す車両は「貸自動車業用」の耐用年数で

レンタカーとして貸し出す車両は、自家用の普通自動車とは別の「貸自動車業用」の区分の耐用年数を使い、一般用より短い年数で償却します。年数は車種や排気量で変わるため、減価償却資産の耐用年数表で確認します。個人は届出をしなければ定額法(毎年同じ額)、法人は定率法(初めの年ほど多い額)で、初年度は使い始めた月からの月割りです。

計算例:300万円の車両を4月から貸し出した場合

例えば、取得価額300万円の車両を4月から貸し出し、耐用年数を4年(定額法の償却率0.250)と仮定して、個人が定額法で償却する場合です。

1年分は300万円×0.250=75万円です。初年度は使った月数の分だけなので、75万円×9か月÷12か月=562,500円が減価償却費になります。

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車両の減価償却費(定額法)を計算する取得価額と耐用年数、使い始めた月から、定額法の減価償却費を計算できます。計算する

車両の購入時に払う自動車重量税や自賠責保険料、登録の法定費用などは、車両の取得価額に含めず、税金や保険料として経費にできるものがあります(複数年分の保険料は期間に応じて経費にします)。見積書と請求書の内訳を残しておきます。

中古車と少額の備品

中古車は、法定の耐用年数ではなく、経過年数をもとに見積もった短い年数(簡便法)で償却できるため、同じ金額でも早く経費にできます。新車か中古か、何台で始めるかは、節税よりも稼働率と修繕費のバランスで決めるのが本筋ですが、税負担の見通しもあわせて考えると資金計画が立てやすくなります。

カーナビやドライブレコーダー、チャイルドシートなどは、10万円未満ならその年の経費、20万円未満なら3年で均等に経費にする一括償却資産も選べます。青色申告の中小事業者は、2026年4月1日以後に取得した40万円未満の資産を年300万円まで全額経費にできる特例があり(2029年3月31日までの取得)、取得価額が40万円未満の中古車も対象になり得ます。

消費税とインボイスは開業時にどう判断する?

レンタカー料金は消費税の課税売上です。開業から当面は、基準期間(個人は前々年)の売上がないため、免税事業者になれる場合が多くなります。一方、車両の購入で支払った消費税の還付を受けるには、課税事業者になって本則課税で申告する必要があります。

インボイス登録は顧客の構成で判断する

観光客など個人の利用が中心なら、インボイスがなくても困る顧客は多くありません。法人の出張利用や、修理工場からの代車の依頼が多い場合は、登録を求められる場面が増えます。インボイスの登録をすると課税事業者になり、本則課税・簡易課税・特例のいずれかで消費税を計算します。

還付を受けるか、特例を使うか

登録しなければ免税事業者になる個人は、売上の消費税の2割を納める2割特例を令和8年分まで、3割を納める3割特例を令和9年分・令和10年分に使えます。2割特例・3割特例と簡易課税は計算の仕組み上、還付が生じないため、車両の購入が多い年は本則課税のほうが有利になることがあります。

計算例:開業した年に車両をまとめて購入した場合

例えば、インボイス登録をした個人が、開業した年(令和8年分)に課税売上800万円(税抜)、車両の購入などの課税仕入れ1,200万円(税抜)だった場合です(地方消費税を含めた概算)。

売上の消費税は800万円×10%=80万円、仕入れの消費税は1,200万円×10%=120万円です。本則課税なら120万円−80万円=40万円が還付され、2割特例なら80万円×20%=16万円を納めます。

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インボイス2割特例の納付税額を計算する売上の金額から、2割特例を使った場合の消費税の納付額を計算できます。計算する

簡易課税の事業区分と、選んだ後の制約

簡易課税を選ぶ場合、レンタカーなどの物品賃貸業は第5種(みなし仕入率50%)、使わなくなった車両の売却は第4種(60%)です。課税事業者を自分で選んだ後や、車両のような高額の資産(調整対象固定資産)を取得した後は、一定期間、免税事業者に戻れない、簡易課税を選べないといった制約が生じることがあります。いったん選ぶと変更できない期間があるため、数年分を試算してから決めます。インボイスの経過措置や特例の全体像はインボイス制度の実務ガイドで整理しています。

インボイス登録、課税事業者の選択、特例と本則課税のどれが有利かは、車両の台数と購入の時期で変わります。開業前の試算から、初回無料でご相談いただけます。

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売上の計上と、最初の1年の記帳・資金管理

予約サイト経由の売上は総額で計上する

予約サイト経由の売上は、サイトの手数料を差し引いた入金額ではなく、利用者が支払った総額で計上し、手数料は経費にします。予約時に受け取った前金は、貸し出した期間の売上です。年末(法人は決算日)の時点でまだ貸し出していない分は前受金として翌期に回します。オプション料金や延長料金、返却時の燃料代の精算も売上に含め、現金で受け取る分の計上漏れに注意します。

車両ごとに収支を管理する

車両ごとの売上・稼働日数・修繕費・保険料・償却費を台帳で管理すると、どの車が稼いでいるかが見え、入替えの判断がしやすくなります。修理や点検の費用は、通常の維持管理なら修繕費として経費ですが、性能を高めたり使える期間を延ばしたりする支出は、資本的支出として資産に計上します。

使わなくなった車両を売った場合、法人は売却損益として処理しますが、個人は原則として事業所得ではなく譲渡所得として申告します。売却代金は消費税の課税売上にもなります。

  • 事業用の口座とカードを分け、私的な支払いと混ぜない
  • 予約サイトの入金明細(手数料の内訳)を毎月保存する
  • 電子で受け取った請求書・領収書は電子データのまま保存する(2024年1月1日以後の義務)
  • 車両ごとの台帳(取得日・取得価額・走行距離・修繕の記録)を作る
  • 車両ローンの返済、保険の更新、税金の納付を入れた資金繰り表を作る

機械や車両の貸出しを手がける業種の制度の動きは、レンタル・リース業の経営に役立つ最新情報にまとめています。

札幌・北海道で開業する場合に確認したいこと

開業届などの提出先は、納税地を管轄する税務署です。個人の納税地は原則として住所地で、届出により事業所の所在地を納税地にすることもできます。法人は本店の所在地です。市内とその周辺の税務署の管轄は次のとおりです。

税務署主な管轄
札幌中税務署中央区の一部(おおむね西10丁目以東)
札幌北税務署北区・東区・石狩市・石狩郡
札幌南税務署豊平区・南区・清田区・千歳市・恵庭市・北広島市
札幌西税務署中央区の一部(大通西11丁目以西・円山・宮の森など)・西区・手稲区
札幌東税務署白石区・厚別区・江別市
2026年10月時点。個別の住所の管轄は国税庁の管轄区域表で確認

新千歳空港の周辺(千歳市)で開業する場合も、上の表のとおり豊平区や南区と同じ税務署が窓口です。5署の内部事務は2026年7月10日から札幌業務センターに集約されており、書面の届出を郵送する場合は同センターへ送ります。e-Taxで提出する場合や窓口に持参する場合は、所轄の税務署が相手です。

夏に偏る需要と、冬の経費・資金繰り

北海道のレンタカー需要は夏の観光シーズンに偏りやすく、冬は稼働が落ち着く一方で、スタッドレスタイヤへの交換や駐車場の除雪の手間が増えます。タイヤ交換などの費用は通常そのまま経費にできますが、ホイールとセットで買うなど金額が大きい場合は、取得価額で処理を確認します。事業用の駐車場の除雪費は、事業に必要な支出として経費に計上するのが一般的です。

空港や都心の駅の周辺は競合も多いため、稼働率の見込みは保守的に立て、冬を越せる資金繰り表を作っておくと安心です。

札幌市内で会社を設立する場合は、特定創業支援等事業の支援(1か月以上・4回以上)を受けて証明書を取得すると、設立登記の登録免許税が半分になります。株式会社なら15万円が7.5万円、合同会社なら6万円が3万円です(証明書の有効期限は2027年3月31日)。設立後は、赤字でも道と市の均等割がかかり、資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の法人なら合わせて年7万円です。

よくある質問

運輸支局の許可が下りる前に、開業届を出してもいいですか?

開業届は、事業を始めた日(開業日)から1か月以内に出します。許可の前は貸出しによる売上がないため、許可や営業開始の見込みに合わせて開業日を決めるのが一般的です。それまでの準備の費用は、開業費として領収書を整理しておきます。

青色申告承認申請書の期限を過ぎてしまったら?

その年は白色申告になり、青色申告特別控除や、赤字を翌年以後に繰り越す制度が原則として使えません。翌年分から青色申告にするには、翌年の3月15日までに申請します。青色申告特別控除は令和8年分は最大65万円で、令和9年分からは要件を満たすと75万円になります。

自家用に使っていた車をレンタカーに回すことはできますか?

レンタカー用としての登録など許可の手続きを済ませれば、事業用に転用できます。その場合は、取得価額から自家用で使っていた期間の減価分を差し引いた額をもとに、事業に使い始めた日から償却します。

開業した年が赤字になりそうなときは?

個人の減価償却は、法人と違って計上する額を任意に調整できません。利益が出にくい年は、定率法を選ばない、少額減価償却資産の特例を使わずに通常の償却にする、開業費の償却を翌年以後に回す、といった方法で経費にする時期を調整します。青色申告なら、残った赤字を翌年以後に繰り越せます。

まとめ

レンタカー業の開業では、運輸支局の許可と、税務署・北海道への届出を別々に管理します。開業届と青色申告承認申請書を期限内に出し、車両の償却方法と消費税の扱い(インボイス登録・課税事業者の選択・特例)を車両の購入前に決めておくことが、初年度の税負担と資金繰りを左右します。

札幌の公認会計士・税理士事務所

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出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)

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