公開日:2026年7月10日(令和8年度税制改正対応)
中小企業の経理は「証憑を集めて仕訳にする → 帳簿・月次で確かめる → 決算・申告でまとめる」の繰り返しです。本ページは、会計事務所が実務で使っている研修マニュアル(約500ページ)のうち「中小企業の会計処理」パート全体を、経営者・経理担当者向けに再構成した完全ガイドです。勘定科目58科目の辞典、仕訳60パターン、消費税の判定、決算・給与計算・業種別の論点、そして現場で本当に多い「誤りやすい処理32例」まで、日々の記帳から決算までこの1ページで確認できます。
・自社で記帳している法人の経営者・経理担当者の方
・個人事業主で日々の仕訳や消費税・確定申告に不安がある方
・経理の新任担当者の教育資料を探している方(そのままお使いいただけます)
第1章 会計処理の基本ルール
経理の品質は「入口」で決まります。証憑の集め方から仕訳の考え方、毎月の締めまで ── ここが整うと決算も税務調査も融資も、すべてが楽になります。まずは全体の流れを図で押さえてから、各ルールを開いてください。
会計処理の全体像 ── 証憑から申告まで
流れ
① 証憑(領収書・請求書・通帳)を集める
② 仕訳に変換する(日付・科目・金額・消費税区分・摘要)
③ 帳簿(仕訳帳・総勘定元帳)に集計される
④ 試算表・月次レポートで報告(月次報告の資料)
⑤ 決算整理(第5章)→ 決算書 → 税務申告
日々の経理の中心は②③。ただし④⑤(決算・申告)につながる意識で精度を上げる
仕訳の誤りは決算・申告・融資資料まで連鎖する。入口の品質がすべて
図解|集める証憑の4分類
保存は原則7年(欠損金のある年度は10年)。メール添付PDFやネット明細は電子データのまま保存が原則です。
証憑の基礎 ── 何を集め、どう保存するか
主な証憑
売上側:請求書控・レジ記録・売上明細/仕入経費側:請求書・領収書・レシート
お金側:通帳・カード明細・借入返済予定表/その他:契約書・給与台帳
保存の原則
帳簿書類は原則7年保存(欠損金がある事業年度は10年)
電子取引(メール添付PDF・ネット明細)は電子データのまま保存が原則(電子帳簿保存法)
レシートで原則OK。ただしインボイス要件(登録番号等)の確認は必要(第4章)
「証憑がない取引」は原則計上できない。まず証憑を揃えるのが第一歩
図解|借方・貸方はこう決まる(5要素マップ)
例:現金が増えた・経費を払った
例:借入した・売上が立った
減った場合は左右が逆になります(資産の減少=貸方など)。迷ったら「お金がどう動いたか」から。
仕訳の基本 ── 借方・貸方と5要素
5要素の増減ルール
資産:増えたら借方/減ったら貸方
負債・純資産:増えたら貸方/減ったら借方
費用:発生は借方 収益:発生は貸方
商品をカードで売上:(借)売掛金 11,000 /(貸)売上高 11,000
電気代が口座振替:(借)水道光熱費 8,800 /(貸)普通預金 8,800
迷ったら「お金(資産)がどう動いたか」から考えると外さない
借方貸方の左右逆は基本中の基本ミス。登録前に必ず見直す
仕訳と同時に消費税区分(課税・非課税・不課税・税率)も入力する ── 区分は第4章で体系的に学ぶ
図解|発生主義のタイムライン(3月決算の例)
計上のタイミングは「お金の動き」ではなく「取引の発生(引渡し・役務提供)」で判定します。
発生主義と現金主義 ── 期ズレを防ぐ
発生主義(原則)
お金の入出金ではなく「取引が発生した時点」で計上する
3月納品・4月入金の売上 → 3月の売上(決算期なら当期計上)
現金主義との違い
通帳の動きだけで記帳すると、月末月初の取引がズレる(期ズレ)
3月納品分:(借)売掛金/(貸)売上高 → 4月入金時:(借)普通預金/(貸)売掛金
期ズレは税務調査の最頻出指摘。特に決算月の売上・仕入は要注意
月次でも締め日後の請求書まで拾う習慣をつける(精度の高い月次=商品)
消費税の計上時期も原則同じ(引渡し・役務提供時)── 期ズレは法人税と消費税の両方に波及
図解|税込経理と税抜経理のちがい
税込経理と税抜経理
税込経理
消費税込みの金額でそのまま記帳。仕訳がシンプル、小規模・免税事業者向き
税抜経理
本体と消費税(仮受消費税・仮払消費税)を分けて記帳。損益が税抜で見える
少額判定(10万円・30万円等)は税抜経理なら税抜金額で判定できる利点
税抜:(借)消耗品費 10,000+仮払消費税 1,000 /(貸)現金 11,000
どちらを採用しているかは会社ごとに決まっている。混在は厳禁
会計ソフトでは税区分を正しく入れれば自動処理される。区分入力が本体
中小会計要領 ── 中小企業の会計ルール
中小企業の実務に合わせた簡便な会計ルール(中小企業の会計に関する基本要領)
主なポイント
取得原価主義ベース/税法基準と親和的な処理が認められる
金融機関・保証協会が決算書の信頼性の目安として注目
実務への意味
上場企業の会計基準ほど複雑な処理は不要。ただし継続・適正が大前提
「簡便」は「適当」ではない。恣意的な変更・利益操作は不可
科目や基準の方針は会社ごとに決めて継続適用が原則。迷ったら顧問税理士に確認する
勘定科目の決め方 ── 3原則
① 継続性:同じ取引は毎期・毎月同じ科目で
今月は消耗品費、来月は雑費、では推移が読めない
② 重要性:金額・性質が重要なものは独立科目で
細かいものは無理に分けない(科目を増やしすぎない)
③ 説明可能性:社長・銀行・税務署に説明できる科目を選ぶ
「雑費」は最終手段。多用すると内容不明の決算書になり評価が下がる
前期の元帳・科目一覧を先に見る。「この会社の流儀」に合わせるのがプロ
図解|摘要は「相手先+内容(+補足)」
交際費・会議費は「誰と・何名・目的」まで書くと税務調査に強くなります。
摘要の書き方 ── 未来の自分への伝言
摘要の型:「相手先+内容(+補足)」
良い例:「◯◯商事 12月分外注費(◯◯現場)」
悪い例:「支払」「経費」「◯◯さんから頼まれた分」
なぜ重要か
決算・調査・引き継ぎで取引を特定する唯一の手がかり
交際費・会議費は「誰と・何名・目的」まで書くと税務で強い
空欄・コピペ連発は後工程の時間泥棒。入力時の10秒が全員を救う
固有名詞は正確に。社名の誤記はそのまま帳簿に残る
図解|月次の流れ(毎月同じ順番で)
月次の締め手順 ── 標準チェックリスト
- 通帳・カード・現金出納帳の入力完了(自動取込分の確認含む)
- 売上の計上:請求書発行分・レジ記録と一致
- 仕入・外注:届いた請求書を当月分まで計上
- 給与仕訳・社保・源泉の計上
- 現金・預金残高の照合(実際残高=帳簿残高)
- 売掛金・買掛金の残高を台帳と照合
- 仮払金・仮受金の精算確認(残しっぱなし禁止)
- 前月比で大きく動いた科目の原因確認 → 月次レポートのコメントへ
- 消費税区分のセルフチェック(軽油・家賃・会費・海外・慶弔の頻出5点)
この順番を毎月同じに。固定化が速さと品質を両立させる
図解|毎月合わせる残高4点セット
P/Lの誤りは1期で流れますが、B/Sの誤りは翌期以降もずっと残ります。
残高照合の習慣 ── B/S科目は残高が命
照合の基本
預金:通帳・ネットバンク残高と一致しているか
売掛金・買掛金:得意先・仕入先ごとの台帳残と一致しているか
借入金:返済予定表の期末残高と一致しているか
預り金:源泉・住民税・社保の預りと納付が回転しているか
P/Lの誤りは1期で流れるが、B/Sの誤りは翌期以降もずっと残る
「残高に説明がつく」状態を毎月作る。これが決算を楽にする最大のコツ
原因不明の差額を安易に雑収入・雑損失で消さない(必ず顧問税理士へ相談)
第2章 勘定科目辞典(58科目)
「この支払い、科目は何にすればいい?」に答える辞典です。中小企業の実務で使う58科目について、意味・仕訳例・消費税の扱い・注意点を1科目ずつ収録しました。科目名をタップして必要なところだけご覧ください。
図解|決算書の構造と5要素の対応
右:負債(買掛金・借入金…)+純資産(資本金・利益の蓄積)
この章の58科目は、すべてこの5つのグループ(資産・負債・純資産・収益・費用)のどれかに属します。
資産の科目(22科目)
現金資産
手元の硬貨・紙幣。他人振出小切手・郵便為替証書なども会計上は現金扱い
現金売上:(借)現金 11,000 /(貸)売上高 11,000
消費税:現金の増減自体は対象外。相手科目(売上・経費)で判定する
帳簿残高と実際有高を定期照合。合わなければ原因究明が先(安易に雑損処理しない)
帳簿上マイナス残高はあり得ない=記帳漏れか社長立替のサイン(役員借入金を検討)
小口現金資産
日々の小払い用に手元に置く現金。定額資金前渡制(例:常時5万円)が基本
補給時:(借)小口現金 30,000 /(貸)普通預金 30,000
週次精算:(借)消耗品費ほか各科目 12,000 /(貸)小口現金 12,000
消費税:補給・精算自体は対象外。中身の経費で判定
現金(レジ・売上現金)と小口現金を混ぜない。管理者と精算サイクルを決める
普通預金資産
事業用の普通預金口座。口座ごとに補助科目を設定して管理する
売掛金の入金:(借)普通預金 220,000 /(貸)売掛金 220,000
消費税:預金の動き自体は対象外(利息は受取利息で別論点)
通帳・ネットバンキングの残高と帳簿残高の一致が月次の大前提
ネット明細は電子データ保存(電帳法)。自動取込でも科目・税区分は人が確認
当座預金資産
小切手・手形の決済用口座。利息は付かない
小切手振出で支払:(借)買掛金 500,000 /(貸)当座預金 500,000
消費税:対象外(中身の取引で判定)
当座借越(残高マイナス)は実質借入。決算では短期借入金等へ振替表示
中小では利用が減少中。手形・小切手は2026年度末の全面電子化方針も話題(最新動向は確認)
受取手形・電子記録債権資産
売上代金として受け取った約束手形・でんさい(電子記録債権)
受取時:(借)受取手形 300,000 /(貸)売掛金 300,000
期日決済:(借)当座預金 300,000 /(貸)受取手形 300,000
割引時:(借)当座預金 297,000+手形売却損 3,000 /(貸)受取手形 300,000(割引料は手形売却損)
消費税:手形の受取・決済は対象外(元の売上で課税済み)
不渡り・期日管理は資金繰り直結。手形台帳で期日を必ず管理
売掛金資産
掛売上の未回収代金。得意先別の補助科目+売掛台帳で管理
掛売上:(借)売掛金 110,000 /(貸)売上高 110,000
回収:(借)普通預金 110,000 /(貸)売掛金 110,000
消費税:売掛金の回収は対象外(売上計上時に課税済み)
長期滞留先は要報告(貸倒・与信の検討材料)。月次で年齢表をチェック
クレジットカード売上の未入金分も実務上は売掛金(カード会社別補助)で管理が便利
商品(棚卸資産)資産
販売目的で保有する在庫。期中は仕入高で処理し、決算で在庫を振り替える(三分法)
決算:(借)期首商品棚卸高 500,000 /(貸)商品 500,000 +(借)商品 600,000 /(貸)期末商品棚卸高 600,000
消費税:仕入時に課税仕入済み。在庫の振替自体は対象外
期末在庫の漏れ・過大は利益を直撃(在庫過少=利益過少=調査リスク)
実地棚卸の方法・評価方法(最終仕入原価法が中小の主流)は第5章参照
前渡金(前払金)資産
商品・原材料の代金を納品前に支払ったもの
手付支払:(借)前渡金 100,000 /(貸)普通預金 100,000
納品時:(借)仕入高 300,000 /(貸)前渡金 100,000+買掛金 200,000
消費税:原則、課税仕入の計上は引渡し時(支払時ではない)
支払った時点で仕入計上しない(期ズレ)。納品書で引渡日を確認
前払費用資産
継続的なサービスの前払い分(家賃・保険料・保守料・サブスク年払い等)
決算:(借)前払費用 60,000 /(貸)保険料 60,000(翌期分を資産へ)
翌期首:(借)保険料 60,000 /(貸)前払費用 60,000(再振替)
消費税:課税仕入の時期も原則は役務提供時(短期前払費用特例なら支払時)
支払日から1年以内の役務分は「短期前払費用の特例」で支払時損金も可(毎期継続が条件・第5章)
立替金資産
取引先や従業員が負担すべき費用を一時的に立て替えたもの
従業員の雇用保険本人負担を立替:(借)立替金 1,500 /(貸)普通預金 1,500
給与天引きで回収:(借)給料手当 300,000(総額)/(貸)立替金 1,500+普通預金ほか 298,500
消費税:他人負担分の立替は対象外(実費精算の扱いは第4章参照)
長期間回収されない立替金は内容を確認(実質給与・貸付・経費漏れの可能性)
雇用保険の本人負担分は、簡便法では立替金を使わず法定福利費の貸方でネット処理する方法もある(パターン16参照)
仮払金資産
内容や金額が未確定の支出を一時的に処理する科目(出張仮払など)
出張前:(借)仮払金 50,000 /(貸)現金 50,000
精算:(借)旅費交通費 47,000+現金 3,000 /(貸)仮払金 50,000
消費税:仮払時は対象外。精算で内容確定時に判定
「とりあえず仮払金」を放置しない。月次で精算、決算で残高ゼロが原則
社長への使途不明な仮払の累積は役員貸付・認定賞与のリスク(担当へ報告)
短期貸付金資産
1年以内に回収予定の貸付金。役員・従業員・取引先への貸付など
貸付:(借)短期貸付金 1,000,000 /(貸)普通預金 1,000,000
消費税:金銭の貸付は対象外。受取利息は非課税売上
役員への貸付は利息を取るのが原則(無利息は認定利息の論点)。金銭消費貸借契約書を作成
銀行は役員貸付金を嫌う(資金使途の不透明さ)。残高は早期解消の方向で
未収入金資産
本業の売上以外の未回収代金(固定資産売却・保険金・補助金の決定済未入金など)
車両売却代の未収:(借)未収入金 /(貸)車両運搬具ほか(売却仕訳は第3章)
消費税:元の取引内容で判定(資産売却は課税、保険金は対象外など)
売掛金(本業)と未収入金(本業外)を混ぜない。決算書の見え方が変わる
建物資産
自社所有の店舗・事務所・倉庫など。取得価額=本体+付随費用(仲介手数料等)
購入:(借)建物 20,000,000 /(貸)普通預金(土地と同時なら按分必須)
消費税:建物の購入は課税仕入(土地は非課税 ── 按分が重要)
耐用年数の例:木造22年・鉄骨造(骨格材により19〜34年)・RC47年(事業用・新築)
土地建物一括購入は契約書・固定資産税評価額等で合理的に按分(第3章)
建物附属設備・構築物資産
附属設備:電気・給排水・空調・内装造作など建物に付属する設備
構築物:駐車場舗装・塀・看板(土地に定着)など建物以外の工作物
店舗内装工事:(借)建物附属設備 3,000,000 /(貸)普通預金
消費税:課税仕入
建物と分けて計上すると耐用年数が短く(例:電気設備15年)早期償却で有利
工事見積書の内訳から建物・附属設備・備品に区分するのがプロの仕事
機械装置資産
製造設備・建設機械・食品加工機械など、生産活動用の機械
購入:(借)機械装置 5,000,000 /(貸)未払金(据付費・試運転費も取得価額)
消費税:課税仕入
耐用年数:業種・設備により別表第二で判定(例:食料品製造業用10年)
中小企業投資促進税制・経営強化税制の対象になり得る(特別償却/税額控除・第5章)
「機械装置」か「器具備品」かで耐用年数が変わる。判定に迷えば担当へ
車両運搬具資産
営業車・トラック・フォークリフトなど。取得価額の区分は第3章参照
購入:(借)車両運搬具ほか 2,200,000 /(貸)普通預金・未払金 2,200,000(ローンは長期未払金)
消費税:車両本体・オプションは課税仕入(自動車税・自賠責等は対象外あり)
耐用年数:新車の普通自動車6年・軽自動車4年・小型トラック(積載2t以下)4年など
中古車は耐用年数を短縮計算(法定耐用年数−経過年数+経過年数×20%・最短2年)
工具器具備品資産
PC・複合機・応接セット・厨房機器・看板(可動)など、10万円以上の備品
PC購入:(借)工具器具備品 250,000 /(貸)普通預金
消費税:課税仕入
耐用年数の例:PC4年・コピー機5年・応接セット(接客用)5年・冷蔵庫6年
10万円未満は消耗品費、20万円未満は一括償却(3年)、30万円未満は中小特例も選択肢(第3章)
土地資産
事業用の土地。減価償却しない(価値が減らない資産)
購入:(借)土地 10,000,000 /(貸)普通預金 10,000,000(仲介手数料・整地費用等も取得価額)
消費税:土地の購入・売却は非課税(仲介手数料は課税)
不動産取得税・登録免許税は取得価額に含めず租税公課で損金処理が可能
建物と一括購入時の按分、売却時の譲渡損益は影響大。必ず税理士と処理
ソフトウェア無形固定資産
購入したソフト・受託開発させた業務システムなど(10万円以上)
会計システム導入:(借)ソフトウェア 600,000 /(貸)未払金
消費税:課税仕入
耐用年数:自社利用ソフトウェアは5年(定額法)
クラウドサービスの月額・年額利用料は資産ではなく費用(通信費・支払手数料等)
導入支援・設定費用の資産計上判定は内容次第。請求書の内訳を確認
差入保証金・敷金資産
事務所・店舗を借りる際に差し入れた敷金・保証金(返還されるもの)
仕|契約時:(借)差入保証金 500,000 /(貸)普通預金
消費税:返還される敷金・保証金は対象外
返還されない部分(敷引・償却特約・礼金)は別処理:20万円以上は長期前払費用として5年等で償却、20万円未満は支払時費用
契約書の「償却」「敷引」条項を必ず確認してから仕訳する
保険積立金資産
養老保険・終身保険など、貯蓄性のある法人保険の資産計上部分
保険料支払:(借)保険積立金 50,000+保険料 50,000 /(貸)普通預金(契約による)
消費税:保険料は非課税仕入
資産計上割合は保険の種類・契約時期・税制改正で異なる。保険会社の経理処理案内を必ず入手
解約返戻金・名義変更時の処理は税務インパクト大。経理担当の初心者は単独で判断しない
負債の科目(12科目)
支払手形負債
仕入代金等の支払いのために振り出した約束手形
振出:(借)買掛金 400,000 /(貸)支払手形 400,000
期日決済:(借)支払手形 400,000 /(貸)当座預金 400,000
消費税:手形の振出・決済は対象外(仕入計上時に判定済み)
期日に当座残高不足=不渡り。2回で銀行取引停止という重大事故。期日管理は最優先
買掛金負債
商品仕入・外注加工など本業の仕入代金の未払い。仕入先別補助科目で管理
掛仕入:(借)仕入高 330,000 /(貸)買掛金 330,000
支払:(借)買掛金 330,000 /(貸)普通預金 330,000
消費税:仕入計上時に課税仕入(支払時ではない)
請求書ベースで月末までの仕入を計上(締め後分の拾い漏れ=期ズレ)
支払サイトの把握は資金繰り表の基礎データになる
短期借入金負債
返済期限が1年以内の借入金。当座借越・手形借入など
借入実行:(借)普通預金 5,000,000 /(貸)短期借入金 5,000,000
消費税:借入・返済は対象外(利息は支払利息・非課税仕入)
役員からの借入は「役員借入金」として区分管理(銀行の見方が異なる)
長期借入金のうち1年内返済分を流動負債へ振り替える処理(一年基準)は決算時に検討
未払金負債
本業の仕入以外の未払い(備品購入・経費・固定資産の分割払いなど)
カード利用(経費):(借)消耗品費ほか 13,200 /(貸)未払金 13,200(カード会社別補助)
引落時:(借)未払金 13,200 /(貸)普通預金 13,200
消費税:購入・利用時に判定(引落時ではない)
クレジットカードは「利用時に未払金計上→引落で消す」が原則。明細との照合必須
買掛金(本業仕入)と未払金(それ以外)の区分を崩さない
未払費用負債
継続的なサービスの当期分でまだ支払っていないもの(給与・利息・水道光熱など)
決算:(借)給料手当 100,000 /(貸)未払費用 100,000(末締め翌月払いの当月分)
消費税:内容で判定(給与は対象外、課税役務は課税仕入)
未払金(確定債務)と未払費用(継続役務の見越し)の違いは実務上は厳密すぎなくてよいが、社内ルールに従い継続
計上した未払費用の翌期首の再振替(または支払時の消し込み)を忘れない
未払法人税等負債
決算で確定した法人税・住民税・事業税のうち、期末時点で未納付の額
決算:(借)法人税、住民税及び事業税 1,000,000 /(貸)未払法人税等 1,000,000
納付時:(借)未払法人税等 1,000,000 /(貸)普通預金 1,000,000
消費税:対象外
中間納付がある場合の精算仕訳は第5章参照。納付期限は決算日から2か月以内
この科目の残高=「これから出ていく税金」。資金繰り説明の必須項目
未払消費税等負債
決算で確定した消費税の未納付額
決算(税込経理):(借)租税公課 500,000 /(貸)未払消費税等 500,000
決算(税抜経理):(借)仮受消費税 2,000,000 /(貸)仮払消費税 1,500,000+未払消費税等 500,000(差額調整は雑収入等)
納付:(借)未払消費税等 500,000 /(貸)普通預金 500,000
消費税は預り金的性格。納税資金は売上入金と別口座に確保しておくと安心
前受金負債
商品・サービスの提供前に受け取った代金(手付・予約金・前受け年会費など)
受取時:(借)普通預金 100,000 /(貸)前受金 100,000
提供時:(借)前受金 100,000 /(貸)売上高 100,000
消費税:原則、資産の引渡し・役務提供時に課税売上(受取時ではない)
入金=売上ではない。期末の前受金を売上に振り替え忘れる/早すぎる、どちらも誤り
サブスク年額前受は月割で売上化(IT業の定番論点・第7章)
預り金負債
従業員・取引先から一時的に預かったお金(源泉所得税・住民税・社保本人負担分など)
給与支給:(借)給料手当 300,000 /(貸)普通預金 245,000+預り金 55,000(源泉5,000・住民税15,000・社保35,000)
納付:(借)預り金 55,000 /(貸)普通預金 55,000
消費税:対象外
預り金残高は「次の納付額」と一致するはず。合わない=給与仕訳か納付仕訳の誤り
源泉は原則翌月10日納付(納期の特例なら年2回・第6章)
社保・雇用保険の本人負担分は、簡便法なら預り金を使わず(貸)法定福利費で処理する方法もある(パターン12参照。源泉所得税・住民税は必ず預り金で管理)
仮受金負債
内容不明の入金を一時的に処理する科目
不明入金:(借)普通預金 50,000 /(貸)仮受金 50,000
判明時:(借)仮受金 50,000 /(貸)売掛金・前受金など正しい科目へ 50,000
消費税:判明時に内容で判定
放置厳禁。入金元に確認し、月次で解消。決算残はほぼ「調査で聞かれる科目」
「不明入金を勝手に売上にしない・勝手に消さない」。確認してから動かす
長期借入金負債
返済期限が1年超の借入金。金融機関別・契約別の補助科目で管理
実行:(借)普通預金 3,000,000 /(貸)長期借入金 3,000,000(保証料・印紙等は別科目)
毎月返済:(借)長期借入金 50,000+支払利息 5,000 /(貸)普通預金 55,000
消費税:元本は対象外、利息は非課税仕入
返済額を全額費用にしない(元本は負債の減少)。返済予定表と残高照合が必須
借入金一覧表(残高・金利・返済額・期日)は銀行対応・資金繰りの基本資料
役員借入金負債
社長など役員から会社が借りているお金(役員の立替精算の累積を含む)
社長が経費立替:(借)消耗品費ほか 8,000 /(貸)役員借入金 8,000
返済:(借)役員借入金 100,000 /(貸)普通預金 100,000
消費税:借入自体は対象外(立替の中身の経費で判定)
銀行は実質資本とみなすことも多いが、役員側では相続財産になる点に注意
残高が増え続ける場合は精算ルールを設計(毎月定額返済等)。減資・DES等の高度論点は担当へ
純資産の科目(3科目)
資本金純資産
株主が出資した会社の元手
設立出資:(借)普通預金 3,000,000 /(貸)資本金 3,000,000
消費税:対象外
資本金の額は税務の分岐点:1,000万円以上は設立当初から消費税課税、1億円超は中小特例の多くが不適用
増資・減資は登記・税務影響が大きい意思決定。話が出たらすぐ顧問税理士へ共有
資本剰余金・利益剰余金純資産
資本剰余金:資本取引から生じた剰余(資本準備金など)
利益剰余金:過去の利益の蓄積(繰越利益剰余金が中心)
配当決議:(借)繰越利益剰余金 1,000,000 /(貸)未払配当金 795,800+預り金 204,200(源泉20.42%)
消費税:対象外
繰越利益剰余金のマイナス累積=債務超過に接近。銀行評価の最重要ポイント
当期純利益が毎期ここに積み上がる。「会社の体力」を示す数字と説明する
株主資本等変動計算書の見方純資産
純資産の1年間の動き(期首→増減→期末)を示す決算書類
主な変動要因
当期純利益の計上/剰余金の配当/増資・減資/自己株式の取得
チェックポイント:期首残高=前期末残高、当期純利益=損益計算書と一致
法人税申告書・別表五(一)の繰越損益金とも整合が必要(決算チェックの定番)
動きがない会社でも作成必須。雛形どおりでよいので整合だけは必ず確認
収益の科目(5科目)
売上高収益
本業の商品販売・サービス提供の対価。会社の最重要数字
掛売上:(借)売掛金 110,000 /(貸)売上高 110,000
消費税:国内売上は原則課税(10%/飲食料品等は8%)。輸出は免税
計上時期(実現主義)
商品=引渡時(出荷・検収など継続基準)/サービス=提供完了時
締め日後〜月末の売上(締め後売上)の計上漏れは決算の最頻出指摘
値引・返品を売上からマイナスするか別科目にするかは会社の流儀に従う
売上値引・返品・割戻し収益のマイナス
品違い・不良による返品、値引き、リベート(割戻し)
返品:(借)売上高(または売上値引返品)22,000 /(貸)売掛金 22,000
消費税:売上対価の返還等。元の売上の税率で減額(返還インボイスの交付対象)
当期の売上のマイナスか、前期分か(前期なら処理方法を担当に確認)
金額の大きい割戻し契約は計上時期・条件を契約書で確認する
受取利息収益
預金利息・貸付金利息など
預金利息の入金:(借)普通預金 845 /(貸)受取利息 1,000+(借)法人税等 155(源泉差引の場合の例)
消費税:非課税売上(課税売上割合の計算に関係)
通帳には源泉徴収後の手取額で入金される。グロスアップして源泉分を計上(処理方針は顧問税理士と決めておく)
役員貸付の認定利息もここ。無利息放置は税務リスク
受取配当金・雑収入収益
受取配当金
保有株式の配当。源泉徴収あり。法人税では益金不算入の調整あり(第5章。申告調整は税理士が対応)
雑収入
本業以外の少額収入:自販機手数料・スクラップ売却・還付加算金・保険金・協賛金など
自販機手数料:(借)普通預金 3,000 /(貸)雑収入 3,000
消費税:内容ごとに判定(自販機手数料=課税/保険金=対象外/還付加算金=対象外)
雑収入こそ消費税区分の誤りが多発。1件ずつ中身で判定する
固定資産売却益・売却損収益/費用
車両・機械等を帳簿価額より高く(安く)売却した差額
簿価50万の車を60万で売却:(借)普通預金 660,000 /(貸)車両運搬具 500,000+固定資産売却益 100,000+仮受消費税 60,000(税抜経理の例)
消費税:売却額の全額(総額)が課税売上 ── 差額(益)だけに課税ではない!
期中売却まで(または月割)の減価償却の扱いは顧問税理士と決めた方針に従う
下取りは「売却+購入」に分解して処理(第3章)
費用の科目(16科目)
仕入高費用
販売する商品・原材料の購入代金。売上原価の中心
掛仕入:(借)仕入高 330,000 /(貸)買掛金 330,000
消費税:課税仕入(軽減税率対象の食品仕入は8%──飲食業は混在に注意)
引取運賃・関税など仕入付随費用も原則仕入高に含める
私用の購入(家事消費)が混ざっていないか。事業関連性が大前提
決算では期末在庫を控除して売上原価を確定(第5章棚卸)
外注費費用
業務の一部を外部の事業者へ委託した対価(加工・施工・デザイン・運送など)
請求書受領:(借)外注費 110,000 /(貸)買掛金 110,000(または未払金)
消費税:課税仕入。ただし相手がインボイス未登録なら控除制限(経過措置・第4章)
給与との区分が最大論点:指揮監督・時間拘束・道具負担等の実態で判定(形式が請求書でも実態が雇用なら給与=源泉・社保の問題)
個人への外注はデザイン料・原稿料等なら源泉徴収が必要な場合あり(第6章)
役員報酬費用
取締役・監査役など役員への毎月の報酬
支給:(借)役員報酬 500,000 /(貸)普通預金 415,000+預り金 85,000(源泉・社保)
消費税:対象外(給与等は不課税)
損金にできるのは原則「定期同額給与」=毎月同額。期中の増減額は原則、期首から3か月以内の改定のみ
賞与は事前確定届出書を出した場合のみ損金(届出どおりの日・額で支給)
改定の相談が出たら即、顧問税理士へ。時期を逃すと1年動かせない
給料手当費用
従業員への給与・諸手当(通勤手当含む。賞与は別科目推奨)
支給:(借)給料手当 300,000(総額)/(貸)普通預金 245,000(手取)+預り金 55,000(源泉・住民税・社保本人分)
消費税:対象外(通勤手当は課税仕入にできる点が例外的論点・第4章)
必ず「総額」で計上。手取額だけの仕訳は預り金が回らなくなる典型ミス
給与台帳・賃金台帳と帳簿の一致を月次で確認(第6章)
賞与・退職金費用
賞与
支給:(借)賞与 500,000 /(貸)普通預金 405,000+預り金 95,000(源泉・社保 ── 賞与も社保対象)
役員賞与は事前確定届出がなければ損金不算入
退職金
支給:(借)退職金 3,000,000 /(貸)普通預金 3,000,000(「退職所得の受給に関する申告書」の提出+退職所得控除の範囲内で源泉0の例。超える場合は預り金=退職所得の源泉)
退職所得は受給に関する申告書の有無で源泉計算が変わる。役員退職金は適正額の論点あり(税理士の担当領域)
消費税:いずれも対象外
法定福利費費用
社会保険料(健康保険・厚生年金・介護)・労働保険料の会社負担分
社保納付:(借)法定福利費 35,000(会社分)+預り金 35,000(本人分)/(貸)普通預金 70,000
消費税:対象外
会社負担分と本人負担分(預り金)の区分を崩さない
子ども・子育て拠出金は全額会社負担。労働保険は年度更新で精算(第6章)
「法定」福利費と福利厚生費(任意の福利)は別物。混ぜない
簡便法:本人負担分を預り金にせず「給与天引き時(貸)法定福利費・納付時に全額(借)法定福利費」とする方法も実務で一般的(差引で会社負担分だけが費用に残る。パターン11・12・16参照)
福利厚生費費用
従業員の慰安・健康・生活向上のための費用(健康診断・忘年会・慶弔・常備薬など)
全社員の健康診断:(借)福利厚生費 110,000 /(貸)普通預金 110,000
消費税:内容で判定(健診・飲食は課税仕入/慶弔金・商品券は対象外あり)
要件は「全従業員が対象」「社会通念上相当な金額」。特定の人だけ・高額は給与課税のリスク
役員だけの飲食・旅行は福利厚生費にならない(役員給与・交際費の検討)
社内規程(慶弔規程等)があると説明力が上がる
旅費交通費費用
電車・バス・タクシー・出張の交通費・宿泊費・出張日当など
出張精算:(借)旅費交通費 25,000 /(貸)現金 25,000(精算書+領収書を添付)
消費税:国内は課税仕入(3万円未満の公共交通機関は帳簿のみ保存可・第4章)。海外渡航分は免税・不課税が混在
出張日当は「旅費規程」があって相当額なら本人非課税・会社損金。規程なしの日当は給与扱いリスク
Suica等のチャージは原則チャージ時でなく利用時に経費(利用明細の保存を徹底)
通信費・水道光熱費費用
通信費
電話・携帯・ネット回線・切手・サーバー利用料など
携帯料金:(借)通信費 11,000 /(貸)未払金 11,000(カード)
切手は購入時非課税・使用時課税が原則だが、継続適用を条件に購入時課税仕入の処理が実務では一般的
水道光熱費
電気・ガス・水道。店舗と自宅兼用の場合は按分(個人事業・第8章)
消費税:いずれも原則課税仕入
地代家賃・賃借料費用
事務所・店舗・駐車場の家賃、機器のレンタル料など
事務所家賃:(借)地代家賃 110,000 /(貸)普通預金 110,000
消費税:店舗・事務所の家賃=課税仕入/住宅用の家賃=非課税/青空駐車場の地代=非課税(施設付き駐車場は課税)
社宅家賃(会社が借りて役員・従業員へ貸す)は本人から適正額を徴収すれば現物給与を回避できる(賃貸料相当額の計算は税理士と)
契約書で用途(事業用か居住用か)を確認してから税区分を決める
修繕費費用
建物・機械・車両などの維持・原状回復のための費用
外壁の部分補修:(借)修繕費 150,000 /(貸)普通預金 150,000
消費税:課税仕入
「資本的支出」(価値・耐久性を高める改良)は資産計上して減価償却 ── 修繕費との判定は第5章参照(20万円未満・周期3年以内などの判定フロー)
見積書・請求書の工事内訳が判定の証拠。「一式」の請求書は内訳をもらう
消耗品費・車両費費用
消耗品費
文具・日用品・10万円未満の備品・少額工具など
事務用品:(借)消耗品費 3,300 /(貸)現金 3,300
10万円以上は原則資産(工具器具備品)。判定は税抜経理なら税抜額(第3章)
車両費
ガソリン・車検・修理・洗車など車両関連の維持費(科目の括り方は会社の流儀)
軽油代の軽油引取税部分は消費税の課税対象外(第4章・運送業の定番論点)
保険料・租税公課費用
保険料
火災・自動車・賠償責任などの掛捨て保険料。消費税:非課税仕入
積立型・長期契約は資産計上部分や期間按分(前払)に注意
租税公課
印紙税・固定資産税・自動車税・事業所税など。消費税:対象外
法人税・住民税・延滞税・加算税・罰金は損金不算入(租税公課に混ぜると申告調整漏れのもと──科目を分けるのが安全)
固定資産税は賦課決定日基準か納付日基準か、継続適用
支払手数料・広告宣伝費費用
支払手数料
振込手数料・カード決済手数料・税理士/弁護士等の報酬・各種手数料
士業など個人への報酬は源泉徴収が必要(第6章)。行政の証明手数料は非課税
広告宣伝費
Web広告・チラシ・看板・ノベルティ・求人広告など。消費税:課税仕入
海外プラットフォームへの広告費(リスティング等)はリバースチャージの論点(第4章)
特定の相手への接待性のある支出は交際費の検討(カレンダー配布等は広告宣伝費)
接待交際費・会議費費用
接待交際費
取引先への接待飲食・贈答・ゴルフ・慶弔(事業関係者宛て)など
法人の交際費は損金算入に制限:中小法人は年800万円まで損金算入可(または接待飲食費の50%)
1人あたり10,000円以下の取引先との飲食は、書類保存を条件に交際費から除外可(参加者・人数の記録を摘要に)
会議費
会議の弁当・茶菓・会場費など。消費税:いずれも課税仕入
摘要に「誰と・何名・目的」。これが交際費・会議費の生命線
減価償却費・支払利息費用
減価償却費
固定資産の取得価額を耐用年数にわたり費用化したもの
決算(間接法):(借)減価償却費 400,000 /(貸)減価償却累計額 400,000(直接法は資産から直接減額)
消費税:対象外(購入時に課税仕入済み)
計算方法(定額法・定率法)・月割・中小特例は第5章で詳説
支払利息
借入金の利息。消費税:非課税仕入
元利均等返済の「元本と利息の区分」は返済予定表で必ず確認
第3章 仕訳パターン60
中小企業の日常取引は、ほぼこの60パターンに収まります。売上・仕入・給与・借入・車両・保険・共済・補助金まで、「あの取引どう入力するんだっけ?」と思ったらここを引いてください。仕訳はすべて実務の標準形です。
01現金売上とレジ締め
本日売上(レジ締め):(借)現金 88,000 /(貸)売上高 88,000
レジの日計(Zレポート)を証憑として日々計上するのが基本
キャッシュレス分は(借)売掛金(カード会社別)に分けて計上
レジ現金と帳簿の不一致は当日中に原因確認(現金過不足はパターン59)
飲食はイートイン10%・テイクアウト8%の内訳をレジデータから取得(第4章)
消費税:課税売上。軽減税率の店はレジの税率別集計どおり8%・10%を区分入力
02掛売上と回収(振込手数料差引)
請求時:(借)売掛金 110,000 /(貸)売上高 110,000
入金時(先方が手数料を差引):(借)普通預金 109,560+支払手数料 440 /(貸)売掛金 110,000
差額を放置すると売掛金残高が永遠に合わない。入金額と請求額の差は原因を特定
差引が手数料か値引きかで処理が違う(値引きなら売上のマイナス+返還インボイス)
03クレジットカード売上
売上時:(借)売掛金(◯◯カード)110,000 /(貸)売上高 110,000
入金時:(借)普通預金 106,700+支払手数料 3,300 /(貸)売掛金 110,000
入金額(手数料控除後)を売上にしない ── 売上の過少計上になる
決済代行の明細(売上・手数料・入金)を毎月取得して照合する
カード決済手数料は課税仕入(信販会社への加盟店手数料は非課税の場合あり ── 明細の区分に従う)
04売上の返品・値引
返品:(借)売上高(または売上値引返品高)11,000 /(貸)売掛金 11,000
消費税:売上対価の返還等として、元の売上と同じ税率で処理
インボイス制度では返還インボイス(適格返還請求書)の交付義務 ── ただし税込1万円未満は交付免除
マイナス売上の伝票は摘要に理由(返品・値引・相殺)を必ず記載
05前受金と売上への振替
手付受領:(借)普通預金 50,000 /(貸)前受金 50,000
納品時:(借)前受金 50,000+売掛金 60,000 /(貸)売上高 110,000
消費税:納品(引渡し)時に課税売上
入金時に売上計上すると期ズレ。逆に納品済みなのに前受金のまま放置も誤り
期末の前受金残は「本当に未納品か」を必ず確認(決算チェック定番)
06自家消費・役員への低額譲渡
商品を社長が私用に:(借)役員借入金(または現金)11,000 /(貸)売上高(家事消費等)11,000
個人事業の自家消費:(借)事業主貸 /(貸)家事消費等売上
タダ・原価でOKではない:消費税は通常販売価額の概ね50%以上(かつ仕入価額以上)で計上が目安。所得税(個人)にも同様の基準あり
飲食店のまかないは福利厚生の要件(本人負担等)を満たすかで処理が変わる(第7章)
07掛仕入と支払
仕入計上(請求書):(借)仕入高 220,000 /(貸)買掛金 220,000
支払:(借)買掛金 220,000 /(貸)普通預金 220,000
計上時期は商品の引渡し(入荷)基準が原則。締め後分の拾い漏れに注意
インボイスの登録番号を確認してから税区分を入れる(未登録なら経過措置・第4章)
08仕入返品・仕入値引
返品:(借)買掛金 22,000 /(貸)仕入高(または仕入値引返品高)22,000
消費税:仕入対価の返還等。元の仕入と同じ税率で控除を減らす
返品と「販売奨励金の受取」は別物(奨励金は内容により課税売上・対価の返還)
相殺された請求書は総額で計上し、相殺部分を明示するのが原則(純額計上は流れが消える)
09外注費の計上
請求書受領:(借)外注費 330,000 /(貸)買掛金 330,000
作業完了(役務提供完了)基準。月末時点の完了分は請求前でも未払計上を検討
実態が雇用(指揮命令・時間拘束・道具会社持ち)なら給与 ── 源泉・社保・消費税すべてが変わる重大論点
契約書・作業報告書を整備してもらうと税務調査に強い
10個人外注への支払と源泉徴収
デザイン料・原稿料・士業報酬など、個人への特定の報酬は源泉徴収が必要
デザイン料11万円(税込):(借)外注費 110,000 /(貸)普通預金 99,790+預り金 10,210
源泉税額:100万円以下は10.21%(原則、消費税抜きの額を明確に区分していれば税抜額に対して計算可)
全ての外注に源泉が必要なわけではない(対象は所得税法204条の列挙業務)。判定リストで確認
徴収した源泉は翌月10日まで(納期の特例は給与・士業報酬等のみ対象)
11給与支給の標準仕訳
(借)給料手当 300,000+通勤費(給料手当に含めても可)
/(貸)普通預金 245,000(手取)
預り金・源泉所得税 5,000/預り金・住民税 15,000
預り金・社会保険料 35,000(本人負担分)
必ず総額計上。給与台帳の「総支給・控除・差引」と帳簿を一致させる
締め日と支払日がまたがる場合の未払計上は第5章(決算)で確認
消費税:給与は不課税。ただし通勤手当部分のみ課税仕入にできる(区分を分けて入力)
簡便法(本人負担の社保を「法定福利費のマイナス」で処理する方法)
支給時:(借)給料手当 300,000 /(貸)普通預金 245,000+預り金・源泉 5,000+預り金・住民税 15,000+法定福利費 35,000(社保の本人負担分)
納付時(翌月末):(借)法定福利費 70,000 /(貸)普通預金 70,000
法定福利費には差引で会社負担分35,000円だけが残り、原則法と損益は完全に一致。社保の預り金勘定を使わないぶん残高管理がシンプルで、小規模企業の実務で広く使われる
簡便法の注意:支給月は法定福利費が一時的に貸方(マイナス)に振れる/決算月は未払計上との整合を確認/原則法・簡便法はどちらでもよいが、毎期同じ方法を継続する
12社会保険料の納付
設例:給与30万円・社会保険料の本人負担35,000円を天引きしている会社。翌月末に当月分の社会保険料70,000円(会社負担35,000+本人負担35,000)が口座から引き落とされる
原則法:(借)法定福利費 35,000(会社負担)+預り金 35,000(本人負担) /(貸)普通預金 70,000
簡便法:(借)法定福利費 70,000 /(貸)普通預金 70,000 ── 本人負担分は毎月の給与仕訳で(貸)法定福利費にしておく(パターン11の簡便法とセットで使う)
子ども・子育て拠出金や端数調整は全額会社負担=法定福利費(実際の引落額は折半よりやや大きくなる)
社保は「当月分を翌月末に納付」。原則法なら預り金残高が1か月分残るのが正常な姿
どちらの方法でも、決算で法定福利費に残るのは会社負担分だけになっているかを確認(本人負担分が費用に混ざると損益が歪む)
保険料率は定期的に改定される。料額表の更新を確認
消費税:社会保険料は対象外(不課税)
13源泉所得税・住民税の納付
源泉納付:(借)預り金(源泉所得税)5,000 /(貸)現金・普通預金 5,000
住民税納付:(借)預り金(住民税)15,000 /(貸)普通預金 15,000
納期:源泉=翌月10日(納期の特例なら1〜6月分を7/10、7〜12月分を翌1/20)
住民税(特別徴収)=翌月10日(こちらにも納期の特例制度あり)
納付書の金額と預り金残高の一致を納付前に確認。不一致は給与仕訳の誤りのサイン
消費税:税金の納付は対象外
14賞与の支給
(借)賞与 500,000 /(貸)普通預金 396,000+預り金(源泉・社保本人分)104,000
賞与も社会保険料の対象(標準賞与額×料率)。源泉は前月給与を基に賞与用の率で計算
役員賞与は「事前確定届出給与」の届出どおり(日・額)でなければ損金不算入
支給月の社保納付額が跳ね上がる。資金繰り予測に織り込んで事前に伝える
消費税:賞与は給与等として対象外
15退職金の支給
(借)退職金 3,000,000 /(貸)普通預金 2,900,000+預り金(源泉)100,000
退職所得=(収入−退職所得控除)×1/2(勤続年数で控除額が変わる)
「退職所得の受給に関する申告書」の提出がないと一律20.42%源泉
役員退職金は功績倍率等による適正額の検討・株主総会議事録が必要 ── 必ず税理士と
住民税も特別徴収して納付する点を忘れない
消費税:退職金は対象外
16労働保険の年度更新
労働保険(労災+雇用)は毎年6/1〜7/10に「前年度の確定精算+新年度の概算納付」(年度更新)
設例:概算保険料60,000円=労災保険12,000円(全額会社負担)+雇用保険48,000円(会社負担30,000円・本人負担18,000円=毎月1,500円を給与から天引き)
原則法・納付時:(借)法定福利費 42,000(労災12,000+雇用の会社分30,000)+立替金 18,000(雇用の本人分) /(貸)普通預金 60,000
原則法・毎月の給与:(借)給料手当 総額 /(貸)普通預金+預り金(源泉・住民税・社保)+立替金 1,500(立て替えた本人負担分を回収)
簡便法・納付時:(借)法定福利費 60,000 /(貸)普通預金 60,000
簡便法・毎月の給与:天引きする雇用保険1,500円を(貸)法定福利費で処理 ── 年間18,000円が戻り、費用は会社負担42,000円に自動的に一致する
確定精算の差額(不足の追加納付・超過の充当)も法定福利費で調整すればよい
どちらの方法でも「本人負担分を会社の費用にしない」ことがゴール。年度更新のたびに立替金・預り金・法定福利費の残高を精算し、翌年度に繰り越さない
処理パターンが会社ごとに異なる科目。前年の仕訳を踏襲するのが安全
消費税:労働保険料は対象外
17役員報酬と社宅家賃の天引き
(借)役員報酬 600,000 /(貸)普通預金 ◯+預り金(源泉・社保)◯+雑収入(社宅自己負担)50,000
会社契約の社宅は「賃貸料相当額」以上を本人から徴収すれば現物給与にならない
賃貸料相当額の計算(固定資産税の課税標準等から算定)は税理士と。家賃の50%徴収なら通常安全圏
社長の手取り最適化の定番提案。役員報酬の設計と合わせて税理士に相談を
18役員貸付・役員借入
会社→社長へ貸付:(借)役員貸付金 500,000 /(貸)普通預金 500,000(+認定利息を毎期計上)
社長→会社(立替・入金):(借)普通預金・経費 100,000 /(貸)役員借入金 100,000
役員貸付金は銀行評価・税務(認定利息)の両面でマイナス。増やさない・早く返す
使途不明の社長宛て出金を安易に貸付金にしない(実態が賞与なら源泉・損金不算入の問題)
消費税:金銭の貸借は対象外。認定利息・受取利息は非課税売上
19借入実行(保証料・印紙)
実行:(借)普通預金 4,890,000+支払保証料(前払処理)100,000+租税公課(印紙)10,000 /(貸)長期借入金 5,000,000
信用保証料は借入期間にわたり按分(前払費用・長期前払費用で繰延べ)
消費税:保証料は非課税仕入、印紙は対象外
実行時の控除内訳は金融機関の計算書で確認。返済予定表を必ず入手
図解|毎月の返済は「元金+利息」に分解
返済予定表どおりに毎月分解して入力します。全額を経費にするのは頻出の誤りです。
20毎月の元利返済
(借)長期借入金 80,000(元本)+支払利息 12,000 /(貸)普通預金 92,000
元本と利息の内訳は返済予定表のとおりに(毎月変わる)
引落額をそのまま支払利息にする・全額借入金減にする、はどちらも誤り
期末残高を返済予定表と照合。借入金一覧表の更新まで月次のルーチンに
消費税:元本の返済は対象外・支払利息は非課税仕入
21借換え・繰上返済
借換実行:(借)長期借入金(旧)2,000,000+普通預金 1,000,000 /(貸)長期借入金(新)3,000,000 ── 旧契約は完済し、新契約は別の補助科目で開始
繰上返済時は未経過分の保証料の戻り(雑収入)が生じることがある
旧借入の残高をゼロにし、新契約を新たな補助科目で開始(混ぜない)
借換は支払利息・保証料が変わる=資金繰り改善の検討材料として記録
消費税:元本の移動は対象外。保証料の戻り(雑収入)は非課税売上
22リース料(賃貸借処理)
毎月:(借)リース料(賃借料)55,000 /(貸)普通預金 55,000
中小企業は所有権移転外ファイナンスリースでも賃貸借処理(費用処理)が認められる
消費税:リース料は課税仕入(ファイナンスリースは引渡時一括控除が原則だが、賃貸借処理なら支払時控除も可)
リース契約一覧(物件・期間・月額・満了日)を管理。再リース・買取の選択時期を逃さない
23割賦購入(所有権留保)
購入:(借)車両運搬具 3,000,000+前払費用(割賦手数料)180,000 /(貸)長期未払金 3,180,000
毎月:(借)長期未払金 53,000 /(貸)普通預金 53,000+(借)支払手数料 3,000 /(貸)前払費用 3,000
割賦手数料は期間按分で費用化(契約書に区分明示があれば非課税仕入扱いも可)
割賦でも資産は購入時に全額計上し減価償却する(リースとの違い)
24車両購入の諸費用区分
見積書の内訳を3つに分ける
取得価額へ:車両本体・オプション・付属品・納車費用
費用処理可:自動車税種別割・環境性能割・自賠責保険・登録代行料・リサイクル料以外の諸費用
資産(預託金):リサイクル預託金(売却・廃車時まで資産)
(借)車両運搬具 2,000,000+租税公課 45,000+保険料 30,000+支払手数料 30,000+預託金 15,000 /(貸)普通預金 2,120,000
全額を車両運搬具にすると償却が過大に。注文書の内訳で必ず区分
消費税:本体・オプション・納車費用・代行料は課税仕入/自動車税・自賠責・リサイクル預託金は対象外または非課税
25車両の売却
簿価40万の車を55万(税込)で売却(税抜経理):
(借)普通預金 550,000+減価償却累計額等 /(貸)車両運搬具 400,000+固定資産売却益 100,000+仮受消費税 50,000
消費税は売却額の総額に課税(売却益にだけ課税ではない)── 申告漏れ頻出
リサイクル預託金部分の譲渡は非課税売上として区分
個人事業の場合は事業所得でなく譲渡所得(第8章)
26下取りでの買換え
下取りは「旧車の売却」+「新車の購入」の2つに分解して仕訳する
(借)車両運搬具(新車)2,500,000+減価償却累計額(旧)900,000+車両売却損 50,000
/(貸)車両運搬具(旧・取得価額)1,000,000+普通預金(支払額)2,450,000 ── 旧簿価10万円・下取5万円→売却損5万円の例(下取が簿価超なら売却益)
「差額だけ支払って終わり」の仕訳は売却の消費税・損益が漏れる
注文書の「下取価額」が旧車の売却額(課税売上)になる
27固定資産の購入(付随費用)
取得価額=本体+引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・据付費・試運転費など
機械購入:(借)機械装置 2,200,000 /(貸)未払金 2,200,000
費用処理を選択できるもの:不動産取得税・登録免許税・建設にかかる借入利息(一定)など
「付随費用を経費に落として取得価額を圧縮」は誤り。判定に迷えば一覧表で確認
事業供用日(使い始めた日)から償却開始。購入日ではない点に注意
消費税:本体・付随費用とも引渡時に課税仕入。土地部分は非課税
28固定資産の除却・廃棄
帳簿価額10万円の備品を廃棄:(借)固定資産除却損 100,000+減価償却累計額 /(貸)工具器具備品
廃棄費用は(借)雑費・支払手数料等で処理(課税仕入)
「捨てた証拠」を残す:廃棄業者の伝票・マニフェスト・写真(調査で確認される)
使っていないが現物がある場合の「有姿除却」は要件あり ── 税理士と判断
帳簿に残ったままの「幽霊資産」は償却資産税も払い続けることに。資産台帳の棚卸を
29月次の減価償却(概算計上)
毎月:(借)減価償却費 150,000 /(貸)減価償却累計額 150,000(年間見込額÷12)
月次に償却を入れると、毎月の利益が決算と乖離しない(精度の高い月次は経営判断の武器)
期中取得・売却があれば見込額を洗い替え
決算で確定額との差額を調整(第5章)。固定資産台帳がすべての起点
消費税:減価償却は対象外(取得時に課税仕入済み。償却で二重控除しない)
図解|少額資産の判定フロー(令和8年度改正対応)
30少額資産の判定(10万・20万・30万)
10万円未満:消耗品費等で全額損金(資産計上不要)
20万円未満:一括償却資産 ── 3年で均等償却(償却資産税の対象外)
40万円未満(令和8年4月1日以後の取得分。それ以前は30万円未満):中小企業者等の少額減価償却資産の特例 ── 全額即時損金(年合計300万円まで・償却資産税の対象になる点に注意。適用期限は令和11年3月31日まで延長)
判定単位は1台・1組ごと。税抜経理なら税抜額、税込経理なら税込額で判定
どれを選ぶかは利益状況・償却資産税で変わる。決算前検討の定番論点
31修繕費と資本的支出の仕訳
原状回復の修理:(借)修繕費 180,000 /(貸)普通預金 180,000
価値を高める改良(資本的支出):(借)建物 1,200,000(既存資産に加算)/(貸)普通預金 1,200,000 → 以後減価償却
形式判定の目安(実質判定の前に)
20万円未満 or 概ね3年以内の周期の修理 → 修繕費でOK
「修繕」という請求書名目でも内容が改良なら資本的支出。判定フローは第5章
消費税:修繕費・資本的支出とも支出時の課税仕入(資産計上でも控除時期は同じ)
32火災保険・自動車保険の支払
年払い:(借)保険料 120,000 /(貸)普通預金 120,000(翌期分は決算で前払費用へ)
消費税:保険料は非課税仕入
短期前払費用の特例:支払日から1年以内のサービス分は継続適用を条件に支払時損金可
数年分一括前払(長期契約)は長期前払費用で按分が原則
33保険金の受取と修繕
車両事故の保険金:(借)普通預金 500,000 /(貸)雑収入 500,000
修理費の支払:(借)修繕費(または車両費)440,000 /(貸)普通預金 440,000
消費税:保険金は不課税(対象外)/修理費は課税仕入 ── 相殺せず両建てで
「保険金−修理費=差額だけ計上」はNG。総額主義で処理
固定資産が滅失して保険金で買い替える場合は圧縮記帳の検討(パターン46)
34店舗契約の初期費用(敷金・礼金・仲介)
契約時の例:(借)差入保証金 600,000(敷金・返還あり)
+長期前払費用 300,000(礼金20万円以上 → 5年または賃借期間で償却)
+支払手数料 110,000(仲介手数料・課税仕入)
+地代家賃 110,000(前家賃)/(貸)普通預金 1,120,000
契約書の「償却・敷引」条項を確認。敷金でも返還されない部分は礼金と同じ扱い
消費税:店舗の礼金・家賃・仲介料は課税、敷金(返還分)は対象外
35家賃の支払と前払処理
翌月分家賃の当月末支払:(借)地代家賃 110,000 /(貸)普通預金 110,000(毎月継続なら支払時費用で実務上OK)
決算月は翌期分を(借)前払費用へ振り替える(または短期前払費用特例で支払時損金を継続)
特例は「毎期継続」が条件。今期だけ2か月分落とす、などの操作はできない
家賃改定・フリーレントがあれば契約書を入手し処理を確認
消費税:店舗・事務所家賃は課税仕入/住宅用は非課税 ── 物件ごとに契約書で判定
36前払費用の振替・月割
年払い保守料の月割:毎月(借)支払手数料 10,000 /(貸)前払費用 10,000
年払いサブスク・保険・保守は「支払時に前払費用 → 毎月費用化」が月次精度を上げる
月次重視の会社は月割、簡便でよい会社は支払時費用+決算整理 ── 会社ごとの方針に従う
前払費用の内訳表(契約・期間・月額)を決算資料として整備
消費税:控除時期は原則役務提供時。月割の振替自体は対象外
37未払金・未払費用の計上
月末時点の未着請求分(概算):(借)外注費 100,000 /(貸)未払費用 100,000(翌月、請求書で精算)
決算時の経費未払:(借)水道光熱費ほか 30,000 /(貸)未払金・未払費用 30,000
計上したら翌期に必ず消す(再振替 or 支払時充当)。二重計上が頻出ミス
決算月は「当期分なのに翌期請求」の経費を総ざらい(給与・社保・光熱・通信・運賃)
消費税:課税仕入の時期は引渡・役務提供時 ── 未払計上した決算月で控除
38仮払金の精算(出張)
仮払:(借)仮払金 50,000 /(貸)現金
帰着後精算:(借)旅費交通費 38,000+接待交際費 9,000+現金 3,000 /(貸)仮払金 50,000
精算書+領収書のセットで処理。精算期限(帰着後1週間等)を運用ルールに
精算漏れの仮払金が積み上がる会社は、立替精算アプリ等の導入で改善できる
消費税:精算時に内容ごとに判定(交通費・会食は課税仕入、慶弔は対象外)
39出張日当(旅費規程)
(借)旅費交通費(出張日当)5,000 /(貸)現金
旅費規程に基づく相当額の日当は、本人非課税・会社損金・消費税は課税仕入
規程がない・役員だけ高額、は給与認定リスク。規程の整備が前提
社長の手取り改善の定番。まず旅費規程の整備から
40慶弔金(従業員・取引先)
従業員への結婚祝:(借)福利厚生費 30,000 /(貸)現金(慶弔規程ベース・不課税)
取引先への香典:(借)接待交際費 10,000 /(貸)現金(不課税・領収書なしでも記録でOK)
現金の慶弔金は消費税対象外。花輪・供花など物品は課税仕入
香典等は招待状・会葬礼状のコピーをエビデンスに(摘要に先方名・関係を)
41会費・組合費・年会費
商工会議所年会費:(借)諸会費 12,000 /(貸)普通預金 12,000(通常会費は不課税)
カード年会費:(借)支払手数料 11,000 /(貸)未払金 11,000(課税仕入)
消費税の判定
通常会費(団体運営のための会費)=不課税/セミナー参加費・懇親会費など対価性あり=課税
ロータリー・ライオンズ等の会費は交際費扱いが原則(社内ルール確認)
42寄附金
(借)寄附金 100,000 /(貸)普通預金(不課税)
損金算入の区分(法人)
国・地方公共団体への寄附=全額損金/指定寄附金=全額損金
特定公益増進法人=別枠の限度額/一般の寄附金=損金算入限度額あり(申告調整)
取引先への支援金・協賛金は寄附金か交際費か広告宣伝費か、内容で判定(対価性の有無)
43商品券・ギフト券
購入時:(借)貯蔵品(または購入時費用)50,000 /(貸)現金 50,000 ── 物品切手の購入は非課税
取引先へ贈答:(借)接待交際費 10,000 /(貸)貯蔵品 10,000(不課税のまま)
商品券で物を買った時に課税仕入(使用時課税が原則)
自社発行の商品券は発行時は前受金、利用時に売上 ── 発行と他社券の購入を混同しない
期末の手持ち商品券・切手・印紙は貯蔵品へ振替(決算チェック)
44ポイントの利用・付与
備品1万円をポイント500円分利用して購入(値引処理の例):(借)消耗品費 9,500 /(貸)現金 9,500
値引処理のほか「総額計上+雑収入500円」の両建て処理も認められる ── 継続適用
自社ポイント発行側(飲食・小売)は付与・利用の処理方針を最初に設計(第7章)
経費精算で個人ポイント利用分をどう扱うかは社内ルールを決めておく
消費税:値引処理なら支払額が課税仕入/両建てなら総額が課税仕入+雑収入は不課税
45補助金・助成金の受取
交付決定+入金:(借)普通預金 1,000,000 /(貸)雑収入(補助金収入)1,000,000
消費税:補助金・助成金は不課税(対価性なし)
収益計上時期は原則「交付決定時」(入金前でも未収計上)── 期またぎに注意
圧縮記帳(パターン46)や消費税の返還条項付き補助金など特殊論点は税理士と
雇用調整助成金等の人件費系は経費との対応期間に注意
46圧縮記帳の基本(国庫補助金)
固定資産の取得に補助金を受けた場合、課税の繰延べとして圧縮記帳が選択できる
機械500万円・補助金200万円:(借)機械装置 5,000,000/(貸)普通預金 +(借)固定資産圧縮損 2,000,000 /(貸)機械装置 2,000,000
以後は圧縮後の帳簿価額(300万円)で減価償却 → 毎期の償却費が減る=課税の繰延べ
免税ではなく繰延べ。適用要件・別表の添付が必要 ── 必ず税理士と実施
47法人税等の中間納付
中間納付:(借)仮払法人税等(または法人税等)500,000 /(貸)普通預金
前期の年税額が20万円超なら中間申告・納付(予定申告 or 仮決算)
決算で年税額を確定し、中間分を控除した差額を未払法人税等に計上(第5章)
中間納付を租税公課にすると損金不算入の調整が崩れる。科目を統一
中間納付の時期・概算額は資金繰り予測に必ず織り込む
消費税:法人税等の納付は対象外
48消費税の中間納付・確定納付
中間(税込経理):(借)租税公課(または仮払金)300,000 /(貸)普通預金 300,000
確定納付:(借)未払消費税等 500,000 /(貸)普通預金 500,000
中間回数は前期の年税額(国税分)で決まる:48万円超=年1回、400万円超=年3回、4,800万円超=年11回
中間が年3回・11回の会社は納付カレンダー必須。資金ショートの典型原因
49立替金精算(取引先実費)
先方負担の送料を立替:(借)立替金 3,300 /(貸)現金
回収:(借)普通預金 3,300 /(貸)立替金 3,300
消費税:純粋な立替(先方宛の領収書を渡す)は対象外。立替金精算書の保存で仕入税額控除は先方側
「立替」の名目でも自社の売上に付随する請求(送料込み売上)なら課税売上
実費精算か売上か ── 請求書の書き方で消費税が変わる。先に設計する
50経営セーフティ共済(倒産防止共済)
取引先の倒産に備える共済。掛金は月20万円まで・累計800万円まで
(借)保険料(または倒産防止共済掛金)200,000 /(貸)普通預金 200,000(月20万円の例)── 損金算入には明細書の添付が必要
解約手当金は全額収益(雑収入)── 入口で節税・出口で課税。出口戦略とセットで設計
令和6年10月以降、解約後2年間は再加入しても掛金を損金にできない改正に注意
資産計上(保険積立金)で処理し別表減算する方法もある。方針は顧問税理士と相談して決める
51貸倒れの発生(売掛金)
(借)貸倒損失 220,000 /(貸)売掛金 220,000
損金にできる主な場面(法人税)
法的整理で切り捨てが決まった/全額回収不能が明らか/取引停止後1年以上経過(売掛債権・備忘価額1円残し)
消費税:課税売上に係る貸倒れは、貸倒れ時に消費税額の控除あり(区分入力)
「もう回収できなさそう」だけでは損金にならない。証拠(通知・調査記録)と要件確認を税理士と
52貸倒引当金の設定
決算:(借)貸倒引当金繰入 60,000 /(貸)貸倒引当金 60,000(一括評価金銭債権1,000万円×その他の事業6/1000の例。翌期は戻入れか差額補充)
中小法人は法定繰入率(卸小売10/1000・製造8/1000・金融3/1000・その他6/1000など)での概算計上が可能
個別評価:倒産手続中の先などは50%等の個別繰入れ
一括評価の対象は売掛金・貸付金等の金銭債権。実質的に債権と見られない部分の控除に注意
引当はあくまで見積り。実際の貸倒れ(パターン51)と混同しない
消費税:引当金の繰入・戻入は対象外(実際の貸倒時のみ税額控除・パターン51)
53敷金の返還と原状回復費
退去時:(借)普通預金 400,000+修繕費 200,000(原状回復・課税仕入)/(貸)差入保証金 600,000
敷金から差し引かれた原状回復費は課税仕入(インボイスは貸主・管理会社から)
差引かれた額を「保証金の減少」だけで処理すると課税仕入が漏れる
契約時に償却済みの敷引部分(パターン34)と二重に費用化しないよう注意
54配当金の受取
(借)普通預金 84,685+法人税等(源泉所得税)15,315 /(貸)受取配当金 100,000
上場株式の配当の源泉は15.315%(法人には住民税利子割なし)
消費税:不課税
法人税では受取配当等の益金不算入(持株比率で算入割合が変わる)── 申告調整は税理士
源泉分は法人税の前払い(税額控除)。雑収入で手取り計上しない
55増資の仕訳
払込:(借)普通預金 5,000,000 /(貸)資本金 5,000,000(1/2まで資本準備金も可)
登録免許税(増加資本金の7/1000・最低3万円)は租税公課で損金
資本金が1,000万円・1億円のラインを超える影響(消費税・均等割・中小特例)を事前にシミュレーション
増資の話が出たら必ず事前に税理士へ ── 実行後では打てる手が減る
56創立費・開業費
創立費:会社設立のための費用(定款認証・登録免許税・設立登記の司法書士報酬等)
開業費:設立後〜営業開始までの開業準備費用(広告・研修・市場調査等)
(借)創立費 250,000+開業費 300,000(繰延資産)/(貸)普通預金 550,000 → 任意償却(いつでも・いくらでも償却可)
開業費に「経常的な費用」(家賃・給料・水道光熱)は含めない扱いが原則
赤字の初年度は償却せず、黒字化した期に償却する節税が定番提案
消費税:登録免許税・印紙は対象外/司法書士報酬・広告費等は支出時の課税仕入
57期ズレの修正(前期計上漏れ)
前期に計上すべき経費の請求書が決算後に出てきた場合など
当期に(借)通信費など 50,000 /(貸)未払金 50,000(影響が軽微なら当期費用処理が実務的)
金額が大きい・売上の計上漏れなど影響が重大な場合は修正申告・更正の請求の検討 ── 必ず税理士へ即報告
「見つけたら隠さず報告」が鉄則。期ズレは翌期に自然解消するが、報告は省略しない
消費税:控除・課税の時期も本来の課税期間 ── 重要な誤りは消費税申告の是正も連動
58現金過不足
実査で現金が1,000円少ない:(借)現金過不足 1,000 /(貸)現金 1,000
原因判明:正しい科目へ振替/決算まで不明:(借)雑損失 /(貸)現金過不足
まず原因究明(記帳漏れ・釣銭ミス・両替)。安易な雑損処理はレジ管理の崩壊サイン
過不足が頻発する会社には、レジ締めルール・金種表の導入が有効
消費税:現金過不足・雑損失処理は対象外(課税仕入にしない)
59電子マネー・チャージ式決済
チャージ時:(借)前払金(貯蔵品等)10,000 /(貸)普通預金
利用時:(借)旅費交通費ほか 2,000 /(貸)前払金 2,000 ── 利用明細を保存
実務簡便法:事業利用のみのカードなら、チャージ時費用処理を継続適用するケースもある(私用混在は不可)
個人のスマホ決済と事業の混在が最頻出の問題。事業専用化がおすすめ
消費税:チャージ時は対象外、利用時に内容で判定(利用明細を保存)
60決算賞与の未払計上
決算:(借)賞与 1,000,000 /(貸)未払金 1,000,000(従業員への決算賞与)
期末未払でも損金にできる3要件
①支給額を各人別に・同時期支給の全員へ期末までに通知 ②期末から1か月以内に支払 ③当期に損金経理
1人でも通知どおり払わなければ全員分が損金不算入。通知書面を必ず残す
利益が出た期の代表的な決算対策。従業員の士気と節税の両立
消費税:決算賞与は給与等として対象外
第4章 消費税の実務
消費税は「判定の順番」を身につければ怖くありません。課税・非課税・不課税・免税の区分から、簡易課税・インボイス・令和8年度改正(経過措置70%へ・2割特例終了)まで、実務目線で整理しました。
図解|消費税の基本構造
消費税は利益ではなく「預り金」。赤字でも納付が発生することがあります。
消費税のしくみ ── 預かって・払って・差額を納める
売上で預かった消費税 −(仕入・経費で支払った消費税)= 納付額
例(税抜・原則課税)
売上2,200万円(仮受200万)− 課税仕入1,650万円(仮払150万)→ 納付 約50万円
事業者は「預かり役」。消費税は利益ではなく預り金、と社長に説明する
赤字でも消費税は発生し得る(利益と納税は別物)── 資金繰り説明の必須知識
「利益はないのに消費税だけ重い」と感じる正体:給与・社会保険料(不課税)が大きい会社は、費用のわりに仕入税額控除が少ないため。人件費型ビジネスの宿命として資金繰りに織り込む
納税義務の判定 ── 免税か課税か
原則:基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円超なら課税事業者
例外で課税になる主なケース
特定期間(前事業年度開始から6か月)の課税売上高と給与等がともに1,000万円超
資本金1,000万円以上の新設法人(設立1・2期目から課税)
インボイス発行事業者に登録している(売上規模に関係なく課税)
「2年前が1,000万以下だから免税」だけで判定しない。チェック表で確認
図解|消費税の判定は必ずこの順番で
課税の4要件 ── 課税対象かどうかの入口
次の4つすべてを満たす取引が消費税の課税対象
① 国内において ② 事業者が事業として ③ 対価を得て ④ 資産の譲渡・貸付・役務の提供を行う
1つでも欠けると不課税(対象外):給与(事業でない)・寄附/補助金(対価なし)・国外取引など
課税対象に入ったうえで「非課税」「免税」の例外を見る、という2段階で判定
この順番を飛ばして感覚で区分すると必ず間違える
課税・非課税・不課税・免税の全体マップ
課税(10%/8%)
国内の物販・サービス・店舗家賃・備品売却など大半の取引
非課税(社会政策・性質上)
土地・住宅家賃・利息・保険料・医療(保険診療)・介護・行政手数料・商品券など
不課税(対象外)
給与・補助金・保険金・配当・寄附・損害賠償金・国外取引
免税(0%)
輸出取引・国際輸送など(仕入側の控除はできる=有利な0%)
非課税と不課税は「課税売上割合」の計算で扱いが違う ── 区分を混ぜない
非課税取引の主なもの①(資産・お金まわり)
土地の譲渡・貸付(1か月以上)── 青空駐車場の地代も非課税(施設貸しは課税)
住宅の貸付(居住用・1か月以上)── 店舗・事務所は課税
利息・保証料・保険料・共済掛金
有価証券・支払手段の譲渡
商品券・プリペイドカード等(物品切手)の譲渡
同じ「家賃」「駐車場」でも用途・形態で課否が割れる ── 契約書で確認が鉄則
主な非課税:土地の譲渡・貸付(1か月以上)/有価証券・支払手段の譲渡/預金利息・保証料・保険料/商品券・プリペイドカードの譲渡/行政手数料など
非課税売上が多い会社は課税売上割合が下がり、仕入税額控除が按分制限される(本章「95%ルール」参照)── 不動産・金融・医療系は特に注意
非課税取引の主なもの②(社会政策的配慮)
社会保険医療(保険診療)── 自由診療・美容は課税
介護保険サービス・社会福祉事業
助産・埋葬料・火葬料
一定の学校の授業料・入学金・教科書
行政手数料(住民票・登記手数料等)
医療・介護・不動産業は非課税が多い=課税売上割合・簡易課税の検討が重要(第7章)
例:学校の授業料・入学金・教科書、助産、埋葬料・火葬料、身体障害者用物品、社会福祉事業のサービスなど
同じ医療でも自由診療(美容目的・人間ドック・予防接種など)は課税。「医療=非課税」と一括りにしない
不課税(対象外)の代表例
給与・賞与・退職金(雇用契約に基づく労務)
補助金・助成金・寄附金・祝金・香典
保険金・共済金・損害賠償金(対価性なし)
配当金・出資分配
税金の納付・還付、減免
「非課税」と入力するか「対象外」と入力するかでソフト上の課税売上割合が変わる ── 区分コードを正しく
例:ご祝儀・香典・見舞金、受取配当金、損害賠償金、寄附・補助金、国外で完結する取引
実務で最も重要なのは「給与(不課税)か外注費(課税仕入)か」の区分(パターン10・誤り15参照)。ここを誤ると消費税と源泉の両方に影響する
輸出免税 ── 0%課税の世界
輸出として行う資産の譲渡・国際輸送・国際郵便などは免税(0%)
売上に消費税はかからないが、対応する仕入の消費税は控除(還付)できる
輸出許可書・インボイス等の証明書類の保存が要件(輸出証明がないと免税にできない)
輸出が多い会社は還付申告が常態 ── 原則課税が前提(簡易課税では還付されない)
海外向けでも「国内で引き渡す」取引は課税 ── 取引条件で判定
図解|10%と8%のざっくり境界線
軽減税率8%の対象
対象は2つだけ
① 飲食料品(酒類・外食を除く)② 週2回以上発行の新聞(定期購読)
判定の難所
テイクアウト・出前=8%/イートイン=10%(販売時の意思確認)
おまけ付き菓子等の一体資産:税抜1万円以下かつ食品部分の価額が2/3以上なら全体8%
仕入側も8%・10%の区分入力が必要(飲食・小売の記帳は混在が日常)
レジ・受発注システムの税率設定を最初に確認するのが実務の入口
経理方式 ── 税込経理と税抜経理の比較
税抜経理
損益が本体価格で見える/少額判定(10万・30万)が税抜でできる/仮払・仮受で期中も納税額が見える
税込経理
仕訳がシンプル/免税事業者はこちら(税抜経理は不可)
交際費800万円の判定は経理方式の金額(税込経理なら税込)で行う ── 方式で有利不利が出る場面
どの方式を採用しているかは、税理士の変更・引き継ぎ時に必ず確認
原則課税の計算と95%ルール
納付額=課税売上の消費税 − 課税仕入の消費税(仕入税額控除)
仕入税額控除の制限
課税売上割合95%以上かつ課税売上高5億円以下 → 全額控除OK
それ以外 → 個別対応方式 or 一括比例配分方式で按分計算
非課税売上が多い業種(医療・介護・不動産)は按分計算が常態 ── 経費の用途区分(課税売上対応/非課税売上対応/共通)の入力が必要
該当する会社は、入力時から用途区分を意識(決算でまとめては無理)
図解|みなし仕入率(事業区分別)
納付額=売上の消費税×(1−みなし仕入率)。区分を誤ると納付額が大きく変わります。
簡易課税のしくみ ── みなし仕入率
基準期間の課税売上高5,000万円以下+事前届出で選択できる簡便計算
納付額=売上の消費税 ×(1−みなし仕入率)── 仕入の集計が不要
みなし仕入率
第1種 卸売90%/第2種 小売80%/第3種 製造・建設70%/第4種 飲食その他60%/第5種 サービス50%/第6種 不動産40%
一度選ぶと2年間継続。大きな設備投資・還付の予定がある年は原則が有利なことも ── 毎年の有利判定が顧問の腕
簡易課税の事業区分判定①
第1種(卸売・90%)
購入した商品を性質・形状を変えずに「事業者へ」販売
第2種(小売・80%)
購入した商品を性質・形状を変えずに「消費者へ」販売(区別できない場合の扱いは要確認)
第3種(製造・建設・70%)
製造・加工・建設・農林漁業(自ら材料を仕入れて加工)
同じ会社でも取引ごとに区分が混在し得る(卸も小売もある等)── 売上の区分管理が前提
簡易課税の事業区分判定②
第4種(その他・60%)
飲食店業・固定資産の売却・加工賃中心でない請負など
第5種(サービス・50%)
運輸・通信・金融・サービス業(理美容・コンサル・修理など)
第6種(不動産・40%)
不動産業(賃貸・管理・仲介)
判定頻出例:建設の手間請け(材料支給を受ける)=第4種/自社材料=第3種、美容室の店販=第2種
迷う取引は判定表+国税庁質疑応答で確認し、判断根拠をメモに残す
図解|2割特例はどうなる?(令和8年度改正後)
法人は3割特例の対象外。簡易課税(売上5,000万円以下・事前届出)への移行を早めに検討します。
2割特例 ── インボイスを機に課税になった事業者
免税事業者がインボイス登録のために課税事業者になった場合の負担軽減措置
納付額=売上の消費税 × 2割(仕入の集計不要・事前届出不要・申告時に選択)
対象期間:令和5年10月〜令和8年9月30日を含む課税期間まで。令和8年度改正で延長はされず、この期限で終了
その後:個人事業者に限り、令和9年分・令和10年分は納付額を売上税額の3割とする「3割特例」が新設。法人は本則課税か簡易課税(5,000万円以下)へ移行
基準期間の課税売上高が1,000万円超の年は使えない(年ごとに判定)
特例終了後にどの計算方式へ移るか(簡易課税の届出時期を含む)は早めの設計が重要
インボイス制度の基本
仕入税額控除には、原則として登録事業者が発行する適格請求書(インボイス)の保存が必要
インボイスの記載事項
登録番号(T+13桁)/適用税率と税率ごとの消費税額/取引内容(軽減税率対象の明記)など
受け取った請求書の登録番号は国税庁公表サイトで確認できる(新規取引先は確認を習慣に)
自社(会社)が発行する請求書の様式チェックも重要(税理士がチェックします)
仕入税額控除の要件と少額特例
原則
帳簿の記載 + インボイスの保存
少額特例(〜令和11年9月)
基準期間の課税売上高1億円以下等の事業者は、税込1万円未満の課税仕入はインボイス不要(帳簿のみでOK)
帳簿のみ保存でよい取引(金額不問)
3万円未満の公共交通機関・自販機/従業員の出張旅費・日当・通勤手当 など
「領収書がないから経費にできない」と一律に言わない。特例の地図を持つ
図解|経過措置の控除割合タイムライン(令和8年度改正後)
インボイス未登録の相手からの仕入に適用。会計ソフトでは経過措置用の税区分を選択します。
免税事業者からの仕入 ── 経過措置(80%→70%→50%→30%)
インボイスのない仕入(未登録の免税事業者等)は原則控除不可。ただし経過措置あり
令和5年10月〜令和8年9月:仕入税額相当額の80%控除可
令和8年10月〜令和10年9月:同70%控除可(令和8年度改正で「50%」から緩和・延長)
令和10年10月〜令和12年9月:同50%控除可/令和12年10月〜令和13年9月:同30%控除可(以後は控除なし)
会計ソフトの税区分(経過措置80%・70%等)を正しく選択 ── 通常の課税仕入と混ぜない
一人親方・個人外注が多い建設業などは、取引先の登録状況リストを整備(第7章)
家賃・駐車場の消費税 ── 用途で決まる
住宅の家賃(居住用・1か月以上)=非課税/事務所・店舗=課税
社宅として会社が借りる場合も居住用なら非課税(社員からの社宅使用料も非課税売上)
駐車場:青空(土地の貸付)=非課税/アスファルト・区画・機械式など施設貸し=課税
「家賃だから非課税」と一括処理しない。物件ごとに契約書で判定
居住用賃貸建物の取得に係る仕入税額控除の制限(取得時は控除不可)にも注意
車両・固定資産売却の消費税
事業用資産の売却は、売却額の総額が課税売上(簿価や売却益ではない)
55万円で売却 → 課税売上55万円(うち消費税5万円)として申告に反映
簿価以下で売っても消費税は発生する ── 「損したのに消費税?」と聞かれたら預り金の理屈で説明
土地の売却は非課税売上(課税売上割合が大きく下がる ── たまたま土地を売った場合の特例承認も検討)
軽油引取税・ガソリン税の扱い
軽油代のうち軽油引取税は消費税の課税対象外(不課税)── 明細で本体と分けて入力
ガソリン税は本体価格に含まれて課税対象(ガソリンは全額課税仕入でOK)
「軽油は全額課税仕入」が頻出ミス(運送・建設・農業で影響大)
給油明細・燃料カード明細の税区分設定をソフト側で整備すると事故が減る
例:軽油1リットルあたり32.1円の軽油引取税が含まれる。5万円の給油でも数千円は不課税部分 ── スタンドの明細に税額が記載される
会計ソフトの摘要辞書・自動仕訳ルールに「軽油=本体課税+引取税不課税」を登録しておくと入力ミスが激減する
会費・キャンセル料・違約金の判定
通常会費(対価性なし)=不課税/研修会費・施設利用料=課税
キャンセル料:解約に伴う損害賠償の性格=不課税/事務手数料の性格=課税(ホテルのキャンセル料は時期・名目で混在)
違約金・損害賠償金=原則不課税(ただし実質が資産の譲渡対価なら課税)
「名目」でなく「性格(対価性)」で判定 ── 請求書の文言だけで決めない
例:同業団体の通常会費=不課税(対価性なし)/セミナー・研修参加費や名簿・施設利用は課税
キャンセル料:事務手数料としての性格の部分=課税/逸失利益の補償としての性格=不課税(区分不明なら全体を不課税として扱う実務が多い)
海外取引 ── 電気通信利用役務とリバースチャージ
海外事業者からのネット広告・クラウドサービス等(事業者向け電気通信利用役務)はリバースチャージ=買い手側が消費税を申告
ただし課税売上割合95%以上の事業者は当分の間、申告対象外(経理上は不課税扱い)
消費者向け配信サービスは国外事業者が申告(インボイス登録の有無を確認)
海外プラットフォーム手数料(広告・アプリ・モール)を一律課税仕入にするのは誤り ── 取引ごとに整理表で判定
ポイント・値引・実費精算の消費税
ポイント利用:値引処理(支払額で課税仕入)か両建て(総額課税仕入+雑収入不課税)か継続適用
自社ポイント付与:付与時は処理なし(利用時に売上値引等)が一般的 ── 制度設計による
立替金の実費精算:対象外(立替金精算書+宛名領収書の保存)
従業員立替の経費精算は通常の課税仕入(インボイスは会社宛てが原則だが、3万円未満特例・出張旅費特例の活用を整理)
消費税の誤りやすいポイントTOP10
① 軽油引取税を課税仕入に ② 住宅家賃・地代を課税に
③ 保険金・補助金を課税売上に ④ 車両売却を差額課税に
⑤ 給与を課税仕入に(外注費との混同) ⑥ 海外取引を課税仕入に
⑦ 慶弔金・香典を課税に ⑧ 行政手数料・印紙を課税に
⑨ 通常会費を課税に ⑩ 免税事業者からの仕入を満額控除に
迷ったら第4章の各ページへ。区分の根拠をメモに残すのがプロの仕事
インボイス実務チェックリスト(受領側)
- 新規取引先の登録番号を公表サイトで確認した
- 受領請求書に税率ごとの消費税額・登録番号があるか確認した
- 未登録事業者の仕入は経過措置(80%。令和8年10月以後は70%)の税区分で入力した
- 1万円未満(少額特例)・出張旅費特例の適用を整理した
- 返品・値引時の返還インボイスを授受した(1万円未満は免除)
- 電子で受け取ったインボイスは電子保存した(電帳法)
迷う書類は「確認フォルダ」に集めて定期的に税理士と確認
消費税の申告と納付スケジュール
申告・納付期限:課税期間終了の翌日から2か月以内(法人)
法人税と違い、消費税には申告期限の延長特例を出していない会社も多い ── 延長届の有無を確認(出せば1か月延長可)
中間納付:前期実績に応じ年1回・3回・11回(パターン48)
納付方法:ダイレクト納付・振替納税・クレジット・スマホ納付など ── 自社に合う方法を選ぶ
納税予測には消費税を必ず含める。法人税より重い会社が多い
第4章のまとめ ── 消費税実務
- 判定の順番:課税4要件 → 非課税・免税の例外 → 税率
- 免税/課税の判定は基準期間・特定期間・インボイス登録で
- 原則・簡易・2割特例の有利判定が顧問の腕の見せどころ
- インボイス:番号確認・経過措置(80%→令和8年10月以後70%)・少額特例を使い分け
- 頻出ミスTOP10を月次チェックに組み込む
- 納税予測と中間納付カレンダーで資金繰りを守る
第5章 決算と税務調整
決算は「B/S残高の説明がつく」「P/L増減の理由が言える」「税務調整が漏れていない」の3点で決まります。決算整理のチェックリストから、減価償却・引当金・別表の基本まで、この順番で確認すれば漏れません。
図解|決算〜申告の流れ(期限は決算日から2か月)
〜2週間→決算整理仕訳
〜1か月→税額計算・申告書作成→検算・レビュー→電子申告・納付
2か月以内
決算の全体像とスケジュール
決算日から申告までの2か月
資料回収・残高確定(〜2週間)→ 決算整理仕訳(〜1か月)→ 税額計算・申告書作成 → 社内検算・税理士のレビュー → 決算報告面談→ 電子申告・納付(2か月以内)
法人税は延長特例(申告期限の延長)を出していれば3か月だが、納付は2か月以内が原則(見込納付)
決算は「月次の答え合わせ」。月次精度が高い会社ほど決算は速い
スケジュールの遅れは即、納付・面談に波及。回収依頼は決算月の前月から動く
決算整理事項の一覧(チェックリスト)
- 現金実査・預金残高の確定
- 売掛金・買掛金の残高確認
- 実地棚卸と在庫評価
- 仮払金・仮受金の精算
- 減価償却費の確定
- 前払費用・未払費用の計上
- 引当金(貸倒・賞与)の検討
- 役員給与の損金性最終確認
- 交際費・寄附金の集計
- 法人税等・消費税の計上
- 勘定科目内訳書・概況書の作成
- 別表調整の整理
この一覧を決算ファイルの表紙にして、1件ずつ消し込む
現金実査と預金残高の確定
現金:金種表で実査 → 帳簿残高と一致確認(差異は原因究明・パターン58)
預金:全口座の残高証明書または通帳記帳で期末残高を確定
「使っていない口座」「社長個人口座との混在」を決算で必ず洗い出す
当座借越はマイナス表示せず短期借入金へ振替
定期積金・定期預金の利息(未収分)・担保提供の有無も内訳書に反映
手順:①金種表(1万円札×枚数…)で実際の現金を数える ②帳簿残高と突合 ③差異は原因を調べ、どうしても不明なら現金過不足で処理(パターン58)
預金は決算日時点の通帳記帳・残高証明・当座照合表で確定。ネット銀行は決算日の残高画面を保存しておく
売掛金・買掛金の残高確認
得意先元帳・仕入先元帳の残高一覧を作成し、請求書・支払通知と突合
差異の典型原因
締め後売上・仕入の計上漏れ/振込手数料・相殺の未処理/二重計上
マイナス残高の売掛金(過入金・前受の混在)は内容を特定して振替
回収サイトを大幅に超える滞留債権はリスト化して貸倒検討へ(税理士との面談で共有)
手順:①自社の得意先別・仕入先別残高一覧を出す ②相手方の請求書・支払通知と突合 ③差異は「当方の計上漏れ/先方の未計上/入金・支払の相違」の3分類で原因特定
締め日違い(20日締め先方 vs 末締め自社)による差異は「締後取引の明細」を添えて説明できれば問題ない
実地棚卸 ── 在庫の確定
期末日(前後)に現物を数える:商品・製品・材料・貯蔵品(切手・印紙・包装材)
棚卸表の必須項目:品名・数量・単価・金額・場所・担当者名
預け在庫(外注先・倉庫)・積送品・期末日前後の入出荷の帰属に注意
(借)期首商品棚卸高 500,000 /(貸)商品 500,000 +(借)商品 600,000 /(貸)期末商品棚卸高 600,000
棚卸表は調査で必ず見られる原始資料。日付・署名入りで保存
在庫の評価方法と評価損
中小の主流は最終仕入原価法(届出がない場合の法定評価方法)
評価損が認められる主な場合
災害による著しい損傷/著しい陳腐化(季節商品の売れ残り等で今後通常価額で販売できないことが明らか)など
「売れ残っているから」だけでは評価損は不可 ── 値下げ販売の実績等の証拠が必要
(借)商品評価損 80,000 /(貸)商品 80,000
廃棄するなら廃棄の事実(写真・業者伝票)で廃棄損に ── 評価損より説明が立ちやすい
仕掛品・未成工事(概要)
期末時点で完成・引渡し前の案件の原価は、費用から仕掛品(未成工事支出金)へ振替
(借)仕掛品 700,000 /(貸)期末仕掛品棚卸高 700,000(製造原価の控除)
対応関係:売上を計上していない案件の原価は当期費用にしない(費用収益対応)
「材料費だけ拾って外注費・労務費を忘れる」が頻出 ── 案件別の原価集計が前提
建設業の未成工事会計は第7章(建設業)で詳説
減価償却費の確定 ── 定額法と定率法
定額法:毎期同額(取得価額×償却率)── 建物・附属設備・構築物・ソフトウェアは定額法のみ
定率法:期首簿価×償却率(早い時期に多く償却)── 機械・車両・器具備品の法定(法人)
期中取得は月割(事業供用月から)。償却限度額を超えた分は損金不算入
会計ソフト・固定資産台帳の耐用年数・償却方法・供用日の登録ミスが翌期以降も波及
中小は任意償却(限度内で少なく償却)も可能だが、銀行評価・将来比較の観点から原則満額が推奨
中古資産の耐用年数
簡便法(見積りが困難な場合)
法定耐用年数の全部を経過:法定×20%
一部経過:(法定−経過年数)+経過年数×20%(端数切捨て・最短2年)
例:6年落ちの普通車(法定6年)→ 6×20%=1.2年 → 2年
資本的支出が取得価額の50%超等の場合は簡便法が使えないケースあり
中古資産の早期償却は王道の決算対策だが、購入は事業供用が前提(期末納車で未使用は不可)
図解|修繕費か資本的支出か(順に判定)
修繕費と資本的支出 ── 判定フロー
フロー(順に判定)
① 20万円未満 or 概ね3年周期の修理 → 修繕費
② 明らかに価値・耐久性を増す支出(増築・改造・グレードアップ)→ 資本的支出
③ 区分不明なら:60万円未満 or 前期末取得価額の10%以下 → 修繕費
④ なお不明:継続適用を条件に30%基準等の特例(実務は要相談)
災害時の原状回復には別の取扱いあり。大型工事は見積内訳書を入手して項目ごとに判定
前払費用と短期前払費用の特例
原則:当期分のみ費用、翌期分は前払費用(資産)
短期前払費用の特例(支払時損金)の要件
支払日から1年以内に提供を受ける役務/毎期継続して同じ処理/収益と直接対応しない費用(家賃・保険・保守等)
売上原価に対応するもの・1年超分・等の適用不可に注意。利益操作目的の単年適用は否認リスク
「年払い切替+特例」は定番の決算対策。ただし翌期以降は節税効果が一巡することも説明
未払費用・未払金の網羅計上
決算で総ざらいする未払リスト
給与(締め後分)・社会保険料(当月分翌月払い)・残業代
水道光熱・通信・運賃・外注費(締め後請求)
固定資産税(賦課決定済み未納分の処理方針確認)・利息
社保の未払計上(決算月分)は漏れやすい定番 ── 翌月の納付書から逆算
「当期のサービス・労働の対価か」で判定。網羅性が利益の精度を決める
定番の計上リスト:給与の締め後日割分/社会保険料(当月分翌月末払い)/労働保険料/水道光熱・通信費/支払利息/税理士・社労士報酬
前期の決算で計上した未払リストと今期を突合するのが網羅計上のいちばんの近道(毎年同じ項目が並ぶのが正常)
引当金の検討(貸倒・賞与)
貸倒引当金:中小法人は法定繰入率での一括評価+個別評価(パターン52)
賞与引当金:会計上は計上が望ましいが、法人税では損金不算入(申告加算)── 中小実務では計上しない会社も多い
「会計の引当」と「税務の損金」は別物 ── 計上方針は自社の方針として決めて継続
決算賞与で損金にしたい場合はパターン60の3要件(通知・1か月以内支給・損金経理)で
役員給与の最終確認
- 定期同額:期中の増減額はないか(あれば改定時期・事由を確認)
- 事前確定届出給与:届出どおりの日・額で支給したか(1円でも違えば全額不算入)
- 経済的利益:社宅・車・貸付利息など現物給与の処理漏れはないか
- 使用人兼務役員の賞与:使用人分の妥当性
期中に業績悪化で減額した場合は「業績悪化改定事由」の該当性を税理士が検討
来期の報酬改定(期首3か月以内)は決算報告面談のアジェンダへ
交際費・寄附金の損金算入限度
交際費(中小法人:資本金1億円以下)
年800万円まで損金算入(または接待飲食費の50%との選択)
1人1万円以下の取引先との飲食は交際費から除外可(年月日・参加者・人数・店名の記録)
寄附金
一般寄附金は所得・資本金等に応じた限度額まで ── 超過分は申告加算
交際費・寄附金・広告費・福利厚生費の科目振り分けを決算で再点検(隣接科目の整理)
欠損金の繰越控除・繰戻し還付
繰越控除
青色申告の欠損金は翌期以降10年間繰り越して所得から控除(中小法人は所得の100%まで控除可)
繰戻し還付
中小法人は欠損金を前期に繰り戻して法人税の還付請求が可能(前期黒字・当期赤字の場合に検討)
繰越のためには欠損発生年度に青色申告+その後連続して申告が必要
別表七の繰越管理は税理士の領域だが、「赤字は10年使える」と社長へ説明できるように
図解|利益と所得のズレを直す別表四
別表四の基本 ── 会計の利益から税務の所得へ
法人税の所得=当期純利益 ±申告調整
加算の例
損金不算入:法人税・住民税/交際費の限度超過/役員給与の否認/減価償却超過額/納税充当金繰入
減算の例
受取配当の益金不算入/納税充当金から支出した事業税/繰越欠損金の当期控除
経理担当の初心者はまず「なぜ利益と所得がズレるのか」の構造を理解する(作成は税理士と)
例:当期純利益1,000万円 + 交際費の限度超過100万円(加算)− 受取配当の益金不算入20万円(減算)= 課税所得1,080万円
「決算書の利益」と「税金計算の所得」がズレるのは異常ではなく制度どおり。ズレの内訳を説明できることが大切
別表五(一)の基本 ── 税務上の純資産
利益積立金額の期首→増減→期末を管理する表(税務上のB/S)
整合チェックの定番
繰越損益金=決算書の繰越利益剰余金と一致
納税充当金=未払法人税等と整合/未収還付・仮払税金の残管理
別表五(一)の検算式(期首+別表四留保−中間配当等=期末)が合わない申告書は必ずどこかが誤り
前期申告書の別表五(一)期末=当期の期首。引き継ぎ時に必ず確認
法人税等の計上と未払法人税等
決算:(借)法人税、住民税及び事業税 1,000,000 /(貸)未払法人税等 700,000+仮払法人税等 300,000(中間納付300,000がある場合の相殺例)
法人税・地方法人税・法人住民税(均等割含む)・法人事業税を計上
事業税(所得割)は「支払った期」の損金 ── 当期計上分は別表加算、前期分の納付は減算(納税充当金経由の調整)
均等割は赤字でも発生(資本金・従業者数で決まる)── 社長への説明定番
納税充当金の処理
納税充当金=会計の未払法人税等に対応する税務上の概念
1年の流れ
前期末計上 → 当期納付(充当金取崩し)→ 当期末に新たに繰入れ
別表四:繰入額は加算(損金不算入)/充当金から支出した事業税は減算
「損金経理した納税充当金」と実際の納付額のズレは別表五(二)で追跡
この回転が腹落ちすると法人税申告書の半分は読める ── 1社分を先輩と通しでなぞる
消費税の決算仕訳
税抜経理
(借)仮受消費税 2,000,000 /(貸)仮払消費税 1,500,000+未払消費税等 500,000(端数差額は雑収入・雑損失)
税込経理
(借)租税公課 500,000 /(貸)未払消費税等 500,000(申告書の納付額・損金経理で当期損金)
簡易課税・2割特例の場合、税抜経理では精算差額(益税分)が雑収入に出る ── 異常値ではない
申告書の納付額と帳簿の未払消費税等の一致を必ず検算
例(税抜経理):仮受消費税200万円 − 仮払消費税150万円 → (借)仮受消費税 200万 /(貸)仮払消費税 150万+未払消費税等 50万(端数差額は雑収入・雑損失)
税込経理の場合:申告額を(借)租税公課 /(貸)未払消費税等 で計上(申告時費用処理も可だが、未払計上が期間対応として望ましい)
勘定科目内訳書の作成
主要な資産・負債・損益科目の内訳明細(申告書の添付書類)
精度が問われる定番
預貯金(口座別)/売掛金・買掛金(相手先別)/借入金(金融機関別・期末残高は返済予定表と一致)
役員報酬・地代家賃(支払先・物件)/雑益雑損の内容
内訳書と決算書・元帳の不一致は信用を落とす(銀行・税務署の双方が見る書類)
「相手先名の正確な表記」まで含めて品質。作成ミスが最も出やすい書類
法人事業概況説明書・適用額明細書
法人事業概況説明書
事業内容・従業員数・経理状況・月別売上等を記載する申告添付書類
月別売上は帳簿と一致させる(調査の選定資料にもなる)
適用額明細書
中小特例(軽減税率・少額資産特例・税額控除等)を使う場合は添付必須 ── 漏れると適用が受けられないものも
「とりあえず前年コピー」での記載ズレに注意。当期の実態で更新
概況書の主な記載:事業内容・従業員数・主要科目の金額・月別売上・取引金融機関など ── 決算書と数字を一致させる
適用額明細書は、中小の軽減税率(年800万円以下の所得15%)や少額減価償却の特例など租税特別措置を使うときの添付必須書類。漏れると特例が適用できないリスクがある
決算チェックリスト(B/S編)
- 現金:実査一致・マイナスなし
- 預金:残高証明と一致
- 売掛・買掛:内訳書と元帳一致・マイナス残の解消
- 棚卸:棚卸表と一致
- 仮払・仮受:残高ゼロまたは内容明確
- 固定資産:台帳と一致・除却漏れなし
- 敷金:契約と一致
- 借入金:返済予定表と一致
- 預り金:翌月納付額と整合
- 純資産:別表五(一)・株主資本等変動計算書と整合
B/Sの全科目に「残高の説明」が付けられれば決算は合格
決算チェックリスト(P/L編)
- 売上:締め後売上の計上・前受との振替・月別推移の異常値確認
- 原価:期末棚卸の反映・仕掛の振替・粗利率の前期比較
- 人件費:給与台帳と一致・役員給与の損金性・未払計上
- 経費:前期比増減の大きい科目の原因説明・私的費用の混入なし
- 雑収入・雑損失:内容を特定(不明残なし)
- 税区分:消費税集計表と申告書の整合
「前期比較で増減理由を語れる」状態が決算報告面談の土台
申告と納付 ── 電子申告の実務
法人税・地方税・消費税はe-Tax/eLTAXで電子申告が標準
納付方法:ダイレクト納付(事前届出)・振替・クレジット・スマホ・窓口
申告データの送信完了=受信通知の保存まで(送ったつもり事故の防止)
納付期限と申告期限は別管理(延長法人は見込納付)。期限カレンダーを社内で共有
受信通知・申告書控え・納付記録をセットで会社ファイルへ ── 銀行提出にも使う
決算でよくあるミスTOP8
① 締め後売上・仕入の期ズレ ② 期末棚卸の漏れ・過大
③ 社保・給与の未払計上漏れ ④ 役員給与の定期同額崩れ
⑤ 内訳書と元帳の不一致 ⑥ 別表五(一)の検算不一致
⑦ 消費税の税区分集計ミス(軽油税・非課税家賃)
⑧ 納付額・納付期限の連絡漏れ(会社の延滞)
チェックリスト+ダブルチェック(自分以外の目)で構造的に防ぐ
対策はシンプルで、B/S・P/Lチェックリスト(前掲)を毎期同じ順番で消し込み、作成者と別の目でダブルチェックすること。「ミスの型」を知っていれば防げるものが大半
第5章のまとめ ── 決算・税務調整
- 決算は2か月の逆算スケジュールで。資料回収は前月から
- 整理仕訳:棚卸・償却・前払未払・引当・税金計上が柱
- 役員給与・交際費・欠損金は税務調整の3大定番
- 別表四(所得)・五(一)(純資産)の構造を理解する
- B/S全科目に「残高の説明」、P/Lは「増減の理由」
- 電子申告は受信通知まで、納付は期限カレンダーで管理
第6章 給与・源泉・年末調整
給与計算は「期限」と「預り金の回転」の管理業務です。毎月の源泉・住民税・社会保険から、年に一度の年末調整・法定調書まで、1年間のサイクルをこの章だけで回せるようにまとめました。
図解|給与のお金の流れ(総額計上が原則)
給与計算の全体フロー
勤怠締め → 総支給額の計算(基本給+残業+手当)→ 控除の計算(社保・源泉・住民税)→ 差引支給 → 振込 → 給与明細交付 → 仕訳計上 → 納付(源泉・住民税・社保)
税理士事務所との分担の代表パターン
会社が計算し税理士は仕訳のみ/給与計算ごと税理士事務所へ委託/社労士と分担
締め日・支払日・端数処理・手当のルールは会社ごとに違う ── 給与規程を最初に入手
毎月同じ日に同じ手順で。給与の遅配・誤りは信頼を直撃する
社会保険の基礎 ── 標準報酬月額
健康保険・厚生年金の保険料は「標準報酬月額×料率」で決まる(実額ではない)
決まるタイミング
資格取得時/定時決定(4〜6月の報酬で9月から改定=算定基礎届)/随時改定(固定的賃金の変動で2等級以上の差=月額変更届)
4〜6月の残業が多いと1年の社保が上がる、はこの仕組みの話
料率は都道府県・年度で変わる。協会けんぽの最新料額表を必ず使用
入社・退社時の処理
入社
社保・雇用保険の資格取得/扶養控除等申告書の回収(甲欄適用の条件)/住民税の特別徴収切替
退社
資格喪失/住民税の残額処理(一括徴収・普通徴収切替)/源泉徴収票の交付/最終給与の社保控除(月末退職か月中かで翌月分の有無が変わる)
退職月の社保控除ミスが頻出 ── 喪失日(退職日の翌日)と月末の関係で判定
手続きの主担当(社労士・会社・税理士事務所)の分担を明確に
雇用保険・労災保険の基礎
労災:全従業員が対象・保険料は全額会社負担(料率は業種別)
雇用:週20時間以上等の要件を満たす人が対象・本人負担あり(毎月の給与から控除)
保険料の納付は年度更新(6/1〜7/10)で概算・確定精算(パターン16)
役員は原則、雇用保険・労災の対象外(使用人兼務等の例外は要確認)
毎月の雇用保険控除額=総支給額×本人負担率。賞与からも控除する
図解|甲欄と乙欄のちがい
「社会保険料控除後の給与額 × 扶養親族等の数」で月額表から税額を求めます。
源泉徴収税額表の見方
毎月の源泉所得税は「社会保険料控除後の給与額」×「扶養親族等の数」で月額表から求める
甲欄と乙欄
甲欄:扶養控除等申告書の提出がある人(主たる給与)
乙欄:提出がない人(2か所目の給与など)── 税額が高い
申告書未回収のまま甲欄で計算しない(調査での否認リスク)
給与ソフトなら自動計算だが、扶養の数・甲乙の設定は人が確認
賞与は月額表ではなく「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」を使う(前月の給与額を基準に率を求める)── 月額表で計算してしまう誤りが多い
扶養控除等申告書の役割
その年の最初の給与支払日の前日までに回収(入社時・毎年)
記載内容:本人情報・源泉控除対象配偶者・扶養親族・障害者等
この申告書が「甲欄適用」と「年末調整実施」の前提書類
保管義務は会社側(提出は求められたら)。マイナンバー部分の管理は厳重に
年末調整の案内時に翌年分もセットで回収するのが実務の定番
提出タイミング:入社時と毎年最初の給与支払日の前日まで。提出がないと乙欄(高い税額)で計算せざるを得ない
マイナンバーの記載を含むため、回収後は施錠保管・アクセス制限など安全管理措置とセットで運用する
通勤手当の非課税限度
公共交通機関:1か月あたり15万円まで非課税(合理的な経路・方法)
マイカー・自転車:片道距離に応じた非課税限度額(例:片道10km以上15km未満は月7,100円)
限度超過分は給与課税(源泉の対象に含める)
消費税:通勤手当は課税仕入にできる(給与なのに課税仕入の例外 ── 入力区分に注意)
距離・経路の申請書を整備しておくと調査・労務の両面で安心
現物給与 ── お金以外の「給与」
給与課税になり得るもの
無償・低額の社宅(賃貸料相当額未満)/食事の現物支給(本人負担が半額未満等)/商品の著しい値引販売/個人的費用の会社負担
非課税にできる代表
規程に基づく出張日当/制服/半額以上本人負担の食事(月3,500円以下の会社負担)
「経費で落とす」が現物給与に化けるパターンを知っておく(社長への説明力)
社宅・食事・車は設計次第で合法的な手取り改善になる ── 税理士に相談したい設計テーマ
賞与の源泉・社会保険
源泉:前月給与(社保控除後)をもとに「賞与に対する源泉徴収税額の算出率表」で率を求めて計算
社保:標準賞与額(千円未満切捨て)×料率(健保は年度累計573万円・厚年は1回150万円の上限)
雇用保険:賞与にも本人負担率を乗じて控除
前月給与がない場合・賞与が前月給与の10倍超の場合は別計算 ── ソフト設定を確認
賞与支給月の納付額急増を資金繰りに織り込む(パターン14)
報酬・料金の源泉徴収まとめ
個人への支払で源泉が必要な代表例
税理士・弁護士・司法書士等の報酬/原稿料・デザイン料・講演料/外交員報酬など(所得税法204条)
税率:10.21%(1回100万円超の部分は20.42%)/司法書士は(支払額−1万円)×10.21%
法人への支払は原則不要。個人か法人かをまず確認
源泉漏れは「支払者」の責任(追徴は会社に来る)── 新規の支払先は必ず判定
士業報酬の源泉は納期の特例の対象に含められる
納期の特例 ── 年2回納付
給与の支給人員が常時10人未満の事業者は、申請により源泉所得税を年2回納付にできる
1〜6月分 → 7/10まで/7〜12月分 → 翌年1/20まで
対象:給与・退職金・士業報酬等の源泉(デザイン料・原稿料等は対象外=原則どおり翌月10日)
特例でも「預り金」は毎月積み上がる ── 残高と納付予定額の整合を毎月確認
住民税(特別徴収)にも同様の納期特例制度あり(市区町村へ申請)
図解|年末調整の3ステップ
扶養控除等・保険料控除→12月 年税額計算・過不足精算
源泉徴収票の交付→1月31日まで 提出
法定調書・給与支払報告書
年末調整の全体フロー
11月:対象者確定・各種申告書の配布回収(扶養控除等・基配所・保険料控除)
12月:年税額の計算 → 12月給与(または1月)で過不足精算 → 源泉徴収票交付
1月:法定調書合計表(税務署)・給与支払報告書(市区町村)を1/31までに提出
書類回収の遅れが全工程を遅らせる ── 回収管理表で進捗を見える化
年調は「従業員の確定申告の代行」。1人ひとりの1年の精算と心得る
年末調整の対象者・対象外
対象
扶養控除等申告書を提出し、年末まで在籍する人(年の中途入社は前職分を含めて年調=前職の源泉徴収票が必要)
年調できない・しない人
給与収入2,000万円超/乙欄適用者/年の中途退職者(原則)/2か所給与の従たる給与
年調では精算できない控除
医療費控除・寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ除く)・住宅ローン控除の1年目 → 本人の確定申告
前職源泉徴収票の未回収のまま年調しない(誤った精算になる)
保険料控除・配偶者控除等の書類チェック
保険料控除申告書
生命保険料(新旧・一般/介護/年金の区分)・地震保険料・社会保険料(国民年金等の本人払い)・iDeCo(小規模企業共済等掛金)
控除証明書の添付・金額転記・計算式の検算がチェックの中心
基礎控除・配偶者控除等・所得金額調整控除申告書
本人所得の見積り・配偶者の所得区分の確認
「年収」と「所得」の取り違えが最頻出 ── 給与収入から所得への換算を確認
住宅ローン控除(年調での適用)
1年目:本人が確定申告(年調では不可)
2年目以降:税務署発行の控除申告書+金融機関の年末残高証明書で年末調整で適用可
税額控除(所得税額から直接マイナス)── 源泉徴収票の摘要・控除額欄に記載
書類の年分違い・連帯債務の持分・繰上返済後の残高に注意
控除しきれない分は翌年の住民税から控除される仕組みも説明できると親切
流れ:1年目は本人が確定申告(会社の年調では適用不可)→ 2年目以降は年末調整で適用できる
回収書類:税務署発行の(年末調整のための)住宅借入金等特別控除申告書+金融機関の年末残高証明書 ── 毎年セットで回収する
年末調整の精算仕訳
12月給与で還付:(借)給料手当+預り金(源泉・還付分の取崩し)/(貸)普通預金
不足の徴収:(借)給料手当 300,000 /(貸)普通預金 297,000+預り金 3,000(追加徴収分)
納付書(所得税徴収高計算書)には年末調整による超過税額・不足税額を記載して精算
還付が大きく当月の預り金で足りない場合の処理(翌月以降に繰越精算等)は会社ごとのルールで
精算後の預り金残高がきれいに回っているかが年調完了の検算
源泉徴収票・給与支払報告書
源泉徴収票:本人交付(翌年1/31まで)+税務署提出(提出範囲の要件あり:役員150万円超・従業員500万円超など)
給与支払報告書:全受給者分を各人の1/1住所地の市区町村へ提出(1/31まで)→ 翌年度の住民税の基礎
報告書の提出漏れ=従業員の住民税が課税されない事故(後で一括課税される迷惑)
eLTAXでの一括電子提出が標準。提出先市区町村リストの整備が段取りの鍵
法定調書合計表・支払調書
翌年1/31までに税務署へ:給与・退職・報酬・不動産使用料等の年間支払をまとめた合計表+一定の支払調書
支払調書の提出範囲(代表例)
税理士等報酬・原稿料等:年5万円超/不動産の使用料:年15万円超(法人へ支払う家賃は権利金等のみ等の細則あり)
マイナンバーの収集(支払先個人)と安全管理が前提業務
1月は年調・法定調書・償却資産(1/31)が重なる繁忙。回収は12月中に前倒し
マイナンバーの取扱い
取得:利用目的の明示(源泉・社保手続き)+本人確認(番号確認+身元確認)
保管:施錠・アクセス制限のある所定の場所のみ。台帳で管理
廃棄:必要がなくなったら速やかに・復元不能な方法で
コピーの放置・メール本文での送信・私物への保存は重大事故
「番号を扱う作業は決められた手順でしかしない」── 全員が厳格に
取得時:利用目的(源泉徴収票・社会保険手続等)を明示し、番号確認+身元確認の2つを行う
保管・廃棄:施錠保管またはアクセス制限、必要がなくなったら復元できない方法で廃棄し記録を残す
第6章のまとめ ── 給与・源泉・年末調整
- 給与は総額計上・預り金の回転・納付期限の3点管理
- 社保は標準報酬月額の仕組み(算定・月変)を理解
- 源泉は甲欄/乙欄と扶養控除等申告書が起点
- 個人への報酬は源泉判定を必ず(漏れは会社の責任)
- 年調は11月回収・12月精算・1月提出の3段ロケット
- マイナンバーは手順厳守。給与情報の守秘は最高レベル
第7章 業種別の経理ポイント(12業種)
同じ「売上」「仕入」でも、業種が違えば計上のタイミングも消費税の扱いも変わります。代表12業種について、その業種特有の会計処理と税務調査で見られるポイントをまとめました。自社の業種から開いてください。
建設業
売上計上と未成工事
売上計上
原則:工事完成基準(引渡し時に完成工事高)/長期大型工事は進行基準の検討
未成工事の科目
未成工事支出金(仕掛原価)/未成工事受入金(前受金)/完成工事未収入金(売掛金)
期中の原価は工事別に集計 → 未完成分を(借)未成工事支出金 800,000 /(貸)期末未成工事支出金 800,000 と振替
完成・引渡しの証拠(引渡書・検収書・請求)と売上時期の整合が最大の調査ポイント
外注費・一人親方とインボイス
一人親方への支払:外注費か給与かの実態判定(指揮命令・道具・時間拘束 ── パターン09)
インボイス:未登録の親方が多い → 経過措置(80%→令和8年10月以後70%)の税区分管理+登録状況リストの整備
建設業許可業者は決算変更届(事業年度終了届)を毎年提出 ── 財務諸表は建設業様式へ組替え
安全協力費・相殺(足場代等)の控除明細は総額で把握
経審を受ける会社は決算の組み方が点数に影響 ── 税理士と方針確認
飲食業
売上・軽減税率・まかない
売上:レジ日計(Z)で毎日計上/デリバリーは手数料控除前の総額を売上に
軽減税率:イートイン10%・テイクアウト8% ── レジの税率別集計が記帳の生命線
まかない:本人から半額以上(かつ会社負担月3,500円以下)の徴収で福利厚生費 ── 満たさなければ現物給与
自家消費(廃棄でなく持ち帰り)の計上ルールを決める(パターン06)
現金商売は売上管理の証拠(レジデータ保存)が信頼の土台
仕入・人件費・月次の見方
仕入:食材8%・酒類10%の混在 ── 請求書の税率内訳どおりに入力
棚卸:月末在庫(食材・酒・包材)を簡便にでも把握すると粗利が安定
人件費:シフト勤怠 → アルバイト源泉(甲欄・乙欄)・扶養の範囲管理
月次はFL比率(食材+人件費÷売上:目安60%前後)で語ると社長に刺さる
レジ現金と売上計上のズレ・自家消費漏れが調査の定番
小売・EC
モール売上の総額計上
モール(Amazon・楽天等)の入金は「売上−手数料−広告費等」の純額 ── 必ず明細から総額で計上
(借)売掛金(モール)110,000 /(貸)売上高 110,000
入金時:(借)普通預金 95,000+支払手数料 10,000+広告宣伝費 5,000 /(貸)売掛金 110,000
入金額を売上にすると売上過少+経費漏れの二重の誤り(総額主義)
各モールの売上明細レポートの取得方法を最初に確立する
在庫・送料・ポイント・返品
在庫:SKUが多い → 在庫管理システムの期末データと棚卸の突合
送料:自社負担=荷造運賃/顧客負担を預かる形=売上に含めるのが原則
ポイント・クーポン:モール負担か自社負担かで処理が変わる ── 明細の区分を確認
返品:返金明細から売上のマイナス処理(返還インボイス)
海外販売(輸出)は免税の証憑保存 ── 越境ECは税理士と設計
美容室・サロン
売上と人の区分
売上:施術売上+店販売上を区分(簡易課税なら第5種+第2種の区分管理)
予約アプリ・クーポンサイトの手数料:総額売上+支払手数料で両建て
業務委託スタイリスト(面貸し):外注費 ── ただし実態が雇用なら給与(源泉・社保)
売上歩合・材料負担・指名料の取り決めを契約書で確認してから処理を設計
チップ・指名料の現金管理ルールも最初に決める
開業時と材料・消費税
開業時:内装(建物附属設備)・保証金・美容機器(器具備品)・開業費の区分(パターン34・56)
材料(薬剤):仕入計上+月末在庫の把握で粗利を安定
消費税:開業からの免税期間とインボイス登録の判断(2割特例の活用)
自己消費(自分や家族への施術・店販)の取扱いを決めておく
個人開業が多い業種 ── 家事按分・専従者給与は第8章とセットで
医療・歯科
収入の構造と未収金
保険診療:社保・国保からの入金は約2か月遅れ → 診療月で収入計上し未収金(保険未収金)管理
窓口収入:日計表で毎日計上 ── レセプト請求額との突合が月次の柱
自由診療(自費):課税売上として区分(インプラント・美容・健診・文書料等)
返戻・査定減(レセプトの減額)の処理ルールを決める
個人開業医は概算経費の特例(措置法26条・社保診療5,000万円以下等)の検討 ── 税理士の担当領域
消費税と設備
保険診療=非課税売上が中心 → 課税売上割合が低く、仕入税額控除は按分計算(第4章)
自費比率が高い医院は課税区分の精度が納税額に直結
医療機器:高額(CT・ユニット等)→ リース/購入の比較・特別償却(医療用機器)の検討
医薬品仕入は課税仕入だが、対応する売上が非課税 ── 用途区分の入力を徹底
社保入金明細・レセコンデータの取得ルートを最初に確立
不動産
賃貸オーナーの処理
家賃収入:契約ベースで毎月計上(入金ベースにしない)/敷金は負債(差入側と逆)
礼金・更新料の受取:収益計上(住宅に係るものは非課税売上)
修繕費vs資本的支出の判定が最大論点(第5章フロー)/大規模修繕の計画把握
借入利息・減価償却(建物・附属設備の区分)が費用の主役
住宅家賃=非課税・店舗=課税・駐車場=形態次第(第4章)── 物件別の区分表を作る
売買・仲介の処理
販売用不動産は棚卸資産(固定資産ではない)── 取得費・造成費・付随費用を物件別に集計
仲介手数料収入:契約時か引渡時か、計上基準を継続適用(実務は引渡基準が無難 ── 方針確認)
土地(非課税)と建物(課税)の按分:契約書・消費税額の記載・固定資産税評価額比などで合理的に
按分次第で消費税・減価償却が大きく変わる ── 必ず税理士と根拠を文書化
手付金・中間金は前受金/支払側は前渡金で管理
運送業
燃料・高速・傭車
軽油:軽油引取税は不課税で区分(第4章の最頻出ミス)── 燃料カード明細の税区分設定
ETC・高速:利用明細ベースで計上(クレカ明細だけに頼らない)
傭車費(外注運送):外注費 ── インボイス・支払明細の整備
ドライバーの立替(洗車・チェーン等)の精算ルートを整備
燃料費の変動が大きい → 月次で売上対比(燃料費率)を見せると経営に効く
車両と人件費
車両:取得時の区分(パターン24)・耐用年数(小型トラック4年等)・修繕とタイヤ等の消耗
車検・保険・自動車税の年間カレンダー化(台数が多いほど効く)
給与:歩合給・残業の計算ルール ── 賃金台帳との照合を毎月
傭車と派遣と雇用の区分/改善基準告示など労務リスクは社労士連携
車両別の収支(稼働率)が見える管理資料は経営者に最も喜ばれる
製造業
製造原価の構造
製造原価報告書:材料費・労務費・経費(外注加工費・水道光熱・減価償却)を製造側に区分
販管費との区分:工場の電気代は製造経費、本社の電気代は販管費 ── 部門設定で対応
材料仕入:(借)材料仕入高 330,000 /(貸)買掛金 330,000(期末は材料棚卸)
労務費(工場の給与)を販管費の給料手当に混ぜると粗利が読めなくなる
最初に勘定科目体系(製造/販管の区分)を設計するのが顧問の腕
棚卸と原価計算
期末棚卸は3層:材料・仕掛品・製品 ── 仕掛品の評価(進捗・投入原価)が難所
簡便な原価計算からでよい:製品別でなくても全体の原価率・月次棚卸で精度向上
スクラップ・作業くずの売却は雑収入(課税売上)
外注先への支給材(無償支給)の管理 ── 在庫の所在を契約で確認
設備投資時は中小企業経営強化税制等の税額控除を事前検討(事後では遅い)
IT・Web
受託開発の売上と仕掛
売上計上:検収基準が基本(検収書・メールの保存)── 納品しただけでは計上しない契約も
期末の進行中案件:投入原価(労務費・外注費)を仕掛品へ振替
(借)仕掛品 700,000 /(貸)期末仕掛品棚卸高 700,000
受託+保守の複合契約は、契約書で対価を区分して計上時期を分ける
人件費が原価の中心 ── 案件別の工数把握が原価管理の第一歩
サブスク・海外・源泉
サブスク年額前受:受領時は前受金 → 月割で売上化(解約時の返金規定も確認)
海外プラットフォーム手数料・広告(アプリストア・クラウド):リバースチャージ等の整理(第4章)
個人クリエイターへの支払:原稿料・デザイン料の源泉徴収(パターン10)
ストック収益(MRR)の月次レポートは経営にも銀行にも刺さる資料
電子契約・クラウド完結の体制はこの業種の標準 ── 経理の証憑管理も電子前提で整える
介護・福祉
入金構造と区分
介護報酬:国保連から約2か月遅れ入金 → サービス提供月で収益計上・未収金管理
利用者負担金(1〜3割)と実費(食費・日用品等)を区分して請求・計上
返戻・過誤調整の処理ルートを決める
加算(処遇改善等)は区分管理 ── 賃金改善実績の報告と整合させる
拠点・サービス種別ごとの部門管理が行政報告にも経営にも効く
消費税と行政対応
介護保険サービスは非課税が中心 → 課税売上割合が低い(按分計算・第4章)
課税になるもの:保険外サービス・物販・一部の実費等 ── 区分表を整備
処遇改善加算の使途報告・実地指導に耐える帳簿(賃金台帳・勤務表との整合)
補助金(IT導入・設備)と圧縮記帳の検討(パターン46)
社会福祉法人・NPOは会計基準が別 ── 法人格を最初に確認
農業
JA精算と棚卸
JA出荷:販売代金から手数料・資材代・貸付返済が相殺された精算書 ── 総額で売上・経費に分解
棚卸:収穫済み農産物・未収穫(育成中)・農業用資材 ── 育成中の家畜・果樹は育成仮勘定の論点
補助金・交付金(経営所得安定対策等):雑収入(不課税)・年度の帰属に注意
精算書の純額入金だけ記帳すると売上も経費も漏れる(ECモールと同じ構図)
認定農業者・農業経営基盤強化準備金など特有の制度は税理士と
消費税・家事消費・個人の論点
飲食料品の譲渡は軽減8% ── 花卉・観賞用は10%、区分を品目で管理
家事消費(自家用の米・野菜):収入計上が必要(パターン06の基準)
個人農家:事業主勘定・専従者給与・家事按分(第8章)と一体で設計
農機具の取得は補助金・共済・下取りが絡みがち ── 取得価額の整理を丁寧に
収入保険・農業共済の受取金は不課税(収入計上の年度に注意)
士業・コンサル
売上と預り源泉
請求時:(借)売掛金 110,000 /(貸)売上高 110,000
入金時(源泉分を差引):(借)普通預金 99,790+仮払税金(源泉)10,210 /(貸)売掛金 110,000
預り源泉(取引先が天引きした所得税)は申告時に精算(個人は確定申告で控除)
源泉分を支払手数料・雑損にしない ── 税金の前払いとして区分
顧問料の前受(年払い)は前受金 → 月割計上
経費と将来設計
経費の妥当性:書籍・研修・交際費・自宅事務所按分 ── 事業関連性の説明をメモで補強
小規模企業共済・iDeCo・倒産防止共済の組み合わせで所得をコントロール(個人は所得控除、共済は第3章パターン50)
資格維持費・会費は必要経費/罰金・業務外は不可
「先生業」は売上=個人の稼働 ── 法人成りの分岐点シミュレーションが定番テーマ
第8章 個人事業主の経理
個人事業主には「事業主貸・事業主借」「家事按分」「青色申告特別控除」など、法人にはない専用ルールがあります。法人との違いを起点に、12/31の決算作業から確定申告チェックリストまで整理しました。
図解|法人と個人事業主の違い(ざっくり比較)
個人と法人の違い ── 計算の枠組み
個人:1/1〜12/31で所得を計算 → 所得税(超過累進)・住民税・事業税・消費税
「経費」は事業所得の必要経費 ── 生活費は経費にならない
法人と違い、事業主への「給与」はない(利益=事業主の取り分)
「社長の役員報酬」の感覚で生活費を経費にしようとする相談には、事業主貸の仕組みで説明
所得の種類(事業・不動産・給与・譲渡)の区分も個人特有の論点
図解|個人事業主のお金の出入り専用科目
どちらも経費・収入ではありません。年末に相殺され、翌年の元入金に整理されます。
事業主貸・事業主借 ── 個人の専用科目
事業主貸:事業のお金を私用に使った(生活費の引き出し・国保の支払等)
事業主借:私用のお金を事業に入れた(私財からの補填・事業外収入の入金)
生活費を引き出し:(借)事業主貸 300,000 /(貸)普通預金 300,000
私用カードで事業経費:(借)消耗品費 5,500 /(貸)事業主借 5,500
この2科目は損益に影響しない(経費でも収入でもない)。翌期首に元入金へ統合される
図解|65万円控除までの3ステップ
青色申告の特典 ── 65万円控除の要件
主な特典
青色申告特別控除(65万/55万/10万)/純損失の3年繰越/専従者給与/少額減価償却の特例(30万円未満)
65万円控除の要件
事業所得(または事業的規模の不動産)+複式簿記+貸借対照表の添付+期限内申告+e-Tax申告(または電子帳簿保存)
期限後申告になると65万→10万に転落 ── 期限管理が控除額を守る
開業時は「青色申告承認申請書」の提出期限(開業2か月以内等)を逃さない
図解|自宅兼事務所の按分イメージ
割合の根拠(面積比・使用時間)をメモで残すことが税務調査対策になります。
家事按分の基本
自宅・車・通信など事業と私用が混在する支出は、合理的な基準で事業分だけ経費にする
基準の例
家賃・電気:使用面積比・使用時間比/車:走行距離比・使用日数比/通信:利用実態比
按分根拠(面積図・記録)をメモで残す ── 「なんとなく50%」は調査で崩れる
按分割合は一度決めたら継続。実態が変わったら見直し
例:家賃・固定資産税は面積比、電気代・通信費は使用時間や日数比、車両は走行距離比 ── 基準は「説明できる合理性」があればよい
白色申告は「業務の主たる部分(おおむね50%超)」が原則要件(明確に区分できる場合は例外あり)。青色は合理的な割合であれば少額でも按分可
家事按分の実務例
家賃10万円・事業使用30%:(借)地代家賃 30,000+事業主貸 70,000 /(貸)普通預金 100,000
車のガソリン1万円・事業70%:(借)車両費 7,000+事業主貸 3,000 /(貸)未払金
年間まとめて決算で按分する方法も可(月次の見やすさは毎月按分が上)
持ち家の住宅ローン控除と事務所按分の関係:事業割合が大きいと控除に影響(居住部分の要件)── 慎重に設計
専従者給与(青色事業専従者)
生計一の親族への給与は原則経費不可 ── 青色なら届出の範囲内で専従者給与として経費にできる
要件:その年6か月超もっぱら事業に従事/届出書の提出(金額・支給時期)/労務の対価として相当
専従者にすると配偶者控除・扶養控除は使えない ── 金額設定は控除との比較で
支給の実態(振込記録・仕事の内容)が必要。名目だけの給与は否認
源泉徴収・年末調整も通常の従業員と同様に必要
開業費と開業前の支出
開業前の準備費用(市場調査・打合せ・研修・広告等)は開業費(繰延資産)として任意償却
開業前に購入した資産(PC・車・内装)は資産計上して開業日から償却
開業前の家賃・水道光熱など経常的費用の扱いは整理が必要(開業費に含めない原則)
領収書は開業前の分も全部保管してもらう ── 「開業準備中から顧問」が一番きれい
例:開業前の名刺・チラシ作成、市場調査、研修受講、打合せ交通費など ── 開業日までの準備支出を領収書ベースで集計しておく
開業費は「任意償却」=いつでも好きな年に好きな額を償却できる。赤字の初年度は温存し、黒字になった年に償却するのが定番
10万円以上の備品・敷金・仕入代金は開業費に含めない(それぞれ固定資産・資産計上)
国保・国民年金・共済の扱い
国民健康保険・国民年金:事業の経費ではなく、本人の社会保険料控除(所得控除)
事業口座から支払:(借)事業主貸 60,000 /(貸)普通預金 60,000
小規模企業共済・iDeCo:同じく所得控除(小規模企業共済等掛金控除)
経費(損益)と所得控除(申告書)の違いを社長(事業主)に説明できるように
「節税の三種の神器」(小規模共済・iDeCo・倒産防)は定番の組み合わせ
個人の決算 ── 12/31の作業
決算日は全員12/31固定 ── 棚卸・減価償却・家事按分・未払前払の整理は法人と同様
個人の減価償却は強制償却(法人のような任意償却は不可)── 償却しない選択はできない
売掛・買掛の年末残:12月分の売上・仕入を発生主義で計上(現金主義の特例適用者を除く)
翌年3/15の確定申告・振替納税(4月下旬)・予定納税(7月/11月)まで年間カレンダーで管理
個人特有の細かい違い
預金利息:源泉分離課税で課税終了 → 事業の収入にしない(事業主借で処理)
固定資産の売却:事業所得でなく譲渡所得(総合課税・車両等)── 売却益を雑収入にしない
自家消費:収入計上が必要(パターン06)
生命保険料:経費でなく生命保険料控除
法人の感覚で処理すると間違える4点セット ── 個人の案件では最初に思い出す
例:交際費は法人のような800万円の損金上限がない(業務関連性があれば全額経費)/事業主本人の生命保険料は経費でなく所得控除/自宅兼事務所の固定資産税は按分して経費にできる
逆に、本人の給与・退職金という概念はない(利益=事業所得がそのまま本人の取り分)
個人の消費税とインボイス
基準期間は前々年(暦年)── 2年前の課税売上高1,000万円超で課税事業者
インボイス登録すると売上規模に関係なく課税事業者(2割特例の検討・第4章)
不動産所得・事業所得など複数の所得があっても消費税は合算で判定
取引先からの登録要請への対応(登録する/しない/価格交渉)は経営判断 ── 情報を整理して一緒に検討
判定:基準期間=前々年の課税売上高1,000万円超で課税事業者(特定期間の判定もあり)
インボイス登録済みの個人は、2割特例が令和8年分(R8.9.30を含む課税期間)で終了 → 令和9年分・令和10年分は「3割特例」→ その後は簡易課税か本則へ。移行スケジュールを確定申告のたびに確認する
確定申告チェックリスト(個人)
- 青色決算書:貸借対照表まで作成(65万控除)
- 家事按分の根拠メモ・専従者給与の届出範囲内
- 所得控除の証明書:国保・年金・生保・地震・医療費・寄附(ふるさと納税)
- 予定納税額の精算・源泉徴収された報酬の集計(支払調書・通帳)
- 消費税申告の要否・2割特例の選択
- e-Tax送信+受信通知の保存/納付・振替の案内
3月の繁忙は段取りが9割。1月中の資料回収開始が勝負
第9章 経理のQ&A(40問)
経理の現場で本当によく出る質問だけを40問集めました。「領収書をなくした」「社長の自宅家賃は経費?」「赤字なのに税金?」── 判断に迷う場面の実務解を、根拠と一緒に短くまとめています。
Q1領収書をなくした経費は計上できない?
原則は証憑が必要。ただし紛失=即アウトではない
出金伝票(日付・支払先・内容・金額)+カード明細・予定表など補強資料で計上できる場合がある
慶弔金・自販機・交通系など、もともと領収書が出ない支出は記録メモで足りる類型
常態化はNG。紛失が多い会社にはスマホ撮影アプリの導入がおすすめ
Q2宛名「上様」のレシートは使える?
レシート(宛名なし)自体は経費の証憑として原則有効
インボイスとしても、小売業・飲食店業・タクシー等は宛名不要の簡易インボイスでOK
それ以外の業種で宛名が必要な請求書類は正式名称で発行してもらう
「上様より宛名なしレシートのほうがまし」── 手書き領収書より改ざん耐性が高い
Q3クレジットカードの明細だけで経費にできる?
カード明細は「支払の証拠」であって取引内容の証憑としては不十分が原則
利用店の領収書・レシート(インボイス)とセットで保存が基本
明細しかない場合:内容をメモ+少額特例(税込1万円未満等)の範囲か確認
サブスク等は申込画面・請求メールのPDF保存を徹底(電子取引は電子保存)
Q410万円ちょうどのPCは資産?消耗品?
判定は「10万円未満」が消耗品 ── 10万円ちょうどは資産(未満ではない)
税抜経理なら税抜10万円未満で判定(税込108,900円のPCは税抜99,000円→消耗品費OK)
税込経理の会社は税込金額で判定 ── 同じPCでも会社の経理方式で結論が変わる
20万円未満は一括償却、30万円未満は中小特例も選択肢(パターン30)
Q5本体とモニタで合計30万円。判定の単位は?
判定は「通常1単位として取引される単位」ごと
PC本体とモニタが一体でないと機能しない構成なら1セットで判定、独立して使えるなら別々
応接セット(机+椅子)は1組で判定が原則の代表例
「分割請求で10万円未満に見せる」は否認リスク ── 実態で判定する
Q6社長の自宅家賃を会社の経費にできる?
単なる「社長個人の家賃を会社が払う」は役員給与(経済的利益)扱いになる
正攻法は2つ
① 会社契約の社宅にして賃貸料相当額を本人負担(パターン17)
② 自宅の一部を事務所として会社が社長へ家賃を払う(賃貸借契約+社長側で不動産所得の申告)
どちらも契約書と金額設定が必須 ── 実行前に顧問税理士へ相談
Q7スーツやメガネは経費になる?
私服としても使える衣類・メガネは原則、個人の生活費(経費不可)が基本線
制服・作業着・舞台衣装など業務専用性が明確なものは経費可
「仕事でしか着ない」だけでは弱い ── 専用性・保管状況など実態で判断
グレーゾーンは「原則と例外」を踏まえて顧問税理士と方針確認
Q8出張中の1人の食事代は経費?
出張中でも「自分の食事」は原則、私的費用(どこにいても食事はする)
出張手当(日当)を旅費規程で支給すれば、食事相当を含めて会社の経費+本人非課税にできる(パターン39)
取引先との会食は交際費・会議費の世界(1人飯と混同しない)
「日当制度の導入」が正しい答えになることが多い質問
Q9従業員とのランチ代はどの科目?
打合せの実態があれば会議費(議題・参加者を摘要に)
慰労・親睦目的で全員参加の機会なら福利厚生費(忘年会等)
特定メンバーだけの頻繁な飲食は給与(現物給与)と見られるリスク
「誰と・何の目的で」を聞き取って科目を決めるのが正しい手順
Q10取引先との飲食、1人1万円以下なら交際費じゃない?
書類保存を条件に交際費から除外できる(年月日・参加者の氏名/関係・人数・店名・金額)
除外されれば交際費の800万円枠を消費しない
社内の者だけの飲食はこの特例の対象外(社内飲食費)
摘要に「◯◯社□□様ほか3名・打合せ会食」と書く習慣が、この特例を生かす
Q11ご祝儀・香典は領収書がないけど大丈夫?
慶弔金はそもそも領収書が出ない支出 ── 招待状・会葬礼状・通知のコピー+記録で足りる
取引先宛て=交際費/従業員宛て=福利厚生費(慶弔規程ベース)
消費税はいずれも対象外(現金の贈与)
出金伝票に「先方名・関係・事由」を必ず記載
Q12商品を販促で無料配布した。仕訳は?
見本品・サンプルの配布は広告宣伝費(または見本品費)へ振替
(借)広告宣伝費 30,000 /(貸)仕入高(他勘定振替高)30,000
特定の取引先への贈答性が強ければ交際費の検討
在庫から消えた理由を帳簿に残すのが目的(横流し・自家消費との区別)
Q13期末ギリギリの売上、今期と来期どっち?
基準は入金日ではなく「引渡し・役務提供完了」の日(発生主義)
出荷基準・検収基準など、会社が継続採用している基準に従って判定
「節税のため来期に回す」「業績のため今期に前倒す」はどちらも期ズレ=重大リスク
迷う案件は納品書・検収書の日付を確認して税理士と判断
Q14来期分の家賃を当期にまとめて払った。全額経費?
原則は当期分のみ経費、来期分は前払費用
支払日から1年以内の分は、毎期継続を条件に短期前払費用の特例で支払時損金も可
「今期だけ利益が出たから2年分払う」は特例の趣旨外で否認リスク
特例を使うなら年払い契約への変更+毎期継続をセットで設計
Q15売掛金が回収できそうにない。すぐ損金にできる?
「回収できなさそう」だけでは損金にできない(貸倒の要件が必要)
法的整理の切捨て/全額回収不能が明らか/取引停止後1年経過(備忘1円)等の類型に当てはめる
先行して貸倒引当金(個別評価)でリスクを引き当てる方法もある
督促の記録・先方の状況メモを残すことが将来の損金算入の証拠になる
Q16役員報酬を「来月から上げたい」── 期中の増額はできる?
役員報酬の損金算入は原則、期首から3か月以内の改定のみ(定期同額)
期中の増額は、増額分が損金不算入になるリスクが高い
自己判断で変更せず、改定時期のルールを顧問税理士と確認してから動く
決算前検討・決算報告面談で来期の報酬を設計するのが正しいタイミング
Q17社長にボーナス(役員賞与)を出したい
役員賞与は「事前確定届出給与」の届出を期限内に出し、届出どおりの日・額で支給した場合のみ損金
届出なし・日付や金額が1円でも違うと全額損金不算入
従業員兼務役員の使用人分賞与は別の取扱い ── 判定は税理士と
「今期は利益が出たから期末に役員賞与」は原則アウト ── 決算賞与(従業員)と混同しない
Q18アルバイトの給与にも源泉徴収は必要?
必要。扶養控除等申告書を出してもらえば甲欄(月88,000円未満なら源泉0円)
申告書がなければ乙欄で高めの源泉(月給に関係なく徴収あり)
「少額だから源泉なし」ではなく「甲欄だから結果0円」── 理屈を正しく
短期バイトでも申告書の回収を徹底。年末在籍なら年調も対象
Q19外注さんが請求書をくれない。払っちゃダメ?
支払自体は契約に従うが、証憑がないと経理・インボイスの両面で困る
支払明細書(支払側が作成し相手の確認を受ける)方式で代替できる ── 登録番号等の記載で仕入税額控除も可
継続するなら請求書発行の依頼+支払明細書方式の整備を検討
「払う前に証憑の段取り」が経理の鉄則
Q20インボイス未登録の外注への支払はどう入力?
消費税は経過措置の税区分で入力(令和8年9月まで80%控除・令和8年10月〜令和10年9月は70%、以後段階的に縮小)
経費・損金としては全額が費用になる(消費税の控除だけが制限)
通常の課税仕入と同じ区分で入れると控除過大=申告誤り
未登録先のリストを作り、契約更新時の価格・登録の相談材料に
Q21電車・バス代は領収書がなくてもいい?
3万円未満の公共交通機関はインボイス不要(帳簿のみ保存の特例)
経費精算は交通費精算書(日付・区間・金額・目的)で運用
タクシーは領収書(簡易インボイス)をもらう ── 公共交通特例の対象外
ICカードは利用履歴の出力を月次ルーチンに
Q22収入印紙はどんな時に必要?
課税文書(5万円以上の領収書・請負契約書・手形など)に貼付・消印
電子契約・PDF請求書・クレジット払いの領収書(その旨記載)には印紙不要 ── 電子化が節約になる
印紙の購入は非課税、貼り忘れは過怠税(最大3倍)のリスク
金額・文書の種類で税額が変わる ── 印紙税額一覧を手元に
Q23借入の返済が経費にならないのはなぜ?
「借りた時も収入にしていませんよね。返すお金も同じで、損益ではなく貸し借りの精算なんです」
「経費になるのは利息だけ。元本はB/Sの借入金が減るだけです」
「だから「利益が出ているのにお金がない」が起きます ── 返済は税引後の利益から、が合言葉です」
この説明ができると資金繰りの話に自然につながる
Q24赤字なのに税金を払うの?
法人住民税の均等割は赤字でも発生(資本金等・従業者数で年7万円〜)
消費税は「預かりの精算」なので赤字でも納付が出る(利益と無関係)
源泉所得税・社会保険・固定資産税等も損益と無関係に発生
「税金=利益への課税だけではない」を図で説明すると納得されやすい
Q25中間納付が資金的に苦しいときは?
法人税・消費税とも、仮決算による中間申告で実績ベースの納付額に下げられる場合がある
仮決算は手間が増える+有利不利の判定が必要 ── 顧問税理士に試算を依頼
納付が遅れそうな場合は放置が最悪 ── 税務署・年金事務所への納付相談(猶予制度)を活用
来期からは納税準備預金の積立で再発を防ぐ
Q26売れ残り在庫の評価損はいつ落とせる?
「売れていない」だけでは落とせない(取得原価のまま)
型崩れ・品質劣化・著しい陳腐化など、通常価額で売れないことが明らかな事実が必要
値下げ販売の実績・廃棄の事実が最も説明しやすい証拠
決算前に不良在庫リストを作り、処分(セール・廃棄)まで実行するのが正攻法
Q27在庫を廃棄したら何を残せばいい?
廃棄日・品名・数量・帳簿価額のリスト+廃棄業者の伝票(マニフェスト)+現場写真
(借)商品廃棄損 100,000 /(貸)仕入高(他勘定振替高)等 100,000
「捨てたことにする」が疑われやすい論点 ── 第三者の証拠が決め手
期末直前の大量廃棄は特に証拠を厚めに
Q28決算で仮払金が残ってしまったら?
まず内容を特定して正しい科目へ振替(経費・貸付金・前払等)
どうしても不明な社長宛て仮払の累積は役員貸付金として整理(認定利息の論点)
B/Sに「仮払金」が残る決算書は銀行・税務署の心証が悪い
月次で仮払ゼロ運用(第1章)にしておけば決算で悩まない
Q29帳簿の現金がマイナスになったら?
現実にあり得ない=どこかが間違いのサイン
典型原因:社長の個人資金で払った経費を現金払いで入力/売上現金の入金漏れ/二重計上
対処:社長立替分は(貸)役員借入金(個人は事業主借)に直す
マイナスを放置した決算書は「作りもの」と見られる ── 月次で必ず潰す
Q30通帳と帳簿の残高が合わない時の探し方
① 差額の金額をそのまま検索(1本の取引の入力漏れ・二重)
② 差額÷2の金額を検索(貸借逆の入力)
③ 期間を半分に区切って、どこから合わなくなったか特定(二分法)
④ それでも不明なら通帳と帳簿を1行ずつ突合
「最後に合っていた日」を起点にすると早い ── 毎月照合していれば探索範囲は1か月
Q31前期の経費の領収書が今ごろ出てきた
影響が軽微なら当期の経費として処理するのが実務的(継続的な姿勢が前提)
金額が大きい場合は更正の請求(払い過ぎの還付)を検討 ── 税理士へ
前期の「売上」計上漏れが出てきた場合は修正申告の検討 ── 必ず即報告
「見つけたら隠さず報告」。処理の選択は税理士と相談し、気づいたらまず報告・共有
Q32税務調査では何を見られるの?
定番:売上の期ズレ・現金売上の計上漏れ・在庫・外注費(給与認定)・交際費・役員給与・消費税区分
原始資料(請求書・レジデータ・棚卸表・契約書)と帳簿の突合が基本動作
日頃の摘要・証憑整理がそのまま調査対応力になる
調査の連絡が来たら:日程調整は即答せず顧問税理士へ ── 対応は税理士と一緒に
Q33電子帳簿保存法、紙のレシートは捨てていい?
紙でもらった領収書は紙保存のままでOK(スキャナ保存を選べば要件を満たして電子化も可)
メール添付PDF・サイトからDLした請求書など電子で受け取ったものは電子のまま保存が義務
「印刷して紙で保存」は電子取引分については原則不可 ── 保存フォルダ・検索要件の運用を確認
会社には保存ルートの図解(紙→ファイル箱/電子→共有フォルダ)を渡すと親切
Q34倒産防止共済って本当に節税になる?
掛金は損金(月20万円・累計800万円まで)+取引先倒産時の借入枠という保険機能
ただし解約手当金は全額収益 ── 課税の繰延べであり「消える節税」ではない
解約のタイミング(赤字期・退職金支給期にぶつける)まで設計して初めて効果が出る
令和6年10月以降の再加入制限(2年間損金不可)も説明事項(パターン50)
Q35社用車を社長が私用でも使っている
法人の場合:私用部分は本来、経済的利益(役員給与)の論点 ── 使用規程・私用時の負担ルールで整理
個人事業の場合:家事按分で事業割合のみ経費(走行記録が根拠)
「全額経費+私用し放題」は調査で崩れやすい典型
運行記録アプリ・規程を整備して「説明できる状態」にしておく
Q36申告期限を過ぎたらどうなる?
無申告加算税・延滞税のペナルティ+青色65万控除の減額(個人)や青色取消リスク(連続無申告)
期限後でも自主的に早く申告するほど加算税は軽くなる
「期限に間に合わない」と分かった時点ですぐ顧問税理士へ ── 期限内の見込申告等の選択肢検討
期限管理表(決算期・申告期限・納付期限)は常に最新に保つ
Q37自分で記帳してきた帳簿を税理士に引き継ぐと、最初に何を見られる?
① 残高チェック:現金マイナス・預金残不一致・売掛買掛のマイナス残
② 税区分:軽油・家賃・保険・会費・海外取引の区分誤り
③ 重複:自動取込+手入力の二重計上(同額同日の検索)
④ 科目のブレ:同じ取引が月によって別科目になっていないか
「自動=正しい」ではない。導入支援+定期チェックを税理士に依頼するのも有効
Q38少額の差額(1円〜数十円)が合わない。どこまで追う?
消費税の端数処理・振込手数料・源泉の円未満処理が三大原因 ── まずそこを確認
原因特定が原則だが、軽微な端数差は雑収入・雑損失で整理する実務もある(会社ごとのルールに従う)
「差額調整」を常用しない ── 毎月発生するなら設定(端数処理方法)の問題
金額の大小でなく「原因が説明できるか」が判断基準
Q39税務署から文書が届いたら?
まず文書の種類を確認:お尋ね・申告のお知らせ・督促・調査通知で重みが違う
内容を聞き取り(写真で送ってもらい)、すぐ顧問税理士へ共有 ── 自己判断で回答しない
期限がある書類も多いため、届いたその日のうちに共有するのが安全
「税務署」と聞くと会社は不安 ── スピード共有が安心につながる
Q40決算書を良く見せたい(銀行用)と考えたら?
粉飾(架空売上・在庫水増し・経費隠し)は絶対に不可 ── 融資詐欺(刑事責任)・信用失墜に直結する
正攻法はこちら:役員報酬・地代の設計、不要資産の処分、補助金・税額控除、経営計画書での説明力強化
「みんなやってる」「一回だけ」に流されないことが大切
誠実さが長期の信頼と紹介を生む
第10章 誤りやすい処理32例(誤→正)
税務調査や決算チェックで実際によく見つかる誤りを「誤→正」の型で32例。なぜ起きるか・どう防ぐかまでセットにしたので、自社の帳簿のセルフチェックリストとしてお使いください。
01締め後売上の計上漏れ(期ズレ)
誤3/21〜31の納品分を、4月の請求書発行時に翌期の売上として計上
正(借)売掛金 /(貸)売上高 ── 期末までの引渡し分を当期売上に
なぜ起きる入力が「請求書ベース」になっており、締め日後〜月末が抜ける
防ぐには決算月は納品書・出荷データ・作業日報で締め後分を必ず拾う
法人税・消費税の両方に影響する調査最頻出論点。月次から習慣化する
02入金額=売上で計上(手数料控除後)
誤カード・モールの入金95,000円をそのまま売上に計上
正(借)普通預金 95,000+支払手数料 15,000 /(貸)売掛金 110,000(売上は総額110,000で計上済み)
なぜ起きる通帳の自動取込だけで記帳し、売上明細を見ていない
防ぐには決済代行・モールの月次明細(売上・手数料・入金)を必ず取得して照合
売上の過少計上+経費の漏れの二重誤り。消費税の課税売上も過少になる
03前受金をそのまま売上に
誤着手金の入金時に(借)普通預金 /(貸)売上高
正入金時は前受金 → 引渡し・役務完了時に(借)前受金 /(貸)売上高
なぜ起きる「入金=売上」の感覚。逆に納品済みなのに前受金のまま放置も発生
防ぐには期末の前受金残は案件ごとに「未納品か」を確認するリストを作る
消費税:課税売上の計上時期も引渡し時 ── 早すぎても遅すぎても誤り
04相殺入金の純額計上
誤売上110,000と仕入66,000を相殺した差額入金44,000だけを売上に計上
正売上110,000・仕入66,000をそれぞれ総額計上し、相殺を(借)買掛金 /(貸)売掛金 で処理
なぜ起きる相殺後の振込額しか通帳に出ないため
防ぐには相殺案内書・支払明細書を入手して総額で起票(総額主義)
JA精算書・モール・家賃相殺・協力会費控除など、業種を問わず頻出
05雑収入の拾い漏れ・区分誤り
誤自販機手数料・スクラップ売却・販売奨励金を「事業外だから」と記帳せず/全部不課税で入力
正(借)普通預金 /(貸)雑収入 ── 内容ごとに消費税を判定(自販機・スクラップ・奨励金=課税/保険金・還付加算金=不課税)
なぜ起きる本業以外の入金に関心が向かず、通帳摘要だけで処理
防ぐには雑収入は「1件ずつ中身で課否判定」を鉄則に(第2章雑収入参照)
現金で受け取る自販機・スクラップ代の計上漏れは調査の定番指摘
0610万円判定を税込・税抜で誤る
誤税抜経理の会社で、税込108,900円のPCを「10万円超だから」と資産計上
正税抜99,000円<10万円 →(借)消耗品費 99,000+仮払消費税 9,900 /(貸)未払金
なぜ起きる判定基準(経理方式に従う)を知らず、支払額で判定してしまう
防ぐには少額判定(10万・20万・30万)は経理方式とセットで覚える(パターン30)
税込経理の会社では逆に税込で判定 ── 会社ごとに結論が変わる点まで理解
07資本的支出を修繕費で一括損金
誤店舗の全面改装300万円を全額(借)修繕費
正内訳に応じ(借)建物・建物附属設備(改良・グレードアップ部分)+修繕費(原状回復部分)に区分
なぜ起きる請求書名目が「修繕工事一式」で、内訳を確認していない
防ぐには20万円以上の工事は見積内訳書を入手し、第5章の判定フローへ
消費税:どちらでも支出時の課税仕入 ── 法人税(損金時期)だけが変わる論点と整理
08土地建物の一括購入を按分しない
誤土地付き建物5,000万円を全額(借)建物(または全額土地)で計上
正契約書の消費税額・固定資産税評価額比などで按分 →(借)土地 3,000万+建物 2,000万
なぜ起きる契約書に内訳がなく、確認せず一括計上
防ぐには不動産購入は契約書・重説を入手し、按分根拠を文書で残す(税理士と)
按分で減価償却と消費税(建物のみ課税仕入)が大きく変わる ── 影響最大級の論点
09礼金・更新料を支払時に全額費用
誤店舗契約の礼金30万円を(借)地代家賃で一括損金
正20万円以上の礼金・更新料は(借)長期前払費用 → 5年(賃借期間が5年未満で更新料ありならその期間)で償却
なぜ起きる「家賃の一部」という感覚で支払時処理
防ぐには賃貸借契約の初期費用は内訳表(敷金・礼金・仲介・前家賃)で区分(パターン34)
消費税:店舗の礼金・更新料は支払時に課税仕入(償却と控除の時期は別物)
10積立型保険を全額費用に
誤貯蓄性のある法人保険の保険料を全額(借)保険料
正契約ごとの経理処理案内に従い(借)保険積立金+保険料 に区分(割合は保険種類・契約時期で異なる)
なぜ起きる引落額だけ見て掛捨てと同じ処理をしてしまう
防ぐには保険は契約一覧表+保険会社の経理処理案内をセットで保管
資産計上漏れはB/S・解約時の損益の両方を歪める ── 新規の保険契約は顧問税理士へ共有
11社長の私的費用の混入
誤家族旅行・私用の買い物を(借)福利厚生費・消耗品費で処理
正法人は(借)役員貸付金(精算前提)または役員給与の検討/個人は(借)事業主貸
なぜ起きるカード明細の自動取込をそのまま経費登録
防ぐには役員カードの明細は1件ずつ事業関連性を確認。判断に迷えば本人へ照会
私的費用の経費計上は役員賞与認定(損金不算入+源泉漏れ)の二重リスク
12交際費・会議費・福利厚生費の付け替え
誤取引先との1人15,000円の会食を「会議っぽいから」と会議費に
正1人1万円超の取引先飲食は(借)接待交際費(800万円枠へ)。1万円以下は記録要件を満たせば交際費から除外可
なぜ起きる800万円枠を意識した恣意的な科目選択
防ぐには摘要に「相手先・人数・目的」を必ず記載し、機械的に判定
社内の者だけの飲食は1万円基準の対象外 ── 福利厚生費の要件(全員対象)も確認
13軽油引取税を課税仕入に
誤軽油代55,000円を全額課税仕入で入力
正明細で本体(課税仕入)と軽油引取税(不課税)を区分 ──(借)車両費〔課税〕+車両費〔対象外〕
なぜ起きるレシート合計だけで入力し、税目の内訳を見ていない
防ぐには燃料カード・給油明細の税区分設定をソフト側で整備(運送・建設・農業は必須)
ガソリンは全額課税仕入でOK ── 軽油だけが特別、と対で覚える
14住宅家賃・青空駐車場を課税仕入に
誤社宅の家賃・砂利敷き月極駐車場の地代を課税仕入で入力
正住宅の貸借(1か月以上)・土地の貸付は非課税仕入 ── 控除対象にしない
なぜ起きる「家賃・駐車場=課税」の思い込み。契約書を見ていない
防ぐには物件ごとの課否一覧表(用途・形態・契約書確認済み)を作る
アスファルト舗装・区画・機械式の駐車場は施設貸しで課税 ── 形態で割れる
15実態が給与の支払を外注費(課税仕入)に
誤毎日決まった時間に会社の道具で働く「一人親方」への支払を外注費・課税仕入で処理
正実態が雇用なら(借)給料手当〔不課税〕+源泉徴収・社保の検討
なぜ起きる請求書という形式だけで判断(指揮命令・時間拘束・道具負担を見ていない)
防ぐには新規の外注先は実態チェックリストで判定し、契約書を整備(パターン09)
否認されると消費税控除の取消+源泉の追徴+社保遡及の三重苦 ── 影響最大級
16保険金・補助金を課税売上に
誤車両事故の保険金・雇用関係の助成金を課税売上で入力
正(借)普通預金 /(貸)雑収入〔不課税〕── 対価性がないため消費税対象外
なぜ起きる「収入=課税売上」の思い込み
防ぐには雑収入は全件、課否判定してから登録(誤ると納め過ぎ)
逆に簡易課税・課税売上割合の計算では不課税と非課税の区別も大事(第4章)
17車両売却の消費税を差額(益)だけに
誤簿価40万円の車を55万円で売却し、売却益15万円だけを課税売上に
正売却額55万円の総額が課税売上(リサイクル預託金部分は非課税で区分)
なぜ起きる損益(売却益)と消費税の課税標準(譲渡対価)の混同
防ぐには固定資産の売却は「総額課税」と唱えてから仕訳(パターン25)
簿価以下の売却(売却損)でも消費税は発生する ── 申告漏れの定番
18海外プラットフォーム手数料を課税仕入に
誤海外事業者のWeb広告・クラウド手数料を国内と同じ課税仕入で入力
正事業者向け電気通信利用役務はリバースチャージの対象 ── 課税売上割合95%以上の会社は経理上「不課税(対象外)」で処理
なぜ起きる請求書に消費税の記載がなく、ソフトの初期値(課税仕入)のまま登録
防ぐには海外サービスの一覧表(サービス名・国内外・課否)を会社ごとに整備
控除過大=追徴の対象。広告費・サブスクが多い会社は決算時に総点検
19免税事業者からの仕入を満額控除
誤インボイス未登録の外注への支払を通常の課税仕入(100%控除)で入力
正経過措置の税区分で入力(〜令和8年9月:80%控除/令和8年10月〜令和10年9月:70%/以後段階的に縮小)
なぜ起きる登録番号の確認を省略し、従来どおりの区分で登録
防ぐには新規取引先は国税庁公表サイトで番号確認 → 未登録先リストを管理(第4章)
損金(経費)は満額でOK ── 制限されるのは消費税の控除だけ、と区別して考える
208%・10%の混在を全部10%で入力
誤スーパーでの食材と日用品の混在レシートを全額10%課税仕入
正レシートの税率別内訳どおりに8%(飲食料品)と10%を分けて入力
なぜ起きる合計額だけで1行入力(自動取込の初期値も一律になりがち)
防ぐには飲食・小売の会社は税率別入力をルール化。レシートの「※」印を確認
仕入8%を10%で入れると控除過大、その逆は納め過ぎ ── どちらも申告誤り
21会費・慶弔金・お祝いを課税仕入に
誤商工会議所の通常会費・取引先への香典・ご祝儀を課税仕入で入力
正通常会費・金銭の慶弔は不課税〔対象外〕── 控除しない(懇親会費・セミナー費など対価性ありは課税)
なぜ起きる「諸会費・交際費=課税」の一括処理
防ぐには会費は案内文書で対価性を確認/慶弔は現金=不課税・物品(供花等)=課税で覚える
商品券・ギフト券の購入も非課税(使用時に課税)── 贈答系はまとめて要注意
22簡易課税の事業区分の誤り
誤美容室の売上を全部第5種(サービス・50%)で計算(店販分を含む)
正施術=第5種/シャンプー等の店販=第2種(小売・80%)に区分して計算
なぜ起きる売上をまとめて1本で管理しており、区分集計ができない
防ぐには簡易課税の会社は売上を事業区分別の補助科目・部門で記帳(第4章)
建設の手間請け(材料支給あり)=第4種、自社材料=第3種も頻出の判定誤り
23給与を手取り額で計上
誤(借)給料手当 245,000 /(貸)普通預金 245,000(振込額のみ)
正総額300,000で計上し、源泉・住民税・社保を(貸)預り金に立てる(パターン11)
なぜ起きる通帳の自動取込(振込額)をそのまま給与計上
防ぐには給与は必ず賃金台帳・給与明細から仕訳。通帳取込は消し込みに使う
手取り計上だと預り金が回らず、人件費も過少 ── 決算・調査で必ず発覚する誤り
24個人への報酬の源泉徴収漏れ
誤個人デザイナーへの報酬11万円を全額振込(源泉なし)
正(借)外注費 110,000 /(貸)普通預金 99,790+預り金 10,210(10.21%)
なぜ起きる源泉が必要な報酬の範囲(204条業務)を知らない/法人と思い込む
防ぐには新規の個人支払先は「源泉要否判定」を支払前に必ず実施(パターン10)
徴収漏れの追徴は支払者(会社)に来る ── 取引開始時の確認が唯一の防御
25社保の本人負担・会社負担の区分崩れ
誤社会保険の引落額を全額(借)法定福利費で処理
正(借)法定福利費(会社分)+預り金(本人分の取崩し)/(貸)普通預金(パターン12)
なぜ起きる納付額の内訳を確認せず1本で入力
防ぐには毎月「預り金残高=翌月納付の本人分」を検算するルーチンを持つ
崩れると法定福利費が過大(損金過大)+預り金残高が説明不能になる
26通勤手当の扱いの誤り
誤マイカー通勤者へ一律2万円支給し、全額を非課税通勤費として処理
正距離別の非課税限度内は非課税、超過分は給与課税(源泉の対象に含める)
なぜ起きる「通勤手当=全額非課税」の思い込み(限度は手段・距離で異なる)
防ぐには通勤経路・距離の申請書を整備し、限度表と照合(第6章)
消費税:通勤手当は実費相当の範囲で課税仕入にできる ── 給与のなかの例外として区分入力
27借入返済を全額費用(または全額利息)に
誤毎月の引落92,000円を全額(借)支払利息(あるいは雑費)で処理
正返済予定表どおり(借)長期借入金 80,000+支払利息 12,000 /(貸)普通預金
なぜ起きる返済予定表を入手しておらず、引落額だけで入力
防ぐには借入実行時に返済予定表を必ず入手し、期末残高を照合(パターン20)
費用過大=利益過少の重大誤り。逆に全額元本処理だと利息(損金)が漏れる
28仮払金・仮受金の放置
誤内容不明の出金・入金を仮払金・仮受金に入れたまま決算へ
正月次で内容を特定し正しい科目へ振替。社長宛て出金の累積は役員貸付金として整理(認定利息の論点)
なぜ起きる「とりあえず仮」のまま確認を先送りする運用
防ぐには月次締めチェックリストに「仮勘定ゼロ確認」を組み込む(第1章)
仮払金が残るB/Sは銀行・税務署の心証が悪い ── 内容不明残は最優先で解消
29期末棚卸の計上漏れ・仕掛の拾い忘れ
誤期末在庫200万円を計上せず、仕入を全額当期原価に
正(借)商品 2,000,000 /(貸)期末商品棚卸高 2,000,000(進行中案件の原価は仕掛品へ)
なぜ起きる実地棚卸を実施していない/材料だけ数えて外注費・労務費を忘れる
防ぐには決算月の前に棚卸の段取り(日時・様式・担当)を会社と確認(第5章)
在庫漏れ=利益の過少計上で、調査での重加算リスクにも直結する最重要論点
30現金残高マイナスのまま決算
誤帳簿の現金が△35万円のまま申告書を作成
正社長立替分を特定し(借)経費等 /(貸)役員借入金(個人は事業主借)へ組み替えて実態に合わせる
なぜ起きる社長の個人資金で払った経費を「現金払い」で入力し続けている
防ぐには月次で現金実査・残高照合。立替精算のルート(精算書)を整備(第1章)
マイナス現金の決算書は「作りもの」と見られ、全体の信頼性を失う
31役員報酬の期中増額・賞与の届出漏れ
誤業績好調を受け、期央から役員報酬を50万→80万に増額/期末に役員賞与を支給
正改定は原則、期首から3か月以内のみ。賞与は事前確定届出給与の届出どおり(日・額)に限る
なぜ起きる従業員給与と同じ感覚で「いつでも変えられる」と思っている
防ぐには報酬の話題が出たら即、顧問税理士へ。決算前検討・期首改定をカレンダー化(第5章)
増額分・届出外の賞与は損金不算入+源泉は必要 ── 税負担だけ増える最悪パターン
32自動取込の重複・科目ブレを放置
誤自動取込と手入力で同じ経費を二重計上/同じ取引が月により消耗品費・雑費・事務用品費とバラバラ
正重複は同日同額検索で除去。科目は「同じ取引は同じ科目」のルール表(勘定科目の決め方・第1章)に統一
なぜ起きる連携設定の重複・学習ルールの未整備のまま自動化だけ進める
防ぐには月次締めで「重複チェック→残高照合→推移表の異常値確認」の順に必ず通す
自動化の時代の新しい定番ミス ── 「自動=正しい」ではなく「自動+人の検算」
図解|ミスを防ぐ3層の防御
パターン表・税区分マスタ→② 月次
締めチェック・残高照合→③ 決算
B/S・P/Lチェックリスト
誤りを見つけたら人を責めず、ルール表とチェック項目に1行足して仕組みで防ぎます。
間違い防止の仕組み ── 個人の注意力に頼らない
3層の防御
① 入口:取引パターン表・税区分マスタ・摘要ルールを整備(迷いを設計で消す)
② 月次:締めチェックリスト+残高照合+前月比異常値の確認(第1章)
③ 決算:B/S・P/Lチェックリスト+ダブルチェック(第5章)
誤りを見つけたら「人を責めず仕組みを直す」── ルール表・チェック項目に1行追加
同じ誤りが2回出たら仕組みの欠陥。社内で共有してチェック項目に反映
付録:年間業務カレンダー・用語ミニ辞典
税務・労務の1年間の期限を1枚に、そして社内への説明にそのまま使える会計・税務用語の言い換え集を付録にしました。
年間業務カレンダー(標準)
1月:法定調書・給与支払報告・償却資産(1/31)/源泉納特(1/20)
3月:個人確定申告(3/15)・消費税(個人3/31)
5月:3月決算法人の申告・納付(5/31)※決算月+2か月が基本
6-7月:労働保険年度更新・社保算定基礎届/源泉納特(7/10)
11-12月:年末調整の回収・計算/決算前検討(3月決算なら1-2月)
毎月:10日 源泉・住民税納付/月末 社保引落・月次締め
自社の決算期を書き込んで「自分のカレンダー」に育てる
用語ミニ辞典①(会計の言葉)
試算表:全科目の残高一覧。月次報告の土台
B/S(貸借対照表):期末時点の財産と借金の一覧/P/L(損益計算書):1年の儲けの明細
粗利(売上総利益):売上−原価。商売の基礎体力
減価償却:資産の値段を使う年数で割って費用化する仕組み
買掛/売掛:後払いの仕入/後受け取りの売上
発生主義:お金の動きでなく取引の発生で記帳する原則
社長への説明はこの「言い換え」を使う
用語ミニ辞典②(税務の言葉)
損金/益金:法人税の世界の費用/収益。会計と少しズレる(別表四)
源泉徴収:支払う側が税金を天引きして国に納める仕組み
年末調整:会社が行う従業員の所得税の精算
インボイス(適格請求書):消費税の控除に必要な登録番号付き請求書
簡易課税/2割特例:小規模事業者向けの消費税の簡便計算
均等割:赤字でもかかる住民税の固定部分
欠損金:税務上の赤字。10年繰り越して将来の黒字と相殺できる
総まとめ ── 会計処理は信頼の土台
- 流れ:証憑→仕訳→帳簿→月次→決算→申告。入口の品質がすべて
- 迷ったら勘定科目辞典(第2章)と仕訳パターン(第3章)を引く
- 消費税は判定の順番(4要件→非課税免税→税率)と頻出ミスの両輪(第4章)
- 決算はB/S残高の説明・P/L増減の理由・税務調整の3点(第5章)
- 給与・年調は期限と預り金の回転。マイナンバーは厳格に(第6章)
- 業種別・個人の論点は自社のページを最初に読む(第7章/第8章)
- 誤りは「誤→正パターン32」(第10章)で型として覚え、仕組みで防ぐ
正確で速い処理が、会社の信用と資金調達のすべてを支えます
経理・記帳から決算・申告まで、まとめて任せたい方へ
本ページの内容は、当事務所が日々の顧問業務で実際に使っている実務基準です。「自社の処理が合っているか見てほしい」「記帳から任せたい」「そろそろ税理士を変えたい」── そんな法人・個人事業主・これから開業される方は、初回相談(無料)をご利用ください。
出典・参考情報(公的機関)
- 国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)
- 国税庁 タックスアンサー「法人」
- 国税庁 タックスアンサー「消費税」
- 国税庁 タックスアンサー「年末調整」
- 国税庁 インボイス制度特設サイト
- タックスアンサー No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の特例
- タックスアンサー No.5402 修繕費とならないものの判定
- タックスアンサー No.5211 役員に対する給与
- タックスアンサー No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算
- タックスアンサー No.6505 簡易課税制度
- タックスアンサー No.2662 年末調整のしかた
- タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除
本ページは一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります(本ページは令和8年度税制改正を反映し、2026年7月に作成・最終更新)。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。
