個人と法人どちらで不動産を持つか:税率と相続の比較|札幌の税理士が3分で解説

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不動産を購入して賃貸経営や資産形成を行うとき、個人の名義で持つべきか、それとも法人を設立して法人で持つべきか。これは札幌で不動産を増やそうとする経営者や資産家が必ず突き当たる論点です。

所得税と法人税では税率の構造が違い、相続まで見据えると有利不利が逆転することもあります。(例えば月1万円の改善も年間では12万円の差になります)

この記事は、こんな方に役立ちます

  • 相続・贈与の対策を早めに考えたい方
  • 事業承継の進め方を知りたい経営者
  • 何から手をつければよいか整理したい方
①財産の把握②評価③遺産分割の検討④申告書作成⑤申告・納税
相続税の申告期限は相続開始から10か月以内
図:相続の手続きの流れ

この記事では、不動産を個人と法人のどちらで持つかを、税率・相続・コストの観点から比較します。

結論を先にお伝えすると、所得規模が一定以上で、長期保有や次世代への承継を前提とするなら法人が有利になりやすい一方、規模が小さいうちは個人のほうが手間もコストも抑えられます。境目をどこに置くかが判断の鍵です。

この記事のポイント
  • 個人は累進課税、法人はおおむね一定税率で、所得が大きいほど法人が有利になりやすいです。
  • 法人は役員報酬による所得分散や経費設計の幅という利点があります。
  • 相続では、個人は不動産そのもの、法人は株式が対象となり、承継の自由度が変わります。
  • 法人には設立・維持コストがかかり、規模が小さいうちは個人が身軽です。
  • 入口の節税だけでなく、売却時など出口まで含めた総合判断が必要です。
目次

個人と法人で税率の構造がどう違うか

不動産を個人と法人のどちらで持つかを比較する出発点は、税率の構造の違いです。個人の不動産所得には所得税と住民税がかかり、所得が増えるほど税率が上がる累進課税です。

所得が高くなると、給与など他の所得と合算されて高い税率帯に入ることもあります。一方、法人の所得には法人税等がかかり、税率は所得が一定額を超えてもおおむね一定の水準に収まります。

この違いから、不動産所得がある程度の規模になると、累進で上がっていく個人より、税率が頭打ちになる法人のほうが税負担を抑えやすくなります。

たとえば、専業に近い形で複数物件を運用し、家賃収入が大きくなってきた地主の方の場合、個人のままでは高い税率帯に入り、手取りが伸び悩むことがあります。所得をいくらに見込むかが、法人化を検討する最初の目安になります。

具体的な税率や基準額は国税庁サイト等でご確認ください。

所得分散と経費の幅という法人のメリット

法人で不動産を持つもう一つの利点が、所得の分散です。法人から家族へ役員報酬を支払うことで、一人に集中していた所得を複数人に分けられます。

所得税は累進課税のため、同じ総額でも複数人に分散したほうが全体の税率が下がる傾向があります。後継者である子を役員にして報酬を出せば、生前の資産移転と所得分散を同時に進められる点も見逃せません。

経費として認められる範囲も、法人のほうが柔軟になりやすい面があります。役員のための生命保険や退職金の準備など、個人ではできない設計が可能になる場合があります。

ただし、過大な報酬や実態のない経費は否認されるため、何でも経費にできるわけではありません。あくまで事業実態に見合った範囲での話だと理解しておく必要があります。形式だけの法人は、かえってリスクになります。

相続・承継の観点から見た比較

長期で不動産を保有する方にとって、相続・承継の観点は税率以上に重要です。個人で不動産を持つと、相続時にその不動産そのものを評価して相続税がかかります。

物件が複数あると、誰がどれを引き継ぐかで遺産分割が難航することも少なくありません。一方、法人で持つと、相続の対象は不動産ではなく法人の株式になります。株式であれば、分割や移転の自由度が高まります。

比較項目個人保有法人保有
所得への課税累進課税おおむね一定税率
所得分散しにくい役員報酬で分散可能
相続の対象不動産そのもの法人の株式
設立・維持コスト低い登記・申告等で発生

さらに、株式であれば生前贈与によって少しずつ後継者へ移転していくこともできます。不動産を直接贈与するより、株式を計画的に渡すほうが小回りが利く場面があります。

ただし、法人保有では不動産を売却して個人へお金を戻す際に法人・個人の双方で課税が生じるなど、出口で手取りが目減りすることもあります。入口の節税だけでなく、出口まで含めた総合判断が欠かせません。

法人化のコストと判断の目安

法人で不動産を持つには、設立費用や毎年の法人住民税の均等割、税務申告の手間といったコストがかかります。赤字でも一定の税負担が生じるため、規模が小さいうちは個人のほうが身軽です。

物件が一棟だけ、家賃収入もそれほど大きくないという段階で慌てて法人化すると、節税効果よりコストが上回ることもあります。まずは現在と将来の所得規模を見積もることが大切です。

判断の目安としては、不動産所得が継続的にまとまった水準に達し、今後も物件を増やす意向があり、かつ次世代への承継を視野に入れているなら、法人化を検討する価値が高まります。

逆に、保有が一時的だったり、近いうちに売却を考えていたりする場合は、個人のままのほうが合理的なこともあります。札幌で物件を増やしている方ほど、早い段階で全体設計を描いておくと後悔が少なくなります。

まとめ

この記事のまとめ
個人は累進課税、法人はおおむね一定税率で、所得が大きいほど法人が有利になりやすいです。
法人は役員報酬による所得分散や経費設計の幅という利点があります。
相続では、個人は不動産そのもの、法人は株式が対象となり、承継の自由度が変わります。
法人には設立・維持コストがかかり、規模が小さいうちは個人が身軽です。
入口の節税だけでなく、売却時など出口まで含めた総合判断が必要です。

不動産を個人と法人のどちらで持つかは、所得規模・保有期間・承継の意向によって最適解が変わります。一律の正解はなく、シミュレーションによる比較が欠かせません。

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※本記事は2026年7月時点の情報に基づく一般的な解説です。税制・法令・制度は改正されることがあり、個別の判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては公認会計士・税理士等の専門家にご相談ください。

※本記事は2026年6月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。

出典・参考情報(公的機関)

本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。

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