個人事業主が確定申告だけを税理士に頼む費用に全国一律の定価はなく、売上規模・取引の件数・記帳の状態・消費税の申告の有無といった作業量で決まります。見積りで伝えるべき情報と費用を抑える準備、自分でやるか頼むかの判断基準を整理し、当事務所の対応方針もあわせてお伝えします。
この記事の結論
確定申告だけを頼む費用は、事務所ごとの料金表と作業量で決まるため、自分の状況を具体的に伝えて見積りを取るのが近道です。なお、当事務所は確定申告だけのスポット依頼はお受けしておらず、記帳から申告までを年間で支える顧問契約でご支援しています。
- 費用を左右するのは、売上規模・取引の件数・記帳の状態・消費税・所得の種類
- 領収書の整理や会計ソフトへの入力を自分で済ませるほど、作業量は減る
- 判断の軸は「申告にかかる自分の時間」と「誤りのリスク」
- 依頼を考えるなら、繁忙期に入る前の12月〜1月に動く
- 令和8年分の申告・納付期限は2027年3月15日、個人の消費税は3月31日
確定申告だけの依頼で頼める範囲は?
確定申告だけの依頼は、顧問契約を結ばずに年1回だけ申告書の作成を頼むスポット契約です。一般的には、記帳済みのデータの確認、決算整理の仕訳、青色申告決算書や申告書の作成、電子申告までが範囲になります。日常的な質問への対応や節税の提案は顧問契約の領域で、スポット契約には含まれないことが一般的です。
スポット依頼の基本範囲になりやすい作業
- 記帳済みのデータの確認
- 決算整理の仕訳(減価償却・家事按分・棚卸など)
- 青色申告決算書(白色は収支内訳書)と確定申告書の作成
- 電子申告(e-Tax)での提出
別料金や顧問契約の領域になりやすい作業
- 領収書や通帳からの記帳(記帳代行)
- 消費税の申告
- 年の途中の質問対応や節税の提案
- 税務調査の立会い
領収書の束から記帳そのものも任せたい場合は、記帳代行の料金が別に加わるのが一般的です。同じ「確定申告だけ」でも、どこまで自分で済ませてあるかで作業量も費用も変わります。
費用は何で決まる?見積りを左右する要素
税理士の報酬は各事務所が料金表で定めており、全国一律の定価はありません。基本は作業量で決まり、売上規模が大きいほど、また記帳代行や消費税の申告が加わるほど上がる傾向があります。インターネット上の「相場」の金額は前提がそろっていないことが多いため、自分の状況を伝えて見積りを取るほうが確かです。
| 費用を左右する要素 | 傾向 | 見積りのときに伝えること |
|---|---|---|
| 売上規模 | 大きいほど確認作業が増える | 年間の売上の見込み |
| 取引の件数 | 件数が多いほど入力と確認が増える | 月あたりの請求書・領収書のおおよその枚数 |
| 記帳の状態 | 入力済みで整っているほど作業が減る | 会計ソフトの有無と、どこまで入力済みか |
| 消費税の申告 | 課税事業者は申告が増える | インボイス登録の有無と、計算方法(2割特例・簡易課税など) |
| 所得の種類 | 不動産・株式などが加わると増える | 事業以外の所得や、医療費控除・住宅ローン控除の有無 |
| 青色か白色か | 青色の65万円控除は複式簿記の帳簿が前提 | 青色申告の承認を受けているか |
| 依頼の時期 | 期限が近いほど対応が難しくなる | 資料をそろえられる時期 |
中でも「資料が整理されているか」は費用に直結しやすい要素です。領収書を未整理のまま渡すのと、日付順に整理して渡すのとでは、依頼される側の作業量が大きく変わります。当事務所の料金の考え方は料金・契約の流れのページで、費用が決まる仕組みとあわせてご案内しています。
自分でやるか頼むかの判断基準は?
判断の軸は時間とリスクです。申告の準備に毎年かけている時間を本業に回した場合の価値と、依頼の費用を比べるのが出発点になります。あわせて、計算を誤ったときの追加の税金や手間も考えに入れます。
具体例:申告にかけている時間を金額に置き換える
例えば、年商900万円の個人事業主が申告の準備に毎年40時間かけていて、本業の1時間あたりの粗利が仮に3,000円なら、40時間×3,000円=120,000円分の売上の機会を申告作業に使っている計算です。
この金額と見積りの金額、誤りのリスクを並べて判断します。年商900万円なら、売上が伸びて1,000万円を超えた年の2年後に、消費税の課税事業者になる可能性も視野に入ります。
依頼が向いている人
- 取引の件数が多く、自分で整理する時間が取れない
- 不動産所得や株式の譲渡など、所得の種類が複数ある
- 初めての確定申告で不安が大きい
- 消費税の課税事業者になった、またはインボイス登録をした
自分で十分な人
- 取引がシンプルで件数も少ない
- 会計ソフトの操作に慣れている
- これまで数年分を自分で申告して、大きな問題がなかった
- e-Taxでの提出まで自分でできる
制度の変わり目は、自分でやる場合のつまずきやすい点です。青色申告特別控除は令和8年分まで最大65万円(正規の簿記、期限内申告、e-Taxでの申告か電子帳簿保存が要件)、令和9年分からは仕訳帳・総勘定元帳を電子帳簿保存法の電磁的記録で保存するなどの要件を満たすと最大75万円になります。消費税も、個人の2割特例は令和8年分まで、令和9年分・令和10年分は3割特例と、計算方法が切り替わります。
無料ツール青色申告と白色申告の節税効果を比較する所得の見込みを入れると、青色申告にした場合の税額の差の目安を確認できます。計算する
自分で申告する場合は、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に沿って申告書を作り、e-Taxで提出できます。税額の目安を先に知りたいときは、次のツールで所得税額を試算できます。令和8年度の改正点は令和8年度税制改正のポイントにまとめています。
無料ツール所得税額を速算表で計算する課税所得を入れると、速算表にもとづく所得税額の目安を確認できます。計算する
依頼するならいつ・何を準備する?
動くタイミングの目安は12月から1月です。2月以降はどの事務所も繁忙期に入り、新規の受付を締め切ることもあります。令和8年分の主な期限は次のとおりです。
- 年末までに問い合わせる繁忙期に入る前に、依頼できるか、どの契約の形になるかを確認します。
- 状況を伝えて見積りを受ける売上規模・取引の件数・記帳の状態・消費税・所得の種類を伝えます。
- 資料を渡す事業用の通帳、売上の請求書類、経費の領収書、控除の証明書、前年の申告書の控えを渡します。
- 質問に答える用途がわからない支出や、家事按分の割合などの確認に答えます。
- 申告書を確認して提出する内容を確認し、電子申告で提出したうえで、期限までに納付します。
- 売上がわかる資料(請求書の控え、通帳の入金記録、売上の管理表など)
- 経費の領収書・レシート(できれば月ごとや科目ごとに分けておく)
- 事業用の通帳とクレジットカードの明細(個人用とは分けて用意する)
- 控除に関する書類(社会保険料・生命保険料の控除証明書、扶養する家族の情報など)
- 前年の申告書の控えと、減価償却している資産の一覧
費用を抑えるためにできることは?
資料が整理されているほど作業時間の見通しが立ち、見積りも下がりやすくなります。依頼する前に、次のことを済ませておきましょう。
- 事業用の口座とカードを分け、私的な支出を混ぜない
- 会計ソフトに入力し、通帳・カードの明細と残高を合わせておく
- メールやネットで受け取った請求書・領収書は、電子データのまま保存する
- 自宅兼事務所の家賃や光熱費は、按分の根拠(面積・使用時間)をメモしておく
- 10万円以上の備品や設備の購入は、請求書と契約書をまとめておく
2024年1月1日以後に電子取引で受け取った請求書や領収書は、紙に印刷して保存するだけでは足りず、電子帳簿保存法の要件に沿って電子データで保存する必要があります。早めに相談しておくと、不足している書類を余裕を持って集められ、経費の扱いや控除の適用漏れも事前に確認できます。
当事務所の対応:確定申告だけのスポット依頼はお受けしていません
当事務所では、確定申告だけを年1回お引き受けするスポット契約は行っていません。申告の数字は1年間の記帳と判断の積み重ねで決まり、減価償却や在庫、前年からの繰越しも毎年つながっているため、期限前に資料をまとめて受け取るだけでは誤りや適用漏れを事前に防げないからです。
その代わりに、会計・税務顧問として、日々の記帳の確認から確定申告までを年間を通じてご支援しています。記帳そのものを任せたい方には記帳代行プランもあります。
顧問契約で年間を通じて確認すること
- 月々の記帳と通帳残高の確認
- 経費・家事按分・減価償却の扱いの事前相談
- 年末までの節税策と、翌年の予定納税・消費税の見通し
- 確定申告書の作成と電子申告
これから変わる制度への対応
- 令和9年分から青色申告特別控除が最大75万円に(帳簿の電子保存が要件)
- 個人の2割特例は令和8年分まで、令和9年分・令和10年分は3割特例
- 電子取引データの保存の運用
顧問契約の内容と費用は、記帳の状態や売上の規模で変わります。現状をうかがったうえで、初回無料でご案内します。
無料で相談するよくある質問
税理士に払った費用は経費になりますか?
事業所得の申告に関する報酬は、必要経費にできます。株式の譲渡や医療費控除など、事業と関係のない部分の作業が含まれる場合は区分して考えます。従業員に給与を払っている個人事業主が税理士に報酬を払うときは、源泉徴収(100万円以下の部分は10.21%)が必要で、給与を払っていない個人事業主は源泉徴収をしません。
スポットで頼んだ場合、税務調査の対応も含まれますか?
申告書の作成だけの契約では、税務調査の立会いは別の扱いになることが多く、契約の前に範囲を確認しておく必要があります。調査では申告の前提になった帳簿や判断の理由を説明するため、1年を通じて帳簿を見ている税理士のほうが対応しやすくなります。
期限に間に合わないとどうなりますか?
期限後でも申告はできますが、原則として無申告加算税(納付税額の15%、50万円を超える部分は20%、2024年1月1日以後に法定申告期限が到来するものは300万円を超える部分30%)と延滞税がかかります。青色申告特別控除の65万円・55万円は期限内申告が要件のため、控除が10万円になる点にも注意が必要です。
白色申告でも依頼できますか?青色に切り替えたほうがよいですか?
白色申告でも申告書の作成は依頼できます。複式簿記で帳簿を付けられるなら、青色申告特別控除や赤字の繰越しが使える青色申告のほうが有利になることが多いです。青色申告にしたい年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を提出します(例:令和9年分からなら2027年3月15日まで)。
まとめ
確定申告だけを税理士に頼む費用は、売上規模・取引の件数・記帳の状態・消費税・所得の種類による作業量で決まるため、状況を具体的に伝えて見積りを取るのが近道です。資料を整理して早めに相談するほど、費用も申告の精度も改善します。当事務所はスポット依頼ではなく、記帳から申告までを年間で支える顧問契約でご支援しています。
札幌の公認会計士・税理士事務所
確定申告と記帳のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)
