非上場会社の株式には、上場株式のような市場価格がありません。そのため、M&Aや事業承継、株主からの買取りといった場面では、「この会社の株式はいくらか」を専門家が算定する株価算定(バリュエーション)が必要になります。
この記事は、こんな方に役立ちます
- 税理士の顧問料や費用の相場を知りたい方
- スポット相談か顧問契約か迷っている方
- 依頼の流れと範囲を把握したい方
この記事では、株価算定を誰に・いつ・何のために依頼するのか、そして費用相場がどのような要素で決まるのかを整理します。費用は「評価の目的」と「会社の複雑さ」でほぼ決まり、目的を明確にすることが適正なコストへの近道です。
- 株価算定は目的(税務・取引・社内資料)で手法と費用が変わる
- 税務上の評価額とM&Aの時価は別物
- 税務目的は税理士、対外的な算定は公認会計士が中心
- 費用は目的・手法・会社の複雑さ・納期で決まる
- 依頼は意思決定の前、資料が揃う決算直後が好機
株価算定が必要になる場面
- M&A(会社や事業の売却・買収)の価格交渉
- 事業承継に伴う自社株の贈与・相続
- 少数株主からの株式買取りや自己株式の取得
- 第三者割当増資やストックオプションの発行
- グループ内・株主間での株式の売買
同じ株価算定でも、その数字を「誰が見るか」は場面ごとに異なります。税務署が見る評価なのか、取引相手との交渉材料なのか、社内の意思決定資料なのか。この目的の違いが、手法の選択にも費用にも直結します。
主な算定手法と税務上の評価の違い
代表的な手法は三つあります。会社の資産から負債を引いた正味の財産で測る純資産法、類似する上場会社の株価倍率を当てはめる類似会社比較法(マルチプル法)、将来のキャッシュ・フローを現在価値に割り引くDCF法です。実務では複数の手法を組み合わせ、評価額の幅を示すことが一般的です。
例えば帳簿上の純資産が5,000万円の会社でも、収益力や資産の含み損益によって、取引で使われる株価は大きく上下します。「純資産イコール会社の値段」とは限らない点が、専門家による算定が必要になる理由です。
注意したいのは、相続税や贈与税の計算で使う財産評価基本通達に基づく評価額と、M&Aなどで使う時価は別物だという点です。特に親族や同族会社の間で株式を売買する場合、価格の設定を誤ると思わぬ課税が生じることがあります。税務と取引の両面からの検討が欠かせません。
誰に頼むか:税理士か公認会計士か
贈与・相続や同族間売買など税務目的の評価は、税理士の領域です。一方、M&Aの交渉や、金融機関・他の株主への説明に耐える算定書が必要な場面では、公認会計士やFAS(財務アドバイザリー会社)が担うことが多くなります。
実際の案件では、税務と取引の論点が同時に絡むことが少なくありません。公認会計士と税理士の両方の知見にアクセスできる体制で進めると、評価のやり直しを防げます。評価の目的を伝え、対応経験を確認したうえで依頼先を決めると安心です。
費用相場を左右する4つの要素
株価算定の費用は、①評価の目的(社内参考か、対外的な算定書か)、②用いる手法の数、③対象会社の規模や事業・グループ構造の複雑さ、④納期、の四要素でおおむね決まります。子会社が複数ある、不動産を多く持つといった事情は、工数を押し上げます。
一般的な目安としては、簡易な評価であれば数十万円程度から、交渉や紛争にも耐える本格的な算定書では百万円を超えることもあります。実際の金額は依頼先や案件によって大きく異なるため、見積りの際は目的と利用場面を具体的に伝えることが大切です。なお、株価算定は税務顧問料とは別建ての業務とされるのが通常です。顧問契約の範囲を確認し、スポット業務として見積りを取りましょう。
いつ頼むか:意思決定の前に
依頼のタイミングは、取引や承継の意思決定をする前が原則です。株価を知らないまま交渉や贈与の計画を進めると、後から条件を組み直すことになりかねません。決算直後は財務資料が揃っており、スムーズに着手できる時期です。事業承継であれば、株価が下がるタイミングの検討も含め、数年単位で計画する価値があります。
まとめ
株価算定は、目的の整理から始めると無駄がありません。事業承継や株式の売買をお考えの方は、当事務所の料金プランをご確認のうえ、お問い合わせから状況をお聞かせください。公認会計士・税理士の両方の視点から対応します。
料金を相談する前に整理しておくと早いこと
- 業種と年間の売上規模
- 記帳を自社でやるか依頼するか
- 訪問・オンラインなど希望の対応方法
- 現在の課題(節税・資金繰り・申告など)
- 法人か個人事業かと決算月
※本記事は2026年7月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
出典・参考情報(公的機関)
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。
