「うちの会社は効率よく利益を出せているのだろうか」と気になったとき、比較の物差しとしてよく使われるのがROA(総資産利益率)とROE(自己資本利益率)です。どちらも「利益を何かで割って効率を測る」点は共通していますが、見ている対象がまったく異なります。結論として、ROAは会社が持つ資産全体をどれだけ効率よく使えているかを、ROEは株主が出した資本をどれだけ効率よく増やせているかを示す指標です。
ROA(総資産利益率)とは
ROA(Return On Assets)とは、会社が保有する総資産(現金・売掛金・在庫・設備など)に対して、どれだけの利益を生み出したかを示す指標です。計算式は次のとおりです。
ROA(%)= 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
仮に、総資産1億円・当期純利益500万円の会社の場合、500万円 ÷ 1億円 × 100 = 5.0% がROAです。総資産には借入金で調達した分も含まれるため、ROAは「借入も含めた会社全体の資産をどれだけ効率よく利益に変えられているか」を示します。
ROE(自己資本利益率)とは
ROE(Return On Equity)とは、株主が出資した自己資本(純資産)に対して、どれだけの利益を生み出したかを示す指標です。計算式は次のとおりです。
ROE(%)= 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
仮に、自己資本4,000万円・当期純利益500万円の会社の場合、500万円 ÷ 4,000万円 × 100 = 12.5% がROEです。ROAと異なり、自己資本のみを分母にするため、借入金の多寡によってROEの数値は変動します。
両者の違いを一覧で比較
同じ当期純利益500万円の会社でも、分母が異なるため数値は次のように変わります。
| 指標 | 見ている対象 | 分母(仮設) | 比率(仮設) |
|---|---|---|---|
| ROA | 総資産(借入含む会社全体の資産) | 1億円 | 5.0% |
| ROE | 自己資本(株主の出資分) | 4,000万円 | 12.5% |
このようにROEはROAより高く出やすい傾向がありますが、これは借入金を活用して自己資本より大きな資産を運用しているためです。借入への依存度が高いほどROEは押し上げられやすくなるため、ROEだけを見て「効率が良い」と判断するのは注意が必要です。
経営判断ではどちらをどう使い分けるか
実務では、①②③の観点で両方をあわせて確認することが望ましいとされています。
- ①ROAで資産全体の効率を確認する 設備や在庫、売掛金まで含めた「会社全体の資産運用の効率」を見るときはROAが適しています。
- ②ROEで株主目線の効率を確認する 自己資本に対するリターンを見るときはROEが適していますが、借入依存度もあわせて確認します。
- ③自己資本比率とセットで見る ROEが高くても自己資本比率が低い場合、財務の安定性という面では課題が残っている可能性があります。
具体例|自己資本比率もあわせて計算してみる
仮に、総資産1億円・自己資本4,000万円という先ほどの例のまま自己資本比率を計算すると、自己資本4,000万円÷総資産1億円×100=40%です。ROEが高くても、この自己資本比率が低い会社は借入への依存度が高く、金利負担や返済の重さが利益を圧迫しやすくなります。逆に自己資本比率が高い会社は、ROEの数値自体は控えめでも、財務の安定性という点では安心材料が多いといえます。複数の指標をあわせて見ることで、効率性と安定性の両方から会社の状態を把握できます。
見落としやすいポイント
- ROEだけを目標にすると借入が増えやすい/自己資本を増やさずに借入を増やせばROEは数値上高くなりますが、財務の安全性とはトレードオフの関係にあります。
- 業種によって適正水準の目安が異なる/設備投資の重い業種と軽い業種では総資産の使い方が違うため、同じROAの数値でも意味合いが異なります。同業他社と比較する視点も大切です。
- 単年度だけで判断しない/利益が一時的に大きく増減した年の数値だけを見ると、実力を見誤ることがあります。複数期の推移を確認するとよいでしょう。
実務ワンポイント
自社の試算表や決算書からROA・ROE・自己資本比率を毎期計算し、時系列で並べておくと、経営判断の材料として使いやすくなります。数値の変化に気づいたら、その要因が利益の増減によるものか、資産や資本の増減によるものかを分けて考えると、次の一手を検討しやすくなります。
指標を経営に生かすための運用のコツ
指標は計算して終わりにせず、確認するタイミングと共有する相手を決めておくと、経営判断に生かしやすくなります。
- 試算表が出るタイミングで確認する/月次や四半期の試算表とあわせてROA・ROEの推移を見ておくと、変化に早く気づけます。
- 金融機関への説明にも活用する/融資の相談時にROAやROEの推移を示せると、経営状況を客観的に説明しやすくなります。
- 数値が大きく動いたときは税理士に相談する/一時的な要因か構造的な変化かの見極めは、決算書全体を見ている税理士に相談すると整理しやすくなります。
まとめ
- ROAは「当期純利益÷総資産×100」で、総資産全体の効率を示します。
- ROEは「当期純利益÷自己資本×100」で、株主資本の効率を示します。
- 借入金が多いほどROEはROAより高く出やすい傾向があります。
- ROEだけでなく自己資本比率もあわせて確認すると、財務の安定性まで把握できます。
- 両指標を併用することで、資産効率と資本効率の両面から会社の実力を評価できます。
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※本記事は2026年7月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
出典・参考情報(公的機関)
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。
