結論から言うと、相続対策は「①現状把握(財産リストと税額試算)→②分割対策(遺言等)→③納税資金対策→④節税対策」の順で進めるのが基本です。
相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、これに収まれば相続税はかかりません。まず自家の財産が基礎控除を超えるかを確認し、超える場合に生前贈与や保険の活用を検討しましょう。
本記事で全体像を整理します。
この記事は、こんな方に役立ちます
- 相続・贈与の対策を早めに考えたい方
- 事業承継の進め方を知りたい経営者
- 何から手をつければよいか整理したい方
- 基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人。まず試算から
- 生前贈与は7年加算を踏まえて早め・長く・幅広く
- 生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人)を活用
- 小規模宅地等の特例・配偶者軽減は分割が前提。遺言で備える
- 二次相続まで含めたシミュレーションを
具体例:基礎控除と小規模宅地特例を組み合わせた試算
具体例:相続財産1億円(自宅330㎡含む)・法定相続人3人(概算)
被相続人(父)の財産が自宅土地(評価額5,000万円・330㎡)+建物1,000万円+預金4,000万円=合計1億円のケースです。2026年(令和8年)時点の制度に基づく試算です。
| 項目 | 金額・計算 |
|---|---|
| 相続財産の合計 | 1億円 |
| 小規模宅地等の特例(特定居住用) | 土地5,000万円×80%=▲4,000万円(330㎡以内・減額80%) |
| 特例適用後の課税価格 | 1億円-4,000万円=6,000万円 |
| 相続税の基礎控除 | 3,000万円+600万円×3人=4,800万円 |
| 課税遺産総額(概算) | 6,000万円-4,800万円=1,200万円 |
※試算例・概算です。小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の限度面積330㎡・減額割合80%、基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人数」は2026年(令和8年)時点。特例の適用には取得者要件等があり、申告期限(相続開始から10か月)までの申告が必須です。実際の税額は法定相続分・税率により異なります。
小規模宅地等の特例は、相続税対策の中でも効果の大きい制度です。自宅(特定居住用宅地等)であれば330㎡まで評価額を80%減額できるため、土地評価が高いケースほど節税効果が大きくなります。
ただし、適用要件(取得者・申告期限までの申告・居住継続要件など)を満たさなければ特例を受けられません。
特例の適用漏れは取り返しがつかない場合があります。相続発生後は遺産分割の方向性と特例の適用可否を早期に確認し、申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月以内)に間に合うよう税理士と連携することが重要です。
生前から「誰が自宅を取得するか」を家族で話し合い、遺言書に反映しておくと、申告期限内に分割が確定しやすくなります。
まず基礎控除と財産の棚卸しから
国税庁タックスアンサーNo.4102によると、相続税は正味の遺産総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合にかかります。例えば相続人が配偶者と子2人なら4,800万円まで非課税です。
不動産は路線価・固定資産税評価額をもとに評価するため、時価より低くなるのが一般的です。財産リストを作り、概算でよいので税額試算までやっておくと、対策の要否がはっきりします。
生前贈与:7年加算時代の使い方
暦年贈与(年110万円の基礎控除)は、令和6年以後、相続開始前の加算期間が3年から7年に段階的に延長されました。「早く始めて長く続ける」こと、そして相続人以外(孫など)への贈与を組み合わせることがより重要になっています。
まとまった財産を移すなら相続時精算課税(2,500万円+年110万円)も選択肢です。詳しくは「生前贈与の解説」「相続時精算課税の解説」をご覧ください。
生命保険の非課税枠を使う
死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。預金の一部を一時払い終身保険に変えるだけで課税価格を圧縮でき、納税資金や代償分割の原資にもなります。詳細は「保険を活用した相続対策」で解説しています。
小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減
自宅の敷地は、要件を満たせば小規模宅地等の特例で330㎡まで8割減で評価できます。また、配偶者には「1億6,000万円または法定相続分のどちらか多い金額」までの税額軽減があります。
ただし二次相続まで見据えると配偶者に寄せすぎない方が有利なケースも多く、シミュレーションが欠かせません。特例の要件は「小規模宅地等の特例の解説」を参照ください。
分割対策:遺言が最大の節税になることも
小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、申告期限までに遗産分割がまとまっていることが適用の前提になる場面が多くあります。分割で揉めると特例が使えず税負担が重くなる、という意味で、遺言書の準備はそれ自体が節税対策でもあります。公正証書遺言の活用や、生前の家族会議をおすすめします。
まとめ
- 基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人。まず試算から
- 生前贈与は7年加算を踏まえて早め・長く・幅広く
- 生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人)を活用
- 小規模宅地等の特例・配偶者軽減は分割が前提。遺言で備える
- 二次相続まで含めたシミュレーションを
札幌・北海道の相続のご相談は、ジェイスタート会計事務所へお気軽にどうぞ。
相続で早めに確認しておくこと
- 財産の一覧(不動産・預貯金・有価証券・保険)
- 借入金・未払金などの債務
- 法定相続人の確認
- 遺言の有無
- 自社株がある場合の評価と承継方針
※本記事は2026年6月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
