相続時精算課税制度とはメリットデメリットを解説します

  • URLをコピーしました!

結論から言うと、相続時精算課税制度は「累計2,500万円までの贈与に贈与税がかからず、その代わり相続時に相続財産へ加算して精算する」制度です。2024年(令和6年)の改正で年110万円の基礎控除が新設され、この110万円以下の部分は相続時の加算も不要になり、使い勝手が大きく改善しました。一方、一度選択すると暑年課税には戻れません。本記事で仕組みとメリット・デメリットを整理します。

相続時精算課税の仕組み

国税庁タックスアンサーNo.4103によると、原則、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与について選択できます。特別控除額は累計2,500万円で、超えた部分には一律20%の贈与税がかかります(支払った贈与税は相続税から控除)。選択するには、最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に「相続時精算課税選択届出書」の提出が必要です。

令和6年改正:年110万円の基礎控除が新設

令和6年1月以後の贈与からは、2,500万円の特別控除とは別に、毎年110万円の基礎控除が使えます。この基礎控除分は贈与税申告が不要で、相続時の加算対象にもなりません。例えば母から毎年110万円ずつ4年間贈与を受けた場合、合計440万円について贈与税も相続時の加算もありません。この点で、後述する暑年贈与の7年加算との比較が重要になります。

暑年課税との違い:7年加算に注意

暑年課税(通常の贈与)にも年110万円の基礎控除がありますが、相続等で財産を取得した人への相続開始前の贈与は、令和6年以後順次、加算期間が3年から7年に延長されました(延長された4年分は合計100万円まで加算対象外)。つまり直前の駆け込み贈与は効果が薄れています。早めに計画するほど暑年贈与の効果は大きく、高齢になってからの対策は精算課税の110万円基礎控除が有利になるケースが多い、というのが大まかな目安です。

メリットとデメリット

  • メリット:値上がりが見込まれる財産(自社株・不動産等)を贈与時点の価額で固定できる
  • メリット:収益物件を早めに移せば、以後の賃料収入は受贈者に帰属
  • メリット:令和6年以後は年110万円まで申告不要・加算不要
  • デメリット:一度選択すると同じ贈与者からの贈与は暑年課税に戻れない
  • デメリット:小規模宅地等の特例が使えない・値下がり財産は不利になる

小規模宅地等の特例については「小規模宅地等の特例の解説」をご覧ください。

どう使い分けるか:判断の目安

相続財産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)に収まる見込みのご家庭なら、精算課税で早めに財産を移しても相続税の心配は小さいです。一方、相続税が確実にかかる資産規模で長期間贈与できるなら、暑年贈与の継続も有力です。詳しくは「生前贈与の解説」「相続対策の全体像」もあわせてどうぞ。

まとめ

  • 累計2,500万円まで贈与税なし、超過分は20%
  • 令和6年から年110万円の基礎控除(申告不要・加算不要)
  • 暑年贈与の相続前加算は3年→7年に延長された
  • 選択後は暑年課税に戻れないため、財産の種類と規模で事前検討を
  • 届出期限(贈与の翌年3月15日)を忘れずに

どちらの制度が有利かは財産構成で変わります。個別のご相談はジェイスタート会計事務所へどうぞ。

※本記事は2026年6月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次