記帳代行とは?依頼から完了までの流れ・所要日数と準備する書類

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記帳代行は、税理士事務所や会計事務所が領収書・請求書・通帳などをもとに帳簿を作成するサービスです。依頼してから初月の処理が終わるまでの流れは約1〜2か月、毎月のサイクルが定着するまでは2〜3か月が目安で、準備と書類の送り方を先に決めておくほど早く軌道に乗ります。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

記帳代行は、面談・契約と初期設定・書類の送付・入力・試算表の確認という流れで進み、毎月のサイクルが定着するまで2〜3か月が目安です。

  • 初回面談は1〜2時間、契約と初期設定は数日〜1週間程度、入力は書類の受領後3〜10営業日程度が目安
  • 事業専用の口座・カードとクラウド会計の銀行連携で、書類送付の手間と代行の費用を抑えやすい
  • メールやネットで受け取った請求書・領収書は、2024年1月1日以後、電子データのまま保存する義務がある
  • 青色申告特別控除は令和8年分まで最大65万円、令和9年分からは要件を満たすと75万円
目次

記帳代行の依頼開始前に準備すること

記帳代行は、税理士事務所や会計事務所が、領収書・請求書・通帳などの書類をもとに帳簿を作成するサービスです。日々の入力を任せることで本業に使える時間が増え、月ごとの数字を早く確認できるようになります。依頼する前に事業者側で次のものを準備しておくと、スムーズに開始できます。

  • 直近の確定申告書や決算書(法人は法人税の申告書と勘定科目内訳書も)。勘定科目や開始残高の設定に使う
  • 開始時点の残高がわかる資料(預金通帳、借入金の返済予定表、売掛金・買掛金の一覧)
  • 固定資産の一覧(取得日と取得価額がわかるもの)
  • 使う会計ソフト(事務所が対応するfreee・マネーフォワード・弥生会計などから選ぶ)
  • 事業用の銀行口座・クレジットカードと、ネットバンキングの明細の取り出し方
  • 書類の送付ルールの案(月ごとか週ごとか、紙か電子か)

クラウド会計と銀行連携を使うと手間が減る

クラウド型の会計ソフトなら、入力データを事務所とリアルタイムで共有できます。銀行やクレジットカードと連携させると明細が自動で取り込まれ、入力の手間が大幅に減ります。ただし、連携した取引を領収書からも重ねて入力すると二重計上になります。連携している取引は明細の側で仕訳し、領収書は内容や勘定科目を決める資料として使う、という分担を最初に決めておきます。

依頼から月次処理完了までの典型的な流れ

記帳代行を初めて依頼する場合の一般的な流れは次のとおりです。事務所によって異なりますが、初月の処理が終わるまで約1〜2か月、毎月の書類送付→入力→確認のサイクルが定着するまで2〜3か月を見込んでおくと安心です。

依頼から完了までの流れ(所要日数の目安)
1
①初回面談・ヒアリング⏱ 1〜2時間
事業内容・仕訳量・使用ソフトの確認
2
②契約・初期設定⏱ 数日〜1週間程度
勘定科目の設定、開始残高の確認、書類送付ルールの決定
3
③初月の書類送付⏱ 月末〜翌月初め
領収書・請求書・通帳コピー等を事務所へ送付
4
④入力・仕訳作成⏱ 受領後3〜10営業日程度
事務所が帳簿入力・仕訳を行う
5
⑤月次試算表の確認⏱ 都度
作成した試算表を共有し、経営者が確認・質問
6
⑥安定稼働⏱ 2〜3か月で軌道に乗ることが多い
毎月の書類送付→入力→確認のサイクルが定着

各ステップで事業者が準備するものを加えると、次のようになります。

ステップ内容目安の期間事業者が準備するもの
①初回面談・ヒアリング事業内容・仕訳量・使用ソフトの確認1〜2時間前年の申告書・決算書、通帳、主な取引先の一覧
②契約・初期設定勘定科目の設定、開始残高の確認、書類送付ルールの決定数日〜1週間程度開始時点の残高資料、会計ソフトと銀行連携の設定
③初月の書類送付領収書・請求書・通帳コピー等を事務所へ送付月末〜翌月初め1か月分の書類と送付リスト
④入力・仕訳作成事務所が帳簿入力・仕訳を行う受領後3〜10営業日程度内容がわからない取引への回答
⑤月次試算表の確認作成した試算表を共有し、経営者が確認・質問都度売上や経費が増減した理由の確認
⑥安定稼働毎月の書類送付→入力→確認のサイクルが定着2〜3か月で軌道に乗ることが多い社内での書類整理の習慣づくり
記帳代行の一般的な流れ(期間は目安で、事務所や仕訳の量によって変わります)

試算表は「見るだけ」で終わらせない

月次試算表は、売上・経費・利益と、預金や借入金の残高を月ごとにまとめた表です。前年同月との比較や、納税資金・賞与資金の準備に使えるほか、金融機関に融資を相談するときの資料にもなります。届いたら、売上と利益の推移、預金残高が通帳と合っているかの2点だけでも確認する習慣をつけましょう。融資の準備は融資・資金調達ガイドで整理しています。

書類の送付方法と電子化のポイント

記帳代行の書類送付は、郵送・持参・電子送付(スキャンや写真)の3つの方法が一般的です。電子帳簿保存法への対応もあり、電子での受け渡しが進んでいます。

送付方法向いている場合注意点
電子送付(スキャン・写真)書類が多く、こまめに送りたい場合写真を送っても、紙の原本は別に保存が必要(スキャナ保存の要件を満たす場合を除く)
郵送月1回まとめて送る場合送付漏れ防止のため、送付リストを同封する
持参事務所が近く、相談もあわせてしたい場合受け渡した書類の一覧を控えておく
書類の送付方法の比較

電子で受け取った請求書・領収書は電子のまま保存

メールやネット通販、クラウドサービスで受け取った請求書・領収書(電子取引のデータ)は、2024年1月1日以後、電子データのまま保存することが義務になっています(宥恕措置は2023年12月31日で終了)。紙に印刷して保存するだけでは足りません。

保存の要件は、改ざんを防ぐ措置、ディスプレイなどで見られる状態、日付・金額・取引先で検索できることです。基準期間の売上高が5,000万円以下で、税務調査の際にデータのダウンロードの求めに応じられる場合は、検索の要件が不要になります。システムの整備が間に合わないなど相当の理由がある場合は、ダウンロードと出力した書面の提示に応じれば保存できる猶予措置もあり、事前の申請は不要です。

記帳代行を使う場合も、データを保存する義務は事業者にあります。事務所が預かるのか、事業者のクラウドに保存するのか、保存する場所と担当を契約時に決めておきます。

優良な電子帳簿にすると加算税が軽くなる

会計ソフトで作る帳簿を、一定の要件を満たす「優良な電子帳簿」として事前に届け出ておくと、申告漏れがあった場合の過少申告加算税が5%軽減されます。記帳代行で使うソフトが要件に対応しているかも確認しておくと安心です。

よくあるトラブルと事前対策

記帳代行を始めてから問題が起きやすいケースと、あらかじめ防ぐ方法をまとめます。どれも、開始前の取り決めで防げるものです。

トラブル起きる理由事前対策
書類の送付漏れで入力が遅れる月末に大量の書類をまとめて探している週単位・月単位で定期的にまとめる習慣をつける
勘定科目が想定と違う「何費で計上するか」を決めていないよく出る取引の科目を事前に事務所と確認する
私用と事業用の支払いが混ざる個人の口座・カードで事業の支払いをしている事業専用の口座・カードを使う。仕訳の切り分けが明確になり、代行費用も抑えやすい
同じ取引を二重に計上する連携している取引を領収書からも入力する連携している取引は明細の側で処理する
現金払いの領収書がなくなる財布や車の中で紛失する受け取ったらすぐ撮影し、原本は月ごとに封筒で保管する
担当者と連絡が取りにくい共有のタイミングや方法を決めていない試算表の共有時期と質問の方法を契約前に決める
記帳代行で起きやすいトラブルと対策

帳簿と書類の保存期間は、法人は7年(欠損金が生じた事業年度は10年)、個人の青色申告者は帳簿と決算関係書類・現金預金取引等関係書類が7年です(前々年分の所得が300万円以下なら、現金預金取引等関係書類は5年)。記帳代行に出して返却された書類も、事業者が保存します。経理の基本は中小企業の経理・会計処理ガイドでまとめています。

記帳代行に任せられる範囲は?料金が決まる要素

記帳代行で事務所が担うのは、主に帳簿の入力と月次試算表の作成です。決算書や申告書の作成、給与計算、年末調整などは、契約の範囲に含めるかどうかで変わります。依頼の前に、どこまでを任せるかを確認しておきます。

事務所に任せられること

  • 領収書・請求書・通帳からの仕訳入力
  • 月次試算表の作成と説明
  • 消費税の区分やインボイスの記載の確認
  • 決算・申告(契約に含む場合)

事業者に残ること

  • 書類の保管と送付
  • 内容がわからない取引への回答
  • 請求書の発行と入金の確認
  • 電子取引のデータの保存

インボイス制度の下では、仕入先が登録事業者かどうかで消費税の計算が変わります。免税事業者からの仕入れは経過措置の割合(2026年10月1日から2028年9月30日までは70%)で処理するため、請求書の登録番号の有無も入力のときに確認します。

料金は、毎月の仕訳の数、書類の整理の状態、銀行連携の有無、消費税の申告の有無、給与計算や年末調整を含めるかどうかなどで決まります。当事務所の記帳代行の内容と進め方は記帳代行プランの案内で紹介しています。

青色申告の控除額にも関わる

個人事業主の青色申告特別控除は、令和8年分までは正規の簿記で記帳し、期限内に申告したうえで電子帳簿保存かe-Taxで申告すると最大65万円です。令和9年分からは、さらに仕訳帳と総勘定元帳を電子帳簿保存法の要件に沿った電磁的記録で保存するなどの要件を満たすと75万円になります。記帳代行で会計ソフトを使う場合は、帳簿の保存方法もあわせて確認しておきます。

無料
ツール
青色申告と白色申告の税額の差を計算する所得の金額から、青色申告特別控除による節税効果を白色申告と比べられます。計算する

どこまでを任せるか、どの会計ソフトで進めるかは、取引の量や業種で変わります。今の書類の状態を伺いながら、進め方を初回無料でご提案します。

無料で相談する

年の途中から依頼するときは?申告期限から逆算する

年の途中や決算の直前から依頼する場合は、期首からまだ入力していない分をさかのぼって入力する必要があり、通常の月次処理より時間がかかります。必要な期間は、たまっている書類の量と整理の状態で大きく変わるため、申告期限から逆算して早めに相談します。

区分申告期限逆算のポイント
個人事業主(所得税)翌年3月15日(令和8年分は2027年2月16日〜3月15日)年明けからの依頼は申告の準備と重なるため、前の年のうちに相談する
個人事業主(消費税)翌年3月31日所得税の申告とあわせて準備する
法人事業年度終了の日の翌日から2か月以内(延長の特例は原則1か月)決算月の前から試算表で利益を確認し、決算前の対策を検討する
申告期限と逆算のポイント(2026年10月時点)

当事務所では決算・申告だけのスポットのご依頼はお受けしておらず、継続的な顧問契約の中で、記帳から決算・申告までをお手伝いしています。申告期限が近い場合も、まずは現状をお聞かせください。個人事業主の1年間の期限は個人事業主の年間スケジュールにまとめています。

よくある質問

記帳代行と、自分で入力して確認してもらう方法(自計化)は何が違いますか?

記帳代行は事務所が入力までを行い、自計化は事業者が会計ソフトに入力して、事務所が内容を確認・助言します。社内に経理の担当者がいて取引の量が多くない場合は自計化、入力の時間を本業に回したい場合は記帳代行が向いています。

領収書は原本を送らないといけませんか?

事務所によっては写真やスキャンのデータで受け付けています。ただし、紙で受け取った領収書の原本は、スキャナ保存の要件を満たして保存する場合を除き、事業者が保存期間中保管しておく必要があります。

記帳代行を頼んでいれば、税務調査の対応もしてもらえますか?

税務調査の立会いや税務署への説明は、税理士の業務です。記帳代行を税理士事務所に依頼していれば、帳簿の作り方を把握している担当者が説明しやすくなりますが、調査対応が契約に含まれるかは事前に確認しておきます。

記帳代行の費用は経費になりますか?

事業のための支出なので、支払手数料などとして経費になります。インボイスを受け取って保存しておけば、消費税の計算でも仕入税額控除の対象になります。

まとめ

記帳代行は、面談・契約と初期設定・書類の送付・入力・試算表の確認という流れで進み、毎月のサイクルが定着するまで2〜3か月が目安です。事業専用の口座・カードと銀行連携、書類の送付ルール、電子取引データの保存方法を最初に決めておくと、早く軌道に乗ります。年の途中から依頼する場合は、申告期限から逆算して早めに相談しましょう。

札幌の公認会計士・税理士事務所

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対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り

出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)

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