電気工事業で独立する際は、税務署への届出に加えて、電気工事業ならではの登録や資格の確認が欠かせません。「税務手続きと役所の登録、何をどの順で進めればよいか」と迷う方は少なくありません。
本記事では、札幌・北海道で電気工事業を開業する方に向けて、税務手続きと電気工事業特有の届出を一覧で整理します。基本は、税務署への開業届と青色申告承認申請、そして電気工事業の登録(または届出)と電気工事士資格の確認を、並行して進めることです。
この記事は、こんな方に役立ちます
- これから札幌・北海道で開業・起業する方
- 開業の手続きと順番を知りたい方
- 創業時の資金調達を相談したい方
- 開業届は1か月以内、青色申告承認申請書は原則2か月以内に提出する。
- 電気工事業は電気工事業法に基づく登録(または届出)が原則必要。
- 建設業許可を持つ場合は「みなし登録」として別途届出が要る。
- 第二種は一般用、第一種は500kW未満の自家用まで工事できる。
- 税込500万円以上の電気工事には建設業許可が必要になる。
税務署へ出す開業時の届出
個人で電気工事業を始めるときも、出発点は税務署への届出です。中心は次の2つになります。
1つ目は「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)で、事業を始めた日から1か月以内に納税地の税務署へ提出します。
2つ目は「所得税の青色申告承認申請書」で、開業した年から青色申告を受けたい場合は、原則として開業から2か月以内の提出が必要です(国税庁)。青色申告は、帳簿付けを条件に最大65万円の特別控除などが受けられる申告方法です。
従業員を雇って給与を払う場合は「給与支払事務所等の開設届出書」を、家族へ給与を払って経費にしたい場合は「青色事業専従者給与に関する届出書」を追加します。
たとえば、開業当初に配偶者へ事務を任せて給与を支払うなら、後者の届出を出しておくと適正額を経費にできます。これらの税務手続きは、業種を問わず共通の基本部分です。
電気工事業の「登録」が必要
電気工事業で特に重要なのが、電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律)に基づく登録です。一般用電気工作物などの電気工事を行う事業者は、原則として都道府県知事または経済産業大臣への登録が必要です(経済産業省)。
ここで押さえたいのが、建設業許可の有無による手続きの違いです。
| 区分 | 対象 | 手続き |
|---|---|---|
| 登録電気工事業者 | 建設業許可を持たない事業者 | 登録の申請 |
| みなし登録電気工事業者 | 建設業許可(電気工事業)を持つ事業者 | 登録ではなく届出 |
注意したいのは「みなし登録」の意味です。建設業許可を持っていても登録義務がなくなるわけではなく、別途、電気工事業者としての届出が必要になります。よくある誤解なので気をつけましょう。
なお登録電気工事業者の登録には有効期間があり、5年ごとの更新が必要です。更新を忘れると新規登録のやり直しになるため、期限管理が大切です。
電気工事士の資格と工事範囲
電気工事には、有資格者でなければ行えない作業があります。登録の要件としても、一定の電気工事士資格を持つ「主任電気工事士」の選任が求められます。
電気工事士には第一種と第二種があり、扱える範囲が異なります。第二種電気工事士は一般用電気工作物(600V以下で受電する設備など)の工事ができます。第一種電気工事士は、これに加えて最大電力500kW未満の自家用電気工作物の工事も行えます(経済産業省)。
たとえば、一般住宅の屋内配線が中心であれば第二種で対応できる範囲が多い一方、ビルや工場など高圧で受電する設備を扱う場合は第一種が必要になります。
自社がどの規模の現場を狙うかによって、必要な資格や人員の確保計画が変わってきます。開業前に、受注したい工事の種類と保有資格を照らし合わせておくことをおすすめします。
建設業許可が必要になる場合
電気工事業の登録とは別に、工事規模が大きくなると建設業許可(電気工事業)も論点になります。「軽微な建設工事」だけを請け負う場合は建設業許可なしで営業できますが、それを超える工事には許可が必要です。
軽微な工事の範囲は、電気工事の場合は税込500万円未満です(国土交通省)。判定は消費税込みの金額で行い、500万円ちょうどの工事は許可が必要になります。
たとえば1件600万円の電気工事を請け負うなら、建設業許可が前提となります。建設業許可を取得して電気工事業を営む場合は、前述のとおり電気工事業者としては「みなし登録(届出)」の対象になります。
当事務所では、電気工事業の開業時の税務手続きから、登録・許可を見据えた帳簿や決算の整え方までご相談を承っています。手続きの全体像や費用の目安を知りたい方は、お問い合わせや料金・契約・業務フローのご案内もご覧ください。
まとめ
開業前にそろえておくこと
- 事業計画と収支の見通し
- 開業資金と自己資金の額
- 開業届・青色申告承認申請の準備
- 会計ソフト・記帳の体制
- 屋号・事業用口座・許認可の確認
※本記事は2026年10月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
出典・参考情報(公的機関)
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。
