電気工事業の開業届と届出一覧|電気工事業者の登録・建設業許可も確認

  • URLをコピーしました!

電気工事業で独立開業するときは、税務署に開業届(開業の日から1か月以内)と青色申告承認申請書を出します。あわせて、電気工事業法に基づく電気工事業者の登録が必要です。建設業許可を持つ場合は登録ではなく届出になり、1件が税込500万円以上の工事を請け負うなら建設業許可も要ります。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

税務署への届出と、電気工事業法の登録(または届出・通知)、電気工事士の資格の確認を並行して進めます。必要な登録や許可は「どの工事を請け負うか」で決まるため、受注したい工事の範囲から逆算して準備します。

  • 税務署:開業届は1か月以内、青色申告承認申請書は原則2か月以内、人を雇うなら給与支払事務所等の開設届
  • 一般用電気工作物の工事を行うなら電気工事業者の登録が必要(有効期間5年で更新)
  • 建設業許可(電気工事業)がある場合は「みなし登録」として届出をする
  • 営業所ごとに主任電気工事士を置き、測定器を備える
  • 1件税込500万円以上の工事は建設業許可が必要。インボイス登録は取引先の構成で判断する
目次

電気工事業の開業で必要な手続きの一覧

個人で電気工事業を始めるときの手続きは、税務署への届出、個人事業税のための道への申告、電気工事業法の登録の3つに分かれます。工事の規模によっては、建設業許可も加わります。

手続き提出先期限対象・ポイント
個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)納税地の税務署開業の日から1か月以内個人で開業するすべての人
所得税の青色申告承認申請書税務署原則その年の3月15日まで。1月16日以後の開業は開業の日から2か月以内青色申告特別控除などの特典を受けたい人
青色事業専従者給与に関する届出書税務署給与を経費にしたい年の3月15日まで。1月16日以後の開業などは2か月以内家族に給与を払って経費にしたい人
給与支払事務所等の開設届出書税務署開設の日から1か月以内従業員や家族に給与を払う人
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書税務署随時。提出した月の翌月末までに通知がなければ、翌々月の納付分から特例給与を支払う従業員が常時10人未満の場合
個人事業開始申告書北海道(道税の窓口)道の定める期限個人事業税の課税のための申告
電気工事業者の登録・届出・通知北海道知事(2つ以上の都道府県に営業所がある場合は経済産業大臣)登録・通知は事業を始める前(みなし登録の届出は開始後すみやかに)区分は次の見出しの表を参照
建設業許可(電気工事業)北海道知事(営業所が道内だけの場合)税込500万円以上の工事を請け負う前軽微な工事だけなら不要
電気工事業の開業で必要になる主な手続き(2026年10月時点)。道への手続きの窓口・手数料は北海道の案内で確認してください。

このうち税務署への届出は、業種を問わず共通の基本部分です。開業の前後に1年間の申告・納税の予定も見ておくと、届出の漏れを防げます。年間の流れは「個人事業主の年間スケジュール」にまとめています。

税務署に出す届出は?期限と書き方のポイント

開業届は、事業を始めた日から1か月以内に納税地の税務署へ提出します。職業欄は「電気工事業」とし、屋号を使う場合は屋号も記入します。書面のほか、e-Taxで提出することもできます。

青色申告承認申請書は、開業した年から青色申告をしたい場合、1月16日以後の開業なら開業の日から2か月以内に出します。青色申告は、帳簿付けを条件に特別控除などの特典が受けられる申告方法です。令和8年分の控除額は、複式簿記で記帳して期限内に申告し、e-Taxでの申告か電子帳簿保存を行えば最大65万円です。e-Taxなどを使わない場合は55万円、簡易な帳簿や期限後の申告では10万円になります。

令和9年分からは最大75万円の区分ができる

令和9年分以後は、65万円の要件に加え、仕訳帳・総勘定元帳を電子帳簿保存法に沿った電子データで保存するなどの要件を満たすと、控除額が75万円になります。開業時に会計ソフトを選ぶときは、帳簿を電子データで保存できるかも確認しておきましょう。

無料
ツール
青色申告と白色申告の税額の差を比較する事業の所得を入れると、青色申告特別控除による所得税・住民税の違いの目安がわかります。計算する

開業当初に配偶者へ事務や経理を任せて給与を払うなら、青色事業専従者給与に関する届出書を出しておくと、届け出た範囲内の適正な額を経費にできます。家族や見習いに給与を払う場合は、給与支払事務所等の開設届出書もあわせて提出し、源泉徴収を始めます。

元請から受け取る工事の請負代金は、報酬・料金の源泉徴収の対象ではないため、通常は全額が振り込まれます。その分、所得税・住民税・個人事業税の納税資金は、自分で取り分けておく必要があります。

電気工事業者の登録は必要?4つの区分と手続き

電気工事業で特に重要なのが、電気工事業法(電気工事業の業務の適正化に関する法律)に基づく登録です。電気工事業を営む人は、請け負う工事の種類と建設業許可の有無によって、次の4つのいずれかの手続きをします。

区分対象手続き
登録電気工事業者建設業許可がなく、一般用電気工作物等(住宅や小規模な店舗など)の工事を行う登録の申請(有効期間5年、更新が必要)
通知電気工事業者建設業許可がなく、自家用電気工作物(高圧で受電するビル・工場など)の工事だけを行う事業を始める前に通知
みなし登録電気工事業者建設業許可(電気工事業)があり、一般用電気工作物等の工事を行う登録ではなく届出
みなし通知電気工事業者建設業許可があり、自家用電気工作物の工事だけを行う通知
電気工事業法による電気工事業者の区分

住宅の配線や小規模な店舗の工事から始める一人親方の多くは、登録電気工事業者の区分に当たります。登録の有効期間は5年で、更新を忘れると新規の登録をやり直すことになるため、期限の管理が大切です。

「みなし登録」でも手続きは要る

建設業許可を持っていても、電気工事業者としての手続きが不要になるわけではありません。みなし登録電気工事業者として、別に届出をする必要があります。よくある誤解なので気をつけましょう。

登録電気工事業者は、営業所ごとに主任電気工事士を置く必要があります。主任電気工事士になれるのは第一種電気工事士か、第二種電気工事士で一定の実務経験がある人で、資格を持つ事業主本人がなることもできます。登録の後は、次の点も守ります。

  • 営業所ごとに主任電気工事士を選任する
  • 絶縁抵抗計・接地抵抗計・回路計などの測定器を営業所に備える
  • 営業所と工事の現場に、登録電気工事業者の標識を掲げる
  • 工事ごとに注文者・工事の内容・検査の結果などを帳簿に記載して保存する
  • 住所や主任電気工事士が変わったときは、変更の届出をする

測定器は、取得価額が10万円未満なら購入した年の経費になります。青色申告をしていれば、2026年4月1日以後に取得した40万円未満の資産は、少額減価償却資産の特例で一括して経費にできます(年300万円まで)。

電気工事士の資格で工事できる範囲は?

電気工事には、資格を持つ人でなければできない作業があります。どの資格でどこまで工事できるかは、受注できる現場の範囲に直結します。

資格工事できる範囲主な現場の例
第二種電気工事士一般用電気工作物等(600V以下で受電する設備など)一般住宅の屋内配線、小規模な店舗・事務所
第一種電気工事士第二種の範囲に加え、最大電力500kW未満の自家用電気工作物高圧で受電するビル・工場・商業施設
認定電気工事従事者自家用電気工作物のうち600V以下で使用する部分の工事(簡易電気工事)ビルや工場の低圧部分の配線
電気工事士等の資格と工事できる範囲(電気工事士法による)

一般住宅の屋内配線が中心なら第二種で対応できる範囲が多い一方、ビルや工場など高圧で受電する設備を扱うなら第一種が必要です。人を雇って現場を増やす場合は、従業員の資格も含めて、受注したい工事と保有資格を開業前に照らし合わせておきましょう。

建設業許可が必要になるのは?税込500万円の判定

電気工事業者の登録とは別に、工事の規模が大きくなると建設業許可(電気工事業)が必要です。1件の請負代金が税込500万円未満の「軽微な建設工事」だけを請け負うなら許可はいりませんが、500万円ちょうどの工事は許可が必要になります。

判定は消費税を含む金額で行います。正当な理由なく契約を分けても、分けた契約の合計額で判定されます。注文者が材料を提供する場合は、その材料の市場価格や運送費も請負代金に加えて判定します。

計算例:税抜では500万円未満でも許可が必要になる場合

例えば、税抜460万円の工事は、消費税10%を含めると460万円×1.1=506万円となり、500万円以上なので建設業許可が必要です。

また、工事代金が400万円でも、注文者から市場価格150万円の材料の支給を受ける場合は、400万円+150万円=550万円で判定します。この場合も許可が必要です。

建設業許可を受けるには、経営の体制、技術者の配置、財産的な基礎などの要件があります。許可を取得して電気工事業を営む場合、電気工事業者としては前述の「みなし登録電気工事業者」の届出に切り替わります。

インボイスと消費税はどう判断する?

インボイス(適格請求書)の登録は、取引先が事業者か消費者かで判断します。ハウスメーカーや工務店、元請の電気工事会社から受注するなら、相手は仕入税額控除のためにインボイスを求めることが多くなります。

取引先の中心登録の考え方
元請・工務店など事業者登録を検討する。未登録の場合に元請が控除できるのは、2026年10月1日〜2028年9月30日の取引で消費税相当額の70%、2028年10月1日からは50%
一般家庭など消費者消費者は仕入税額控除をしないため、登録の必要性は低い
事業者と消費者の両方売上の構成と、主な取引先の意向を確認して判断する
取引先の構成によるインボイス登録の考え方(2026年10月時点)

開業1年目と2年目は、基準期間(前々年)の売上がないため、原則として消費税の免税事業者です。ただし2年目は、前年1〜6月の売上が1,000万円を超え、同じ期間の給与の支払額も1,000万円を超えると課税事業者になります。インボイスの登録をすると、売上の額にかかわらず消費税の申告が必要です。

登録した個人事業者の負担を軽くする2割特例は、令和8年分までで終わります。令和9年分・令和10年分は、登録しなければ免税事業者になる個人事業者を対象に、売上の消費税額の3割を納める3割特例が設けられています。簡易課税を選ぶ場合、電気工事は建設業として第3種(みなし仕入率70%)です。ただし、元請から材料の支給を受けて労務だけを提供する工事は第4種(60%)になります。

登録するか、どの課税方式を選ぶかは、取引先の構成と売上の見込みで変わります。開業前後のタイミングで、初回無料で確認できます。

無料で相談する

開業前後のお金と記帳で注意することは?

電気工事業は、工具・測定器・車両への投資と、材料の立替えが先に出る業種です。支出の種類ごとに処理を決めておくと、最初の確定申告で迷いません。

支出・取引主な処理注意点
開業準備の広告・名刺・打合せの費用開業費として資産に計上し、開業後の好きな年に経費にできる開業前の領収書も保管しておく
工具・測定器・脚立10万円未満は消耗品費。20万円未満は3年で均等に経費にする方法も選べる青色申告なら40万円未満は少額減価償却資産の特例も使える
軽バンなどの車両減価償却で耐用年数にわたって経費にする私用にも使うなら、走行距離などで事業分を按分する
電線・ケーブル・器具などの材料使った分を経費にし、年末に残った材料は棚卸資産に計上する現場ごとに材料の仕入を記録しておく
年をまたぐ工事売上は工事を引き渡した日に計上する年末時点でかかった材料費・外注費は、未成工事支出金として翌年に繰り越す
応援の職人への支払独立した事業者への外注なら外注費指揮命令や時間の拘束が強い場合は給与と判断されることがある
電気工事業の開業前後に多い支出と処理(2026年10月時点)

電気工事のような請負業は個人事業税の対象で、税率は5%です。事業の所得から事業主控除290万円を引いた額にかかるため、開業から所得が増えてきた年に、夏以降の納税資金として準備しておきます。

元請からの入金は、月末締め・翌月以降の支払が一般的で、材料の仕入代金が先に出ていきます。開業当初は、少なくとも数か月分の材料費と生活費を見込んだ運転資金を準備しておくと安心です。

札幌・北海道で開業する場合の窓口は?

開業届などの国税の届出は、住所地(納税地)を管轄する税務署に出します。札幌市内とその周辺の税務署の管轄は次のとおりです。

税務署主な管轄区域
札幌中税務署中央区の一部(おおむね西10丁目以東)
札幌北税務署北区・東区・石狩市・石狩郡
札幌南税務署豊平区・南区・清田区・千歳市・恵庭市・北広島市
札幌西税務署中央区の一部(大通西11丁目以西・円山・宮の森など)・西区・手稲区
札幌東税務署白石区・厚別区・江別市
札幌市内と周辺の税務署の管轄(2026年10月時点)。中央区の個別の住所は国税庁の管轄区域表で確認してください。

書面の届出は札幌業務センターへ郵送

2026年7月10日から、札幌市内の5つの税務署の内部事務は札幌業務センターに集約されています。書面で郵送する届出は、〒060-8510 札幌市中央区大通西10丁目 札幌第2合同庁舎の札幌業務センターあてに送ります。e-Taxでの提出や窓口への持参は、従来どおり所轄の税務署です。

北海道では冬期間に屋外の工事が減りやすく、屋内の改修や暖房設備の工事の比重が高まるなど、季節で仕事の中身と入金の時期が変わりやすくなります。冬場の除雪費や車両の維持費も見込んで、資金繰りの計画を立てておきましょう。

当事務所では、電気工事業の開業時の届出から、登録・許可を見据えた帳簿づくり、確定申告と消費税の判断まで、顧問契約の中で継続して支援しています。サービスの内容は「会計・税務顧問」をご覧ください。

よくある質問

会社員の副業として電気工事を請け負う場合も、登録は必要ですか?

副業でも、電気工事を事業として請け負うなら電気工事業法の登録などの手続きが必要です。電気工事士の資格を持っているだけでは、電気工事業を営むことはできません。所得が生じれば、確定申告も必要になります。

開業前に買った工具や測定器は経費になりますか?

開業前に買った工具や測定器も、事業に使い始めた時点から、取得価額に応じて経費や減価償却の対象になります。開業準備のための広告費や打合せの費用は、開業費として計上し、開業後に経費にできます。

登録電気工事業者が建設業許可を取ったら、手続きはどうなりますか?

建設業許可(電気工事業)を受けた後は、みなし登録電気工事業者として届出をします。それまでの登録の扱いを含め、手続きの順番は北海道の窓口で確認しておくと安心です。

電気工事業の確定申告はいつ、何をしますか?

令和8年分の所得税の確定申告は2027年2月16日から3月15日までです。消費税の課税事業者は、個人の場合は3月31日が申告・納付の期限になります。工事の売上・材料・外注費を月ごとに締めておくと、申告の準備が楽になります。

事業用の口座は分けたほうがいいですか?

分けることをおすすめします。元請からの入金と材料・燃料の支払を事業用の口座とカードにまとめると、記帳の手間が減り、会計ソフトの自動取込みも使いやすくなります。屋号付きの口座を作る際は、開業届の控えを求められることがあります。

まとめ

電気工事業の開業では、税務署への開業届・青色申告承認申請と、電気工事業法の登録(建設業許可があれば届出)を並行して進めます。受注したい工事の範囲から、必要な資格と登録の区分、税込500万円以上の工事に必要な建設業許可を確認しましょう。インボイスの登録と課税方式は、取引先の構成と売上の見込みで判断します。

札幌の公認会計士・税理士事務所

電気工事業の開業・税務のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ

  • 初回相談は無料(オンライン対応可)
  • フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
  • その場でご契約を迫ることはありません

対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り

出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。電気工事業の登録・建設業許可の手続きと手数料は北海道の案内でご確認ください。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次