事業承継の相談を税理士などの専門家に依頼すると、最初の相談から手続きの完了まで、おおむね数か月〜数年の期間がかかります。承継の手法(親族内承継・第三者承継・M&Aなど)や事業規模によって、その長さは大きく変わります。
スムーズな承継の第一歩は、早めに相談して現状把握から始めることです。本記事では、北海道・札幌の中小企業経営者に向けて、事業承継の相談から完了までの標準的な流れと、各ステップにかかる日数の目安を解説します。
この記事は、こんな方に役立ちます
- 相続・贈与の対策を早めに考えたい方
- 事業承継の進め方を知りたい経営者
- 何から手をつければよいか整理したい方
- 事業承継は手法(親族内・従業員・M&A)によって手続きの内容と期間が大きく異なる。
- 親族内承継でも現状把握から手続き完了まで1〜2年程度かかることが多い。
- 事業承継税制の活用には事前の計画策定と都道府県知事の認定が必要。
- 引退を考え始めたら早めに専門家に相談し、中長期の承継計画を立てることが重要。
事業承継の主な手法と相談先
事業承継には、大きく分けて3つの方向性があります。それぞれ相談先や手続きの複雑さが異なります。
- 親族内承継:後継者が家族・親族の場合。株式・事業用資産の贈与・相続が中心で、事業承継税制(贈与税・相続税の納税猶予制度)の活用も検討対象になります。
- 役員・従業員への承継(MBO等):買取資金の調達方法が重要な論点になります。金融機関や税理士との連携が必要です。
- 第三者へのM&A:外部の買い手に株式または事業を譲渡します。価格交渉・デューデリジェンス(DD)・契約書作成など手続きが多く、専門家の関与が重要です。
相談から完了までの標準的な流れ
親族内承継を例に、相談から手続き完了までの流れを示します。M&Aの場合は、後述のステップが加わります。
| ステップ | 主な内容 | 所要日数の目安 |
|---|---|---|
| ①初回相談・現状把握 | 会社の財務状況・株式構成・後継者の確認 | 1〜2か月 |
| ②承継計画の策定 | 承継方針の確定、税額シミュレーション、中長期計画 | 2〜4か月 |
| ③株式・資産の移転準備 | 株式評価、贈与契約・株主総会等の準備 | 2〜6か月 |
| ④手続きの実行 | 贈与・売買・相続等の実行、税務申告(贈与税等) | 1〜3か月 |
| ⑤事後管理 | 事業承継税制の継続届出、経営者交代の対外対応 | 継続的に |
親族内承継であっても、株式評価や税務申告を含めると全体で1〜2年程度かかることは珍しくありません。後継者が経営に慣れる期間も考慮すると、相談のタイミングは引退の5〜10年前が理想とされています。
M&Aの場合の追加ステップ
第三者へのM&A(株式譲渡や事業譲渡)では、マッチング・交渉・デューデリジェンス・最終契約という追加のステップが加わります。全体のスケジュールは、案件の規模や買い手探しの状況によって、数か月〜1年超と幅があります。
費用については、別記事「会社売却・M&A:費用はいくら?」で詳しく解説しています。
事業承継税制の活用
親族内承継や従業員承継では、一定の要件を満たすと「事業承継税制(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除の特例)」を活用できる場合があります。
この制度は要件が細かく、都道府県知事の認定や事前の計画策定(特例承継計画の提出)が必要です。適用要件や申請手続きが複雑なため、税理士・中小企業診断士などの専門家と早期に連携することが重要です。
具体例|相談を始める目安となる状況
たとえば、後継者となる子どもや親族がすでに会社の仕事に携わっている場合は、親族内承継に向けた相談を具体的に始めやすいタイミングです。相談のタイミングは引退の5〜10年前が理想とされていますが、後継者がまだ決まっていない場合や、M&Aも選択肢に含めて検討したい場合は、より早い段階からの相談が有効です。決算書の状態や自社株の評価を先に確認しておくことで、その後の方針決定がスムーズになります。
見落としやすいポイント
- 後継者本人の意思確認/経営者側の準備が進んでいても、後継者本人が承継の意思を明確にしていないまま計画が進んでしまうことがあります。早い段階で本人の意向を確認することが欠かせません。
- 個人保証・担保の引き継ぎ/会社の借入に経営者個人の保証や担保が付いている場合、承継時にその扱いをどうするかが論点になります。金融機関との事前協議が必要です。
- 議決権株式の分散/相続や贈与で株式が複数の親族に分散すると、後継者が経営権を安定して持てなくなることがあります。承継前に株式の集約方針を検討しておきます。
- 取引先・従業員への周知タイミング/承継の事実を伝えるタイミングが早すぎても遅すぎても、取引先や従業員の不安につながることがあります。社内外への周知計画もあわせて準備します。
実務ワンポイント|専門家との役割分担
事業承継では、税務は税理士、法務は弁護士、M&Aの相手探しは仲介会社というように、専門家ごとに役割が分かれることが少なくありません。誰にどこまで相談するかを早い段階で整理しておくと、手続きが重複したり、逆に対応が漏れたりすることを防ぎやすくなります。顧問税理士がいる場合は、まず全体の窓口として相談し、必要に応じて他の専門家を紹介してもらう進め方も一般的です。
まとめ
事業承継のご相談は札幌の当事務所へ
当事務所は、北海道・札幌の中小企業の事業承継を支援する税理士・公認会計士事務所です。株式評価、事業承継税制の活用、M&Aの税務支援まで対応します。
料金やご契約の流れは料金・契約・業務フローのページをご参照ください。具体的なご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
相続で早めに確認しておくこと
- 財産の一覧(不動産・預貯金・有価証券・保険)
- 借入金・未払金などの債務
- 法定相続人の確認
- 遺言の有無
- 自社株がある場合の評価と承継方針
※本記事は2026年9月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
出典・参考情報(公的機関)
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。
