マイクロ法人の設立・顧問の流れと所要日数|設計から届出までの3段階

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マイクロ法人の設立は「設計・相談→定款・登記→設立後の届出」の3段階で進み、相談から登記完了までは2〜4週間、税務と社会保険の届出まで含めると1〜2か月が目安です。流れの中で日数と成否を左右するのは最初の設計で、法人に移す事業と役員報酬のたたき台があると短縮できます。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

登記完了まで2〜4週間、届出の完了まで1〜2か月が目安です。成否を分けるのは、個人事業と法人の事業の切り分けと、役員報酬の設計です。

  • 流れは「設計・相談(1〜2週間)→定款・登記(1〜2週間)→設立後の届出(2〜4週間)」
  • 登記申請は司法書士の業務のため、税理士と司法書士が連携して進めるのが一般的
  • 法人設立届出書は設立の日以後2か月以内、役員報酬は設立から3か月以内に決める
  • 法人は役員1人でも社会保険の強制適用事業所になり、赤字でも均等割(札幌市内で最低年7万円)がかかる
  • 設立後は記帳・年末調整・決算が毎年続くため、依頼範囲は設立後の運用まで見据えて決める
目次

マイクロ法人とは?一人で運営する小さな会社

マイクロ法人とは、経営者一人あるいは家族だけで運営する小規模な会社の通称です。法律上の区分ではなく、株式会社でも合同会社でも設立できます。個人事業を残したまま事業の一部を法人に移し、役員報酬を低めに設定して社会保険料の負担を調整する、という使われ方が代表的です。

仕組みはこうです。法人から役員報酬を受けると、国民健康保険・国民年金から健康保険・厚生年金に切り替わります。保険料は法人の役員報酬(標準報酬月額)をもとに計算され、個人事業の所得は保険料の計算に含まれません。厚生年金の標準報酬月額は8.8万円が下限です。

計算例:役員報酬を月額8.8万円にした場合の社会保険料

例えば、札幌市内のマイクロ法人(協会けんぽ北海道に加入)で、40歳未満の役員の報酬を月額8.8万円とします。標準報酬月額も8.8万円とした場合の、月額の保険料(会社負担と本人負担の合計)は次のとおりです。

  • 健康保険:88,000円×10.28%=9,046.4円
  • 厚生年金:88,000円×18.3%=16,104円
  • 子ども・子育て支援金:88,000円×0.23%=202.4円
  • 合計:9,046.4円+16,104円+202.4円=25,352.8円

40歳以上65歳未満は、介護保険料(1.62%)が加わります。マイクロ法人では会社負担分も自分の会社が払うため、合計額で考えます。

ただし、実態のない法人や、個人事業とまったく同じ仕事を形だけ分けた法人は、税務上否認されるリスクを抱えます。どの事業をどう切り分けるかという最初の設計が最も重要で、税理士に相談する価値が大きい部分です。

切り分けを説明しやすい形

  • 取引先・契約・業務の内容が個人事業と異なる
  • 法人名義で契約し、請求と入金も法人の口座で行う
  • 法人の業務に必要な時間・設備・場所の使い方を示せる

否認されやすい形

  • 同じ取引先との同じ仕事を、名義だけ法人に移す
  • 経費だけを法人に付け替え、売上は個人に残す
  • 法人に実質的な業務や売上がない
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どの事業を法人に移せるか、役員報酬をいくらにするかは、取引先や契約の形で判断が分かれます。直近の確定申告書があれば、初回無料で設計の方向性を確認できます。

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税理士に依頼した場合の流れと所要日数

依頼から完了までの標準的な流れは次のとおりです。登記申請そのものは司法書士の業務のため、多くの会計事務所は提携先の司法書士と連携して一括で進めます。

依頼から完了までの流れ(所要日数の目安)
1
1 設計・相談⏱ 1〜2週間
事業の切り分け、会社形態、役員報酬の決定
2
2 定款・登記⏱ 1〜2週間
定款作成(株式会社は公証役場で認証)、法務局へ登記申請
3
3 設立後の届出⏱ 2〜4週間
税務署・道や市への設立届、年金事務所の手続き
  1. 設計・相談(1〜2週間)法人に移す事業、会社形態、役員報酬・資本金・決算月を決めます。準備するもの:直近の確定申告書、法人に移す事業の候補と主な取引先、希望する報酬月額のたたき台。
  2. 定款・登記(1〜2週間)定款を作成し(株式会社は公証役場で認証)、法務局へ設立登記を申請します。紙の定款には収入印紙が必要で、電子定款なら不要です。準備するもの:商号・本店所在地・事業目的、出資者と出資額、印鑑証明書、資本金を払い込んだ記録。
  3. 設立後の届出(2〜4週間)税務署・北海道・市への設立届、青色申告の承認申請、給与支払事務所等の開設届、年金事務所での社会保険の手続きを進め、法人の口座も開設します。準備するもの:登記事項証明書、定款の写し、出資者(社員・株主)の名簿。

設立にかかる実費の中心は登録免許税で、資本金の0.7%(最低額は株式会社15万円、合同会社6万円)です。定款認証が不要で実費を抑えられることから、マイクロ法人では合同会社も有力な選択肢になります。

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設立登記の登録免許税を計算する会社の種類と資本金の額から、設立時に納める登録免許税を確認できます。計算する

設立後の届出は期限の短いものから

設立後の届出は、提出先と期限がそれぞれ異なります。登記が完了したら、すぐに着手するのが鉄則です。

届出提出先期限
健康保険・厚生年金保険の新規適用の届出年金事務所設立後すみやかに(期限が短い)
給与支払事務所等の開設届出書税務署開設の日から1か月以内
法人設立届出書税務署設立の日以後2か月以内
青色申告の承認申請書税務署設立の日以後3か月を経過した日と、最初の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書税務署随時(提出した月の翌月末日までに通知がなければ、翌々月の納付分から適用)
法人設立の届出北海道(道税事務所)・市町村各自治体の定める期限まで
マイクロ法人の設立後に出す主な届出(2026年10月時点)

法人は役員1人だけでも健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所です。役員報酬は定期同額給与にする必要があり、設立から3か月以内に金額を決めます。消費税は、資本金1,000万円未満で設立すれば、基準期間のない設立当初は原則として免税事業者から始まります。

札幌市内で設立する場合

法人設立届出書などの提出先は、本店所在地を管轄する税務署です。市内は区ごとに5つの税務署に分かれ、書面で郵送する場合は2026年7月10日から札幌業務センターが送付先です(e-Taxや窓口への持参は所轄署)。

市の特定創業支援等事業では、市内の指定の支援機関から1か月以上・4回以上、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野の支援を受けて証明書を取得します。証明書があると登録免許税が半分(株式会社15万円→7.5万円、合同会社6万円→3万円)になり、証明書の有効期限は2027年3月31日です。

さっぽろ新規創業促進補助金(募集期間2026年4月1日〜2027年3月31日)は、株式会社75,000円・合同会社30,000円で、設立から90日以内か2027年3月31日の早い日までに申請します。すでに個人事業を営んでいる方が対象になるかは、事業の内容や時期によって異なるため、窓口で確認してください。

日数が延びる原因と短縮のコツ

予定より日数が延びる典型は三つあります。会社名や事業目的が決まらない、印鑑証明書など必要書類の取得が遅れる、役員報酬の金額で迷う、というものです。初回相談までに、法人へ移す事業の候補と希望する報酬月額のたたき台を用意しておくと、最短ルートで進められます。

具体例:講師業と執筆業だけを法人に移す場合

例えば、年商1,200万円の個人事業主が、講師業と執筆業だけを法人へ移すケースです。取引先も契約も別々で切り分けが明確なため、設計は一度の面談でほぼ固まり、相談から登記完了まで3週間ほどで収まる見込みです。

反対に、同じ取引先との仕事を個人と法人に分ける場合は、契約の切り直しや取引先との調整が必要になり、設計の段階で日数がかかります。

設立日と決算月も早めに決めておきます。会社は法務局に登記を申請した日が設立日になるため、法務局が閉庁している土日・祝日は設立日にできません。決算月は、本業の繁忙期と決算・申告の時期が重ならない月を選ぶと、2か月以内の申告準備に余裕が生まれます。

  • 商号(会社名)・本店所在地・事業目的
  • 資本金の額と出資者の構成
  • 決算月(繁忙期を避けると申告が楽)
  • 役員構成と任期(合同会社は任期の定めがない)
  • 設立日(法務局の開庁日)
  • 役員報酬の月額のたたき台

自分でやるか、税理士に頼むか

設立手続きだけなら、書類作成サービスを使って自力で進めることも可能です。ただしマイクロ法人は設立後の運用が本番です。役員報酬の見直し時期、個人事業との経費の区分、法人の決算申告など、判断を誤ると狙っていたメリットそのものが消えてしまいます。

比べる点自分で設立する税理士(+司法書士)に依頼する
費用実費だけで済む実費に加えて報酬がかかる(依頼範囲で変わる)
手間と日数書類の作成と窓口対応を自分で行う必要書類をそろえれば、手続きは任せられる
設計の確認事業の切り分けや報酬の妥当性を自分で判断する税・社会保険の両面から事前に確認できる
届出の漏れ期限の異なる届出を自分で管理する設立直後の届出をまとめて進められる
設立後の運用記帳・年末調整・決算申告を自分で行う顧問契約で年間を通じて確認できる
マイクロ法人を自分で設立する場合と依頼する場合の違い

設立は自分で進め、設計の確認と設立後の記帳チェック・決算申告を税理士に任せる分担もあります。少なくとも設立前に一度は税理士の目を通しておくと、後から法人を畳むような遠回りを避けやすくなります。なお、当事務所は決算・申告だけのスポット依頼はお受けしておらず、設立後は継続的な顧問契約で、役員報酬の見直しや個人事業との区分を年間を通じて確認しています。

設立後の顧問で毎年続くこと

マイクロ法人を持つと、法人と個人事業の両方の税務の予定が毎年続きます。主なものを時期ごとに並べると次のとおりです。

時期法人個人事業
毎月記帳、役員報酬の支払と源泉所得税の納付(翌月10日。納期の特例なら7月10日と翌年1月20日)記帳(法人との経費の区分を確認)
期首から3か月以内役員報酬の改定(定期同額給与)—
12月〜翌年1月年末調整、法定調書・給与支払報告書の提出(令和8年分は2027年2月1日)、償却資産の申告(毎年1月31日。休日は翌開庁日)事業用の資産があれば償却資産の申告
2月16日〜3月15日—所得税の確定申告(令和8年分は2027年2月16日〜3月15日)
事業年度終了から2か月以内法人税・消費税・地方税の申告と納付—
マイクロ法人と個人事業の主な年間の税務(2026年10月時点)

個人事業の年間の予定は個人事業主の年間スケジュールで確認できます。社会保険料の改定や最低賃金など労務の変更点は、人事労務・社会保険の最新情報にまとめています。

よくある質問

個人事業を続けたまま、マイクロ法人を作ってもよいですか?

できます。個人事業を続ける場合は廃業届を出す必要はありません。ただし、法人と個人事業で何を分担するかを契約・請求・口座の面で区別し、法人と個人の間で取引をする場合は適正な対価にしておくことが前提です。

株式会社と合同会社のどちらがよいですか?

設立の実費を抑えたいなら合同会社です。定款の認証が不要で、登録免許税の最低額も6万円(株式会社は15万円)です。決算公告の義務や役員の任期もありません。取引先への見え方や将来の出資の受け入れを重視するなら、株式会社も検討します。

個人のインボイス登録番号を法人でも使えますか?

使えません。法人は個人とは別の事業者のため、法人として登録の申請が必要です。個人事業の登録はそのまま残るので、それぞれの取引先にどちらの番号で請求するかを整理しておきます。

設立と顧問の費用はどのくらいかかりますか?

登録免許税などの実費に加えて、専門家の報酬は依頼範囲(設計の相談、登記、届出、設立後の顧問)によって変わります。費用が決まる要素はマイクロ法人の設立・顧問の費用の内訳で整理しています。

まとめ

マイクロ法人の設立は、設計・相談、定款・登記、設立後の届出の3段階で、登記完了まで2〜4週間、届出完了まで1〜2か月が目安です。日数と効果を左右するのは最初の事業の切り分けと役員報酬の設計で、たたき台を用意しておくと短縮できます。設立後は法人と個人事業の両方の税務が毎年続くため、運用まで見据えて依頼範囲を決めましょう。

札幌の公認会計士・税理士事務所

マイクロ法人の設立・顧問のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ

  • 初回相談は無料(オンライン対応可)
  • フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
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対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り

出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂

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