税理士の変更は「新しい税理士を決める→今の契約を解約する→書類とデータを引き継ぐ」の流れで進め、全体の必要日数は数週間〜1か月が目安です。成否を分けるのは解約予告期間の確認と時期の選び方で、法人なら申告書を提出した直後が最も移りやすいタイミングです。
この記事の結論
引き継ぎ自体は数週間〜1か月ほどで完了しますが、変更のタイミング選びが成否を分けます。順序を守れば、記帳や申告を止めずに移行できます。
- 「新任決定→解約→引き継ぎ」の順で進め、先に解約しない
- 全体の必要日数は数週間〜1か月が目安。解約予告期間があればその分を見込む
- 変更のベストタイミングは申告書の提出直後。決算の3か月前から申告までは避ける
- 元帳・申告書の控え・届出書の控え・会計データ・e-Taxの利用者識別番号を受け取る
- 札幌では所轄の税務署と、書面の郵送先(札幌業務センター)も新しい税理士と確認する
税理士変更の基本的な流れ
税理士の変更は、思い立ってすぐ完了するものではありません。新しい税理士を探し、現在の契約を解約し、書類を引き継ぐという流れになり、工程ごとの日数の目安は次の図のとおりです。
図の4つの工程を細かく分けると、次の5つのステップになります。
- 新しい税理士を探し、面談・見積もりを受ける依頼したい範囲(記帳・決算・申告・給与)と、引き継ぎの段取り、業務を始められる時期を確認します。
- 新しい税理士と契約を結ぶ契約の開始月と、どの決算・申告から担当してもらうかを決めます。
- 現在の税理士へ解約を申し入れる契約書の解約予告期間に沿って、書面やメールで解約日を伝えます。
- 前任者から書類・データの返却を受ける返却してほしい書類のリストを先に渡し、帳簿・申告書の控え・会計データなどを受け取ります。
- 新しい税理士へ引き渡し、業務を開始する新しい税理士が期首の残高や届出の状況を確認し、記帳と申告を引き継ぎます。
ポイントは、解約を申し入れる前に新しい税理士を決めておくことです。先に解約してしまうと、その間の経理や申告が滞るおそれがあります。たとえば月次の記帳を依頼している場合、空白期間ができると後でまとめて対応する負担が生じます。新しい税理士との面談で、引き継ぎの段取りや必要書類、いつから業務を開始できるかまで擦り合わせておけば、移行後すぐに通常どおりの経理体制に戻せます。
変更にかかる必要日数の目安は?
変更にかかる日数は、面談から業務開始まで含めておおむね数週間〜1か月が目安です。工程ごとの所要日数を整理しました。
| 工程 | 所要日数の目安 |
|---|---|
| 新しい税理士の選定・面談 | 1〜2週間 |
| 契約手続き | 数日 |
| 解約申し入れ〜書類返却 | 2週間〜1か月 |
| 引き継ぎ・業務開始 | 数日〜1週間 |
注意したいのは、契約書に「解約予告期間」が定められている場合です。たとえば「解約は3か月前までに通知」とあれば、その期間を見込む必要があります。まず現在の契約書を確認することが、日数を正しく見積もる第一歩です。契約書では、解約予告期間のほかに次の点も見ておきます。
- 解約予告期間と、解約の伝え方(書面かどうか)
- 月額報酬の締め日と、前払いしている報酬の精算方法
- 決算の報酬の扱い(事業年度の途中で解約した場合にどうなるか)
- 書類・データの返却についての定め
- 会計ソフトの契約がだれの名義か(前任の事務所の名義なら、解約前にデータを書き出す)
変更のベストタイミングはいつ?
変更のタイミングで最もおすすめなのは、法人税や消費税の申告書を提出した直後です。年度内の業務を事務所間で引き継ぐ必要がなく、移行がスムーズになります。反対に、決算の3か月前から申告までの時期は、前任者が年間の業務を総括して決算書を作る大切な時期にあたるため、変更は避けるのが無難です。
| 区分 | 変更しやすい時期 | 避けたい時期 |
|---|---|---|
| 3月決算の法人 | 5月末の申告後、6月〜8月あたり | 決算の3か月前から5月末の申告まで |
| 12月決算の法人 | 2月末の申告後 | 決算の3か月前から2月末の申告まで |
| 個人事業主 | 確定申告が終わった春以降 | 年末から確定申告の期限(3月15日)まで |
| 給与計算・年末調整も依頼している場合 | 年末調整より前 | 11月〜1月(年末調整・法定調書・償却資産申告が重なる時期) |
期中に変えるなら「月の区切り」を決める
やむを得ず事業年度の途中で変える場合は、前任者がどの月まで記帳したかを確かめ、月の区切りで引き継ぎます。前任の処理分と新任の処理分の境目があいまいだと、決算で取引の二重計上や漏れが起きやすくなります。
前任の税理士から受け取る書類は?
前任者から返却を受ける主な書類は次のとおりです。これらがそろわないと、新しい税理士が業務を始められません。帳簿や申告書の控えは会社のものなので、遠慮せずに返却を依頼しましょう。
| 書類・データ | 主な中身 | 新しい税理士が使う場面 |
|---|---|---|
| 帳簿 | 総勘定元帳・仕訳帳・試算表・固定資産台帳 | 期首の残高の確認、減価償却の継続 |
| 申告書・決算書の控え | 法人税・消費税・地方税の申告書、決算書、勘定科目内訳書 | 繰越欠損金や中間申告の確認、前期との比較 |
| 届出書の控え | 税務代理権限証書、青色申告の承認申請書、消費税の届出書(簡易課税の選択など)、インボイスの登録通知、源泉所得税の納期の特例の承認申請書 | どの制度を選んでいるかの確認 |
| 電子申告の情報 | e-Taxの利用者識別番号、eLTAXの利用者ID | 電子申告と、過去の送信内容の確認 |
| 会計データ | 会計ソフトのデータ、または仕訳データの書き出し | 記帳の継続 |
| 給与関係 | 給与台帳・源泉徴収簿・年末調整の資料 | 給与計算と年末調整の継続 |
| 税務調査の記録 | 調査の通知、指摘事項、修正申告の控え | 過去の指摘の再発防止 |
受け取り忘れやすい3つのもの
- 会計ソフトのデータ:前任の事務所の名義で契約しているソフトは、解約するとデータを開けなくなることがあります。解約日より前に書き出しておきます。
- e-Tax・eLTAXの番号:電子申告や過去の送信内容の確認に使います。暗証番号の管理方法も確認します。
- 消費税の届出書の控え:簡易課税の選択やインボイスの登録の状況は、申告の方法を左右します。
札幌で税理士を変えるときに確認したい手続き
札幌市とその周辺の会社・個人事業主が税理士を変えるときは、所轄の税務署と書類の出し方を新しい税理士と確認しておくと、届出の出し直しや郵送先の誤りを防げます。所轄の税務署は、本店や納税地の住所で決まります。
| 税務署 | 主な管轄 | 電話 |
|---|---|---|
| 札幌中税務署 | 中央区の一部(おおむね西10丁目以東) | 011-231-9311 |
| 札幌北税務署 | 北区・東区・石狩市・石狩郡 | 011-707-5111 |
| 札幌南税務署 | 豊平区・南区・清田区・千歳市・恵庭市・北広島市 | 011-555-3900 |
| 札幌西税務署 | 中央区の一部(大通西11丁目以西・円山・宮の森・伏見・旭ケ丘・中島公園など)・西区・手稲区 | 011-666-5111 |
| 札幌東税務署 | 白石区・厚別区・江別市 | 011-897-6111 |
書面の届出は札幌業務センターへ郵送
2026年7月10日から、札幌の5つの税務署の内部事務は札幌業務センターに集約されています。書面で出す申告書や届出書は、〒060-8510 札幌市中央区大通西10丁目 札幌第2合同庁舎の札幌業務センターへ郵送します。
e-Taxでの提出と、窓口への持参は所轄の税務署です。前任と新任のどちらが、いつ、どの方法で提出するかを引き継ぎの段階で決めておきましょう。
国税のほかに、札幌市・北海道への手続きの担当も決めておきます。固定資産税の償却資産申告は毎年1月31日(休日は翌開庁日)、給与支払報告書は令和8年分が2027年2月1日の提出です。法人市民税・法人道民税の申告も含め、年をまたぐ時期に変更する場合は、前任と新任のどちらが担当するかを書面で確認しておくと漏れを防げます。
スムーズに乗り換えるための進め方と相談先
変更を円滑に進めるコツは、「新任決定→解約申し入れ→書類引き継ぎ」の順序を守ることです。前任者への伝え方も、感情的にならず事務的に進めると角が立ちません。「経営方針の見直しのため」など、当たり障りのない理由を一言添えれば十分です。書類の返却リストを事前に共有しておくと、漏れを防げます。
新しい税理士との面談では、次の点を確認しておくと、変更した後の「思っていたのと違った」を防げます。
- 依頼できる範囲(記帳・決算・申告・給与計算・年末調整)
- 使う会計ソフトと、データの受け渡し方法
- 連絡の手段と頻度、担当者がだれか
- 報酬の決まり方(月額の報酬と決算時の報酬、解約の条件)
- 引き継ぎを始める時期と、最初に担当してもらう申告
- 電子申告や電子帳簿保存への対応
当事務所は、継続的な顧問契約で記帳・決算・申告を支援しており、決算・申告だけのスポットのご依頼はお受けしていません。前任の事務所からの書類の受け取りからデータの移行まで、引き継ぎの段取りを一緒に組み立てます。進め方は料金・契約・業務フローで、顧問の内容は会計・税務顧問のサービス内容でご確認いただけます。
「今のタイミングで変えてよいか」というご相談だけでも歓迎です。決算月と契約書の内容から、無理のない切り替え時期を初回無料でご提案します。
無料で相談するよくある質問
事業年度の途中でも税理士を変えられますか?
変えられます。前任者がどの月まで記帳したかを確認し、月の区切りで引き継げば、決算への影響を抑えられます。ただし決算の3か月前から申告までの時期は、前任者の作業がもっとも多い時期なので、できれば避けましょう。
前任の税理士が書類を返してくれないときはどうすればよいですか?
帳簿や申告書の控えは会社のものなので、返却してほしい書類のリストを書面で渡し、期日を決めて依頼します。会計ソフトのデータが自社でも書き出せるか、e-Taxの番号を自社で管理できているかも確認しておくと、返却を待つ間の影響を小さくできます。
税務調査の途中で税理士を変えても大丈夫ですか?
変えることはできますが、調査官とのやり取りの経緯を知る人が変わるため、対応が途切れるおそれがあります。できれば調査が終わってから変更し、途中で変える場合は、調査の通知・提出した資料・指摘事項のメモをすべて新しい税理士に引き継ぎます。
税理士を変えたら、税務署に届け出る必要がありますか?
納税者から「税理士を変えた」という届出をする決まりはなく、新しい税理士が申告などの際に税務代理権限証書を提出します。どの申告から新しい税理士が担当するかを決めておけば、手続きで迷うことはありません。
税理士を変えると、費用はどう変わりますか?
前任者への解約月までの報酬の精算と、新しい事務所の報酬で決まります。新しい事務所の報酬は、取引量や記帳の方法、依頼する範囲で変わるため、面談で見積もりを確認しましょう。費用の内訳は税理士変更の費用の内訳と決まり方で解説しています。
まとめ
税理士の変更は「新任決定→解約→引き継ぎ」の順で進め、全体の必要日数は数週間〜1か月が目安です。契約書の解約予告期間を最初に確認し、申告書を提出した直後のタイミングで切り替えると、業務を止めずに移行できます。元帳・申告書と届出書の控え・会計データ・電子申告の番号を受け取り、札幌では所轄の税務署と札幌業務センターへの書面の出し方も確認しておきましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
税理士の変更・引き継ぎのご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂
