資産管理会社の設立の流れと所要日数|設計・登記・届出・資産移転の4段階

  • URLをコピーしました!

資産管理会社の設立は、設計・登記・届出・資産移転の4段階で考えると流れがつかみやすく、登記完了までは2〜3週間、資産の移転まで含めると1〜2か月程度が目安です。段取りを知らずに登記だけを急ぐと、株主構成や資産の移し方を後から直すことになり、思わぬ税負担が生じることもあります。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

設立の流れは「設計→登記→届出→資産移転」の4段階で、全体で1〜2か月が目安です。最も時間をかけるべきなのは、やり直しの難しい設計段階です。

  • 設計(1〜2週間):移す資産・株主構成・会社の種類・資本金・決算期を決める
  • 登記(申請から完了まで1〜2週間):合同会社なら定款認証が不要で、早く安く設立できる
  • 届出と口座開設(2〜4週間):青色申告の承認申請には期限があるため、設立後すぐに出す
  • 資産移転(別スケジュール):譲渡所得・不動産取得税・登録免許税と、ローンの調整を検討する
目次

資産管理会社の設立は4段階・1〜2か月が目安

不動産や有価証券が増えてくると、資産管理会社の設立を検討する場面が出てきます。ただ、設立を決めてから会社が実際に動き出すまで、どんな流れで何日かかるのかは意外と知られていません。全体像をつかんでから動くことが、無駄な負担を避ける第一歩です。

  1. 設計(1〜2週間)どの資産を、誰の持分で管理するかを決めます。準備するのは、移したい資産の一覧(不動産の登記事項証明書や保有株式の明細など)、借入金の返済予定表、株主・役員にしたい人の情報です。
  2. 登記(登記完了まで2〜3週間)定款の作成・認証、資本金の払込み、法務局への設立登記の申請を行います。発起人・役員の印鑑証明書、会社の実印、資本金を払い込む口座を用意します。
  3. 届出と口座開設(2〜4週間)税務署・道・市への届出を出し、法人口座を開きます。登記事項証明書、定款の写し、事業内容を説明する資料が必要です。
  4. 資産の移転(別スケジュール)売買や現物出資で資産を会社に移します。不動産なら売買契約、所有権移転登記、金融機関との抵当権の調整などで1か月以上かかることもあります。

設計段階で何を決める?(目安1〜2週間)

最初に決めるのは「どの資産を、誰の持分で管理するか」という設計です。移す資産の棚卸し、株主を本人だけにするか配偶者や子を入れるか、株式会社と合同会社のどちらにするか、資本金や決算期をどうするか。ここで会社の性格がほぼ決まります。

特に株主構成は、将来の相続や贈与に直結する、やり直しの難しい論点です。子を株主に入れるなら、出資金は子自身の資金で払い込みます(親が出すと贈与や名義株の問題になります)。設計段階から税理士を交えると、移転コストや将来の税負担まで含めた比較検討ができます。

  • 商号(会社名)・本店所在地・事業目的(将来管理する資産の種類も含めて広めに)
  • 会社の種類:合同会社は社員が亡くなると原則として退社になるため、相続人が持分を引き継げるよう定款に定めておく
  • 資本金の額と出資者の構成:資本金1,000万円以上だと設立1期目から消費税の課税事業者になり、1,000万円を超えると均等割も上がる
  • 決算月:繁忙期を避けると申告が楽。設立日とあわせて最初の事業年度の長さも確認する
  • 役員構成と任期:株式会社の取締役は原則2年(株式の譲渡制限がある会社は定款で最長10年)、合同会社は任期の定めがない
  • 資産を移す方法と時期:管理委託・転貸・所有のどれにするか、所有に移すなら売買か現物出資か

資産管理会社・持株会社に関わる制度の動きは、資産管理会社・持株会社の経営に役立つ最新情報にまとめています。

設立登記までの流れと日数の目安

依頼から完了までの流れ(所要日数の目安)
1
基本事項の決定⏱ 数日
商号・本店・役員・資本金を確定
2
定款の作成・認証⏱ 3日〜1週間
株式会社は公証役場で認証を受ける
3
出資金の払込⏱ 1日
発起人の口座に資本金を入金
4
設立登記の申請⏱ 1日
法務局に申請(申請日が設立日)
5
登記完了⏱ 申請から1〜2週間
登記事項証明書・印鑑証明書の取得
工程内容日数の目安準備・注意点
基本事項の決定商号・本店・役員・資本金を確定数日設計段階の結論を反映する
定款の作成・認証株式会社は公証役場で認証を受ける3日〜1週間合同会社は認証不要。電子定款なら印紙代4万円が不要
出資金の払込発起人の口座に資本金を入金1日定款の作成後に払い込み、通帳の写しを登記に使う
設立登記の申請法務局に申請(申請日が設立日)1日法務局が閉庁している土日祝日は設立日にできない
登記完了登記事項証明書・印鑑証明書の取得申請から1〜2週間届出や口座開設に証明書を使う
設立登記までの工程と日数の目安(法務局・公証役場の混み具合で前後します)

合同会社は定款認証が不要なため、株式会社より早く、設立実費も抑えられます。外部との取引が少ない資産管理会社では、合同会社を選ぶ例も多くあります。設立登記の登録免許税は資本金の0.7%で、最低額は株式会社15万円、合同会社6万円です。

無料
ツール
登録免許税を登記の種類別に計算する会社の設立登記や、不動産の所有権移転登記などの登録免許税の目安を計算できます。計算する

設立後の届出と口座開設にかかる期間は?(2〜4週間)

登記が終わったら、税務署へ法人設立届出書や青色申告の承認申請書を提出します。青色申告の承認申請には提出の期限があるため、設立後すみやかに出すのが安全です。道や市への届出も忘れずに行います。

届出提出先期限
法人設立届出書税務署設立の日以後2か月以内
青色申告の承認申請書税務署設立の日以後3か月を経過した日と、最初の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで
給与支払事務所等の開設届出書税務署役員報酬などの支払いを始める場合、開設の日から1か月以内
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書税務署任意(給与の支払いを受ける人が常時10人未満の場合)。提出した月の翌月末日までに通知がなければ、翌々月の納付分から特例が適用
法人設立の届出北海道・市町村道・市町村の定める期限(各窓口の案内で確認)
社会保険の新規適用の届出年金事務所役員報酬を払う場合(法人は役員1人でも強制適用)
設立後の主な届出(2026年10月時点)

納期の特例を受けると、源泉所得税を1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日にまとめて納められます。家族だけで運営する資産管理会社では、毎月の納付の手間を減らせます。

並行して法人口座を開設します。資産管理会社は事業実態が外から見えにくく、金融機関の審査で事業内容の説明資料を求められることがあります。口座開設には数週間かかる前提でスケジュールを組みましょう。設立後の記帳や会計処理の基本は、中小企業の経理・会計処理ガイドで確認できます。

札幌市内に本店を置く場合の提出先

税務署への届出は、本店所在地を管轄する税務署に出します。市内は区ごとに5つの税務署に分かれ、中央区はおおむね西10丁目以東が札幌中税務署、大通西11丁目以西や円山・宮の森などが札幌西税務署の管轄です。個別の住所は国税庁の管轄区域の案内で確認してください。

2026年7月10日からは5署の内部事務が札幌業務センターに集約され、書面を郵送で出すときの送付先は同センターになっています(e-Taxや窓口への持参は所轄の税務署)。

資産の移転は別スケジュールで考える

会社の設立はゴールではなく、資産を移してはじめて機能します。不動産を移す方法には売買や現物出資などがあり、登録免許税・不動産取得税のほか、個人側の譲渡所得の検討が必要です。例えば賃貸マンション2棟を法人への売買で移す場合、売買契約、所有権移転登記、金融機関の抵当権の調整などで1か月以上かかることも珍しくありません。

かかる税金負担する人主な内容(2026年10月時点)
譲渡所得税個人売却益に対して、その年の1月1日時点で所有期間5年超なら合計20.315%、5年以下なら39.63%
不動産取得税会社北海道では土地・住宅3%、住宅以外の家屋4%。宅地は課税標準が2分の1(2027年3月31日までの取得)
登録免許税会社所有権移転登記にかかる。土地の売買は1.5%(2029年3月31日まで)
消費税個人(課税事業者の場合)建物の売却代金にかかる。土地は非課税
不動産を会社に移すときの主な税金

売買価格は時価を基準に決めます。時価の2分の1未満で会社に売ると、時価で売ったものとみなして譲渡所得が計算されるためです。設立時に不動産を現物出資する場合も、個人側では売却と同じく譲渡所得の対象になり、出資する財産の価額について税理士などの証明や検査役の調査が必要になることがあります。

非上場株式を移す場合は譲渡価額の算定が必要で、評価方法によって税負担が変わります。移転方法の選択は税額に直結するため、この部分こそ専門家と一緒に進めることをおすすめします。不動産と資産税の疑問は、不動産・資産税 税理士によくある質問にもまとめています。

売買か現物出資か、いつ移すかで、税金とスケジュールは大きく変わります。物件ごとの試算は初回無料のご相談で確認できます。

無料で相談する

具体例:設立から口座開設までのスケジュール感

具体例:設計から法人口座の開設まで

例えば、設計に2週間、登記の申請から完了までに2週間、届出や法人口座の開設に3週間をかけて進めるケースでは、着手から口座開設までに2週間+2週間+3週間=7週間ほどを見込むことになります。

ここに不動産や株式の移転作業が加わるため、会社を実際に機能させるまでには、さらに時間の余裕を見ておくと安心です。

スケジュールを逆算するときは、決算月と最初の事業年度の長さ、資産を移したい時期、金融機関の審査期間を一緒に並べます。例えば物件の移転を年の途中に行うと、その年の不動産所得は移転日を境に個人と会社に分かれるため、個人の確定申告と会社の決算の両方で日割りの整理が必要になります。

特定創業支援等事業を使うなら、その期間も足す

札幌市内で会社を設立する創業者は、市内の支援機関(札幌中小企業支援センター・札幌商工会議所)で特定創業支援等事業の支援(1か月以上・4回以上、4分野)を受けて証明を受けると、設立登記の登録免許税が0.7%から0.35%に軽減されます。受講の期間が登記の前に加わるため、使う場合はスケジュールの最初に組み込みます。対象は創業者に限られるので、すでに個人で不動産賃貸業を営んでいる場合などは、対象になるかを事前に窓口で確認してください。

見落としやすいポイント

見落としやすい点起きること防ぎ方
定款の事業目的の範囲管理する資産の種類を増やすたびに定款変更の手間がかかる将来の可能性も含め、設計段階で事業目的を広めに記載する
役員報酬と社会保険報酬を払うと、役員1人でも健康保険・厚生年金に加入し、会社と本人に保険料の負担が生じる税負担だけでなく社会保険料も含めてメリットを試算し、報酬は設立から3か月以内に決める
ローンが残る不動産の移転可否金融機関の同意なしに法人へ移せず、移転そのものが難しくなることもある設計段階で金融機関に方針を確認し、借り換えの要否を詰める
複数士業との連携登記は司法書士、税務は税理士と依頼先が分かれ、担当の漏れが出る誰がどこまで担当するのか、依頼前に役割分担を確認する
青色申告の承認申請の期限期限を過ぎると最初の事業年度が白色申告になり、赤字を翌期以後に繰り越せない法人設立届出書と同時に提出する
資産管理会社の設立で見落としやすい点と防ぎ方

依頼前に整理しておきたいこと

資産管理会社の設立を依頼する際は、次の資料と情報を整理しておくと、設計段階の打ち合わせがスムーズに進みます。

  • 移したい資産の一覧(不動産の登記事項証明書、固定資産税の課税明細、保有株式の明細など)
  • 物件ごとの家賃収入・経費がわかる直近の確定申告書と収支内訳
  • 借入金の返済予定表と、借入先の金融機関
  • 株主・役員にしたい人と本人との関係
  • 将来、管理を引き継ぐ予定の有無と、相続について考えていること

急いで登記だけを先に済ませると、あとから設計を見直すことになりかねないため、順序を意識して進めることをおすすめします。当事務所は設計から設立後の記帳・決算・申告まで継続的な顧問契約で支援しており、料金の決まり方は料金・契約の流れでご確認いただけます。

よくある質問

設立日は好きな日を選べますか?

設立日は法務局に設立登記を申請した日になるため、法務局が閉庁している土日祝日や年末年始は設立日にできません。特定の日を設立日にしたい場合は、定款の認証や資本金の払込みをその日までに終え、当日に申請できるよう逆算します。

設立してすぐに役員報酬を決める必要がありますか?

報酬を払う場合は、設立から3か月以内に額を決め、毎月同じ額を払うのが原則です(定期同額給与)。報酬を払わない設計も可能で、その間は原則として社会保険の被保険者になりません。報酬の有無と額は、所得の分散と社会保険料の負担を比べて決めます。

入居者がいる物件を会社に移すとき、入居者の同意は必要ですか?

売買で会社の所有に移す場合、入居者が引渡しを受けている通常の賃貸借なら、貸主の地位は入居者の同意なしに会社へ移り、敷金を返す義務も会社が引き継ぎます。会社が家賃を請求するには所有権移転の登記が必要で、入居者には振込先の変更を通知します。転貸方式に切り替える場合は、入居者や管理会社との契約の見直しが必要です。

設立後の届出を出し忘れるとどうなりますか?

青色申告の承認申請書を期限までに出さないと、最初の事業年度は白色申告になり、その期の赤字を翌期以後に繰り越して所得と相殺することができません。法人設立届出書なども遅れると税務署からの書類が届かないなど手続きに支障が出るため、登記完了後すぐにまとめて提出します。

まとめ

資産管理会社の設立は、設計→登記→届出→資産移転の4段階で、全体1〜2か月が目安です。株主構成は相続・贈与に直結するため設計段階が最も重要で、合同会社なら定款認証が不要で早く安く設立できます。資産の移転には譲渡所得や不動産取得税・登録免許税の検討が欠かせず、設立そのものより設計と資産移転の進め方で結果が変わります。

札幌の公認会計士・税理士事務所

資産管理会社の設立・資産移転のご相談は、ジェイスタート会計事務所へ

  • 初回相談は無料(オンライン対応可)
  • フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
  • その場でご契約を迫ることはありません

対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り

出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(届出の期限・札幌業務センター・不動産の流通税を反映)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次