税理士費用が高いと感じたら、まず顧問料の内訳と、実際に受けているサービスとのズレを確かめます。値下げを求めるより、記帳や面談の頻度など業務範囲を組み直す形で相談すると話がまとまりやすく、それでも折り合わなければ決算・申告の完了直後に変更を検討します。
この記事の結論
「高い」の正体は、契約した業務と実際に使っている業務のズレであることが多く、内訳を分解すれば見直す場所がわかります。交渉は業務範囲の再設計として持ちかけ、変更するなら決算・申告の完了直後が最もスムーズです。
- 契約書と直近1年分の請求書で、月額顧問料・決算料・記帳代行・給与計算などの内訳を確認する
- 記帳の自社化、面談のオンライン化、年末調整の社内対応など、相手の作業量が減る提案は受け入れられやすい
- 変更する場合は、解約予告の条項と、申告書の控え・総勘定元帳・固定資産台帳・届出書の控えの返却を確認する
- 次の依頼先は、料金と業務範囲が書面で明確か、レスポンスの速さ、業種への理解で選ぶ
税理士費用が「高い」と感じる原因は?まず内訳を分解する
顧問料には、面談や訪問、記帳代行、給与計算、年末調整、決算・申告など複数のサービスが含まれています。何にいくら払っているかを分解しないまま乗り換えると、新しい契約でも同じ不満を繰り返しがちです。まず契約書や請求書で内訳を確かめ、実際に利用しているサービスと照らし合わせます。
| 費用の項目 | 何に対する対価か | 見直しの視点 |
|---|---|---|
| 月額顧問料 | 毎月の相談、試算表の確認、税務の判断 | 面談の回数や相談の頻度が契約と合っているか |
| 記帳代行料 | 領収書・通帳からの仕訳の入力 | 自社で入力している部分まで含まれていないか |
| 決算料・申告料 | 決算書と法人税・所得税などの申告書の作成 | 月額顧問料と別建てか、金額が何で決まるか |
| 給与計算・年末調整 | 毎月の給与計算、年末調整、法定調書の作成 | 従業員数の変化に合っているか、社内でできる部分はないか |
| その他の申告 | 消費税の申告、償却資産の申告など | いまの事業に必要な申告だけになっているか |
| 臨時の業務 | 税務調査の立会い、融資の資料作成など | どこからが別料金かが事前に決まっているか |
月次訪問の契約なのに年に数回しか会っていない、記帳代行込みなのに自社でクラウド会計に入力しているといったズレが、「高い」と感じる正体であることが多いものです。会社の規模や取引量が契約当時から変わっていれば、適正な水準も変わっています。
見直しのきっかけになるサイン
- 契約したときより、売上や取引の件数が大きく増えた(または減った)
- 事業の内容や店舗の数が変わった
- 担当者の交代が続き、毎回の説明の手間が増えた
- 規模がほとんど変わらないのに、提示される金額だけが上がった
- 契約から数年たち、依頼している業務そのものが当時と変わっている
取引が増えて作業量が増えているなら、金額が上がるのは自然なことです。逆に、規模が変わらないのに金額だけが上がっている場合は、値上げの理由を確認してみる価値があります。
交渉の前に、契約内容と実際の利用を照らし合わせる
見直しを切り出す前に、直近の請求書と実際に受けたサービスを書き出して照らし合わせておくと、話し合いの場で具体的な要望を伝えやすくなります。次の順に確認します。
- 契約書で、月額に含まれる業務と別料金の業務を確認する
- 直近1年分の請求書を並べ、毎月の費用と年1回の費用(決算料・年末調整など)を合計する
- 実際に受けたサービス(面談の回数、試算表の受け取り、相談への回答)を書き出す
- 自社でやっている作業(入力、資料の整理、給与計算)を書き出す
- 契約したときと比べ、売上・取引の件数・従業員数・店舗数がどう変わったかを確認する
- 削りたい業務と、逆に増やしたいサポートを分けて書く
感覚的に「高い」と伝えるより、削りたい業務や増やしたいサポートを挙げたほうが、税理士側も代案を出しやすくなります。要望を紙やメールにまとめてから面談に臨むと、話が脱線しにくく、限られた時間でも結論を出しやすくなります。
交渉は値下げ要求ではなく「業務範囲の再設計」で持ちかける
単純な値下げの要求は関係がぎくしゃくしやすく、サービスの質が下がる心配もあります。相手の作業量が減る形で業務の範囲を組み直す提案なら、料金の話し合いに自然につなげられます。
| 見直しの例 | 税理士側で減る作業 | 注意点 |
|---|---|---|
| 記帳を自社で行う(会計ソフトに銀行・カードの明細を連携する) | 仕訳の入力 | 科目や税区分の誤りが多いと、確認と修正の手間が残る |
| 訪問をオンラインの面談や隔月に切り替える | 移動と訪問の時間 | 試算表の確認や相談の頻度まで落とさない |
| 年末調整・給与計算を社内で行う | 給与の計算と年末調整の書類作成 | 令和8年分は基礎控除などの改正を12月の年末調整で精算するため、改正内容の確認が要る |
| 資料の渡し方をそろえる(月ごとにデータで送る) | 資料の催促と整理 | 電子で受け取った請求書などは電子データのまま保存する |
| 毎月の確認を四半期ごとにする | 毎月の確認作業 | 決算前の対策や納税資金の準備が遅れやすい |
たとえば月次訪問と記帳代行込みの契約を、自社で記帳して年4回の面談に変えれば、作業量に見合った料金の話し合いが自然にできます。記帳を誰がどこまで行うかで迷う場合は、記帳代行プランの範囲と進め方も比べる材料になります。
無料ツール年末調整の過不足を計算する年末調整を社内で行う場合に、源泉徴収した税額と年税額の差(還付・追加徴収)を確認できます。計算する
削りすぎると、かえって高くつくことがある
相談の回数を減らすと、期限のある手続きを見落としやすくなります。例えば役員報酬(定期同額給与)の改定は原則として期首から3か月以内に行う必要があり、役員の賞与を損金にする事前確定届出給与は、株主総会などの決議の日から1か月か期首から4か月の早い日までに届け出なければなりません。範囲を減らすときは、こうした期限の管理をどちらが担うかを決めておきます。
今の契約が適正かどうかは、業務の範囲と取引量で変わります。契約書と請求書をお持ちいただければ、セカンドオピニオンとして初回無料で確認できます。
無料で相談する税理士を変更する場合のタイミングと手順
見直しても折り合わない場合は、変更を検討します。切り替えに適した時期は、決算と申告が完了した直後です。期の途中での変更は帳簿の引継ぎが複雑になり、双方の負担が増えます。
| 事業の形 | 切り替えやすい時期 | 避けたい時期と理由 |
|---|---|---|
| 法人 | 決算の申告(事業年度終了の日の翌日から2か月以内)が終わった直後 | 決算の直前・途中。帳簿の締めと申告の担当がずれる |
| 個人事業主 | 確定申告(原則3月15日まで)が終わった直後 | 申告期限の直前。前年分の資料が新旧の間で行き来する |
| 従業員がいる事業者 | 年末調整と法定調書の提出が終わった後 | 12月〜1月。年末調整、法定調書・給与支払報告書(令和8年分は2027年2月1日まで)、償却資産の申告(1月31日、休日は翌開庁日)が重なる |
- 解約予告の条項を確認する契約書で、申し出から何か月後に終了するか、途中で解約した場合の精算方法を確認します。
- 新しい依頼先を選ぶ面談で業務の範囲と見積りを確認し、引継ぎの段取りと開始する月を決めます。
- 解約を申し入れる書面かメールで伝え、今の税理士がどの期の申告まで担当するかをはっきりさせます。
- 資料を返してもらう下の一覧をもとに、返却してもらう資料をまとめて依頼します。
- 新しい税理士へ引き継ぐ返却された資料と会計データを渡し、電子申告に使う利用者識別番号などの情報も共有します。
- 過去の申告書の控え(法人税・消費税・地方税、または所得税)と決算書
- 総勘定元帳などの帳簿と、会計ソフトのデータ
- 固定資産台帳(減価償却の明細)
- 税務署・都道府県・市区町村への届出書の控え(青色申告の承認申請書、消費税の届出書、源泉所得税の納期の特例の申請書など)
- 給与計算を任せていた場合は、賃金台帳・源泉徴収簿・年末調整の資料
- 償却資産の申告書の控えと、税務調査があった場合はその記録
他の事務所に相談し始めたことを、今の税理士にいつどう伝えるかは迷うところです。資料の引継ぎもあるため、方向性だけでも早めに伝えておくと後の手続きがスムーズです。消費税の申告や年末調整など、時期によっては新旧の間に隙間ができて対応が漏れることがあるため、引継ぎの日程は具体的に決めます。手続きの詳しい流れは税理士の変更の流れと必要日数で解説しています。
次の依頼先を選ぶときに確認すること
変更で失敗しないコツは、安さだけで選ばないことです。面談では次の点を確認します。
- 料金体系と業務範囲が書面で明確になっているか(何が月額に含まれ、何が別料金か)
- 決算料が別建てか、申告以外の相談が別料金になるか
- 質問へのレスポンスの速さと、連絡の手段(メール・チャット・面談)
- 自社の業種への理解と、業種特有の論点への対応
- 記帳の方法(自社で入力するか、任せるか)と、使っている会計ソフトへの対応
- 担当者は誰か、担当が変わるときにどう引き継ぐか
複数の事務所に見積りを頼む場合は、同じ業務範囲・同じ資料で比べないと、金額の差を正しく比較できません。何を含めた金額かをそろえて聞くことが大切です。料金プランを公開している事務所なら、契約前に範囲と金額の対応関係を確かめられるため、契約してから「思っていたのと違う」となるリスクを減らせます。
当事務所は、業務の範囲ごとの料金を料金・契約・業務フローで公開しています。継続的な顧問契約で月次の確認から決算・申告まで支援しており、決算や申告だけのスポットのご依頼はお受けしていません。
見直し・変更でよくある失敗と防ぎ方
| よくある失敗 | 原因 | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| 安さで乗り換えたが、記帳の誤りや連絡の遅れで手間が増えた | 業務の範囲と体制を確かめず、金額だけで比べた | 同じ範囲で見積りを取り、面談で担当者と連絡の方法を確認する |
| 期の途中で変え、決算の作業が混乱した | 切り替えの時期を決算と合わせなかった | 決算・申告の完了直後に切り替える |
| 旧契約と新契約の費用が重なった | 解約予告の期間を見落とした | 申し入れの前に予告期間と精算の方法を確認する |
| 届出書の控えがなく、青色申告や消費税の届出の状況がわからない | 返してもらう資料を決めていなかった | 返却資料の一覧を作って依頼する |
| 年末調整や消費税の申告が、新旧どちらの担当か曖昧なまま漏れた | 切り替え時期の業務の分担を決めていなかった | 旧税理士が最後に行う業務を書面で確認する |
費用の見直しは、会社の経理の仕組みを見直す機会でもあります。月次の数字の確認や決算前の準備がいまの体制で回っているかは、経理・決算セルフチェックで確かめられます。
よくある質問
顧問料を下げると、税務調査の立会いはしてもらえなくなりますか?
契約の内容しだいです。立会いを月額に含める事務所もあれば、別料金とする事務所もあります。範囲を見直すときに、調査があった場合の対応と費用の扱いを書面で確認しておきましょう。
税理士を変えたことを、税務署に届け出る必要はありますか?
会社や個人事業主が別に届け出る手続きは通常ありません。新しい税理士が申告書などと一緒に税務代理権限証書を提出します。電子申告に使う利用者識別番号などの情報は、新しい税理士に引き継いでください。
期の途中でも税理士を変えられますか?
変えられますが、どの月までの記帳を誰が行うかの区切りを決め、帳簿の残高と会計データを漏れなく引き継ぐ必要があります。決算の直前に変えると引継ぎの時間が足りなくなるため、時期に余裕を持たせます。
今の税理士に、乗り換えを考えていることをどう伝えればよいですか?
不満を並べるより、業務範囲や費用の考え方が合わなくなったことを率直に伝えるほうが、資料の返却や引継ぎに協力してもらいやすくなります。伝える前に、返してもらう資料の一覧と、最後に担当してもらう申告の範囲を整理しておきます。
まとめ
税理士費用が高いと感じたら、まず内訳を分解し、契約した業務と実際に使っている業務のズレを確かめます。交渉は値下げではなく業務範囲の再設計として持ちかけ、期限の管理など削ってはいけない部分を残します。変更するなら決算・申告の完了直後に、解約予告と返却資料を確認して進めましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
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- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂
