鳶・鉄筋・土工の税務で税理士に確認したい5つの論点と顧問料の決まり方

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鳶・鉄筋・土工の会計・税務で税理士に確認したいのは、人工代の外注費・給与の区分、一人親方への支払とインボイス、消費税の事業区分、足場材や車両の償却、冬場の資金繰りの5点です。税理士選びでは、これらに具体的に答えられるかと、任せる範囲・顧問料が決まる要素を面談で確かめます。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

鳶・鉄筋・土工の税務で最大の論点は、人工代が外注費か給与かの区分です。この論点とインボイス・消費税・冬場の資金繰りに具体的に答えられるかで、税理士との相性を判断します。

  • 人工代は、指揮命令・道具の負担・報酬の決まり方などの実態で外注費か給与かが判断される
  • 免税事業者の一人親方への支払は、2026年10月1日〜2028年9月30日は消費税相当額の70%だけ控除できる
  • 材料の支給を受けて労務だけを提供する工事は、簡易課税で第4種(60%)になる場合がある
  • 顧問料は売上規模・記帳の方法・面談の頻度・消費税申告の有無などで決まり、年間の総額で比べる
  • 冬場(12〜3月)の売上減を前提に、納税資金と運転資金の計画を立てる
目次

鳶・鉄筋・土工の税務は何が特殊?税理士に確認したい5つの論点

鳶・鉄筋・土工の親方は、日中は現場、夜は段取りや見積もりで、帳簿や請求書の整理が後回しになりがちです。職人への日当の支払、元請からの入金サイト、冬場の仕事の谷間と、お金の流れには専門工事業ならではのクセがあります。

論点何が問題になるか税理士に確認したいこと
①人工代の区分外注費が給与と認定されると、源泉所得税と消費税の両方で追加の負担が出る契約書・請求書・支払記録の整え方
②一人親方とインボイス免税事業者への支払は、消費税の控除が一部しか認められない経過措置の影響額と、単価の決め方
③消費税の事業区分手間請け(人工出し)は簡易課税のみなし仕入率が下がる場合がある簡易課税と本則課税のどちらが有利か
④足場材・車両・重機資産として計上するか、その年の経費にするかで利益が変わる少額減価償却資産の特例の使い方
⑤冬場の資金繰り売上が春以降に偏り、納税の時期に資金が足りなくなる納税資金の積立てと融資の計画
鳶・鉄筋・土工の会計・税務で確認したい5つの論点

論点1:人工代は外注費か給与か

この業種で最大の論点は、応援の職人や一人親方に払う人工代(にんくだい)が「外注費」か「給与」かの区分です。形式ではなく、指揮命令の有無・道具を誰が持つか・請求書があるかといった実態で判断されます。

判断の観点外注費(請負)に近い給与(雇用)に近い
仕事の進め方自分の判断で段取りする親方の指揮命令を受ける
代わりの人他の職人に代わってもらえる本人が働くことが前提
報酬の決まり方工事の完成や出来高で決まる働いた日数・時間(日当)で決まる
道具・材料自分で用意する親方が用意する
時間の拘束始業・終業を自分で決められる始業・終業が決められている
請求の方法本人が請求書を出す親方が出面帳から日当を計算する
外注費と給与を分ける主な観点(一つの観点ではなく総合的に判断されます)

外注費として処理していたものが税務調査で給与と認定されると、源泉所得税の徴収漏れに加えて、消費税の仕入税額控除も否認されます。給与は消費税の対象外のため、負担が二重に膨らむのです。給与として扱う職人の日当は、北海道の最低賃金(2026年10月1日から1,131円)を時間あたりで下回らないかも確認が必要です。

個人の親方は「人数」にも注意

個人事業所でも、建設業など法定の業種で常時5人以上を使用する場合は、健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所になります。外注として扱ってきた職人が実態は雇用だと判断されると、使用する人数が増え、社会保険の加入義務の判定にも影響します。

論点2・3:一人親方への支払とインボイス、消費税の事業区分

インボイス制度のもとでは、免税事業者の一人親方に払う人工代は、消費税の控除が経過措置の割合でしか認められません。割合は期間で変わり、2026年10月1日からは70%に下がっています。

課税仕入れの日控除できる割合
2026年9月30日まで80%
2026年10月1日〜2028年9月30日70%
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%
2031年10月1日以後控除できない
免税事業者等からの仕入れに係る経過措置(帳簿に「70%控除対象」などの記載が必要)

計算例:免税の一人親方に人工代110万円(税込)を払った場合

例えば、2026年10月1日以後に、インボイス未登録の一人親方へ人工代を税込110万円支払ったとします(計算を簡略化しています)。

  • 支払額に含まれる消費税相当額:110万円×10/110=10万円
  • 控除できる額(70%):10万円×70%=7万円
  • 控除できない額:10万円−7万円=3万円

この3万円は、親方側の消費税の負担増になります。単価の見直しを相談するときの根拠になる数字です。

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インボイスの経過措置で控除できる額を計算する支払額と取引日を入れると、免税事業者への支払で控除できる消費税額の目安を試算できます。計算する

一人親方がインボイス登録をする場合、個人は令和8年分まで2割特例、令和9・10年分は3割特例(売上の消費税額×3割を納付。届出不要)を使える場合があります。登録の負担と単価の両方を、職人と話し合う材料にしてください。

親方側が簡易課税(基準期間の課税売上高5,000万円以下で選択可)を使う場合は、事業区分にも注意します。建設業は原則として第3種(みなし仕入率70%)ですが、元請から材料の無償支給を受けて労務だけを提供する工事(いわゆる手間請け・人工出し)は、第4種(60%)に当たる場合があります。インボイス対応の全体像はインボイス制度の実務ガイドで整理しています。

論点4:足場材・車両・重機の処理

取得価額10万円未満はその年の経費、20万円未満は3年で均等に償却する一括償却資産を選べます。青色申告の中小事業者は、2026年4月1日以後に取得した40万円未満の資産を、年300万円まで一括で経費にできます(2026年3月31日までの取得は30万円未満、適用は2029年3月31日まで)。

足場材のように1本ずつは安い資材は、1本単位ではなく、通常の取引単位(1組・1セットなど)で金額を判定する点に注意します。トラックや重機は金額が大きく、購入の時期と決算の見込みを合わせて検討すると、納税額の波を抑えられます。

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少額減価償却資産の特例を計算する40万円未満の資産をその年に経費にした場合の金額と、年300万円の上限までの残りを確認できます。計算する

税理士に何を任せる?記帳・給与・申告・資金繰りの範囲

任せる範囲は、親方が現場に出る時間と、事務を担う家族やスタッフがいるかで決まります。範囲が広いほど手間は減りますが、顧問料は上がるため、自社で回せる部分と任せる部分を分けて考えます。

業務自社で行う場合任せる場合に向いている会社
記帳会計ソフトに入力し、税理士が月次で確認する事務を担う人がおらず、領収書の整理が追いつかない
給与計算・年末調整出面帳から日当を集計して給与ソフトで計算する雇用している職人が多く、日給・月給が混在している
決算・申告(自社での対応は難しい)法人・個人とも、建設業許可の決算書の組替えまで任せたい
資金繰り・融資入金予定と支払予定を自分で管理する元請の入金サイトが長く、冬場の資金が不安
任せる範囲の決め方の目安

個人の親方が記帳を整えておくと、青色申告特別控除で差が出ます。令和8年分までは最大65万円、令和9年分からは帳簿を電子帳簿保存法の要件で保存するなどの条件で75万円になります。建設業許可を持つ会社は、毎年の決算後に許可行政庁へ出す決算変更届で、建設業の様式に組み替えた財務諸表が必要です。届出書の作成は行政書士の業務のため、税理士とどう連携するかも確認しておきます。

面談で何を確認する?専門工事業に慣れているかの見極め方

ホームページの肩書きだけでは判断できません。初回の面談で次の点を質問してみると、実務の経験と相性が見えてきます。

  • 専門工事業(鳶・鉄筋・土工など)の会計・税務を扱った経験があるか
  • 外注費として認められるための注文書・請求書・契約書の整え方を提案できるか
  • インボイス未登録の一人親方への支払について、経過措置の影響額を試算できるか
  • 冬場(12〜3月)の売上減を前提に、納税資金の計画を組んでくれるか
  • 現場優先の働き方に合わせ、写真の送付やオンラインで記帳・相談を完結できるか
  • 建設業許可の決算書への組替えや、許可の更新に向けた数字の相談に対応できるか

質問への答えが具体的か、説明が分かりやすいかも相性の判断材料になります。答えが「ケースによります」だけで終わる場合は、判断の基準と必要な資料まで聞いてみると、実務への慣れが分かります。

顧問料はどう決まる?比べる前に確認する要素

顧問料は一律ではなく、売上規模、記帳を自分で行うか任せるか、面談の頻度、消費税申告の有無などで決まります。決算・申告の費用が月額に含まれるかどうかも事務所によって違うため、月額だけでなく「決算料込みの年間総額」で比べるのが失敗しないコツです。

要素顧問料への影響見積りの前に整理すること
売上規模・取引の量現場や取引先が多いほど仕訳が増える年商、現場の数、元請・仕入先の数
記帳の方法領収書等を預けて記帳まで任せると作業が増える会計ソフトの有無、口座・カードの連携
給与計算・年末調整雇用している職人の人数で変わる日給・月給の別、出面帳の管理方法
消費税申告課税事業者か、簡易課税か本則課税かインボイス登録の有無、外注先の登録状況
面談・相談の頻度毎月か、数か月ごとか資金繰りや融資の相談が必要か
顧問料が決まる主な要素(金額は事務所ごとの料金表で確認します)

例えば年商3,000万円・職人3人の鳶の親方でも、領収書ごと預けて記帳から任せる場合と、自分で会計ソフトに入力して月次の確認と決算・申告を任せる場合とでは、年間の総額が大きく変わります。法人化を視野に入れているなら、法人になった後の料金も先に聞いておきましょう。判断の目安は鳶・鉄筋・土工の法人化のタイミングで解説しています。

当事務所は、決算・申告だけのスポット依頼はお受けしておらず、月々の記帳の確認から決算・申告までを継続的な会計・税務顧問で支援しています。料金の決まり方は料金・契約の流れでご確認いただけます。

人工代の区分や一人親方への支払の扱いは、契約と働き方の実態で判断が変わります。今の書類で足りるか、初回無料で確認できます。

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税務調査で確認されやすいポイントは?

建設業の調査では、外注費の給与認定のほか、現金でもらった手間賃の計上漏れ、車両や工具の私用分の混在がよく確認されます。売上の計上時期も要注意で、12月に終わった現場の請求書を1月に出しても、売上は12月の属する年(事業年度)に計上します。

確認されやすい点見られること普段の備え
外注費の給与認定指揮命令・日当計算・道具の負担などの実態契約書・注文書・本人発行の請求書をそろえる
現金の手間賃現金で受け取った売上の計上漏れ受け取った日に入金記録を付け、口座に入れる
売上の計上時期期末に完了した工事の売上が翌期に回っていないか完了・引渡しの日を工事台帳に残す
車両・工具の私用分家族の送迎や私用の燃料費が混ざっていないか私用分を按分し、運転記録を残す
現金での日当の支払架空の人件費がないか出面帳と受取人の署名入りの受領書を保存する
鳶・鉄筋・土工の税務調査で確認されやすいポイント

調査で指摘を受けて修正申告をすると、原則10%(一定額を超える部分は15%)の過少申告加算税がかかり、隠ぺい・仮装があれば重加算税(35%)の対象になります。税務署が税額を直せる期間は、原則として法定申告期限から5年、偽りその他不正の行為があれば7年です。出面帳や請求書控えといった日々の記録が何よりの備えになります。

札幌・北海道で冬場の売上減にどう備える?

積雪期に現場が減り、売上が春以降に偏る親方は少なくありません。年間の波を理解せずに月割りでしか数字を見ないと、納税の時期に資金が足りない事態になりかねません。

冬場の資金計画で押さえる3つの支払

  • 所得税の予定納税:前年分の予定納税基準額が15万円以上なら、7月と11月に納付(令和8年分は2026年7月31日・11月30日)
  • 消費税の中間申告:直前の課税期間の確定消費税額(国税)が48万円を超えると年1回、400万円を超えると年3回
  • 春の確定申告:令和8年分の所得税は2027年2月16日〜3月15日、個人の消費税は3月31日が期限

冬場に除排雪の仕事を請け負う場合は、その売上と燃料・車両費を工事と分けて管理すると、季節ごとの採算が見えます。資金の不足が見込まれるときは早めに金融機関へ相談します。札幌市の融資制度は、2026年10月1日以降の実行分から利率が0.3%上がっている点にも注意してください。

よくある質問

毎月同じ一人親方に頼んでいても、外注費にできますか?

継続して頼んでいるだけで給与になるわけではありません。工事ごとに注文書を出し、本人から請求書を受け取り、道具の負担や作業の進め方を本人に任せているなど、請負の実態があるかで判断されます。日当で払い、作業の指示も親方が細かく出している場合は、給与と判断されやすくなります。

職人への日当を現金で払っています。何を残せばよいですか?

出面帳(誰がどの現場に何日入ったか)と、受取人の署名入りの受領書を残します。支払の根拠と金額を後から説明できることが大切で、可能であれば銀行振込に切り替えると記録が自動で残ります。

建設業許可の決算変更届も税理士に頼めますか?

届出書の作成・提出の代理は行政書士の業務です。税理士は、届出に使う建設業の様式の財務諸表への組替えや、決算書との数字の整合を担当するのが一般的です。顧問の税理士と行政書士の連携の方法を、事前に決めておくとスムーズです。

開業したばかりでも顧問契約を結ぶべきですか?

開業届や青色申告の承認申請、インボイス登録の判断など、最初の1年の手続きで後の税金が変わります。売上が小さいうちは記帳を自分で行い、確認と申告を任せる形から始める方法もあります。手続きの全体像は、鳶・鉄筋・土工の開業時の届出一覧で確認できます。

まとめ

鳶・鉄筋・土工の税務は、人工代の外注費・給与の区分が最大の論点で、インボイスの経過措置や消費税の事業区分、足場材や車両の処理、冬場の資金繰りが続きます。税理士を選ぶときは、これらへの答えの具体性と、任せる範囲・顧問料が決まる要素を面談で確かめ、決算料込みの年間総額で比べましょう。

札幌の公認会計士・税理士事務所

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出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)

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