住宅リフォーム業に強い税理士の選び方|工事の会計論点と顧問料の決まり方

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住宅リフォーム業に強い税理士かどうかは、工事ごとの売上計上(完成引渡し)と原価管理、職人への支払いの外注費・給与の区分、未成工事の処理を、工事台帳に沿って具体的に説明できるかで見極めます。顧問料は年商・記帳の分担・面談頻度などで決まるため、作業範囲をそろえて比べます。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

工事台帳と原価管理の話が具体的に通じるかが、最初の判断基準です。顧問料は金額だけでなく、記帳・決算・建設業許可や融資向けの資料など、含まれる作業の範囲をそろえて比べます。

  • 売上は契約日や入金日ではなく、完成して引き渡した日に計上するのが原則
  • 期末に未完成の工事の原価は「未成工事支出金」、受け取った着手金は「未成工事受入金」として翌期に繰り越す
  • 職人への支払いが外注費か給与かは、消費税・源泉徴収・社会保険に直結する
  • 面談では未成工事・一人親方・インボイスの処理を質問して経験を確かめる
  • 切り替えは決算直後や新しい期の初め、法人化・融資の前が好機
目次

リフォーム業の税務・経理は何が特殊?

住宅リフォーム業は、工事ごとに利益も入金時期もばらつく業種です。どんぶり勘定のまま現場数が増えると、資金繰りや税金で慌てることになりがちです。数字の管理は、業界の事情が分かる専門家と組むと大きく楽になります。税理士の力量が出やすいのは、次の5つの論点です。

論点何が起きるか税理士に確認したいこと
売上の計上時期期末をまたぐ工事があると、利益が大きく動く引渡しの日をどう判定し、決算でどう締めるか
工事ごとの原価管理材料費・外注費・現場経費を工事別に集計しないと、どの現場で儲かったか分からない工事台帳と会計データのつなぎ方
外注費と給与の区分職人への支払いの区分を誤ると、消費税・源泉徴収・社会保険で指摘を受ける契約書・請求書・働き方のどこを見て判断するか
消費税・インボイス施主が個人か事業者か、外注先が登録しているかで計算が変わる登録の判断と、簡易課税の区分を含む計算方法
建設業許可の書類許可業者は、建設業法の様式で財務諸表を作る必要がある決算変更届(事業年度終了届)向けの財務諸表に対応できるか
住宅リフォーム業の主な会計・税務の論点

売上は「完成引渡し」の日に計上する

リフォーム工事の売上は、原則として工事が完成し、施主に引き渡した日に計上します。契約日でも入金日でもありません。期末をまたぐ工事があると利益が大きく動くため、判定を誤ると申告も融資用の決算書も狂ってしまいます。本体工事と一体で引き渡す追加工事や仕様変更の代金も、同じ引渡しの日にあわせて計上します。

職人への支払いは外注費か給与か

一人親方などの職人への支払いが外注費か給与かは、消費税の控除や源泉徴収に直結する重要な論点です。給与に当たれば課税仕入れにならず、源泉徴収や社会保険の対象にもなります。区分は契約の名目ではなく、指揮命令の有無、材料や道具を誰が負担するか、報酬の決め方など、働き方の実態で判断されます。

消費税は施主と外注先の両方を見る

個人の施主との取引では、相手が仕入税額控除をしないためインボイスを求められることは基本的にありません。一方、工務店や不動産会社、管理会社からの下請けでは必要になります。簡易課税では、材料を自分で調達するリフォーム工事は第3種(みなし仕入率70%)、元請けから材料の無償支給を受けて施工だけを行う工事は第4種(60%)です。

免税事業者の職人への外注は、工事の完了日が2026年10月1日〜2028年9月30日なら、支払った消費税相当額の70%を控除します(2028年10月1日以後は50%)。登録の判断や記載事項は「インボイス制度の実務ガイドで登録と保存のルールを確認する」で整理しています。

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免税事業者への外注で控除できる消費税を計算する外注費の金額と工事の完了時期から、経過措置で控除できる額の目安を確認できます。計算する

リフォーム業に強い税理士を見極める質問は?

面談では次のような質問を投げると、経験の差が見えやすくなります。具体的な手順や経験に基づく答えが返ってくるかを確認しましょう。

  • 工事台帳と会計データをどうつなぐか
  • 期末に未完成の工事(未成工事)をどう処理するか
  • 一人親方への支払いで注意すべき点は何か(外注費と給与の区分、インボイスの確認)
  • 冬に外装工事が減る季節変動に、資金繰りをどう備えるか
  • 建設業許可の決算変更届に使う財務諸表を作れるか
  • 地場の金融機関向けの融資資料(工事別の採算や受注残の説明)の作成を支援できるか

「工事ごとに原価を集計しましょう」といった一般論にとどまるか、工事台帳の様式や現場コードの付け方まで踏み込んで答えるかで、実務経験の差が分かります。

建設業許可業者は「建設業法の様式」の決算書も必要

建設業許可を受けている場合、毎事業年度の終了後に決算変更届(事業年度終了届)を出します。添付する財務諸表は建設業法の様式で作ります。売上は「完成工事高」、原価は「完成工事原価」、期末の未完成工事は「未成工事支出金」「未成工事受入金」と、税務申告用の決算書とは科目の名前や並べ方が異なります。申告用の決算書から組み替えられるかも、確認しておきたいポイントです。

顧問料はどう決まる?料金の要素と比べ方

税理士の顧問料は、月々の顧問料と、決算・申告の料金の組み合わせで構成されるのが一般的です。金額は次の要素で変わります。

要素料金への影響
年商・工事件数取引の量が増えるほど、記帳と確認の手間が増える
記帳の分担自社で記帳するか、記帳代行まで任せるか
面談の頻度毎月か、数か月ごとか、決算前だけか
給与計算・年末調整職人や事務員を雇用しているか
建設業許可・融資の資料決算変更届向けの財務諸表や、融資用の資料作成を含めるか
消費税の申告課税事業者か、どの計算方法を使うか
顧問料が決まる主な要素(金額は事務所・依頼範囲によって異なる)

年商5,000万円で記帳から丸ごと任せる場合と、年商1億円で自社に経理担当がいて決算中心に依頼する場合では、適正な料金は大きく異なります。安さだけで選ぶと原価管理の助言が受けられず、結果的に割高になることもあります。

見積りを比べるときは、金額よりも「何が含まれているか」をそろえて比べます。当事務所の料金と契約の進め方は「料金・契約の流れ」でご確認いただけます。なお、当事務所は決算・申告だけのスポットのご依頼はお受けしておらず、継続的な顧問契約で月次の数字から一緒に整えています。

税理士への依頼・切り替えはいつがよい?

切り替えに向くのは、決算が終わった直後や新しい期の始まりです。引き継ぎの負担が最も小さく済みます。法人化を検討するとき、元請けからインボイス対応を求められたとき、融資を申し込む前も、専門家に入ってもらう好機です。

  1. 決算・申告が終わった時点で相談する前期の決算書と申告書の一式を用意します。
  2. 引き継ぐ資料をそろえる工事台帳、未完成工事の一覧、外注先(支払先)のリスト、固定資産台帳、借入金の返済予定表をまとめます。
  3. 記帳と月次の流れを決める現場コードの付け方、請求書の回し方、毎月の締め日を決めます。
  4. 最初の月次で数字を確認する工事別の採算と、資金繰りの見通しを一緒に確認します。

未成工事や外注費の処理、インボイスの判断は工事の内容で変わります。初回無料で確認できます。

無料で相談する

具体例:期をまたぐ工事の売上はどの期に入る?

例えば12月に着工し、引渡しが翌年2月になるリフォーム工事があったとします。12月末の決算をまたいでいても、完成引渡しが翌年2月であれば、売上はその引渡し日の属する期に計上するのが原則です。

具体例:12月決算の会社が、12月着工・翌年2月引渡しの工事を請け負った場合

例えば、請負金額(税抜)300万円の工事で、12月中に材料費・外注費120万円を支払い、着手金100万円を受け取っていたとします。

  • 12月期:売上は計上しない。支払った120万円は「未成工事支出金」(資産)、受け取った100万円は「未成工事受入金」(負債)として翌期へ繰り越す
  • 翌期(2月の引渡し時):売上300万円を計上し、繰り越した120万円と2月までの原価をあわせて完成工事原価にする
  • 消費税:着手金を受け取った12月ではなく、引き渡した2月の取引として計上する

前年中に材料費や外注費を払っていても、対応する売上を前倒しで計上したり、逆に原価だけを先に経費にしたりすると、収益と費用の対応がずれて利益が正しく見えなくなります。着工から引渡しまでの期間が長い工事ほど、どの期にまたがるかを意識した管理が必要です。

見落としやすいポイントは?

ポイント起きやすいこと対策
未成工事支出金期末に完成していない工事の材料費・外注費を、その期の経費にしてしまう期末に進行中の工事を一覧にし、未成工事支出金として翌期に繰り越す
追加工事・仕様変更当初の見積りと実際の原価がずれ、請求漏れや原価の付け間違いが起きる変更の内容と金額をその都度記録し、工事台帳に反映する
火災保険・リフォーム減税の書類施主から、保険請求用の見積書や写真、減税用の証明書の発行を求められる対応できる範囲を事前に決める。住宅ローン控除などに使う「増改築等工事証明書」は建築士などが発行する
下請けへの支払いサイトと資金繰り元請けや施主からの入金より先に、職人や材料の支払いが発生する工事が重なる時期の資金繰り表を作り、着手金・中間金の条件を見直す
工具・車両の購入取得価額によって、経費にできる時期が変わる青色申告の中小事業者は、2026年4月1日以後に取得した40万円未満の資産を年300万円まで一括で経費にできる
住宅リフォーム業で見落としやすいポイント(2026年10月時点)

札幌の冬は外装工事が減り、入金と支払いの波が大きくなる

冬は屋根や外壁などの外装工事が減り、内装や水回りの工事が中心になります。雪解け後は雪による破損の補修などで工事が集中しやすく、季節によって入金と支払いのタイミングが大きく変わります。

繁忙期の利益から、冬の固定費と納税資金を分けて確保しておくと、資金繰りが安定します。

工事台帳と会計ソフトはどうつなぐ?

工事ごとの原価を正確に把握するには、現場で使う工事台帳と会計ソフトのデータを、できるだけシンプルな形でつなげておくことが大切です。次の順番で仕組みを作ると、月次の集計が楽になります。

  1. 現場ごとに管理コードを振る見積りの段階で番号を決め、見積書・注文書・請求書で共通にします。
  2. 請求書にコードを書いてもらう材料費や外注費の請求書にコードがあれば、入力時に現場別に集計できます。
  3. 会計ソフトの部門やタグに同じコードを使う工事台帳と会計データを同じ単位で突き合わせられます。
  4. 月末に未完成の工事を一覧にする未成工事支出金の金額を毎月把握しておくと、決算で慌てません。
  5. 見積原価と実際原価を比べる差が大きい工事の原因を確かめ、次の見積りに生かします。

台帳と会計データの様式がかけ離れていると、月次の原価集計に時間がかかり、儲かっている現場とそうでない現場の判断が遅れがちです。決算前の確認項目は「経理・決算セルフチェックで締めの手順を確認する」も参考になります。

よくある質問

個人事業のリフォーム業でも、税理士に頼むべきですか?

依頼は義務ではありません。ただ、外注費と給与の区分、未成工事、消費税の判断が絡むため、工事件数が増えたときや課税事業者になったときが検討の目安です。青色申告特別控除は令和8年分まで最大65万円、令和9年分からは帳簿の電子保存などの要件を満たすと75万円になるため、記帳の体制づくりから相談しておくと効果的です。

一人親方の職人に払う外注費から、源泉徴収は必要ですか?

工事の請負に対する外注費であれば、原則として源泉徴収は不要です。ただし、働き方の実態が雇用に当たり給与と判断される場合は、給与として源泉徴収が必要になります。

会計ソフトだけで現場別の採算を見られますか?

部門やタグ(プロジェクト)の機能を使えば、現場コードごとに売上と原価を集計できます。ただし未成工事の繰越しは自動では行われないため、期末に未完成の工事の原価を拾い出す手順を決めておきます。

法人化を相談するのは、どんなタイミングですか?

所得が増えて個人と法人の税率の差が大きくなったとき、取引先から法人格や建設業許可を求められたとき、職人を雇用して社会保険を整える必要が出てきたときなどが目安です。法人化の判断基準は関連記事で整理しています。

まとめ

住宅リフォーム業の税理士選びは、完成引渡しによる売上計上、未成工事の繰越し、職人への支払いの外注費・給与の区分、インボイスと簡易課税の区分を、工事台帳に沿って具体的に説明できるかが基準です。顧問料は年商・記帳の分担・面談頻度などで決まるため、作業範囲をそろえて比べ、切り替えは決算直後や法人化・融資の前に検討しましょう。

札幌の公認会計士・税理士事務所

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対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り

出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)

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