解体工事業の法人化はいつ?所得・許可と登録・重機の引継ぎで見る判断基準

公認会計士・税理士 監修

この記事は、公認会計士・税理士が代表を務める札幌の会計事務所「ジェイスタート会計事務所」が監修しています。

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解体工事業の法人化は、利益が年800万円前後を超えて安定してきたかが判断の入口です。そのうえで、社会保険料の増加、解体工事業登録・建設業許可・産業廃棄物の許可の手続き、重機の引継ぎ方まで含めて判断します。税金の差だけでなく、手取りと受注への影響を試算してから時期を決めるのが安全です。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

法人化で税金が軽くなりやすいのは、利益が年800万円前後を超えてからです。ただし解体工事業では、社会保険料、許可・登録の取り直し、重機の名義と消費税の扱いで手取りや受注が変わるため、これらを含めて試算してから時期を決めます。

  • 中小法人の所得800万円以下の部分は法人税15%(2027年3月31日までに開始する事業年度)
  • 法人は社長1人でも社会保険に加入。個人でも従業員が常時5人以上なら加入が必要
  • 建設業許可は事業譲渡の事前認可で引き継げるが、解体工事業登録や産業廃棄物の許可は法人で手続きし直す
  • 重機は売却・賃貸・現物出資のどれで移すかで、個人と法人の税金が変わる
  • 個人の3割特例(令和9年分・令和10年分)は、法人では使えない
目次

解体工事業の法人化は所得いくらから?税率で見る目安

個人事業の所得税は、所得が増えるほど税率が上がる累進課税です。これに対し、中小法人の法人税は、年800万円以下の所得部分に15%(本則19%)の軽減税率、800万円を超える部分に23.2%が適用されます。

区分個人事業法人
国税所得税:課税所得330万円超695万円以下は20%、695万円超900万円以下は23%、900万円超1,800万円以下は33%(ほかに復興特別所得税)法人税:所得800万円以下の部分15%、800万円超の部分23.2%。ほかに地方法人税(法人税額の10.3%)
地方税住民税10%、個人事業税5%(事業主控除290万円)法人税割(法人税額の1.0%を道民税、6.0%を市民税として納付)、法人事業税(所得400万円以下の部分3.5%など)と特別法人事業税、均等割
赤字の年所得税・個人事業税はかからない均等割はかかる(小規模な法人で年7万円)
個人と法人の主な税率(2026年10月時点。札幌市内・資本金1億円以下の中小法人の場合)

個人の所得が800万円前後を超えると、所得税・住民税・個人事業税を合わせた限界税率(所得が増えた部分にかかる税率)が、法人の税率を上回りやすくなります。これが年800万円が法人化の目安とされる理由です。

法人税の軽減税率15%は、2027年3月31日までに開始する事業年度が対象です。その後の延長は令和9年度の税制改正で決まるため、設立の時期によっては最新の税率で試算し直します。

解体工事業は、重機の購入や大型案件の有無で利益が年ごとに大きく振れやすい業種です。重機を買った年の利益だけ、あるいは大型案件が重なった年の利益だけで判断せず、過去2〜3年の平均と今後の受注の見通しで判断します。

計算例:利益1,000万円の解体業者が役員報酬720万円で法人化した場合(税金のみの概算)

例えば、青色申告特別控除前の利益が1,000万円の個人の解体業者が、法人化して役員報酬を年720万円(月60万円)にした場合です。令和9年分の所得税と、2027年3月31日までに開始する事業年度の法人税率で計算します。所得控除は基礎控除だけ、住民税の基礎控除は43万円(令和8年度分の額)、青色申告特別控除は65万円とし、復興特別所得税と社会保険料は含めません。

【個人事業のまま】

  • 事業所得:1,000万円−65万円=935万円
  • 所得税:課税所得は935万円−62万円=873万円、税額は873万円×23%−636,000円=1,371,900円
  • 住民税:(935万円−43万円)×10%=892,000円
  • 個人事業税:(1,000万円−290万円)×5%=355,000円
  • 合計:1,371,900円+892,000円+355,000円=2,618,900円

【法人化した場合:社長個人】

  • 給与所得控除:720万円×10%+110万円=182万円(給与所得は720万円−182万円=538万円)
  • 所得税:課税所得は538万円−67万円=471万円、税額は471万円×20%−427,500円=514,500円
  • 住民税:(538万円−43万円)×10%=495,000円

【法人化した場合:法人】

  • 法人の所得:1,000万円−720万円=280万円
  • 法人税:280万円×15%=420,000円、地方法人税:420,000円×10.3%=43,260円
  • 法人税割:420,000円×1.0%=4,200円(北海道)、420,000円×6.0%=25,200円(札幌市)
  • 法人事業税:280万円×3.5%=98,000円、特別法人事業税:98,000円×37%=36,260円
  • 均等割70,000円を加えた法人の合計:420,000円+43,260円+4,200円+25,200円+98,000円+36,260円+70,000円=696,920円(防衛特別法人税は0円)

法人化した場合の合計は514,500円+495,000円+696,920円=1,706,420円で、税金だけの差は2,618,900円−1,706,420円=912,480円です。

税金だけで比べると、この例では法人化したほうが負担は軽くなります。ただし次の節で見る社会保険料を加えると差は縮み、役員報酬の決め方しだいでは逆転します。法人化の損得は、手取りで比べるのが原則です。

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法人成りの損得を試算する利益と役員報酬を入れて、個人事業のままの場合と法人化した場合の負担を比べられます。計算する

社会保険料はどれだけ増える?法人化で変わる加入と現場への影響

法人の事業所は、社長1人だけの会社でも健康保険と厚生年金保険の強制適用事業所です。役員報酬を支払えば社長自身も加入し、保険料は会社と本人で半分ずつ負担します。

個人事業のままでも、解体工事業などの建設業は、常時5人以上の従業員を使用すると健康保険・厚生年金保険の強制適用になります。すでに加入している事業所が法人化する場合、新たに増えるのは主に社長本人の保険料です。従業員が5人未満の個人事業所では、法人化によって従業員の加入も必要になる場合があります。

保険の種類料率補足
健康保険(協会けんぽ北海道)10.28%労使折半。令和8年3月分から
介護保険1.62%40歳以上65歳未満の人が対象。労使折半
厚生年金保険18.3%労使折半。標準報酬月額の上限は65万円
子ども・子育て支援金0.23%労使折半。令和8年4月分から、賞与も対象
雇用保険(建設の事業)16.5/1000従業員を雇う場合。2026年4月1日〜2027年3月31日の料率。役員は原則として対象外
法人化後にかかる主な保険料率(2026年10月時点)

計算例:役員報酬が月60万円の場合の社会保険料

例えば、役員報酬が月60万円(標準報酬月額59万円)で、社長が40歳以上の場合です。保険料率の合計は10.28%+1.62%+18.3%+0.23%=30.43%です。

  • 月額:59万円×30.43%=179,537円(会社と本人の合計)
  • 年額:179,537円×12か月=2,154,444円(会社と本人がおよそ半分ずつ負担)

実際の保険料は、健康保険・厚生年金保険などの種類ごとに端数を処理して計算します。

個人事業でも国民健康保険料と国民年金保険料はかかるため、法人化で増えるのはその差額です。差額が税金の減少を上回れば、手取りでは個人のほうが有利になります。役員報酬を下げると社会保険料は減りますが、法人に残る利益が増えて法人税が増え、社長個人が使えるお金は減ります。

一方で、厚生年金は将来の年金額に反映されます。社会保険料の会社負担分は法人の損金に、本人負担分は社会保険料控除になります。役員報酬を何パターンか変えて、税金・社会保険料・将来の給付を合わせて比べるのが実務的です。

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役員報酬の金額をシミュレーションする役員報酬の金額を変えたときに、会社と個人の負担がどう変わるかを試算できます。計算する

元請の現場に入るには、社会保険の加入が前提になる

建設業では、社会保険の加入が取引の条件に直結します。国土交通省の「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」は、元請に対し、適切な保険に加入していない作業員の現場入場を原則として認めない取扱いを求めています。建設業許可でも、適切な社会保険への加入が許可の要件です。

なお、法人の役員である社長は原則として労災保険の対象外です。現場で重機を操作したり作業したりする社長は、労災保険の特別加入の対象になるかを確認しておきます。

解体工事業登録・建設業許可・産業廃棄物の許可は法人に引き継げる?

個人で受けた登録や許可は、法人化しても法人にそのまま移りません。法人は個人とは別の事業者になるため、登録・許可ごとに法人として手続きをします。引継ぎの方法と、空白期間を作らないための段取りは次のとおりです。

登録・許可法人化したときの扱い空白を作らないための段取り
建設業許可(解体工事業)法人で新たに許可を取るか、個人の事業を法人に譲渡することについて事前に認可を受け、許可を承継する認可を受ければ、譲渡の日から法人が許可を引き継げる。新たに取る場合は、法人の許可が下りるまで個人の許可で受注を続ける
解体工事業登録(建設リサイクル法)法人として新たに登録する。現場を管理する技術管理者を法人に置く法人の登録が済んでから個人の廃業の届出をする。登録は工事をする都道府県ごとに必要
産業廃棄物収集運搬業の許可許可は個人に出ているため、法人で新たに取得するのが原則許可を申請する自治体に、必要書類と審査の期間を事前に確認する
元請への届出協力会社(下請業者)の登録、取引口座、請求書の名義が変わる会社名・振込口座・インボイスの登録番号の変更を、切替日とあわせて連絡する
法人化で手続きが必要になる主な登録・許可(2026年10月時点。詳細は各許可行政庁で確認)

解体工事業登録が必要なのは、土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可を持たずに解体工事を請け負う場合です。法人が建設業許可(解体工事業)を承継または取得すれば、法人として解体工事業登録を受ける必要はありません。許可と登録のどちらで続けるかで手続きが変わるため、最初に方針を決めます。

  • 定款の事業目的に、解体工事業や産業廃棄物の収集運搬など、登録・許可を受ける事業が入っている
  • 経営業務の管理体制の要件を、法人の常勤役員で満たせる
  • 営業所ごとに置く技術者(建設業許可)や技術管理者(解体工事業登録)の要件を満たす人が、法人に常勤でいる
  • 一般建設業の財産的な要件を、資本金や自己資本の額で示せる
  • 健康保険・厚生年金保険・雇用保険に加入する日程が、許可の申請日程と合っている

許可や登録の申請書類の作成は、行政書士の業務です。税務の届出、決算月、社会保険の加入日と日程を合わせる必要があるため、会計事務所と行政書士が連携して進めると、許可の空白や二度手間を防げます。

許可の引継ぎ方と法人化の時期は、受注の予定や重機の名義で変わります。初回無料で段取りを一緒に確認できます。

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重機・ダンプは法人にどう移す?売却・賃貸・現物出資の違い

解体工事業の法人化では、個人名義の重機・ダンプ・アタッチメントをどう法人に移すかで、税金と資金繰りが変わります。主な方法は、法人に売る、法人に貸す、設立時に出資する(現物出資)の3つです。

方法個人側の税金法人側の処理注意点
法人に売却する売却益は譲渡所得(総合課税)。個人が消費税の課税事業者なら、売却代金は課税売上になる買った価額で資産に計上して減価償却する。中古資産の耐用年数(簡便法など)を使える場合がある価額は時価を基準に決め、売買契約書を残す。法人に代金を支払う資金が必要
法人に貸す受け取る賃料が個人の所得になる支払う賃料は損金。重機は個人の資産のまま賃料は相場に合わせて契約書を作る。償却資産の申告は個人が続ける
現物出資する出資した時点で、時価で譲渡したものとして所得を計算する。課税事業者なら消費税の対象出資を受けた価額で資産に計上し、資本金などが増える価額によって検査役の調査や専門家の証明が必要になる場合がある。資本金が1,000万円以上になると消費税の扱いが変わる
個人名義の重機を法人に移す主な方法

時価とかけ離れた価額で売買すると、個人と法人の双方で思わぬ課税が生じることがあります。中古の重機は、販売業者の査定や中古市場の価格など、価額の根拠を残しておきます。

重機のローンやリースが残っている場合、名義の変更には金融機関やリース会社の同意が必要です。ダンプなどの登録自動車は名義変更の手続きを、事業用の保険(車両保険や請負業者賠償責任保険など)は契約者の変更を、切替日に合わせて進めます。

償却資産の申告は1月1日時点の所有者が行う

重機などの償却資産は、毎年1月1日時点の所有者が、1月31日まで(休日の場合は翌開庁日)に資産がある市町村へ申告します。年の途中で法人に売却した重機は、翌年の申告から法人の資産として申告します。ホイールローダーなどナンバー付きの大型特殊自動車も、償却資産の申告の対象です。

法人化後に買うアタッチメントや工具は、取得価額で処理が変わります。青色申告の中小法人なら、2026年4月1日以後に取得した40万円未満の資産を、取得した事業年度に全額損金にできます。年300万円までで、2029年3月31日までの取得が対象です。

消費税とインボイスは法人化でどう変わる?3割特例と免税期間

消費税は、法人化の時期によって納税額が大きく変わる税金です。個人と法人では使える特例が違うため、インボイスの登録状況と取引先の構成から判断します。

論点個人事業のまま法人化した場合
2割特例2026年9月30日を含む課税期間まで(個人は令和8年分まで)で終了これから設立する法人は使えない
3割特例令和9年分・令和10年分に使える場合がある(登録しなければ免税事業者になる人が対象、届出不要)法人には後継の特例がない
設立直後の納税義務(個人は前々年の課税売上高で判定)資本金1,000万円未満なら、基準期間がない設立1期目・2期目は原則として免税。ただし特定期間(前期首から6か月)の課税売上高と給与等がともに1,000万円を超えると2期目は課税
インボイスの登録登録した日から課税事業者設立1期目から登録でき、登録すれば免税期間でも課税事業者になる
簡易課税の事業区分解体工事は建設業として原則第3種(みなし仕入率70%)同じ。設立1期目から選ぶ場合は、その課税期間中に届け出る
個人と法人の消費税の違い(2026年10月時点)

解体工事業では、ハウスメーカーや建設会社などの元請からの下請工事が中心か、個人の施主から直接受ける家屋の解体が中心かで判断が分かれます。元請が原則課税で消費税を計算している場合、インボイスがないと元請の負担が増えるため、登録を求められやすくなります。

元請が免税事業者に支払った工事代金でも、経過措置により消費税相当額の一部を控除できます。控除できる割合は、2026年10月1日〜2028年9月30日が70%、2028年10月1日〜2030年9月30日が50%です。割合が下がるにつれて、未登録の下請への発注を見直す元請が増える可能性があります。

建設業の第3種で簡易課税を選ぶと、納付額は売上の消費税の3割で、個人の3割特例と同じ水準です。重機の購入が多い年は、原則課税で計算すると重機の消費税を控除できて有利になることがあります。簡易課税は2年続ける必要があるため、重機の買替え計画とあわせて選びます。登録の判断と請求書の書き方は、インボイス制度の実務ガイドで登録の判断を確認すると整理できます。

スクラップの売却代金も課税売上に入る

解体で出た鉄くずや銅線などを買取業者に売った代金は、売上(雑収入)であり、消費税の課税売上です。課税売上高が1,000万円を超えるかの判定にも含まれます。法人化した後は、法人名義で売却し、計量票と買取明細を保存します。

解体工事業で法人化を検討しやすい場面と、急がなくてよい場面

法人化は一度進めると後戻りしにくい決断です。税金の目安に加えて、取引先の要請や許可、重機の計画など、解体工事業ならではの事情で判断が分かれます。

検討しやすい場面

  • 利益が数年続けて年800万円を超え、今後も受注が見込める
  • 元請から法人化や社会保険の加入を求められている
  • 建設業許可を取り、受注できる工事の規模を広げたい
  • 重機の買替えで融資を受けたい
  • 従業員が常時5人以上で、すでに社会保険に加入している
  • 後継者への事業承継を見据えている

急がなくてよい場面

  • 利益の振れが大きく、平均すると年800万円に届かない
  • 個人の施主からの家屋解体が中心で、免税事業者のままでも取引に支障がない
  • 重機ローンの名義変更の見通しが立っていない
  • 許可や登録の取り直しの段取りがついていない

公共工事の入札に参加するには、建設業許可を受けたうえで経営事項審査を受けるのが前提です。審査では決算の内容も評価に反映されるため、法人化を機に工事ごとの原価管理と経理の体制を整えておくと、その後の受注に生かせます。重機の買替えや運転資金の借入れを予定している場合は、融資・資金調達ガイドで決算書の見せ方を確認すると準備の順番が分かります。

設立日と決算月の決め方

決算月は、繁忙期と重ならない月にすると、決算・申告の作業と現場の段取りがぶつかりません。設立日は、消費税の免税期間(1期目の長さと特定期間の判定)、建設業許可の承継の日、重機の売却日、償却資産の申告(1月1日時点の所有者)との関係を見て決めます。

法人化の手順は?許可を途切れさせない進め方

  1. 手取りを試算する過去2〜3年の利益と今後の受注見込みから、役員報酬のパターン別に税金・社会保険料・手取りを比べます。
  2. 許可の引継ぎ方を決める建設業許可を事前の認可で承継するか、法人で新たに取るかを決め、行政書士と申請の日程を組みます。
  3. 会社の基本事項を決める商号・本店所在地・事業目的・資本金・役員・決算月を決めます。事業目的には、登録・許可を受ける事業を入れます。
  4. 設立の登記をする登録免許税は、株式会社で最低15万円、合同会社で最低6万円です。
  5. 税務署・道・市に届け出る法人設立届出書は設立の日以後2か月以内、青色申告の承認申請書は設立の日以後3か月を経過した日と最初の事業年度終了の日のいずれか早い日の前日まで、給与支払事務所等の開設届出書は開設の日から1か月以内に出します。
  6. 社会保険・労働保険に加入する年金事務所で健康保険・厚生年金保険、労働基準監督署とハローワークで労災保険・雇用保険の手続きをします。
  7. 登録・許可と取引先を切り替える解体工事業登録や産業廃棄物の許可の申請、元請への協力会社登録の変更、口座と請求書の名義の切替えを進めます。
  8. 重機・車両・契約を移す売買契約書の作成、ローン・リース・保険の名義変更、ダンプの名義変更を行います。
  9. 個人事業を廃業して最後の申告をする個人の廃業の届出を出し、廃業した年の確定申告で、その年の1月1日から廃業日までの事業所得を申告します。消費税の課税事業者は、個人分の消費税の申告も必要です。

2026年4月1日以後に開始する事業年度からは、税額が0円でも防衛特別法人税の申告が必要です(期限は法人税と同じ)。個人の最後の確定申告と法人の最初の決算の時期は、個人事業主の年間スケジュールで申告の時期を確認すると重なりを把握できます。

札幌市内で法人化する場合の窓口と毎年の固定費

法人の所轄の税務署は本店所在地で決まり、例えば北区・東区に本店を置けば札幌北税務署です。中央区は住所により札幌中税務署と札幌西税務署に分かれるため、国税庁の管轄区域表で確認します。2026年7月10日からは、書面の届出は札幌業務センターへ郵送します(e-Taxと窓口への持参は所轄の税務署)。

法人は赤字でも住民税の均等割がかかり、資本金等1,000万円以下・従業者50人以下なら道民税2万円と市民税5万円の年7万円です。

よくある質問

建設国保に加入していますが、法人化すると協会けんぽに変わりますか?

法人化すると健康保険の適用事業所になりますが、建設国保(建設業の国民健康保険組合)の組合員は、年金事務所で健康保険の適用除外の承認を受ければ、建設国保を続けられる場合があります。承認の申請は期限が短いため、設立前に組合と年金事務所に手続きを確認してください。厚生年金保険には加入します。

個人事業のときの赤字(繰越損失)は法人に引き継げますか?

引き継げません。個人の純損失の繰越控除は個人の所得税の制度で、法人は別の納税者になるためです。繰越損失が残っている場合は、個人で利益が出る年に使い切れるかを含めて、法人化の時期を検討します。

株式会社と合同会社のどちらで設立すべきですか?

どちらでも建設業許可や解体工事業登録は受けられます。設立の登録免許税は株式会社が最低15万円、合同会社が最低6万円で、合同会社のほうが設立費用を抑えられます。元請や金融機関の受け止め方、将来の事業承継の方法も考えて選びます。

法人化した後、スクラップの売却代金を社長個人が受け取ってもよいですか?

法人の工事で出たスクラップの代金は法人の売上です。社長個人が受け取って法人の帳簿に載せないと、売上の計上漏れとして税務調査で指摘され、社長への給与とみなされることもあります。法人名義で売却し、法人の口座で受け取ります。

まとめ

解体工事業の法人化は、利益が年800万円前後を超えて安定してきたかが入口です。そのうえで、社会保険料を含めた手取り、建設業許可の承継と登録・許可の取り直し、重機の移し方、消費税の特例の違いまで含めて判断します。許可の空白を作らない段取りを先に決め、役員報酬を何パターンか試算してから時期を選ぶことが、法人化で損をしないための近道です。

札幌の公認会計士・税理士事務所

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出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)

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