【2026年9月】GPT-6 Astra と Claude Fable 5.1 を徹底比較|中小企業と会計事務所はどちらを選ぶべきか

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2026年9月、AIの主要2社が2日違いで新しい旗艦モデルを発表しました。9月1日にAnthropicの「Claude Fable 5.1」、9月3日にOpenAIの「GPT-6 Astra」です。価格はどちらも入力100万トークンあたり10ドル、出力50ドルで横並び。扱える文章量も約100万トークンで並びました。ではどこが違うのか。結論を先に書きます。画面を見てパソコンを操作させる仕事はGPT-6 Astra、数時間かけて自律的に走らせる仕事はClaude Fable 5.1が優勢です。この記事では、両社の公表値と第三者機関の測定値を突き合わせたうえで、中小企業と会計事務所での使い分けを整理します。

目次

1. まず全体像:2日違いで出た2つの旗艦モデル

今回の2モデルは、性格がはっきり分かれています。GPT-6 Astraは「人のかわりにパソコンを触る」方向へ振り切ったモデルです。OpenAIの発表資料では、フォーム入力、CRMの更新、ソフトの導入とトラブル対応、フロントエンドの動作確認といった用途が並びます。一方のClaude Fable 5.1は「長時間の仕事を任せきる」方向です。Anthropicは、数時間に及ぶコーディングや調査、複数アプリをまたぐ知的作業を主戦場に置いています。

2026年9月 2日違いで登場した2つの旗艦モデル 9月1日 9月3日 ANTHROPIC Claude Fable 5.1 長時間の自律作業に強い ・第三者総合指標で首位(66) ・コーディングエージェント指標も首位(70) ・キャッシュ読込を4分の1に値下げ ・Claude Code/Cowork で利用 入力 $10 / 出力 $50(100万トークン) OPENAI GPT-6 Astra パソコン操作の自動化に強い ・OSWorld 2.0 で 72.6%(自社公表) ・画面要素の特定 92.7%(自社公表) ・数学・科学の難問で高スコア ・ChatGPT 有料プラン/API で利用 入力 $10 / 出力 $50(100万トークン)

図1:2026年9月の発表概要。数値は各社の公表資料および第三者機関Artificial Analysisの測定値。作図=ジェイスタート会計事務所

なぜ2社は別々の方向へ進んだのか

方向性の違いは、両社の説明の仕方にも表れています。OpenAIは、GPT-6 Astraを「複雑な仕事を最後までやり切る」モデルと位置づけ、ブラウザとパソコンの操作を前面に出しました。グレッグ・ブロックマン社長は「いまがAGIの時代だと感じるのは不合理ではない」と述べ、AGIは一度の飛躍ではなく「少しずつ」訪れると説明しています(Fortune、Axiosの報道)。訓練にはテキサス州の拠点で10万基を超えるGPUが使われたと報じられ、規模で押し切る路線です。

Anthropicは違う設計をしました。中身が同じモデルを、安全対策の水準で2つに分けています。一般提供されるのがClaude Fable 5.1、対策を緩めた上位版がClaude Mythos 5.1です。後者は審査を通過したサイバー防衛の専門家と生命科学者に限定され、当面は米国内のみの提供です。能力ではなく「誰に、どこまで開くか」を制御する発想です。

この違いは、利用者側の判断にも影響します。Astraは1つのモデルで幅広く任せる設計、Fable 5.1は用途に応じて開放範囲を切り替える設計です。社内でAI利用のルールを作るなら、後者のほうが「誰がどこまで使えるか」を書きやすい構造といえます。

2. 基本スペックと料金を並べる

まず数字で押さえます。今回は価格が完全に同額になった点が特徴です。入力100万トークンあたり10ドル、出力50ドル。日本円では1ドル150円換算で、入力1,500円、出力7,500円という水準です。トークンは文字数に近い単位で、日本語ではおおむね1文字あたり1トークン前後を見ておくと感覚がつかめます。

項目GPT-6 Astra(OpenAI)Claude Fable 5.1(Anthropic)
発表日2026年9月3日2026年9月1日
APIモデル名gpt-6-astraclaude-fable-5-1
入力単価(100万トークン)10ドル10ドル
出力単価(100万トークン)50ドル50ドル
キャッシュ読み込み1ドル0.25ドル(従来比75%減)
入力できる長さ約105万トークン100万トークン
1回の最大出力12万8,000トークン12万8,000トークン
知識のカットオフ2026年4月30日2026年6月
主な提供先ChatGPT(Plus/Pro/Business/Enterprise)、API、Microsoft Azure、AWS BedrockClaude(Pro/Max/Team/Enterprise)、Claude Code、Claude Cowork、API、AWS、Google Cloud、Microsoft Foundry
速度オプションFastモード(2倍速・2倍価格)effortパラメータで思考量を調整
出典:OpenAI、Anthropic、Artificial Analysis、OpenRouter(2026年9月5日時点)

実効コストで見ると、キャッシュの扱いに差が出ます。Anthropicはキャッシュ読み込みを1ドルから0.25ドルへ下げました。同じ資料を何度も読ませる使い方では、この差が効きます。Anthropic自身は、一般的な作業で約25%、エージェント的な作業で最大約45%の削減になると説明しています。第三者機関Artificial Analysisが入力3対出力1で試算したブレンド単価は、Astraが100万トークンあたり7.70ドル、Fable 5.1が7.17ドルでした。

3. ベンチマークの読み方——公表値は各社の土俵で測られている

ここが今回いちばん大事なところです。両社の公表資料を並べると、同じ試験でも数字が食い違います。理由は単純で、各社が自社の実行環境(ハーネス)で測っているからです。相手モデルを自社環境で動かせば、その環境に最適化していない側が不利になります。読み手としては、公表値は「そのメーカーのカタログ値」と割り切り、第三者の測定値を必ず併読するのが安全です。

同じ試験でも、公表元が違うと数字が変わる 左=OpenAIが公表した値 / 右=Anthropicが公表した値(いずれも自社の実行環境で測定) ベンチマーク OpenAI公表 Anthropic公表 読み取り Terminal-Bench 4.0 端末上での自律的な作業 57.7% 55.8% ほぼ互角 Terminal-Bench-Science 0.1 科学分野の長時間タスク 64.6% 52.6% Astra優位 OSWorld 2.0 パソコン操作の自動化 72.6% 77.9% 採点基準が別 Humanity’s Last Exam(ツールあり) 広範囲の難問 57.2% 65.0% Fable優位 AutomationBench 事務処理の自動化 41.4% 31.4% Astra優位

図2:各社公表値の対比。数値は各社の発表資料および集計メディア(Vellum、DataCamp)による。作図=ジェイスタート会計事務所

第三者機関の指標では、順位が入れ替わる

独立系の評価機関Artificial Analysisが、同一条件で両モデルを測っています。総合的な知能を示すIntelligence IndexではClaude Fable 5.1が66、GPT-6 Astraが61でした。コーディングを自律的に進める力を測るCoding Agent IndexではFable 5.1が70、Astraが67です。つまり、各社の公表値ではAstraが優勢に見える項目が多い一方、共通の物差しではFable 5.1が上に立ちます。

第三者機関による共通条件での測定(Artificial Analysis) Intelligence Index(総合知能・高いほど良い) Claude Fable 5.1 66 Claude Opus 5 63 Claude Fable 5 62 GPT-6 Astra 61 GPT-5.6 Sol 61 Coding Agent Index(コーディング自律作業・高いほど良い) Claude Fable 5.1 70 GPT-6 Astra 67 Claude Opus 5 67

図3:Artificial Analysis公表値をもとに作図。棒の長さは値の差を強調するため50を起点にしています。作図=ジェイスタート会計事務所

「ARC-AGI-3で99.9%」の中身を確認する

発表直後に話題になったのが、GPT-6 AstraのARC-AGI-3という試験での99.9%という数字です。ここは丁寧に見る必要があります。試験を運営するARC Prizeの報告によると、この99.9%は「プロバイダアダプタ」と呼ばれる特別な実行環境での結果で、費用は約1万9,000ドルかかりました。標準的な実行環境での結果は62.7%で、こちらの費用は2万6,098ドルです。人間が同じ課題に挑む場合の費用は1ゲームあたり約12.78ドルでした。

ARC Prize自身も、この試験を満点にすることが「AGI(汎用人工知能)を達成した証明にはならない」と明記しています。発表に合わせてAGIへの言及が相次ぎましたが、ベンチマークの数字とビジネスでの実用性は別物です。経営判断としては、話題性ではなく自社の業務での再現性を見るべきです。

読み解きのポイント。99.9%という数字は、推論の途中経過を要求のあいだ保持し続ける特別な実行環境で出たものです。APIを普通に呼び出す一般的な使い方とは前提が違います。同じARC Prizeの報告でも、標準的な実行環境では62.7%にとどまりました。カタログ値の脚注まで読む習慣が、AI導入の費用対効果を左右します。

4. 会計・税務の実務では、どちらが効くか

ここからは当事務所の見立てです。ベンチマークの順位そのものより、業務の型に合うかどうかが実務では効きます。会計事務所と中小企業の経理で発生する仕事を4つの型に分け、向き不向きを整理しました。

業務の型で選ぶ 会計・税務の現場での使い分け 業務の型 具体例 向いているモデル 根拠 A 読み取って要約する 単発・数分で終わる 試算表の異常値チェック、契約書の論点抽出、 通達や改正資料の要約、稟議書のたたき台 両方とも可 総合指標では Fableがやや上 B 画面を操作させる GUIの自動化 会計ソフトへの入力補助、電子申告の画面操作、 社内システムへの転記、定型のダウンロード作業 GPT-6 Astra OSWorld 72.6% 画面特定 92.7% C 数時間まかせきる 長時間の自律作業 大量データの突合と整形、業種別の調査レポート、 社内ツールの作成、記帳の一括処理スクリプト Fable 5.1 コーディング 自律指標 70で首位 D 計算と検証 数理的な正確さ 株価評価や税額シミュレーションの検算、 統計処理、財務モデルの整合性チェック GPT-6 Astra 最難関数学で 97.6%を公表

図4:業務の型別の使い分け。判定は各社公表値と第三者測定値をもとにした当事務所の見解です。作図=ジェイスタート会計事務所

A:読み取って要約する仕事

試算表を貼り付けて前年同月比の異常値を挙げさせる、契約書から解除条項と損害賠償の上限を抜き出す、といった仕事です。この領域は両モデルとも十分な水準にあります。強いて選ぶなら、第三者の総合指標で上に立つFable 5.1です。ただし体感差は小さく、社内で既に契約しているほうを使えば足ります。

注意点は、どちらのモデルも数字を読み違えることがある点です。金額の桁、期間の区切り、税区分の判定は、必ず人が確認してください。当事務所では、AIの出力をそのまま帳簿に反映せず、残高照合を通すまで完了扱いにしない運用にしています。

B:画面を操作させる仕事

ここはGPT-6 Astraの独壇場に近い領域です。OpenAIの公表値では、パソコン操作を評価するOSWorld 2.0で72.6%(前世代のGPT-5.6 Solは65.7%)、画面上の要素を正しく特定する能力を測るScreenSpot-Proで92.7%(同76.9%)。1タスクあたりの所要時間も約47%短縮したとしています。会計ソフトや電子申告のように、APIが用意されていない画面を触らせる用途では差が出ます。

もっとも、Anthropic側もOSWorld 2.0で77.9%という値を公表しています。ただしこれは部分点を認める方式での数字で、全工程の成功のみを数える厳格な方式では41.7%です。OpenAIの72.6%とは採点基準も実行環境も異なるため、この2つを並べて優劣を決めることはできません。実務で確かめるなら、自社で毎月発生する画面操作を1つ選び、両方に同じ手順書を渡して成功率を数えるのが確実です。

C:数時間まかせきる仕事

Claude Fable 5.1が明確に狙っている領域です。Anthropicの公表値では、科学分野の長時間タスクを測るTerminal-Bench-Scienceが24.7%から52.6%へ、事務処理の自動化を測るAutomationBenchが17.1%から31.4%へ、いずれも前世代から大きく伸びています。数時間かかる作業を投げて、途中で失敗しても自力で立て直す。この粘り強さが売りです。

会計事務所の仕事に置き換えると、部門別の12か月分のデータを突合して差異表を作る、業種別のレポートを一次資料から組み立てる、といった作業が当てはまります。ただし、Anthropicは「多くの用途ではまずClaude Opus 5から試す」ことを推奨しています。Fable 5.1は長時間の自律作業に特化した位置づけであり、日常の質問応答では過剰になりがちです。

D:計算と検証の仕事

最難関の数学問題を集めたFrontierMath Tier 4で、OpenAIはAstraの97.6%を公表しています。大学院レベルの科学問題GPQA Diamondでも96.0%です。株価評価や税額シミュレーションの検算のように、論理の筋道を追う仕事ではAstraに分があると考えられます。

ただし注意点があります。比較対象として示されるFable 5.1の87.8%は、AnthropicではなくOpenAIが自社の表に載せた値です。またこの試験を運営するEpoch AIは、OpenAIから資金提供を受け、問題の一部に独占的にアクセスできることを開示しています。数字の出どころまで確認する姿勢が要ります。

それでも計算は「させ方」が重要です。ベンチマークが高くても、暗算にあたる出力は誤ります。金額計算は必ず表計算ソフトかスクリプトを書かせて実行させ、その結果を使ってください。当事務所が公開している税務計算ツール集のように、計算式を固定した仕組みに落とすほうが安全です。

5. 業種別の使いどころ

当事務所が顧問を担当している業種に引き寄せて、現実的な使い道を挙げます。いずれも今日の技術水準で成立する範囲にとどめました。

建設業

工事別原価の集計、実行予算と実績の差異抽出、下請台帳の記載漏れチェック。図面や仕様書からの数量拾いは精度が安定しないため、確認用にとどめるのが無難です。長時間の突合作業はFable 5.1、原価計算の検算はAstraが向きます。

不動産業

賃貸借契約書の条項比較、レントロールの整形、修繕履歴の要約。物件ごとの契約書を横断して特約の違いを一覧化する作業は、長時間の自律処理が効きます。

医療・クリニック

レセプトの傾向分析、シフト表の作成補助、院内文書の整備。患者情報は匿名化してから扱うことが前提です。個人情報を含むデータは、学習に使われない契約形態を先に整えてください。

美容・サロン

予約データからの来店周期の分析、販促文の作成、口コミ返信の下書き。単発の文章作成が中心のため、定額プランの範囲で足ります。

運送・物流

運行記録の集計、燃料費と走行距離の相関チェック、荷主別の採算表作成。数値の突合が中心なので、表計算やスクリプトを書かせて実行する使い方が確実です。

IT・受託開発

コードレビュー、テストコードの整備、仕様書からの実装。第三者指標のコーディング自律作業ではFable 5.1が首位です。一方で画面操作を伴う動作確認はAstraに分があります。

共通して言えるのは、AIに向くのは「判断」ではなく「照合」だという点です。数字を突き合わせる、条文を並べる、抜けを探す。こうした作業は人が数時間かける一方でミスも出ます。逆に、税務判断や与信判断のように責任が伴う領域は、素案づくりまでにとどめるのが安全です。

6. コストの現実——料金表が同じでも、請求額は同じにならない

入力10ドル、出力50ドルという基本料金は同じです。では請求額も同じかというと、そうはなりません。差が出るのはキャッシュの単価です。キャッシュとは、同じ資料を繰り返し読ませるときに再利用する仕組みで、Anthropicはここを1ドルから0.25ドルへ下げました。OpenAIは1ドルです。長い資料を何度も参照させるエージェント的な使い方ほど、この差が積み上がります。

利用パターン別・月額コストの目安(1ドル150円換算) ケース1 個人向け定額プランで使う(調べもの・文章作成が中心) ChatGPT Plus / Claude Pro いずれも月20ドル前後から 従量課金がなく、上限を気にせず試せる。まず着手するならここ。 約3,000円/月 ケース2 APIで軽めに使う(入力800万・出力120万トークン/月) GPT-6 Astra 140ドル = 約21,000円 Claude Fable 5.1 140ドル = 約21,000円 ほぼ同額 ケース3 エージェントとして常用(入力5,000万・うち8割はキャッシュ再読込/出力400万) GPT-6 Astra 340ドル = 約51,000円 Claude Fable 5.1 310ドル = 約46,500円 約1割の差

図5:当事務所による試算。公表単価にもとづく概算であり、実際の請求額は使い方で変動します。作図=ジェイスタート会計事務所

この試算から言えることは3つです。第一に、月に数万円の規模までは価格差がほぼ影響しません。第二に、エージェント的な常用に踏み込むと1割前後の差が出ます。第三に、そもそも最初の一歩は定額プランで十分です。中小企業がAPIの従量課金から始める必要はありません。

7. 顧問先データを扱う前に確認すべき3点

会計事務所にとっては、性能より先に確認すべき論点があります。税理士法38条は、税理士に業務上知り得た秘密を守る義務を課しています。顧問先の帳簿や申告書をAIに読ませる行為は、この観点から設計しなければなりません。中小企業でも、取引先情報や個人情報を扱う以上は同じ話です。

(1) データが学習に使われない設定になっているか

両社とも、法人向けの契約ではデータを保持しない選択肢を用意しています。OpenAIはAPI利用者向けにゼロデータ保持を提供し、Anthropicは顧客が管理するクラウド基盤上でゼロデータ保持を実現する仕組みを案内しています。個人向けの安価なプランでは設定が異なる場合があるため、契約前に管理画面で確認してください。

(2) 「操作させる範囲」を先に決めているか

GPT-6 Astraのように画面を操作できるモデルは、便利さと危うさが表裏一体です。会計ソフトへ書き込ませる、金融機関の画面を触らせるといった使い方は、権限を絞ったうえで人の承認を挟む設計が前提になります。当事務所では、AIに操作させる範囲を「読み取りまで」と「登録まで」に分け、登録を伴う作業は残高照合が通るまで完了扱いにしない運用にしています。

(3) 提供側の安全対策の水準を把握しているか

OpenAIは、GPT-6 Astraのサイバー分野の能力が自社基準の「Critical(重大)」の閾値に達したと説明しています。社内評価で未知の脆弱性を2件発見し、開発元へ報告する手続きを進めているとも公表しました。攻撃的な用途は審査を経たプログラムに限定されています。Anthropicも、安全対策を緩めた上位版のMythos 5.1を、審査を通過したサイバー防衛の専門家と生命科学者に限定して提供しています。

中小企業への含意。この2社の慎重な扱いは、裏を返せば「同等の能力が今後は広く出回る」という予告でもあります。取引先を装ったメールや偽サイトの精度は上がります。振込前の電話確認、経理担当者の複数チェックといった昔ながらの手続きが、いま改めて効きます。

8. 明日から始める3ステップ

比較記事を読んで終わりにしないための手順です。どちらが優れているかを議論するより、自社の1業務で測るほうが早く答えが出ます。

  1. 業務を1つだけ選ぶ。月に必ず発生し、手順が決まっていて、間違えても取り返しがつくものを選びます。月次の試算表チェック、請求書の内容確認、議事録の要約あたりが向いています。いきなり申告書の作成に使うのは避けてください。
  2. 同じ課題を両方に渡し、2週間ためす。指示文は同一にします。記録するのは3つだけ。一発で使える出力になった割合、かかった時間、人が直した箇所です。感想ではなく数字で残すと判断が速くなります。
  3. 費用で線を引く。月20ドル前後の定額プランで足りるなら、そこで止めます。足りない場合だけAPIやエージェント利用を検討します。効果が数字で出ていない段階で従量課金に進むと、費用だけが先行します。

具体的な連携方法は、当事務所が公開している実践記事も参考になります。マネーフォワード クラウドとの連携は【図解でわかる】マネーフォワード×Claude連携のはじめ方、弥生会計デスクトップ版との連携は【図解でわかる】弥生会計(デスクトップ版)×Claude Cowork 完全ガイドにまとめています。会計ソフト側の動きはfreeeが税理士向けAIエージェントを公開|中小企業の経理は何が変わるかもあわせてご覧ください。

9. よくある質問

結局、1つ選ぶならどちらですか。

用途で分かれます。パソコンの画面を操作させたい、数理的な検算をさせたいならGPT-6 Astra。数時間かかる作業をまとめて任せたい、社内ツールを作らせたいならClaude Fable 5.1です。判断がつかない場合は、どちらも月20ドル前後の定額プランがあるため、2か月だけ両方契約して自社の業務で比べるのが確実です。

前のモデルから乗り換えるべきですか。

用途によります。Anthropicは、多くの用途ではまずClaude Opus 5から試すよう案内しています。Fable 5.1は長時間の自律作業に特化した位置づけだからです。OpenAI側も、GPT-6 Astraの基本料金は前世代のGPT-5.6 Solの2.5倍にあたります。日常の質問応答が中心なら、急いで最上位モデルに移る必要はありません。

日本語の精度に差はありますか。

2026年9月時点で、両社とも日本語に限定した公式のベンチマーク値は公表していません。したがって「どちらが日本語に強いか」を数値で断定することはできません。実務では、自社で使う定型文(決算報告のコメント、顧問先への案内文など)を同じ指示で書かせて比べるのが早い判断材料になります。

会計ソフトの仕訳登録をAIに任せられますか。

補助としては使えますが、無条件に任せる段階ではありません。当事務所では、登録作業を「完了」と扱う条件を、実際の口座残高と帳簿残高が1円まで一致することに置いています。AIが登録した仕訳も、この照合を通るまでは未完了扱いです。銀行やカードを連携している取引を証憑から二重に起票してしまう事故も起こりやすいため、連携明細側で仕訳を作るルールを先に決めてください。

ベンチマークの数字はどこまで信用できますか。

方向性の参考にはなりますが、順位そのものは実行環境に左右されます。今回も、各社の公表値と第三者機関の測定値で優劣が入れ替わりました。試験の名前が同じでも、測り方が違えば結果は変わります。導入判断では、自社の業務でのやり直し率と所要時間を測るほうが確実です。

無料プランでも試せますか。

今回の2モデルは、いずれも無料プランの対象外です。GPT-6 AstraはChatGPTのPlus以上、Claude Fable 5.1はClaudeのPro以上で提供されています。ただしFable 5.1は、Proや標準的なTeam・Enterpriseの席ではプラン内の利用枠に含まれず、従量課金のクレジットで動く扱いです。Maxプランでは週あたりの利用枠の最大50%までを消費します。定額だから使い放題、とはならない点に注意してください。

顧問先の資料を読ませても大丈夫ですか。

契約形態と設定次第です。法人向けの契約では、入力したデータを学習に使わない設定や、データを保持しない選択肢が用意されています。個人向けの安価なプランでは扱いが異なる場合があるため、必ず管理画面で確認してください。税理士事務所の場合は、税理士法38条の守秘義務との関係を踏まえ、顧問先への説明と同意の取り方も含めて社内規程に落としておくことをおすすめします。

まとめ

  • GPT-6 Astra(2026年9月3日)とClaude Fable 5.1(同9月1日)は、入力10ドル・出力50ドルで価格が同額、扱える長さも約100万トークンで並びました。
  • 各社の公表値は自社の実行環境で測られています。第三者機関Artificial Analysisの共通条件では、総合指標がFable 5.1の66に対しAstraが61、コーディング自律作業では70対67でした。
  • パソコンの画面を操作させる用途と、数学・科学の難問はAstraが優勢です。数時間まかせきる自律作業と実効コストではFable 5.1が優勢です。
  • 「ARC-AGI-3で99.9%」は特別な実行環境での結果で、標準環境では62.7%、費用も1回あたり2万ドル前後かかっています。カタログ値は脚注まで読む必要があります。
  • 会計事務所と中小企業がまず確認すべきは性能ではなく、学習利用の設定、操作させる範囲、承認の手順です。守秘義務と内部統制の設計が先に来ます。

どのモデルを選ぶかより、どの業務から手をつけるかのほうが成果を左右します。自社の業務にどう組み込むか迷われている場合は、ジェイスタート会計事務所へお気軽にご相談ください。会計・税務の実務に即したかたちで、導入の順序と検証の方法をご提案します。

※本記事は2026年9月時点の公開情報にもとづく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。AIサービスの仕様・料金・提供条件は短期間で変更されるため、導入前に各社の公式情報をご確認ください。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。

主な参照元:OpenAI「GPT-6 Astra: A new generation of intelligence」、Anthropic「Introducing Claude Fable 5.1 and Claude Mythos 5.1」、Artificial Analysis、ARC Prize、OpenRouter、Vellum、DataCamp(いずれも2026年9月5日確認)

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