「相続税の申告が必要かどうか分からない」というご相談は、相続が発生した際によく寄せられます。申告が必要になるのは、相続財産の合計額が基礎控除額を超える場合です。基礎控除の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と法令で定められており(相続税法第15条)、まずこの計算を行うことが判定の第一歩となります。
この記事では、基礎控除の計算方法・法定相続人のカウント方法・判定の具体例・注意が必要なケースを解説します。
この記事は、こんな方に役立ちます
- 決算・申告を控えて段取りを確認したい経営者
- 記帳や決算整理をどこまで自社でやるか迷っている方
- 申告期限と納税の流れを把握したい方
- 相続税申告の要否は「相続財産の合計 vs 基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」の比較で判断する。
- 相続放棄した人も法定相続人の数にカウントする。養子の算入には人数制限あり。
- 申告の期限は死亡を知った日の翌日から10か月以内。期限超過は延滞税・加算税のリスクあり。
- 財産が基礎控除以下でも、配偶者の税額軽減・小規模宅地等の特例を使う場合は申告が必要。
基礎控除の計算式
相続税の基礎控除は、次の計算式で求めます。この金額を超える相続財産がある場合に、申告が必要となります(国税庁タックスアンサーNo.4152参照)。
| 計算式 | 内容 |
|---|---|
| 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数 | 2015年1月1日以降の相続から適用 |
たとえば、法定相続人が配偶者と子2人の計3人の場合は、3,000万円+600万円×3人=4,800万円です。相続財産の合計が4,800万円以下であれば、原則として申告は不要です。法定相続人が1人の場合は、3,000万円+600万円×1人=3,600万円が基礎控除額となります。
法定相続人のカウント方法
基礎控除の計算で使う「法定相続人の数」には、民法の規定とは別に、相続税法独自のルールがあります。正確にカウントするために、次の点を確認しましょう。
- 相続放棄があっても、その人は法定相続人の数に含めます(相続税法第15条第2項)。実際に財産を受け取らなくても、基礎控除の計算では含める点が注意点です。
- 養子の扱い:実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子2人までを法定相続人の数に算入できます。
- 法定相続人の順位:配偶者は常に相続人。第1順位は子(直系卑属)、第2順位は父母等(直系尊属)、第3順位は兄弟姉妹。上位の相続人がいる場合、下位の人は法定相続人になりません。
申告要否の判定手順
相続税の申告が必要かどうかは、次の手順で確認します。
- ①法定相続人を確定する:戸籍謄本を取得し、相続人の範囲と人数を確認します。
- ②基礎控除額を計算する:3,000万円+600万円×法定相続人の数。
- ③相続財産の総額を把握する:現預金・不動産・有価証券・生命保険金(みなし相続財産含む)・その他を合計します。負債(借金・未払い税金等)は差し引けます。
- ④比較する:相続財産の総額>基礎控除額 なら申告が必要です。
なお、申告が必要な場合の期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法第27条)。この期限を過ぎると、延滞税・加算税が発生する可能性があります。
基礎控除以下でも申告が必要なケース
相続財産が基礎控除額以下であっても、次のケースでは申告が必要になる場合があります。申告しないと特例・控除が適用されないため、注意が必要です。
- 配偶者の税額軽減:配偶者が法定相続分または1億6千万円のいずれか多い金額まで非課税になる特例(相続税法第19条の2)を使う場合は申告が必要です。
- 小規模宅地等の特例:被相続人の自宅や事業用地について、評価額を最大80%減額できる特例(租税特別措置法第69条の4)を適用する場合は申告が必要です。
- 農地の納税猶予:農業相続人が農地を相続する場合の特例も申告が前提です。
まとめ
相続税の申告はお早めにご相談ください
当事務所は、相続税申告の要否確認から申告書作成・納税まで一貫してサポートしています。「申告が必要か分からない」という段階でのご相談も歓迎しております。料金や業務の流れは料金・契約・業務フローのページで、ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
決算前にそろえておく主な書類
- 売上・仕入の請求書と入金記録
- 預金通帳・借入金の返済予定表
- 請求書・領収書(経費)
- 固定資産の取得・売却の資料
- 棚卸表(在庫の数量と金額)
※本記事は2026年9月時点の法令・情報に基づく一般的な解説であり、個別の税務判断を保証するものではありません。実際の適用にあたっては税理士等の専門家にご相談ください。
出典・参考情報(公的機関)
本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の税務判断・アドバイスを行うものではありません。税制・法令は改正される場合があります。実際の申告・手続の際は、上記の公的機関が公表する最新情報をご確認のうえ、税理士など専門家へご相談ください。
