クリーニング・コインランドリー・温浴施設の経営に役立つ最新情報【2026年版】

最終更新:2026年7月27日(令和8年度対応)

このページは、クリーニング店・コインランドリー・公衆浴場(銭湯)・温浴施設を営む方に向けて、2026年(令和8年)時点の業界動向・税制・支援策・労務の最新情報を税理士事務所の視点で整理したものです。工場集約の動き、コインランドリーの税制上の節税規制、燃料費高騰対策を中心にまとめています。

✓ 2026年の業界動向 ✓ コインランドリー税制の注意点 ✓ 燃料費高騰対策 ✓ 労務・人材の新ルール ✓ 12か月アクション表
3分でわかる要点
  1. 結論を先に:クリーニング所は前年比5.4%減と縮小が続く一方、コインランドリーは店舗数で既に上回りました。事業の主軸をどこに置くかが分かれ目です。
  2. コインランドリー税制に注意:運営を他者に委託する投資型モデルは、令和5年度改正で中小企業経営強化税制の対象から除外されました。
  3. 温浴施設は燃料費が経営を圧迫:重油・灯油価格は従来の2倍程度という報告例もあります。省エネ投資と料金改定の両輪で対応が必要です。
  4. 前受金は利用時に売上計上:回数券・サブスクの入金は発行時ではなく、実際に利用した時点で売上にするのが原則です。
  5. 106万円の壁が撤廃:R8.10.1に賃金要件が撤廃され、パート従業員の社会保険加入対象が広がります。
目次

1. 業界の今|2026年のクリーニング・コインランドリー・温浴業界動向

ひとことで言うとクリーニング店が縮む一方でコインランドリーは拡大中です。温浴施設は燃料費高騰という共通の重荷を抱えています。

6.99万カ所クリーニング施設数(2025年3月末・前年同期比−4.2%)
2.6万店超コインランドリー店舗数(全国・増加傾向)
1,562公衆浴場(銭湯)数(令和7年4月・全浴連加盟)

厚生労働省の調査では、2025年3月末のクリーニング施設数は6万9,855カ所で前年同期比4.2%減でした。うち工場等を持つクリーニング所は1万9,939カ所で同5.4%減です。

市場規模も2000年の5,008億円から2015年に3,089億円へと約4割縮小しました。自宅洗濯の増加やテレワーク浸透による需要減が背景にあります。

個店の廃業が続く一方、工場を集約し複数の取次店でカバーする効率化モデルへの転換が進んでいます。

対照的にコインランドリーは拡大基調です。全国店舗数は2万6,000店を超え、クリーニング所の数(1万9,939カ所)を既に上回りました。共働き世帯の時短ニーズが追い風です。

ただし令和5年度税制改正で、運営の大部分を他者に委託するコインランドリー業は、中小企業経営強化税制の即時償却等の対象から除外されました。自ら主要な事業として運営する場合は引き続き活用できます。

温浴施設は燃料費高騰に直面しています。一般公衆浴場数は昭和43年のピーク1万7,999軒から、令和7年4月時点で1,562軒へ激減しました。

高齢化・後継者難・施設老朽化と燃料費高騰が絡み合う構造的な課題を抱えています。地域住民の入浴機会を守るため、自治体による燃料費・光熱費支援も一部で実施されています。

ポイント店舗単位のクリーニング業が縮小する一方、コインランドリー・温浴施設は業態転換や省エネ投資による収益モデルの再構築が課題です。税制優遇は「主要な事業として自ら運営しているか」が分かれ目になります。
クリーニング所とコインランドリーの店舗数逆転
コインランドリー(全国)2.6万店超
クリーニング所(工場等を有する店舗)1.99万カ所
出典:厚生労働省「クリーニング業概要」、中小企業基盤整備機構 J-Net21「コインランドリー市場調査データ」

2. 経営のポイント|経営者が今やるべきこと

ひとことで言うとクリーニングは集約、コインランドリーは主要事業化、温浴は省エネ投資が、それぞれの生き残り策です。

2-1. クリーニング工場の集約・共同化の検討

集約後は集荷・配送のルート効率も見直しの対象になります。取次店化で顧客接点を維持しつつ、バックヤードの生産性を高める発想が重要です。

需要縮小が続くなか、店舗ごとに工場を維持するコストは重荷になりやすくなっています。複数店舗や近隣事業者との工場集約、取次店ネットワーク化で固定費を削減しましょう。

2-2. コインランドリーの主要事業化と税制活用の両立

スタッフの定期巡回や清掃体制を自社で担うだけでも、主要な事業としての実態を示す材料になります。委託契約の内容も見直しておきましょう。

中小企業経営強化税制の即時償却・税額控除を使いたい場合は、運営を他者に委託せず、自ら主要な事業として管理する体制を整える必要があります。

2-3. 温浴施設の燃料費対策と省エネ投資

入浴料金は地域の生活インフラという性格上、値上げに慎重にならざるを得ない面があります。段階的な料金改定と支援策の活用を組み合わせる判断が求められます。

ボイラーの更新や断熱改修は燃料費高騰への根本的な対策です。中小企業経営強化税制の活用とあわせて、自治体の燃料費・光熱費支援策も定期的に確認しましょう。

クリーニング工場集約を検討する手順
STEP1 店舗別の採算を見える化工場維持費とクリーニング師の人件費を店舗ごとに算出
STEP2 集約候補を選ぶ稼働率の低い工場から取次店化を検討
STEP3 資格者配置を見直すクリーニング師の配置義務を集約後の体制で満たす
STEP4 顧客への影響を最小化集荷・配送ルートを再設計し納期を維持
※実務でよく使う進め方を整理したものです
業態別に見た打ち手の優先順位
すぐやる(効果大・コスト小)クリーニングの店舗別採算の可視化、燃料費支援情報の収集
計画してやる(効果大・コスト大)工場集約、ボイラー更新等の省エネ投資
余力があればコインランドリーの新規出店検討
優先度は低い運営を全面委託したままの節税目的の投資
※実務でよく使われる整理の型です

3. 税務・会計の留意点(令和8年度)

ひとことで言うとコインランドリー投資は「主要な事業として自ら運営しているか」で税制優遇の可否が変わります。

クリーニング所には1施設ごとに1人以上のクリーニング師の配置が法律で義務付けられています。取次所には配置義務がなく、開設届の内容と実際の配置が一致しているかを定期的に確認しましょう。

令和5年度税制改正で「主要な事業でない」かつ「管理のおおむね全部を他者に委託する」コインランドリー業は、中小企業経営強化税制の対象資産から除外されました。

回数券やサブスク型のサービスを提供している場合、前受金は発行時ではなく実際に利用した時点で売上に計上するのが会計上の原則です。未使用残高の管理も必要です。

少額減価償却資産の特例はR8.4.1以後取得分から上限40万円未満に拡充され(年合計300万円まで)、小型の洗濯機付属設備や店舗什器の更新に活用できます。

業務用洗濯機・乾燥機は法定耐用年数13年が一般的な目安です。更新投資の計画に反映しておきましょう。

項目内容実務対応
クリーニング師の配置義務クリーニング所には1施設ごとに1人以上が必要(取次所は不要)資格者の在籍状況を開設届の内容と一致させて管理
コインランドリー業の中小企業経営強化税制主要な事業でなく管理を他者委託する場合は即時償却等の対象外(R5改正)自ら主要な事業として運営する体制を整理してから適用を検討
回数券・サブスクの前受金処理前受金は役務提供(利用)時に売上計上するのが原則発行時に全額売上計上しないよう残高を管理
機械設備の減価償却業務用洗濯機・乾燥機は法定耐用年数13年が目安更新投資は耐用年数を踏まえて計画
少額減価償却資産の特例R8.4.1以後取得分は40万円未満に拡充(年合計300万円まで)小型機器・附属設備の更新に活用
生活衛生関係の融資クリーニング業・公衆浴場業は日本公庫の生活衛生貸付の対象振興事業貸付は設備資金だけでなく運転資金にも利用可
防衛特別法人税R8.4.1以後開始事業年度から課税。(基準法人税額−基礎控除500万円)×4%法人化しているクリーニング業・コインランドリー・公衆浴場業は基準法人税額500万円超かを確認する
回数券・サブスク前受金の会計処理の流れ
STEP1 発行・入金回数券・サブスク代金を「前受金(負債)」として計上
STEP2 利用のたびに消化実際に利用した回数分だけ前受金を取り崩す
STEP3 消化分を売上に振替利用実績にあわせて売上計上する
STEP4 未消化残高を管理有効期限切れの扱いも契約書にあわせて整理
出典:国税庁「前受金や前払金などがあるとき」をもとに整理

4. 使える補助金・助成金・支援策(2026年)

ひとことで言うと設備更新から燃料費対策まで、業態ごとに使える支援策を組み合わせましょう。

制度上限・補助率直近スケジュール業界での使い方
中小企業経営強化税制即時償却又は税額控除7〜10%要件見直しに留意し随時適用ボイラー・洗濯機等の設備更新(コインランドリーは主要事業要件に留意)
中小企業省力化投資補助金カタログ型・一般型で上限額が異なる第7回:R8.6.5要領公開・7月受付無人受付・自動精算システム等の省力化投資
小規模事業者持続化補助金通常枠上限50万円+上乗せで最大250万円第20回:受付R8.11.5〜12.15集客ツール整備・店舗改装等の販路開拓
事業承継・M&A補助金上限600万円等(類型により異なる)年数回の公募後継者不在のクリーニング工場・浴場のM&A
自治体の燃料費・光熱費支援自治体により金額・要件は異なる自治体ごとに随時公募温浴施設等の燃料費高騰対策として活用
ご注意補助金の申請代行は行政書士等、雇用関係助成金の申請代行は社会保険労務士の専門分野です。当事務所は税務・財務の観点から、採択後の会計処理・圧縮記帳・資金繰り計画を支援します。

公募期間が短い制度も多いため、決算期や設備更新の時期にあわせて、年間スケジュールを前もって確認しておくと申請の機会を逃しません。

5. 労務・人材の最新論点

令和8年度税制改正・労務改正は同時期に集中しやすいため、経営者だけで抱え込まず、社会保険労務士や税理士と役割分担して対応することをおすすめします。

ひとことで言うとクリーニング師の高齢化と106万円の壁撤廃という2つの人材課題に、同時に備える必要があります。

クリーニング業では、クリーニング所ごとに1名以上のクリーニング師を配置する法定義務が変わりません。資格者の高齢化や後継者難が個店廃業を後押しする要因の一つです。

受付・仕分け・コインランドリーの店舗管理をパート従業員が担うケースも多く、R8.10.1の「106万円の壁」撤廃で、全国約200万人が新たに社会保険の加入対象になる見込みです。

北海道の最低賃金は令和7年10月に1,075円となりました。令和8年度の改定目安は2026年夏に答申され、10月頃の発効が見込まれます。

温浴施設では繁忙期の人員確保に加え、利用者対応でのカスタマーハラスメント対策も課題です。相談体制の整備と、限られた人員でのシフト効率化にあわせて取り組みましょう。

6. 資金繰り・銀行融資対策

ひとことで言うと季節変動と燃料費変動という2つの波を、月次の資金繰り表で先読みすることが安定経営の土台です。

6-1. 業態特有の資金繰り課題

いずれの業態も、繁忙期にまとまった収入があっても、閑散期の固定費支払いに耐えられるだけの手元資金を平時から積み上げておく発想が欠かせません。

クリーニング業は衣替えの時期に売上が偏る季節変動があり、閑散期の固定費(クリーニング師の人件費・工場維持費)が資金繰りを圧迫しやすくなります。

コインランドリーは開業時の設備投資額が大きく、投資回収までの資金計画が重要です。温浴施設は燃料費の変動幅が大きく、料金改定のタイミングがずれるとキャッシュフローが不安定になりやすい点に注意してください。

6-2. 使える融資メニュー

クリーニング業・公衆浴場業は、日本政策金融公庫の生活衛生貸付(一般貸付・振興事業貸付)の対象業種です。振興事業貸付は組合員で振興計画の認定を受けている場合に利用できます。

コインランドリーの新規開業・増設には、日本公庫の設備資金や信用保証協会の保証付融資もあわせて検討できます。

6-3. 金融機関の見方と決算書のポイント

数字の裏付けがある事業計画は、金融機関からの信頼にも直結します。

金融機関は、回数券・サブスクの前受金残高と実際の利用消化状況の整合性、燃料費・電気代の変動に対する価格転嫁力を通じて資金繰りの安定性を見ています。

資金使途と返済原資を数字で説明できる資料をそろえておくと、融資審査がスムーズに進みやすくなります。

設備の稼働率や耐用年数を踏まえた更新計画を決算書とあわせて説明できると、融資相談がスムーズに進みます。

実務ポイントクリーニング業・公衆浴場業は生活衛生同業組合の組合員であれば振興事業貸付(運転資金にも利用可)を利用できる場合があります。組合加入状況とあわせて確認しておきましょう。
業態別の主な原価構成(モデルケース)
人件費30燃料光熱費25設備償却15家賃15利益等15
人件費燃料・光熱費設備償却費家賃利益等
※当事務所が温浴施設を想定して整理したモデルケースです。クリーニングは人件費、コインランドリーは設備償却の比重が相対的に高くなります

7. 経営指標の目安(KPIベンチマーク)

ひとことで言うと3つの業態は原価構造が別物です。自社の業態に近い指標だけを比較の目安にしましょう。

クリーニング・コインランドリー・温浴施設は原価構造が業態ごとに大きく異なります。以下は公表統計等をもとにした「目安」です。

単月の数値だけで判断せず、複数期間の推移や季節変動もあわせて確認することをおすすめします。

指標目安見方
クリーニング施設数の増減率−4.2%(2025年3月末・前年同期比)業界全体の縮小ペースを把握する目安
コインランドリー店舗数2.6万店超(全国)出店競合状況を把握する目安
公衆浴場(銭湯)数の推移1,562軒(令和7年4月、ピーク比1割以下)業態の希少性・地域での立ち位置を測る指標
業務用洗濯機等の法定耐用年数13年が目安設備更新・減価償却計画の目安
ボイラー燃料費の上昇幅重油・灯油で従来の2倍程度という報告例燃料費予算・料金設定を見直す際の目安
生活衛生貸付(振興事業)の返済期間設備20年以内・運転7年以内長期投資の資金計画を立てる際の目安
自社数値と比べる際の注意クリーニング・コインランドリー・温浴施設は原価構造がまったく異なります。自社の業態に近い指標を中心に、地域事情も踏まえたうえで参考にしてください。
クリーニング施設数の減少ペース(前年同期比)
2024年3月末(基準)±0%
2025年3月末(前年同期比)−4.2%
出典:厚生労働省「クリーニング業概要」

8. 成功事例と失敗事例に学ぶ|クリーニング・コインランドリー・温浴施設

ひとことで言うと需要縮小への対応スピードと、税制要件の理解度が、この業界の明暗を分けています。

成功事例

成功事例①|工場集約と取次店ネットワーク化で黒字転換複数店舗で工場を維持していたクリーニング会社が1か所に集約し、他店を取次店として再編。固定費が圧縮され、需要縮小下でも黒字体質を維持しています。
成功事例②|コインランドリーを自ら運営し経営強化税制を活用新規参入した会社が運営代行に任せきりにせず、自らスタッフを配置して主要な事業として運営。中小企業経営強化税制の適用要件を満たし、税負担を抑えながら複数店舗展開を進めています。
成功事例③|ボイラー更新と回数券のデジタル化で収益が安定燃料費高騰に直面していた温浴施設が省エネボイラーへの更新と回数券の電子化を実施。繁閑にあわせた人員配置ができるようになり収益が安定しました。

失敗事例

失敗事例①|工場維持を続け赤字が慢性化需要減少下でも店舗ごとに工場を維持していたクリーニング会社は、稼働率の低い設備維持費と人件費が経営を圧迫し赤字が慢性化しました。
失敗事例②|運営を全面委託し経営強化税制を使えなかった節税目的でコインランドリーに投資し運営を他社委託していた事業者は、令和5年度税制改正で即時償却等の対象外とされ、想定した税負担軽減を受けられませんでした。
失敗事例③|燃料費高騰分を転嫁できず資金繰りが悪化値上げに踏み切れないまま燃料費高騰を迎えた公衆浴場は、コスト増を自己吸収し続け運転資金が枯渇寸前まで悪化しました。
事例から見える「分かれ目」3点①需要縮小を見据えた工場集約・店舗再編を早めに判断できているか②コインランドリー等の設備投資で税制の適用要件(主要な事業か)を正しく理解しているか③燃料費・原価上昇分を料金改定と支援策の両面で吸収できているか

※事例は守秘義務に配慮し、実際に見られる典型パターンを一般化・再構成したモデルケースです。特定の企業・個人の事実を示すものではありません。

9. 今後12か月のアクションチェックリスト

ひとことで言うと2026年7〜9月のうちに燃料費対策と前受金管理を点検し、年末の人件費増に備えましょう。

クリーニング・コインランドリー・温浴施設は業態ごとに直面する課題が異なるため、自社の事業構成にあわせて優先順位を柔軟に調整することをおすすめします。判断に迷う項目があれば、早めに顧問税理士へご相談ください。

時期やること関連制度
2026年7〜9月燃料費・電気代の動向確認と自治体支援情報の収集、回数券・サブスクの前受金管理の点検自治体の燃料費・光熱費支援
2026年10〜12月106万円の壁撤廃対応の人件費シミュレーション、年末繁忙期の人員体制確認106万円の壁撤廃
2027年1〜3月少額減価償却資産の特例を使った設備更新、中小企業経営強化税制の適用要件再確認中小企業経営強化税制
2027年4〜6月次年度資金繰り計画の策定、工場集約・業態転換の検討、生活衛生貸付など融資枠の確認生活衛生貸付

10. 関連情報・よくある質問

ひとことで言うとクリーニング・コインランドリー・温浴施設の制度は、税制改正全体や近い業種ともつながっています。

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※本ページは2026年7月時点の公表情報に基づく一般的な情報提供です。制度・金額・期限は今後の改正等により変更される場合があります。個別の適用可否や税務判断については、顧問税理士または当事務所にご確認ください。

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