最終更新:2026年7月27日(令和8年度対応)
このページは、先祖代々の土地や相続した土地を所有する地主・土地オーナーの方に向けて、2026年(令和8年)時点の土地活用と相続対策の「経営判断に直結する最新情報」を税理士事務所の視点で整理したものです。令和8年分路線価の動向、貸家建付地・小規模宅地等の特例による評価減、アパート建築・駐車場化・等価交換・定期借地といった土地活用方式の選び方、生前贈与や相続時精算課税の使い方まで、土地オーナーならではの実務論点を中心にまとめています。札幌市内はもちろん、北海道全域どこからでもオンラインでご相談いただけます。
- 結論を最初に:貸付事業用宅地等は200㎡まで50%減額されます。ただし相続開始前3年以内に始めた貸付けは原則対象外です。
- 評価額は上がっています:令和8年分路線価は全国平均+2.9%で5年連続の上昇。札幌市内でも12.5%上昇した地点があります。
- 活用方式は一つではない:アパート建築・駐車場化・等価交換・定期借地から、自己資金と収益性に応じて選びます。
- 管理料には実務上の目安がある:委任管理方式は家賃収入の8%程度、一括転貸方式は15%程度が実務上の目安です。
- 生前贈与は今のうちに:相続開始前の持ち戻し期間は令和8年中の相続ならまだ3年。令和9年以降は段階的に7年へ延びます。
1. 業界の今|2026年の地主・土地オーナーを取り巻く動向
ひとことで言うと路線価は5年連続で上昇しており、評価が上がるほど「更地で持つ」より「活用して評価を下げる」対策の効果も大きくなります。
国税庁が2026年7月1日に公表した令和8年分路線価は、全国約32万地点の標準宅地の平均で前年比2.9%の上昇となりました。5年連続の上昇で、現行の算定方式になった2010年以降で最大の伸び率です。都道府県別では東京都が+9.4%とトップで、沖縄県+6.6%、大阪府+5.1%が続きます。
北海道は道内約1万3,500地点の平均で+1.8%と、全国平均は下回ったものの5年連続の上昇です。札幌市内では「平岸通り」がマンション需要を背景に+12.5%となったほか、観光地の小樽・富良野で高い伸びが続く一方、大規模開発が控えめな地域では上昇率が鈍化するなど、地域差が広がっています。
路線価は相続税・贈与税の土地評価の基準であり、公示地価のおおむね80%の水準に設定されています。評価額が上がるということは、同じ土地を持ち続けているだけで将来の相続税負担が重くなることを意味します。
更地のまま保有するより、賃貸住宅の建築や駐車場化など「土地を活用する」ことで評価額そのものを下げられる場合がある点が、地主・土地オーナーにとっての基本戦略です。
土地を第三者に貸せば「貸宅地」、その土地に建てた建物を賃貸すれば「貸家建付地」として、自用地評価額から一定割合を差し引いた評価になります。借地権が設定された土地の評価には、路線価図に記されたA(90%)からG(30%)までの記号(借地権割合)を用います。都心部の商業地ほど割合が高く、郊外・地方ほど低くなる傾向があります。
相続財産に占める土地の割合が大きい地主ほど、評価額が上がるほど納税資金の確保が難しくなるリスクも高まります。評価を下げる対策と同時に、金融資産や生命保険で納税資金を準備しておくことが欠かせません。
2. 経営のポイント|地主・土地オーナーが今やるべきこと
ひとことで言うと土地活用は節税額の大小だけでなく、収益性・自己資金の負担・将来の承継のしやすさを総合して選ぶことが大切です。
2-1. 土地活用方式の選び方(アパート建築・駐車場化・等価交換・定期借地)
遊休地や老朽アパートの敷地を活用する方法は一つではありません。自己資金で賃貸住宅を建てる方式のほか、開発会社が建築費を負担し完成後の建物と土地を出資比率に応じて分け合う「等価交換方式」、契約期間終了時に更地で返還を受けられる「定期借地権」を設定する方式などがあります。
等価交換方式は自己資金をほとんど使わずに土地活用でき、事業ノウハウがなくても始めやすい一方、建物の持分は開発会社との按分になるため収益の取り分は小さくなります。定期借地権は一時金(保証金等)を受け取りながら安定した地代収入を得られますが、事業用定期借地権は契約期間が10年以上50年未満と長期に及びます。
駐車場化は初期投資が比較的少なく始めやすい半面、相続税評価では自用地に近い評価になりやすく、小規模宅地等の特例の適用範囲も賃貸住宅とは異なります。空室リスクや管理の手間を含めて、複数の方式を収支シミュレーションで比較したうえで選ぶことが欠かせません。
2-2. 不動産管理会社の活用と管理料の目安
土地オーナー自身が個人で賃貸経営を行うほか、資産管理会社を設立して建物を所有させたり、管理業務を委託したりする方法もあります。会社に業務を担わせる方式には、管理業務のみを委託する「管理料方式」、会社が家賃保証をして転貸する「一括転貸(サブリース)方式」、会社が建物そのものを所有する「所有方式」の3つがあります。
管理料方式は所得移転効果が限定的な一方、一括転貸方式や所有方式は会社側に多くの所得を移せますが、管理料が高すぎると税務調査で否認されるリスクがあります。
実務上は委任管理方式で家賃収入の8%程度、一括転貸方式で15%程度が目安とされ、国税不服審判所の裁決事例では管理料が33〜35%相当とされたケースで相当額を3〜4%と判断された例もあります。
資産管理会社の設立や株価対策、事業承継税制の活用まで踏み込む場合は、「資産管理会社・持株会社の経営に役立つ最新情報」でより詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
2-3. サブリース活用時の注意点
アパート等を一括借上げ(サブリース)で貸し出す場合、賃貸住宅管理業法により、将来の賃料減額の可能性や契約解除条項について契約前に書面で説明することが事業者に義務付けられています。最高裁判例でも賃料減額請求が認められる場合があることが示されており、契約書に賃料改定のルールを明確に定めておくことがオーナー側の防衛策になります。
管理会社選びやサブリース契約の詳しい実務ポイントは「不動産投資・賃貸管理法人の経営に役立つ最新情報」で解説していますので、活用方式を検討する際の参考にしてください。
3. 税務・会計の留意点(令和8年度)
ひとことで言うと貸家建付地・貸宅地の評価減と小規模宅地等の特例を正しく使えるかどうかで、同じ土地でも相続税評価額が大きく変わります。
賃貸住宅を建てて第三者に貸している土地は「貸家建付地」として、自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合30%×賃貸割合)で評価します。借地権を設定して他人に土地を貸している場合は「貸宅地」として、自用地評価額×(1-借地権割合)まで評価が下がります。いずれも建物を自用のまま保有するより評価額を下げられる仕組みです。
小規模宅地等の特例のうち、賃貸アパートや駐車場など貸付事業の用に供している宅地等は「貸付事業用宅地等」として200㎡まで評価額を50%減額できます。ただし平成30年度改正により、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は原則として対象外です。いわゆる5棟10室基準など事業的規模で貸付けを行っている場合はこの制限を受けません。
面積の大きな土地を保有する地主には「地積規模の大きな宅地の評価」も関係します。三大都市圏では500㎡以上、それ以外の地域では1,000㎡以上の宅地で、普通住宅地区に所在する等の要件を満たせば、規模格差を反映した評価減が受けられます。
指定容積率が東京都は300%未満、それ以外は400%未満であることなど、6つの要件を事前に確認する必要があります。
生前贈与を活用する場合、相続時精算課税制度では基礎控除110万円(令和6年新設)に加えて特別控除2,500万円までは贈与税がかからず、超えた部分も一律20%の税率です。
一方、暦年贈与の相続財産への持ち戻し期間は3年から7年へ延長される途中で、令和8年中に発生する相続はまだ3年のままですが、令和9年以降は段階的に延び、令和13年以降の相続で7年加算が完成します。
土地の売却や等価交換を伴う場合は、譲渡所得税や不動産取得税、登録免許税など別の税負担も発生します。等価交換方式では要件を満たせば譲渡所得課税の特例が使える場合もあるため、実行前に複数の税目にまたがるシミュレーションをしておくことが欠かせません。
| 項目 | 内容 | 実務対応 |
|---|---|---|
| 貸家建付地の評価 | 自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合30%×賃貸割合) | 賃貸割合(入居率)を示す資料を保存しておく |
| 貸付事業用宅地等の特例 | 200㎡まで評価額を50%減額。相続開始前3年以内に開始した貸付けは原則対象外 | 貸付けの開始時期を書類で確認し、事業的規模の該当有無を検討する |
| 地積規模の大きな宅地の評価 | 三大都市圏500㎡以上・それ以外1,000㎡以上等の要件で評価減 | 容積率・用途地域など6要件への該当を事前に確認する |
| 相続時精算課税 | 基礎控除110万円+特別控除2,500万円まで贈与税なし、超過部分は一律20% | 選択後は暦年課税へ戻せない点を踏まえ試算のうえ選択する |
| 生前贈与加算の期間延長 | 令和8年中の相続は3年加算のまま。令和9年以降は段階的に7年へ延長 | 相続開始時期を見据え、暦年贈与の実行時期を検討する |
| 少額減価償却資産の特例 | R8.4.1以後取得分は40万円未満に拡充(年合計300万円まで) | 資産管理会社を通じた設備更新の時期調整に活用する |
- 2026年7月1日令和8年分路線価が公表。全国平均+2.9%で5年連続の上昇
- 令和8年中の相続暦年贈与の持ち戻し期間はまだ3年のまま適用
- 令和9年以降の相続持ち戻し期間が段階的に延び始め、令和13年以降で7年に到達
- 2026年10月以後免税事業者からの仕入税額控除が70%控除に縮小
4. 使える補助金・助成金・支援策(2026年)
ひとことで言うと土地オーナー個人向けの補助金は限られますが、資産管理会社を通じた設備投資や事業承継の場面で使える制度があります。
土地オーナー・地主が個人として活用できる補助金は多くありませんが、資産管理会社を設立して不動産賃貸業を営む場合は、管理システムの導入や事業承継の場面で以下の制度を検討できます。
| 制度 | 上限・補助率 | 直近スケジュール | 土地オーナーでの使い方 |
|---|---|---|---|
| デジタル化・AI導入補助金2026 | 通常枠 最大450万円・補助率1/2等 | 通年で複数回公募 | 資産管理会社の入居者管理・会計システム導入 |
| 事業承継・M&A補助金 | 最大2,000万円 | 15次公募:R8.5.22要領公開、受付6月中旬〜7月下旬 | 資産管理会社の事業承継・専門家活用費用 |
| 中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型) | 最大1,500万円 | 随時受付(2027年3月末頃まで) | 駐車場管理機器・清掃ロボット等の導入 |
| 早期経営改善計画策定支援事業 | 専門家活用費用の一部を国が補助 | 通年受付(金融機関経由) | 土地活用・資産管理会社化の事前計画策定費用 |
5. 労務・人材の最新論点
ひとことで言うと土地オーナー個人には労務論点は少ないですが、資産管理会社を設立し従業員を雇う場合は他業種と同じ労務対応が必要です。
個人で土地活用を行う地主・土地オーナーには従業員がいないケースが大半で、労務管理の中心は資産管理会社を設立した場合の役員報酬・退職金の設計になります。役員退職金は最終月額報酬×在任年数×功績倍率で算定するのが一般的で、過大と認定されると損金不算入となるリスクがあるため、類似法人比較を踏まえた水準設定が重要です。
管理業務の一部を外部委託せず自社で清掃・巡回スタッフを雇用する場合は、2026年10月に施行される「106万円の壁」(賃金月8.8万円要件)の撤廃により、週20時間以上働くパート従業員が新たに社会保険の加入対象になる可能性があります。
北海道の最低賃金(令和7年10月時点で時給1,075円)の動向とあわせて、人件費のシミュレーションをしておくと安心です。
後継者への引き継ぎでは、土地・建物という財産だけでなく、賃貸経営のノウハウや管理会社との関係も含めて承継することが求められます。後継者不在率は中小企業全体で50.1%とされており、地主・土地オーナーの家庭でも早めに承継の話し合いを始めることが望まれます。
6. 資金繰り・銀行融資対策|地主・土地オーナー
ひとことで言うと土地活用の借入計画と、将来の相続税の納税資金準備は別物として、両方を並行して考えておく必要があります。
6-1. 土地活用の初期投資と借入計画
アパート建築などの土地活用には数千万円単位の初期投資が必要になることが多く、日本政策金融公庫や信用金庫・地方銀行のアパートローンを利用するのが一般的です。返済期間は建物の耐用年数を踏まえて設定され、空室率が上昇した場合の返済余力をあらかじめ試算しておくことが重要です。
等価交換方式や定期借地権の設定であれば、自己資金や借入をほとんど使わずに土地活用を始められる点が大きな利点です。借入に頼った活用と自己資金負担の少ない活用のどちらが自社の状況に合うかを、資金繰りの視点からも比較検討する必要があります。
6-2. 相続税の納税資金をどう準備するか
相続財産に占める土地の割合が高い地主ほど、相続税は算定されても現金がすぐに用意できない「納税資金不足」に陥りやすい傾向があります。生命保険の活用や、金融資産とのバランスを取った資産構成の見直しなど、評価減の対策とあわせて納税資金の準備を進めることが欠かせません。
延納・物納という制度もありますが、延納には利子税が発生し、物納は要件が厳格なため、実務上は生前からの資金準備が優先されます。金融機関に相談する際は、相続税の試算額と保有資産の内訳を整理した資料を用意しておくと、納税資金融資の相談もスムーズです。
6-3. 資産管理会社を通じた資金調達
資産管理会社を設立している場合、管理料収入や賃料収入という安定したストック収益を背景に、金融機関からの評価を得やすくなります。管理戸数や入居率の推移を試算表とあわせて提示することで、土地活用の追加投資や、次世代への承継に向けた資金調達も進めやすくなります。
7. 経営指標の目安(KPIベンチマーク)
ひとことで言うと土地活用の収支は「表面利回り」だけでなく、評価減の効果や空室リスクまで含めて総合的に見ることが大切です。
以下は土地活用・資産管理会社の経営判断で参考にしたい指標の目安です。立地やエリア特性に応じて幅を持ってご覧ください。
| 指標 | 目安 | 見方 |
|---|---|---|
| 賃貸住宅の表面利回り | 目安 6〜8%程度 | 建築費・地価水準により変動。実質利回りとあわせて確認する |
| 入居率 | 目安 86〜87%程度(全国の空室率13〜14%の目安から算出) | エリアの実績と比較し空室対策の必要性を判断する |
| 貸家建付地の評価減効果 | 目安 自用地評価の10〜20%程度減額 | 借地権割合・賃貸割合により変動する |
| 駐車場の稼働率 | 目安 70〜80%程度 | 時間貸し・月極の構成比によって水準が異なる |
| アパートローンの返済比率 | 目安 家賃収入の40〜50%以内 | 空室率上昇時の返済余力を試算する目安 |
| 相続税の実効負担率 | 自社の財産構成により試算 | 評価減対策の実施前後で比較する |
出典:国税庁公表資料、公表統計をもとに当事務所が作成
8. 成功事例と失敗事例に学ぶ|地主・土地オーナー
ひとことで言うと評価減の使い方と納税資金の準備、どちらか一方に偏らず両方に目を配れたかどうかが、実際の相続で明暗を分けています。
実際の現場で繰り返し見られるパターンを、守秘義務に配慮して一般化したモデルケースとして紹介します。ご自身の対策の参考としてご活用ください。
成功事例
失敗事例
※本事例は守秘義務に配慮し、業界で典型的に見られるパターンを一般化・再構成したモデルケースです。特定の企業・個人の事実を示すものではありません。
9. 今後12か月のアクションチェックリスト
ひとことで言うと評価減の特例は「時期」が要件になっているものが多いため、早めにスケジュールを組んで動くことが重要です。
| 時期 | やること | 関連制度 |
|---|---|---|
| 2026年7〜9月 | 令和8年分路線価の確認と自己の土地評価額の試算、貸付事業用宅地等の適用可否の確認 | 路線価/小規模宅地等の特例 |
| 2026年10〜12月 | 生前贈与の実行計画の見直し(令和8年中相続は3年加算のまま)、免税事業者からの仕入税額控除70%への移行確認 | 生前贈与加算/インボイス経過措置 |
| 2027年1〜3月 | 資産管理会社を通じた設備更新(少額減価償却資産の特例の活用)、確定申告準備 | 少額減価償却資産の特例 |
| 2027年4〜6月 | 土地活用方式の再検討、納税資金準備状況の点検、次年度の資金繰り計画の策定 | 土地活用/納税資金対策 |
評価減の特例は適用の可否が時期に左右されるものが多いため、余裕をもったスケジュールで動くことをおすすめします。判断に迷う項目があれば、早めに顧問税理士へご相談ください。
10. 関連情報・よくある質問
ひとことで言うと土地活用・相続対策は、賃貸経営の実務や資産管理会社の株価対策ともつながるため、あわせてチェックしておくと理解が深まります。
土地活用・相続対策は、実務に強い税理士へ
路線価の動向を踏まえた評価減の対策と、納税資金の準備まで、御社の土地・資産構成に応じた具体策をご提案します。
対象:土地・不動産を所有する地主・土地オーナーの方(オンライン対応可・初回相談無料)
無料相談を申し込む 料金・契約の流れを見る※本ページは2026年7月時点の公表情報に基づく一般的な情報提供です。制度・金額・期限は今後の改正等により変更される場合があります。個別の適用可否や税務判断については、顧問税理士または当事務所にご確認ください。
