税率・期限・金額基準の早見表、2026年から2031年の改正タイムライン、業務チェックリスト11本、届出書総覧、頻出質問25、用語集112語。
CHAPTER 18早見表・チェックリスト・用語集
この章は読む章ではなく「引く章」である。税率、期限、金額基準、経過措置のタイムライン、業務チェックリスト、届出書一覧、顧問先からの頻出質問、用語の定義を、机の上で1分以内に確認できる形にまとめた。数値は2026年(令和8年)8月時点。印刷して手元に置き、迷った瞬間にここへ戻ること。
1. 税率・金額の早見表
法人税(各事業年度の所得に対する法人税)
| 法人の区分 | 所得の区分 | 税率 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 中小法人(期末資本金1億円以下) | 年800万円以下の部分 | 15% | 軽減税率の特例。適用期限は令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度 |
| 中小法人のうち所得10億円超 | 年800万円以下の部分 | 17% | 令和8年度改正で新設された区分。判定は当期の所得金額 |
| 中小法人 | 年800万円超の部分 | 23.20% | 本則税率 |
| 適用除外事業者 | 年800万円以下の部分 | 19% | 前3事業年度の平均所得金額が15億円超の中小法人は15%を使えない |
| 大法人(資本金1億円超) | 全所得 | 23.20% | 資本金5億円以上の法人による完全支配関係がある子法人も中小特例の対象外 |
| 公益法人等・協同組合等 | ― | 19%等 | 区分ごとに異なる。設立根拠法を確認する |
法人税に上乗せされる国税
| 税目 | 課税標準 | 税率 | 適用時期・申告 |
|---|---|---|---|
| 地方法人税 | 基準法人税額 | 10.3% | 法人税申告書に併記。別表一で計算 |
| 防衛特別法人税 | 基準法人税額から年500万円(基礎控除)を控除した額 | 4% | 令和8年(2026年)4月1日以後に開始する課税事業年度。申告期限は事業年度終了の日の翌日から2月以内 |
地方税(標準税率。超過課税を採る自治体があるため条例を確認する)
| 税目 | 課税標準 | 標準税率 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 道府県民税 法人税割 | 法人税額 | 1.0% | 都道府県により超過税率あり |
| 市町村民税 法人税割 | 法人税額 | 6.0% | 市町村により超過税率あり |
| 法人事業税 所得割 | 年400万円以下の所得 | 3.5% | 資本金1億円以下の普通法人(外形標準課税対象外) |
| 法人事業税 所得割 | 年400万円超800万円以下 | 5.3% | 同上 |
| 法人事業税 所得割 | 年800万円超 | 7.0% | 同上 |
| 特別法人事業税 | 法人事業税所得割額 | 37% | 国税だが都道府県へ申告納付する |
法人住民税 均等割(標準税率・年額)
| 資本金等の額 | 道府県民税 | 市町村民税(従業者50人以下) | 市町村民税(従業者50人超) |
|---|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 20,000円 | 50,000円 | 120,000円 |
| 1,000万円超1億円以下 | 50,000円 | 130,000円 | 150,000円 |
| 1億円超10億円以下 | 130,000円 | 160,000円 | 400,000円 |
| 10億円超50億円以下 | 540,000円 | 410,000円 | 1,750,000円 |
| 50億円超 | 800,000円 | 410,000円 | 3,000,000円 |
消費税
| 区分 | 合計税率 | 国税分 | 地方消費税分 | 対象 |
|---|---|---|---|---|
| 標準税率 | 10% | 7.8% | 2.2% | 原則すべての課税取引 |
| 軽減税率 | 8% | 6.24% | 1.76% | 飲食料品(外食・酒類を除く)、週2回以上発行の定期購読新聞 |
| 旧税率(経過措置) | 8% | 6.3% | 1.7% | 長期リース等の経過措置対象取引。軽減8%とは内訳が違うので申告書の記載区分を誤らない |
簡易課税のみなし仕入率
| 事業区分 | みなし仕入率 | 主な業種 |
|---|---|---|
| 第1種 | 90% | 卸売業(購入した商品を性質・形状を変えずに事業者へ販売) |
| 第2種 | 80% | 小売業、消費者向け販売、農林水産業のうち飲食料品の譲渡 |
| 第3種 | 70% | 製造業、建設業、農林水産業(飲食料品以外) |
| 第4種 | 60% | 飲食店業、その他(固定資産の売却もここ) |
| 第5種 | 50% | 運輸通信業、金融保険業、サービス業(飲食店業を除く) |
| 第6種 | 40% | 不動産業 |
源泉徴収税率(居住者・主なもの)
| 支払の種類 | 税率 | 計算・留意点 |
|---|---|---|
| 原稿料・講演料・デザイン料、税理士・弁護士・公認会計士等の報酬 | 10.21% | 1回の支払金額のうち100万円以下の部分 |
| 同上(100万円超の部分) | 20.42% | (支払金額−100万円)×20.42%+102,100円 |
| 司法書士・土地家屋調査士・海事代理士の報酬 | 10.21% | (1回の支払金額−10,000円)×10.21% |
| 外交員・集金人・電力量計検針人の報酬 | 10.21% | (その月中の支払金額−120,000円)×10.21% |
| ホステス等の報酬 | 10.21% | (支払金額−5,000円×計算期間の日数)×10.21% |
| 上場株式等の配当(大口株主等以外) | 15.315% | 別途住民税5%が特別徴収される |
| 非上場株式の配当、大口株主等が受ける上場株式の配当 | 20.42% | 住民税の特別徴収はない |
| 預貯金・公社債の利子 | 15.315% | 別途地方税5%。合計20.315% |
| 非居住者・外国法人への使用料、不動産の賃借料、事業の対価等 | 20.42% | 租税条約による軽減・免除は届出書の提出が前提 |
| 給与・賞与 | 税額表による | 甲欄(扶養控除等申告書あり)、乙欄(なし)、丙欄(日雇) |
| 退職手当 | 税額表による | 「退職所得の受給に関する申告書」がなければ支給額×20.42% |
相続税の速算表(法定相続分に応ずる取得金額)
| 取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | ― |
| 3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
贈与税の速算表(暦年課税・基礎控除110万円控除後の金額)
| 基礎控除後の課税価格 | 一般税率 | 一般控除額 | 特例税率 | 特例控除額 |
|---|---|---|---|---|
| 200万円以下 | 10% | ― | 10% | ― |
| 300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
| 400万円以下 | 20% | 25万円 | 15% | 10万円 |
| 600万円以下 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 |
| 1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 |
| 1,500万円以下 | 45% | 175万円 | 40% | 190万円 |
| 3,000万円以下 | 50% | 250万円 | 45% | 265万円 |
| 4,500万円以下 | 55% | 400万円 | 50% | 415万円 |
| 4,500万円超 | 55% | 400万円 | 55% | 640万円 |
印紙税(主要文書・軽減後の税額)
第2号文書の列は建設工事の請負に限った軽減後の額である。システム開発・保守・広告制作など建設工事以外の請負は軽減の対象外で本則(100万円超200万円以下400円、200万円超300万円以下1,000円、300万円超500万円以下2,000円、500万円超1,000万円以下1万円)になる。
| 記載金額 | 第1号の1(不動産の譲渡) | 第2号(建設工事の請負) | 第17号の1(金銭の受取書) |
|---|---|---|---|
| 1万円未満(受取書は5万円未満) | 非課税 | 非課税 | 非課税 |
| 1万円以上10万円以下 | 200円 | 200円 | 200円 |
| 10万円超50万円以下 | 200円 | 200円 | 200円 |
| 50万円超100万円以下 | 500円 | 200円 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 1,000円 | 200円 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 1,000円 | 500円 | 600円 |
| 300万円超500万円以下 | 1,000円 | 1,000円 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 5,000円 | 5,000円 | 2,000円 |
| 1,000万円超2,000万円以下 | 10,000円 | 10,000円 | 4,000円 |
| 2,000万円超3,000万円以下 | 10,000円 | 10,000円 | 6,000円 |
| 3,000万円超5,000万円以下 | 10,000円 | 10,000円 | 10,000円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 30,000円 | 30,000円 | 20,000円 |
| 記載金額のないもの | 200円 | 200円 | 200円 |
| 文書 | 税額 | 留意点 |
|---|---|---|
| 第7号文書(継続的取引の基本契約書) | 4,000円 | 契約期間3か月以内かつ更新の定めのないものは対象外 |
| 第19号文書(金銭の受取通帳等) | 400円 | 1年ごとに課税 |
| 営業に関しない受取書 | 非課税 | 個人が私的な取引で発行する領収書、公益法人が発行するもの等 |
| クレジットカード決済の領収書 | 非課税 | 「クレジットカード利用」と明記すること。金銭の受領がないため |
| 電子契約・PDFで交付する領収書 | 不課税 | 課税文書の「作成・交付」に当たらない。紙で交付した瞬間に課税される |
2. 期限早見表
期限は「毎月来るもの」「年に1回来るもの」「決算期に応じて動くもの」の3層に分けて管理する。事務所の年間スケジュール表はこの3層で作る。
毎月の期限
| 期日 | やること | 対象 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 毎月10日 | 源泉所得税の納付 | 前月に支払った給与・報酬等 | 納期特例の承認を受けていない事業者。10日が土日祝なら翌開庁日 |
| 毎月10日 | 住民税(特別徴収)の納入 | 前月に支払った給与から徴収した分 | 納期特例(年2回・6月10日と12月10日)の適用可否は各市町村へ申請 |
| 毎月末 | 社会保険料の納付 | 前月分 | 口座振替なら末日(休日なら翌営業日)に引落し |
| 各月の末日 | 消費税の中間申告・納付 | 年11回の中間申告事業者 | 直前期の確定消費税額(国税)が4,800万円超。1回目のみ期限が異なる |
年に1回の期限(月別)
| 月 | 期日 | 手続 | 提出先 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 1月20日 | 源泉所得税の納期の特例分(前年7月〜12月支払分)の納付 | 税務署 |
| 1月 | 1月31日 | 法定調書合計表および各種法定調書の提出 | 税務署 |
| 1月 | 1月31日 | 給与支払報告書(総括表・個人別明細書)の提出 | 従業員の1月1日現在の住所地の市区町村 |
| 1月 | 1月31日 | 償却資産申告書の提出 | 資産の所在する市区町村(東京23区は都税事務所) |
| 2月 | 2月16日〜3月16日ころ | 所得税の確定申告受付 | 税務署 |
| 3月 | 3月15日 | 所得税の確定申告・納付、贈与税の申告・納付 | 税務署 |
| 3月 | 3月15日 | 個人の青色申告承認申請(その年分から適用を受ける場合)、青色事業専従者給与に関する届出 | 税務署 |
| 3月 | 3月31日 | 個人事業者の消費税確定申告・納付 | 税務署 |
| 4月 | 4月30日ころ | 固定資産税・都市計画税 第1期納付 | 市区町村(納期は自治体で異なる) |
| 5月 | 5月31日 | 3月決算法人の法人税・地方法人税・消費税・法人住民税・法人事業税の申告納付 | 税務署・都道府県・市町村 |
| 6月 | 6月10日 | 住民税特別徴収の納期特例分(前年12月〜当年5月分)の納入 | 市区町村 |
| 6月 | 6月末ころ | 住民税の特別徴収税額決定通知書の受領と給与計算への反映 | ― |
| 7月 | 7月10日 | 源泉所得税の納期の特例分(1月〜6月支払分)の納付 | 税務署 |
| 7月 | 7月10日 | 労働保険の年度更新(申告・納付)、社会保険の算定基礎届 | 労働局・年金事務所 |
| 7月 | 7月31日 | 所得税の予定納税 第1期 | 税務署 |
| 11月 | 11月30日 | 所得税の予定納税 第2期 | 税務署 |
| 12月 | 12月10日 | 住民税特別徴収の納期特例分(6月〜11月分)の納入 | 市区町村 |
| 12月 | 最終給与日まで | 年末調整の実施 | ― |
決算期別・法人の申告期限
| 決算月 | 確定申告期限(原則2か月) | 申告期限の延長(1か月)適用時 | 中間申告期限(半期) |
|---|---|---|---|
| 3月決算 | 5月31日 | 6月30日 | 11月30日 |
| 6月決算 | 8月31日 | 9月30日 | 2月末日 |
| 9月決算 | 11月30日 | 12月31日 | 5月31日 |
| 12月決算 | 2月末日 | 3月31日 | 8月31日 |
納期の特例(源泉所得税)
| 区分 | 対象期間 | 納期限 | 適用要件 |
|---|---|---|---|
| 上期分 | 1月〜6月に支払った給与等 | 7月10日 | 給与の支給人員が常時10人未満。「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し承認を受ける |
| 下期分 | 7月〜12月に支払った給与等 | 翌年1月20日 | 同上 |
延滞税・加算税の水準
| 種類 | 割合 | 課される場面 |
|---|---|---|
| 延滞税(納期限の翌日から2月以内) | 年2.4%程度 | 法定納期限までに納付しなかった場合。割合は年ごとに告示されるため実額は最新値で確認する |
| 延滞税(2月経過後) | 年8.7%程度 | 同上 |
| 過少申告加算税 | 10% | 修正申告・更正。期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15% |
| 過少申告加算税(調査通知後・更正予知前) | 5% | 50万円超の部分は10% |
| 無申告加算税 | 15% | 50万円超の部分20%、300万円超の部分30% |
| 無申告加算税(法定申告期限から1月以内の自主申告) | 不適用 | 期限後申告でも一定要件を満たせば課されない |
| 不納付加算税 | 10% | 源泉所得税の納付遅延。自主納付なら5% |
| 重加算税 | 35%/40% | 仮装隠蔽がある場合(過少申告35%、無申告40%)。過去5年内に加算税を課された場合はさらに10%加重 |
3. 金額基準の早見表
実務で迷うのはたいてい「この金額はどちらに転ぶか」である。判断の分岐点になる金額を一覧にした。金額を見たらこの表を開き、該当する行の「判定のポイント」を読んでから処理する。
| 金額 | 制度 | 内容 | 判定のポイント |
|---|---|---|---|
| 5,000円 | ホステス等の報酬の控除額 | (支払金額−5,000円×計算期間の日数)が源泉徴収の対象 | 日数は出勤日数ではなく計算期間の全日数 |
| 5,000円 | 通勤手当への加算 | 駐車場代等の料金相当額を上限5,000円まで非課税限度額に加算できる | 令和8年(2026年)分から。実費の裏付け資料を保存する |
| 1万円 | インボイスの少額特例 | 税込1万円未満の課税仕入れはインボイス保存不要、帳簿のみで仕入税額控除可 | 令和11年(2029年)9月30日まで。基準期間の課税売上高1億円以下または特定期間5,000万円以下が要件。1回の取引単位で判定(月まとめ請求は合計で判定しない) |
| 1万円 | 少額な返還インボイスの交付義務免除 | 税込1万円未満の売上返還等(振込手数料相当額の値引き等)は返還インボイス不要 | 期限のない恒久措置。金額基準を満たせば全事業者が対象 |
| 1万円 | 交際費等から除外される飲食費 | 1人当たり1万円以下の社外飲食費は交際費等に含めない | 参加者の氏名・人数・店名を記載した書類の保存が要件。社内飲食費は対象外 |
| 1万円 | 印紙税の非課税ライン | 契約書等は記載金額1万円未満なら非課税 | 受取書(領収書)は5万円未満が非課税 |
| 3万円 | 公共交通機関特例等 | 3万円未満の公共交通機関による旅客運送はインボイス交付義務が免除され、帳簿のみで控除可 | 1回の取引の税込金額で判定。自動販売機特例・郵便切手特例も同様 |
| 5万円 | 印紙税(受取書) | 記載金額5万円未満の金銭の受取書は非課税 | 消費税額が区分記載されていれば、本体価額で判定できる |
| 10万円 | 減価償却資産の最小単位 | 取得価額10万円未満は事業供用時に全額損金算入 | 消費税の経理方式(税抜・税込)で判定する。税抜経理なら税抜金額で判定 |
| 20万円 | 一括償却資産 | 10万円以上20万円未満は3年均等償却を選択できる | 償却資産税の対象外になるのが最大のメリット。除却しても3年間償却を続ける |
| 20万円 | 資本的支出と修繕費の形式基準 | 1件20万円未満の支出は修繕費として処理できる | おおむね3年以内の周期で行われる修理も修繕費 |
| 30万円 | 少額減価償却資産(令和8年3月31日以前取得) | 取得価額30万円未満を全額損金算入 | 年間限度額300万円。中小企業者等のみ |
| 40万円 | 少額減価償却資産(令和8年4月1日以後取得) | 取得価額40万円未満を全額損金算入 | 年間限度額300万円は据置き。従業員要件は常時使用する従業員400人以下 |
| 60万円 | 修繕費の形式基準 | 1件60万円未満の支出は修繕費とすることができる | 資本的支出か修繕費か明らかでない場合の判定基準 |
| 10% | 修繕費の形式基準(前期末取得価額基準) | その資産の前期末取得価額のおおむね10%以下の支出は修繕費 | 60万円基準と10%基準はどちらかを満たせばよい |
| 110万円 | 贈与税の基礎控除 | 暦年課税の年間基礎控除。相続時精算課税にも別枠で年110万円の基礎控除がある | 相続時精算課税の110万円以下の贈与は相続財産に加算されない |
| 300万円 | 少額減価償却資産の年間限度額 | 1事業年度あたりの合計限度額 | 事業年度が1年未満なら月数按分。限度額を超える資産は通常償却 |
| 500万円 | 防衛特別法人税の基礎控除 | 基準法人税額から年500万円を控除した残額に4% | 基準法人税額が500万円以下なら税額はゼロだが、申告義務の有無は様式で確認する |
| 800万円 | 交際費等の定額控除限度額 | 中小法人は年800万円まで全額損金算入。または接待飲食費の50%との選択 | 期末資本金1億円以下が要件。飲食費が1,600万円を超えるなら50%基準が有利 |
| 800万円 | 法人税の軽減税率の所得区分 | 年800万円以下の所得に15%(所得10億円超の中小法人は17%) | 事業年度が1年未満なら月数按分 |
| 1,000万円 | 消費税の納税義務の判定 | 基準期間(前々期)の課税売上高1,000万円超で課税事業者 | 特定期間(前期上半期)の課税売上高または給与等支払額が1,000万円超でも課税事業者 |
| 1,000万円 | 新設法人の資本金基準 | 設立時の資本金1,000万円以上なら設立第1期から課税事業者 | 資本準備金を含めた払込総額ではなく資本金の額で判定 |
| 1,000万円 | 青色申告特別控除の帳簿要件 | 令和9年(2027年)分以後、前々年の収入1,000万円超は簡易帳簿による控除の対象外 | 複式簿記への移行を前もって案内する |
| 5,000万円 | 簡易課税制度の適用上限 | 基準期間の課税売上高5,000万円以下で選択できる | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに届出 |
| 5,000万円 | 電子帳簿保存法の検索要件の免除 | 基準期間の売上高5,000万円以下は検索要件が不要 | 調査時にダウンロードの求めに応じられることが条件 |
| 5,000万円 | インボイス少額特例の特定期間基準 | 特定期間の課税売上高5,000万円以下でも少額特例を使える | 基準期間1億円以下との選択適用 |
| 4,800万円 | 消費税の中間申告回数の判定 | 直前期の確定消費税額(国税分)が4,800万円超で年11回 | 400万円超は年3回、48万円超は年1回 |
| 1億円 | 中小法人の判定 | 期末資本金1億円以下で軽減税率・交際費の定額控除・少額減価償却資産等の特例が使える | 資本金5億円以上の法人の100%子会社は除外 |
| 1億円 | インボイス少額特例の基準期間基準 | 基準期間の課税売上高1億円以下 | 基準期間がない新設法人は特定期間で判定 |
| 150万円 | 償却資産税の免税点(令和8年度) | 同一市区町村内の課税標準額の合計が150万円未満なら課税されない | 免税点未満でも申告義務はある |
| 180万円 | 償却資産税の免税点(令和9年度以後) | 免税点が150万円から180万円へ引上げ | 家屋の免税点も20万円から30万円へ |
| 3,000万円+600万円 | 相続税の基礎控除 | 3,000万円+600万円×法定相続人の数 | 相続放棄した者も法定相続人の数に含める。養子は実子がいれば1人まで |
4. 経過措置・改正のタイムライン
2026年から2031年にかけて、消費税・法人税・所得税が同時並行で動く。顧問先へ事前案内するときは、この表の「実務対応」欄をそのまま伝える。
| 適用時期 | 制度 | 変わること | 実務対応 |
|---|---|---|---|
| 令和8年(2026年)3月31日 | 教育資金の一括贈与非課税措置 | 制度が終了 | 実行済み口座の残額管理と終了時の課税判定を確認する |
| 令和8年(2026年)4月1日以後開始事業年度 | 防衛特別法人税 | (基準法人税額−500万円)×4%が新設 | 納税予測に組み込む。中間申告は令和9年(2027年)4月1日以後開始事業年度から |
| 令和8年(2026年)4月1日以後取得 | 少額減価償却資産の特例 | 30万円未満から40万円未満へ。従業員要件は400人以下 | 取得日基準。3月末納品と4月納品で結論が変わるため検収日を確認する |
| 令和8年(2026年)4月1日以後 | 不動産取得税の免税点 | 45万円から116万円へ引上げ | 小規模な土地建物の取得で申告不要となる範囲が広がる |
| 令和8年(2026年)分 | 所得税の基礎控除等 | 基礎控除62万円(特例加算により最大104万円)、給与所得控除の最低保障74万円、扶養親族等の所得要件62万円以下 | 年末調整の様式変更に対応。特定親族特別控除は月次給与にも反映 |
| 令和8年(2026年)9月30日 | 2割特例 | 同日の属する課税期間をもって終了 | 個人は令和8年分が最後、3月決算法人は令和9年3月期が最後。簡易課税への移行を検討する |
| 令和8年(2026年)10月1日 | インボイス経過措置 | 免税事業者からの仕入れの控除割合が80%から70%へ | 会計ソフトの税区分マスタを切り替える。日付をまたぐ請求書に注意 |
| 令和9年(2027年)3月31日 | 中小法人の軽減税率15% | 同日までに開始する事業年度が適用期限 | 延長の有無を年度改正で確認する |
| 令和9年(2027年)3月31日 | 中堅企業向け賃上げ促進税制 | 同日をもって廃止(大企業向けは令和8年3月31日で廃止済み) | 中小企業向けは存続。適用要件を取り違えない |
| 令和9年(2027年)分・令和10年(2028年)分 | 3割特例 | 個人事業者限定。納付税額=売上税額の3割 | 基準期間・特定期間の課税売上高1,000万円以下かつインボイス発行事業者が要件 |
| 令和9年(2027年)分以後 | 青色申告特別控除 | 65万円はe-Tax必須、75万円控除を新設、簡易帳簿は前々年収入1,000万円超で対象外 | 複式簿記と電子帳簿の自動連携へ計画的に移行する |
| 令和9年(2027年)分以後 | 防衛特別所得税 | 所得税額×1%。復興特別所得税は2.1%から1.1%へ | 上乗せ率の合計は変わらない。※源泉徴収税額表と合成税率は最新の情報を要確認 |
| 令和9年度(2027年度)以後 | 固定資産税の免税点 | 償却資産150万円から180万円、家屋20万円から30万円へ | 令和8年度(2026年度)の申告は現行の150万円未満が免税点 |
| 令和9年(2027年)9月30日 | 法人版事業承継税制 | 特例承継計画の提出期限 | 後継者未定でも計画は提出できる。該当先を洗い出す |
| 令和10年(2028年)9月30日 | 個人版事業承継税制 | 個人事業承継計画の提出期限 | 個人の不動産賃貸業は対象外である点に注意 |
| 令和10年(2028年)10月1日 | インボイス経過措置 | 70%から50%へ | 免税事業者との取引価格の見直し時期 |
| 令和11年(2029年)3月31日 | 少額減価償却資産の特例 | 同日までの取得分が適用期限 | 設備投資計画の前倒しを検討する材料になる |
| 令和11年(2029年)3月31日 | 特定生産性向上設備等投資促進税制 | 適用期限 | 即時償却または税額控除7%(4%)の選択 |
| 令和11年(2029年)9月30日 | インボイスの少額特例 | 1万円未満の仕入れの帳簿保存のみの特例が終了 | 終了後は1円からインボイスの保存が必要。証憑回収フローを見直す |
| 令和12年(2030年)10月1日 | インボイス経過措置 | 50%から30%へ | ― |
| 令和12年(2030年)12月31日 | 住宅ローン控除 | 適用期限(5年延長後) | 床面積要件は40平方メートル以上に緩和済み |
| 令和13年(2031年)10月1日 | インボイス経過措置 | 控除割合が0%。経過措置が完全終了 | 免税事業者からの仕入れは全額が控除不能になる |
5. 業務チェックリスト集
このページは印刷して使う前提で作っている。担当者が自分でチェックし、レビュー者がもう一度チェックする2段構えを事務所ルールとする。チェックが付かない項目があるまま次工程へ進まない。
(1) 新規受託時
- 関与の範囲(記帳代行の有無、給与計算の有無、年末調整・法定調書の担当)を契約書で明確にした
- 税務代理権限証書と、必要に応じて書面添付の意向を確認した
- 直近3期分の申告書一式(法人税・消費税・地方税)とその附属明細を入手した
- 直近期の総勘定元帳・決算書・勘定科目内訳明細書を入手した
- 青色申告の承認、消費税の各種届出(課税事業者選択・簡易課税・課税期間短縮)の提出状況を確認した
- 適格請求書発行事業者の登録の有無と登録番号を確認した
- 減価償却の償却方法、棚卸資産の評価方法の届出状況を確認した
- 繰越欠損金の残高と発生事業年度を年度別に把握した
- 固定資産台帳と償却資産申告書の内容が一致しているか照合した
- 源泉所得税の納期の特例の承認の有無と、直近の納付状況を確認した
- 役員報酬の金額・改定時期・議事録の有無を確認した
- 金融機関の借入残高、返済予定表、保証協会保証料の前払残高を入手した
- 使用している会計ソフト・給与ソフトとデータ授受の方法を決めた
- 電子帳簿保存法への対応状況(電子取引データの保存方法、事務処理規程の有無)を確認した
- 資料の授受方法と月次の締切日を先方の担当者と合意し、書面で残した
- 前任の税理士がいる場合、引継ぎ事項と未了論点を確認した
(2) 月次締め
- 預金残高が通帳・ネットバンキング残高と一致している
- 現金残高がマイナスになっていない(マイナスなら役員借入金への振替を検討)
- 売掛金・買掛金の補助元帳残高と請求書・支払明細が一致している
- 未払費用・未払金の計上漏れ(社会保険料、水道光熱費、リース料)がない
- 給与の総支給額・社会保険料・源泉所得税が給与明細の合計と一致している
- 源泉所得税と住民税の預り金残高が翌月納付額と一致している
- 消費税の税区分が課税・非課税・不課税・軽減8%で正しく付されている
- インボイスの経過措置対象(免税事業者からの仕入れ)の税区分が期間に応じた割合になっている
- 仮払金・仮受金・立替金に長期滞留しているものがない
- 前月と比較して異常な増減がある科目について理由を確認した
- 減価償却費・賞与引当の月次概算計上を行った
- 証憑(請求書・領収書・契約書)の未回収分をリスト化し顧問先へ依頼した
- 電子取引データを規則どおりのファイル名で保存した
- 月次試算表に一言コメント(利益の増減要因、資金繰りの注意点)を添えた
(3) 決算前(決算日の3か月前から)
- 直近試算表から通期の着地利益と納税額を試算した
- 役員報酬の改定時期(事業年度開始の日から3か月以内)を過ぎていないか確認した
- 使用可能な繰越欠損金の残高と当期の使用見込みを確認した
- 設備投資の予定を聞き取り、少額減価償却資産・特別償却・税額控除の適用可否を検討した
- 賃上げ促進税制の適用見込みを給与データから試算した
- 決算賞与を支給する場合、支給額の通知・1か月以内の支払・未払計上の3要件を説明した
- 不良債権・不良在庫の有無を確認し、貸倒損失・評価損の要件を検討した
- 保険契約の内容を確認し、支払保険料の資産計上・損金算入区分を洗い出した
- 消費税の課税事業者判定と、翌期の届出(簡易課税・課税事業者選択の取りやめ)の要否を確認した
- 納税資金の準備状況と、資金不足の場合の対応(分納・借入)を協議した
- 決算スケジュール(資料提出日、決算検討会、申告日)を顧問先と共有した
- 株主総会の開催予定日と定款上の申告期限延長の要否を確認した
(4) 決算整理
- 実地棚卸表を入手し、金額・単価・数量の計算を検算した
- 売上の期ズレ(決算日直前の出荷・検収)を出荷伝票と照合した
- 仕入・外注費の期ズレ(未着品、未成工事支出金)を確認した
- 減価償却費を固定資産台帳で計算し、当期取得資産の事業供用日を確認した
- 除却・売却した固定資産を台帳から除き、証憑(廃棄証明・マニフェスト)を保存した
- 前払費用・前受収益・未払費用・未収収益を契約書ベースで洗い出した
- 短期前払費用の特例を使う場合、継続適用と1年以内の役務提供を確認した
- 貸倒引当金の繰入限度額(法定繰入率または実績繰入率)を計算した
- 役員給与の未払・過大支給・定期同額からの逸脱がないか確認した
- 交際費等を集計し、1人1万円以下の飲食費を除外した金額で限度額計算をした
- 租税公課のうち損金不算入となるもの(法人税・住民税・加算税・延滞税)を区分した
- 消費税の仮受・仮払を精算し、未払消費税等または未収還付消費税等を計上した
- 税抜経理の場合、控除対象外消費税額等の処理(繰延消費税・損金算入)を行った
- 借入金のうち翌期1年内返済分を一年内返済長期借入金へ振り替えた
- 勘定科目内訳明細書に必要な明細(取引先名・住所・残高)が揃っている
- 試算表と決算書、決算書と申告書の数値が完全に一致している
(5) 法人税申告書 提出前
- 別表四の当期利益が損益計算書の当期純利益と一致している
- 別表五(一)の期首残高が前期申告書の期末残高と一致している
- 別表五(一)の検算式(期首利益積立金+別表四留保総計−中間分・確定分の未納税額=期末利益積立金)が合っている
- 別表五(二)の納税充当金の期首・繰入・取崩・期末が別表四および貸借対照表と整合している
- 繰越欠損金(別表七)の年度別残高と控除限度額(中小法人は所得の100%)を確認した
- 軽減税率の適用区分(15%か17%か)を当期所得額で判定した
- 防衛特別法人税の課税標準(基準法人税額−500万円)と税額を計算した
- 所得税額控除(別表六(一))の計算方法(原則法・簡便法)を有利な方で選んだ
- 租税特別措置法の適用がある場合、適用額明細書を添付した
- 賃上げ促進税制の別表と、控除上限(法人税額の20%)・繰越控除の記載を確認した
- 少額減価償却資産の特例を適用した場合、別表十六(七)に明細を記載した
- 事業概況説明書の記載(従業員数、主要科目、電子帳簿の状況)を埋めた
- 地方税の申告書(都道府県・市町村)の分割基準(従業者数)が正しい
- e-Tax送信前に添付書類(勘定科目内訳明細書、決算書、適用額明細書)を漏れなく添付した
- 納付書または電子納税の金額が申告書の納付税額と一致している
- 申告書控えと受信通知(メール詳細)をファイルに保存した
(6) 消費税申告前
- 納税義務の判定(基準期間、特定期間、新設法人の資本金)を再確認した
- 原則課税か簡易課税かの選択が届出書の内容と一致している
- 簡易課税の場合、事業区分ごとの売上高を正しく区分した(区分不明分は最も低いみなし仕入率を適用)
- 2割特例の適用可否と有利判定を行った(令和8年9月30日の属する課税期間まで)
- 課税売上割合を計算し、95%未満なら個別対応方式と一括比例配分方式の有利判定を行った
- 非課税売上(受取利息、居住用家賃、土地の売却・貸付け)の計上漏れがない
- 固定資産の売却を総額処理し、譲渡対価の全額を課税売上に含めた
- 免税事業者からの仕入れに経過措置の割合(当期の期間に応じ80%または70%)を適用した
- 少額特例(税込1万円未満)の適用要件(基準期間1億円以下等)を満たしている
- インボイスの登録番号を主要取引先分について確認した
- 売上返還・仕入返還(値引き・リベート・振込手数料相当額)を正しく処理した
- 輸出取引がある場合、輸出免税の証拠書類(輸出許可通知書)を保存した
- 調整対象固定資産・高額特定資産の取得がある場合、3年縛りと調整計算を確認した
- 中間納付額を控除し、確定税額または還付税額が試算表と一致している
- 還付申告の場合、消費税の還付申告に関する明細書を添付した
(7) 年末調整
- 扶養控除等(異動)申告書を全員から回収した(甲欄適用の前提)
- 令和8年(2026年)分の様式変更(源泉控除対象親族欄)に対応した申告書を使っている
- 基礎控除申告書で合計所得金額を確認し、特例加算を含む基礎控除額を判定した
- 扶養親族等の所得要件が62万円以下(改正後)で判定されている
- 特定親族特別控除(19歳以上23歳未満、合計所得62万円超123万円以下)の適否を確認した
- 配偶者控除・配偶者特別控除の判定に、本人と配偶者双方の見積所得を使った
- 保険料控除証明書の原本(電子的控除証明書を含む)を回収し、契約者と支払者を確認した
- 23歳未満の扶養親族がいる場合の一般生命保険料控除の上限引上げ(6万円)を反映した
- 住宅借入金等特別控除の適用2年目以後は、証明書と残高証明書を回収した
- 中途入社者の前職の源泉徴収票を回収し、合算した
- 通勤手当の非課税限度額(駐車場代等の加算を含む)を再計算した
- 現物給与(社宅、食事、記念品)の課税漏れがない
- 年末調整後の過不足額を12月または翌年1月の給与で精算した
- 源泉徴収票を本人へ交付し、給与支払報告書を市区町村へ提出した
- 年末調整の対象外となる者(給与収入2,000万円超、乙欄適用者)を確定申告へ誘導した
(8) 法定調書
- 給与所得の源泉徴収票(税務署提出範囲:役員150万円超、従業員500万円超等)を判定した
- 退職所得の源泉徴収票・特別徴収票を役員分について作成した
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書(同一人に対し年5万円超)を集計した
- 不動産の使用料等の支払調書(年15万円超。法人が支払先の場合は権利金等のみ)を作成した
- 不動産等の譲受けの対価の支払調書(年100万円超)を確認した
- 不動産等の売買または貸付けのあっせん手数料の支払調書(年15万円超)を確認した
- 支払先のマイナンバー(個人番号・法人番号)を収集し、安全管理措置に従って保管した
- 合計表の人員・金額が各調書の合計と一致している
- 源泉徴収税額の年間合計が納付書の合計と一致している
- 給与支払報告書を従業員の1月1日現在の住所地の市区町村ごとに仕分けた
- 退職者分の給与支払報告書を退職時の住所地の市区町村へ提出した
- e-Taxまたは光ディスクによる提出義務(前々年の提出枚数が100枚以上)の有無を確認した
- 1月31日の期限までに税務署・市区町村の両方へ提出した
(9) 償却資産申告
- 1月1日現在で所有している事業用資産を固定資産台帳から抽出した
- 前年中の増加資産(取得価額・取得年月・耐用年数)を一覧化した
- 前年中の減少資産(売却・除却・移動)を漏れなく減少報告した
- 一括償却資産(20万円未満で3年均等償却を選択したもの)を申告対象から除いた
- 少額減価償却資産の特例で損金算入した資産を申告対象に含めた(対象になる点に注意)
- 10万円未満で即時損金にした資産を申告対象から除いた
- 建物附属設備のうち構築物・機械装置に該当するものを償却資産として申告した
- 賃借人が施した内部造作(建物附属設備)を賃借人の償却資産として申告した
- 自動車税・軽自動車税の対象となる車両を申告対象から除いた
- 資産の所在地ごとに市区町村を分けて申告書を作成した
- 免税点(令和8年度は課税標準額150万円未満)に該当する場合も申告書は提出した
- 非課税・課税標準の特例に該当する資産(一定の再生可能エネルギー設備等)を確認した
- 1月31日の期限までに各市区町村へ提出した
(10) 税務調査前
- 事前通知の内容(対象税目、対象期間、調査日時、調査担当者名)を記録した
- 顧問先へ調査の流れと当日の対応方針を説明し、回答窓口を一本化した
- 対象期間の総勘定元帳・仕訳帳・試算表を印刷またはデータで用意した
- 請求書・領収書・契約書・見積書を年度別・月別に整理した
- 預金通帳(法人名義・代表者名義のうち事業に関係するもの)を用意した
- 給与台帳・扶養控除等申告書・源泉徴収簿・タイムカードを用意した
- 電子取引データを検索可能な状態にし、ダウンロードの求めに応じられるようにした
- 売上の期ズレ、在庫の計上漏れ、外注費と給与の区分など、想定される論点を自主点検した
- 役員給与、交際費、寄附金、貸付金の利息など、否認されやすい項目を再確認した
- 過年度に指摘を受けた事項が是正されているか確認した
- グレーな論点について、当方の見解と根拠条文・通達を整理して手元に置いた
- 顧問先に対し、聞かれたことに答え、聞かれないことは話さない原則を伝えた
- 調査当日の記録係を決め、質問と回答をその場で記録する体制にした
- 反面調査の可能性がある取引先を洗い出し、顧問先へ事前に伝えた
(11) 担当引継ぎ
- 関与範囲と契約内容(報酬、業務範囲、決算月、申告期限延長の有無)を書面で引き継いだ
- 顧問先の窓口担当者名、連絡手段、連絡が取りやすい時間帯を伝えた
- 過去3期の申告書・決算書の保管場所とデータの所在を示した
- 継続適用している会計処理(棚卸資産の評価方法、償却方法、短期前払費用等)を一覧にした
- 提出済みの届出書一覧と提出年月日を引き継いだ
- 繰越欠損金、繰越税額控除、消費税の3年縛りなど、期をまたぐ論点を明記した
- 過去の税務調査での指摘事項と、その後の対応を伝えた
- 未解決の論点、判断を保留している事項を「宿題リスト」として渡した
- 会計ソフト・給与ソフトのログイン情報の管理方法を事務所ルールに従って移管した
- 月次の資料授受スケジュールと、遅れがちな資料の傾向を伝えた
- 顧問先の業界特有の論点(建設業の工事進行基準、飲食業の軽減税率等)を共有した
- 初回訪問に前任者が同行し、顔つなぎを行った
- 引継ぎ完了後1か月と3か月の時点で、前任者が漏れの有無を確認した
6. 提出書類・届出書の総覧
「出し忘れ」は事務所の事故のうち最も多く、最も言い訳が利かない。提出先ごとに、設立時・変更時・廃業時・毎年の定例に分けて一覧にした。顧問先に動きがあったら、まずこの表を上から下までなぞる。期限は原則であり、自治体条例や個別事情で前後するため、初めての手続は提出先の様式ページで最新版を確認する。
(1) 税務署
| 書類名 | 提出先 | 期限 | 添付書類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 法人設立届出書 | 納税地の所轄税務署 | 設立の日以後2か月以内 | 定款等の写し | 登記事項証明書・株主名簿・設立趣意書の添付は不要 |
| 青色申告の承認申請書 | 同上 | 設立の日以後3か月を経過した日と第1期終了の日のいずれか早い日の前日まで | なし | 既存法人は適用を受けようとする事業年度開始の日の前日まで。1日でも遅れると当期は白色 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 同上 | 開設の日から1か月以内 | なし | 役員1名のみでも給与を払うなら提出する |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 同上 | 随時(期限なし) | なし | 給与の支給人員が常時10人未満が要件。提出月の翌月末までに却下がなければ承認され、翌月支給分から適用 |
| 棚卸資産の評価方法の届出書 | 同上 | 設立第1期の確定申告書の提出期限まで | なし | 無届なら法定評価方法の最終仕入原価法(原価法)になる |
| 減価償却資産の償却方法の届出書 | 同上 | 同上 | なし | 無届なら法人は定率法。建物・建物附属設備・構築物は定額法しか選べない |
| 有価証券の評価方法の届出書 | 同上 | 同上 | なし | 無届なら移動平均法 |
| 申告期限の延長の特例の申請書 | 同上 | 適用を受けようとする事業年度終了の日まで | 定款の写し | 1か月延長。会計監査人設置かつ定款の定めがあれば4か月まで。納付が2か月を超えると利子税がかかる |
| 事前確定届出給与に関する届出書 | 同上 | 株主総会等の決議日から1か月を経過する日と、事業年度開始の日から4か月を経過する日のいずれか早い日 | 付表(支給時期・支給額) | 新設法人は設立の日以後2か月を経過する日まで。支給日が1日ずれると全額損金不算入 |
| 消費税課税事業者届出書(基準期間用・特定期間用) | 同上 | 該当することとなった場合速やかに | なし | 基準期間または特定期間の課税売上高が1,000万円を超えたとき |
| 消費税課税事業者選択届出書 | 同上 | 適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで | なし | 新設法人は設立事業年度中に提出すれば第1期から適用。2年間は免税に戻れない |
| 消費税簡易課税制度選択届出書 | 同上 | 同上 | なし | 基準期間の課税売上高5,000万円以下が要件。2年間は取りやめ不可 |
| 消費税課税期間特例選択・変更届出書 | 同上 | 同上 | なし | 課税期間を3か月または1か月に短縮。還付を早く受けたい場合に使う |
| 適格請求書発行事業者の登録申請書 | インボイス登録センター経由で所轄税務署長 | 登録を受けようとする課税期間の初日から起算して15日前の日まで | なし | e-Taxなら通知も電子で受け取れる。登録番号は「T」+13桁 |
| 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書 | 同上 | 取りやめようとする課税期間の初日から起算して15日前の日まで | なし | 登録日から2年を経過する日の属する課税期間の末日までは免税事業者に戻れない場合がある |
| 消費税簡易課税制度選択不適用届出書 | 納税地の所轄税務署 | やめようとする課税期間の初日の前日まで | なし | 2年継続適用後でなければ提出できない |
| 消費税課税事業者選択不適用届出書 | 同上 | 同上 | なし | 調整対象固定資産を取得していると3年縛りがかかる |
| 消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書 | 同上 | 該当することとなった場合速やかに | なし | 基準期間の課税売上高が1,000万円以下になったとき。インボイス登録中は免税に戻らない |
| 異動届出書 | 同上 | 異動があった場合遅滞なく | 定款の写し・議事録の写し等 | 本店移転、商号変更、事業年度(決算期)変更、代表者変更、資本金の額の変更、合併、解散、清算結了で提出 |
| 給与支払事務所等の廃止届出書 | 同上 | 廃止の日から1か月以内 | なし | 休眠にするときも提出する |
| 法人税・地方法人税・防衛特別法人税の確定申告書 | 同上 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 | 決算書、勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書 | 防衛特別法人税は令和8年(2026年)4月1日以後開始事業年度から |
| 法人税の中間申告書(予定申告・仮決算) | 同上 | 事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内 | 仮決算なら中間決算書 | 前期の確定法人税額が20万円超で必要。無申告なら予定申告があったものとみなされる |
| 消費税・地方消費税の確定申告書 | 同上 | 課税期間終了の日の翌日から2か月以内 | 付表1-3・付表2-3等 | 個人は翌年3月31日。法人税を延長しても消費税は別に延長届出が必要 |
| 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表 | 同上 | 翌年1月31日 | 各法定調書 | 報酬料金、不動産使用料、不動産等の譲受けの対価の支払調書を同時に提出する |
| 所得税徴収高計算書(納付書) | 同上または金融機関 | 原則は支払月の翌月10日。納期の特例なら7月10日と1月20日 | なし | 税額ゼロでも「本税0」で提出する |
| 欠損金の繰戻しによる還付請求書 | 納税地の所轄税務署 | 確定申告書の提出と同時 | なし | 中小企業者等のみ。前期に納税があることが前提。調査の呼び水になりやすい点を説明する |
(2) 都道府県税事務所
| 書類名 | 提出先 | 期限 | 添付書類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 法人設立・設置届出書 | 本店所在地を管轄する県税事務所 | 設立の日から1か月以内が目安 | 定款の写し、登記事項証明書 | 期限は自治体条例で異なる(15日以内から2か月以内まで幅がある) |
| 異動届出書 | 同上 | 異動後遅滞なく | 登記事項証明書、議事録の写し | 支店・営業所の新設や廃止でも提出。均等割の課税自治体が増減する |
| 法人事業税・特別法人事業税・道府県民税の確定申告書(第6号様式) | 同上 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 | 法人税申告書別表四・別表一の写し、決算書 | eLTAXで電子申告する。資本金1億円超は電子申告が義務 |
| 申告書の提出期限の延長の処分等の届出書・承認申請書 | 同上 | 法人税の延長承認を受けた事業年度終了の日から一定期間内 | 税務署の承認通知の写し | 法人税で延長しても地方税は自動では延長されない。期限は条例で確認する |
| 法人事業税・道府県民税の中間申告書 | 同上 | 事業年度開始の日以後6か月を経過した日から2か月以内 | なし | 法人税の中間申告義務がある法人が対象 |
| 特例承継計画の確認申請書 | 主たる事務所の所在地の都道府県 | 令和9年(2027年)9月30日まで | 認定経営革新等支援機関の所見が記載された計画 | 法人版事業承継税制の入口。後継者が未定でも提出できる |
| 事業所税の申告書 | 指定都市等の市または県税事務所 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 | 事業所用家屋の面積内訳 | 床面積1,000平方メートル超または従業者100人超で課税 |
(3) 市町村
| 書類名 | 提出先 | 期限 | 添付書類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 法人設立・設置届出書 | 事務所所在地の市町村(東京23区は都税事務所) | 設立の日から1か月以内が目安 | 定款の写し、登記事項証明書 | 東京23区内のみに事務所がある法人は都税事務所への届出だけでよい |
| 異動届出書 | 同上 | 異動後遅滞なく | 登記事項証明書等 | 事務所を廃止したら必ず提出する。放置すると均等割が課され続ける |
| 法人市町村民税の確定申告書(第20号様式) | 同上 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内 | 法人税申告書の写し、決算書 | 複数市町村に事務所がある場合は従業者数で分割して申告する |
| 償却資産申告書(種類別明細書を含む) | 資産の所在する市町村 | 毎年1月31日 | 種類別明細書(増加資産・減少資産) | 1月1日現在の所有資産が対象。免税点未満でも申告義務がある。令和8年度(2026年度)の免税点は150万円未満 |
| 給与支払報告書(総括表・個人別明細書) | 従業員の1月1日現在の住所地の市町村 | 毎年1月31日 | なし | 退職者も年中の支払額30万円超なら提出する。eLTAXで源泉徴収票と同時送信できる |
| 給与支払報告に係る給与所得者異動届出書 | 同上 | 異動があった月の翌月10日まで | なし | 退職・転勤時に提出。一括徴収か普通徴収かを記載する |
| 特別徴収への切替申請書 | 従業員の住所地の市町村 | 随時 | なし | 納期未到来分を特別徴収に切り替える。年度途中の入社時に使う |
(4) 年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク
| 書類名 | 提出先 | 期限 | 添付書類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 新規適用届 | 事業所所在地の年金事務所 | 事実発生から5日以内 | 登記事項証明書、法人番号指定通知書の写し | 法人は代表者1人でも強制適用 |
| 被保険者資格取得届 | 同上 | 事実発生から5日以内 | 被扶養者がいれば被扶養者(異動)届 | 入社日ではなく資格取得日で判定。試用期間中も加入させる |
| 被保険者資格喪失届 | 同上 | 事実発生から5日以内 | 健康保険被保険者証 | 喪失日は退職日の翌日。月末退職は当月分の保険料が発生 |
| 被保険者報酬月額算定基礎届 | 同上 | 毎年7月10日 | なし | 4月・5月・6月の報酬で標準報酬月額を決定。9月分(10月納付分)から改定 |
| 被保険者報酬月額変更届 | 同上 | 該当したら速やかに | なし | 固定的賃金の変動から3か月の平均で2等級以上の差が出たとき。役員報酬改定時は必ず確認 |
| 被保険者賞与支払届 | 同上 | 支払日から5日以内 | なし | 年3回以下の支給が賞与。年4回以上は報酬に含める |
| 健康保険・厚生年金保険 適用事業所全喪届 | 同上 | 事実発生から5日以内 | 解散の登記事項証明書等 | 廃業・休眠時に提出。全員の資格喪失届も同時に出す |
| 労働保険 保険関係成立届 | 労働基準監督署 | 保険関係成立の日の翌日から10日以内 | 登記事項証明書 | 従業員を1人でも雇ったら成立。役員のみなら不要 |
| 労働保険 概算保険料申告書 | 労働基準監督署または都道府県労働局 | 保険関係成立の日の翌日から50日以内 | なし | 成立届と同時に提出することが多い |
| 労働保険 年度更新(確定保険料・概算保険料申告書) | 同上 | 毎年6月1日から7月10日 | 賃金集計表 | 前年度の確定精算と当年度の概算を同時に行う。概算保険料40万円以上は3回に分納可 |
| 雇用保険 適用事業所設置届 | 公共職業安定所(ハローワーク) | 設置の日の翌日から10日以内 | 労働保険関係成立届の控え、登記事項証明書 | 労基署の成立届を先に出してから提出する |
| 雇用保険 被保険者資格取得届 | 同上 | 資格取得日の属する月の翌月10日まで | なし | 週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みで加入。取締役は原則対象外 |
| 雇用保険 被保険者資格喪失届・離職証明書 | 同上 | 離職の日の翌日から10日以内 | 賃金台帳、出勤簿、退職辞令等 | 離職票の要否を本人に確認する。59歳以上は希望の有無にかかわらず離職証明書が必要 |
| 時間外労働・休日労働に関する協定届(36協定) | 労働基準監督署 | 効力発生日までに毎年 | 労働者代表の選出方法を明らかにする記録 | 締結だけでは足りず、届出をして初めて時間外労働が適法になる |
| 就業規則(変更)届 | 同上 | 作成・変更後遅滞なく | 意見書、就業規則本体 | 常時10人以上の事業場が対象。賃金規程・退職金規程も含む |
(5) 法務局
| 書類名 | 提出先 | 期限 | 添付書類 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 設立の登記 | 本店所在地を管轄する法務局 | 設立時取締役等の調査終了日等から2週間以内 | 定款、払込証明書、就任承諾書、印鑑証明書 | 登記完了日ではなく申請日が会社の成立日になる |
| 役員変更の登記 | 同上 | 就任・退任・重任の日から2週間以内 | 株主総会議事録、就任承諾書、株主リスト | 重任登記の失念が最も多い。取締役の任期は最長10年 |
| 本店移転の登記 | 同上 | 移転の日から2週間以内 | 株主総会議事録(定款変更を伴う場合)、取締役会議事録 | 管轄外への移転は旧本店管轄を経由して申請する |
| 商号・目的の変更の登記 | 同上 | 変更の日から2週間以内 | 株主総会議事録、株主リスト | 許認可事業を始めるときは目的の記載内容を先に確認する |
| 募集株式の発行(増資)の登記 | 同上 | 払込期日等から2週間以内 | 株主総会議事録、払込証明書、資本金の額の計上に関する証明書 | 資本金1億円超になると中小法人の特例が使えない。増資前に税務影響を試算する |
| 解散および清算人選任の登記 | 同上 | 解散の日から2週間以内 | 株主総会議事録、清算人の就任承諾書 | 登記後に税務署・都道府県・市町村へ異動届出書を提出する |
| 清算結了の登記 | 同上 | 決算報告の承認の日から2週間以内 | 株主総会議事録、決算報告書 | 解散から2か月以上の債権申出期間を置く必要がある |
| 代表取締役等の住所変更の登記 | 同上 | 変更の日から2週間以内 | なし | 個人の引越しでも登記が必要。失念すると過料の対象になる |
| 登記事項証明書・印鑑証明書の交付請求 | 全国いずれの法務局でも可 | 随時 | なし | 発行後3か月以内のものを求められることが多い |
7. 顧問先からよく受ける質問25
顧問先の質問には型がある。よく受ける25問について、その場で返せる答え方をまとめた。まず結論を言い、次に理由と条件を言う。この順序を崩さない。判断が分かれる論点は、その場で結論を出さず「調べて折り返す」と言ってよい。
Q. これは経費になりますか。
A. 事業に関連し、金額が確定し、その事実を裏づける資料があるなら経費になる。判断基準はこの3つだけである。逆に、事業との関連が説明できない支出、期末時点で債務が確定していない支出、証憑がない支出は経費にならない。迷ったら「税務調査で誰に何を聞かれても答えられるか」で考える。個人的な支出との区別がつきにくいもの(自宅兼事務所の家賃、車、携帯電話)は、合理的な基準で按分して使用実態のメモを残す。
Q. 役員報酬はいつ変えられますか。
A. 原則は事業年度開始の日から3か月以内の株主総会の決議による改定だけである。3月決算なら6月末までに決めた金額を、翌期の1年間払い続ける。これを外れて期中に増額すると、増額した部分が損金不算入になる。例外は、役職の変更など地位の変動を伴う臨時改定事由と、業績が著しく悪化した場合の減額改定である。「資金繰りが苦しい」だけでは業績悪化改定事由にならない。改定したら必ず議事録を作り、社会保険の月額変更届も忘れない。
Q. 車は買った方が得ですか。
A. 「買えば税金が減る」という理解は誤りである。減価償却により複数年に分けて費用化されるだけで、支出した年に全額が経費になるわけではない。新車の普通車は6年、軽自動車は4年で償却する。4年落ちの中古車なら耐用年数2年となり定率法で1年目にほぼ全額を償却できるが、期末月に取得すれば月数按分で12分の1しか落ちない。判断すべきは税額ではなく資金繰りと事業上の必要性である。売却時に譲渡益が出れば課税される点も伝える。
Q. インボイスの登録はやめられますか。
A. やめられる。「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」を、やめようとする課税期間の初日から起算して15日前の日までに提出する。ただし登録をやめても、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えていれば課税事業者のままである。また、免税事業者が経過措置で登録した場合は、登録日から2年を経過する日の属する課税期間の末日までは免税に戻れないことがある。取引先が課税事業者ばかりなら、やめた瞬間に値引き交渉が始まる点も併せて説明する。
Q. 2割特例が終わったらどうなりますか。
A. 2割特例は令和8年(2026年)9月30日の属する課税期間で終了する。個人事業者は令和8年分が最後、3月決算法人は令和9年3月期が最後である。終了後は原則課税か簡易課税を選ぶ。個人事業者に限り、令和9年分・令和10年分は売上税額の3割を納める3割特例が使える。法人には3割特例がないため、簡易課税の選択届出を出すかどうかを終了前に必ず検討する。届出の失念が最も起きやすい局面である。
Q. 決算賞与を出したいのですが。
A. 未払計上で損金にするには3つの要件をすべて満たす必要がある。事業年度終了の日までに支給額を各人別に通知していること、通知した金額を事業年度終了の日の翌日から1か月以内に全員へ支払っていること、通知した事業年度で損金経理していることである。通知は書面で行い、受領サインをもらう。在職要件(支給日に在籍していること)を付けると要件を満たさなくなるため、規程や通知書に在職条件を書いてはならない。
Q. 社長の自宅を社宅にできますか。
A. できる。法人が賃貸契約の当事者になり、社長から「賃貸料相当額」を徴収すれば、法人が払う家賃と受け取る家賃の差額が実質的な経費になる。役員社宅の賃貸料相当額は、床面積により小規模住宅かどうかを判定し、建物・敷地の固定資産税の課税標準額をもとに計算する。小規模住宅に該当すれば負担額はかなり小さくなる。固定資産税の課税明細が必要なので、大家または市町村から取り寄せる。徴収額がゼロだと家賃全額が給与課税される。
Q. 消費税が急に増えたのはなぜですか。
A. 理由はたいてい次のどれかである。免税事業者からの仕入れに係る経過措置の控除割合が下がった(令和8年(2026年)10月1日から80パーセントが70パーセントになる)、売上が伸びて課税売上高が増えた、設備投資がなくなり仕入税額控除が減った、2割特例や簡易課税が使えなくなった、非課税売上が増えて課税売上割合が下がった、である。まず前期と当期の課税売上高・課税仕入高・控除税額を並べた比較表を作り、どの要素で増えたかを数字で示す。
Q. 税務調査はいつ来ますか。
A. 時期は予測できないが、来やすい状況はある。設立から3期から5期が経過した、売上や利益が急に増減した、消費税の還付申告をした、欠損金の繰戻し還付を請求した、代表者が交代した、同業種で不正が多い業種である、といった場合である。法人はおおむね5年から10年に一度と考えておけばよい。日頃から証憑の整理と議事録の作成を徹底しておくことが唯一の準備である。事前通知が来たら、まず事務所に連絡してもらう体制にしておく。
Q. そろそろ法人にした方がいいですか。
A. 判断材料は税負担だけではない。目安として、課税所得がおおむね800万円を超え、その水準が今後も続く見込みなら法人化の検討に入る。法人化で得られるのは、所得の分散(役員報酬と法人所得)、給与所得控除の利用、退職金の支給、赤字の10年繰越しである。一方で、赤字でも均等割がかかり、社会保険が強制加入になり、決算コストが増える。消費税の免税期間を最大化したい場合は設立時期と資本金1,000万円未満の設定が効く。試算表を作って2年分を比較して示す。
Q. 家族に給与を払いたいのですが。
A. 法人なら払える。ただし「勤務実態があること」と「同じ仕事をする他人に払う金額と大きく離れていないこと」が条件である。実態がなければ役員給与の否認や寄附金認定を受ける。タイムカード、業務日報、業務内容のメモを残す。家族が役員なら定期同額給与のルールが適用される。個人事業なら青色事業専従者給与に該当し、事前に届出書の提出が必要で、専従性(原則6か月超その事業に従事)の要件がある。
Q. 経営セーフティ共済は入った方がいいですか。
A. 資金に余裕があり、将来に大きな支出予定があるなら有効である。掛金は月5,000円から20万円、総額800万円まで積み立てられ、全額を損金にできる。ただし解約手当金は全額が益金になるため、税金を先送りしているだけである。退職金の支給年度や大規模修繕の年度に解約をぶつける出口設計が前提になる。40か月未満の解約は元本割れする。また、解約から2年以内に再加入した場合、掛金が損金にならない期間がある点も確認する。
Q. 生命保険で節税できますか。
A. 保険で税金が消えることはない。損金算入割合は最高解約返戻率で決まり、返戻率が高い商品ほど資産計上割合が大きい。返戻率50パーセント以下なら全額損金、50パーセント超70パーセント以下なら6割損金、70パーセント超85パーセント以下なら4割損金、85パーセント超はさらに厳しい取扱いになる。解約時には解約返戻金が益金になる。保険の本来の目的は、社長に万一のことがあった場合の借入返済資金と運転資金の確保である。目的を先に確認する。
Q. 赤字なのに税金がかかるのはなぜですか。
A. 赤字でもかかる税金がある。法人住民税の均等割(資本金1,000万円以下・従業員50人以下なら年7万円が標準)、消費税(納税義務があれば利益と無関係にかかる)、源泉所得税、固定資産税・償却資産税、印紙税、そして自動車税である。特に消費税は、赤字でも売上に対して課税されるため納税額が最も大きくなることが多い。決算前に納税予測を出し、資金を別口座に取り分ける習慣をつけてもらう。
Q. 納税資金がありません。
A. まず申告は期限内に行う。申告と納付は別で、無申告加算税は申告しないことに対するペナルティである。そのうえで税務署に相談し、換価の猶予(原則1年以内、担保が必要な場合あり)や納税の猶予を申請する。認められれば延滞税の一部が免除される。納付が遅れると延滞税がかかるが、放置して差押えに進むよりはるかによい。同時に、翌期以降は毎月の納税積立を仕組みにする。売上入金時に消費税相当額を別口座へ移す方法が最も定着しやすい。
Q. 電子帳簿保存法では何をすればいいですか。
A. 義務なのは電子取引データの電子保存だけである。メール添付のPDF請求書、Web上でダウンロードした領収書、EDI取引のデータは、紙に印刷して保存するのでは足りず、データのまま保存する。実務でやることは3つ。事務処理規程を作って備え付ける、ファイル名を日付と金額と取引先で統一する(例:20260507_11000_取引先名)、バックアップを取る。基準期間の売上高5,000万円以下なら、調査時にダウンロードに応じられれば検索要件は不要である。スキャナ保存と電子帳簿は任意なので、無理に始めなくてよい。
Q. 領収書をなくしてしまいました。
A. 支出の事実が証明できれば経費にできる。まず再発行を依頼する。無理なら、クレジットカードの利用明細、預金通帳の出金記録、注文書や納品書、メールのやり取りなど、代替の証拠を集める。それも無い少額の交通費などは、日付・相手先・金額・目的を記した出金伝票を作成する。ただしインボイスの保存が必要な取引で適格請求書がない場合、仕入税額控除は原則できない。3万円未満の公共交通機関などの特例に当たるかを確認する。常態化させないため、紛失時の処理ルールを社内で決めてもらう。
Q. 交際費はいくらまで使えますか。
A. 期末資本金1億円以下の中小法人なら、年800万円まで全額損金算入できる。または接待飲食費の50パーセントを損金算入する方法との選択制で、飲食費が年1,600万円を超えるなら50パーセント基準が有利になる。さらに、社外の人との飲食で1人当たり1万円以下のものは、そもそも交際費等から除外される。この除外を使うには、日付・参加者の氏名と関係・参加人数・金額・店名を記載した書類の保存が必要である。社内だけの飲食は1万円以下でも交際費等になる。
Q. 出張の日当は出せますか。
A. 出せる。旅費規程を作り、役職ごとの日当額と対象となる出張の範囲を定めれば、支給額は法人の経費になり、受け取る側は非課税である。社長にも支給できるため、実質的な手取りを増やす数少ない方法である。ただし金額が同業他社と比べて著しく高いと給与認定される。目安は日帰り2,000円から3,000円、宿泊5,000円程度から始める。出張報告書(日付、行先、目的、面談相手)を必ず残す。規程がないまま支給すると全額が給与になる。
Q. 副業の収入は申告が必要ですか。
A. 給与所得者で、給与以外の所得が年20万円を超えるなら確定申告が必要である。20万円以下でも住民税の申告は必要なので、その点は必ず伝える。区分は、事業として反復継続し帳簿書類を備えているなら事業所得、そうでなければ雑所得になる。おおむね年間300万円以下で帳簿書類の保存がない場合は雑所得と扱われる。事業所得なら青色申告特別控除や損益通算が使えるが、赤字を作って給与と通算する目的だけの申告は否認される。
Q. ふるさと納税は節税になりますか。
A. 節税ではなく、税金の前払いと返礼品の受取りである。自己負担2,000円を除いた額が所得税と住民税から控除されるだけで、支出総額は減らない。得なのは返礼品の分である。上限額は所得と家族構成で決まるため、必ず年末の所得見込みで試算してから寄附してもらう。上限を超えた分は自己負担になる。確定申告をする人はワンストップ特例が使えない(申告時に寄附金控除として記載する)点を毎年案内する。法人の場合は企業版ふるさと納税という別制度になる。
Q. 住宅ローン控除は使えますか。
A. 適用期限は令和12年(2030年)12月31日まで延長されている。既存住宅の借入限度額は最大4,500万円、控除期間は13年である。令和8年(2026年)1月1日以後は床面積要件が50平方メートル以上から40平方メートル以上に緩和された。会社員なら初年度だけ確定申告し、2年目以降は年末調整で処理する。住宅ローン控除は所得税から引ききれない分が住民税から控除されるため、ふるさと納税と併用すると上限計算がずれやすい。試算してから実行してもらう。
Q. 退職金はいくらまで出せますか。
A. 役員退職給与は「最終月額報酬 × 在任年数 × 功績倍率」で計算した金額が一つの目安になる。功績倍率は社長で3倍程度が実務上の相場である。不相当に高額な部分は損金不算入になる。支給には株主総会の決議と議事録が必須で、損金算入時期は原則として決議日の属する事業年度である。受け取る側は退職所得として、退職所得控除(勤続20年までは1年40万円、20年超は1年70万円)を引いた残額の2分の1に課税されるため、給与で受け取るより有利である。
Q. 事業承継は何から始めればいいですか。
A. 自社株の評価から始める。評価額が分からないまま議論しても意味がない。次に後継者を決め、株式をどう移すか(生前贈与、譲渡、相続)を選ぶ。税負担を抑える手段として事業承継税制があり、法人版の特例承継計画は令和9年(2027年)9月30日まで、個人版の個人事業承継計画は令和10年(2028年)9月30日まで提出できる。計画は後継者が未定でも出せるので、該当しそうな顧問先には先に出しておくことを勧める。並行して、相続時の遺留分と納税資金の手当ても検討する。
Q. 補助金をもらいましたが税金はかかりますか。
A. かかる。補助金・助成金は原則として収益(雑収入)に計上し、法人税の課税対象になる。消費税は不課税なので、消費税の課税売上には含めない。計上時期は支給決定を受けた日が原則である。設備投資に対する補助金なら、圧縮記帳を使って課税を繰り延べられる。国庫補助金等の圧縮記帳を使うには、返還不要が確定していることと、申告書に明細書を添付することが要件になる。雇用関係の助成金には圧縮記帳が使えないため、そのまま課税される。
8. 用語集
顧問先との会話でも所内の会話でも、用語の定義がずれていると話が噛み合わない。実務で使う語を五十音順に並べた。新人は最初の3か月でここを一巡すること。
- 青色申告
- 一定の帳簿を備え付けて記帳し、承認申請をした者が受けられる制度。欠損金の繰越し、特別償却、各種税額控除の適用要件になる。
- 青色申告特別控除
- 個人事業者の所得計算上の控除。現行は最大65万円(e-Tax等が要件)。令和9年(2027年)分以後は75万円の区分が新設される。
- 圧縮記帳
- 補助金や保険差益などで取得した資産の帳簿価額を減額し、課税を将来へ繰り延べる処理。免税ではなく繰延べである。
- 一括償却資産
- 取得価額10万円以上20万円未満の資産を3年間で均等償却する制度。償却資産税の対象外になる点が最大の利点。
- 一括比例配分方式
- 課税売上割合が95%未満の場合の仕入税額控除の計算方法の一つ。課税仕入れ等の税額に課税売上割合を乗じる。2年間の継続適用が必要。
- 移動平均法
- 仕入れの都度、平均単価を計算し直す棚卸資産の評価方法。有価証券の法定評価方法でもある。
- 印紙税
- 課税文書の作成に課される税。契約書・受取書等が対象。電子契約書には課税されない。
- インボイス
- 適格請求書。登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等を記載した請求書等。仕入税額控除の要件になる。
- 益金
- 法人税法上の収益。会計上の収益に加算・減算を加えて算出する。
- 延滞税
- 納付が法定納期限に遅れた場合の遅延利息に相当する附帯税。日数計算で加算される。
- 概算保険料
- 労働保険で、年度当初に見込みの賃金総額をもとに前払いする保険料。年度更新で確定精算する。
- 開業費
- 設立後、営業を開始するまでに特別に支出した費用。繰延資産として任意償却できる。
- 家事関連費
- 事業と家事の両方に関わる支出。事業に必要な部分が明らかに区分できる場合に限り必要経費になる。
- 貸倒引当金
- 将来の貸倒れに備える引当金。中小法人は法定繰入率による繰入れが認められる。
- 貸倒損失
- 債権が回収不能になった場合の損失。法律上の貸倒れ、事実上の貸倒れ、形式上の貸倒れの3類型がある。
- 課税売上割合
- 課税売上高(税抜)を、課税売上高と非課税売上高の合計で除した割合。95%未満だと仕入税額控除が制限される。
- 課税期間
- 消費税の計算単位。原則は法人の事業年度、個人は暦年。届出により3か月または1か月に短縮できる。
- 加算税
- 申告や納付の義務を怠った場合の行政制裁。過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税がある。
- 仮決算による中間申告
- 中間期間を1事業年度とみなして決算を組み、中間納税額を計算する方法。業績が悪化した期に資金流出を抑えられる。
- 簡易課税制度
- 基準期間の課税売上高5,000万円以下の事業者が、みなし仕入率で仕入税額控除を計算する制度。届出と2年継続が要件。
- 勘定科目内訳明細書
- 法人税申告書の添付書類。主要科目の内訳を記載する。調査官が最初に読む書類なので記載の質が信用に直結する。
- 還付加算金
- 税金が還付される際に付される利息相当額。受け取った法人は益金に計上する。
- 期限後申告
- 法定申告期限を過ぎてからの申告。無申告加算税と延滞税の対象になる。青色申告の承認取消事由にもなり得る。
- 基準期間
- 消費税の納税義務判定の基礎となる期間。法人は前々事業年度、個人は前々年。
- 給与所得控除
- 給与収入から差し引く概算経費。令和8年(2026年)分の最低保障額は74万円。
- 均等割
- 法人住民税のうち、所得の有無にかかわらず資本金等の額と従業者数で決まる定額部分。赤字でもかかる。
- 繰延資産
- 支出の効果が1年以上に及ぶ費用。開業費、開発費、および税法固有の繰延資産(同業者団体の加入金、賃借建物の権利金等)がある。
- 繰越欠損金
- 青色申告書を提出した事業年度の欠損金を、翌期以後10年間繰り越して所得から控除できる制度。中小法人は所得金額の全額を控除できる。
- 経過措置(インボイス)
- 免税事業者からの課税仕入れについて一定割合の控除を認める措置。令和8年(2026年)10月1日から70%に下がる。
- 軽減税率
- 消費税8%(うち地方消費税1.76%)が適用される取引。飲食料品(外食・酒類を除く)と定期購読の新聞が対象。
- 決算整理仕訳
- 期末に行う減価償却、棚卸、引当金繰入、経過勘定の計上など、正しい期間損益を出すための仕訳。
- 欠損金の繰戻し還付
- 当期の欠損金を前期の所得と相殺し、前期に納めた法人税の還付を受ける制度。中小企業者等に限られる。
- 減価償却
- 固定資産の取得価額を耐用年数にわたって費用配分する手続。法人は任意償却(損金経理が要件)、個人は強制償却。
- 源泉所得税
- 給与や報酬の支払時に支払者が徴収して納付する所得税。納付は原則翌月10日、納期の特例なら年2回。
- 現物給与
- 金銭以外で支給される経済的利益。社宅の家賃相当額、食事の補助、社員旅行などが該当し、原則として給与課税される。
- 更正
- 税務署長が申告内容を職権で是正する処分。増額更正と減額更正がある。
- 更正の請求
- 納めすぎた税額の減額を求める手続。原則として法定申告期限から5年以内。
- 交際費等
- 得意先等への接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のための支出。中小法人は年800万円まで損金算入できる。
- 個別対応方式
- 課税仕入れを課税売上対応・非課税売上対応・共通対応に区分して仕入税額控除を計算する方法。一括比例配分方式より有利になることが多い。
- 債務確定主義
- 費用が損金になるには、期末までに債務が成立し、給付原因事実が発生し、金額が合理的に算定できることが必要とする考え方。
- 先入先出法
- 先に仕入れたものから先に払い出したとみなす棚卸資産の評価方法。
- 3割特例
- 令和9年(2027年)分・令和10年(2028年)分に個人事業者のみが使える消費税の特例。納付税額は売上税額の3割。
- 仕入税額控除
- 課税売上に係る消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除する仕組み。インボイスと帳簿の保存が要件。
- 事業概況説明書
- 法人税申告書に添付する書類。事業内容、従業員数、主要科目の月別売上、電子計算機の利用状況等を記載する。
- 事業所税
- 指定都市等で課される税。事業所床面積1,000平方メートル超または従業者100人超が課税対象。
- 資本的支出
- 固定資産の使用可能期間を延長させ、または価値を増加させる支出。修繕費と区分して資産計上する。
- 修正申告
- 申告した税額が過少であった場合に、納税者が自ら増額の申告をする手続。調査の事前通知後は加算税が課される。
- 重加算税
- 事実の隠蔽または仮装があった場合に課される最も重い加算税。過少申告なら35%、無申告なら40%。
- 少額減価償却資産
- 中小企業者等が取得価額の全額を損金算入できる資産。令和8年(2026年)4月1日以後の取得は40万円未満、年間300万円が限度。
- 少額特例(インボイス)
- 税込1万円未満の課税仕入れについてインボイスの保存を不要とする措置。令和11年(2029年)9月30日まで。
- 償却資産
- 土地・家屋以外の事業用固定資産で固定資産税の対象になるもの。毎年1月31日までに市町村へ申告する。
- 除却損
- 固定資産を廃棄した際に計上する損失。廃棄の事実を示す写真やマニフェスト等の証憑を残す。
- 白色申告
- 青色申告の承認を受けていない申告。記帳義務はあるが、欠損金の繰越しや特別控除は使えない。
- 申告期限の延長の特例
- 定款等の定めにより決算が確定しない場合に、法人税の申告期限を1か月延長する制度。納付が遅れると利子税がかかる。
- スキャナ保存
- 紙で受け取った書類をスキャンして電子データで保存する任意制度。解像度・タイムスタンプ等の要件がある。
- 税額控除
- 算出した税額から直接差し引く控除。賃上げ促進税制、研究開発税制、所得税額控除、外国税額控除などがある。
- 税務代理権限証書
- 税理士が納税者を代理することを税務官公署へ明らかにする書面。調査の事前通知は原則として税理士にも行われる。
- 税抜経理方式
- 消費税を仮受消費税・仮払消費税として本体価額と分けて処理する方法。減価償却の金額判定も税抜金額で行う。
- 税込経理方式
- 消費税を本体価額に含めて処理する方法。免税事業者は必ずこの方法による。
- 前払費用
- 継続的な役務提供に対して前払いした費用のうち、当期末までに提供を受けていない部分。短期前払費用の特例で当期損金にできる場合がある。
- 総勘定元帳
- すべての取引を勘定科目ごとに集計した主要簿。調査で最初に求められる帳簿。
- 租税公課
- 税金と公的な賦課金を処理する科目。法人税・住民税・罰科金は損金にならないため、別表四で加算する。
- 損金
- 法人税法上の費用。会計上の費用と一致しない部分を別表四で調整する。
- 損金経理
- 確定した決算において費用または損失として経理すること。減価償却費や引当金の損金算入の要件になる。
- 耐用年数
- 減価償却資産の法定使用可能期間。減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表で確認する。
- 棚卸資産
- 商品、製品、仕掛品、原材料、貯蔵品など、販売または消費のために保有する資産。期末実地棚卸が必須。
- 短期前払費用
- 支払日から1年以内に役務提供を受ける前払費用を、継続適用を条件に支払時の損金にできる特例。家賃・保険料が典型。
- 中間申告
- 事業年度の途中で行う申告。法人税は前期税額20万円超、消費税は前期の確定税額に応じて年1回から11回。
- 中小企業者等
- 各特例の適用対象となる法人。多くは期末資本金1億円以下だが、大規模法人の子会社は除かれるなど制度ごとに定義が異なる。
- 賃上げ促進税制
- 給与等支給額の増加率に応じて税額控除を受けられる制度。中小企業向けは最大35%、控除上限は法人税額の20%、5年繰越しが可能。
- 通勤手当
- 一定額まで非課税となる手当。令和8年(2026年)分から駐車場代等の料金相当額を上限5,000円まで非課税限度額に加算できる。
- 定額法
- 毎期同額を償却する方法。建物、建物附属設備、構築物、無形固定資産はこの方法しか選べない。
- 定率法
- 期首帳簿価額に一定率を乗じて償却する方法。初年度の償却額が大きい。法人の法定償却方法。
- 定期同額給与
- 支給時期が1か月以下の一定期間ごとで、各支給時期の支給額が同額である役員給与。損金算入の原則形態。
- 適格請求書発行事業者
- インボイスを交付できる登録事業者。登録すると免税事業者であっても課税事業者になる。
- 適用除外事業者
- 前3事業年度の平均所得金額が15億円を超える中小法人。軽減税率15%などの中小特例が使えない。
- 電子帳簿保存法
- 帳簿書類の電子保存を定める法律。電子取引データの電子保存のみが義務で、スキャナ保存と電子帳簿は任意。
- 電子取引
- 取引情報を電磁的方式で授受する取引。メール添付のPDF請求書、Web明細、EDIが該当する。
- 同族会社
- 上位3株主グループで議決権の50%超を保有される会社。行為計算の否認規定や特定同族会社の留保金課税の対象になる。
- 特定期間
- 消費税の納税義務判定に使う前事業年度開始の日以後6か月の期間。課税売上高と給与等支払額の両方で判定できる。
- 特定親族特別控除
- 19歳以上23歳未満の親族について、合計所得金額62万円超123万円以下の場合に受けられる控除。最大63万円。月次給与にも反映する。
- 特別徴収
- 住民税を給与から天引きして事業者が納付する方式。原則としてすべての給与所得者が対象。
- 特別償却
- 通常の償却に上乗せして償却できる制度。税額控除との選択制になっていることが多い。
- 納期の特例
- 給与の支給人員が常時10人未満の事業者が、源泉所得税を年2回(7月10日と1月20日)にまとめて納付できる制度。
- 納税充当金
- 会計上の未払法人税等に対応する税務上の科目。別表五(二)で増減を管理する。
- 2割特例
- インボイス登録により課税事業者になった小規模事業者が、納付税額を売上税額の2割にできる措置。令和8年(2026年)9月30日の属する課税期間で終了。
- 認定利息
- 役員や関係会社への無利息貸付けについて、適正利率で計算した利息を収益として認定すること。
- 配偶者特別控除
- 配偶者の合計所得金額が62万円超133万円以下の場合に受けられる控除。令和8年(2026年)分から下限が引き上げられた。
- 引当金
- 将来の費用・損失に備えて計上する負債。法人税法上は貸倒引当金など限定的にしか認められない(返品調整引当金は廃止済みで、経過措置の対象法人にのみ縮小した繰入れが残る)。
- 非課税取引
- 消費税の性格や社会政策上の配慮から課税されない取引。土地の譲渡・貸付け、住宅家賃、社会保険診療などが該当する。
- 不課税取引
- そもそも消費税の課税対象外の取引。給与、配当、保険金、補助金、寄附金など。
- 普通徴収
- 住民税を納税者本人が納付書で納める方式。特別徴収が原則のため、切り替えるには理由が必要。
- 復興特別所得税
- 所得税額に上乗せされる国税。現行は2.1%だが、令和9年(2027年)分以後は1.1%となり、代わりに防衛特別所得税1%が課される。
- 別表
- 法人税申告書の明細書。別表一は税額計算、別表四は所得金額の計算、別表五(一)は利益積立金、別表五(二)は租税公課の納付状況を示す。
- 返還インボイス
- 売上に係る対価の返還等を行った場合に交付する書類。税込1万円未満の返還は交付義務が免除される。
- 防衛特別法人税
- 令和8年(2026年)4月1日以後開始事業年度に課される国税。(基準法人税額 − 年500万円)× 4%で計算する。
- 防衛特別所得税
- 令和9年(2027年)分以後、所得税額に1%を上乗せする国税。
- 法人事業税
- 都道府県が課す税。資本金1億円以下の普通法人は所得割のみ。1億円超は外形標準課税の対象になる。
- 法人住民税
- 都道府県民税と市町村民税の総称。法人税割と均等割から成る。
- 法定調書
- 支払者が税務署へ提出する資料。給与所得の源泉徴収票、報酬料金等の支払調書、不動産の使用料等の支払調書などがある。
- みなし仕入率
- 簡易課税で使う業種別の控除割合。第1種90%から第6種40%まで6区分ある。
- 未払計上
- 債務が確定しているが未払いの費用を期末に計上すること。社会保険料、決算賞与、未払事業税などが典型。
- 免税事業者
- 消費税の納税義務が免除される事業者。インボイスを交付できないため、取引先が課税事業者だと不利になる場合がある。
- 免税点
- その金額未満なら課税されない基準額。償却資産は令和8年度(2026年度)150万円、令和9年度(2027年度)以後は180万円。
- 役員給与
- 役員に対する給与。定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与のいずれかに該当しなければ損金にならない。
- 役員退職給与
- 役員の退職に伴う給与。不相当に高額な部分は損金不算入。功績倍率法で妥当性を検証する。
- 輸出免税
- 輸出取引について消費税を免除する制度。課税売上割合の計算では課税売上として扱われ、仕入税額の還付につながる。
- 予定申告
- 前期の実績をもとに中間納税額を計算する方法。申告書を出さなくても予定申告があったものとみなされる。
- 利益積立金額
- 法人が留保している所得の累積額。別表五(一)で管理し、みなし配当や清算時の計算に使う。
- 暦年課税
- 1月1日から12月31日までの贈与を合計して課税する贈与税の原則的な方式。基礎控除は年110万円。
- 労働保険
- 労災保険と雇用保険の総称。年度更新で前年度の確定精算と当年度の概算納付を同時に行う。
- 割戻し計算・積上げ計算
- 消費税額の計算方法。売上税額は割戻し計算が原則、仕入税額は積上げ計算が原則。売上を積上げ計算にした場合は仕入も積上げ計算を選べる。
9. 参照すべき一次情報
市販の解説書や解説記事は入口にすぎない。顧問先に回答する前、そして申告書に署名する前は、必ず一次情報で裏を取る。以下は日常的に使うものだけを挙げた。ブックマークして、どの資料が何を答えてくれるかを頭に入れておく。
| 名称 | 発行元 | 使いどころ |
|---|---|---|
| タックスアンサー | 国税庁 | 制度の概要を最短で確認する。顧問先への一次回答の下書きに使えるが、これだけを根拠にしない |
| 法人税基本通達 | 国税庁 | 交際費、役員給与、資本的支出と修繕費、寄附金など、条文だけでは判断できない論点の取扱い |
| 所得税基本通達 | 国税庁 | 現物給与、通勤手当、退職所得、家事関連費、事業所得と雑所得の区分 |
| 消費税法基本通達 | 国税庁 | 課税・非課税・不課税の区分、資産の譲渡等の時期、対価の返還等の取扱い |
| 耐用年数の適用等に関する取扱通達 | 国税庁 | 資産の耐用年数の判定、中古資産の見積耐用年数、資本的支出後の耐用年数 |
| 財産評価基本通達 | 国税庁 | 自社株評価、土地・建物の評価、相続税と贈与税の財産評価全般 |
| 質疑応答事例 | 国税庁 | 実際に照会のあった事例と回答。似たケースを探すと判断の芯が固まる |
| 文書回答事例 | 国税庁 | 個別照会に対する正式回答。判断が分かれる論点の裏づけとして強い |
| 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A | 国税庁 | インボイスの実務論点はまずここを引く。改訂が頻繁なので必ず最新版の日付を確認する |
| 電子帳簿保存法一問一答 | 国税庁 | 電子取引データの保存方法、検索要件、猶予措置の具体的な運用 |
| 年末調整のしかた/源泉徴収のあらまし | 国税庁 | 毎年10月頃に公表。様式変更と控除額の改正点はここで一次確認する |
| 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引 | 国税庁 | 提出範囲の判定、記載方法、提出方法(e-Tax・光ディスク等) |
| 法人税申告書の記載の手引 | 国税庁 | 別表の書き方と様式変更点。防衛特別法人税の別表も同じ手引で確認する |
| 事務運営指針 | 国税庁 | 加算税の取扱い、調査手続、書面添付制度の運用。調査対応時に読み返す |
| e-Tax(国税電子申告・納税システム) | 国税庁 | 申告・届出の電子提出、受信通知の保存、納税証明書の請求 |
| 適格請求書発行事業者公表サイト | 国税庁 | 取引先の登録番号の有効性確認。期中の登録取消しも確認できる |
| e-Gov法令検索 | デジタル庁 | 法律・政令・省令の条文そのもの。通達で迷ったら条文に戻る |
| eLTAX(地方税ポータルシステム) | 地方税共同機構 | 地方税の電子申告・電子納税、給与支払報告書と償却資産申告の一括送信 |
| 各都道府県・市町村の税務担当ページと税条例 | 各自治体 | 均等割の超過税率、届出書の様式と期限、事業所税の課税範囲。自治体差が大きい |
| 中小企業庁の各種手引・パンフレット | 中小企業庁 | 事業承継ガイドライン、経営力向上計画、補助金の公募要領と交付規程 |
| ミラサポplus・J-Net21 | 中小企業庁・中小企業基盤整備機構 | 補助金と支援策の横断検索。顧問先への情報提供に使う |
| 中小企業基盤整備機構の共済制度案内 | 中小企業基盤整備機構 | 小規模企業共済と経営セーフティ共済の加入要件、解約手当金の支給率 |
| 日本税理士会連合会の実務資料 | 日本税理士会連合会 | 書面添付の記載例、業務チェックリスト、業務処理簿の様式 |
| 日本年金機構の届書様式・手続案内 | 日本年金機構 | 資格取得・喪失、算定基礎届、月額変更届の記載方法と提出期限 |
| 厚生労働省・都道府県労働局の様式集 | 厚生労働省 | 労働保険の年度更新、36協定、就業規則の届出、各種助成金の要領 |
| 法務局の商業・法人登記の手続案内 | 法務局 | 登記申請書の様式と添付書類、登記事項証明書のオンライン請求 |
| 中小企業の会計に関する基本要領 | 中小企業庁ほか関係団体 | 中小企業の会計処理の拠りどころ。金融機関への説明資料としても使える |
