現金預金から純資産まで、貸借対照表科目を科目別に整理。使う場面・判断のポイント・頻出仕訳・消費税の課税区分・税務上の留意点・よくあるミスを一覧化。
CHAPTER 04勘定科目・仕訳辞典 I — 貸借対照表科目
B/S科目を「使う場面/判断のポイント/頻出仕訳/消費税の課税区分/税務上の留意点/よくあるミス」の型で並べた辞典。B/S科目は間違えると翌期以降ずっと残る。試算表の1行1行に「この残高の中身は何か」を答えられる状態を作ることが到達点。
1. この辞典の使い方と消費税区分
課税区分は次の5つで表記する。会計ソフトの区分名と揃えておくと、課税売上割合の集計がそのまま使える。
- 課税
- 国内で事業者が対価を得て行う資産の譲渡等。標準10%と軽減8%を必ず区別する。
- 非課税
- 消費税法別表第二に列挙されたもの。土地の譲渡・貸付け、有価証券の譲渡、利子・保証料、住宅の貸付け、印紙、行政手数料など。課税売上割合の分母には入る。
- 免税
- 輸出取引等。税率0%の課税取引で、課税売上割合の分子・分母の両方に入る。
- 不課税
- 対価性がない取引。給与、寄附金、受取配当金、保険金、損害賠償金、補助金など。課税売上割合の計算に入らない。
- 対象外
- 会計ソフト上の呼び名。本章では不課税と同義で用い、資金移動や振替仕訳に使う。
- STEP1 裏付け資料を決める
預金は通帳、売掛金は得意先元帳と請求書控、借入金は返済予定表。科目ごとに「これと合えば正しい」資料を固定する。 - STEP2 差額を1件ずつ潰す
時期ズレ・計上漏れ・二重計上のいずれかに必ず分類する。原因不明のまま雑損失に落とさない。 - STEP3 一時科目を残さない
仮払金・仮受金・立替金・前渡金は、期末に中身が説明できないなら本来の科目へ振り替える。
2. 流動資産
現金
使う場面 手許現金の受払い。判断のポイント 現金出納帳の残高と実査額が一致することが絶対条件。マイナス残高の試算表は、その時点で処理誤りが確定している。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 現金 | 200,000 | 普通預金 | 200,000 | 引出し(対象外) |
| 消耗品費 | 3,300 | 現金 | 3,300 | 文具購入(課税10%・税込) |
消費税 受払い自体は対象外。支出内容ごとに区分する。税務上の留意点 過大な現金残高は「実際は社長が持っている=役員貸付金」と見られ、売上除外の疑いにも直結する。実査で説明できる水準まで落とす。
小口現金
使う場面 部門・店舗に定額資金を前渡しし定期補給する定額資金前渡制。判断のポイント 経理担当が1人しかいない規模で立てると現金と二重管理になるだけ。使うなら「支出報告額=補給額」を毎回確認し、定額を崩さない。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 小口現金 | 100,000 | 普通預金 | 100,000 | 定額前渡(対象外) |
| 旅費交通費 | 42,000 | 小口現金 | 68,000 | 報告受領(課税10%) |
| 通信費 | 26,000 | (課税10%) | ||
| 小口現金 | 68,000 | 普通預金 | 68,000 | 補給(対象外) |
消費税 前渡・補給は対象外、報告時の各費用で判定する。
普通預金・当座預金・定期預金
使う場面 金融機関口座の受払い。口座ごとに補助科目を必ず作る。判断のポイント 当座借越でマイナス残高になったものは短期借入金へ組み替える。満期が決算日の翌日から1年を超える定期預金は長期性預金として固定資産に区分する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 8,469 | 受取利息 | 10,000 | 利息入金(非課税) |
| 法人税等 | 1,531 | 源泉所得税15.315%(対象外) | ||
| 支払手数料 | 440 | 普通預金 | 440 | 振込手数料(課税10%・税込) |
消費税 入出金は対象外、受取利息は非課税売上(分母に算入)、振込手数料は課税仕入れ。税務上の留意点 預金利息の源泉所得税は所得税額控除の対象で、別表六(一)に記載しないと控除できない。復興特別所得税は令和8年(2026年)時点で2.1%、令和9年(2027年)分以後は1.1%に下がり防衛特別所得税1%が加わる。
受取手形
使う場面 売上代金として約束手形を受け取ったとき。判断のポイント 手形記入帳で振出人・金額・満期日・支払場所を管理する。割引・裏書譲渡した分は偶発債務として内訳明細で把握する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 受取手形 | 1,100,000 | 売掛金 | 1,100,000 | 手形受領(対象外) |
| 普通預金 | 1,089,000 | 受取手形 | 1,100,000 | 割引実行 |
| 手形売却損 | 11,000 | 割引料(非課税) |
消費税 受領・決済は対象外、割引料は利子を対価とする役務提供として非課税仕入れ。
電子記録債権
使う場面 でんさい等で発生記録がされた売上債権。判断のポイント 発生記録の時点で売掛金から振り替える。手形と違い一部だけの分割譲渡・割引ができる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 3,300,000 | 売掛金 | 3,300,000 | 発生記録(対象外) |
| 普通預金 | 1,985,000 | 電子記録債権 | 2,000,000 | 一部を割引 |
| 電子記録債権売却損 | 15,000 | 割引料(非課税) |
消費税 発生・決済は対象外、割引料は非課税。自社の売上代金として取得した売掛金・受取手形・電子記録債権を譲渡(割引・ファクタリング)した場合、その譲渡対価は課税売上割合の分母に算入しない。分母に5%相当額を算入するのは、有価証券や、他から取得した金銭債権・貸付金等を譲渡した場合である。
売掛金
使う場面 商品・製品の販売、役務提供による営業債権。判断のポイント 計上時期は継続適用している基準(引渡基準・検収基準)に従う。期末近辺の売上は出荷伝票・検収書で引渡日を確認する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 売掛金 | 1,100,000 | 売上高 | 1,000,000 | 掛売上(課税10%) |
| 仮受消費税等 | 100,000 | 税抜経理 | ||
| 普通預金 | 1,099,560 | 売掛金 | 1,100,000 | 入金(対象外) |
| 支払手数料 | 400 | 差引かれた振込手数料(課税10%) | ||
| 仮払消費税等 | 40 |
消費税 売上計上時に課税(10%と8%を区別)。値引き・返品は売上に係る対価の返還等として処理し、税込1万円未満の売上返還等は返還インボイスの交付義務が免除される(恒久措置)。
契約資産
使う場面 収益は認識したが請求権が法的に確定していない部分。工事の未請求分など。判断のポイント 請求できる状態なら売掛金、条件付きなら契約資産。中小企業は収益認識会計基準の適用が強制されず従来処理を継続してよい。税務上は法人税法第22条の2により引渡し・役務提供の日に益金算入する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 契約資産 | 4,000,000 | 売上高 | 4,000,000 | 進捗に応じた収益(税抜) |
| 売掛金 | 4,400,000 | 契約資産 | 4,000,000 | 請求書発行時に振替 |
| 仮受消費税等 | 400,000 | 課税10% |
消費税 課税時期は資産の譲渡等の時。会計上の契約資産計上時とずれることがあるため、仮受消費税等の計上時期に注意する。
有価証券
使う場面 売買目的や一時所有の株式・債券。1年超の保有目的は投資有価証券へ。判断のポイント 売買目的有価証券は時価評価し評価損益が益金・損金。その他有価証券・満期保有目的は税務上は原価のままで、評価差額を計上したら申告調整が必要。非上場株式は原則原価。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 有価証券 | 2,000,000 | 普通預金 | 2,011,000 | 株式取得(非課税仕入れ) |
| 支払手数料 | 10,000 | 売買手数料(課税10%) | ||
| 仮払消費税等 | 1,000 | |||
| 普通預金 | 2,300,000 | 有価証券 | 2,000,000 | 売却(非課税売上) |
| 有価証券売却益 | 300,000 |
消費税 譲渡は非課税で、課税売上割合の分母には譲渡対価の5%(この例は115,000円)を算入する。売買手数料は課税仕入れ(個別対応方式では非課税売上対応)。
商品・製品・原材料・仕掛品(棚卸資産)
使う場面 販売目的の資産とその製造過程にある資産。判断のポイント 評価方法は届出により選定し、届出がない場合の法定評価方法は最終仕入原価法。低価法の採用にも届出が必要で、届出なしの評価損は損金にならない。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 期首商品棚卸高 | 3,000,000 | 商品 | 3,000,000 | 期首振戻(対象外) |
| 商品 | 3,600,000 | 期末商品棚卸高 | 3,600,000 | 期末計上(対象外・税抜金額) |
| 棚卸減耗損 | 80,000 | 商品 | 80,000 | 実地棚卸差異(対象外) |
消費税 仕入時に課税仕入れとして控除済み。期末棚卸の振替は対象外。税務上の留意点 評価損の損金算入は、災害による著しい損傷、著しい陳腐化、破損・型崩れ等で通常の方法により販売できないことが明らかな場合に限る。単なる値下がりでは損金にならない。廃棄はマニフェスト・写真で事実を残す。
前渡金(前払金)
使う場面 仕入れや外注に対し引渡し前に支払った手付金・内金。判断のポイント 前払費用(継続的役務の前払い)とは別物。前渡金は「物や成果物をまだ受け取っていない」状態。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 前渡金 | 550,000 | 普通預金 | 550,000 | 手付金支払(対象外) |
| 仕入高 | 2,000,000 | 前渡金 | 550,000 | 納品時(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 200,000 | 買掛金 | 1,650,000 |
消費税 支払時は対象外。課税仕入れの時期は引渡し・役務提供完了の時であり、手付金支払時に控除はできない。
前払費用
使う場面 保険料・家賃・保守料など継続的役務の未経過分。判断のポイント 原則は期間按分。ただし支払日から1年以内に提供を受ける役務で、継続して支払時に損金経理しているものは短期前払費用として支払時の損金にできる。利益が出た年だけ使うことはできない。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 前払費用 | 70,000 | 保険料 | 70,000 | 未経過7か月分を繰延(非課税) |
| 地代家賃 | 660,000 | 普通預金 | 660,000 | 翌1年分前払・短期前払費用(課税10%) |
消費税 短期前払費用として損金算入したものは、支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしてよい。会計・法人税・消費税の処理時期を揃える。
未収入金(未収金)
使う場面 営業取引以外の債権。固定資産売却代金、保険金、助成金など。税務上の留意点 補助金・助成金は原則として交付決定通知を受けた日の属する事業年度の益金。決算直前の交付決定は、入金が翌期でも当期の益金になる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 未収入金 | 1,200,000 | 雑収入 | 1,200,000 | 助成金の交付決定(不課税) |
| 未収入金 | 2,200,000 | 車両運搬具 | 1,500,000 | 車両売却(課税10%) |
| 仮受消費税等 | 200,000 | |||
| 固定資産売却益 | 500,000 |
消費税 元の取引の区分に従う。助成金・保険金は不課税、固定資産売却は課税(土地部分は非課税)。
未収収益
使う場面 時の経過に応じて発生し、決算日までに提供済みで未入金のもの。受取利息・受取家賃など。判断のポイント 単発の売却代金は未収入金、継続的契約から日々発生するものは未収収益。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 未収収益 | 150,000 | 受取家賃 | 150,000 | 事業用家賃の未収(課税10%) |
| 未収収益 | 20,000 | 受取利息 | 20,000 | 貸付金利息の経過分(非課税) |
消費税 家賃は事業用なら課税、居住用は非課税。貸付金利息は非課税。
立替金
使う場面 取引先・役員・従業員が負担すべき費用を一時的に肩代わりしたとき。判断のポイント 「本来誰が負担すべきか」で判定する。回収予定が立たない立替金は、給与や寄附金と見られるおそれがある。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 立替金 | 33,000 | 普通預金 | 33,000 | 取引先負担の運賃立替(対象外) |
消費税 立替払いは自己の課税仕入れではないため対象外。立替金として精算する限り仕入税額控除はしない。
仮払金
使う場面 出張旅費の概算前渡し、内容や金額が確定していない支出。判断のポイント 一時的な置き場所であり、期末に残してはいけない科目。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 仮払金 | 100,000 | 現金 | 100,000 | 出張旅費概算払(対象外) |
| 旅費交通費 | 78,000 | 仮払金 | 100,000 | 精算(課税10%・国内分) |
| 現金 | 22,000 | 返金 |
消費税 前渡時は対象外、精算時に費用の性質で判定。海外出張分は不課税または免税になるので国内分と分けて精算書を作らせる。
仮払消費税等
使う場面 税抜経理における課税仕入れに係る消費税相当額。判断のポイント 期末に仮受消費税等と相殺し、差額を未払消費税等へ振り替える。端数差額は雑収入・雑損失で処理する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 仮受消費税等 | 4,800,000 | 仮払消費税等 | 3,100,000 | 期末相殺(対象外) |
| 未払消費税等 | 1,698,300 | 申告額 | ||
| 雑収入 | 1,700 | 端数差額(不課税) |
税務上の留意点 控除対象外消費税額等のうち、資産に係るもので課税売上割合80%未満かつ1件20万円以上のものは、繰延消費税額等として60か月で均等償却する(初年度は2分の1)。交際費等に係るものは交際費等の額に加算して損金不算入額を計算する。
短期貸付金
使う場面 1年以内に返済期限が到来する貸付金。税務上の留意点 無利息貸付けは、相手が役員・株主なら経済的利益の供与、法人間でも寄附金認定のリスクがある。金銭消費貸借契約書で利率・返済期日を定める。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 短期貸付金 | 3,000,000 | 普通預金 | 3,000,000 | 関係会社への貸付(対象外) |
| 普通預金 | 30,000 | 受取利息 | 30,000 | 利息受取(非課税) |
消費税 貸付け・返済は対象外、受取利息は非課税売上。
繰延税金資産
使う場面 将来減算一時差異(賞与引当金、未払事業税、貸倒引当金繰入超過額など)に対する税効果。判断のポイント 中小企業では重要性が乏しければ計上しないことができる。計上するなら回収可能性の検討が必須で、赤字続きの会社では計上できない。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 繰延税金資産 | 1,050,000 | 法人税等調整額 | 1,050,000 | 一時差異300万円×実効税率35%(対象外) |
消費税 対象外。税務上の留意点 課税所得には一切影響しない。別表四で法人税等調整額を加算・減算して所得から除外する。調整を忘れると所得が過大または過少になる。
貸倒引当金
使う場面 金銭債権の貸倒れに備える評価性引当金。判断のポイント 繰入限度額まで損金算入できるのは資本金1億円以下の中小法人等(大法人の完全子会社等を除く)など。一括評価は法定繰入率と貸倒実績率の有利なほうを選べ、法定繰入率は中小法人等のみ使える。
| 事業の区分 | 法定繰入率 |
|---|---|
| 卸売業および小売業(飲食店業・料理店業を含む) | 10/1000 |
| 製造業(電気業、ガス業、熱供給業、水道業、修理業を含む) | 8/1000 |
| 金融業および保険業 | 3/1000 |
| 割賦販売小売業、包括信用購入あっせん業、個別信用購入あっせん業 | 13/1000 |
| その他の事業(サービス業、建設業など) | 6/1000 |
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 貸倒引当金繰入額 | 360,000 | 貸倒引当金 | 360,000 | 一括評価6,000万円×6/1000(対象外) |
| 貸倒引当金 | 300,000 | 貸倒引当金戻入額 | 300,000 | 前期分の洗替(対象外) |
消費税 繰入・戻入とも対象外。貸倒れが生じたとき、課税売上に係る債権なら貸倒れに係る消費税額を控除できる(事実を証する書類の保存が要件)。税務上の留意点 法定繰入率を使う場合は「実質的に債権とみられない部分の金額」を控除する。個別評価は別表十一(一)、一括評価は別表十一(一の二)。
3. 固定資産
共通原則を先に押さえる。消費税は取得した課税期間に全額を課税仕入れとして控除し、その後の減価償却費は対象外。法人税の費用配分と消費税の控除時期は連動しない。取得価額には引取運賃・据付費・試運転費など事業供用のために直接要した費用を含める。
| 資産区分 | 法人の法定償却方法 | 備考 |
|---|---|---|
| 建物 | 定額法 | 平成10年(1998年)4月1日以後取得分は定額法のみ |
| 建物附属設備・構築物 | 定額法 | 平成28年(2016年)4月1日以後取得分は定額法のみ |
| 機械装置・車両運搬具・工具器具備品 | 定率法 | 届出により定額法を選択可 |
| ソフトウェア・のれん等の無形固定資産 | 定額法 | 残存価額ゼロ、月割償却 |
| リース資産(所有権移転外) | リース期間定額法 | 残存価額ゼロ、リース期間で均等償却 |
| 土地・電話加入権・書画骨とう | 償却しない | 時の経過で価値が減少しない資産 |
建物
使う場面 事務所・工場・店舗・賃貸用建物の取得。判断のポイント 土地と建物の按分が最大の論点。契約書に内訳がなければ固定資産税評価額の比率で按分する。資本的支出と修繕費の区分は、1件20万円未満またはおおむね3年以内の周期の修理なら修繕費、区分が明らかでないものは60万円未満または前期末取得価額のおおむね10%以下なら修繕費にできる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 土地 | 20,000,000 | 普通預金 | 53,000,000 | 土地部分(非課税仕入れ) |
| 建物 | 30,000,000 | 建物部分(課税10%) | ||
| 仮払消費税等 | 3,000,000 | |||
| 減価償却費 | 1,260,000 | 建物 | 1,260,000 | 耐用年数24年・定額法0.042(対象外) |
消費税 建物は課税仕入れ、土地は非課税仕入れ。仲介手数料・司法書士報酬は課税、登録免許税・不動産取得税・印紙税は不課税。
建物附属設備
使う場面 電気・給排水・冷暖房設備、昇降機、内装造作。判断のポイント 賃借建物への内装造作は、その造作の種類・用途・材質等を勘案して合理的に見積った年数で償却する。賃借期間が定められ更新できないものは賃借期間を耐用年数にできる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 建物附属設備 | 4,000,000 | 未払金 | 4,400,000 | 店舗内装工事(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 400,000 |
消費税 課税仕入れ。工事完了・引渡しの日の属する課税期間で控除する。
構築物
使う場面 アスファルト舗装、塀、フェンス、看板、屋外給排水設備など。判断のポイント 整地・地ならしなどの造成費は土地の取得価額に算入して償却できないが、アスファルト舗装や砂利敷きは構築物として償却できる。工事内訳で分ける。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 土地 | 800,000 | 普通預金 | 3,080,000 | 造成・整地費(土地に算入) |
| 構築物 | 2,000,000 | 舗装工事(耐用年数10年) | ||
| 仮払消費税等 | 280,000 | 課税10% |
消費税 工事費用は全額課税仕入れ。土地に算入した造成費も、支出自体は課税仕入れ(非課税なのは土地の購入代金)。
機械装置
使う場面 製造設備、建設機械など。耐用年数表は「設備の種類」ごとの総合耐用年数で、機械単位ではなく設備全体で判定する。税務上の留意点 特定生産性向上設備等投資促進税制の対象なら即時償却または税額控除(7%、資本金3,000万円超の中小企業者等は4%)を選択できる。控除限度は法人税額の20%、適用期限は令和11年(2029年)3月31日。相談は必ず発注前に受ける。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 機械装置 | 8,000,000 | 普通預金 | 8,800,000 | 本体・据付費・試運転費(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 800,000 | |||
| 減価償却費 | 1,600,000 | 機械装置 | 1,600,000 | 耐用年数10年・定率法0.200(対象外) |
車両運搬具
使う場面 営業車、トラック、フォークリフト。判断のポイント 中古車の耐用年数は簡便法による。法定耐用年数の全部経過なら法定×20%、一部経過なら「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」。1年未満切捨て、2年未満は2年。普通乗用車(法定6年)で4年経過なら「(6−4)+4×0.2=2.8→2年」。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 車両運搬具 | 2,500,000 | 普通預金 | 2,880,500 | 車両本体・付属品(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 251,500 | |||
| 租税公課 | 54,000 | 自動車税・重量税(不課税) | ||
| 保険料 | 45,000 | 自賠責保険(非課税) | ||
| 前払費用 | 15,000 | リサイクル預託金相当(対象外) | ||
| 支払手数料 | 15,000 | 検査登録・車庫証明の代行料(課税10%) |
消費税 本体・付属品・代行手数料は課税、自動車税・重量税は不課税、自賠責保険料は非課税、リサイクル預託金は対象外(廃車時に費用化)。
工具器具備品
使う場面 パソコン、複合機、応接セット、測定工具など。判断のポイント 取得価額は「通常1単位として取引される単位」ごとに判定する。応接セットは椅子とテーブルで1組、カーテンは1部屋ごと、本体とモニターを一体で使うなら合計で判定する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 98,000 | 普通預金 | 107,800 | 10万円未満・即時損金(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 9,800 | |||
| 工具器具備品 | 350,000 | 普通預金 | 385,000 | 少額減価償却資産の特例を適用 |
| 仮払消費税等 | 35,000 | |||
| 減価償却費 | 350,000 | 工具器具備品 | 350,000 | 特例による全額損金(対象外) |
土地
使う場面 事業用地・駐車場用地の取得。判断のポイント 減価償却しない。仲介手数料は取得価額に算入するが、不動産取得税・登録免許税・登記費用は取得価額に算入せず損金算入することができる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 土地 | 30,000,000 | 普通預金 | 31,626,000 | 購入代金(非課税仕入れ) |
| 土地 | 1,000,000 | 仲介手数料(課税10%) | ||
| 仮払消費税等 | 100,000 | |||
| 租税公課 | 526,000 | 登録免許税・不動産取得税(不課税) |
消費税 土地の譲渡・貸付けは非課税。ただし1か月未満の貸付けと、舗装・区画・フェンス等の駐車場設備を伴う駐車場の貸付けは課税。青空駐車場のまま貸すか整備して貸すかで区分が変わる。
リース資産
使う場面 所有権移転外ファイナンス・リースで賃借した資産。判断のポイント 税務上は売買として扱う。会計上は売買処理が原則だが、中小企業は賃貸借処理も認められる。賃貸借処理でも支払リース料として損金経理した額は償却費に含まれるため、定額で払っている限り申告調整は生じない。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| リース資産 | 3,000,000 | リース債務 | 3,300,000 | 売買処理・総額3,300,000円(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 300,000 | 引渡時に一括控除 | ||
| リース債務 | 55,000 | 普通預金 | 55,000 | 毎月のリース料支払(対象外) |
| 減価償却費 | 600,000 | リース資産 | 600,000 | リース期間5年・定額(対象外) |
消費税 売買処理では引渡しを受けた課税期間に全額控除する。賃貸借処理の場合はリース料支払時に分割控除する方法も継続適用を条件に認められる。初年度の納税額が大きく変わるため、事務所ルールとして統一する。
建設仮勘定
使う場面 建設中に支払った手付金・中間金・材料費。完成引渡時に本勘定へ振り替える。消費税 原則は課税仕入れをした日の属する課税期間で控除。ただし引渡しを受けた部分をその引渡日の課税期間の課税仕入れとしている場合も認められる(継続適用が前提)。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 建設仮勘定 | 10,000,000 | 普通預金 | 11,000,000 | 中間金(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 1,000,000 | |||
| 建物 | 40,000,000 | 建設仮勘定 | 10,000,000 | 完成引渡し・本勘定振替 |
| 仮払消費税等 | 3,000,000 | 普通預金 | 33,000,000 | 残金決済 |
一括償却資産
使う場面 取得価額10万円以上20万円未満の資産を3年均等償却する場合。判断のポイント 月割計算をせず、期中いつ取得しても3分の1ずつ償却する。除却・売却しても償却を打ち切れず(除却損は計上できない)、代わりに償却資産税の対象外になる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 一括償却資産 | 540,000 | 普通預金 | 594,000 | 18万円×3台(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 54,000 | |||
| 減価償却費 | 180,000 | 一括償却資産 | 180,000 | 540,000×1/3(対象外) |
ソフトウェア
使う場面 自社利用の業務システム、販売目的のソフトウェア。判断のポイント 自社利用は耐用年数5年の定額法、市場販売目的は3年。制作途中はソフトウェア仮勘定で受ける。情報提供だけのホームページ制作費は支出時の損金、予約システム等を組み込んだものは資産計上する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| ソフトウェア仮勘定 | 2,000,000 | 普通預金 | 2,200,000 | 開発着手金(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 200,000 | |||
| ソフトウェア | 5,000,000 | ソフトウェア仮勘定 | 2,000,000 | 稼働開始・本勘定振替 |
| 仮払消費税等 | 300,000 | 未払金 | 3,300,000 | 残金3,000,000+消費税(課税10%) |
消費税 国内事業者からの購入・開発委託は課税仕入れ。国外事業者のクラウドサービス等は電気通信利用役務の提供に該当し、事業者向けはリバースチャージ方式、消費者向けは登録国外事業者からの仕入れなら控除できる。海外サービスの請求書は登録番号を確認する。
のれん(営業権)
使う場面 事業譲受け等で、取得した資産・負債の時価純額を超えて支払った対価。判断のポイント 非適格合併等なら資産調整勘定として60か月で均等償却、事業譲受けによる営業権は耐用年数5年の定額法。会計上の償却期間(20年以内)と一致しなければ申告調整する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 棚卸資産 | 5,000,000 | 普通預金 | 22,000,000 | 事業譲受け(課税10%) |
| 工具器具備品 | 3,000,000 | (課税10%) | ||
| のれん | 12,000,000 | 差額(課税10%) | ||
| 仮払消費税等 | 2,000,000 |
消費税 事業譲渡は資産ごとに課税・非課税を判定する。営業権の譲渡は課税、土地・売掛金が含まれれば非課税部分が生じる。譲渡契約書に資産の内訳と対価の配分を明記させる。
電話加入権
使う場面 固定電話の施設設置負担金。判断のポイント 時の経過により価値が減少しないため償却できず、評価損も原則計上できない。除却損は解約により権利が実際に消滅した場合のみ。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 電話加入権 | 72,000 | 普通預金 | 79,200 | 施設設置負担金(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 7,200 | |||
| 固定資産除却損 | 72,000 | 電話加入権 | 72,000 | 回線解約により消滅(対象外) |
消費税 非課税となる有価証券等に含まれないため、取得も譲渡も課税取引。
敷金・保証金(差入保証金)
使う場面 事務所・店舗・社宅の賃借時に差し入れる敷金・保証金。判断のポイント 返還される部分と返還されない部分(礼金・敷引き・保証金償却)を必ず分ける。前者は差入保証金、後者は税法上の繰延資産として長期前払費用に計上し償却する。20万円未満なら支出時に全額損金、20万円以上は5年(賃借期間が5年未満で更新時に再度支払うならその賃借期間)で償却する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 差入保証金 | 1,200,000 | 普通預金 | 1,830,300 | 返還される敷金(対象外) |
| 長期前払費用 | 300,000 | 礼金・返還不能部分(課税10%) | ||
| 仮払消費税等 | 30,000 | |||
| 支払手数料 | 273,000 | 仲介手数料(課税10%) | ||
| 仮払消費税等 | 27,300 | |||
| 長期前払費用償却 | 60,000 | 長期前払費用 | 60,000 | 5年均等(対象外) |
消費税 返還される敷金の差入れは対象外(預け金)。返還されない礼金は、事務所・店舗など建物の賃借に係るものなら課税仕入れ、土地の賃借や居住用建物に係るものは非課税仕入れ。
長期前払費用
使う場面 効果が1年を超えて及ぶ前払費用、および税法固有の繰延資産の受け皿。判断のポイント 会計上の繰延資産(創立費など)と税法上の繰延資産(権利金・加入金・負担金など)は別物。償却期間は支出の内容ごとに定められている(第4節)。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 長期前払費用 | 600,000 | 普通預金 | 660,000 | 3年分の保守料前払(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 60,000 | 支出時に全額控除 |
消費税 資産計上したかどうかに関係なく、課税仕入れを行った日の属する課税期間で全額控除する。法人税の費用配分とずれる典型例。
出資金・投資有価証券
使う場面 信用金庫・協同組合への出資、取引先株式の長期保有。税務上の留意点 受取配当等の益金不算入の対象かを確認する。非支配目的株式等(保有割合5%以下)は配当等の額の20%相当額が益金不算入。協同組合等の事業分量配当は対象外で全額益金。別表八(一)で計算する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 出資金 | 500,000 | 普通預金 | 500,000 | 信用金庫出資(非課税仕入れ) |
| 投資有価証券 | 3,000,000 | 普通預金 | 3,000,000 | 取引先株式(非課税仕入れ) |
消費税 出資・株式の取得は非課税仕入れ、受取配当金は不課税(課税売上割合の計算に入らない)。
保険積立金
使う場面 法人契約の生命保険のうち資産計上が必要な部分。判断のポイント 定期保険および第三分野保険で保険期間3年以上かつ解約返戻金があるものは、最高解約返戻率により資産計上割合が決まる。
| 最高解約返戻率 | 資産計上期間 | 資産計上割合 | 取崩し開始 |
|---|---|---|---|
| 50%以下 | なし | 全額損金算入 | — |
| 50%超70%以下 | 保険期間の当初4割相当期間 | 支払保険料の40% | 保険期間の4分の3経過後から均等取崩し |
| 70%超85%以下 | 保険期間の当初4割相当期間 | 支払保険料の60% | 保険期間の4分の3経過後から均等取崩し |
| 85%超 | 当初10年間とその後の一定期間 | 当初10年は最高解約返戻率×90%、11年目以後は×70% | 解約返戻金が最高額となる期間経過後から均等取崩し |
最高解約返戻率50%超70%以下でも、1被保険者あたりの年換算保険料相当額が30万円以下なら全額損金算入できる。養老保険で満期保険金の受取人が法人、死亡保険金の受取人が遺族となるハーフタックスプランは保険料の2分の1を保険積立金、2分の1を福利厚生費とするが、全従業員を対象とする普遍的加入が要件。特定の役員のみだと給与になる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 保険積立金 | 720,000 | 普通預金 | 1,200,000 | 最高解約返戻率75%・60%を資産計上 |
| 支払保険料 | 480,000 | 40%を損金算入(非課税) | ||
| 普通預金 | 8,000,000 | 保険積立金 | 7,200,000 | 解約返戻金の受取 |
| 雑収入 | 800,000 | 差益(不課税) |
消費税 保険料は非課税仕入れ、解約返戻金・保険金は不課税。
長期貸付金
使う場面 返済期限が1年を超える貸付金。役員貸付金・関係会社貸付金が中心(役員分の論点は第8節)。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 長期貸付金 | 5,000,000 | 普通預金 | 5,000,000 | 貸付実行(対象外) |
4. 繰延資産
創立費・開業費・開発費
- 創立費
- 設立自体に要した費用。定款認証手数料、設立登記の登録免許税、発起人報酬、司法書士報酬など。
- 開業費
- 設立後、営業開始までに開業準備のため特別に支出した費用。開業前の広告宣伝費、市場調査費、家賃・水道光熱費など。
- 開発費
- 新技術・新経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓等のため特別に支出した費用(経常的な費用は含まない)。
判断のポイント 会計上は5年以内の均等償却が原則だが、税務上はいずれも任意償却で、残高の範囲内でいつでも好きな額を損金算入できる。設立初年度が赤字なら償却せず、黒字化した年度にまとめて償却できる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 創立費 | 252,000 | 役員借入金 | 252,000 | 設立費用を社長が立替(登録免許税は不課税) |
| 開業費 | 800,000 | 普通預金 | 880,000 | 開業前の広告費等(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 80,000 | |||
| 開業費償却 | 800,000 | 開業費 | 800,000 | 任意償却・全額(対象外) |
消費税 個々の支出の内容で判定する。控除の時期は資産計上時ではなく支出(課税仕入れ)をした課税期間。設立第1期が免税事業者なら控除できないため、インボイス登録の時期と併せて検討する。
税法固有の繰延資産
使う場面 効果が1年以上に及ぶが、資産の取得でも会計上の繰延資産でもない支出。決算書上は長期前払費用として表示する。支出額20万円未満は支出事業年度に全額損金算入できる。
| 支出の内容 | 償却期間 |
|---|---|
| 公共的施設(道路・堤防等)の設置・改良のための負担金 | その施設の耐用年数の10分の4(その施設を負担者が専ら使用するものは10分の7) |
| 共同的施設(協会の会館等)の設置・改良のための負担金 | その施設の耐用年数の10分の7 |
| 商店街のアーケード・日よけ等(一般公衆も利用) | 5年(施設の耐用年数が5年未満ならその年数) |
| 建物を賃借するために支出する権利金・立退料等 | 原則5年(賃借期間が5年未満で更新時に再度支払うならその賃借期間) |
| 建物の新築に際し支払う権利金で建設費の大部分を負担し存続期間中使用できるもの | その建物の耐用年数の10分の7 |
| 電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する費用 | その機器の耐用年数の10分の7(契約期間が短ければ契約期間) |
| ノウハウの頭金等 | 5年 |
| 同業者団体等の加入金 | 5年 |
| 広告宣伝用資産を贈与したことにより生ずる費用 | その資産の耐用年数の10分の7(5年を超えるときは5年) |
| スキー場のゲレンデ整備費用 | 12年 |
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 長期前払費用 | 500,000 | 普通預金 | 500,000 | 同業者団体の加入金(不課税) |
| 長期前払費用償却 | 100,000 | 長期前払費用 | 100,000 | 5年均等(対象外) |
消費税 脱退時に返還される加入金は対象外(預け金)。返還されない加入金は、役務提供の対価と認められれば課税、会費的性格なら不課税。
5. 流動負債
支払手形
使う場面 仕入代金等の支払いのために約束手形を振り出したとき。判断のポイント 不渡りは6か月以内に2回で銀行取引停止処分。資金繰り表と手形帳を毎月突合する。営業取引以外の振出しは営業外支払手形として区分する。消費税 振出・決済は対象外。控除の時期は仕入れた日で手形決済日ではない。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 買掛金 | 2,200,000 | 支払手形 | 2,200,000 | 手形振出(対象外) |
| 租税公課 | 600 | 現金 | 600 | 手形の印紙税(第3号文書・200万円超300万円以下。不課税) |
電子記録債務
使う場面 でんさい等で支払企業側に発生記録がされた債務。消費税 発生・決済とも対象外。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 買掛金 | 1,650,000 | 電子記録債務 | 1,650,000 | 発生記録(対象外) |
買掛金
使う場面 仕入れ・外注加工賃など営業取引から生じた債務。判断のポイント 締め日と決算日のズレが最重要。20日締めの仕入先なら21日から決算日までの締後仕入を納品書ベースで集計する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 仕入高 | 1,000,000 | 買掛金 | 1,100,000 | 掛仕入(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 100,000 | |||
| 仕入高 | 380,000 | 買掛金 | 418,000 | 締後仕入(決算整理・課税10%) |
| 仮払消費税等 | 38,000 |
消費税 仕入計上時に課税仕入れ。免税事業者等からの仕入れは経過措置により、2026年(令和8年)9月30日までは80%、同年10月1日から2028年(令和10年)9月30日までは70%を控除する。控除できない部分は本体価額に含めて仕入高または資産の取得価額に加算する。
未払金
使う場面 営業取引以外の債務。経費・固定資産購入の未払分、社会保険料の会社負担分など。税務上の留意点 未払計上できるのは債務確定基準を満たすもの、すなわち期末までに①債務が成立し、②給付をすべき原因となる事実が発生し、③金額を合理的に算定できる、の3要件を満たすもの。見積りは損金にならない。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 法定福利費 | 185,000 | 未払金 | 185,000 | 社会保険料の会社負担分(不課税) |
| 広告宣伝費 | 300,000 | 未払金 | 330,000 | 3月分請求・4月払(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 30,000 |
未払費用
使う場面 継続的な役務提供のうち、決算日までに提供を受けたが未払いのもの。消費税 給与は不課税、利息は非課税。課税取引に係るものは未払いでも仕入税額控除できる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 給料手当 | 1,850,000 | 未払費用 | 1,850,000 | 締後給与(不課税) |
| 支払利息 | 42,000 | 未払費用 | 42,000 | 経過利息(非課税) |
未払法人税等
使う場面 確定申告により納付すべき法人税・地方法人税・住民税・事業税等の未納分。税務上の留意点 法人税・住民税は損金不算入、事業税(特別法人事業税を含む)は申告書を提出した事業年度の損金。未払計上した事業税は別表四で加算し翌期に減算する。中小法人の税率は所得800万円以下の部分が15%(適用期限は令和9年(2027年)3月31日までに開始する事業年度。所得10億円超の法人は17%)、800万円超は23.20%。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 法人税等 | 1,500,000 | 普通預金 | 1,500,000 | 中間納付(対象外) |
| 法人税等 | 2,200,000 | 未払法人税等 | 2,200,000 | 確定分の未払計上(対象外) |
未払消費税等
使う場面 消費税および地方消費税の確定納付額の未納分。税務上の留意点 税込経理なら未払計上した事業年度の損金にできる(未払計上しなければ納付事業年度の損金)。税抜経理では損益に影響しない。経理方式は全社統一が原則で期中に混在させない。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 未払消費税等 | 900,000 | 普通預金 | 900,000 | 確定納付(対象外) |
預り金(源泉所得税・住民税・社会保険)
使う場面 給与・報酬から差し引いた源泉所得税、特別徴収住民税、社会保険料・雇用保険料の従業員負担分。判断のポイント 他人の金を一時的に預かる科目なので、納付すれば必ずゼロに近づく。補助科目を種類別に分けて管理する。
| 種類 | 納付期限 | 特例 |
|---|---|---|
| 源泉所得税(給与・報酬) | 支払った月の翌月10日 | 納期の特例(給与支給人員10人未満)で1月〜6月分は7月10日、7月〜12月分は翌年1月20日 |
| 源泉所得税(配当) | 支払った月の翌月10日 | 納期の特例の対象外 |
| 住民税(特別徴収) | 徴収した月の翌月10日 | 納期の特例で6月〜11月分は12月10日、12月〜5月分は6月10日 |
| 健康保険料・厚生年金保険料 | 当月分を翌月末日 | 給与からは前月分を控除するのが原則 |
| 雇用保険料 | 労働保険の年度更新(6月1日〜7月10日)で精算 | 概算・確定保険料の申告納付 |
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 給料手当 | 3,000,000 | 普通預金 | 2,455,000 | 差引支給額(不課税) |
| 預り金(源泉所得税) | 85,000 | |||
| 預り金(住民税) | 120,000 | |||
| 預り金(社会保険料) | 322,000 | |||
| 預り金(雇用保険料) | 18,000 | |||
| 預り金(社会保険料) | 322,000 | 普通預金 | 644,000 | 翌月末納付(不課税) |
| 法定福利費 | 322,000 | 会社負担分 |
前受金
使う場面 引渡し・役務提供の前に受け取った手付金・内金・予約金。消費税 受領時は対象外。課税売上とするのは引渡し・役務提供の時で、前受金の領収書はインボイスではない(引渡時に適格請求書を交付する)。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 1,100,000 | 前受金 | 1,100,000 | 手付金受領(対象外) |
| 前受金 | 1,100,000 | 売上高 | 3,000,000 | 引渡し(課税10%) |
| 売掛金 | 2,200,000 | 仮受消費税等 | 300,000 |
前受収益
使う場面 年間保守料・年会費・前受家賃など、決算日時点で未提供の期間に対応する部分。消費税 課税時期は資産の譲渡等の時であり会計上の期間按分とは切り離される。税抜経理では本体価額のみを振り替える。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 受取家賃 | 200,000 | 前受収益 | 200,000 | 翌期分の家賃を繰延(対象外) |
仮受金
使う場面 内容不明の入金。判断のポイント 期末に残っていると売上計上漏れを疑われる。現金商売の顧問先では調査官がまず見る科目。相手方と原因を必ず確定させる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 500,000 | 仮受金 | 500,000 | 内容不明入金(対象外) |
| 仮受金 | 500,000 | 売掛金 | 500,000 | 得意先入金と判明(対象外) |
仮受消費税等
使う場面 税抜経理における課税売上に係る消費税相当額。判断のポイント 簡易課税や2割特例では仮受・仮払の差額と納付税額が一致しない。差額は雑収入・雑損失で調整する。2割特例は令和8年(2026年)9月30日の属する課税期間で終了し、個人事業者は令和8年分、3月決算法人は令和9年(2027年)3月期が最後。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 仮受消費税等 | 1,000,000 | 仮払消費税等 | 620,000 | 簡易課税(第5種・みなし仕入率50%) |
| 未払消費税等 | 500,000 | 納付額 | ||
| 雑損失 | 120,000 | 差額(不課税) |
短期借入金
使う場面 1年以内に返済期限が到来する借入金、当座借越。役員からの借入れは役員借入金として区分する。消費税 借入・返済は対象外、支払利息と信用保証料は非課税仕入れ、事務手数料は課税仕入れ。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 9,850,000 | 短期借入金 | 10,000,000 | 証書貸付の実行 |
| 前払費用 | 100,000 | 信用保証料(非課税) | ||
| 租税公課 | 20,000 | 収入印紙(不課税) | ||
| 支払手数料 | 30,000 | 事務手数料(課税10%) | ||
| 短期借入金 | 833,000 | 普通預金 | 845,500 | 元金返済(対象外) |
| 支払利息 | 12,500 | 利息(非課税) |
賞与引当金
使う場面 翌期支給賞与のうち当期の労働に対応する部分の見積計上。判断のポイント 税務上、繰入額は損金不算入。別表四で加算し支給時に減算する。ただし次の3要件をすべて満たす未払賞与は「未払費用」として損金算入できる。
- 支給額を各人別に、かつ同時期に支給を受けるすべての使用人に対して通知していること
- 通知した金額を、通知した事業年度終了の日の翌日から1か月以内に全員に支払っていること
- 通知した事業年度において損金経理していること
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 賞与引当金繰入額 | 4,000,000 | 賞与引当金 | 4,000,000 | 会計上の見積計上(損金不算入) |
| 賞与 | 4,000,000 | 未払費用 | 4,000,000 | 3要件を満たす未払賞与(損金算入可) |
6. 固定負債
長期借入金
使う場面 返済期限が1年を超える借入金。判断のポイント 決算時に1年内返済額を「1年内返済予定長期借入金」として流動負債へ組み替える。毎期同じ方法を続ける。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 30,000,000 | 長期借入金 | 30,000,000 | 設備資金の借入(対象外) |
| 長期借入金 | 6,000,000 | 1年内返済予定長期借入金 | 6,000,000 | 決算時の組替(対象外) |
社債
使う場面 少人数私募債など。判断のポイント 額面と払込金額が異なる場合は償却原価法で差額を償還期間に配分する。社債発行費は繰延資産で、税務上は任意償却。消費税 発行・償還は対象外、社債利息は非課税。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 20,000,000 | 社債 | 20,000,000 | 私募債の発行(対象外) |
| 社債利息 | 200,000 | 普通預金 | 159,160 | 利払(非課税) |
| 預り金 | 40,840 | 源泉所得税20.42% |
リース債務
使う場面 所有権移転外ファイナンス・リースを売買処理した場合の未経過リース料相当額。1年内支払分は流動負債へ組み替える。中小企業では利息相当額を区分しない簡便法が広く使われる。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| リース債務 | 660,000 | 1年内返済予定リース債務 | 660,000 | 決算時の組替(対象外) |
退職給付引当金
使う場面 従業員の退職給付債務のうち決算日までに発生した額。中小企業の会計に関する指針では期末自己都合要支給額を基礎とする簡便法が認められる。判断のポイント 税務上、繰入額は全額損金不算入。実際に支給した事業年度の損金になるため、別表四で加算し支給時に減算する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 退職給付費用 | 2,000,000 | 退職給付引当金 | 2,000,000 | 繰入(損金不算入・不課税) |
| 退職給付引当金 | 1,500,000 | 普通預金 | 1,428,000 | 退職金支給(不課税) |
| 預り金 | 72,000 | 退職所得の源泉所得税 |
中小企業の退職金準備は引当金ではなく外部積立てで手当てするのが実務の主流。積立手段で処理が全く違う。
| 手段 | 掛金・保険料の処理 | 支給時 | 消費税 |
|---|---|---|---|
| 中小企業退職金共済(中退共)・特定退職金共済 | 全額を福利厚生費として損金算入。資産計上しない | 共済から従業員へ直接支給され会社に入出金は生じない | 不課税 |
| 養老保険(ハーフタックスプラン) | 2分の1を保険積立金、2分の1を福利厚生費 | 保険積立金を取り崩し差額を雑収入・雑損失 | 非課税 |
| 確定拠出年金の事業主掛金 | 全額を福利厚生費として損金算入 | 会社に入出金は生じない | 不課税 |
役員退職慰労引当金
使う場面 役員退職慰労金規程に基づく将来支給見込額のうち当期までの発生分。判断のポイント 税務上は全額損金不算入。役員退職給与が損金になるのは原則として株主総会の決議等により額が確定した事業年度。不相当に高額な部分は損金不算入で、実務では功績倍率法(最終報酬月額×勤続年数×功績倍率)で算定し同業種・同規模法人と比較する。勤続5年以下の役員は退職所得の2分の1課税が適用されない。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 役員退職慰労引当金繰入額 | 3,000,000 | 役員退職慰労引当金 | 3,000,000 | 損金不算入(不課税) |
| 役員退職慰労引当金 | 15,000,000 | 未払金 | 20,000,000 | 総会決議により確定 |
| 役員退職金 | 5,000,000 | 引当不足額(損金算入) |
繰延税金負債
使う場面 将来加算一時差異。その他有価証券の評価差益、圧縮記帳の積立金方式など。消費税 対象外。その他有価証券の評価差額は純資産に直接計上し損益に計上しない。税務上は評価を認識しないため別表五(一)で調整する。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 投資有価証券 | 1,000,000 | 繰延税金負債 | 350,000 | その他有価証券の評価差益 |
| その他有価証券評価差額金 | 650,000 | 純資産直入(対象外) |
7. 純資産と資本取引
純資産は株主が払い込んだ元手(資本金・資本剰余金)と利益の蓄積(利益剰余金)に分かれる。資本取引は損益に影響させないのが大原則で、増資・減資・自己株式の取得はいずれも損益計算書を通さない。
資本金・増資
使う場面 設立時の払込み、募集株式の発行。判断のポイント 払込額の2分の1までは資本金としないことができる。資本金1億円を超えると、中小法人の軽減税率、少額減価償却資産の特例、貸倒引当金の法定繰入率、交際費の定額控除限度額、欠損金の繰戻し還付といった特例が一斉に使えなくなる。増資前に影響を洗い出す。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 10,000,000 | 資本金 | 5,000,000 | 増資(対象外) |
| 資本準備金 | 5,000,000 | 2分の1を準備金へ | ||
| 租税公課 | 35,000 | 普通預金 | 35,000 | 登録免許税(増加資本金5,000,000×0.7%。最低3万円と比較) |
| 支払手数料 | 100,000 | 普通預金 | 110,000 | 登記手続報酬(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 10,000 |
消費税 出資の受入れは対象外(資本取引)。登録免許税は不課税、司法書士報酬は課税仕入れ。税務上の留意点 増資の登録免許税は増加資本金の0.7%(最低3万円)。住民税均等割の基準は「資本金等の額」と「資本金+資本準備金」のいずれか大きい額で、資本準備金へ振っても均等割は下がらない。
資本準備金・その他資本剰余金・減資
使う場面 資本金の額の減少、欠損てん補。判断のポイント 中小企業ではほぼ無償減資。資本金をその他資本剰余金へ振り替え、繰越利益剰余金のマイナスを埋める。株主総会の特別決議と債権者保護手続(官報公告と知れている債権者への個別催告、1か月以上)が必要。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 資本金 | 40,000,000 | その他資本剰余金 | 40,000,000 | 無償減資(対象外) |
| その他資本剰余金 | 32,000,000 | 繰越利益剰余金 | 32,000,000 | 欠損てん補(対象外) |
税務上の留意点 無償減資では税務上の資本金等の額は原則変わらないが、欠損てん補に充てた金額は住民税均等割の算定基礎から控除できる。控除には株主総会議事録・貸借対照表など欠損てん補に充てたことを証する書類の添付が必要で、手続の順序を誤ると控除できない。
利益準備金・別途積立金・繰越利益剰余金と剰余金の配当
判断のポイント 剰余金の配当をするときは、配当により減少する剰余金の額の10分の1を、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで積み立てる。その他利益剰余金からの配当なら利益準備金、その他資本剰余金からの配当なら資本準備金に積む。別途積立金に課税関係はなく、別表五(一)の内訳が動くだけ。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 繰越利益剰余金 | 5,500,000 | 未払配当金 | 5,000,000 | 配当決議(対象外) |
| 利益準備金 | 500,000 | 配当額の10分の1 | ||
| 未払配当金 | 5,000,000 | 普通預金 | 3,979,000 | 支払(対象外) |
| 預り金 | 1,021,000 | 源泉所得税20.42% | ||
| 預り金 | 1,021,000 | 普通預金 | 1,021,000 | 翌月10日までに納付 |
| 繰越利益剰余金 | 3,000,000 | 別途積立金 | 3,000,000 | 任意積立(対象外) |
消費税 配当は対価性がないため不課税。受け取る側でも不課税で、課税売上割合の計算に含めない。
自己株式
使う場面 事業承継や少数株主の整理のために自社株式を買い取る場合。判断のポイント 会計上は取得原価で純資産の部から控除する。税務上は、交付金銭のうち資本金等の額に対応する部分を超える金額がみなし配当となり源泉徴収(20.42%)が必要。取得価額1,000万円、対応する資本金等の額400万円ならみなし配当600万円、源泉徴収税額1,225,200円。分配可能額の範囲内でしか取得できない。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 自己株式 | 10,000,000 | 普通預金 | 8,774,800 | 取得(対象外) |
| 預り金 | 1,225,200 | みなし配当600万円×20.42% |
消費税 資本取引であり不課税。株式の譲渡としての非課税売上にも該当せず、課税売上割合の計算に含めない。
8. 科目をまたぐ重要論点
役員貸付金・役員借入金
中小企業のB/Sで最も頻繁に問題になる2科目。会社と社長個人の財布が分かれていないことの表れで、税務調査では必ず内容を確認される。発生の典型は、領収書のない支出を仮払金から振り替えた、役員報酬を減額したまま生活費を引き出し続けた、社長個人の支出を会社が払った、実在しない現金を振り替えた、の4つ。
認定利息 法人が役員に無利息または低利で貸し付けると、適正利息との差額が経済的利益の供与として給与課税される。適正な利率は、貸付けの原資が特定の借入金ならその利率、それ以外は所得税基本通達36-49に定める利率(各年の平均貸付割合に0.5%を加算した利率)による。※適用する年分の利率は最新の告示を要確認
| 項目 | 金額・率 |
|---|---|
| 期首残高 | 10,000,000円 |
| 期末残高 | 14,000,000円 |
| 期中平均残高 | 12,000,000円 |
| 適用利率 | 年0.9% |
| 認定利息(12,000,000円×0.9%) | 108,000円 |
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 未収入金 | 108,000 | 受取利息 | 108,000 | 認定利息の計上(非課税) |
| 普通預金 | 3,000,000 | 役員借入金 | 3,000,000 | 社長からの借入(対象外) |
| 役員借入金 | 20,000,000 | 債務免除益 | 20,000,000 | 債権放棄を受けた(不課税・益金) |
税務調査で見られる点
- 金銭消費貸借契約書があるか(利率・返済期日・返済方法の定め)
- 残高が毎期増え続けていないか(増加していれば実質的な役員給与を疑われる)
- 認定利息を計上し、実際に回収しているか
- 相手方が本当に役員本人か(親族・関連会社への迂回がないか)
- 金融機関からの借入資金が役員に流れていないか
- STEP1 役員報酬の増額で返済する
最も正攻法。増額分に所得税・住民税・社会保険料がかかるため、必要な手取りを確保するには額面がその1.5倍前後になる。定期同額給与の改定は事業年度開始の日から3か月以内。 - STEP2 個人資産を法人へ譲渡して相殺する
社長個人の不動産・車両・保険契約等を適正な時価で法人に譲渡し、代金と相殺する。時価の根拠資料(査定書・解約返戻金相当額)を必ず残す。 - STEP3 役員退職金と相殺する
退職時の役員退職慰労金から控除する。最も現実的だが、退職までの認定利息は毎期計上が必要。 - STEP4 債権放棄(最終手段)
役員側は給与所得(賞与)として課税され、法人側は損金不算入かつ源泉徴収義務が生じる。税負担が最も重く、原則として選ばない。
仮払金・立替金の期末残ゼロ運動
仮払金・立替金・仮受金・前渡金は一時的な置き場所であって、決算書に残すべき科目ではない。事務所ルールとして次の運用を顧問先に定着させる。
- STEP1 精算期限を規程化する
概算払は用務終了後7日以内に精算し、月をまたがない。旅費規程・経費精算規程に明記する。 - STEP2 月次で一覧を出す
月次監査のたびに補助元帳を出し、発生から30日超のものに印を付けて担当者へ返す。 - STEP3 決算2か月前に棚卸しする
残高を「精算できるもの」「費用に振り替えるもの」「役員・従業員から回収するもの」に分類する。 - STEP4 期末はゼロで締める
やむを得ず残す場合は内容・相手先・回収予定のメモを決算資料に綴じる。書面があれば調査で説明できる。
圧縮記帳(補助金・保険差益)
補助金や保険金を受け取ると多額の益金が立つ一方、取得した固定資産は減価償却で何年もかけて費用化されるため課税が先行する。この時期のズレを調整するのが圧縮記帳で、課税の繰延べであって免除ではない。この点は必ず顧問先に説明する。
| 方式 | 処理 | 減価償却 | 別表 |
|---|---|---|---|
| 直接減額方式 | 固定資産圧縮損を計上し帳簿価額を直接減額する | 圧縮後の帳簿価額をもとに償却 | 別表十三(一)または(二)に記載。別表四の調整は不要 |
| 積立金方式 | 剰余金の処分により圧縮積立金を積み立てる(帳簿価額は減らさない) | 取得価額のまま償却し、積立金を耐用年数にわたり取り崩す | 別表四で積立額を減算・取崩額を加算、別表五(一)で残高管理 |
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 6,000,000 | 国庫補助金収入 | 6,000,000 | 交付決定・受領(不課税) |
| 機械装置 | 10,000,000 | 普通預金 | 11,000,000 | 取得(課税10%・全額控除可) |
| 仮払消費税等 | 1,000,000 | |||
| 固定資産圧縮損 | 6,000,000 | 機械装置 | 6,000,000 | 直接減額方式(対象外) |
| 繰越利益剰余金 | 6,000,000 | 圧縮積立金 | 6,000,000 | 積立金方式の場合・別表四で減算 |
保険差益の圧縮限度額 固定資産の滅失・損壊により保険金等を受け、原則としてその事業年度に代替資産を取得した場合に適用できる。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 受け取った保険金等 | 30,000,000円 |
| 滅失経費(取壊し費用等) | 2,000,000円 |
| 被害資産の被害直前の帳簿価額 | 5,000,000円 |
| 保険差益金(30,000,000−2,000,000−5,000,000) | 23,000,000円 |
| 代替資産の取得に充てた金額 | 25,000,000円 |
| 圧縮限度額(23,000,000×25,000,000÷28,000,000) | 20,535,714円 |
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 | 摘要 |
|---|---|---|---|---|
| 普通預金 | 30,000,000 | 保険差益 | 30,000,000 | 保険金受領(不課税) |
| 火災損失 | 5,000,000 | 建物 | 5,000,000 | 焼失資産の除却(対象外) |
| 建物 | 25,000,000 | 普通預金 | 27,500,000 | 代替建物の取得(課税10%) |
| 仮払消費税等 | 2,500,000 | |||
| 固定資産圧縮損 | 20,535,714 | 建物 | 20,535,714 | 圧縮限度額まで(対象外) |
リース取引の全体整理
| 区分 | 判定 | 会計処理 | 税務・消費税 |
|---|---|---|---|
| 所有権移転ファイナンス・リース | 契約終了時に所有権が移転、割安購入選択権付き、特別仕様など | 売買処理。自己所有資産と同じ耐用年数・償却方法 | 売買として扱う。引渡時に全額を課税仕入れ |
| 所有権移転外ファイナンス・リース | 中途解約不能かつフルペイアウト(現在価値基準おおむね90%以上、経済的耐用年数基準75%以上) | 売買処理が原則。中小企業は賃貸借処理も可 | 売買として扱いリース期間定額法。引渡時に全額控除(賃貸借処理なら分割控除も可) |
| オペレーティング・リース | 上記以外 | 賃貸借処理 | リース料支払時に課税仕入れ |
9. 期末残高チェックリストとよくある質問
- 現金:実査表を作成し出納帳残高と一致しているか。マイナス残高はないか
- 売掛金:得意先別残高一覧にマイナス残高と1年超の滞留がないか
- 棚卸資産:実地棚卸表に日付・数量・単価・集計者の署名があるか。預け在庫・預り在庫を区分したか
- 前渡金・仮払金・立替金:期末残高がゼロか。残るなら内容メモを添付したか
- 固定資産:減価償却明細と一致し、除却済資産や完成済みの建設仮勘定が残っていないか
- 敷金・保証金:契約書で返還条件を確認し、返還不能部分を長期前払費用へ振り替えて償却しているか
- 保険積立金:保険会社の通知と一致し、最高解約返戻率に応じた資産計上割合になっているか
- 買掛金・未払金:締後仕入・締後経費を計上し、債務確定要件を満たしているか
- 預り金:源泉所得税・住民税・社会保険料の補助残高が納付予定額と整合しているか
- 借入金:金融機関別に返済予定表と一致し、1年内返済額を組み替えたか
- 役員貸付金:認定利息を計上したか。残高が増加していないか
Q. 社長が個人カードで会社の経費を支払いました。どの科目で受けますか。
A. 相手科目は未払金または役員借入金。立替金は「相手が負担すべきものを自社が払った」場合の科目なのでここでは使わない。精算するまでは未払金、精算せず据え置くなら役員借入金にする。領収書の宛名が個人でも業務上の支出なら法人の経費にできるが、インボイスの要件は別途確認する。
Q. 事務所の敷金240万円のうち、契約書に「解約時に賃料3か月分を償却する」とあります。
A. 償却される部分は返還されないため、契約時に長期前払費用へ振り替えて5年(賃借期間が5年未満で更新時に再度支払う場合はその期間)で償却する。残額は差入保証金として資産に残す。償却部分が20万円未満なら支出時に全額損金。消費税は事務所用建物の賃借に係るものなので課税仕入れ。
Q. 消費税の経過措置が2026年10月から70%に下がります。何を準備しますか。
A. ①免税事業者等との取引一覧を作り年間の影響額を試算する、②会計ソフトの税区分を取引日ベースで切り替える設定を9月中に確認する、③少額特例(基準期間の課税売上高1億円以下または特定期間の課税売上高5,000万円以下なら税込1万円未満の課税仕入れはインボイス不要。令和11年(2029年)9月30日まで)の適用可否を確認する、の3点。②は設定漏れが納税額に直結するため10月最初の月次で必ず検証する。
