2期連続の無申告は、税務署が支払調書や口座の動きから把握していることが多く、放置するほど無申告加算税や延滞税が積み上がります。法人は2期続けて期限内に申告しないと青色申告の承認を取り消されるため、税務署から連絡が来る前に、2期分の期限後申告をまとめて進めるのが最も傷の浅い解決策です。
この記事の結論
調査の連絡が来る前に、自主的に2期分の期限後申告を済ませることが、加算税を抑え、手続きの負担を最も小さくする方法です。資料が欠けていても、通帳の再発行や請求記録で売上はかなり復元できます。
- 無申告は、支払調書・銀行口座・インボイスの登録情報などから税務署に把握されていることが多い
- 無申告加算税は原則15%(50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30%)。調査の通知前に自主的に申告すれば軽減される
- 法人は2期連続で期限内に申告しないと、青色申告の承認が取り消される
- 税務署が税額を決められる期間は、原則として法定申告期限から5年(偽りその他不正の行為があれば7年)
- 解消は「資料集め→売上確定→経費整理→2期分の申告→納付」の順。消費税が絡む場合は早めに専門家へ
無申告が2期続くと何が起きる?税務署が把握するルート
「連絡が来ない=気づかれていない」ではありません。取引先が税務署に提出する支払調書、銀行口座の入出金、インボイスの登録情報など、税務署は売上の手がかりを複数持っています。あえてすぐには動かず、数年分をまとめて確認するケースもあります。
| 税務署が持つ情報の例 | そこからわかること |
|---|---|
| 取引先が提出する支払調書などの法定調書 | 報酬・料金の支払いを受けた人と金額 |
| 銀行口座の入出金 | 売上の入金や取引先 |
| インボイスの登録情報 | 課税事業者として消費税の申告が必要な事業者であること |
| 開業届・法人設立届出書 | 事業を営んでいること、法人が存在すること |
| 給与支払報告書・源泉所得税の納付 | 従業員に給与を払っていること |
特に注意したいのが、インボイスの登録事業者です。登録すると課税事業者になるため、売上の規模にかかわらず消費税の申告が必要になります。登録したまま申告がない状態は、税務署から見て目立ちやすい状態です。
典型的な流れは、「お尋ね」という文書や電話での接触から始まります。応じなければ税務調査に進みます。申告がないまま調査を受けると、税務署が調べた内容で税額を決める「決定」を受けることがあり、帳簿がなければ、取引先や口座の情報から推計で所得を計算されることもあります。調査で指摘を受けてからの申告は自主的な申告よりペナルティが重くなるため、連絡が来る前に動けるかどうかが分かれ目です。
放置するほど増えるペナルティ:無申告加算税・延滞税・重加算税
無申告には、本来の税額に加えて無申告加算税が課されます。調査の通知より前に自主的に申告すれば加算税が軽減される仕組みになっており、これが「先に動く」最大の理由です。
| 負担の種類 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 無申告加算税 | 原則15%。50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30% | 300万円超の区分は、2024年1月1日以後に法定申告期限が到来するものが対象。調査の通知前の自主的な申告なら軽減される |
| 重加算税 | 無申告で、売上を隠すなどの仮装・隠蔽があった場合は40% | 無申告加算税に代えて課される |
| 延滞税 | 法定納期限の翌日から納付の日までの日数に応じて日割りでかかる | 割合は年ごとに定められ、国税庁が公表している |
| 地方税の延滞金など | 住民税・事業税なども本税に加えて延滞金がかかる | 法人事業税は不申告加算金の対象にもなる |
繰り返すと加算税はさらに重くなる
過去に無申告加算税や重加算税を課されたことがある場合は、割合が加重される仕組みもあります。無申告の期間が延びるほど延滞税も日数に応じて増えるため、「次の申告と一緒に」と先送りせず、まとまった時点で早めに申告することが大切です。
法人の場合は、2期連続で期限内に申告しないと青色申告の承認が取り消されます。取消し後の事業年度では、その期に生じた欠損金の繰越控除や少額減価償却資産の特例など、青色申告の特典が使えなくなります。申告していないと納税証明書が取れないため、融資や補助金、許認可の更新でも支障が生じます。
個人の場合も、期限後の申告では青色申告特別控除の65万円・55万円は受けられず、控除は最大10万円になります。期限内の申告が要件になっている特典は少なくないため、無申告の期間が長いほど、本来より税負担が増えやすくなります。
2期分の無申告を解消する手順
解消の作業自体はシンプルです。資料の収集→売上・経費の集計→申告書の作成→納付という順番で進めます。2期分あるときは、古い年分(事業年度)から順に固めていきます。
- 対象の年分と税目を確認する個人は所得税(売上によっては消費税)、法人は法人税・地方法人税・消費税・法人住民税・事業税です。青色申告・簡易課税・インボイス登録の届出の状況もあわせて確認します。
- 資料を年分ごとに集める通帳・請求書・売上データ・カード明細・領収書を集めます。通帳がなければ、銀行で取引履歴を再発行してもらいます。
- 売上を確定させる入金記録から各年の売上を確定させ、期末にまだ入金されていない売掛金も拾います。取引先への請求記録も照らし合わせます。
- 経費を拾い、帳簿を作る領収書やカード明細から経費を拾い、帳簿を作ります。消費税を本則課税で計算する場合は、帳簿と請求書等の保存が仕入税額控除の要件になります。
- 古い年分から期限後申告書を出す法人は前期の決算が次の期の前提になるため、古い期から順に作ります。2期分をまとめて提出して構いません。
- 納税する一括で納めるのが難しければ、分割納付を税務署に相談します。要件を満たせば「換価の猶予」などの制度を申請できます。
- 地方税と保険料の反映を確認する個人は住民税・事業税・国民健康保険料が、申告した所得にもとづいて計算し直されます。届いた通知の金額と納期を確認します。
- 次の期限に間に合わせる解消した後は、当期分を期限内に申告する体制を整えます。法人が青色申告に戻るには、改めて承認の申請が必要です。
資料が一部なくても、銀行の取引履歴の再発行や取引先への請求記録の確認などで売上はかなり復元できます。「資料がないから申告できない」と止まってしまうのが、一番よくないパターンです。毎年の期限の全体像は個人事業主の年間スケジュールで確認できます。
消費税も無申告になっていないか確認する
無申告の解消で見落としやすいのが消費税です。基準期間(個人は前々年、法人は前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えていれば、その年(期)は課税事業者です。前年の1〜6月(法人は前期首から6か月)の課税売上高と給与等の支払額が、いずれも1,000万円を超えた場合も課税事業者です。インボイスに登録していれば、売上の規模にかかわらず課税事業者です。
無料ツール消費税の課税事業者かどうかを判定する基準期間や特定期間の売上などを入れて、消費税の納税義務があるかを確認できます。判定する
簡易課税を使うには、事前に選択届出書を出している必要があります。届出がなければ本則課税で計算するため、仕入れや経費の請求書等が残っていないと、控除できる消費税が減り、納税額が大きくなります。インボイス登録をしている場合の申告の考え方は、インボイス制度の実務ガイドも参考にしてください。
自分でやるか、税理士に頼むか
取引数が少なく、通帳と領収書がほぼ揃っているなら、自力での期限後申告も可能です。一方、年商1,200万円ほどの個人事業主が2年無申告の場合、所得税だけでなく消費税の申告義務も生じている可能性が高く、計算は複雑になります。
| 確認すること | 自分で対応しやすい | 税理士に頼む方がよい |
|---|---|---|
| 資料の残り具合 | 通帳と領収書がほぼそろっている | 資料が大きく欠けていて、復元が必要 |
| 関係する税目 | 所得税だけ | 消費税・法人税・地方税が絡む |
| 税務署との状況 | まだ連絡が来ていない | お尋ねや調査の連絡がすでに来ている |
| 取引の量と種類 | 取引先・取引数が少ない | 取引数が多い、現金の売上がある |
| 個人か法人か | 個人 | 法人(決算書・申告書の別表・地方税の申告が必要) |
資料が大きく欠けている、消費税が絡む、すでに税務署から連絡が来ている——このいずれかに当てはまるなら、税理士に依頼する方が結果的に負担が軽く済むことが多いです。経費の拾い方や計算の前提しだいで、納税額に差が出るからです。
なお、当事務所では過去の分の申告だけを単発でお受けすることはしていません。今後の記帳と申告を含めた継続的な顧問契約の中で、無申告期間の申告から、期限内に申告できる体制づくりまでを一緒に進めます。
資料の残り具合や消費税の有無で、進め方と納税額の見込みは大きく変わります。今の状況の整理から、初回無料でご相談いただけます。
無料で相談する札幌で期限後申告をするときの提出先と窓口
期限後申告書の提出先は、納税地(個人は原則として住所地、法人は本店所在地)を管轄する税務署です。札幌市内の税務署の管轄は次のとおりです。
| 税務署 | 主な管轄区域 | 電話 |
|---|---|---|
| 札幌中税務署 | 中央区の一部(おおむね西10丁目以東) | 011-231-9311 |
| 札幌北税務署 | 北区・東区・石狩市・石狩郡 | 011-707-5111 |
| 札幌南税務署 | 豊平区・南区・清田区・千歳市・恵庭市・北広島市 | 011-555-3900 |
| 札幌西税務署 | 中央区の一部(大通西11丁目以西・円山・宮の森・伏見・旭ケ丘・中島公園など)・西区・手稲区 | 011-666-5111 |
| 札幌東税務署 | 白石区・厚別区・江別市 | 011-897-6111 |
書面で出すなら札幌業務センターへ郵送
2026年7月10日から、札幌市内の5署の内部事務は札幌業務センターに集約されています。書面の申告書を郵送するときは、〒060-8510 札幌市中央区大通西10丁目 札幌第2合同庁舎の札幌業務センターあてに送ります。e-Taxでの提出や、窓口への持参は所轄の税務署です。
- 中央区は、住所によって札幌中税務署と札幌西税務署に分かれる
- 個人の住民税・事業税は、所得税の申告の情報をもとに計算されるため、原則として別に申告する必要はない
- 法人は、法人道民税・法人事業税を北海道(道税事務所)へ、法人市民税を札幌市へ、それぞれ申告する
法人の住民税には、赤字でもかかる均等割があります。札幌市内で資本金等1,000万円以下・従業者50人以下の法人なら、北海道2万円+札幌市5万円=7万円が年間の最低額です。無申告の期間があれば、この均等割も延滞金とあわせて納めることになります。
よくある質問
無申告の期間が2年を超えています。何年分さかのぼって申告すればよいですか?
税務署が税額を決定できる期間は、原則として法定申告期限から5年、偽りその他不正の行為がある場合は7年です。自主的に申告する場合も、この期間を目安に、未申告の年分をそろえて申告するのが基本です。
赤字だった年も申告は必要ですか?
法人は、赤字でも毎期の申告が必要で、法人住民税の均等割もかかります。個人は、所得税がかからない程度の所得であれば申告義務がない場合もありますが、青色申告で赤字を翌年以後に繰り越したいときや、源泉徴収された税金を取り戻したいときは申告が必要です。
税務署から「お尋ね」の文書が届きました。どうすればよいですか?
放置せず、記載された期限までに回答します。お尋ねは調査そのものではありませんが、応じなければ調査に進むことがあります。この段階で期限後申告を済ませれば、調査を経た後よりも負担を抑えられる可能性があります。
無申告の期間に従業員へ給与を払っていました。源泉所得税はどうなりますか?
源泉所得税は申告ではなく納付の問題で、納めていなかった分は納付が必要です。不納付加算税と延滞税がかかるほか、年末調整や給与支払報告書・源泉徴収票の提出が漏れていれば、あわせて対応します。
まとめ
2期連続の無申告は、税務署に把握されていることが多く、放置するほど加算税と延滞税が積み上がります。調査の連絡前に自主的に申告すれば加算税は軽減され、法人は青色申告の取消しの影響も早めに手当てできます。資料集め→売上確定→経費整理→2期分の申告→納税の順で進め、消費税が絡む場合や連絡がすでに来ている場合は専門家と一緒に解消しましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
無申告の解消と立て直しのご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂
