住宅リフォーム業の開業時の税務手続きと届出一覧|期限と外注費・インボイス

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住宅リフォーム業を個人で開業するときの税務の届出は、開業届(開業の日から1か月以内)と青色申告承認申請書(1月16日以後の開業なら開業の日から2か月以内)が最優先です。あわせて、職人への支払いの区分、年をまたぐ工事の原価の繰越し、インボイス登録の要否を開業時に決めておきます。

執筆:ジェイスタート会計事務所 編集部(札幌の公認会計士・税理士事務所)2026年10月時点の法令に基づき作成

この記事の結論

開業届と青色申告承認申請書を期限内に出したうえで、職人への支払いを外注費と給与のどちらにするか、未完成工事の原価をどう繰り越すか、インボイスに登録するかを開業時に決めておくと、最初の確定申告で慌てずに済みます。

  • 開業届は開業の日から1か月以内、青色申告承認申請書は開業の日から2か月以内(1月1日〜15日の開業はその年の3月15日まで)
  • 職人への支払いは、指揮命令や道具の負担などの実態で外注費か給与かを判断する
  • 年末に完成していない工事の材料費・外注費は「未成工事支出金」として翌年に繰り越す
  • 建築一式工事以外で請負代金500万円(税込)以上の工事を請けるには建設業許可が必要
  • 元請・法人取引が中心ならインボイス登録を検討し、個人のお客様中心なら納税負担と比べて時期を決める
目次

リフォーム業の開業時に出す届出は?期限つき一覧

現場の段取りには慣れていても、開業の届出は一度きりの手続きのため、正確な情報が手元に集まりにくいものです。個人でリフォーム業を始める場合に出す主な届出を、期限とあわせて整理します。

届出書類提出先期限ポイント
個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)所轄の税務署開業の日から1か月以内e-Taxでも提出できる
所得税の青色申告承認申請書所轄の税務署その年の3月15日まで(1月16日以後に開業した場合は開業の日から2か月以内)青色申告特別控除・赤字の繰越し・青色事業専従者給与の前提になる
給与支払事務所等の開設届出書所轄の税務署開設の日から1か月以内従業員を雇う場合や、家族に給与を払う場合に出す
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書所轄の税務署随時。提出した月の翌月末日までに承認・却下の通知がなければ、翌々月の納付分から適用給与の支払いを受ける人が常時10人未満なら、源泉所得税の納付を年2回(1〜6月分は7月10日、7〜12月分は翌年1月20日)にまとめられる
個人事業税の事業開始の申告都道府県(北海道の道税の窓口)。市区町村への届出の要否は自治体に確認都道府県の定める期限(窓口で確認)個人事業税の課税のための申告
適格請求書発行事業者の登録申請書(任意)所轄の税務署(e-Taxで提出可)開業した年の12月31日までに出せば、開業の日にさかのぼって登録を受けられる元請や法人のお客様からインボイスを求められる場合
消費税簡易課税制度選択届出書(任意)所轄の税務署適用を受けたい課税期間の初日の前日まで(開業した課税期間は、その期間中)インボイスに登録し、簡易課税で消費税を計算する場合
住宅リフォーム業を個人で開業するときの主な届出(2026年10月時点)

このうち最優先は青色申告承認申請書です。出し遅れると、開業した年は白色申告になり、リフォーム業の資金繰りに直結する特典を初年度から使えません。青色申告の主な特典は次のとおりです。

  • 青色申告特別控除:令和8年分は、正規の簿記で記帳して期限内に申告し、e-Taxで申告するか帳簿を電子保存すれば65万円(貸借対照表などを添付して期限内に申告すれば55万円、それ以外は10万円)
  • 令和9年分からは、65万円の要件に加えて仕訳帳・総勘定元帳を電子帳簿保存法の要件どおり電子データで保存するなどすれば75万円
  • 赤字(純損失)を翌年以後に繰り越して、黒字の年の所得から差し引ける
  • 事業を手伝う家族に払う給与を、青色事業専従者給与として経費にできる(事前の届出が必要)

職人への支払いは外注費?給与?最大の注意点

リフォーム業では、応援の職人や一人親方に仕事を手伝ってもらう場面が多くあります。この支払いを「外注費」とするか「給与」とするかで、源泉徴収や消費税の扱いが大きく変わります。

項目外注費(請負)給与(雇用)
源泉徴収職人への工事の外注費は原則不要必要(給与支払事務所等の開設届も出す)
消費税課税仕入れとして控除できる(相手が免税事業者なら経過措置の割合のみ)課税仕入れにならず控除できない
社会保険・労働保険対象外要件を満たせば加入が必要
そろえる書類注文書・請書・請求書雇用契約書・賃金台帳・源泉徴収簿
外注費と給与の主な違い

どちらに当たるかは契約の名前ではなく、実態で判断されます。次の点が当てはまるほど、外注としての性格が強くなります。

  • 作業の進め方や時間を、細かく指揮命令していない
  • 工具や材料を、職人が自分で用意している
  • 報酬が時間給や日当ではなく、工事の出来高や請負金額で決まっている
  • 職人が自分の判断で、ほかの人に作業を任せられる
  • 完成前の事故や手直しの負担を、職人が負う取り決めになっている

形式上は外注費でも、税務調査で給与と認定されると、源泉所得税を追徴されるうえ、不納付加算税や延滞税がかかり、消費税の仕入税額控除も否認されることがあります。仕事単位で金額を決め、注文書や請求書を交わすなど、実態を外注の形に整えておくことが大切です。判断に迷う場合は、契約の形を決める前に専門家へ相談しましょう。

なお、外注先の職人が免税事業者でインボイスを受け取れない場合、支払った消費税相当額は全額を控除できず、工事の完了日が2026年10月1日〜2028年9月30日なら70%だけを控除します。自分が課税事業者になったときに効いてくるため、取引を始める時点で外注先の登録の有無を確認しておきます。

工事の売上はいつ計上する?未完成工事と前受金の処理

売上は原則として、工事が完成して引き渡した日に計上します。年末時点で完成していない工事にかかった材料費や外注費は「未成工事支出金」として翌年に繰り越し、引渡しの年の原価にします。支払った分をすべてその年の経費にしてしまうと、利益が実態とずれて納税額を誤る原因になります。

具体例:12月に着工し、翌年1月に引き渡す現場

例えば、年商1,500万円の個人事業主が、12月に着工した現場の材料200万円を当年中に仕入れ、引渡しが翌年1月になる場合です。

  • 当年に支払った材料費・外注費の合計が900万円なら、当年の原価は900万円-200万円=700万円
  • 材料代の200万円は未成工事支出金として翌年に繰り越し、引渡しのあった年の原価にする
  • 同じ現場で12月に着手金100万円を受け取っていても、当年の売上ではなく前受金(未成工事受入金)とし、引渡しの年の売上に含める

消費税の売上の計上時期も、原則として同じく引渡しの日です。また、年末に現場へ入れずに残っている材料は、未成工事支出金とは別に貯蔵品などとして翌年に繰り越します。

開業初日から「現場ごとの工事台帳」をつける

現場ごとに、契約金額・着手金や中間金の入金・材料費・外注費・引渡日を記録しておくと、年末の未成工事の集計がすぐにでき、どの現場で利益が出ているかも見えるようになります。見積書・注文書・請求書の番号を現場ごとにそろえておくと、記帳の手間も減ります。

建設業許可とインボイス登録はどう判断する?

建築一式工事以外の工事で、請負代金500万円(税込)以上の工事を請けるには建設業許可が必要です(建築一式工事は基準が異なります)。500万円未満の軽微な工事だけなら許可なしで開業できますが、元請から許可やインボイス登録を求められる場面は増えています。許可の申請先や要件は、北海道の窓口で確認しておきます。

また、元請として一定規模以上の解体や改修の工事を請ける場合は、工事の前に石綿(アスベスト)の有無を調べ、その結果を報告する必要があります。対象となる工事の規模や報告の方法は、所管の窓口で確認してください。

インボイスは、お客様が誰かで判断します。発注者が法人や元請業者中心なら、相手は仕入税額控除のためにインボイスを必要とするため、適格請求書発行事業者への登録を前向きに検討しましょう。一般のお客様向けの小規模リフォームが中心であれば、相手は控除をしないため、納税負担と比べながら登録の時期を見極める選択もあります。

開業したばかりの個人は、基準期間(前々年)の売上がないため、登録しなければ原則として免税事業者です。ただし、開業した年の1〜6月(特定期間)の課税売上高と給与の支払額がともに1,000万円を超えると、翌年は課税事業者になります。登録した場合の消費税は、個人なら令和8年分まで2割特例、令和9・10年分は3割特例を使えます。

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消費税の課税事業者になるかを判定する基準期間や特定期間の売上・給与から、消費税の納税義務があるかを確認できます。判定する

登録後に簡易課税を選ぶ場合、材料を自分で仕入れて施工するリフォーム工事は第3種(みなし仕入率70%)、材料の支給を受けて施工だけを行う手間請けは第4種(同60%)です。登録の判断や請求書の書き方は「インボイス制度の実務ガイドで登録と請求書の要件を確認する」にまとめています。

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簡易課税・本則課税・2割特例を比較する売上と材料費・外注費の見込みから、計算方法ごとの消費税の納付額を試算できます。計算する

北海道のリフォーム業は、冬前の繁忙期と納税の時期を合わせて考える

北海道では暖房・断熱や屋根の雪対策など、冬前に工事が集中しやすく、繁忙期と閑散期の資金繰りの波も大きくなりがちです。令和8年分の所得税の確定申告は2027年2月16日〜3月15日、課税事業者になった場合の消費税は3月31日が期限で、工事の少ない時期に納税が重なります。開業時から月次で数字を把握し、繁忙期の入金から納税資金を分けておくと慌てずに済みます。

インボイスに登録するか、どの計算方法が有利かは、お客様の構成と手間請けの割合で変わります。開業前の段階から初回無料でご相談いただけます。

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開業前に買った工具や車両、準備の費用はどう処理する?

開業の準備のために使ったチラシや名刺、ホームページの制作、打合せの交通費などは「開業費」として資産に計上し、開業後に任意の時期に経費にできます。一方、電動工具や作業車のように長く使うものは、開業費ではなく、取得価額に応じて次のように処理します。

取得価額処理ポイント
10万円未満消耗品費などとして全額をその年の経費にする使用可能期間が1年未満のものも同様
20万円未満一括償却資産として3年で均等に経費にすることも選べる償却資産税の申告対象外
40万円未満少額減価償却資産の特例で全額をその年の経費にできる(年300万円まで)青色申告者が対象。2026年4月1日以後の取得から(2029年3月31日まで)
上記以外耐用年数に応じて減価償却する開業前に買ったものは、事業に使い始めた日から償却する
工具・車両など事業用資産の処理(2026年10月時点)

40万円未満の特例は青色申告であることが条件のため、開業の年から使うには青色申告承認申請書を期限内に出しておく必要があります。自宅の一部を事務所や資材置き場にしている場合や、作業車を私用と兼ねている場合は、面積や使用割合など合理的な基準で事業に使った部分を按分して経費にします。

札幌で開業する場合、届出はどの税務署に出す?

個人の届出は、原則として住所地を管轄する税務署に出します。市内は区ごとに管轄が決まっており、中央区は東側と西側で税務署が分かれます。

税務署主な管轄区域
札幌中税務署中央区の一部(おおむね西10丁目以東)
札幌西税務署中央区の一部(大通西11丁目以西・円山・宮の森・伏見・旭ケ丘・中島公園など)、西区、手稲区
札幌北税務署北区、東区、石狩市、石狩郡
札幌南税務署豊平区、南区、清田区、千歳市、恵庭市、北広島市
札幌東税務署白石区、厚別区、江別市
市内と周辺の税務署の管轄(2026年10月時点。中央区などの個別の住所は国税庁の管轄区域表で確認)

2026年7月10日からは、5つの税務署の内部事務が札幌業務センターに集約されています。書面の届出を郵送するときは同センターあてに送り、e-Taxでの提出や窓口への持参は、これまでどおり所轄の税務署が対象です。送付先の住所は国税庁の案内で確認してください。

最初の1年の記帳と資金管理で押さえることは?

届出を出し終えたら、最初の確定申告に向けて記帳と資金管理の体制を整えます。開業前後にそろえておきたいことは次のとおりです。

  • 事業計画と収支の見通し(現場ごとの粗利と、冬場の売上の落ち込みを含む)
  • 開業資金と自己資金の額、工具・車両・材料の仕入れにかかる資金
  • 開業届・青色申告承認申請書の提出と控えの保管
  • 会計ソフトと記帳の体制(正規の簿記で記帳できるか、e-Taxで申告できるか)
  • 屋号と事業用の口座・クレジットカードを用意し、私用のお金と分ける
  • ネット通販で受け取った領収書などの電子データは、電子のまま保存する(2024年1月1日以後の電子取引は電子保存が義務)
  • 建設業許可やインボイス登録など、取引先から求められる許認可・登録の確認

リフォーム業は、材料の立替えや外注費の支払いが先に出て、入金は引渡しの後になりがちです。着手金・中間金の取り決めと、請求から入金までの期間を現場ごとに管理しておくと、資金がショートするのを防げます。日々の経理の基本は「中小企業の経理・会計処理の基本と月次の進め方」も参考にしてください。

よくある質問

開業届を出さずに仕事を始めてしまいました。今からでも出せますか?

出せます。提出が遅れたことへの罰則は定められていませんが、青色申告承認申請書の期限は開業の日から数えるため、期限を過ぎていればその年は白色申告になります。その場合、青色申告は翌年分から受けることになり、翌年3月15日までに申請書を出します。

会社員を続けながら、副業でリフォームを始める場合も開業届は必要ですか?

事業として継続して行うなら、開業届の提出が必要です。所得が事業所得か雑所得かは、規模や継続性などの実態で判断され、青色申告特別控除などの特典は事業所得であることが前提になります。

職人仲間に手伝ってもらい、日当を現金で払いました。どう処理しますか?

日当で払い、作業の指示も自分が出しているなら、給与と判断される可能性があり、源泉徴収や給与支払事務所等の開設届出書が必要になることがあります。請負として頼むなら、仕事単位で金額を決めて請求書を受け取ります。いずれの場合も、相手・金額・作業内容・日付を記録しておきます。

個人ではなく、最初から法人で開業したほうがよいですか?

売上や利益の見込み、社会保険の負担、元請からの信用などで判断が分かれます。個人で始めて利益が安定してから法人にする方法もあるため、判断の目安は「住宅リフォーム業の法人化のタイミングと判断基準」を参考にしてください。

まとめ

住宅リフォーム業の開業では、開業届(開業の日から1か月以内)と青色申告承認申請書(1月16日以後の開業なら2か月以内)を最優先で出し、職人への支払いの区分、未完成工事の原価の繰越し、インボイス登録の要否を開業時に決めておきます。建設業許可が必要になる工事の規模や、冬前に工事が集中する北海道ならではの資金繰りも見込み、最初の1年から現場ごとに数字を把握できる体制を作りましょう。

札幌の公認会計士・税理士事務所

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出典・参考(公的機関)

本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。

更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)

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