住民税とは、その年の1月1日に住んでいる市区町村と都道府県に納める地方税で、前年の所得にかかる所得割(標準税率10%)と、定額の均等割を合わせた税金です。会社員は給与からの天引き、個人事業主などは納付書で納め、所得が一定額以下なら非課税になります。
この記事の結論
住民税は、前年の所得をもとに住所地の自治体が計算して課税する地方税です。所得税と違って所得割の税率は一律10%で、所得に関係なくかかる均等割もあります。
- 1月1日時点の住所地に、その年度分の全額を納める(年の途中で引っ越しても分けない)
- 政令指定都市の所得割は、市民税8%・道府県民税2%の合計10%
- 基礎控除は所得税と異なり、令和8年度分は43万円のまま
- 会社員は6月から翌年5月までの給与天引き、個人事業主などは原則年4回の納付書払い
- 札幌市の令和8年度分は、扶養のない人で合計所得金額45万円以下なら非課税
住民税とは?所得税との違い
住民税は、都道府県と市区町村が課税する地方税です。個人が納める個人住民税は、道府県民税(北海道なら道民税)と市町村民税を合わせたもので、市区町村がまとめて計算・徴収します。集めた税金は、教育・福祉・道路・消防など地域の公共サービスの財源になります。
課税の仕組みは所得税とよく似ていますが、課税のタイミング・税率・控除額が異なります。違いを押さえておくと、届いた通知書の数字が読みやすくなります。
| 項目 | 住民税(個人) | 所得税 |
|---|---|---|
| 課税する団体 | 1月1日に住んでいる都道府県・市区町村 | 国 |
| 何の所得にかかるか | 前年の所得(前年所得課税) | その年の所得 |
| 税率 | 所得割は一律10%(標準税率)。ほかに定額の均等割 | 5%〜45%の7段階の累進税率 |
| 基礎控除 | 43万円(令和8年度分) | 令和8年分は合計所得金額に応じて最大104万円 |
| 手続き | 原則として申告不要(確定申告や年末調整の情報をもとに自治体が計算) | 確定申告または年末調整 |
| 納め方 | 給与天引き(特別徴収)か、納付書など(普通徴収) | 源泉徴収か、確定申告での納付 |
所得割の10%は、給与や事業などの総合課税の所得にかかる税率です。土地・建物や株式の譲渡益などの分離課税の所得には別の税率が使われ、たとえば土地・建物の長期譲渡所得では住民税5%・所得税15%です。不動産や株を売ったときの税金は、譲渡所得税の計算と特例で整理しています。
住民税はどう計算する?所得割と均等割の流れ
個人住民税の年税額は「所得割」と「均等割」の合計です。所得割は所得に応じて負担する部分、均等割は所得にかかわらず定額で負担する部分です。所得割は次の順番で計算します。
- 前年の所得を求める給与収入から給与所得控除を引くなど、所得の種類ごとに前年1年間の所得を計算します。
- 所得控除を差し引く社会保険料控除・基礎控除・扶養控除などを差し引きます。控除額が所得税と異なるものがあります。
- 税率を掛ける課税所得金額に10%を掛けます。政令指定都市では、市民税8%・道府県民税2%に分かれます。
- 税額控除を差し引く所得税との人的控除の差を調整する調整控除、住宅ローン控除のうち所得税から引ききれなかった分(上限あり)、ふるさと納税などの寄附金税額控除を差し引きます。
- 均等割を加える所得割に均等割を加えた額が年税額です。国税の森林環境税も、均等割とあわせて市区町村が徴収します。
計算例:給与所得356万円・独身の人の所得割(令和8年度分)
例えば、令和7年の給与所得(給与収入から給与所得控除を引いた額)が356万円、社会保険料控除が75万円で、ほかの所得控除は基礎控除43万円だけの人の場合です。
課税所得金額は356万円−75万円−43万円=238万円で、所得割は238万円×10%=23.8万円です。札幌市の場合の内訳は、市民税が238万円×8%=19.04万円、道民税が238万円×2%=4.76万円です。実際の税額は、ここから調整控除などを引き、均等割を加えた額になります。
同じ人の令和7年分の所得税は、基礎控除が68万円なので課税所得金額は356万円−75万円−68万円=213万円です。税額は213万円×10%−97,500円=115,500円(復興特別所得税を除く)で、控除額の違いから、課税所得金額は住民税のほうが大きくなります。
所得税の基礎控除は、令和8年分から合計所得金額に応じて最大104万円に引き上げられました。一方、住民税の基礎控除は令和8年度分も43万円のままです。所得税がかからない人でも住民税はかかることがあるのは、このように控除額が違うためです。
住民税はいつ・どうやって納める?
住民税の納め方は、給与から天引きされる「特別徴収」と、自分で納める「普通徴収」の2つです。税額の通知は、会社員は勤務先を通じて、個人事業主などは6月頃に自宅へ届くのが一般的です。
| 納め方 | 主な対象 | 納める時期 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 特別徴収(給与天引き) | 会社員・役員など給与を受ける人 | 6月から翌年5月までの12回、毎月の給与から | 勤務先が、市区町村から届く税額の通知にもとづいて天引きし、納付する |
| 普通徴収(納付書・口座振替など) | 個人事業主、退職した人など | 原則6月・8月・10月・翌年1月の4回(自治体により異なる) | 納付書のほか口座振替やコンビニ納付、自治体によってはクレジットカードやスマートフォン決済も使える |
| 公的年金からの特別徴収 | 一定の公的年金の受給者 | 年金の支給のたびに天引き | 公的年金の所得にかかる住民税が対象 |
クレジットカードで納める場合は、決済手数料がかかる自治体もあります。カードのポイントと手数料を比べて選びましょう。口座振替にしておくと、納め忘れを防げます。
退職・転職したときの住民税
退職すると、それまで給与から天引きされていた住民税の残りは、最後の給与からまとめて天引きするか、普通徴収に切り替えて自分で納めます。どちらになるかは退職の時期などで異なります。転職先でも天引きを続けたい場合は、前の勤務先と転職先で切り替えの手続きをしてもらいます。
住民税がかからないのはどんな人?非課税の基準
住民税には年齢による課税の線引きはなく、未成年者でも所得があれば課税の対象です。ただし、未成年者・障害者・寡婦・ひとり親で前年の合計所得金額が一定額以下の人や、生活保護の生活扶助を受けている人は非課税になります。
所得が少ない人の非課税の基準は、自治体の区分によって異なります。札幌市の令和8年度分の基準は次のとおりです。
| 区分 | 均等割も所得割もかからない | 所得割がかからない |
|---|---|---|
| 同一生計配偶者・扶養親族がいない人 | 合計所得金額45万円以下 | 合計所得金額45万円以下 |
| 同一生計配偶者・扶養親族がいる人 | 35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)+31万円以下 | 35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)+42万円以下 |
計算例:扶養親族が1人いる人の非課税の基準(札幌市・令和8年度分)
例えば、本人と扶養親族1人の場合、均等割もかからない基準は35万円×2+31万円=101万円以下、所得割がかからない基準は35万円×2+42万円=112万円以下の合計所得金額です。
給与収入だけの人は、給与収入から給与所得控除を引いた額で判定します。扶養のない人の令和8年度分(令和7年の所得)は、45万円に給与所得控除の最低額65万円を加えた、計算上の給与収入110万円以下が目安です。令和9年度分は住民税の給与所得控除の最低額が74万円になるため、基準が45万円のままであれば計算上119万円以下になります。
住民税を抑える方法は?控除・ふるさと納税・申告
所得割は課税所得金額に比例するため、所得控除を漏れなく受けることが基本です。社会保険料、iDeCoなどの小規模企業共済等掛金、生命保険料、医療費、扶養などの控除は、確定申告や年末調整で申告した内容が住民税の計算にも使われます。扶養の範囲は、扶養控除の対象と要件で確認できます。
ふるさと納税の控除と注意点
ふるさと納税は、自治体への寄附額から2,000円を引いた額が、所得税と住民税から控除される仕組みです。住民税から控除される特例分には上限があり、住民税の所得割額の2割が目安になります。
- 確定申告をしない会社員などは、寄附先が5団体以内ならワンストップ特例を使える(寄附した翌年の1月10日までに申請)
- 2025年10月1日から、ポイントを付与するサイトを通じた寄附の募集は禁止されている
- 2027年の寄附分(令和10年度分の住民税)からは、特例控除に193万円の定額上限が加わる(所得割額の2割と低いほう。札幌市民は道民税38.6万円+市民税154.4万円)
個人事業主は青色申告特別控除で住民税も減る
個人事業主は、青色申告特別控除(令和8年分は最大65万円)で所得が減ると、所得税だけでなく翌年度の住民税も減ります。令和9年分からは、帳簿を電子帳簿保存法の要件で保存するなどの要件を満たすと、最大75万円になります。
無料ツール青色申告と白色申告の税額の差を自動計算する所得金額を入れるだけで、青色申告にした場合の節税効果の目安を確認できます。計算する
確定申告が不要でも住民税の申告が必要な場合
所得税の確定申告が不要な人でも、住民税の申告が必要になることがあります。たとえば、給与以外の所得が20万円以下で確定申告をしない会社員も、住民税ではその所得を申告します。住民税の申告期限は、確定申告と同じ3月15日です。
引越し・副業・扶養のとき住民税はどうなる?
住民税は1月1日の住所地で課税されるため、年の途中で引っ越しても、その年度分は1月1日に住んでいた市区町村に全額を納めます。転居先と税額を分け合うことはなく、翌年度から新しい住所地で課税されます。
住所は原則として住民票(住民基本台帳)で判断されます。転居したのに住民票を移していないと、旧住所地から通知が届き続けることがあるため、転居の手続きは早めに済ませておきます。
副業の所得がある会社員は、確定申告書の住民税の欄で「自分で納付(普通徴収)」を選ぶと、給与以外の所得にかかる住民税を自宅に届く納付書で納められます。選ばない場合は、副業分も合わせて給与から天引きされます。副業もアルバイトなどの給与の場合は、普通徴収を選べないことがあります。
親の扶養に入っている人がアルバイトで稼ぎすぎると、本人に住民税がかかるだけでなく、親の扶養控除が外れて親の住民税も増えることがあります。住民税の扶養の所得要件は、令和9年度分から合計所得金額62万円以下(給与のみなら136万円以下)です。社会保険の扶養は税金とは別の基準で判定するため、年収の壁と社会保険の最新情報もあわせて確認してください。
副業・扶養・引越しが重なると、どこにいくら納めるかの判断が分かれます。源泉徴収票や通知書をもとに、初回無料で確認できます。
無料で相談する法人住民税は個人の住民税と何が違う?
法人も、事務所がある都道府県と市町村に法人住民税を納めます。法人住民税は、法人税額に税率を掛ける「法人税割」と、資本金等の額と従業者数で決まる「均等割」で構成されます。
| 項目 | 札幌市内の法人の場合 |
|---|---|
| 法人税割(法人道民税) | 資本金1億円以下かつ法人税額1,000万円以下の法人は1.0%、それ以外は1.8% |
| 法人税割(法人市民税) | 同じ区分で6.0%、それ以外は8.2% |
| 均等割 | 資本金等の額1,000万円以下・従業者50人以下なら、北海道2万円と札幌市5万円で年7万円(赤字でもかかる) |
| 申告期限 | 事業年度終了の日の翌日から2か月以内(法人税と同じ) |
個人住民税は自治体が税額を計算して通知しますが、法人住民税は法人が自ら申告して納めます。決算・申告を含めた継続的な支援は、会計・税務顧問のサービス内容でご案内しています。
よくある質問
新社会人の1年目に住民税がかからないのはなぜですか?
住民税は前年の所得をもとに課税されるため、前年に所得がなかった人は、働き始めた年には原則として住民税がかかりません。2年目の6月から1年目の所得にもとづく天引きが始まるため、手取りが減ったように感じることがあります。
所得税がかからないのに、住民税がかかるのはなぜですか?
基礎控除などの控除額が、所得税と住民税で異なるためです。扶養のない人が給与収入だけの場合、令和8年分の所得税は給与収入178万円以下ならかかりません。一方、札幌市の住民税は、令和9年度分も非課税の基準が45万円のままであれば、計算上は給与収入119万円を超えるとかかり始めます。
住民税を滞納するとどうなりますか?
納期限を過ぎると延滞金がかかり、督促状が届きます。それでも納めないと、給与や預金などの財産が差し押さえられることがあります。一度に払えない場合は、納期限の前に市区町村の窓口へ相談すると、分割での納付などを案内してもらえることがあります。
住民税の金額はどこで確認できますか?
会社員は勤務先から渡される特別徴収税額の決定通知書、個人事業主などは自宅に届く納税通知書に、税額と計算の内訳が記載されています。ローンの審査などで所得と税額の証明が必要なときは、市区町村で課税証明書を取得できます。
まとめ
住民税は、前年の所得をもとに1月1日の住所地で課税される地方税で、所得割(標準税率10%)と均等割で構成されます。基礎控除などが所得税と異なるため、所得税がかからなくても住民税がかかることがあります。通知書の内訳を確認し、控除の申告漏れ、ふるさと納税の上限、引越しや副業のときの扱いを押さえておきましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
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対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂(令和8年度税制改正を反映)
