税務調査の立会い費用は、事前準備・当日の立会い(日当)・事後対応の積み上げで決まり、対象の年数や税目、帳簿の整い方、顧問契約の有無で大きく変わります。依頼の前に料金体系と含まれる範囲を確認し、追徴される本税・加算税の大きさとあわせて判断するのが基本です。
この記事の結論
立会い費用は「事前準備・当日の日当・事後対応(+成功報酬)」の合計で、調査の規模と帳簿の状態によって幅があります。金額だけでなく、見積りに何が含まれるかをそろえて比べましょう。
- 料金体系は日当制・時間制・成功報酬型があり、修正申告書の作成が含まれるかも事務所で異なる
- 顧問税理士がいれば帳簿を把握済みのため準備が短く、費用の扱いは契約内容で決まる
- 過少申告加算税は原則10%、仮装・隠ぺいがあれば重加算税35%と、追徴のコストも大きい
- 個人の税理士に払う報酬は源泉徴収(10.21%)の対象。立会い報酬は経費になるが、追徴税額は経費にならない
- 通知が届いたら日程を確定させる前に相談し、準備期間を確保する
税務調査の立会いとは?税理士が担う役割
税務調査とは、国税の調査官が事業者の帳簿や資料を確認し、申告内容が適正かを検証する手続きです。法人も個人事業主も対象になり得ます。中小企業が通常経験するのは事前に通知が来る「任意調査」で、いわゆるマルサと呼ばれる「強制調査(査察)」とは異なります。
税理士の立会いは法律上の義務ではありませんが、調査官への適切な対応、不当な指摘への防御、修正申告の要否の判断などで大きな役割を果たします。税務代理権限証書を提出した税理士は、代理人として税務署とやり取りできます。準備資料の確認から当日の同席、調査後の対応まで一括して任せられるのが立会いのサービスです。
| 段階 | 税理士が行うこと |
|---|---|
| 通知を受けたとき | 対象の税目・期間の確認、日程の調整、想定される論点の洗い出し |
| 事前準備 | 帳簿・証憑の確認、説明が必要な取引の整理、根拠資料の準備 |
| 調査の当日 | 同席して質問の意図を確かめ、事実関係と処理の根拠を補足して説明 |
| 調査の後 | 指摘事項の検討、税務署への説明・交渉、修正申告書の作成や更正への対応 |
立会い費用の主な内訳と、金額が変わる要因
立会い費用は、大きく「事前準備」「当日の立会い(日当)」「事後対応」に分かれ、事務所によって成功報酬が加わります。どの区分も、調査の規模と帳簿の状態によって必要な時間が変わるため、金額には幅があります。
| 費用区分 | 内容 | 金額が変わる要因 |
|---|---|---|
| 事前準備 | 帳簿・資料の確認と整理、調査官への説明の準備 | 対象の年数と税目の数、帳簿や証憑の整い方 |
| 当日の立会い(日当) | 調査官の質問対応・資料提示への同席(1日あたり) | 調査の日数、現地までの移動 |
| 事後対応 | 修正申告書の作成、税務署への説明・交渉 | 指摘の件数と難しさ、修正申告か更正か |
| 成功報酬 | 追徴税額を減らせた場合の報酬(採用していない事務所もある) | 「減額」をどの金額と比べて計算するか |
調査が複数の年度・複数の税目にわたるか、外注費と給与の区分や売上の期ズレのように説明に資料が要る論点があるか、税理士の経験や事務所の体制によっても費用は大きく変わります。事前に見積りを取り、日当制か時間制か、成功報酬があるかといった料金体系を確認しておきましょう。
成功報酬は「何と比べて減ったか」を確認する
成功報酬は、減らせた追徴税額に応じて計算するのが一般的です。ただし調査官が最初に口頭で示した金額は確定したものではなく、何を基準に「減った」とするかで報酬が変わります。契約の前に、計算の基準となる金額と、修正申告書の作成料が別にかかるかを書面で確認しておくと、後の行き違いを防げます。
立会い費用とあわせて考えたい「追徴のコスト」
調査で申告漏れが見つかると、不足していた本税に加えて加算税と延滞税がかかります。延滞税は、本来の納期限の翌日から納付する日までの日数に応じてかかるため、修正の手続きが長引くほど増えます。立会いを頼むかどうかは、こうした追徴の大きさとあわせて判断します。
| 加算税の種類 | かかる場面 | 割合 |
|---|---|---|
| 過少申告加算税 | 期限内に申告したが、税額が少なかった | 原則10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は15%) |
| 無申告加算税 | 期限内に申告しなかった | 原則15%(50万円超の部分は20%、2024年1月1日以後に法定申告期限が来るものは300万円超の部分30%) |
| 重加算税 | 仮装・隠ぺいがあった | 過少申告・不納付の場合35%、無申告の場合40% |
計算例:調査で法人税の本税が100万円増えた場合
例えば、当初の申告で納めた法人税が200万円で、調査により本税が100万円増えた場合の加算税です(延滞税は除きます)。
- 過少申告加算税:100万円×10%=10万円(増えた本税100万円は、当初の申告税額200万円と50万円の多いほう以下のため、15%の部分はありません)
- 仮装・隠ぺいと認定され、重加算税になった場合:100万円×35%=35万円
同じ100万円の申告漏れでも、事実関係の説明と認定のされ方で負担が大きく変わります。
ツール延滞税・加算税の概算を計算する追加の本税と納付日を入れると、加算税と延滞税のおおよその額を確認できます。計算する
報酬を支払うときの源泉徴収と経費の扱い
個人で開業している税理士に立会いの報酬を支払う場合、支払う側(法人や、従業員に給与を払っている個人事業主など)は源泉徴収をします。税率は1回の支払いが100万円以下の部分は10.21%、100万円を超える場合は(支払額−100万円)×20.42%+102,100円です。請求書で消費税が区分して記載されていれば、税抜の金額に税率をかけて計算できます。税理士法人への支払いは源泉徴収の対象外で、源泉徴収義務者でない人(従業員のいない個人事業主など)も源泉徴収はしません。
計算例:個人の税理士に報酬を支払う場合(税抜の報酬1万円あたり)
個人で開業している税理士に立会いの報酬を支払うときは、源泉徴収が必要です。金額の水準ではなく計算の仕方が分かるように、報酬1万円あたりで示します(消費税を区分して記載している場合)。
- 源泉徴収税額:10,000円×10.21%=1,021円
- 振込額:10,000円+1,000円−1,021円=9,979円
実際の請求額に当てはめるときは、1回の支払いが100万円以下の部分に10.21%を掛けます。差し引いた税額は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。
ツール報酬・料金の源泉徴収額を計算する支払額を入れると、税理士などへの報酬から差し引く源泉徴収税額を確認できます。計算する
立会いの報酬は、事業のための支払いとして経費(法人は損金)になります。一方、追徴された法人税・所得税や加算税・延滞税は、経費にできません。
必要な準備と費用の見通しは、対象の期間と論点によって変わります。調査の通知が届いたら、日程を確定させる前にご相談ください。初回相談は無料です。
無料で相談する顧問税理士がいる場合といない場合の違い
顧問契約中の税理士がいる場合は、顧問料に立会いが含まれるケースもあれば、別途日当が発生するケースもあります。顧問外から新たに依頼する場合は、調査の経緯や帳簿の状況を一から把握する時間が必要なため、費用は割高になりやすい傾向があります。
顧問税理士がいる場合
- 日頃から帳簿を把握しているため、準備の時間を短くできる
- 立会い費用が顧問料に含まれるか別途かは、契約内容で確認する
- 税務代理権限証書で同意しておけば、調査の事前通知は税理士に届く
- 書面添付制度を使っていれば、調査の前に税理士への意見聴取の機会がある
顧問税理士がいない場合(初めて依頼)
- 資料の確認と帳簿の把握に追加の時間がかかり、費用が増えやすい
- 調査日までの準備期間が短いほど、対応が難しくなる
- 調査後の修正申告や、その後の記帳の体制づくりも課題になる
書面添付制度とは、税理士が申告書の作成にあたって計算・整理した事項などを記載した書面を、申告書に添付する仕組みです。添付があると、調査の事前通知の前に税理士が意見を述べる機会(意見聴取)が設けられ、そこで疑問が解消すれば調査に移らないこともあります。日頃から顧問税理士と関係を維持しておくことは、調査時のコストと対応の質の両面でメリットになります。
当事務所でも、調査の通知が届いた後のご相談に対応しています。なお、決算・申告だけのスポットのご依頼はお受けしていないため、調査後の修正申告や経理の見直しは、継続的な会計・税務顧問の中で支援しています。
立会いを依頼する前に確認すべき項目
立会いを税理士に依頼する前に、次の点を明確にしておくとトラブルを防げます。見積りは、条件をそろえて書面で受け取るのが基本です。
- 費用体系:日当制か時間制か、成功報酬は設定されているか
- 見積りの範囲:対象の年度・税目、事前準備の時間、交通費が含まれるか
- 事後の修正申告書の作成は費用に含まれるか、別途請求か
- 成功報酬がある場合、減額をどの金額と比べて計算するか
- 税務調査の経験(税務署OBかどうかは一つの目安だが、経験の具体性が重要)
- 調査の通知から何日以内に対応できるか(日程の柔軟性)
- 調査後の記帳・申告の体制づくりまで相談できるか
当事務所の料金の考え方とご契約までの手順は、料金・契約・業務フローのページでご案内しています。
調査の通知が届いたら?依頼から終了までの流れ
調査の通知を受けた後でも、税理士への連絡や日程の調整は可能です。ただし、早めに相談するほど準備の余裕が生まれます。一般的な流れは次のとおりです。
- 通知の内容を控える調査の日時・場所、対象の税目と期間、調査官の所属と氏名をメモします。
- 税理士に連絡して日程を相談する通知された日時に業務上の都合などがあれば、合理的な理由を伝えて変更を協議できます。
- 資料をそろえて論点を整理する下のチェックリストの資料を準備し、説明が必要な取引を税理士と確認します。
- 調査当日税理士が同席し、質問の意図を確かめながら説明します。分からないことはその場で推測で答えず、確認してから回答します。
- 指摘事項への対応指摘があれば内容を検討し、修正申告をするか、更正を受けるかを判断します。
- 調査の終了指摘がなければ、更正決定等をすべきと認められない旨の通知を受けて終わります。
- 総勘定元帳・仕訳帳などの帳簿と、決算書・申告書の控え
- 請求書・領収書・契約書などの証憑と、預金通帳
- 給与台帳・源泉徴収の資料、棚卸表、固定資産台帳
- 電子で受け取った請求書・領収書のデータ(電子取引データは2024年1月1日以後、電子のまま保存する義務がある)
- 法人は株主総会・取締役会の議事録や社内規程
帳簿書類の保存期間は、法人は7年(欠損金が生じた事業年度は10年)、個人の青色申告者は帳簿と決算関係書類・現金預金取引等関係書類が7年(前々年分の所得が300万円以下なら現金預金取引等関係書類は5年)、その他の書類が5年です。
札幌の場合:書類の提出先に注意
2026年7月10日から、札幌市内の5つの税務署の内部事務は札幌業務センターに集約されています。修正申告書などを書面で郵送する場合は、〒060-8510 札幌市中央区大通西10丁目 札幌第2合同庁舎の同センターあてに送ります。e-Taxでの提出や窓口への持参は、従来どおり所轄の税務署です。中央区は西側の一部が札幌西税務署の管轄になるなど、所轄は住所で決まるため、国税庁の管轄区域表で確認してください。
よくある質問
税理士の立会いなしで調査を受けても問題ありませんか?
立会いは法律上の義務ではないため、自分で対応することもできます。ただし、質問の意図が分からないまま答えて不利な心証を与えたり、本来主張できる点まで受け入れてしまったりすることがあります。依頼する費用と、想定される追徴の大きさを比べて判断しましょう。
税務調査は何年分さかのぼりますか?
税務署が税額を正す更正・決定ができる期間は、原則として法定申告期限から5年です。偽りその他不正の行為がある場合は7年、法人税の欠損金額に係る更正は10年になります。実際に何年分を確認するかは、通知の際に示される対象期間で確かめます。
修正申告と更正はどう違いますか?
修正申告は、指摘を受け入れて自分で税額を正す手続きです。修正申告をすると、その内容について不服申立てはできません(更正の請求はできます)。更正は税務署長が税額を正す処分で、内容に納得できない場合は再調査の請求や審査請求ができます。どちらを選ぶかで、その後の手続きと費用が変わります。
指摘がなく調査が終わった場合も、費用はかかりますか?
事前準備と当日の立会いには時間がかかるため、指摘がなくても費用は発生するのが一般的です。日当制なら調査の日数で、成功報酬型なら基本料金の部分が対象になります。修正申告書の作成などの事後対応が不要になるぶん、総額は抑えられます。
まとめ
税務調査の立会い費用は、事前準備・当日の日当・事後対応の合計で変わり、成功報酬型か日当型かといった料金体系も事務所ごとに異なります。依頼の前に見積りの範囲をそろえて確認し、加算税・延滞税を含めた追徴の大きさとあわせて判断しましょう。日頃から顧問税理士と関係を持っておくと対応が早く、通知が届いたら早めに相談して準備期間を確保することが大切です。
札幌の公認会計士・税理士事務所
税務調査の立会いのご相談は、ジェイスタート会計事務所へ
- 初回相談は無料(オンライン対応可)
- フォーム・LINEは24時間受付、翌営業日までにご返信
- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂
