無申告の解消にかかる費用は、税理士への報酬と、本税に上乗せされる無申告加算税・延滞税の2つで考えます。報酬は申告する年数・所得の種類・帳簿を一から作るかどうかで決まり、加算税は税務調査の事前通知を受ける前に自主的に申告すれば5%で済みます。延滞税は日数に応じて増えるため、早く着手するほど負担は軽くなります。
この記事の結論
費用は「税理士報酬」と「本税+無申告加算税+延滞税」の合計です。報酬は年数・所得の種類・資料の状態で決まり、加算税と延滞税は早く自主的に申告・納付するほど少なくなります。
- 無申告加算税は原則15%(50万円超の部分は20%、300万円超の部分は30%)。調査の事前通知の前に自主的に申告すれば5%
- 延滞税は、法定納期限の翌日から納付の日まで、日数に応じてかかる
- 税務署がさかのぼって税額を決定できるのは原則5年(偽りその他不正の行為があれば7年)
- 報酬が増えるのは、年数が多い・帳簿を一から作る・所得の種類が多い・消費税の申告もある場合
- 当事務所は申告だけのスポット依頼は受けておらず、顧問契約の中で過去分の申告から今後の体制づくりまで支援する
無申告を放置すると何がかかる?加算税・延滞税の仕組み
申告期限を過ぎてから申告する(期限後申告)と、本来の税額(本税)に加えて加算税と延滞税が課されます。どちらも放置するほど増えていくため、気づいた時点で対処することが大切です。
| ペナルティの種類 | 内容・割合 |
|---|---|
| 無申告加算税(税務調査を受けて申告した場合など) | 本税のうち50万円までの部分は15%、50万円超300万円以下の部分は20%、300万円超の部分は30%(300万円超の区分は、2024年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの) |
| 無申告加算税(調査の事前通知の前に、自主的に申告した場合) | 5%に軽減 |
| 重加算税(売上を隠すなど、隠蔽・仮装があった場合) | 無申告の場合は40%(無申告加算税に代えて課される) |
| 延滞税 | 法定納期限の翌日から完納の日まで、日数に応じて計算。割合は年ごとに見直され、国税庁が公表している |
税務調査の事前通知を受ける前に自主的に期限後申告をすれば、無申告加算税は5%に軽減されます。事前通知を受けた後の申告では、この軽減は受けられません。加算税は税目ごと・年分ごとに計算するため、未申告の年が多いほど差が積み上がります。
計算例:本税80万円の年分の無申告加算税
例えば、ある年分の所得税の本税が800,000円で、調査で指摘されて申告した場合と、自主的に申告した場合を比べます。
- 調査を受けて申告した場合:500,000円×15%=75,000円と、300,000円×20%=60,000円で、75,000円+60,000円=135,000円
- 事前通知の前に自主的に申告した場合:800,000円×5%=40,000円
この年分だけで、135,000円-40,000円=95,000円の差になります。このほかに延滞税がかかり、未申告の年分が多いほど負担は膨らみます。
ツール延滞税・加算税の概算を計算する本税の額と納付の時期から、加算税と延滞税のおおよその金額を確認できます。計算する
影響は国税だけではありません。所得税の申告をすると、その所得をもとに住民税や個人事業税、国民健康保険料も計算し直され、後日、納付の通知が届きます。また、基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えていた年分は、消費税も無申告になっている可能性があるため、あわせて確認します。
税理士費用はどう決まる?報酬の内訳と費用が増える要素
税理士に無申告の解消を依頼したときの費用は、大きく「申告書の作成」と「帳簿の作成(記帳)」の作業量で決まります。無申告の場合は帳簿がないことが多く、通帳やカード明細、領収書から年分ごとに取引を拾い直す作業が中心になります。料金体系は事務所によって異なるため、どの作業が報酬に含まれるかを確認することが大切です。
| 費用を左右する要素 | 作業が増えるケース | 相談前に確認しておくこと |
|---|---|---|
| 申告する年数 | 複数年分をまとめて申告する | 何年分申告していないか、最後に申告した年はいつか |
| 所得の種類 | 事業所得に加えて、不動産・株式・暗号資産・給与・年金などの所得がある | 収入の種類と、支払元の一覧 |
| 帳簿・資料の状態 | 帳簿がなく、通帳・カード明細・領収書から記帳する。資料が散逸している | 通帳・明細・領収書が何年分残っているか |
| 消費税 | 課税事業者に当たる年分があり、消費税の申告も必要になる | 年ごとの売上高のおおよその額 |
| 税務署とのやり取り | 「お尋ね」の文書や調査の連絡を受けていて、対応が必要 | 届いた文書の内容と日付 |
| 今後の体制づくり | 申告後の記帳や青色申告の準備まで含める | 今後の記帳を自分で行うか、任せるか |
見積りを比べるときは、金額だけでなく、何年分・どの税目が含まれるか、記帳の作業や税務署とのやり取り、住民税などへの影響の説明まで含まれるかを確認します。書類が整っているか、会計ソフトのデータがあるかによっても作業量は変わります。
当事務所でのご依頼の形
当事務所では、申告だけのスポットのご依頼はお受けしていません。無申告の解消も、継続的な顧問契約の中で、過去分の記帳と申告、税務署とのやり取り、その後の記帳・申告の体制づくりまで一緒に進めます。顧問料は事業の規模・取引量・記帳の方法・ご依頼の範囲で決まり、考え方は「料金・契約の流れと顧問料の決まり方」でご案内しています。
何年分さかのぼる?税務署が決定できる期間(5年・7年)
税務署が税額を決定・更正できる期間は、原則として法定申告期限から5年です。偽りその他不正の行為がある場合は7年に延びます。このため、さかのぼって申告する範囲は、まず直近5年分が中心になります。
具体例:令和3年分の所得税の場合
例えば令和3年分の所得税は、法定申告期限が2022年3月15日なので、原則として2027年3月15日までが税務署の決定の対象になる期間です。偽りその他不正の行為があれば、2029年3月15日まで延びます。
5年より前の年分をどう扱うかは、偽りその他不正の行為にあたる事情がないかなどで判断が分かれるため、税理士と方針を決めます。何年分さかのぼるべきかは個別の状況によって異なり、実務上は、直近の年分から資料を集めて、所得と税額を確定させていくのが一般的な進め方です。
源泉徴収された税金が戻るなど、還付になる年分には加算税はかかりません。ただし、還付を受けられる期間にも限りがあるため、ほかの年分とあわせて早めに整理します。法人の場合も、法人税の更正・決定の期間は原則5年ですが、欠損金額に係る更正は10年です。
何年分をさかのぼるか、どの年分から着手するかは、所得の状況と資料の残り方で変わります。初回無料で方針を一緒に整理します。
無料で相談する費用を抑えるために準備できること
税理士への依頼費用は、事前の書類整理で抑えられることがあります。次の準備ができていると作業工数が減り、見積りの精度も上がります。
- 通帳・クレジットカード明細を年分ごとにまとめる(手元にない通帳は、金融機関で取引の履歴を取り寄せる)
- 収入に関わる書類(源泉徴収票・支払調書・売上の請求書と入金記録・ネット販売などの売上明細)を探しておく
- 経費の領収書・請求書を年分・科目別に仕分ける(電子で受け取ったものはデータのまま保存)
- 会計ソフト(freee・マネーフォワード等)のデータがあれば共有できる状態にする
- 車・パソコン・機械など、固定資産を買った・売ったときの資料と、借入金の返済予定表
- 在庫がある事業は、年末の在庫の数量と金額がわかる資料
- 税務署から届いた文書(お尋ね・通知など)と、過去に提出した申告書の控え
書類が散逸している年分ほど、記帳の工数が増えます。領収書が残っていない経費は、通帳やカード明細、取引先の記録などで、支出の事実と事業との関係を説明できるようにしておきます。まず手元にある書類を確認してから相談すると、より正確な見積りが得られます。
依頼から申告・納付まではどう進む?
複数年分の無申告を解消するときは、年分ごとに資料をそろえ、所得と税額を確定させてから申告します。一般的な流れは次のとおりです。
- 状況を確認する何年分・どの所得が未申告か、税務署から連絡が来ているかを確認し、申告する範囲の方針を決めます。
- 資料を集める通帳・明細・領収書を年分ごとに確認し、足りない資料の取り寄せ方を決めます。
- 記帳して所得を計算する年分ごとに帳簿を作り、所得と本税を計算します。
- 税額と納付計画をまとめる加算税・延滞税と、住民税などの地方税も含めた負担を試算し、納付の資金を確保します。
- 申告書を提出する年分ごとの申告書を提出し、提出と同時に、できる限り納付も済ませます。
- 今後の体制をつくる記帳の方法を決め、青色申告にする場合はその年の3月15日までに承認申請書を出し、次の申告に備えます。
ツール所得税額を速算表で計算する課税所得金額から、年分ごとの所得税の本税のおおよその額を確認できます。計算する
一度に納められないときは、早めに税務署へ相談する
申告した税金を一度に納めることが難しい場合は、税務署に相談すると、要件を満たせば換価の猶予などの制度で分割して納められることがあります。猶予を受けても延滞税はかかる(一部が免除される場合もある)ため、申告と同時に納付の計画を立てておきます。
札幌市内の方が書面で申告書を出すとき
市内の5つの税務署では、2026年7月10日から内部事務が札幌業務センターに集約されています。書面の申告書を郵送する場合は同センターあてに送り、e-Taxでの提出や窓口への持参は所轄の税務署が対象です。複数年分を出すときは、年分ごとに控えを残しておきます。
よくある質問
税務署から「お尋ね」の文書が届きました。今から申告しても5%で済みますか?
お尋ねなどの文書による問い合わせは、一般に税務調査の事前通知とは異なります。ただし、届いた文書の種類によって扱いが変わるため、文書の内容を確認したうえで、できるだけ早く申告の準備を進めます。
所得が少ない年や赤字の年も、申告が必要ですか?
所得が少なく、申告の義務がない年分もあります。ただし、所得を計算してみないと判断できないため、まず年分ごとに収入と経費を整理します。源泉徴収された税金が戻る年分は、還付申告として提出できます。
領収書がほとんど残っていません。経費は認められますか?
領収書がなくても、通帳やカード明細、取引先への確認などで支出の事実と事業との関係を説明できれば、経費にできる場合があります。説明できない支出は認められにくいため、手元の記録から一つずつ裏付けを集めます。
住民税や国民健康保険料はどうなりますか?
所得税の申告をすると、その所得をもとに住民税・個人事業税・国民健康保険料が計算し直され、後日、市区町村や都道府県から納付の通知が届きます。国税とは別に、これらの納付資金も見込んでおきます。
まとめ
無申告の解消にかかる費用は、税理士への報酬と、本税に加わる無申告加算税・延滞税の合計で考えます。報酬は申告する年数、所得の種類、帳簿を一から作るかどうかで決まり、加算税は税務調査の事前通知の前に自主的に申告すれば5%に抑えられます。税務署が決定できるのは原則5年(偽りその他不正の行為があれば7年)のため、直近の年分から資料を集め、早めに専門家に相談しましょう。
札幌の公認会計士・税理士事務所
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- その場でご契約を迫ることはありません
対応:法人の決算・税務顧問/個人事業主の確定申告/相続・贈与・事業承継/融資・資金繰り
出典・参考(公的機関)
本記事は2026年10月時点の法令等に基づく一般的な解説です。個別の状況により取扱いが異なる場合がありますので、実際の申告・手続きは税理士等の専門家にご相談ください。
更新履歴:2026年10月 全面改訂
