- カテゴリ:有利判定・比較
- 根拠:消法30・37
- 入力5項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
消費税の納め方には、実際の仕入税額を差し引く本則課税のほか、業種ごとの「みなし仕入率」で計算する簡易課税、売上税額の20%だけを納める2割特例(令和8年9月30日を含む課税期間まで)と、それに続く個人事業者向けの3割特例(令和9年分・10年分、売上税額の30%)があります。この計算機は、同じ売上・仕入の数字で本則・簡易・特例の納付額を並べて計算し、どれがいちばん有利かをひと目で示します。
この計算式を3行でいうと
- 本則課税は売上税額から仕入税額を引いた額、簡易課税は売上税額×(1-みなし仕入率)、2割特例は売上税額×20%(個人事業者の令和9年分・10年分の3割特例は×30%)で計算します。
- 簡易課税は基準期間の売上5,000万円以下かつ事前届出が必要で、選ぶと2年間は継続しなければなりません。
- 大型の設備投資を予定している年は、仕入税額をそのまま差し引ける本則課税のほうが有利になりやすい傾向があります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
簡易課税 vs 本則課税 vs 2割特例
消法30・37★結果コピーリンク同じ数字で本則課税・簡易課税・インボイスの2割特例(令和8年9月30日を含む課税期間まで)または3割特例(個人・令和9〜10年分)の納付額を並べて比較し、最も有利な方式と差額を表示します。簡易課税は事前届出が必要です。
| 本則課税の納付 | ¥2,000,000 |
| 簡易課税の納付 | ¥2,500,000 |
| ★最有利 | 本則課税(¥2,000,000) |
| 最不利との差 | ¥500,000 |
こんなときに使います
- 来期の消費税の申告方式を、本則課税・簡易課税のどちらにするか決算前に検討したいとき
- インボイス制度の2割特例が使える期間中に、簡易課税と比べてどちらが得か確認したいとき
- 大きな設備投資を予定していて、その年だけ本則課税に切り替えるべきか判断したいとき
- 簡易課税を選んでいるが、みなし仕入率が実態に合っているか見直したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 課税売上高(税抜) | 1年間の消費税がかかる売上の合計額(税抜き)です。 | 消費税申告書の課税標準額、または損益計算書の売上高から逆算します。 |
| 課税仕入高(税抜) | 1年間の消費税がかかる仕入・経費の合計額(税抜き)です。 | 総勘定元帳を集計するか、前年の消費税申告書の課税仕入れ等の税額から逆算します。 |
| 税率 | 適用する消費税率です。標準税率は10%、軽減税率は8%です。 | 取り扱う商品・サービスの種類で判断します。 |
| みなし仕入率 | 簡易課税で使う、業種ごとに決められた仕入率です。卸売業90%、小売業80%、製造業等70%、その他60%、サービス業等50%、不動産業40%など業種によって異なります。 | 営んでいる事業の種類(事業区分)で確認します。複数の事業がある場合は加重平均で計算する計算機を使います。 |
| 特例の対象(0/1/2) | 免税事業者がインボイス発行事業者の登録をきっかけに課税事業者になった場合などに使える特例です。対象でなければ0、2割特例(令和8年9月30日を含む課税期間まで・個人事業者は令和8年分まで)なら1、3割特例(個人事業者の令和9年分・10年分)なら2を入れます。 | 免税事業者からインボイス登録で課税事業者になったかどうかと、その課税期間がどの年分かで判断します。法人は3割特例を使えません。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 本則課税の納付額を計算する:課税売上高に税率をかけた売上税額から、課税仕入高に税率をかけた仕入税額を差し引きます。
- 簡易課税の納付額を計算する:売上税額に「1-みなし仕入率」をかけます。仕入の実額を集計せず、業種ごとのみなし仕入率だけで計算できます。
- 特例の納付額を計算し、3つを比べる:2割特例の対象であれば売上税額の20%、3割特例の対象であれば売上税額の30%を納付額とします。3つの金額を並べて、いちばん小さい(納付額が少ない)方式とその差額を表示します。
具体例で確かめる
例1 初期値どおり、課税売上高5,000万円・課税仕入高3,000万円・税率10%・みなし仕入率50%のケース
本則課税 = 5,000万円×10% - 3,000万円×10% = 500万円 - 300万円 = 200万円 簡易課税 = 500万円 ×(1 - 50%) = 250万円
この場合は本則課税のほうが50万円有利。仕入の割合が多い事業は本則課税が有利になりやすい
例2 同じ売上・仕入でみなし仕入率が80%(小売業)のケース
本則課税 = 200万円(例1と同じ) 簡易課税 = 500万円 ×(1 - 80%) = 100万円
みなし仕入率が高い業種では、実際の仕入が少なくても簡易課税のほうが有利になりやすい
例3 2割特例が使えるケース
2割特例 = 500万円 × 20% = 100万円 3割特例(個人事業者・令和9年分以後) = 500万円 × 30% = 150万円 本則課税200万円、簡易課税250万円と比べると2割特例(3割特例)がいちばん少ない
特例の対象期間中は、多くの場合いちばん納付額を抑えられる方式になります(売上5,000万円は説明用の数字で、実際に特例を使えるのは基準期間の課税売上高1,000万円以下など、登録がなければ免税事業者だった年に限られます)
ここを間違えやすい
1|簡易課税は事前の届出がないと使えません
簡易課税を使うには、適用を受けたい課税期間が始まる前までに届出書を提出しておく必要があります。決算が終わってから「簡易課税で計算し直したい」と思っても、間に合わないことがあります(2割特例を使った翌課税期間に限り、その期間中に届出をすればその期間から簡易課税を使える特例があります)。
2|簡易課税は一度選ぶと2年間やめられません
簡易課税を選択すると、原則として2年間は本則課税に戻れません。多額の設備投資を予定している年がある場合は、その前に本則課税に戻しておく必要があります。
3|みなし仕入率は業種ごとに決まっており、実際の仕入額とは無関係です
簡易課税は、実際にいくら仕入れたかにかかわらず、業種で決まったみなし仕入率だけで計算します。実際の仕入が少ない事業ほど、簡易課税を選ぶと有利になりやすい傾向があります。
4|2割特例には対象になる期間の制限があります
2割特例は、インボイス制度をきっかけに免税事業者から課税事業者になった方などを対象にした時限的な措置で、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する課税期間(個人事業者は令和8年分まで)が対象です。令和8年度改正により、個人事業者に限り令和9年分・令和10年分は売上税額の30%を納める3割特例に移行します(法人は対象外)。3割特例の期間も過ぎると、本則課税か簡易課税のどちらかを選ぶ必要があります。いずれの特例も申告書にその旨を付記して適用します。
よくある質問
- 簡易課税を選ぶにはどうすればよいですか。
- 「消費税簡易課税制度選択届出書」を、適用を受けたい課税期間の開始前までに税務署に提出する必要があります。基準期間の課税売上高が5,000万円を超えると使えなくなります。
- 2割特例はいつまで使えますか。
- インボイス発行事業者の登録をきっかけに免税事業者から課税事業者になった方などが対象で、令和8年9月30日を含む課税期間まで(個人事業者は令和8年分まで)です。個人事業者は令和9年分・10年分に限り、売上税額の30%を納める3割特例が使えます(法人は対象外)。基準期間の課税売上高が1,000万円を超える課税期間など、登録がなくても課税事業者になる年は使えません。
- 事業区分が複数ある場合はどう計算しますか。
- 卸売業と小売業など複数の事業を営んでいる場合は、それぞれの売上高の割合に応じてみなし仕入率を加重平均する必要があります。複数事業向けの計算機であわせて確認してください。
- 3つの方式を毎年選び直すことはできますか。
- 本則課税と簡易課税は、届出の有無や継続適用の期間の制限を守れば選び直せます。2割特例は対象になる要件と期間が決まっているため、自由に選べるものではありません。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 消費税法第30条(仕入れに係る消費税額の控除)、第37条(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
- 国税庁タックスアンサー No.6505「簡易課税制度」
- 所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第51条の2(2割特例)、令和8年度税制改正(個人事業者の3割特例・令和9年分及び10年分)
- 国税庁「インボイス制度における2割特例の概要」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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