- カテゴリ:有利判定・比較
- 根拠:相法19・21の9
- 入力4項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
生前贈与には、毎年110万円まで無税で贈与できる暦年課税と、届出をすれば年110万円の控除を使いながら贈与額を相続時にまとめて精算する相続時精算課税の、2つの制度があります。この計算機は、同じ贈与を続けた場合に最終的にどちらの負担が軽くなるかを比較します。
この計算式を3行でいうと
- 暦年課税は毎年の贈与税に加え、亡くなる前7年以内の贈与を相続財産に加算します。精算課税は年110万円控除後の累計を相続時に持ち戻します。
- 相続時精算課税は令和6年以後、年110万円までの部分は相続財産への持ち戻しの対象外になりました。
- 長期間・少額の贈与を続けるなら精算課税が有利になりやすく、大型の贈与や値上がりする資産は個別の検討が必要です。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
暦年贈与 vs 相続時精算課税
相法19・21の9★結果コピーリンク毎年同額を贈与し続けた場合の「暦年課税(7年加算あり)」と「相続時精算課税(年110万控除・全額持戻し)」の最終負担を比較します(相続人=子のみのモデル)。
| 暦年: 贈与税累計 | 200万円 |
| 暦年: 7年加算額 | 2,070万円 |
| 暦年: 相続税(控除後) | 2,891万円 |
| 暦年の合計 | 3,091万円 |
| 精算: 持戻し額 | 2,000万円 |
| 精算の合計(相続税) | 3,010万円 |
| ★有利 | 相続時精算課税/差 81万円 |
こんなときに使います
- 毎年少しずつ子や孫に贈与を続けたいが、暦年課税と相続時精算課税のどちらが得か迷っているとき
- 相続時精算課税を使い始めるかどうか、届出前に将来の負担を比較しておきたいとき
- 贈与を始めてから何年も経っていて、亡くなる前7年以内の加算がどう影響するか確認したいとき
- 値上がりが見込める資産を贈与する予定があり、贈与のタイミングを検討しているとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 毎年の贈与額 | 1年間に贈与する予定の金額です(万円単位)。 | これから贈与を予定している金額、または過去に実際に贈与してきた金額です。 |
| 贈与年数 | その贈与を何年間続けるかです。 | 贈与を始めてから終える予定までの年数、または今後続けたい年数です。 |
| 現在の財産総額 | 贈与する前の、贈与者の財産の合計額です(万円単位)。 | 預貯金・不動産・株式などを合計した金額です。 |
| 子(相続人)の人数 | 財産を贈与し、将来相続することになる子の人数です。 | 戸籍上の子の人数です。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 暦年課税の負担を計算する:毎年の贈与額に贈与税をかけて累計し、亡くなる前7年以内の贈与分は相続財産に加算して相続税を計算します。すでに納めた贈与税は、加算された分について相続税から控除します。
- 相続時精算課税の負担を計算する:毎年110万円の控除を差し引いた金額を累計し、その全額を相続時に相続財産へ持ち戻して相続税を計算します。令和6年以後は、年110万円の控除部分は持ち戻しの対象外です。
- 2つを比べる:暦年課税と相続時精算課税、それぞれの贈与税と相続税を合計した最終的な負担を比べ、有利な方を表示します。
具体例で確かめる
例1 初期値どおり、毎年310万円を10年間贈与、財産総額2億円、子2人のケース
暦年課税 = 毎年の贈与税の累計 + 直近7年分の贈与を相続財産へ加算した分の相続税 - 加算分の贈与税控除 精算課税 = (310万円-110万円)× 10年 = 2,000万円を相続財産へ持ち戻して計算した相続税
精算課税は年110万円の控除を毎年使えるため、暦年課税より持ち戻される金額が少なくなります
例2 贈与額を年110万円以下に抑えた場合
暦年課税:毎年110万円以下なら贈与税はかからないが、7年以内の贈与は相続財産に加算される 精算課税:毎年110万円以下ならそもそも持ち戻す金額がゼロになる
少額の贈与を長く続けるなら、7年しかさかのぼらない暦年課税のほうが早い時期の贈与を非課税のまま残せます
例3 贈与を始めて7年以上経っているケース
暦年課税:亡くなる前7年より前の贈与は相続財産に加算されず、そのまま非課税で移転できる 精算課税:何年前の贈与でも、110万円を超えた部分は全額が持ち戻しの対象
早くから少額の贈与を続けてきた場合は、暦年課税のほうが最終的な負担が軽くなることがあります
ここを間違えやすい
1|相続時精算課税は一度選ぶと暦年課税に戻れません
相続時精算課税は、同じ贈与者からの贈与について一度選択すると、その贈与者からの贈与にはずっと適用され続けます。あとから暦年課税に戻すことはできないため、慎重に選ぶ必要があります。
2|7年加算は「亡くなる前」からさかのぼって数えます
暦年課税の生前贈与加算は、贈与した年からではなく、亡くなった日からさかのぼって7年以内かどうかで判定します。何年も前に贈与したつもりでも、亡くなるタイミング次第では加算の対象になります。
3|値上がりする資産は精算課税が有利なことがあります
相続時精算課税で持ち戻す金額は、贈与した時点の評価額で固定されます。将来値上がりが見込まれる自社株や不動産は、早めに精算課税で贈与しておくと、値上がり分だけ相続財産を圧縮できる場合があります。
4|孫への贈与は相続人でなければ7年加算されません
暦年課税の生前贈与加算は、原則として相続や遺贈で財産を取得する人への贈与が対象です。相続人でない孫への贈与は、遺言で財産を残す予定がなければ7年加算の対象外になります。
よくある質問
- 相続時精算課税を選ぶとどんな手続きが必要ですか。
- 最初にその贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書とあわせて相続時精算課税選択届出書を税務署に提出する必要があります。
- 暦年課税と相続時精算課税を両方使うことはできますか。
- 贈与者ごとに選べます。たとえば父からの贈与は相続時精算課税、母からの贈与は暦年課税、というように贈与者ごとに別の制度を選ぶことができます。
- 年110万円ちょうどの贈与なら申告は不要ですか。
- 暦年課税では、基礎控除110万円以下の贈与であれば贈与税の申告は不要です。相続時精算課税を選んでいる場合は、110万円以下でも累計を管理するため申告の要否を個別に確認してください。
- 贈与税を払いすぎた場合、相続税から戻ってきますか。
- 暦年課税で生前贈与加算の対象になった贈与について、すでに納めた贈与税額は相続税額から控除されます。控除しきれない金額がある場合でも、原則として還付はされません。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 相続税法第19条(相続開始前に贈与があった場合の相続税額)、第21条の9〜第21条の18(相続時精算課税)
- 国税庁タックスアンサー No.4161「贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」/No.4103「相続時精算課税の選択」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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