- カテゴリ:有利判定・比較
- 根拠:相法・相基通
- 入力5項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
生前贈与は、贈与税の負担が相続税の負担より軽いあいだは、財産を移すほど家族全体の税負担が減ります。しかし贈与額が大きくなると贈与税の税率が急に上がるため、どこかに「これ以上増やすと逆に損になる」境目があります。この計算機は、贈与税の実効税率が相続税の限界税率を下回る範囲を10万円刻みで探し、有利な贈与額の目安を示します。
この計算式を3行でいうと
- 相続の限界税率と贈与税の実効税率を比べ、贈与のほうが低い金額なら贈与が有利と判定します。
- 節税額は「贈与総額×相続の限界税率-贈与税の累計額」を基本に、相続人への贈与は亡くなる前7年分が相続財産に戻る(4〜7年前の分は合計100万円を控除、戻した分の贈与税は相続税から控除)ものとして計算し、年間の贈与額を10万円刻みで探索します。
- 直系尊属から18歳以上への贈与は特例税率で計算し、相続人でない孫等への贈与は7年加算がない分さらに有利です。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
生前贈与の有利判定(最適贈与額の探索)
相法・相基通★結果コピーリンク相続の限界税率と贈与税の実効税率を比較し、「年いくらまでの贈与なら相続より有利か」を10万円刻みで探索します。
| 相続の限界税率 | 30% |
| 年500万贈与の実効税率 | 9.7% |
| 贈与10年の節税額(概算) | 334.5万円 |
| ★実効税率が限界税率を下回る最大年間贈与額 | 2,090万円/年 |
| (参考)孫への贈与 | 相続人への贈与=直近7年分は加算 |
こんなときに使います
- 毎年いくらまで贈与すれば、相続で残すより家族全体の税負担が軽くなるか知りたいとき
- 贈与額を増やしすぎると、かえって損になる境目がどのあたりかを確認したいとき
- 孫など相続人ではない人への贈与を検討していて、7年加算がない分どれくらい有利か知りたいとき
- 財産の額や家族構成が変わり、これまでの贈与額の目安を見直したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 財産総額 | 贈与する前の、贈与者の財産の合計額です(万円単位)。 | 預貯金・不動産・株式などを合計した金額です。 |
| 子(相続人)の人数 | 将来相続人になる子の人数です。相続税の基礎控除の計算に使います。 | 戸籍上の子の人数です。 |
| 検討中の年間贈与額 | 1年間に贈与しようと考えている金額です(万円単位)。 | これから贈与を予定している金額を入れます。 |
| 贈与年数 | その贈与を何年間続けるかです。 | 贈与を続けたいと考えている年数です。 |
| 受贈者は孫等(7年加算なし)1/0 | もらう人が相続人ではない孫や子の配偶者などの場合は1、子など相続人の場合は0を入れます。ただし孫でも、遺言で財産を受け取る(遺贈)場合や生命保険金の受取人になっている場合、養子や代襲相続人の場合は加算の対象になるため0にします。 | もらう人が将来の相続人(または遺贈・生命保険金で財産を取得する人)にあたるかどうかで判断します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 相続の限界税率を求める:財産総額から基礎控除(3,000万円+600万円×子の人数)を引いた課税遺産総額を子の人数で等分した金額(法定相続分)をもとに、相続税の速算表であてはまる税率(財産の中でいちばん高い部分に適用される税率)を求めます。
- 贈与税の実効税率を計算する:検討中の年間贈与額に、特例税率(直系尊属から18歳以上の子や孫への贈与)で贈与税を計算し、贈与額に対する税負担の割合を求めます。
- 10万円刻みで比較し、有利な範囲を探す:贈与額を10万円ずつ増やしながら、贈与税の実効税率が相続の限界税率を下回る範囲を探します。節税額は「贈与総額×相続の限界税率-贈与税の累計額」で計算します。受贈者が相続人(孫等=0)の場合は、亡くなる前7年以内の贈与(4〜7年前の分は合計100万円を差し引く)が相続財産に戻るものとして相続税の減少額を小さく見積もり、戻した分にかかった贈与税は相続税から控除されるものとして計算します。
具体例で確かめる
例1 初期値どおり、財産総額2億円・子2人・年間贈与額500万円を10年間・孫等ではないケース
課税遺産総額 = 2億円 - 基礎控除(3,000万円+600万円×2人=4,200万円) = 15,800万円 → 子1人あたり7,900万円 → 相続の限界税率 30% 年500万円の贈与税 = (500万円-110万円)×15%-10万円 = 48.5万円 → 実効税率 9.7%(10年で485万円) 7年加算:直近7年分 3,500万円-100万円 = 3,400万円が相続財産に戻り、その贈与税339.5万円は相続税から控除 節税額 = (5,000万円-3,400万円)×30% - (485万円-339.5万円) = 480万円 - 145.5万円 = 334.5万円
贈与が有利/10年間の節税額 334.5万円(年2,090万円までは贈与税の実効税率が限界税率30%を下回る)
例2 贈与額を年110万円に抑えた場合
年110万円以下の贈与は基礎控除の範囲内で贈与税がかからず、実効税率は0% 相続の限界税率が0%より高ければ、必ず贈与のほうが有利という結果になる
基礎控除の範囲内の贈与は、財産総額が基礎控除を超えている限りほぼ確実に有利です
例3 孫(相続人以外)へ贈与するケース
受贈者は孫等(7年加算なし)=1に設定 同じ贈与額でも、亡くなる前7年以内の分が相続財産に加算されない 例1と同じ年500万円×10年なら、節税額(概算) = 5,000万円×30% - 485万円 = 1,015万円
相続人でない孫等への贈与は、加算のリスクがない分、暦年贈与の効果をより確実に残せます(孫が遺贈や生命保険金で財産を取得すると加算対象になる点に注意)
ここを間違えやすい
1|「有利な金額」は財産の増減で変わり続けます
相続の限界税率は財産総額によって変わるため、事業が順調で財産が増え続けている場合は、有利な贈与額も年々変わります。一度計算して終わりにせず、定期的に見直すことが大切です。
2|特例税率が使えるのは直系尊属から18歳以上への贈与だけです
祖父母や父母から18歳以上の子・孫への贈与には税率の低い特例税率が使えますが、夫婦間や兄弟間の贈与、18歳未満への贈与には、税率の高い一般税率が適用されます。
3|早期贈与が有利とは限らないケースもあります
財産が今後減っていく見込みの場合や、贈与を受ける側の生活状況によっては、早く贈与することが必ずしも有利とは限りません。財産の増減の見通しも含めて判断してください。
4|教育資金・住宅資金の非課税制度は別に考えます
住宅取得等資金の贈与(令和8年12月31日まで・省エネ等住宅1,000万円、その他500万円)や結婚・子育て資金の一括贈与(令和9年3月31日まで)には、それぞれ別の非課税制度があります。教育資金の一括贈与の非課税は令和8年3月31日で新規の適用が終了しました。この計算機の結果と合わせて、使える制度を併用できないか確認すると、さらに有利になる場合があります。
よくある質問
- 相続の限界税率とは何ですか。
- 相続財産の中で、いちばん高い税率が適用される部分に対応する税率のことです。財産の全体に一律にかかる税率ではなく、財産を1円増やしたときに追加でかかる税率と考えるとわかりやすくなります。
- 贈与税の実効税率とはどう違うのですか。
- 実効税率は、贈与した金額全体に対して、実際に納めた贈与税がどれくらいの割合になるかを示したものです。贈与税は累進課税のため、贈与額が大きいほど実効税率も上がっていきます。
- 毎年同じ金額を贈与し続けても大丈夫ですか。
- 毎年同額を、同じ時期に、同じ方法で贈与し続けると、税務署から「最初から総額を分割して贈与する約束だった」とみなされるおそれがあります。贈与のたびに契約書を作るなど、都度の贈与であることがわかる形にしておくことが大切です。
- この計算結果はどこまで信用してよいですか。
- あくまで目安です。この計算機は配偶者がいない前提で限界税率を求め、7年加算は令和13年以後に相続が起きる場合の完成形(7年分)で計算しています(令和6年1月1日以後の贈与から段階的に延びるため、それより前の相続では加算期間はもっと短くなります)。実際には家族構成や財産の内訳、将来の値上がり見込みなど個別の事情によって最適な贈与額は変わります。継続的な贈与を検討する際は税理士に相談することをおすすめします。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 相続税法第15条(遺産に係る基礎控除)、第16条(相続税の総額)、第19条(相続開始前7年以内に贈与があった場合の相続税額)、第21条の5・第21条の7(贈与税の基礎控除・税率)、租税特別措置法第70条の2の4・第70条の2の5(基礎控除110万円・直系尊属からの贈与の特例税率)、相続税法基本通達
- 国税庁タックスアンサー No.4408「贈与税の計算と税率(暦年課税)」/No.4152「相続税の計算」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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