- カテゴリ:消費税
- 根拠:消法30
- 入力2項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
仕入れを課税売上対応・非課税売上対応・共通対応に分ける個別対応方式に対して、そうした区分をせずに、仕入税額全体に課税売上割合を掛けるだけで控除額を計算できるのが一括比例配分方式です。区分の手間が省ける一方、いったん選ぶと2年間は個別対応方式に変更できません。
この計算式を3行でいうと
- 仕入税額控除=課税仕入れ等の税額×課税売上割合、というシンプルな式で計算します。
- 仕入れを課税売上対応・非課税売上対応・共通対応に区分する事務の手間がかかりません。
- 一度選択すると、事業を廃止する場合などを除き、原則として2年間は個別対応方式に変更できません。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
一括比例配分方式
消法30★結果コピーリンク仕入税額の全体に課税売上割合を掛けて控除する簡便な方法。選択後2年継続します。
| 課税仕入税額×割合 | ¥3,600,000 |
こんなときに使います
- 課税売上高が5億円を超える、または課税売上割合が95%未満で、仕入税額の按分計算が必要なとき
- 仕入れを課税売上対応・非課税売上対応・共通対応に区分する事務作業が負担になっているとき
- 個別対応方式との控除額の違いを比べて、どちらを選ぶか検討したいとき
- これから一括比例配分方式を選ぶと、何年間その方法を続ける必要があるのか確認したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 課税仕入れ等の税額 | その課税期間に行った仕入れ・経費全体にかかる消費税額です。個別対応方式のように区分する必要はありません。 | 仕入台帳・経費帳の消費税額を、区分せずそのまま合計します。 |
| 課税売上割合 | 売上全体のうち、課税売上が占める割合です。 | 課税売上割合の計算結果を入力します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 仕入税額の全体を集計する:課税売上対応・非課税売上対応・共通対応を区分せず、その課税期間に行った課税仕入れ等の税額をすべて合計します。
- 課税売上割合を確認する:課税売上を、課税売上と非課税売上の合計で割った割合を使います。
- 掛け合わせて控除額を求める:仕入税額の合計に課税売上割合を掛けた金額が、仕入税額控除の金額になります。
具体例で確かめる
例1 課税仕入れ等の税額400万円、課税売上割合90%のケース
控除額 = 4,000,000円 × 90%
仕入税額控除の金額は360万円
例2 同じ400万円で、課税売上割合が70%まで下がったケース
控除額 = 4,000,000円 × 70%
仕入税額控除の金額は280万円。課税売上割合が下がるほど、控除額は少なくなる
例3 課税仕入れ等の税額600万円、課税売上割合80%のケース
控除額 = 6,000,000円 × 80%
仕入税額控除の金額は480万円。もしこの600万円の大部分が課税売上のみに対応する仕入れなら、個別対応方式で計算したほうが控除額が大きくなる可能性がある
個別対応方式との違い
| 項目 | 一括比例配分方式 | 個別対応方式 |
|---|---|---|
| 仕入れの区分 | 不要(全体をまとめて計算) | 課税売上対応・非課税売上対応・共通対応に区分が必要 |
| 計算の手間 | 少ない | 区分の手間がかかる |
| 継続適用の縛り | 選択後、原則2年間は変更不可 | 特になし |
| 控除額の傾向 | 課税売上対応の仕入れが多くても割合分しか控除できない | 課税売上対応の仕入れは全額控除できる |
ここを間違えやすい
1|選択すると2年間は個別対応方式に戻れません
一括比例配分方式を選ぶと、事業を廃止した場合などを除き、原則として2年間継続して適用したあとでなければ個別対応方式に変更できません。翌期以降の仕入れの見込みも考えたうえで選ぶ必要があります。
2|課税売上のみに対応する仕入れが多い場合は不利になりやすい
課税商品の仕入れなど、課税売上にしか対応しない仕入れが多い事業者は、個別対応方式なら全額控除できるのに、一括比例配分方式では課税売上割合分しか控除できず、不利になることがあります。設備投資などで課税売上のみに対応する支出が一時的に増える見込みがある場合は、選ぶ前に個別対応方式との差を試算しておくと安心です。
3|課税売上割合の算定を誤ると控除額全体がずれます
控除額全体が課税売上割合1つで決まるため、この割合の計算を誤ると仕入税額控除の金額全体に影響します。分母・分子に入れる売上の範囲を正しく確認する必要があります。
4|簡易課税を選んでいる場合はこの計算を使いません
簡易課税制度を選択している事業者は、実際の仕入税額を集計せず、みなし仕入率で控除額を計算します。一括比例配分方式は、本則課税を適用している事業者のための計算方法です。
よくある質問
- 一括比例配分方式と個別対応方式は、途中で変更できますか。
- 一括比例配分方式は、選択後原則2年間継続して適用しないと個別対応方式には変更できません。個別対応方式から一括比例配分方式への変更には、こうした縛りはありません。
- どちらを選べばよいか迷っています。
- 課税売上のみに対応する仕入れが多い事業者は個別対応方式、区分が難しい、または共通対応が中心の事業者は一括比例配分方式が向いている傾向があります。両方で試算して比較することをおすすめします。迷ったときは、直近の決算数値をもとに両方の方式で控除額を計算し、差額と事務負担の両面から判断するとよいでしょう。
- 課税売上割合が95%以上ならこの計算は不要ですか。
- 課税売上高が5億円以下で、かつ課税売上割合が95%以上の事業者は、原則として仕入税額の全額を控除できるため、一括比例配分方式による按分計算は不要です。
- 届出書の提出は必要ですか。
- 一括比例配分方式そのものに事前の届出書は不要で、消費税の確定申告書の中で選択します。ただし、いったん選ぶと2年間の継続適用が必要になる点に注意してください。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 消費税法第30条第2項第2号(一括比例配分方式による仕入税額控除の計算)
- 消費税法第30条第6項(課税売上割合の意義)
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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