インボイス2割特例の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:消費税
  • 根拠:28年改正法附則51の2
  • 入力2項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

インボイスの登録をきっかけに、これまで消費税を納めなくてよかった小さな事業者が新しく課税事業者になるケースが増えています。そうした事業者の負担を軽くするためにできたのが2割特例です。本来は仕入れの内容を細かく集計して納税額を計算しますが、この特例を使えば、売上にかかる消費税額の20%を納めるだけで計算が終わります。2割特例は令和8年9月30日を含む課税期間まで(個人事業者は令和8年分まで)の時限措置ですが、令和8年度税制改正により、個人事業者は令和9年分・令和10年分に限り売上税額の30%を納める3割特例に移行できます。この計算機は2割特例・3割特例のどちらにも対応しています。

この計算式を3行でいうと

  1. 納付税額は「課税標準額に対する消費税額(売上税額)×20%」というシンプルな式で計算します(個人事業者の令和9年分・10年分は3割特例で×30%)。仕入れの領収書を細かく集計する必要はありません。
  2. みなし仕入率80%(3割特例は70%)を適用したのと同じ結果になるため、実際の仕入れが少ない業種ほど有利になりやすい特例です。
  3. 対象はインボイス登録をきっかけに課税事業者になった小規模事業者だけで、申告のたびに本則課税・簡易課税と比べて選べます。2割特例は令和8年9月30日を含む課税期間まで、3割特例は個人事業者の令和9年分・10年分に限られます(法人は3割特例の対象外)。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

インボイス2割特例

28年改正法附則51の2結果コピーリンク

免税事業者からインボイス登録で課税事業者になった小規模事業者は、売上税額の2割を納付する「2割特例」(令和8年9月30日を含む課税期間まで)が使えます。令和8年度改正で、個人事業者は令和9年分・令和10年分に限り3割を納付する「3割特例」に移行します。

2割特例: 納付税額 = 課税標準額に対する消費税額 × 20% 3割特例(個人・R9/R10年分): 納付税額 = 課税標準額に対する消費税額 × 30%
納付税額 ¥600,000(2割特例)
課税標準額に対する消費税額(売上税額)¥3,000,000
×20%(百円未満切捨)¥600,000
適用期間令和8年9月30日を含む課税期間まで(個人事業者は令和8年分まで)
みなし仕入率80%(3割特例は70%)相当。基準期間の課税売上高1,000万円以下等、免税点制度の適用を受けられないこととなる課税期間に限る。法人は3割特例の対象外。申告書に適用を受ける旨を付記。
目次

こんなときに使います

  • これまで免税事業者だったが、インボイスの発行を求められて課税事業者に登録したとき
  • 初めての消費税申告で、本則課税や簡易課税の複雑な計算に自信がないとき
  • 仕入れや経費の消費税を1件ずつ集計する時間がなく、まず納税額を試算したいとき
  • 2割特例と簡易課税、どちらのほうが納税額が少なくなるか比べたいとき
  • 個人事業者で、令和9年分・令和10年分の3割特例に移行した場合の納税額を知りたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
課税標準額に対する消費税額(売上税額)1年間の課税売上高(税抜)に税率を掛けた、売上にかかる消費税だけの金額です。売上高そのものではありません。売上帳や会計ソフトの集計、または前回の消費税申告書の「課税標準額に対する消費税額」欄で確認できます。
区分(0:2割特例/1:3割特例)令和8年9月30日を含む課税期間まで(個人事業者は令和8年分まで)は「0」の2割特例、個人事業者の令和9年分・令和10年分は「1」の3割特例を選びます。申告する課税期間がいつかで決まります。法人は3割特例の対象外なので、令和8年9月30日を含む事業年度の翌事業年度からは本則課税か簡易課税になります。

入力するのはこの2項目だけです。本則課税のように仕入れの消費税を1件ずつ拾い出す作業は不要で、売上側の数字さえわかれば計算できます。売上の値引き・返品(売上に係る対価の返還等)があるときは、その分の消費税額を差し引いた売上税額で計算します。

計算のしくみ(4ステップ)

  1. 対象になるか確認する:インボイス登録をしたことがきっかけで課税事業者になった小規模事業者であることが前提です。登録していなくても基準期間の売上などで課税事業者になる場合は対象外です。
  2. 売上にかかる消費税額を出す:課税売上高(税抜)に税率を掛けて、その課税期間に生じた売上の消費税額を計算します。
  3. 20%(3割特例なら30%)を掛けて納付税額を出す:売上の消費税額に20%を掛けるだけで、そのまま納付税額になります(百円未満切捨て)。仕入税額控除の計算はこの20%の中に織り込まれています。個人事業者の令和9年分・令和10年分は3割特例として30%を掛けます。
  4. 他の方法とも比べてみる:同じ売上・仕入れの数字で本則課税や簡易課税の納付税額も計算し、いちばん少なくなる方法を選べないか確認すると安心です。

この特例はあくまで消費税の納付税額をかんたんに計算するためのものです。所得税や法人税の申告に必要な日々の帳簿づけや請求書の保存そのものは、2割特例を選んでも変わらず必要になります。

具体例で確かめる

例1 課税標準額に対する消費税額(売上税額)300万円・2割特例のケース(この計算機の初期値)

納付税額 = 3,000,000円 × 20%

納付税額60万円 → 仕入れの集計をしなくても、この金額だけで申告できる

例2 個人事業者の令和9年分(3割特例)で、課税標準額に対する消費税額50万円のケース

納付税額 = 500,000円 × 30%

納付税額15万円 → 2割特例なら10万円なので、令和9年分からは同じ売上でも負担が5万円増える

例3 本則課税と比べてみるケース(課税売上の消費税額200万円、実際の課税仕入れの消費税額が60万円だった場合)

2割特例の納付税額 = 2,000,000円 × 20% = 400,000円 本則課税の納付税額 = 2,000,000円 - 600,000円 = 1,400,000円

このケースでは2割特例のほうが100万円ほど納税額が少なくなる(3割特例の60万円と比べても80万円少ない。仕入れが少ない業種ほど差が出やすい)

2割特例・簡易課税・本則課税のちがい

項目2割特例(3割特例)簡易課税本則課税
納付税額の決め方売上の消費税額の一律20%(3割特例は30%)売上の消費税額×みなし仕入率(事業区分で異なる)売上の消費税額-実際の仕入れの消費税額
事前の届出不要(申告書に付記するだけ)必要(原則、適用を受けたい課税期間の前まで)不要(原則的な方法)
仕入れの集計不要不要必要(領収書や請求書ごとに区分)
選べる期間申告のたびに選択できる(2割特例は令和8年9月30日を含む課税期間まで、3割特例は個人事業者の令和9年分・10年分のみ)原則2年間は継続適用簡易課税の届出をしていなければ自動的にこの方法(簡易課税からの切替えには不適用届出書が必要)
向いている事業者仕入れや経費が少なめの業種事業区分ごとの仕入率で概算したい業種仕入れや設備投資が多い業種

ここを間違えやすい

1|誰でも使える特例ではありません

対象になるのは、インボイス登録をしたことがきっかけで課税事業者になった小規模事業者だけです。基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるなど、登録していなくても課税事業者になる事業者は使えません。

2|簡易課税を選んでいても使える場合があります

簡易課税制度選択届出書を提出していても、対象になる課税期間であれば、申告のときに2割特例を選ぶことができます。届出を取り下げる必要はありません。

3|適用できる期間には限りがあります

2割特例は令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間に限った時限措置です。個人事業者は令和8年分の申告まで、法人は令和8年9月30日を含む事業年度までが対象です。令和8年度税制改正で、個人事業者に限り令和9年分・令和10年分は売上税額の30%を納める3割特例が設けられましたが、法人にはこの経過措置がないため、令和8年9月30日を含む事業年度の翌事業年度からは本則課税か簡易課税で申告することになります。

4|仕入れが多い業種ではかえって不利になることがあります

実際の仕入れや経費にかかる消費税が売上の消費税額の80%(3割特例では70%)を超えるような業種では、本則課税で計算したほうが納税額が少なくなる場合があります。申告のたびに試算して比べることをおすすめします。

よくある質問

2割特例を使うのに、税務署への事前の届出は必要ですか。
不要です。消費税の確定申告書にその旨を付記するだけで適用を受けられます。簡易課税のような事前の選択届出書の提出は求められていません。
去年は2割特例を使い、今年は本則課税にすることはできますか。
対象になる課税期間であれば、申告のたびにどの方法を使うかを選べます。前年に2割特例を使ったからといって、翌年も同じ方法を続けなければならないわけではありません。
もともと課税事業者だった場合も使えますか。
使えません。2割特例は、インボイス登録をきっかけに免税事業者から課税事業者になった小規模事業者のための措置です。登録前から基準期間の課税売上高などで課税事業者だった場合は対象外です。
2割特例を使うと、仕入れの請求書は保存しなくてよいですか。
納税額の計算では仕入れ側の請求書を集計する必要はなくなります。ただし、日々の帳簿づけや請求書等の保存義務が別途なくなるわけではないため、通常の記帳・保存は続けてください。
2割特例が終わったあと(令和9年分以降)はどうなりますか。
個人事業者は、令和8年度税制改正により令和9年分・令和10年分に限り売上税額の30%を納める「3割特例」が使えます。2割特例と同じく事前の届出は不要で、申告書に適用を受ける旨を付記します。法人には3割特例がないため、令和8年9月30日を含む事業年度の翌事業年度からは本則課税か簡易課税で申告します。
2割特例をやめて簡易課税に移るとき、届出の期限はいつですか。
原則は適用を受けたい課税期間が始まる前までに簡易課税制度選択届出書を提出しますが、2割特例を適用した課税期間の翌課税期間中に提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できる特例があります。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入に係る改正法附則第51条の2(2割特例に関する経過措置)
  • 令和8年度税制改正(所得税法等の一部を改正する法律)による個人事業者の3割特例(令和9年分・令和10年分)の経過措置
  • 国税庁「2割特例」に関するリーフレット・インボイス制度Q&A
  • 国税庁タックスアンサー No.6505「簡易課税制度」(比較参照)

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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