- カテゴリ:消費税
- 根拠:消法37
- 入力4項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
卸売と小売のように、性質の異なる事業を2つ以上行っている事業者が簡易課税を使うときは、それぞれの事業のみなし仕入率をそのまま使うのではなく、消費税額の大きさに応じて加重平均したみなし仕入率を求めます。売上の割合が大きい事業のみなし仕入率ほど、全体の仕入率に強く反映されるしくみです。
この計算式を3行でいうと
- 2種類以上の事業を営むときは、みなし仕入率=Σ(税額×率)÷Σ税額という式で加重平均します。
- 加重平均したみなし仕入率をもとに、納付税額=合計消費税額×(1-加重平均みなし仕入率)で計算します。
- 1種類の事業の売上が全体の75%以上を占めるときは、加重平均せずその事業のみなし仕入率をそのまま使える特例があります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
簡易課税(加重平均・2事業)
消法37★結果コピーリンク2種類以上の事業があるときは、各事業の消費税額でみなし仕入率を加重平均します。
| 加重平均みなし仕入率 | 76.667% |
| 納付税額 | ¥700,000 |
こんなときに使います
- 卸売業と小売業など、みなし仕入率の異なる事業を2つ以上行っているとき
- 簡易課税を選んでいて、事業ごとの売上構成が変わり、納付税額への影響を確認したいとき
- 単一事業のみなし仕入率をそのまま使ってよいのか、加重平均が必要なのか迷ったとき
- 特定の事業の売上が全体の大部分を占めていて、特例が使えるか確認したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 事業A 消費税額 | 1つ目の事業区分の課税売上高にかかる消費税額です。 | 売上を事業区分ごとに分けて集計した帳簿、消費税申告書の付表で確認します。 |
| A みなし仕入率 | 事業Aが第1種から第6種のどれにあたるかで決まる、仕入率とみなす割合です。 | 簡易課税の事業区分の早見表(1種90%〜6種40%)で確認します。 |
| 事業B 消費税額 | 2つ目の事業区分の課税売上高にかかる消費税額です。 | 事業Aと同様、事業区分ごとに分けて集計します。 |
| B みなし仕入率 | 事業Bが第1種から第6種のどれにあたるかで決まる割合です。 | 同じく早見表で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 事業ごとに消費税額とみなし仕入率を整理する:それぞれの事業区分の課税売上にかかる消費税額と、対応するみなし仕入率を並べます。
- 加重平均のみなし仕入率を求める:それぞれの消費税額にみなし仕入率を掛けたものを合計し、消費税額の合計で割ります。売上が大きい事業の仕入率ほど、結果に強く反映されます。
- 納付税額を計算する:消費税額の合計に、(1-加重平均みなし仕入率)を掛けて納付税額を求めます。
具体例で確かめる
例1 卸売業(200万円・90%)と小売業(100万円・50%)を営むケース
みなし率 =(2,000,000円×90%+1,000,000円×50%)÷(2,000,000円+1,000,000円) =(1,800,000円+500,000円)÷3,000,000円 = 2,300,000円÷3,000,000円
加重平均みなし仕入率は約76.7%。納付税額は3,000,000円×(1-76.7%)で約70万円
例2 サービス業(150万円・50%)と製造業(50万円・70%)を営むケース
みなし率 =(1,500,000円×50%+500,000円×70%)÷(1,500,000円+500,000円) =(750,000円+350,000円)÷2,000,000円 = 1,100,000円÷2,000,000円
加重平均みなし仕入率は55%。納付税額は2,000,000円×(1-55%)で90万円
例3 卸売業800万円(90%)がサービス業200万円(50%)を大きく上回るケース
卸売業の消費税額800万円は、合計1,000万円のうち80%を占め、75%以上の特例に該当 特例を使う場合:納付税額 = 10,000,000円 ×(1-90%) = 1,000,000円 加重平均のまま計算した場合:みなし率82%、納付税額 = 10,000,000円 ×(1-82%) = 1,800,000円
75%特例を使うと納付税額は100万円。加重平均のまま計算するより80万円少なくなる
ここを間違えやすい
1|単純な平均ではありません
「(90%+50%)÷2=70%」のように事業数で単純に割ってはいけません。消費税額の大きさで重みをつけた加重平均を使うため、売上構成によって結果が大きく変わります。
2|1つの事業が75%以上を占めるときは特例があります
営んでいる事業のうち1種類の課税売上高が全体の75%以上を占める場合は、加重平均をせず、その1種類のみなし仕入率をそのまま全体に適用できる特例があります。該当するかどうかは、事業ごとの売上構成をもとに確認してください。
3|事業区分の判定は取引ごとに行います
会社全体でどの事業が中心かではなく、1つひとつの売上取引ごとに、どの事業区分にあたるかを判定して分けて集計する必要があります。区分ごとの集計を怠ると、加重平均の計算自体ができません。
4|3種類以上の事業がある場合も考え方は同じです
3種類以上の事業を営んでいる場合も、それぞれの消費税額とみなし仕入率を並べて同じように加重平均します。このほか、2種類の事業の売上合計が75%以上を占める場合の特例もあります。
よくある質問
- 事業区分ごとに売上を分けて記帳していない場合はどうなりますか。
- 区分がわからない売上は、その中でいちばんみなし仕入率が低い事業として扱われます。区分ごとに正確に記帳しておくことで、有利な仕入率を適用できます。
- 75%特例を使うと必ず有利になりますか。
- 必ずしもそうとは限りません。75%を占める事業のみなし仕入率が低い区分の場合は、加重平均のほうが有利なこともあります。両方を試算して比較することをおすすめします。
- 3種類以上の事業を行っている場合、この計算機は使えますか。
- このページの計算機は2事業までの加重平均を扱う簡易な内容です。3種類以上の場合も考え方は同じですが、区分が増えるほど集計は複雑になるため、専門家への相談をおすすめします。
- 年の途中で事業内容が変わった場合はどうなりますか。
- その課税期間中に発生した売上を、実際に行った事業区分ごとに集計して加重平均します。年の途中で事業を追加・廃止しても、区分ごとの実績をもとに計算する点は変わりません。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 消費税法第37条(中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例)
- 消費税法施行令第57条(事業区分及びみなし仕入率。2種類以上の事業を営む場合の計算を含む)
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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