ネット試験40分・70点で合格。その70点だけを最短距離で取りにいく、全741問すべて書き下ろしの無料テキストです。選択問題はタップした瞬間に採点、模擬試験は100点満点で自動集計。あなたの進み具合はこの端末に自動保存されます。
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第0章受験ガイド:40分で70点を取り切る設計図0 / 15▼
試験の形・配点・合格ラインを先に知る。ここを読むだけで、学習の無駄が半分に減ります。
- 日商簿記初級がどんな試験なのかを、数字で正確につかむ
- 第1問・第2問・第3問で何点取れば合格できるかを決める
- 自分の受験日から逆算した学習スケジュールを組む
1. 日商簿記初級とはどんな試験か
日商簿記初級は、日本商工会議所が実施する簿記検定の入門級です。2017年度に、それまでの4級に代わって新設されました。
目的は「小規模企業の経理担当者や経理に関わる事務担当者が、基本的な用語と複式簿記のしくみを理解し、日常業務に活用できること」です。決算や財務諸表の作成までは求められません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験方式 | ネット試験(CBT)。会場のパソコンで受験し、終了と同時に自動採点される |
| 試験日 | 随時。会場ごとに日程が設定される(定期実施と随時実施がある) |
| 試験時間 | 40分 |
| 配点 | 100点満点 |
| 合格基準 | 70点以上 |
| 受験料 | 2,200円(税込)。これに事務手数料が加わる。インターネット申込方式は550円、会場問い合わせ方式は施行機関により異なる(0円のこともある) |
| 受験資格 | 制限なし。誰でも受験できる |
| 試験会場 | 全国のネット試験会場(申込方式により会場数が異なる)。初級は一部会場のみでの実施となるため、受験できる会場は必ず事前に確認する |
| 出題形式 | 選択式(試算表の欄には数値を入力する) |
| 結果発表 | 試験終了後ただちに自動採点。スコアレポートが渡され、合格者はデジタル合格証を取得できる |
受験料・手数料・会場運用は変更されることがあります。申し込み前に商工会議所の検定試験サイトで最新の案内を確認してください。
初級は随時実施です。統一試験のように「次は3か月後」ということがありません。
だからこそ、完璧を目指して先延ばしにするより、7割の完成度で申し込んでしまうほうが結果的に早く合格できます。
2. 合格率は約55パーセントから60パーセント
受験者数と合格率は、商工会議所が年度ごとに公表しています。直近5期分は次のとおりです。
| 期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2022年4月から2023年3月 | 3,353 | 2,062 | 61.5 |
| 2023年4月から2024年3月 | 3,271 | 1,960 | 59.9 |
| 2024年4月から2025年3月 | 3,308 | 1,899 | 57.4 |
| 2025年4月から2026年3月 | 3,978 | 2,179 | 54.8 |
| 2026年4月から2026年6月 | 741 | 454 | 61.3 |
単位は人と パーセント。入門級とはいえ、4割前後は不合格になっています。準備なしで受かる試験ではありません。
合格率は約6割。裏を返せば、4割は落ちています。
落ちる人の典型は、用語をなんとなく眺めただけで仕訳を手で書かなかった人です。簿記は読む科目ではなく、書く科目です。
3. 出題は3つの大問。配点はここで決まる
商工会議所が公開しているサンプル問題によると、出題は次の3構成です。
| 大問 | 内容 | 配点 | 小問数 | 形式 |
|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 簿記の基礎概念と用語 | 30 | 10 | 選択(空欄に入る語句を選ぶ) |
| 第2問 | 仕訳 | 40 | 10 | 選択(借方科目・貸方科目・金額を選ぶ) |
| 第3問 | 月次の合計残高試算表の作成と読み取り | 30 | 数問 | 数値入力 |
| 合計 | – | 100 | – | – |
70点の作り方を先に決めておくと、当日の判断が速くなります。おすすめは次の配分です。
| 作戦 | 第1問 | 第2問 | 第3問 | 合計 |
|---|---|---|---|---|
| 標準(仕訳で稼ぐ) | 24 | 36 | 18 | 78 |
| 安全(全部そこそこ) | 24 | 32 | 21 | 77 |
| 試算表が苦手な人 | 27 | 36 | 9 | 72 |
どの作戦でも共通するのは、第2問の仕訳40点を落とさないことです。ここが勝負どころです。
4. 出題範囲は3本柱だけ
覚える範囲は驚くほど限られています。公式の出題範囲は次の3つに整理されています。
| 大項目 | 中身 | 本テキスト |
|---|---|---|
| 1 簿記の基本原理 | 基礎概念(5要素、2つの計算書) | 第1章・第2章 |
| 取引(意義と種類、8要素の結合関係) | 第3章 | |
| 勘定(分類、記入法則、仕訳、貸借平均の原理) | 第4章・第5章 | |
| 帳簿(主要簿と補助簿) | 第6章・第18章 | |
| 証ひょうと伝票 | 第17章 | |
| 2 期中取引の処理 | 現金預金 | 第8章 |
| 売掛金と買掛金、クレジット売掛金 | 第10章 | |
| その他の債権と債務 | 第11章 | |
| 手形、電子記録債権・債務 | 第12章 | |
| 商品(3分法、返品) | 第9章 | |
| 固定資産(取得、土地の売却、減価償却) | 第13章 | |
| 純資産(個人企業の資本金) | 第14章 | |
| 収益と費用 | 第15章 | |
| 税金(所得税、固定資産税、印紙税、消費税) | 第16章 | |
| 3 月次の集計 | 試算表(合計・残高・合計残高)と数値の読み取り | 第7章・第19章 |
範囲外を勉強しないことも立派な戦略です。次は初級では出ません。
- 決算整理(売上原価の算定、貸倒引当金、経過勘定、減価償却の年次計上)
- 精算表、財務諸表の作成、帳簿の締切り
- 現金過不足、当座借越、小口現金
- 建物・備品・車両運搬具の売却(売却は土地のみ)
- 株式会社の資本金(2026年度時点。2027年度から追加されます)
- 商品有高帳の先入先出法・移動平均法の計算
5. 2027年4月から出題範囲が変わる
商工会議所は、2027年度(2027年4月1日から2028年3月31日)の試験に適用する出題範囲を公表しています。初級については2点の変更があります。
| 論点 | 2026年度の試験 | 2027年度からの試験 |
|---|---|---|
| 小切手・手形 | 出題される | すべて削除(紙の小切手と手形の廃止に伴う) |
| 電子記録債権・債務 | 出題される | 引き続き出題される(手形が消えるぶん、相対的に重要度は高まると考えられる) |
| 株式会社の資本金 | 出題されない | 追加(設立時・増資時の株式発行。発行価額の総額を資本金とする) |
| 個人企業の資本金 | 出題される | 引き続き出題される |
2026年度中に施行される試験には、2022年度適用の出題範囲が使われます。本テキストは2026年度の範囲を本体とし、2027年度の変更点は該当章で注記しています。
2027年3月31日までに受験するなら、手形(第12章の前半)は必ず学習してください。
2027年4月以降に受験するなら、手形は飛ばして電子記録債権・債務に集中し、株式会社の資本金(第14章の最後)を追加で押さえてください。
6. 4週間の学習ロードマップ
1日1時間、週5日というペースを前提にした標準プランです。すでに簿記に触れたことがある人は2週間に圧縮できます。
| 週 | やること | 本テキスト | 目安 |
|---|---|---|---|
| 1週目 | 簿記のしくみを丸ごと理解する。仕訳の型を体に入れる | 第1章から第7章 | 6時間 |
| 2週目 | 取引ごとの処理をひととおり。ここが第2問の得点源 | 第8章から第14章 | 6時間 |
| 3週目 | 科目の使い分け、税金、伝票、補助簿、試算表 | 第15章から第19章 | 5時間 |
| 4週目 | 仕訳ドリル100本ノック、一問一答60、模擬試験4回 | 特別演習・第20章 | 3時間 |
簿記は、あとの章を読んではじめて前の章が腑に落ちる科目です。第4章でつまずいても止まらず、まず最後まで通してください。
2周目の理解速度は1周目の3倍になります。止まる時間より、回す回数です。
7. 本テキストの使い方
- 各章のはじめにある「この章のゴール」を読み、何ができるようになるかを先に把握する
- 本文を読む。図解と POINT・注意・暗記のボックスは飛ばさない
- 例題を、解説を見る前に自分で解く。手を動かさない読書は効果が半減します
- 章末演習を解く。解答は折りたたまれているので、必ず自分の答えを決めてから開く
- 間違えた問題の番号を控え、翌日にもう一度解く
- 全章を終えたら、仕訳ドリル100本ノックを3周する
- 模擬試験を40分計って解き、70点を超えたら申し込む
章末演習、仕訳ドリル100本ノック、一問一答60、模擬試験4回を合わせると700問を超えます。
全部やる必要はありません。第2問対策の仕訳を最優先にし、時間があれば一問一答と試算表に広げてください。
- 40分・100点満点・70点以上で合格。ネット試験なので随時受けられ、結果もその場で出る
- 第1問30点(用語)・第2問40点(仕訳)・第3問30点(試算表)。勝負は第2問
- 2027年4月から手形が範囲外になり、株式会社の資本金が加わる
章末演習(15問)
日商簿記初級の試験時間と合格基準の組み合わせとして正しいものはどれですか。
解答と解説
正解
イ 40分・100点満点で70点以上
解説
初級は40分、100点満点で70点以上が合格です。3級の60分・2級の90分と混同しないようにします。
日商簿記初級の試験方式として正しいものはどれですか。
解答と解説
正解
イ ネット試験(CBT)で随時実施
解説
初級はネット試験のみです。会場ごとに日程が設定され、随時受験できます。
日商簿記初級には受験資格の制限があり、簿記の学習歴が必要である。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
受験資格に制限はありません。誰でも受験できます。
本試験の第2問(仕訳)の配点はいくらですか。
解答と解説
正解
イ 40点
解説
第1問30点・第2問40点・第3問30点の構成です。最大配点の第2問が合否を分けます。
本試験の第3問で問われる内容はどれですか。
解答と解説
正解
ウ 月次の合計残高試算表の作成と数値の読み取り
解説
初級では決算整理も財務諸表の作成も出ません。第3問は月次の試算表です。
第1問で24点、第2問で32点を取りました。合格するには第3問で最低何点が必要ですか。
解答と解説
正解
14 点
解説
合格には70点必要です。70 - 24 - 32 = 14点。第3問の3割ほどで届きます。
第2問は10問で40点です。1問あたりの配点はいくらですか。
解答と解説
正解
4 点
解説
40点 ÷ 10問 = 4点。第1問の1問3点より重いので、優先して確保します。
2026年度に施行される簿記初級の試験に適用される出題範囲はどれですか。
解答と解説
正解
ア 2022年度適用の出題範囲
解説
2026年度中の試験には2022年度適用の出題範囲が使われます。2027年度適用のものは2027年4月からです。
2027年4月から適用される出題範囲において、簿記初級で削除されるのはどれですか。
解答と解説
正解
ウ 小切手および手形に関する問題
解説
紙の小切手と手形の廃止に伴い、手形に関する問題がすべて削除されます。電子記録債権・債務は残ります。
2027年4月から適用される出題範囲において、簿記初級に追加されるのはどれですか。
解答と解説
正解
イ 株式会社の株式発行による資本金
解説
会社設立時と増資時の株式発行が加わります。発行価額の総額を資本金とする単純な処理に限られます。
簿記初級では、建物や備品を売却したときの仕訳が出題される。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
有形固定資産の売却は土地のみが範囲です。建物・備品・車両運搬具の売却は出ません。
簿記初級では、決算整理としての減価償却は出題されず、見積額を毎月計上する方法だけが出題される。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
初級の減価償却は月次の見積計上のみです。年間の償却費を決算で一括計上する形は出ません。
ある年度の簿記初級の受験者数は 3,978人、合格者数は 2,179人でした。合格率は小数第1位を四捨五入すると何パーセントですか。整数で答えなさい。
解答と解説
正解
55 パーセント
解説
2,179 ÷ 3,978 = 0.5477…。四捨五入して55パーセントです。公表値は54.8パーセントでした。
簿記初級の学習方針として、最も効率がよいものはどれですか。
解答と解説
正解
ウ 第2問の仕訳を最優先で反復し、そのうえで用語と試算表に広げる
解説
配点が最も大きいのは第2問の40点です。仕訳が書けるようになると、第1問と第3問の理解も自然に進みます。
受験料は 2,200円(税込)で、インターネット申込方式の事務手数料は 550円です。2回受験した場合の合計負担額はいくらですか。
解答と解説
正解
5,500 円
解説
1回あたり 2,200 + 550 = 2,750円。2回で 5,500円です。
第1章簿記の目的と5つの要素0 / 18▼
簿記が何のためにあるのかを理解し、すべての勘定科目を資産・負債・純資産・収益・費用の5つに正しく仕分けられるようになります。
- 簿記が何のために行われるのかを、自分の言葉で説明できる。
- 勘定科目を見た瞬間に、資産・負債・純資産・収益・費用のどれかを判定できる。
- 「資産 = 負債 + 純資産」と「収益 - 費用 = 当期純利益」の2本の式で、空欄の金額を求められる。
1 簿記は何のために行うのか
簿記とは、お店や会社のお金とモノの動きを、決まったルールで金額に置き換えて記録し、集計し、報告するための技術です。日々の出来事をただメモする作業ではありません。記録の先には必ず「誰かに説明する」という目的があります。
簿記が答えを出したいことは、たった2つです。
- いま、どれだけの財産を持っているか(財政状態)
- 一定の期間で、どれだけもうけたか(経営成績)
前者をまとめた報告書が貸借対照表、後者をまとめた報告書が損益計算書です。この2つの関係は第2章でくわしく学びます。
1-1 説明する相手は「外部」と「内部」の2種類
- 外部の人:銀行、税務署、取引先など。お金を貸してよいか、税金はいくらか、取引を続けてよいかを判断します。
- 内部の人:経営者と従業員。どの商品がもうかっているか、経費を使いすぎていないかを判断します。
どちらの相手にも共通するのは、言葉ではなく金額で示さないと納得してもらえないという点です。だから簿記は、すべての出来事を金額に置き換えます。
取引が起きる
仕訳で記録する
勘定に転記する
試算表で集計する
報告書にまとめる
この章で学ぶのは、STEP1からSTEP5までのすべてを支える「ものの見方」です。ここがぐらつくと、あとの章がすべて丸暗記になります。
簿記の目的は「財産の状態」と「期間のもうけ」を金額で示すことです。この2つを常に頭に置いておくと、どの勘定科目がどちらの報告書に載るのかで迷わなくなります。
2 単式簿記と複式簿記はどこが違うのか
家計簿は、現金が増えた減ったを1本の線で書き並べます。これを単式簿記といいます。手軽ですが、分かるのは現金の残高だけです。「なぜ増えたのか」「借りたお金がいくら残っているのか」は記録に残りません。
これに対して複式簿記は、1つの取引を必ず2つの面から捉えます。お金が動いた「結果」と、その「原因」を、同じ金額で同時に記録するのです。
たとえば、銀行から現金 500,000円 を借りたとします。
複式簿記では、記録は必ず左と右に分かれます。左を借方、右を貸方と呼びます。読み方は「かりかた」「かしかた」です。この2つの言葉に深い意味はありません。単に「左」「右」を指す簿記の専門用語だと割り切ってください。
借方と貸方のどちらが左かで迷ったら、ひらがなの形を思い出します。「かりかた」の「り」は、最後を左へはらいます。「かしかた」の「し」は、最後を右へはねます。りは左、しは右。この一言で一生迷いません。
3 すべての勘定科目は5つの要素のどれかに入る
簿記では、記録の見出しになる名前を勘定科目と呼びます。現金、売掛金、買掛金、売上、給料などがそれです。日商簿記初級で使う勘定科目は約50個ありますが、そのすべてが次の5つの要素のどれか1つに必ず入ります。
3-1 資産:プラスの財産と、受け取る権利
資産とは、いま持っているプラスの財産と、将来お金やモノを受け取れる権利のことです。次の3種類に分けると整理しやすくなります。
- お金そのもの:現金/普通預金/当座預金/定期預金
- 受け取る権利:売掛金/クレジット売掛金/受取手形/電子記録債権/貸付金/未収入金/立替金/前払金
- 事業に使うモノ:繰越商品/備品/車両運搬具/建物/土地
3-2 負債:将来お金を払う義務
負債とは、将来お金を払ったり、モノを引き渡したりしなければならない義務です。「マイナスの財産」と言い換えられます。買掛金/支払手形/電子記録債務/借入金/未払金/前受金/預り金/仮受消費税などが該当します。
3-3 純資産(資本):資産から負債を引いた正味の財産
持っている財産が 1,000,000円 あっても、そのうち 600,000円 が借りたお金なら、本当に自分のものは 400,000円 です。この正味の部分を純資産(または資本)といいます。
2026年度の日商簿記初級では、純資産に入る勘定科目は資本金ただ1つです。個人企業の店主が事業に出したお金と、事業で稼いで店に残したもうけが、資本金として積み上がっていきます。
3-4 収益:純資産を増やした原因
収益とは、商売の活動によって純資産を増やした原因です。商品を売った売上、部屋を貸して受け取った受取家賃、手数料や利息の受取りなどが収益にあたります。
ここで大事なのは、お金が増えたこと自体は収益ではないという点です。銀行からお金を借りれば現金は増えますが、返す義務も同じだけ増えるので純資産は1円も増えません。だから借入は収益ではありません。
3-5 費用:純資産を減らした原因
費用とは、収益を得るために使ってしまい、純資産を減らした原因です。商品を買うために使った仕入、従業員に払った給料、店の家賃、電気代、通信費などが費用です。
ここでも同じ考え方が働きます。借りたお金を返せば現金は減りますが、返す義務も同時に消えるので純資産は減りません。だから借入金の返済は費用ではありません。
| 要素 | どんなものか | 増えたら | 代表的な勘定科目 |
|---|---|---|---|
| 資産 | プラスの財産と、お金やモノを受け取る権利 | 借方(左) | 現金/普通預金/売掛金/貸付金/前払金/繰越商品/備品/建物/土地 |
| 負債 | 将来お金を払う義務(マイナスの財産) | 貸方(右) | 買掛金/借入金/未払金/前受金/預り金/仮受消費税 |
| 純資産 | 資産から負債を引いた正味の財産 | 貸方(右) | 資本金 |
| 収益 | 純資産を増やした原因 | 貸方(右) | 売上/受取家賃/受取地代/受取手数料/受取利息/固定資産売却益 |
| 費用 | 純資産を減らした原因 | 借方(左) | 仕入/給料/支払家賃/広告宣伝費/通信費/水道光熱費/支払利息/減価償却費 |
増えたときに左(借方)に書くのは「資産」と「費用」の2つだけです。頭文字をつないで「シとヒはヒダリ」と唱えてください。残る負債・純資産・収益の3つは、増えたら必ず右(貸方)です。
イメージで押さえるなら、左の箱には「持っているもの・使ったもの」、右の箱には「そのお金がどこから来たのか」を入れます。左は使いみち、右は出どころです。
将来お金が入るか、
事業で使えるモノか
はい → 資産
将来お金を払う
義務があるか
はい → 負債
店主が出したお金か、
資産と負債の差額か
はい → 純資産
純資産を増やした
原因か
はい → 収益
純資産を減らした
原因か
はい → 費用
STEP1から順に「はい」「いいえ」で答えていけば、どの勘定科目も必ずどこか1か所で止まります。名前の印象で決めず、必ずこの順で当てはめてください。
4 2本の等式ですべてがつながる
4-1 資産 = 負債 + 純資産
いま持っている財産(資産)は、必ずどこかから調達してきたものです。他人から借りて調達したなら負債、自分で出したりもうけたりして調達したなら純資産です。だから、次の式が必ず成り立ちます。
資産 = 負債 + 純資産
この式を貸借対照表等式といいます。左辺の資産が貸借対照表の左側に、右辺の負債と純資産が右側に並びます。
| 借方(左) | 貸方(右) |
|---|---|
| 資産 1,200,000円 | 負債 500,000円 純資産 700,000円 |
左右の合計は必ず一致します。左が 1,200,000円 なら、右も 500,000円 + 700,000円 = 1,200,000円 です。
4-2 純資産 = 資産 - 負債
上の式を移項すると次の式になります。これを資本等式といいます。
純資産 = 資産 - 負債
試験では「資産と負債を与えて純資産を答えさせる」「負債と純資産を与えて資産を答えさせる」という出題が繰り返されます。式を1本覚えておけば、あとは移項するだけです。
4-3 収益 - 費用 = 当期純利益
一定の期間に得た収益から、その期間に使った費用を差し引いた残りが当期純利益です。
収益 - 費用 = 当期純利益
費用のほうが大きければ答えはマイナスになり、これを当期純損失と呼びます。当期純利益は、そのまま純資産を増やします。もうけた分だけ店の正味財産が厚くなる、ということです。
覚える式は次の2本だけです。
資産 = 負債 + 純資産
収益 - 費用 = 当期純利益
この2本があれば、純資産 = 資産 - 負債 も、負債 = 資産 - 純資産 も、その場で作れます。式を何本も丸暗記する必要はありません。
5 初学者がつまずく科目を先につぶす
5-1 「先渡しは資産、先受けは負債」
名前がよく似ていて、資産と負債が入れ替わるペアがあります。ここは第1問で必ず狙われます。判定のコツはただ1つ、自分と相手のどちらが先に渡したかを考えることです。
| 場面 | 資産になる科目 | なぜ資産か | 負債になる科目 | なぜ負債か |
|---|---|---|---|---|
| 商品代金の前払い・前受け | 前払金 | 先に代金を払った。あとで商品を受け取る権利が残る | 前受金 | 先に代金を受け取った。あとで商品を渡す義務が残る |
| お金の貸し借り | 貸付金 | 先にお金を渡した。返してもらう権利が残る | 借入金 | 先にお金を受け取った。返す義務が残る |
| 商品以外の売り買い | 未収入金 | 先にモノを渡した。代金を受け取る権利が残る | 未払金 | 先にモノを受け取った。代金を払う義務が残る |
| 他人のお金の立替え・預かり | 立替金 | 先に他人の分を払った。返してもらう権利が残る | 預り金 | 先にお金を預かった。あとで納める義務が残る |
「先渡しは資産、先受けは負債」。この10文字だけ覚えてください。
イメージは手のひらです。自分が先に差し出したなら、その手はまだ空っぽです。だから「返して」と言える権利が残る、つまり資産です。自分が先に受け取ったなら、手の上に相手のものが乗っています。だからいずれ返す義務が残る、つまり負債です。前払金・貸付金・未収入金・立替金はすべて「先に差し出した側」、前受金・借入金・未払金・預り金はすべて「先に受け取った側」です。
5-2 売上は収益、仕入は費用
商品を売って受け取る金額が売上で、これは収益です。ここで迷う人はほとんどいません。問題は仕入のほうです。
「商品を買ったのだから、モノが手元に増えて資産ではないか」と考える人が必ずいます。しかし初級で学ぶ3分法という方法では、商品を買った時点で全額を仕入という費用にします。売れ残りの調整は初級では行いません。
ですから、勘定科目の「仕入」を見たら、迷わず費用と答えてください。資産の「繰越商品」とは別の科目です。
「仕入」は費用、「繰越商品」は資産です。どちらも商品に関係しますが、要素はまったく違います。また「売上」は収益ですが、代金をまだもらっていないときに使う「売掛金」は資産です。もうけの科目と、権利の科目を混ぜないこと。これが第1問攻略の要です。
5-3 資本金は純資産、借入金は負債
どちらも「外から事業に入ってきたお金」ですが、決定的な違いがあります。返す義務があるかどうかです。
- 借入金:銀行などから借りたお金。期限が来たら返さなければなりません。だから負債です。
- 資本金:店主が自分の事業に出したお金。誰かに返す約束はありません。だから純資産です。
個人企業では、店主が事業のお金を私用で使うこともあります。初級ではこの場合、資本金を直接減らす形で処理します。くわしくは第14章で学びます。
5-4 減価償却累計額は「資産のマイナス」
備品や車両運搬具は、使ううちに価値が下がります。その下がった分をためておく箱が減価償却累計額です。
この科目は5要素の分類でとくに間違えられます。名前に「償却」「累計」と付くので費用だと思いがちですが、費用は減価償却費のほうです。減価償却累計額は資産のマイナスとして働く科目で、貸借対照表では資産の欄に、備品などから差し引く形で表示します。
資産のマイナスなので、増えたときの記入面も資産とは逆で、貸方(右)になります。
減価償却「費」は費用、減価償却「累計額」は資産のマイナスです。1文字の違いで要素が変わります。試験では「費」が付いているかどうかを必ず確認してください。
次の勘定科目は、資産・負債・純資産・収益・費用のどれに属しますか。
- 売掛金
- 借入金
- 受取手数料
- 支払家賃
- 資本金
- 前受金
- 立替金
- 減価償却累計額
解き方の実況
- 売掛金は「商品を売ったが、まだもらっていない代金」です。先に商品を渡しているので受け取る権利が残ります。よって資産。
- 借入金は借りたお金で、返す義務があります。よって負債。
- 受取手数料は「受取」で始まる科目です。もうけを増やす原因なので収益。
- 支払家賃は店を借りて払った家賃です。もうけを減らす原因なので費用。
- 資本金は店主が出したお金で、返す義務がありません。よって純資産。
- 前受金は「先に受け取った」側です。商品を渡す義務が残るので負債。
- 立替金は「先に他人の分を払った」側です。返してもらう権利が残るので資産。
- 減価償却累計額は資産のマイナスとして働きます。分類は資産の側であり、費用ではありません。
「受取」で始まれば収益、「支払」で始まれば費用、というのは強力な手がかりです。ただし受取手形だけは例外で、これは資産です。手形は第12章で学びます。
ある雑貨店の8月末の資料は次のとおりです。
| 科目 | 金額 | 科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 180,000円 | 備品 | 300,000円 |
| 普通預金 | 640,000円 | 買掛金 | 190,000円 |
| 売掛金 | 250,000円 | 借入金 | 400,000円 |
また、8月中の収益と費用は、売上 820,000円/受取手数料 30,000円/仕入 510,000円/給料 160,000円/支払家賃 70,000円 でした。
(1) 資産総額 (2) 負債総額 (3) 8月末の純資産 (4) 8月の当期純利益 を求めなさい。
解き方の実況
- まず6つの科目を5要素に振り分けます。現金・普通預金・売掛金・備品が資産、買掛金・借入金が負債です。ここを混ぜたら終わりです。
- 資産総額は 180,000円 + 640,000円 + 250,000円 + 300,000円 = 1,370,000円。
- 負債総額は 190,000円 + 400,000円 = 590,000円。
- 純資産 = 資産 - 負債 なので、1,370,000円 - 590,000円 = 780,000円。
- 収益は売上と受取手数料で 820,000円 + 30,000円 = 850,000円。費用は仕入と給料と支払家賃で 510,000円 + 160,000円 + 70,000円 = 740,000円。
- 当期純利益 = 収益 - 費用 なので、850,000円 - 740,000円 = 110,000円。
資産の合計に買掛金や借入金を混ぜてしまうのが最大の失点パターンです。電卓を叩く前に、必ず要素を書き分けてください。
- 簿記は財産の状態と期間のもうけを金額で示す技術で、1つの取引を必ず2つの面から記録するのが複式簿記です。
- すべての勘定科目は資産・負債・純資産・収益・費用のどれかに入り、増えたときに左へ書くのは資産と費用の2つだけです。
- 資産 = 負債 + 純資産、収益 - 費用 = 当期純利益。この2本の式で第1問の計算問題はすべて解けます。
章末演習(18問)
次のうち、資産に属する勘定科目はどれですか。
解答と解説
正解
イ 前払金
解説
前払金は代金を先に払った側の科目で、あとで商品を受け取る権利が残ります。権利は資産です。前受金は先に受け取った側なので負債、資本金は純資産、売上は収益です。
次のうち、負債に属する勘定科目はどれですか。
解答と解説
正解
ウ 借入金
解説
借入金は借りたお金で、期限が来たら返す義務があります。義務は負債です。貸付金と立替金は先にお金を渡した側なので資産、受取利息は収益です。
複式簿記では、1つの取引を必ず2つの面から捉えて記録する。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
複式簿記の核心は、お金が動いた結果と、その原因を同じ金額でセットにして記録する点にあります。これによって財産の状態ともうけの両方が同時に分かります。
次のうち、収益に属する勘定科目はどれですか。
解答と解説
正解
イ 売上
解説
売上は商品を売って純資産を増やした原因なので収益です。仕入は3分法により買った時点で費用となり、繰越商品は資産、買掛金は負債です。
資本金は店主に返す義務があるため、負債に分類される。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
資本金は店主が自分の事業に出したお金で、誰かに返す約束はありません。返す義務がないので負債ではなく、純資産に分類されます。
ある店の資産総額は 900,000円、負債総額は 350,000円です。純資産はいくらですか。
解答と解説
正解
550,000 円
解説
純資産 = 資産 - 負債 です。900,000円 - 350,000円 = 550,000円 となります。持っている財産のうち、借りた分を除いた正味の部分が純資産です。
次のうち、費用に属する勘定科目はどれですか。
解答と解説
正解
ウ 支払家賃
解説
支払家賃は店を借りるために使った金額で、純資産を減らした原因なので費用です。受取家賃は収益、前払金と未収入金は受け取る権利なので資産です。
資産が増えたときは、借方(左側)に記入する。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
増えたときに左(借方)へ記入するのは資産と費用の2つだけです。負債・純資産・収益は、増えたときに右(貸方)へ記入します。
商品を引き渡す前に、その代金だけを先に受け取ったときに使う勘定科目はどれですか。
解答と解説
正解
イ 前受金
解説
代金を先に受け取った側は、あとで商品を引き渡す義務を負います。義務なので負債であり、使う科目は前受金です。先に払った側なら前払金となり、こちらは資産です。
ある店の負債総額は 480,000円、純資産は 720,000円です。資産総額はいくらですか。
解答と解説
正解
1,200,000 円
解説
資産 = 負債 + 純資産 です。480,000円 + 720,000円 = 1,200,000円 となります。財産は必ず負債か純資産のどちらかで調達されているため、この式は常に成り立ちます。
当月の収益合計は 940,000円、費用合計は 655,000円でした。当期純利益はいくらですか。
解答と解説
正解
285,000 円
解説
当期純利益 = 収益 - 費用 です。940,000円 - 655,000円 = 285,000円 となります。この利益はそのまま純資産を増やします。
減価償却累計額の分類として正しいものはどれですか。
解答と解説
正解
ウ 資産のマイナスとして働く
解説
減価償却累計額は、備品などの価値の減少分をためておく科目で、貸借対照表では資産から差し引く形で表示します。費用となるのは減価償却費のほうで、名前が似ているだけで要素は異なります。
従業員の給料から差し引いて預かった所得税は、預り金として資産に計上する。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
預かったお金は、あとで本人に代わって納める義務があります。義務は負債なので、預り金は資産ではなく負債に分類されます。
純資産の金額を求める式として正しいものはどれですか。
解答と解説
正解
イ 資産 - 負債
解説
資産 = 負債 + 純資産 を移項すると、純資産 = 資産 - 負債 になります。収益 - 費用 は当期純利益を求める式であり、純資産そのものの金額を表す式ではありません。
次の資料から資産総額を求めなさい。現金 120,000円/普通預金 450,000円/売掛金 230,000円/備品 200,000円/買掛金 160,000円/借入金 300,000円
解答と解説
正解
1,000,000 円
解説
資産は現金・普通預金・売掛金・備品の4つです。120,000円 + 450,000円 + 230,000円 + 200,000円 = 1,000,000円 となります。買掛金と借入金は払う義務なので負債であり、資産総額には加えません。
当期末の資産総額は 2,450,000円、負債総額は 980,000円です。当期の収益合計は 1,320,000円、費用合計は 1,105,000円でした。当期中に追加元入れと引出しはありません。期首の純資産はいくらですか。
解答と解説
正解
1,255,000 円
解説
期末の純資産は 2,450,000円 - 980,000円 = 1,470,000円 です。当期純利益は 1,320,000円 - 1,105,000円 = 215,000円 で、この分だけ純資産が増えています。したがって期首の純資産は 1,470,000円 - 215,000円 = 1,255,000円 です。
次の資料から純資産の金額を求めなさい。現金 95,000円/当座預金 720,000円/売掛金 340,000円/繰越商品 180,000円/車両運搬具 850,000円/買掛金 265,000円/未払金 130,000円/借入金 600,000円/預り金 45,000円
解答と解説
正解
1,145,000 円
解説
資産は現金・当座預金・売掛金・繰越商品・車両運搬具の5つで、合計 2,185,000円 です。負債は買掛金・未払金・借入金・預り金の4つで、合計 1,040,000円 です。純資産 = 資産 - 負債 なので、2,185,000円 - 1,040,000円 = 1,145,000円 となります。
勘定科目と5要素の組合せとして、誤っているものはどれですか。
解答と解説
正解
エ 固定資産売却益は費用である
解説
固定資産売却益は、土地などを帳簿の金額より高く売ったときに生じるもうけで、純資産を増やす原因なので収益です。クレジット売掛金は受け取る権利なので資産、仮受消費税は預かって納める義務なので負債、発送費は費用であり、これらの組合せは正しいものです。
第2章貸借対照表と損益計算書のつながり0 / 18▼
2つの計算書が「いつの」「何を」表すかをつかみ、同じ当期純利益に2通りの道からたどり着けるようになります。
- 貸借対照表と損益計算書が、それぞれ「いつの」「何を」表す書類かを説明できる
- 資産・負債・純資産・費用・収益の定位置(左右どちらか)を迷わず書ける
- 財産法と損益法という2つの計算式から、同じ当期純利益を出せる
1 2つの計算書は「写真」と「動画」
簿記が最後に作る書類は2つあります。貸借対照表と損益計算書です。名前は似ていますが、見ているものはまったく違います。
貸借対照表はある一時点の財産の状態を写した書類です。4月30日と決めたら、その日の残高だけを並べます。カメラで撮った写真と同じで、その瞬間の姿しか写りません。英語の Balance Sheet を略して B/S と書きます。
損益計算書は一定期間の儲けの中身を並べた書類です。4月1日から4月30日まで、という期間を通して、いくら稼ぎ、いくら使ったかを見せます。こちらは動画です。期間の途中の動きが全部入っています。英語の Profit and Loss Statement を略して P/L と書きます。
試験では「一時点」「一定期間」という言葉がそのまま問われます。写真と動画のイメージで覚えてください。
いつの話か:ある一時点
| 借方(左) | 貸方(右) |
|---|---|
| 資産 | 負債 |
| (持ち物と権利) | 純資産(資本金) |
左の合計 = 右の合計
いつの話か:一定期間
| 借方(左) | 貸方(右) |
|---|---|
| 費用 | 収益 |
| 当期純利益 | (当期純損失) |
左の合計 = 右の合計
- 貸借対照表は一時点。「X年4月30日」のように日付が1つだけ書かれる。
- 損益計算書は一定期間。「X年4月1日からX年4月30日まで」のように日付が2つ書かれる。
- 日付が1つか2つかを見れば、どちらの書類かは一瞬で分かります。
2 貸借対照表の形をつかむ
2-1 左が資産、右上が負債、右下が純資産
貸借対照表は左右に分かれています。左側を借方、右側を貸方と呼びます。読み方は「かりかた」「かしかた」です。意味を深追いせず、位置の名前だと割り切ってください。
左側には資産が並びます。現金、普通預金、売掛金、商品、備品など、お店が持っている財産と、あとでお金を受け取れる権利です。
右側は上下2段に分かれます。上が負債、下が純資産です。負債は買掛金や借入金など、あとでお金を払う義務です。純資産は、資産から負債を引いて最後に残る、正味の財産です。個人企業では純資産の勘定科目は資本金ひとつだけです。
左右の合計は必ず一致します。これは偶然ではありません。資産の総額を「他人から預かった分(負債)」と「自分の分(純資産)」に分けて説明しているだけだからです。
この2本は口に出して覚えてください。
- 資産 = 負債 + 純資産(貸借対照表等式)
- 純資産 = 資産 − 負債(純資産を求める形に移項しただけ)
2-2 数値で見る貸借対照表
個人企業のみなみ商店を例にします。4月30日時点の残高を並べると、次のようになります。
| 資産 | 金額 | 負債・純資産 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 209,000 | 買掛金 | 205,000 |
| 普通預金 | 706,000 | 借入金 | 380,000 |
| 売掛金 | 300,000 | 資本金 | 910,000 |
| 繰越商品 | 150,000 | 当期純利益 | 170,000 |
| 備品 | 300,000 | ||
| 合計 | 1,665,000 | 合計 | 1,665,000 |
資産合計 1,665,000円 = 負債合計 585,000円 + 純資産 1,080,000円。左右はぴたりと一致します。
右側の「資本金 910,000円」は月初(期首)の純資産です。その下の「当期純利益 170,000円」が、4月の1か月で増えた分です。合計 1,080,000円が月末(期末)の純資産になります。
当期純利益は貸借対照表では右下、損益計算書では左(借方)に書きます。同じ利益なのに位置が逆です。ここは初学者が最も混乱する場所なので、図2-1に戻って何度も確認してください。
3 損益計算書の形をつかむ
3-1 左が費用、右が収益
損益計算書も左右に分かれます。左側が費用、右側が収益です。
収益は、商品を売ったり手数料を受け取ったりして、純資産を増やす原因になったものです。費用は、商品を仕入れたり給料を払ったりして、純資産を減らす原因になったものです。
収益の合計が費用の合計より多ければ、その差額が当期純利益です。当期純利益は左側(借方)に書き足して、左右の合計をそろえます。
逆に費用の合計が収益の合計より多ければ、その差額は当期純損失です。当期純損失は右側(貸方)に書き足します。
3-2 数値で見る損益計算書
| 費用 | 金額 | 収益 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 380,000 | 売上 | 620,000 |
| 給料 | 60,000 | 受取手数料 | 30,000 |
| 支払家賃 | 25,000 | ||
| 水道光熱費 | 8,000 | ||
| 通信費 | 5,000 | ||
| 支払利息 | 2,000 | ||
| 当期純利益 | 170,000 | ||
| 合計 | 650,000 | 合計 | 650,000 |
費用の6科目の合計は 480,000円です。収益 650,000円 − 費用 480,000円 = 当期純利益 170,000円。この 170,000円を左に書き足すと、左右とも 650,000円でそろいます。
- 収益 − 費用 = 当期純利益
- 損益計算書の上では 費用 + 当期純利益 = 収益 という形で左右がそろう
4 2つの計算書はここでつながる
ここが本章の山場です。当期純利益は、まったく違う2つの道から計算できます。しかも答えは必ず一致します。
1つ目は財産法です。貸借対照表だけを使い、純資産がいくら増えたかで利益をとらえます。
2つ目は損益法です。損益計算書だけを使い、収益から費用を引いて利益をとらえます。
みなみ商店の期首(4月1日)の貸借対照表は、資産合計 1,500,000円、負債合計 590,000円でした。期首純資産は 1,500,000円 − 590,000円 = 910,000円です。図2-2で見たとおり、期末純資産は 1,080,000円でした。
| 計算のしかた | 使う書類 | 式 | みなみ商店の数値 |
|---|---|---|---|
| 財産法 | 貸借対照表 | 期末純資産 − 期首純資産 | 1,080,000 − 910,000 = 170,000 |
| 損益法 | 損益計算書 | 収益総額 − 費用総額 | 650,000 − 480,000 = 170,000 |
910,000
170,000
1,080,000
期首の貸借対照表と期末の貸借対照表のすき間を、損益計算書が埋めています。これが2つの計算書のつながりです。
- 財産法:当期純利益 = 期末純資産 − 期首純資産
- 損益法:当期純利益 = 収益総額 − 費用総額
- 2つの答えは必ず一致します。片方で解いて、もう片方で検算するのが最短ルートです。
5 追加元入と引出があるときの調整
ここで個人企業ならではの注意点があります。純資産が増える原因は、儲け(当期純利益)だけではありません。
店主が自分のお金をお店に追加で入れることを追加元入といいます。このとき資本金が増えます。しかしこれは儲けたわけではありません。
逆に、店主がお店のお金を生活費として持ち出すことを引出といいます。このとき資本金が減ります。しかしこれは損をしたわけではありません。
そこで、純資産の増減から儲け以外の原因を取り除いてやる必要があります。それが次の式です。
店主が入れた
店主が持ち出した
儲けた分
この式を当期純利益について解き直すと、次の形になります。試験ではこちらの形で使います。
| 当期純利益 = 期末純資産 − 期首純資産 − 追加元入 + 引出 |
|---|
もしみなみ商店で、4月中に追加元入 100,000円と引出 40,000円があったとしたら、期末純資産は次のように変わります。
| 項目 | 金額 | 累計 |
|---|---|---|
| 期首純資産 | 910,000 | 910,000 |
| 追加元入(加算) | 100,000 | 1,010,000 |
| 引出(減算) | 40,000 | 970,000 |
| 当期純利益(加算) | 170,000 | 1,140,000 |
| 期末純資産 | 1,140,000 |
検算します。1,140,000 − 910,000 − 100,000 + 40,000 = 170,000円。損益法で出した当期純利益とぴたりと一致します。
- 追加元入は収益ではありません。引出は費用ではありません。どちらも損益計算書には一切登場しません。
- 純資産の増加額をそのまま当期純利益としてよいのは、追加元入も引出もない場合だけです。問題文に「期中に追加元入と引出はなかった」と書いてあるかどうかを必ず確認してください。
- 符号を間違えないでください。追加元入は引く、引出は足すです。純資産の動きとは逆向きになります。
6 初級では「当月の損益」を読み取る
初級の試験は、1年間の決算ではなく1か月ごとの集計を扱います。第3問の合計残高試算表も、当月分の数値を読み取る出題です。
そこで問われるのが「当月の損益」です。試算表の収益の残高合計から費用の残高合計を引けば、当月の利益または損失が出ます。これは損益法そのものです。
本章で身につけた2つの計算式は、第19章の試算表でそのまま使います。ここで迷いなく使えるようにしておくと、あとがとても楽になります。
個人企業のきたはら商店について、次の資料が分かっています。期中に追加元入および引出はありませんでした。当期純利益はいくらですか。
- 期首の資産 2,400,000円 期首の負債 900,000円
- 期末の資産 2,860,000円 期末の負債 1,010,000円
解き方を実況します。
- 資料に純資産の金額は直接書かれていません。まず「純資産 = 資産 − 負債」で自分で作ります。
- 期首純資産を出します。2,400,000 − 900,000 = 1,500,000円。
- 期末純資産を出します。2,860,000 − 1,010,000 = 1,850,000円。
- 追加元入も引出もないので、増加額がそのまま利益です。1,850,000 − 1,500,000 = 350,000円。
資産どうし、負債どうしを先に引き算してしまう誤りが多発します。必ず「期首は期首だけ」「期末は期末だけ」で純資産を作ってから、最後に引き算してください。
例題1と同じ期間について、きたはら商店の収益と費用は次のとおりでした。当期純利益はいくらですか。
- 収益:売上 1,240,000円 受取家賃 90,000円
- 費用:仕入 760,000円 給料 150,000円 広告宣伝費 40,000円 旅費交通費 30,000円
解き方を実況します。
- 収益をすべて足します。1,240,000 + 90,000 = 1,330,000円。
- 費用をすべて足します。760,000 + 150,000 + 40,000 + 30,000 = 980,000円。
- 収益から費用を引きます。1,330,000 − 980,000 = 350,000円。
例題1の財産法で出した 350,000円と完全に一致しました。まったく違う資料を使ったのに同じ答えが出る。これが貸借対照表と損益計算書のつながりです。
本番では、片方の方法で答えを出したあと、もう片方の資料が与えられていれば必ず検算してください。ずれたらどこかで符号か合計を間違えています。
- 貸借対照表は一時点の財産(左が資産、右上が負債、右下が純資産)、損益計算書は一定期間の儲け(左が費用、右が収益)。
- 当期純利益は財産法「期末純資産 − 期首純資産」でも、損益法「収益 − 費用」でも出せて、答えは必ず一致する。
- 個人企業では追加元入と引出が純資産を動かすので、当期純利益 = 期末純資産 − 期首純資産 − 追加元入 + 引出 で調整する。
章末演習(18問)
貸借対照表の借方(左側)に記載されるものはどれか。
解答と解説
正解
ウ 資産
解説
貸借対照表は、左側に資産、右側の上に負債、右側の下に純資産を書きます。収益は損益計算書の貸方に書く項目なので、貸借対照表には並びません。
貸借対照表は、一定期間の経営成績(儲けの中身)を表す書類である。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。一定期間の儲けの中身を表すのは損益計算書です。貸借対照表はある一時点の財産の状態を表します。日付が1つだけ書かれていれば貸借対照表、2つ書かれていれば損益計算書と判断できます。
ある個人企業の資産総額は 1,800,000円、負債総額は 700,000円である。純資産はいくらか。
解答と解説
正解
1,100,000 円
解説
純資産 = 資産 − 負債 で求めます。1,800,000 − 700,000 = 1,100,000円です。
当月の収益総額は 940,000円、費用総額は 780,000円であった。当期純利益はいくらか。
解答と解説
正解
160,000 円
解説
損益法で計算します。収益 − 費用 = 940,000 − 780,000 = 160,000円です。収益が費用を上回っているので利益になります。
損益計算書の貸方(右側)に記載されるものはどれか。
解答と解説
正解
イ 収益
解説
損益計算書は、左側に費用、右側に収益を書きます。資産と負債は貸借対照表の項目です。
貸借対照表の借方合計と貸方合計は、必ず一致する。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しいです。資産 = 負債 + 純資産 が常に成り立つためです。資産という同じ金額を、他人から預かった分(負債)と自分の分(純資産)に分けて説明しているだけなので、左右がずれることはありません。
期首の純資産は 1,200,000円であった。当期純利益は 260,000円で、期中に追加元入と引出はなかった。期末の純資産はいくらか。
解答と解説
正解
1,460,000 円
解説
期首純資産 + 当期純利益 = 期末純資産 です。1,200,000 + 260,000 = 1,460,000円となります。
個人企業のさくら商店の資料は次のとおりである。期首の資産 3,200,000円、期首の負債 1,250,000円、期末の資産 3,780,000円、期末の負債 1,380,000円。期中に追加元入と引出はなかった。当期純利益はいくらか。
解答と解説
正解
450,000 円
解説
財産法で解きます。
- 期首純資産 = 3,200,000 − 1,250,000 = 1,950,000円
- 期末純資産 = 3,780,000 − 1,380,000 = 2,400,000円
- 当期純利益 = 2,400,000 − 1,950,000 = 450,000円
資産どうし、負債どうしを引き算しないよう注意してください。必ず期首と期末それぞれで純資産を作ります。
当月の収益は、売上 2,150,000円、受取手数料 60,000円、受取利息 4,000円であった。費用は、仕入 1,320,000円、給料 380,000円、支払家賃 120,000円、通信費 26,000円、雑費 8,000円であった。当期純利益はいくらか。
解答と解説
正解
360,000 円
解説
損益法で解きます。
- 収益総額 = 2,150,000 + 60,000 + 4,000 = 2,214,000円
- 費用総額 = 1,320,000 + 380,000 + 120,000 + 26,000 + 8,000 = 1,854,000円
- 当期純利益 = 2,214,000 − 1,854,000 = 360,000円
受取手数料と受取利息は、金額が小さくても収益です。数え落としに注意してください。
当月の収益総額は 780,000円、費用総額は 845,000円であった。当期純損失の金額はいくらか。
解答と解説
正解
65,000 円
解説
費用が収益を上回っているので、差額は損失になります。845,000 − 780,000 = 65,000円の当期純損失です。この 65,000円は損益計算書の貸方(右側)に書いて、左右の合計をそろえます。
損益計算書における当期純利益の記載場所として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
ア 借方(左側)に記載する
解説
収益(貸方)が費用(借方)を上回るとき、その差額を借方に書き足して左右をそろえます。したがって当期純利益は借方(左側)です。なお貸借対照表では、当期純利益は純資産の下、つまり貸方(右下)に書きます。位置が逆になる点をセットで覚えてください。
損益計算書で費用が収益を上回るとき、その差額を当期純損失といい、損益計算書の貸方に記載する。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しいです。費用が多いときは貸方(右側)が足りないので、不足額を当期純損失として貸方に書き足します。利益のときは借方、損失のときは貸方。埋める側が反対になると覚えます。
期末の資産は 4,050,000円、期末の負債は 1,600,000円であった。期首の純資産は 2,180,000円で、期中に追加元入と引出はなかった。当期純利益はいくらか。
解答と解説
正解
270,000 円
解説
まず期末純資産を作ります。4,050,000 − 1,600,000 = 2,450,000円。次に財産法です。2,450,000 − 2,180,000 = 270,000円となります。
財産法と損益法に関する説明として、正しいものはどれか。
解答と解説
正解
ア 財産法で計算した当期純利益と、損益法で計算した当期純利益は必ず一致する
解説
財産法は貸借対照表から「期末純資産 − 期首純資産」で、損益法は損益計算書から「収益 − 費用」で当期純利益を求めます。使う資料は違いますが、同じ1つの利益を別の角度から見ているだけなので、金額は必ず一致します。2番目と3番目は財産法と損益法の説明が入れ替わっています。
個人企業のみどり商店の期首純資産は 1,500,000円であった。期中に店主が現金 300,000円を追加元入した。期末の純資産は 2,050,000円である。引出はなかった。当期純利益はいくらか。
解答と解説
正解
250,000 円
解説
純資産は 550,000円増えていますが、そのうち 300,000円は店主が入れたお金であって儲けではありません。取り除きます。
当期純利益 = 期末純資産 − 期首純資産 − 追加元入 = 2,050,000 − 1,500,000 − 300,000 = 250,000円
追加元入を引き忘れると 550,000円としてしまいます。ここが最頻出のひっかけです。
個人企業のあおば商店の資料は次のとおりである。期首の資産 2,900,000円、期首の負債 1,100,000円、期末の資産 3,450,000円、期末の負債 1,220,000円。期中に店主が現金 200,000円を追加元入し、生活費として現金 150,000円を引き出した。当期純利益はいくらか。
解答と解説
正解
380,000 円
解説
- 期首純資産 = 2,900,000 − 1,100,000 = 1,800,000円
- 期末純資産 = 3,450,000 − 1,220,000 = 2,230,000円
- 当期純利益 = 期末純資産 − 期首純資産 − 追加元入 + 引出
- = 2,230,000 − 1,800,000 − 200,000 + 150,000 = 380,000円
追加元入は引く、引出は足す。純資産の動きとは逆向きに調整する点を必ず確認してください。
個人企業のひまわり商店の期首純資産は 1,640,000円、当期純利益は 310,000円であった。期中に店主が生活費として 90,000円を引き出したが、追加元入はなかった。期末の負債が 1,050,000円であるとき、期末の資産はいくらか。
解答と解説
正解
2,910,000 円
解説
- 期末純資産 = 期首純資産 + 当期純利益 − 引出 = 1,640,000 + 310,000 − 90,000 = 1,860,000円
- 資産 = 負債 + 純資産 = 1,050,000 + 1,860,000 = 2,910,000円
純資産を先に確定させてから、貸借対照表等式で資産に戻すのがコツです。引出は純資産を減らす方向なので、ここでは引き算になります。
個人企業のかえで商店の当月の期首純資産は 2,050,000円、期末純資産は 2,410,000円であった。期中に追加元入と引出はなかった。当月の費用総額が 1,830,000円であるとき、当月の収益総額はいくらか。
解答と解説
正解
2,190,000 円
解説
財産法と損益法をつなぐ問題です。
- 財産法で当期純利益を出します。2,410,000 − 2,050,000 = 360,000円
- 損益法の式「収益 − 費用 = 当期純利益」を収益について解きます。収益 = 費用 + 当期純利益
- 収益総額 = 1,830,000 + 360,000 = 2,190,000円
貸借対照表の資料しかなくても、いったん利益を出してしまえば損益計算書側の金額を逆算できます。
第3章取引の意義と8要素の結合関係0 / 20▼
日常語の「取引」と簿記の「取引」を切り分け、8要素の組み合わせで仕訳の骨組みを見抜けるようになります。
- 簿記でいう取引を、日常語の取引と区別して判定できる。
- 交換取引・損益取引・混合取引を見分けられる。
- 取引の8要素を覚え、借方要素と貸方要素の組み合わせを言える。
1 簿記でいう「取引」とは何か
1-1 定義はたった1行
簿記でいう取引とは、資産・負債・純資産・収益・費用のいずれかが増減する事実です。
この1行がすべての出発点になります。
相手がいるかどうかは関係ありません。契約書があるかどうかも関係ありません。
判定するのは「5つの要素が動いたか」だけです。
簿記上の取引かどうかは、次の2つで決まります。
- 資産・負債・純資産・収益・費用のどれかが増えたか減ったか
- その増減の金額を円で測れるか
この2つを両方みたすものだけが帳簿に書かれます。
1-2 日常語の「取引」とはズレている
日常語では、約束を交わすことを取引と呼びます。
しかし簿記では、約束しただけでは何も記入しません。
約束の段階では、まだ財産も損益も1円も動いていないからです。
逆に、盗難や火災のように誰とも約束していない出来事は、簿記上の取引になります。
財産が実際に減っているからです。
| 簿記上の取引になる(日常語では取引と呼びにくい) | 簿記上の取引にならない(日常語では取引と呼ぶ) |
|---|---|
| 金庫の現金 80,000円が盗まれた | 商品 300,000円を注文した。引き渡しも支払いもまだ |
| 火災で建物 2,000,000円が焼失した | 商品の売買契約を結んだ。引き渡しはまだ |
| 保管中の商品 40,000円が水漏れで使えなくなった | 従業員を1名採用することを決めた。勤務はまだ |
| 配送中に商品 15,000円分を紛失した | 銀行から 1,000,000円を借りる約束をした。入金はまだ |
| 備品の当月分の減価償却費 12,000円を計上した | 事務所を月 90,000円で借りる契約を結んだ。入居はまだ |
| 普通預金に利息 500円が入金された | 火災保険に加入を申し込んだ。保険料の支払いはまだ |
| 水道光熱費 18,000円が口座から自動で引き落とされた | 来月から新しい得意先と取引を始めることで合意した |
初学者がいちばん間違えるのは「契約・注文・採用」の3つです。
この3つはどれも簿記上の取引ではありません。
ただし、注文と同時に手付金を現金で払えば、その支払いは取引になります。
動いたのは注文ではなく、現金と前払金だからです。
1-3 迷ったときの判定手順
次の順に3つ自問すれば、必ず判定できます。
ゴロで覚えます。
「約束は書かない、事故は書く」
- 約束…契約・注文・採用・内定・申込み は書かない
- 事故…盗難・火災・破損・紛失 は書く
2 取引の種類は3つ
簿記上の取引は、収益・費用が出てくるかどうかで3種類に分かれます。
2-1 交換取引・損益取引・混合取引
- 交換取引…資産・負債・純資産だけが動く取引です。収益も費用も出てきません。
- 損益取引…借方または貸方の全額が収益または費用になる取引です。
- 混合取引…1つの取引の中に、交換取引の部分と損益取引の部分が混ざっている取引です。
| 種類 | 見分け方 | 具体例 | 仕訳のイメージ |
|---|---|---|---|
| 交換取引 | 収益・費用が1つも出てこない | 備品 150,000円を現金で購入した | 借方 備品 150,000 / 貸方 現金 150,000 |
| 交換取引 | 財産どうしの入れ替えだけ | 買掛金 200,000円を現金で支払った | 借方 買掛金 200,000 / 貸方 現金 200,000 |
| 損益取引 | 片側の全額が費用 | 今月の家賃 90,000円を現金で支払った | 借方 支払家賃 90,000 / 貸方 現金 90,000 |
| 損益取引 | 片側の全額が収益 | 手数料 30,000円を現金で受け取った | 借方 現金 30,000 / 貸方 受取手数料 30,000 |
| 混合取引 | 元本部分と利息部分が同居する | 貸付金 200,000円を利息 4,000円とともに現金で回収した | 借方 現金 204,000 / 貸方 貸付金 200,000 と 受取利息 4,000 |
| 混合取引 | 返済部分と利息部分が同居する | 借入金 500,000円を利息 7,500円とともに現金で返済した | 借方 借入金 500,000 と 支払利息 7,500 / 貸方 現金 507,500 |
| 混合取引 | 売却代金の中に売却益が含まれる | 土地 3,000,000円を 3,400,000円で売却し現金を受け取った | 借方 現金 3,400,000 / 貸方 土地 3,000,000 と 固定資産売却益 400,000 |
種類の判定は、仕訳を書いてから科目を見るのがいちばん速いです。
- 収益・費用が1つもない → 交換取引
- 片側が丸ごと収益または費用 → 損益取引
- 収益・費用が混ざっているが、片側は財産の科目も並ぶ → 混合取引
次の(1)から(5)のうち、簿記上の取引はどれですか。
- (1) 商品 250,000円を仕入れる契約を結んだ。引き渡しも支払いもまだである。
- (2) 倉庫で保管していた商品 40,000円が水漏れで使えなくなり、廃棄した。
- (3) 事務所の電気代 18,000円が普通預金から引き落とされた。
- (4) 来月から働く従業員を1名採用することを決めた。
- (5) 金庫に入れていた現金 60,000円が盗まれた。
解き方の実況中継
(1)から順に、STEP2とSTEP3を自問します。
(1)は契約を結んだだけです。商品も現金も動いていません。よって取引ではありません。
(2)は商品という資産が 40,000円分なくなりました。資産の減少があるので取引です。
(3)は普通預金という資産が 18,000円減り、水道光熱費という費用が発生しました。取引です。
(4)は採用を決めただけです。給料はまだ発生していません。取引ではありません。
(5)は現金という資産が 60,000円減りました。盗難でも資産は確かに減ります。取引です。
解答 (2)、(3)、(5)
3 取引の8要素と結合関係
3-1 すべての取引は8つの部品でできている
どんな取引も、次の8つの要素の組み合わせで説明できます。
この8つを取引の8要素と呼びます。
- 資産の増加
- 負債の減少
- 純資産の減少
- 費用の発生
- 資産の減少
- 負債の増加
- 純資産の増加
- 収益の発生
並びには規則があります。
資産と費用は「増えたら借方」です。負債・純資産・収益は「増えたら貸方」です。
減ったときは、それぞれ反対側に置きます。
借方要素の4つは「資増・負減・純減・費発」と唱えて覚えます。
貸方要素の4つは「資減・負増・純増・収発」です。
この8語が言えれば、8要素は完成です。
3-2 結合関係のルール
1つの取引では、必ず借方要素と貸方要素が1つ以上ずつ登場します。
これを8要素の結合関係と呼びます。
結合の相手は、必ず反対側から選びます。
結合関係の絶対ルールは2つです。
- 借方要素どうしは結合しません。たとえば「資産の増加と費用の発生」だけで取引は成立しません。
- 貸方要素どうしも結合しません。たとえば「負債の増加と収益の発生」だけでも成立しません。
理由は単純です。借方だけ、貸方だけでは金額が釣り合わないからです。
ただし、1つの取引の借方に2科目以上が並ぶことはあります。相手方に貸方要素がある限り問題ありません。
| 借方要素 → | 資産の減少 | 負債の増加 | 純資産の増加 | 収益の発生 |
|---|---|---|---|---|
| 資産の増加 → | ○ | ○ | ○ | ○ |
| 負債の減少 → | ○ | ○ | △ | △ |
| 純資産の減少 → | ○ | △ | △ | △ |
| 費用の発生 → | ○ | ○ | △ | × |
○ 初級で実際に出てくる組み合わせ / △ 理論上はありうるが初級では出ない / × 通常は起こらない
表の左端が借方要素、上端が貸方要素です。行と列が交わるところが、その組み合わせの成否を示します。
表の中で×は1か所だけです。
「費用の発生 → 収益の発生」の組み合わせは通常起こりません。
費用と収益だけが向かい合う取引は、財産が1円も動かないことになるからです。
試験では「起こらない組み合わせはどれか」と問われます。この1か所を覚えれば得点できます。
3-3 よく出る結合パターン8つ
実際の取引を8要素に置き換えると、次のようになります。
| 取引 | 借方要素 → 貸方要素 |
|---|---|
| 備品 150,000円を現金で購入した | 資産の増加 → 資産の減少 |
| 銀行から現金 500,000円を借り入れた | 資産の増加 → 負債の増加 |
| 現金 600,000円を元入れして開業した | 資産の増加 → 純資産の増加 |
| 商品 400,000円を掛けで売り上げた | 資産の増加 → 収益の発生 |
| 買掛金 200,000円を現金で支払った | 負債の減少 → 資産の減少 |
| 買掛金 300,000円について約束手形を振り出した | 負債の減少 → 負債の増加 |
| 店主が事業用の現金 100,000円を私用で引き出した | 純資産の減少 → 資産の減少 |
| 今月の家賃 90,000円を現金で支払った | 費用の発生 → 資産の減少 |
次の(1)から(3)の取引について、借方要素と貸方要素を答えなさい。
- (1) 商品 320,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- (2) 買掛金 180,000円を現金で支払った。
- (3) 貸付金 300,000円を利息 6,000円とともに現金で回収した。
解き方の実況中継
手順は同じです。まず仕訳を書き、次に科目を要素に言い換えます。
(1)は掛け売りです。売掛金が 320,000円増え、売上が 320,000円発生します。
売掛金は資産なので「資産の増加」、売上は収益なので「収益の発生」です。
(2)は買掛金という負債が 180,000円減り、現金という資産が 180,000円減ります。
借方は「負債の減少」、貸方は「資産の減少」です。
(3)は現金が 306,000円増えます。中身は貸付金 300,000円の回収と受取利息 6,000円です。
借方は「資産の増加」1つ、貸方は「資産の減少」と「収益の発生」の2つになります。
| 取引 | 借方要素 | 貸方要素 | 取引の種類 |
|---|---|---|---|
| (1) | 資産の増加(売掛金 320,000) | 収益の発生(売上 320,000) | 損益取引 |
| (2) | 負債の減少(買掛金 180,000) | 資産の減少(現金 180,000) | 交換取引 |
| (3) | 資産の増加(現金 306,000) | 資産の減少(貸付金 300,000)と収益の発生(受取利息 6,000) | 混合取引 |
(3)は貸付金の回収という交換取引の部分と、利息という損益取引の部分が同居しています。だから混合取引です。
- 簿記上の取引は「5要素が動いたか」で決まる。契約・注文・採用は書かず、盗難・火災・破損は書く。
- 取引は交換取引・損益取引・混合取引の3種類。収益と費用が出るかどうかで分かれる。
- 8要素は借方4つと貸方4つ。結合は必ず反対側どうしで、費用の発生と収益の発生だけは組み合わない。
章末演習(20問)
商品 300,000円を注文書で発注した。代金の支払いも商品の引き渡しもまだである。この出来事は簿記上の取引である。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
発注しただけでは、資産・負債・純資産・収益・費用のどれも動いていません。
商品も現金も1円も移動していないので、簿記上の取引ではありません。
引き渡しか支払いがあって、はじめて帳簿に記入します。
事務所の金庫から現金 80,000円が盗まれた。この出来事は簿記上の取引である。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
盗難は相手と約束した出来事ではありません。しかし現金という資産が 80,000円減っています。
資産の減少があり、金額も円で測れます。よって簿記上の取引です。
日常語では取引と呼びませんが、簿記では確実に記入します。
従業員を1名採用し、給料は月 250,000円と決めた。まだ勤務は始まっていない。この出来事は簿記上の取引である。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
採用を決めた時点では、まだ働いてもらっていません。
給料という費用は発生しておらず、現金も減っていません。
したがって簿記上の取引ではありません。給料を支払った月に記入します。
火災で建物が焼失した場合、代金のやりとりがなくても簿記上の取引になる。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
簿記上の取引の条件は、5つの要素が増減したかどうかだけです。
火災では建物という資産が減ります。代金のやりとりは条件ではありません。
よって簿記上の取引になります。
事務所を月 90,000円で借りる賃貸借契約を結んだ。入居も家賃の支払いもまだである。この出来事は簿記上の取引である。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
契約の締結だけでは、支払家賃という費用は発生しません。
現金も預金も減っていないため、資産の減少もありません。
簿記上の取引ではありません。契約は「約束」であり、帳簿には書きません。
普通預金に利息 500円が入金された。自分から何も申し込んでいないので、簿記上の取引にはならない。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
この文は誤りです。申し込みの有無は判定条件ではありません。
普通預金という資産が 500円増え、受取利息という収益が 500円発生しています。
よってこれは簿記上の取引です。借方 普通預金 500 / 貸方 受取利息 500 と記入します。
備品 150,000円を購入し、代金は現金で支払った。借方要素と貸方要素の組み合わせとして正しいものはどれか。「借方要素/貸方要素」の順で示している。
解答と解説
正解
ア 資産の増加/資産の減少
解説
備品は資産です。購入により備品が 150,000円増えました。借方要素は資産の増加です。
現金も資産です。支払いにより 150,000円減りました。貸方要素は資産の減少です。
備品は買った時点では費用になりません。ここが間違えやすい点です。
今月の事務所家賃 90,000円を現金で支払った。借方要素と貸方要素の組み合わせとして正しいものはどれか。「借方要素/貸方要素」の順で示している。
解答と解説
正解
イ 費用の発生/資産の減少
解説
支払家賃は費用です。今月分を使ったので費用が 90,000円発生しました。借方要素は費用の発生です。
現金は資産です。支払いで 90,000円減ったので、貸方要素は資産の減少です。
「資産の減少/費用の発生」は左右が逆です。資産の減少は貸方要素、費用の発生は借方要素なので成立しません。
銀行から現金 500,000円を借り入れた。借方要素と貸方要素の組み合わせとして正しいものはどれか。「借方要素/貸方要素」の順で示している。
解答と解説
正解
ア 資産の増加/負債の増加
解説
現金という資産が 500,000円増えました。借方要素は資産の増加です。
借入金という負債が 500,000円増えました。貸方要素は負債の増加です。
借入金は返す義務なので負債です。もらったお金ではないため、収益にも純資産にもなりません。
買掛金 200,000円を現金で支払った。借方要素と貸方要素の組み合わせとして正しいものはどれか。「借方要素/貸方要素」の順で示している。
解答と解説
正解
イ 負債の減少/資産の減少
解説
買掛金は負債です。支払いによって義務が消えたので、負債が 200,000円減りました。
負債の減少は借方要素です。現金の減少は貸方要素なので、答えは負債の減少/資産の減少です。
支払った時点で仕入という費用が発生するわけではありません。仕入は掛けで買ったときに計上済みです。
商品 400,000円を売り上げ、代金は掛けとした。借方要素と貸方要素の組み合わせとして正しいものはどれか。「借方要素/貸方要素」の順で示している。
解答と解説
正解
ア 資産の増加/収益の発生
解説
掛け売りなので売掛金という資産が 400,000円増えました。借方要素は資産の増加です。
売上という収益が 400,000円発生しました。貸方要素は収益の発生です。
「収益の発生/資産の増加」は左右が逆です。収益の発生は貸方要素なので借方には置けません。
店主が事業用の現金 100,000円を私用のために引き出した。借方要素と貸方要素の組み合わせとして正しいものはどれか。「借方要素/貸方要素」の順で示している。
解答と解説
正解
イ 純資産の減少/資産の減少
解説
個人企業では、店主の引き出しは資本金を直接減らして処理します。
資本金は純資産なので、借方要素は純資産の減少です。現金が減るので貸方要素は資産の減少です。
店主の私的な支出は事業の費用にはなりません。ここを費用としないことが大切です。
買掛金 300,000円の支払いのために、約束手形を振り出した。借方要素と貸方要素の組み合わせとして正しいものはどれか。「借方要素/貸方要素」の順で示している。
解答と解説
正解
ア 負債の減少/負債の増加
解説
買掛金という負債が 300,000円減り、支払手形という別の負債が 300,000円増えます。
負債の減少は借方要素、負債の増加は貸方要素です。よって負債の減少/負債の増加になります。
手形を振り出しただけでは現金は減りません。現金が減るのは手形の決済日です。
取引の8要素の結合関係について、通常は起こらない組み合わせはどれか。「借方要素/貸方要素」の順で示している。
解答と解説
正解
イ 費用の発生/収益の発生
解説
費用の発生と収益の発生だけが向かい合う取引は、通常は起こりません。
この組み合わせでは、資産も負債も純資産も1円も動かないことになるからです。
他の3つはいずれも実在します。借入れ、手形の振出、家賃の支払いがそれぞれの例です。
現金 600,000円を元入れして開業した。この取引の種類として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
ア 交換取引
解説
仕訳は 借方 現金 600,000 / 貸方 資本金 600,000 です。
使われている科目は現金という資産と資本金という純資産だけです。
収益も費用も出てこないため交換取引になります。
今月分の給料 280,000円を現金で支払った。この取引の種類として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
イ 損益取引
解説
仕訳は 借方 給料 280,000 / 貸方 現金 280,000 です。
借方が丸ごと給料という費用になっています。
片側の全額が費用なので損益取引です。
貸付金 200,000円を利息 4,000円とともに現金 204,000円で回収した。この取引の種類として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
ウ 混合取引
解説
仕訳は 借方 現金 204,000 / 貸方 貸付金 200,000 と 受取利息 4,000 です。
貸付金 200,000円の回収部分は財産どうしの入れ替えで、交換取引にあたります。
受取利息 4,000円の部分は収益なので損益取引にあたります。両方が同居しているので混合取引です。
借入金 500,000円を利息 7,500円とともに現金 507,500円で返済した。この取引の説明として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
ウ 借入金 500,000円の返済部分が交換取引、利息 7,500円の部分が損益取引である
解説
仕訳は 借方 借入金 500,000 と 支払利息 7,500 / 貸方 現金 507,500 です。
借入金 500,000円の減少と現金 500,000円の減少は、負債と資産の入れ替えで交換取引です。
支払利息 7,500円は費用なので損益取引です。よって全体としては混合取引になります。
次のうち、日常語では取引と呼びにくいが簿記上は取引になるものはどれか。
解答と解説
正解
ウ 保管中の商品 30,000円が水漏れで使えなくなった
解説
水漏れによる商品の廃棄は、相手と約束した出来事ではありません。日常語では取引と呼びません。
しかし商品という資産が 30,000円減っているので、簿記上は取引です。
掛け仕入れは日常語でも簿記でも取引です。契約と採用はどちらも簿記上の取引ではありません。
帳簿価額 3,000,000円の土地を 3,400,000円で売却し、代金は現金で受け取った。この取引の借方要素と貸方要素の組み合わせとして正しいものはどれか。「借方要素/貸方要素」の順で示している。
解答と解説
正解
イ 資産の増加/資産の減少と収益の発生
解説
仕訳は 借方 現金 3,400,000 / 貸方 土地 3,000,000 と 固定資産売却益 400,000 です。
借方は現金が 3,400,000円増えたので資産の増加1つだけです。
貸方は土地が 3,000,000円減った資産の減少と、売却益 400,000円という収益の発生の2つになります。
貸方に2つ並びますが、借方要素と貸方要素は反対側どうしで結合しているのでルール違反ではありません。この取引は混合取引です。
第4章勘定と勘定記入法則0 / 20▼
5つの勘定グループごとに、増減をどちら側に書くかを迷わず即答できるようにします。
- 勘定・勘定科目・勘定口座の違いを自分の言葉で説明できる。
- 資産・負債・純資産・収益・費用の増減を、借方と貸方のどちらに書くか即答できる。
- T字勘定に記入して残高を求め、貸借平均の原理を説明できる。
1 勘定は「金額をためる箱」です
簿記では、取引の金額を種類ごとに分けて集めます。この集計の場所を勘定といいます。
勘定には次の3つの言葉があり、初学者はここで最初につまずきます。1つずつ整理します。
- 勘定科目…集計の見出しにあたる名前です。「現金」「売掛金」「売上」などがこれにあたります。
- 勘定口座…その勘定科目ごとに用意された記入欄そのものです。帳簿の1ページ分だと考えてください。
- 勘定…上の2つをまとめた仕組み全体を指す言葉です。
学習では、勘定口座を大文字のTの形に略したT字勘定(Tフォーム)を使います。
T字勘定は、横線の上に勘定科目名を書き、縦線の左右に金額を書くだけの単純な図です。
| 部分 | 呼び方 | そこに書くもの |
|---|---|---|
| 横線の上 | 勘定科目 | 現金・売掛金・売上などの名前 |
| 縦線の左側 | 借方 | 借方に記入すると決まった取引の金額 |
| 縦線の右側 | 貸方 | 貸方に記入すると決まった取引の金額 |
借方と貸方は、ひらがなの最後の一画で覚えます。
「かりかた」の「り」は、最後を左にはらいます。だから借方は左です。
「かしかた」の「し」は、最後を右にはねます。だから貸方は右です。
この2つは一生使います。今この場で口に出して3回唱えてください。
借方・貸方に「お金を借りる」「お金を貸す」という意味はありません。
ただの左右の名札だと割り切ってください。意味を考えると必ず混乱します。
2 勘定は5つのグループに分かれます
第1章で学んだ5要素が、そのまま勘定の分類になります。すべての勘定はこの5つのどれかに入ります。
- 資産の勘定…現金、普通預金、当座預金、売掛金、備品、車両運搬具、土地 など
- 負債の勘定…買掛金、借入金、未払金、前受金、預り金 など
- 純資産の勘定…資本金(個人企業ではこの1つだけです)
- 収益の勘定…売上、受取家賃、受取手数料、受取利息 など
- 費用の勘定…仕入、給料、支払家賃、通信費、水道光熱費、旅費交通費 など
記入する側を考える前に、まずその勘定科目がどのグループかを決めます。
グループさえ決まれば、書く側は次の法則で自動的に決まります。順番を絶対に逆にしないでください。
3 勘定記入法則がこの章の心臓部です
勘定のどちら側に書くかは、グループごとにきちんと決まっています。これを勘定記入法則といいます。
3-1 5つの法則
- 資産…増加は借方、減少は貸方
- 負債…増加は貸方、減少は借方
- 純資産…増加は貸方、減少は借方
- 収益…発生は貸方、消滅は借方
- 費用…発生は借方、消滅は貸方
| 勘定のグループ | 借方(左)に書くとき | 貸方(右)に書くとき | 残高が出る側 |
|---|---|---|---|
| 資産の勘定 | 増加した | 減少した | 借方 |
| 負債の勘定 | 減少した | 増加した | 貸方 |
| 純資産の勘定 | 減少した | 増加した | 貸方 |
| 収益の勘定 | 消滅した | 発生した | 貸方 |
| 費用の勘定 | 発生した | 消滅した | 借方 |
3-2 「ホームポジション」で丸暗記を減らす
5つを別々に覚える必要はありません。ふえる側がどちらかだけ覚えます。
この「ふえる側」を、この本ではホームポジションと呼びます。
資産の勘定・費用の勘定
ふえたら借方に書く
へったら貸方に書く
負債の勘定・純資産の勘定・収益の勘定
ふえたら貸方に書く
へったら借方に書く
借方ホームは「資産・費用」の2つだけ。残りの3つはすべて貸方ホームです。
2つだけ覚えれば、負債・純資産・収益は自動的に貸方ホームだと分かります。
そして「ホームの反対側は、へったとき」。これで5つの法則が完成します。
収益の消滅と費用の消滅は、実務ではめったに出ません。
初級で出るのは主に売上の返品(売上勘定の借方)です。
ですから、収益は貸方、費用は借方が原則だと考えて構いません。
4 残高はどちら側に出るのか
勘定の借方合計と貸方合計の差額を残高といいます。
ふえる側の記入のほうが必ず大きくなります。だから残高はホームポジションの側に出ます。
| グループ | 残高が出る側 | 代表的な勘定 | その残高が意味するもの |
|---|---|---|---|
| 資産 | 借方 | 現金・売掛金・備品 | 月末に手元に残っている金額 |
| 負債 | 貸方 | 買掛金・借入金 | 月末にまだ支払っていない金額 |
| 純資産 | 貸方 | 資本金 | 月末時点の元手の金額 |
| 収益 | 貸方 | 売上・受取手数料 | 当月に稼いだ金額の累計 |
| 費用 | 借方 | 仕入・給料・通信費 | 当月に使った金額の累計 |
残高の側を丸暗記する必要はありません。残高はホームの側に出る、それだけです。
もし現金勘定の残高が貸方に出たら、それは計算ミスか記入ミスです。現金がマイナスになることはありません。
5 貸借平均の原理
1つの取引は、必ず借方と貸方に同じ金額で記入されます。これは第3章で学んだ取引の8要素のとおりです。
ということは、すべての勘定を集めて合計すれば、借方合計と貸方合計は必ず一致します。
この性質を貸借平均の原理といいます。簿記全体を支える土台です。
この一致を利用して記入ミスを見つける表が、第7章で学ぶ試算表です。
試算表で左右が合わないときは、どこかで片側だけ記入したか、金額を書き間違えています。
貸借平均の原理は「1取引ごとに一致」しているから「全体でも一致」します。
逆にいうと、左右が合っていても金額そのものを両側とも間違えていれば見つかりません。ここは試験でもよく問われます。
6 例題で手を動かす
次の資料から現金勘定に記入し、月末残高を求めなさい。
- 前月繰越 180,000円
- 5日 商品を売り上げ、現金 240,000円を受け取った。
- 12日 通信費 26,000円を現金で支払った。
- 20日 給料 150,000円を現金で支払った。
解き方の実況
まずグループを決めます。現金は資産の勘定です。ホームは借方です。
前月繰越と5日の受取は現金がふえるので、借方に書きます。
12日と20日の支払は現金がへるので、貸方に書きます。
借方合計は 180,000円 + 240,000円 = 420,000円です。
貸方合計は 26,000円 + 150,000円 = 176,000円です。
残高は 420,000円 - 176,000円 = 244,000円で、ホームである借方に出ます。
これが月末に手元にある現金の金額です。
次の資料から買掛金勘定に記入し、月末残高を求めなさい。
- 前月繰越 320,000円
- 8日 商品 480,000円を掛けで仕入れた。
- 15日 買掛金 250,000円を当座預金から支払った。
- 26日 商品 190,000円を掛けで仕入れた。
解き方の実況
買掛金は負債の勘定です。ホームは貸方です。
前月繰越と、8日・26日の掛け仕入れは買掛金がふえるので、貸方に書きます。
15日の支払は買掛金がへるので、借方に書きます。ここを間違える人がとても多い場所です。
貸方合計は 320,000円 + 480,000円 + 190,000円 = 990,000円です。
借方合計は 250,000円です。
残高は 990,000円 - 250,000円 = 740,000円で、ホームである貸方に出ます。
これが月末にまだ支払っていない金額です。
- 資産と費用は借方がホーム。ふえたら借方、へったら貸方に記入する。
- 負債・純資産・収益は貸方がホーム。ふえたら貸方、へったら借方に記入する。
- 残高はホームの側に出て、すべての勘定の借方合計と貸方合計は必ず一致する。
章末演習(20問)
商品を仕入れ、代金 60,000円を現金で支払いました。現金勘定に記入するのはどちら側ですか。
解答と解説
正解
イ 貸方(右側)
解説
現金は資産の勘定です。資産は増加を借方、減少を貸方に記入します。
代金を支払うと現金はへるので、記入するのは貸方です。
商品 180,000円を掛けで仕入れました。買掛金勘定に記入するのはどちら側ですか。
解答と解説
正解
イ 貸方(右側)
解説
買掛金は負債の勘定です。負債のホームは貸方で、増加は貸方に記入します。
掛けで仕入れると、あとで支払う義務がふえるので貸方です。
事務所の家賃 90,000円を普通預金から支払いました。支払家賃勘定に記入するのはどちら側ですか。
解答と解説
正解
ア 借方(左側)
解説
支払家賃は費用の勘定です。費用のホームは借方で、発生は借方に記入します。
家賃を支払った時点で費用が発生するので借方です。
商品 250,000円を売り上げ、代金は掛けとしました。売上勘定に記入するのはどちら側ですか。
解答と解説
正解
イ 貸方(右側)
解説
売上は収益の勘定です。収益のホームは貸方で、発生は貸方に記入します。
代金が掛けであっても、売り上げた時点で収益が発生するので貸方です。
銀行から現金 500,000円を借り入れました。この取引で借方に記入される勘定はどれですか。
解答と解説
正解
ア 現金勘定
解説
現金がふえています。現金は資産の勘定なので、増加は借方です。
借入金は負債の勘定で、増加なので貸方に記入します。貸付金と支払利息はこの取引には登場しません。
売掛金 300,000円を現金で回収しました。売掛金勘定に記入するのはどちら側ですか。
解答と解説
正解
イ 貸方(右側)
解説
売掛金は資産の勘定です。回収するとあとで受け取る権利がなくなるので、資産の減少です。
資産の減少は貸方に記入します。同時に現金勘定の借方に記入します。
店主が事業用の資金として現金 800,000円を追加で元入れしました。資本金勘定に記入するのはどちら側ですか。
解答と解説
正解
イ 貸方(右側)
解説
資本金は純資産の勘定です。純資産のホームは貸方で、増加は貸方に記入します。
追加元入れは元手がふえる取引なので貸方です。逆に引出のときは借方に記入します。
買掛金 200,000円を当座預金から支払いました。記入する側の組み合わせとして正しいものはどれですか。
解答と解説
正解
ア 借方は買掛金勘定、貸方は当座預金勘定
解説
買掛金は負債の勘定で、支払えば減少します。負債の減少はホームの反対側、つまり借方です。
当座預金は資産の勘定で、支払えば減少します。資産の減少は貸方です。
仕入はすでに掛け仕入れの時点で記入済みなので、支払時には登場しません。
次の記入のうち、勘定記入法則に照らして誤っているものはどれですか。
解答と解説
正解
ウ 手数料を受け取ったので、受取手数料勘定の借方に記入した
解説
受取手数料は収益の勘定です。収益の発生は貸方に記入するので、これが誤りです。
他の3つは正しい記入です。備品は資産の増加で借方、給料は費用の発生で借方、借入金は負債の減少で借方となります。
先月に掛けで売り上げた商品のうち 40,000円が返品されました。この取引の記入として正しいものはどれですか。
解答と解説
正解
ア 売上勘定の借方と、売掛金勘定の貸方に記入する
解説
返品は、いったん計上した売上が取り消される取引です。収益の消滅なので、ホームの反対側である借方に記入します。
同時に、受け取る権利であった売掛金がへります。資産の減少なので貸方です。
借方と貸方の両方に同額が入るので、貸借平均の原理も保たれます。
現金勘定の借方には前月繰越 250,000円と売上 180,000円が、貸方には仕入 120,000円と給料 90,000円が記入されています。月末の残高はいくらですか。
解答と解説
正解
220,000 円
解説
借方合計は 250,000円 + 180,000円 = 430,000円です。
貸方合計は 120,000円 + 90,000円 = 210,000円です。
残高は 430,000円 - 210,000円 = 220,000円で、資産のホームである借方に出ます。
買掛金勘定の貸方には前月繰越 300,000円と仕入 450,000円が、借方には当座預金 260,000円が記入されています。月末の残高はいくらですか。
解答と解説
正解
490,000 円
解説
貸方合計は 300,000円 + 450,000円 = 750,000円です。
借方合計は 260,000円です。
残高は 750,000円 - 260,000円 = 490,000円で、負債のホームである貸方に出ます。これが未払額です。
売掛金勘定の借方には前月繰越 420,000円、売上 650,000円、売上 380,000円が、貸方には普通預金 540,000円、売上 70,000円が記入されています。月末の残高はいくらですか。
解答と解説
正解
840,000 円
解説
借方合計は 420,000円 + 650,000円 + 380,000円 = 1,450,000円です。
貸方合計は 540,000円 + 70,000円 = 610,000円です。貸方の売上 70,000円は返品による減少です。
残高は 1,450,000円 - 610,000円 = 840,000円で、借方に出ます。
資本金勘定の貸方には前月繰越 2,000,000円と現金 500,000円が、借方には現金 150,000円が記入されています。月末の残高はいくらですか。
解答と解説
正解
2,350,000 円
解説
貸方合計は 2,000,000円 + 500,000円 = 2,500,000円です。貸方の 500,000円は追加元入れによる増加です。
借方の 150,000円は引出による減少です。
残高は 2,500,000円 - 150,000円 = 2,350,000円で、純資産のホームである貸方に出ます。
当座預金勘定の借方には前月繰越 800,000円、売掛金 540,000円、受取手数料 60,000円が、貸方には買掛金 470,000円、給料 320,000円、支払家賃 150,000円が記入されています。月末の残高はいくらですか。
解答と解説
正解
460,000 円
解説
借方合計は 800,000円 + 540,000円 + 60,000円 = 1,400,000円です。
貸方合計は 470,000円 + 320,000円 + 150,000円 = 940,000円です。
残高は 1,400,000円 - 940,000円 = 460,000円で、借方に出ます。
売掛金勘定の前月繰越は 380,000円で、当月に掛けで売り上げた金額は 920,000円です。月末残高が借方に 450,000円であるとき、当月に回収した金額はいくらですか。返品はなかったものとします。
解答と解説
正解
850,000 円
解説
借方合計は 380,000円 + 920,000円 = 1,300,000円です。
残高が借方に 450,000円ということは、借方合計から貸方合計を引いた差額が 450,000円です。
よって貸方合計は 1,300,000円 - 450,000円 = 850,000円となり、これが当月の回収額です。
資産の勘定は、増加を借方に、減少を貸方に記入します。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。資産のホームポジションは借方です。
現金がふえたら借方、へったら貸方。この形がすべての基本になります。
T字勘定では、左側を貸方、右側を借方と呼びます。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
逆です。左側が借方、右側が貸方です。
「かりかた」の「り」は左にはらう、「かしかた」の「し」は右にはねる、で覚えてください。
すべての勘定を集計すると、借方合計と貸方合計は必ず一致します。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。これを貸借平均の原理といいます。
1つの取引が必ず借方と貸方へ同額で記入されるため、それをすべて足しても左右は一致します。
この性質を利用して記入ミスを探す表が試算表です。
費用の勘定の残高は、通常は貸方に生じます。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。費用のホームポジションは借方なので、残高は借方に生じます。
貸方がホームなのは負債・純資産・収益の3つです。
第5章仕訳のルールと仕訳帳0 / 20▼
取引を勘定科目と金額に分解する「仕訳」を、3つのステップで機械的に作れるようになります。
- 仕訳が「取引を勘定科目と金額に分解した記録」であることを説明できる。
- 3つのステップをたどって、自力で仕訳を1本つくれる。
- 仕訳帳の5つの欄が何を書く場所か分かり、諸口の使い方を説明できる。
1. 仕訳とは「取引を勘定科目に置きかえる作業」
簿記では、取引が起きるたびに長い文章を書き残すわけではありません。取引を勘定科目と金額だけで表し、借方と貸方に振り分けて記録します。この作業を仕訳といいます。
たとえば「銀行から現金 500,000円を借り入れた」という取引は、次のたった1行になります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 500,000 | 借入金 | 500,000 |
文章なら30字近くかかる情報が、勘定科目2つと金額2つに圧縮されました。仕訳は簿記の共通語です。ここができれば、第6章の転記も第7章の試算表も、あとは自動的に流れていきます。
仕訳が必ず借方と貸方の両方に書かれる理由
第3章で学んだとおり、取引は必ず借方の要素と貸方の要素が組み合わさって起こります。お金が出ていけば、その代わりに必ず何かを手に入れています。ですから仕訳は必ず借方と貸方の両方に記入します。片側だけの仕訳は存在しません。
記入法則はこの1行に集約されます。資産・費用は増えたら借方。負債・純資産・収益は増えたら貸方。減ったときは、それぞれ反対側です。この8つの組み合わせ以外は出てきません。
2. 仕訳をつくる3ステップ
仕訳は、ひらめきで作るものではありません。次の3ステップを、毎回まったく同じ順番でたどるだけの作業です。
どの勘定科目が動いたか
増えたのか、減ったのか
記入法則で借方か貸方か
STEP1 動いた勘定科目を見つける
取引の文章を読み、何が動いたかを2つ以上探します。コツは現金など、目に見える資産から先に見つけることです。「現金は動いたか」を最初に確認すれば、片方の科目はその場で決まります。
現金が動いていない取引なら、普通預金、当座預金、備品、商品(仕入・売上)の順に探します。
STEP2 増えたのか、減ったのかを決める
見つけた勘定科目それぞれについて、増えたのか減ったのかを言葉にします。「現金が 500,000円増えた」「借入金が 500,000円増えた」のように、主語と動詞をそろえて口に出します。ここを飛ばすと必ず迷います。
STEP3 記入法則で借方か貸方かを決める
あとは第4章の記入法則に当てはめるだけです。判断は完全に機械的で、考える余地はありません。
資産の増加
負債の減少
純資産の減少
費用の発生
資産の減少
負債の増加
純資産の増加
収益の発生
仕訳が作れないときは、STEP1かSTEP2を飛ばしています。「何が」「増えたか減ったか」を声に出す。この2つさえ言えれば、STEP3は覚えた法則を当てはめるだけの作業になります。
3. 仕訳の書き方の3つのルール
ルール1 借方から先に書く
仕訳は必ず借方(左側)から書き始めます。貸方から書いてはいけません。ネット試験の解答欄も、借方科目・借方金額・貸方科目・貸方金額の順に並んでいます。書く順番を固定しておくと、本番で迷う時間がゼロになります。
ルール2 借方合計と貸方合計は必ず一致する
1本の仕訳の中で、借方の金額の合計と貸方の金額の合計は必ず同じ額になります。1円でも違えば、その仕訳はどこかが間違っています。仕訳を書き終えたら、その場で足し算して確かめます。
ルール3 科目が2つ以上並ぶ側は、そのまま縦に並べる
借方または貸方に、勘定科目が2つ以上並ぶことがあります。科目の数は借方と貸方でそろっていなくてかまいません。ただし仕訳帳に書くときは、2つ以上並ぶ側を代表して諸口と書くという約束があります。
| 型 | 借方 | 貸方 | 取引の例 |
|---|---|---|---|
| 型A 1対1 | 備品 180,000 | 現金 180,000 | 備品を買い、全額を現金で支払った |
| 型B 1対2 | 備品 350,000 | 現金 100,000 未払金 250,000 | 備品を買い、一部だけ現金で支払った |
| 型C 2対1 | 借入金 500,000 支払利息 8,000 | 現金 508,000 | 借入金を利息とともに現金で返した |
4. 貸借平均の原理は、仕訳1本ずつで成り立っている
図5-2の型Bを見てください。貸方は2つに分かれていますが、100,000円と 250,000円を足せば 350,000円で、借方とぴったり一致します。型Cも同じです。科目の数がそろっていなくても、金額の合計は必ずそろいます。
この性質を貸借平均の原理といいます。仕訳1本ごとに借方合計と貸方合計が一致するのですから、1か月分の仕訳を全部足しても、当然一致します。第7章で試算表の貸借が合うのは、この積み重ねの結果です。
試算表の貸借が合わないとき、原因はたいてい仕訳ではなく転記です。仕訳の段階で貸借がずれることは、金額の書き間違い以外にありません。だからこそ、仕訳を書いた直後に足し算で確認する習慣が効きます。
5. 仕訳帳の役割と書き方
仕訳を日付順に書き並べていく帳簿が仕訳帳です。第6章で学ぶ総勘定元帳とあわせて主要簿と呼ばれ、どちらも必ず作らなければならない帳簿です。
仕訳帳は「いつ、どんな取引があったか」を時間の順に並べた記録です。これに対して総勘定元帳は、同じ内容を勘定科目ごとにまとめ直したものです。同じ取引を、時間の軸で見るか、科目の軸で見るかの違いだと考えてください。
| 日付 | 摘要 | 元丁 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|---|---|
| 5 1 | (現金) | 1 | 500,000 | |
| (借入金) | 12 | 500,000 | ||
| 銀行から借り入れ | ||||
| 5 8 | (備品) 諸口 | 8 | 350,000 | |
| (現金) | 1 | 100,000 | ||
| (未払金) | 15 | 250,000 | ||
| 事務用の棚を購入 |
5つの欄は、それぞれ何を書く場所か
- 日付欄 取引が起きた月と日を書きます。同じ月が続くときは月を省略できます。
- 摘要欄 勘定科目をかっこで囲んで書きます。借方の科目は左に寄せ、貸方の科目は1段下げて書くので、見ただけで左右が分かります。最後の行には取引の内容を短く書きます。これを小書きといいます。
- 元丁欄 総勘定元帳の何番の勘定に転記したかを書きます。仕訳帳と元帳をつなぐ道しるべです。
- 借方欄・貸方欄 金額を書きます。1つの科目につき、必ず片側だけに書き、もう片方は空欄のままにします。
元丁欄は、仕訳を書いた時点では空欄です。転記が終わってから番号を書き込みます。逆にいえば、元丁欄が空いている仕訳は「まだ転記していない」という目印になります。順番を取り違えないでください。
諸口は2つ以上並ぶ側の見出しです。図5-3の5月8日は貸方が2つに分かれているので、借方の(備品)と同じ行に諸口と書いて「相手側は複数ですよ」と知らせています。借方が2つ以上のときは、貸方科目と同じ行の借方側の位置に諸口を書きます。
6. つまずきやすい2つの場面と、その処方箋
場面1「現金が減ったのに、どうして貸方なの?」
ここでつまずく人はとても多いです。原因はひとつで、「借方はプラス、貸方はマイナス」と思い込んでいることです。借方と貸方は、プラスとマイナスの意味ではありません。左と右という場所の名前にすぎません。
資産は「増えたら左、減ったら右」と最初から決まっています。現金は資産ですから、減ったら右、つまり貸方です。理由を探さず、交通ルールと同じ決まりごととして受け入れてください。
借方がプラス、貸方がマイナス、ではありません。負債である借入金は、増えたときに貸方に来ます。増加と減少のどちらが左でどちらが右になるかは、その勘定科目が5つのグループのどれに属するかだけで決まります。
場面2「もう片方の相手科目が思いつかない」
処方箋ははっきりしています。動いた資産、とくに現金から先に置くことです。現金が動く取引は、初級で出題される取引の大半を占めます。次の手順を固定してください。
- まず「現金は増えたか、減ったか、動いていないか」だけを判定する。
- 増えたなら借方に、減ったなら貸方に、現金を先に置いてしまう。
- 空いた反対側に「なぜ現金が動いたのか」という理由を書く。
理由がモノを手に入れたことなら備品、出ていった理由がサービスや働きへの対価なら支払家賃・給料・支払手数料、入ってきた理由なら売上・受取家賃・受取手数料です。「現金が減った理由は家賃を払ったから」→ 貸方に現金、借方に支払家賃。これで仕訳は完成です。
相手科目は探すものではありません。理由を言葉にすれば自然に出てくるものです。
7. 例題で3ステップを実況中継する
6月3日、事務所で使うプリンター 90,000円を購入し、代金は現金で支払いました。仕訳を示しなさい。
STEP1 動いた科目を探します。まず現金です。買って現金で支払ったので、現金は確実に動いています。もう1つはプリンターそのもの。事務所で長く使う備え付けの物なので、勘定科目は備品です。
STEP2 増減を言葉にします。「現金が 90,000円減った」「備品が 90,000円増えた」。
STEP3 法則に当てはめます。現金は資産の減少だから貸方。備品は資産の増加だから借方。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 90,000 | 現金 | 90,000 |
借方 90,000円、貸方 90,000円。一致しているので完成です。
6月10日、営業用の陳列棚 260,000円を購入しました。代金のうち 60,000円は現金で支払い、残額は翌月末に支払う約束をしました。仕訳を示しなさい。
STEP1。現金から探します。60,000円だけ出ていきました。次に陳列棚。長く使う備え付けの物なので備品です。さらに「まだ払っていない 200,000円」という支払義務が新しく生まれています。商品以外のものを買って代金が未払いのときは未払金を使います。動いた科目は3つです。
STEP2。「備品が 260,000円増えた」「現金が 60,000円減った」「未払金が 200,000円増えた」。
STEP3。備品は資産の増加で借方。現金は資産の減少で貸方。未払金は負債の増加で貸方。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 260,000 | 現金 | 60,000 |
| – | – | 未払金 | 200,000 |
貸方は 60,000円と 200,000円で合計 260,000円。借方の 260,000円と一致します。
ここで現金を先に置いたことに注目してください。現金 60,000円が貸方だと決まった瞬間、残る 200,000円の置き場所は自動的に貸方に決まります。
6月25日、銀行からの借入金 400,000円を、利息 5,000円とあわせて現金で返済しました。仕訳を示しなさい。
STEP1。やはり現金からです。返済したので現金は出ていきました。出ていった金額は 400,000円と 5,000円を合わせた 405,000円です。相手は、返した元金にあたる借入金と、利息の支払いにあたる支払利息の2つになります。
STEP2。「現金が 405,000円減った」「借入金が 400,000円減った」「支払利息が 5,000円発生した」。
STEP3。現金は資産の減少で貸方。借入金は負債の減少で借方。支払利息は費用の発生で借方。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 借入金 | 400,000 | 現金 | 405,000 |
| 支払利息 | 5,000 | – | – |
借方は 400,000円と 5,000円で 405,000円。貸方の 405,000円と一致します。
例題3で、利息を借入金に含めて「借入金 405,000円」としてはいけません。元金の返済は負債の減少、利息の支払いは費用の発生で、まったく別の要素です。金額が合っていても、科目を混ぜた仕訳は不正解になります。
- 仕訳は「どの科目が動いたか → 増えたか減ったか → 記入法則で左右を決める」の3ステップで機械的に作る。
- 借方から先に書き、借方合計と貸方合計を1円単位で必ず一致させる。これが貸借平均の原理。
- 相手科目が出てこないときは、動いた現金を先に置き、空いた側に現金が動いた理由を書く。
章末演習(20問)
商品 240,000円を仕入れ、代金は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 240,000 | 現金 | 240,000 |
解説
現金から考えます。現金が 240,000円減ったので、資産の減少で貸方。減った理由は商品を仕入れたことなので、借方は費用の発生である仕入です。3分法では、仕入れた商品の原価をそのまま仕入勘定に記入します。
商品を 380,000円で売り上げ、代金は現金で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 380,000 | 売上 | 380,000 |
解説
現金が 380,000円増えたので、資産の増加で借方。増えた理由は商品を売ったことなので、貸方は収益の発生である売上です。3分法では、売価をそのまま売上勘定に記入します。
事務所で使うノートパソコン 180,000円を購入し、代金は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 180,000 | 現金 | 180,000 |
解説
現金が 180,000円減ったので貸方。長く使う事務用の物品を手に入れたので、借方は資産の増加である備品です。費用ではなく資産として記録する点に注意してください。
銀行から現金 700,000円を借り入れた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 700,000 | 借入金 | 700,000 |
解説
現金が 700,000円増えたので、資産の増加で借方。増えた理由は返す義務を負ったことなので、貸方は負債の増加である借入金です。負債は増えたら貸方でした。
取引先に現金 300,000円を貸し付けた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 貸付金 | 300,000 | 現金 | 300,000 |
解説
現金が 300,000円減ったので貸方。減った代わりに「返してもらう権利」を手に入れたので、借方は資産の増加である貸付金です。借入金と貸付金は左右が正反対になります。
今月分の事務所の家賃 95,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払家賃 | 95,000 | 現金 | 95,000 |
解説
現金が 95,000円減ったので貸方。減った理由は事務所を使うサービスへの対価なので、借方は費用の発生である支払家賃です。受取家賃と取り違えないでください。
従業員に今月分の給料 260,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 260,000 | 現金 | 260,000 |
解説
現金が 260,000円減ったので貸方。減った理由は働いてもらったことへの対価なので、借方は費用の発生である給料です。
仕訳を書くとき、先に書くのはどちら側か。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 借方(左側)から書く
解説
仕訳は必ず借方(左側)から書き始めます。試験の解答欄も借方科目・借方金額・貸方科目・貸方金額の順に並んでいます。書く順番を固定しておくと本番で迷いません。
1本の仕訳の中で必ず一致するものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 借方の合計金額と貸方の合計金額
解説
一致するのは金額の合計です。これを貸借平均の原理といいます。勘定科目の数はそろわなくてかまいません。借方が1つで貸方が2つ、という仕訳はふつうに登場します。
事務用の書棚 240,000円を購入し、代金は翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 240,000 | 未払金 | 240,000 |
解説
今回は現金が動いていません。書棚を手に入れたので借方は備品(資産の増加)。代金を後で払う義務が生まれたので、貸方は未払金(負債の増加)です。商品以外のものを買って代金が未払いのときは買掛金ではなく未払金を使います。
書棚の購入代金として生じていた未払金 240,000円を、現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未払金 | 240,000 | 現金 | 240,000 |
解説
現金が 240,000円減ったので貸方。減った理由は支払義務がなくなったことなので、借方は未払金(負債の減少)です。負債は減ったら借方でした。備品は今回動きません。
銀行からの借入金 700,000円を、現金で全額返済した。利息は考えなくてよい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 借入金 | 700,000 | 現金 | 700,000 |
解説
現金が 700,000円減ったので貸方。返す義務がなくなったので、借方は借入金(負債の減少)です。借り入れたときの仕訳とちょうど左右が入れ替わる形になります。
取引先に貸し付けていた 300,000円を、現金で回収した。利息は考えなくてよい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 300,000 | 貸付金 | 300,000 |
解説
現金が 300,000円増えたので借方。増えた理由は返してもらう権利がなくなったことなので、貸方は貸付金(資産の減少)です。資産が減れば貸方に来ます。
所有する建物の一部を貸しており、今月分の家賃 130,000円を現金で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 130,000 | 受取家賃 | 130,000 |
解説
現金が 130,000円増えたので借方。増えた理由は建物を貸したことへの対価なので、貸方は収益の発生である受取家賃です。支払家賃と取り違えないよう、受け取ったのか支払ったのかを必ず確認します。
取引の仲介を行い、その手数料 65,000円を現金で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 65,000 | 受取手数料 | 65,000 |
解説
現金が 65,000円増えたので借方。増えた理由は仲介というサービスを提供した対価なので、貸方は収益の発生である受取手数料です。商品を売ったわけではないので売上は使いません。
仕訳帳の摘要欄に「諸口」と書くのはどのようなときか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 借方または貸方の勘定科目が2つ以上あるとき
解説
諸口は、片側に勘定科目が2つ以上並ぶときに、その側を代表して書く言葉です。相手側が複数であることを読み手に知らせる目印になります。金額の大小や現金の有無とは関係ありません。
「備品 80,000円を購入し、現金で支払った」という取引の仕訳で、現金が貸方に記入される理由として正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 現金は資産であり、減少は貸方に記入すると決まっているから
解説
借方がプラスで貸方がマイナス、という意味ではありません。現金は資産に属し、資産は増えたら借方・減ったら貸方と決まっています。今回は現金が 80,000円減ったので貸方です。相手の備品は資産の増加なので借方に来ます。
営業用の応接セット 420,000円を購入し、代金のうち 120,000円を現金で支払い、残額は翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 420,000 | 現金 | 120,000 |
| – | – | 未払金 | 300,000 |
解説
まず現金です。120,000円減ったので貸方に置きます。応接セットを手に入れたので、借方は備品 420,000円。残額 420,000円ひく 120,000円イコール 300,000円は後で支払う義務なので、未払金 300,000円を貸方に加えます。貸方合計は 120,000円たす 300,000円で 420,000円となり、借方と一致します。
銀行からの借入金 600,000円を、利息 9,000円とあわせて現金で返済した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 借入金 | 600,000 | 現金 | 609,000 |
| 支払利息 | 9,000 | – | – |
解説
出ていった現金は 600,000円たす 9,000円で 609,000円。これを貸方に置きます。借方は、元金の返済にあたる借入金 600,000円(負債の減少)と、利息にあたる支払利息 9,000円(費用の発生)の2つに分けます。利息を借入金に含めて 609,000円としてはいけません。
取引先に貸し付けていた 400,000円を、利息 6,000円とあわせて現金で回収した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 406,000 | 貸付金 | 400,000 |
| – | – | 受取利息 | 6,000 |
解説
入ってきた現金は 400,000円たす 6,000円で 406,000円。これを借方に置きます。貸方は、返してもらった元金にあたる貸付金 400,000円(資産の減少)と、利息にあたる受取利息 6,000円(収益の発生)の2つに分けます。借方1つ、貸方2つの型です。
第6章転記と総勘定元帳0 / 18▼
仕訳を総勘定元帳へ書き移す転記のルールを身につけ、勘定ごとの残高を自分の手で出せるようになります。
- 取引から試算表までの簿記一巡の手続きを、順番どおりに説明できる
- 仕訳帳の仕訳を、総勘定元帳の勘定口座へ4つのルールどおりに転記できる
- 相手科目が2つ以上のときは「諸口」と書き、転記後の勘定残高を計算できる
1 まず簿記一巡の流れを頭に入れる
簿記の作業は、毎月ほぼ同じ順番でくり返されます。この決まった流れを簿記一巡の手続きといいます。第5章まで練習してきた仕訳は、この流れの2番目にあたります。
全体の地図を持たずに転記だけを練習すると、「いま何のためにこれを書いているのか」が分からなくなります。まず流れを見てください。
商品を売った
現金を払った
仕訳帳に
借方と貸方で記録
総勘定元帳の
勘定口座へ書き移す
勘定ごとの
合計と残高を集める
この章の主役はSTEP3の転記です。転記が正しくできれば、STEP4の試算表はほぼ自動的に組み上がります。逆に転記を1か所まちがえると、試算表の貸借が合わなくなります。
1-1 主要簿は2冊だけ
簿記で必ず作る帳簿を主要簿といいます。主要簿は次の2冊です。
すべての取引を、発生した日付の順に仕訳の形で記録する帳簿です。取引の日記にあたります。
すべての勘定口座を集めた帳簿です。現金なら現金、売上なら売上と、科目ごとに金額を集めます。
仕訳帳は日付順、総勘定元帳は科目順。同じ取引を2つの見方で並べ直しているだけです。日付順のままでは「現金がいまいくらあるか」が分かりません。そこで科目ごとに集め直す必要があるのです。
この2冊以外の帳簿(現金出納帳や売掛金元帳など)は補助簿とよびます。補助簿は第18章で扱います。
主要簿は仕訳帳(日付順)と総勘定元帳(科目順)の2冊。この2冊は必ず作ります。それ以外は補助簿です。
2 転記とは何か
転記とは、仕訳帳に書いた仕訳を、総勘定元帳の各勘定口座へ書き移す作業です。「転じて記す」と書くとおり、ここで新しい判断はしません。仕訳ですでに決まった内容を、そのまま移すだけです。
ここが初学者のつまずきポイントです。転記の場面で「これは借方だったかな」と考え直す必要はありません。考えるのは仕訳のとき、転記はただの作業と割り切ってください。
2-1 転記の4つのルール
- 同じ側に書く。仕訳で借方に書いた科目は、その勘定口座の借方へ。貸方に書いた科目は貸方へ。側は絶対に入れかわりません。
- 摘要欄には相手科目を書く。自分の勘定名は書きません。現金勘定に「現金」と書いても、何の取引か分からないからです。
- 金額はそのまま写す。丸めたり、まとめたり、分けたりしません。
- 日付は仕訳と同じにそろえる。あとから仕訳帳と照合できるようにするためです。
転記でいちばん間違えるのは摘要欄です。摘要欄に書くのは相手科目、つまり仕訳の反対側にある勘定科目の名前です。自分の名前は書きません。
2-2 仕訳から勘定口座へ、実際に動かしてみる
次の取引で動きを確認します。
6月8日 商品 120,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 120,000 | 売上 | 120,000 |
↓ 転記 ↓
借方の現金は現金勘定の借方へ、貸方の売上は売上勘定の貸方へ。摘要にはおたがいの名前が入り、たすきをかけたように交差します。
現金勘定の借方に「売上」と書いてあれば、「売上によって現金が増えた」と読めます。売上勘定の貸方に「現金」と書いてあれば、「現金を受け取る形で売り上げた」と読めます。摘要欄に相手科目を書く理由はここにあります。
転記のときに左右を入れかえてしまう誤りが多発します。仕訳の借方は勘定の借方、仕訳の貸方は勘定の貸方です。移すのは帳簿であって、側ではありません。
3 相手科目が複数のときは「諸口」
仕訳の相手側に勘定科目が2つ以上並ぶことがあります。このとき摘要欄に全部を書くと1行に収まりません。そこで諸口(しょくち)と書きます。諸口は「相手はいくつかあります」という合図です。
大事なのは、諸口を書くのは相手が2つ以上ある側の勘定だけという点です。相手が1つしかない勘定には、その科目名をそのまま書きます。すべての勘定に諸口と書くわけではありません。
6月20日 商品 150,000円を売り上げ、代金のうち 50,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 50,000 | 売上 | 150,000 |
| 売掛金 | 100,000 |
↓ 転記 ↓
現金から見た相手は売上だけ、売掛金から見た相手も売上だけです。だから摘要は「売上」。ところが売上から見ると相手は現金と売掛金の2つあります。だから売上勘定だけが「諸口」になります。
諸口かどうかはその勘定の反対側を見て判断します。反対側が1行なら科目名、2行以上なら諸口。金額は反対側の合計額を1行で書きます。
4 総勘定元帳の様式
総勘定元帳の勘定口座には、標準式と残高式の2つの様式があります。
標準式は、中央で左右に分かれ、左が借方、右が貸方になっている形です。学習でよく使うT字勘定は、この標準式から日付欄などを省いた簡略形だと考えてください。
残高式は、借方欄・貸方欄・残高欄が横に並ぶ形です。1行記入するたびに残高が更新されるので、いま残高がいくらなのかが一目で分かります。銀行の通帳と同じ形です。
| 日付 | 摘要 | 仕丁 | 借方 | 貸方 | 借/貸 | 残高 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 6/1 | 前月繰越 | レ | 250,000 | 借 | 250,000 | |
| 6/3 | 仕入 | 1 | 80,000 | 借 | 170,000 | |
| 6/8 | 売上 | 1 | 120,000 | 借 | 290,000 | |
| 6/15 | 消耗品費 | 2 | 6,000 | 借 | 284,000 |
仕丁欄には、その仕訳が書かれている仕訳帳のページ番号を書きます。前月繰越のように仕訳帳から来ていない行には「レ」を書きます。
残高欄の計算はかんたんです。前の行の残高に、同じ側の金額なら足し、反対側の金額なら引くだけです。上の表なら、250,000円から仕入の 80,000円を引いて 170,000円、そこに売上の 120,000円を足して 290,000円、消耗品費の 6,000円を引いて 284,000円となります。
借/貸の欄には、残高がどちら側にあるかを1文字で書きます。現金は資産なので、ふつうは借方に残ります。
残高がどちら側に出るかの原則です。
- 資産・費用の勘定 → 借方残高
- 負債・純資産・収益の勘定 → 貸方残高
計算結果がこの原則と逆になったら、どこかで転記をまちがえた合図です。
5 T字勘定で残高を出す
試験で残高をすばやく出すには、T字勘定が最短です。手順は3つだけです。
- 借方(左)の金額を全部足す。
- 貸方(右)の金額を全部足す。
- 大きいほうから小さいほうを引き、大きかった側に残高を書く。
借方合計は 250,000円 + 120,000円 = 370,000円。貸方合計は 80,000円 + 6,000円 = 86,000円。
差額は 370,000円 - 86,000円 = 284,000円で、借方が大きいので借方残高 284,000円です。図6-4の残高式の最終行と一致します。
初級では勘定の締切り(次期繰越の記入や合計線)は問われません。期中の取引を転記し、月末の残高を出すところまでが範囲です。締切りの作法を覚える時間があるなら、転記の正確さと速さに使ってください。
次の取引を仕訳し、買掛金勘定へ転記して、6月末の買掛金残高を求めなさい。買掛金の前月繰越はないものとします。
- 6月4日 商品 200,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
- 6月11日 買掛金 120,000円を現金で支払った。
解き方の実況
まず仕訳です。6月4日は商品を仕入れたので費用の仕入が増えて借方、代金は後払いなので負債の買掛金が増えて貸方です。6月11日は買掛金という義務が減るので借方、現金という資産が減るので貸方です。
| 日付 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 6/4 | 仕入 | 200,000 | 買掛金 | 200,000 |
| 6/11 | 買掛金 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
次が転記です。6月4日の買掛金は仕訳の貸方にあるので、買掛金勘定の貸方へ書きます。摘要は相手科目の「仕入」です。6月11日の買掛金は仕訳の借方にあるので借方へ。摘要は相手科目の「現金」です。
借方合計は 120,000円、貸方合計は 200,000円。差額は 200,000円 - 120,000円 = 80,000円で、貸方が大きいので貸方残高 80,000円です。買掛金は負債なので貸方に残るのが原則どおりで、検算になります。
次の取引を売掛金勘定へ転記し、6月末の売掛金残高を求めなさい。売掛金の前月繰越は 300,000円(借方)です。
- 6月7日 商品 400,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- 6月18日 売掛金 250,000円を現金で回収した。
- 6月25日 商品 180,000円を売り上げ、代金のうち 60,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。
解き方の実況
6月7日の仕訳は、借方 売掛金 400,000円 / 貸方 売上 400,000円。売掛金は借方で、相手は売上だけなので摘要は「売上」です。
6月18日の仕訳は、借方 現金 250,000円 / 貸方 売掛金 250,000円。売掛金は貸方で、摘要は「現金」です。
6月25日の仕訳は、借方が現金 60,000円と売掛金 120,000円、貸方が売上 180,000円です。ここが山場です。売掛金から見た相手は売上ひとつなので、売掛金勘定の摘要は「売上」で、金額は 120,000円。売上から見た相手は現金と売掛金の2つなので、売上勘定の摘要だけが「諸口」で、金額は 180,000円です。
借方合計は 300,000円 + 400,000円 + 120,000円 = 820,000円。貸方合計は 250,000円。
差額は 820,000円 - 250,000円 = 570,000円で、借方残高 570,000円です。売掛金は資産なので借方残高。原則どおりです。
6 転記の先には試算表がある
総勘定元帳のすべての勘定について借方合計と貸方合計を集めると合計試算表ができます。残高だけを集めると残高試算表です。両方を1枚にしたものが合計残高試算表で、試験の第3問はここが出ます。
仕訳は必ず借方と貸方が同額です。その仕訳を同じ側へそのまま転記するのですから、元帳全体を集計すれば借方合計と貸方合計は必ず一致します。これが貸借平均の原理です。試算表の貸借が合わないときは、仕訳か転記のどこかがまちがっています。
逆に言えば、この章の転記が正確にできることが第7章以降の土台になります。金額の写しまちがい、側の入れかえ、日付のずれ。この3つを潰すだけで、試算表はぐっと合いやすくなります。
- 簿記一巡は 取引 → 仕訳 → 転記 → 試算表。転記は仕訳を科目別に並べ直すだけの作業です。
- 転記は同じ側へ、摘要欄には相手科目、金額と日付はそのまま写します。
- 相手が2つ以上ある側の勘定だけ摘要が「諸口」。残高は多い側から少ない側を引き、多い側に残します。
章末演習(18問)
簿記一巡の手続きの順序として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
イ 取引 → 仕訳 → 転記 → 試算表
解説
取引が起きたら、まず仕訳帳に仕訳します。次にその仕訳を総勘定元帳の勘定口座へ転記し、最後に各勘定の合計と残高を集めて試算表を作ります。転記より先に試算表は作れません。
商品 90,000円を仕入れ、代金は掛けとした。この取引を買掛金勘定に転記するときの記入として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
イ 貸方に摘要「仕入」90,000円
解説
仕訳は 借方 仕入 90,000円 / 貸方 買掛金 90,000円 です。買掛金は仕訳の貸方にあるので、買掛金勘定の貸方へ転記します。摘要欄には相手科目の「仕入」を書きます。自分の名前である「買掛金」は書きません。
売掛金 200,000円を現金で回収した。この取引を現金勘定に転記するときの記入として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
ア 借方に摘要「売掛金」200,000円
解説
仕訳は 借方 現金 200,000円 / 貸方 売掛金 200,000円 です。現金は仕訳の借方にあるので現金勘定の借方へ。摘要は相手科目の「売掛金」です。回収であって新たな売上ではないので、摘要が「売上」になることはありません。
仕訳で借方に記入した勘定科目は、総勘定元帳でもその勘定口座の借方に記入する。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。転記で側が入れかわることはありません。仕訳の借方は勘定の借方へ、仕訳の貸方は勘定の貸方へ、そのまま移します。
勘定口座の摘要欄には、その勘定口座自身の勘定科目名を書く。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。摘要欄に書くのは相手科目です。現金勘定に「現金」と書いても何の取引か分かりません。相手科目を書くことで、その増減の原因が読み取れるようになります。
現金勘定に次のとおり転記した。6月末の現金勘定の残高はいくらか。
- 6月1日 前月繰越 180,000円(借方)
- 6月5日 売上 90,000円(借方)
- 6月12日 仕入 55,000円(貸方)
- 6月22日 通信費 8,000円(貸方)
解答と解説
正解
207,000 円
解説
借方合計は 180,000円 + 90,000円 = 270,000円。貸方合計は 55,000円 + 8,000円 = 63,000円。差額は 270,000円 - 63,000円 = 207,000円で、借方が大きいので借方残高 207,000円です。現金は資産なので借方残高になり、原則どおりです。
買掛金勘定に次のとおり転記した。7月末の買掛金勘定の残高はいくらか。
- 7月1日 前月繰越 240,000円(貸方)
- 7月6日 仕入 160,000円(貸方)
- 7月20日 当座預金 300,000円(借方)
解答と解説
正解
100,000 円
解説
貸方合計は 240,000円 + 160,000円 = 400,000円。借方合計は 300,000円。差額は 400,000円 - 300,000円 = 100,000円で、貸方が大きいので貸方残高 100,000円です。買掛金は負債なので貸方残高になり、原則どおりです。
仕訳の相手側に勘定科目が2つ以上あるときは、勘定口座の摘要欄に「諸口」と書く。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。相手科目が複数あると摘要欄に書ききれないため、「諸口」とまとめて書きます。金額は相手側の合計額を1行で記入します。
転記が終わったあと、総勘定元帳の各勘定は、勘定ごとに借方合計と貸方合計が必ず一致する。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。一致するのは総勘定元帳全体を集計したときの借方合計と貸方合計です。個々の勘定では借方と貸方に差額が生じ、それが残高になります。勘定ごとに一致してしまったら残高はすべてゼロということになり、現実的ではありません。
商品 300,000円を売り上げ、代金のうち 100,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。売上勘定の摘要欄に記入する語はどれか。
解答と解説
正解
ウ 諸口
解説
仕訳は 借方 現金 100,000円と売掛金 200,000円 / 貸方 売上 300,000円 です。売上から見ると相手は現金と売掛金の2つあるので、売上勘定の摘要は「諸口」となり、金額は合計の 300,000円を1行で書きます。
商品 300,000円を売り上げ、代金のうち 100,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。売掛金勘定への転記として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
イ 借方に摘要「売上」200,000円
解説
売掛金は仕訳の借方に 200,000円で記入されるので、売掛金勘定の借方へ転記します。売掛金から見た相手は売上ひとつだけなので、摘要は「諸口」ではなく「売上」です。諸口になるのは売上勘定の側だけだという点に注意してください。金額も売掛金の分である 200,000円で、売上総額の 300,000円ではありません。
給料 250,000円のうち、源泉所得税 20,000円を預かり、残額 230,000円を現金で支払った。給料勘定の摘要欄に記入する語はどれか。
解答と解説
正解
ウ 諸口
解説
仕訳は 借方 給料 250,000円 / 貸方 預り金 20,000円と現金 230,000円 です。給料から見ると相手は預り金と現金の2つなので、給料勘定の摘要は「諸口」です。逆に預り金勘定と現金勘定の摘要は、どちらも相手が給料ひとつなので「給料」となります。
売掛金勘定に次のとおり転記した。8月末の売掛金勘定の残高はいくらか。
- 8月1日 前月繰越 520,000円(借方)
- 8月7日 売上 380,000円(借方)
- 8月19日 現金 450,000円(貸方)
- 8月26日 売上 30,000円(貸方。返品による取り消し分)
解答と解説
正解
420,000 円
解説
借方合計は 520,000円 + 380,000円 = 900,000円。貸方合計は 450,000円 + 30,000円 = 480,000円。差額は 900,000円 - 480,000円 = 420,000円で、借方残高 420,000円です。返品は掛代金を減らすので、売掛金勘定の貸方に転記されます。
普通預金勘定に次のとおり転記した。9月末の普通預金勘定の残高はいくらか。
- 9月1日 前月繰越 1,250,000円(借方)
- 9月10日 売掛金 640,000円(借方)
- 9月25日 給料 380,000円(貸方)
- 9月27日 水道光熱費 27,000円(貸方)
- 9月30日 借入金 200,000円(貸方)
解答と解説
正解
1,283,000 円
解説
借方合計は 1,250,000円 + 640,000円 = 1,890,000円。貸方合計は 380,000円 + 27,000円 + 200,000円 = 607,000円。差額は 1,890,000円 - 607,000円 = 1,283,000円で、借方残高 1,283,000円です。9月30日の借入金は返済であり、預金が減るので貸方に入っています。
仕入勘定に次のとおり転記した。5月末の仕入勘定の残高はいくらか。
- 5月4日 買掛金 350,000円(借方)
- 5月12日 現金 120,000円(借方)
- 5月18日 諸口 260,000円(借方)
- 5月23日 買掛金 40,000円(貸方。返品による取り消し分)
解答と解説
正解
690,000 円
解説
借方合計は 350,000円 + 120,000円 + 260,000円 = 730,000円。貸方は 40,000円。差額は 730,000円 - 40,000円 = 690,000円で、借方残高 690,000円です。仕入は費用なので借方残高になります。5月18日の「諸口」は、代金の一部を現金、残りを掛けで支払った取引を示しています。
次の6月の取引をすべて転記した。現金の前月繰越は 320,000円(借方)である。6月末の現金勘定の残高はいくらか。
- 6月6日 商品 210,000円を仕入れ、代金のうち 90,000円は現金で支払い、残額は掛けとした。
- 6月13日 商品 400,000円を売り上げ、代金のうち 150,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。
- 6月20日 店舗の家賃 70,000円を現金で支払った。
- 6月28日 手数料 25,000円を現金で受け取った。
解答と解説
正解
335,000 円
解説
現金が動いた金額だけを拾います。借方(増加)は6月13日の 150,000円と6月28日の 25,000円。貸方(減少)は6月6日の 90,000円と6月20日の 70,000円です。借方合計は 320,000円 + 150,000円 + 25,000円 = 495,000円、貸方合計は 90,000円 + 70,000円 = 160,000円。差額は 495,000円 - 160,000円 = 335,000円で、借方残高 335,000円です。掛けの部分は現金勘定には転記しません。仕入 210,000円や売上 400,000円の総額につられないよう注意してください。
次の6月の取引をすべて転記した。6月末の売上勘定の残高はいくらか。
- 6月3日 商品 480,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- 6月10日 商品 130,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。
- 6月17日 商品 350,000円を売り上げ、代金のうち 100,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。
- 6月24日 6月3日に売り上げた商品のうち 45,000円が返品され、掛代金から差し引いた。
解答と解説
正解
915,000 円
解説
売上は収益なので、売り上げたときは貸方に転記します。貸方合計は 480,000円 + 130,000円 + 350,000円 = 960,000円。返品は売上の取り消しなので借方に 45,000円を転記します。差額は 960,000円 - 45,000円 = 915,000円で、貸方残高 915,000円です。なお6月17日の売上勘定の摘要は、相手が現金と売掛金の2つなので「諸口」となります。
当座預金勘定に関する6月の取引は次のとおりである。前月繰越は 860,000円(借方)である。6月末の当座預金勘定の残高はいくらか。
- 6月5日 買掛金の支払いのため、小切手 240,000円を振り出した。
- 6月9日 売掛金 520,000円が当座預金口座に振り込まれた。
- 6月16日 備品 300,000円を購入し、代金は小切手を振り出して支払った。
- 6月21日 銀行から 500,000円を借り入れ、当座預金口座に入金された。
- 6月30日 借入金の利息 4,000円が当座預金口座から引き落とされた。
解答と解説
正解
1,336,000 円
解説
当座預金が増える取引は6月9日の 520,000円と6月21日の 500,000円で、これらは借方に転記します。減る取引は6月5日の 240,000円、6月16日の 300,000円、6月30日の 4,000円で、貸方に転記します。借方合計は 860,000円 + 520,000円 + 500,000円 = 1,880,000円、貸方合計は 240,000円 + 300,000円 + 4,000円 = 544,000円。差額は 1,880,000円 - 544,000円 = 1,336,000円で、借方残高 1,336,000円です。小切手を振り出した時点で当座預金は減ると考えます。
第7章試算表のしくみ(合計・残高・合計残高)0 / 18▼
元帳への転記が正しいかを1枚の表で検算し、合計・残高・合計残高の3種類の試算表を自力で作り分けられるようになります。
- 試算表を作る2つの目的(転記の検算と、月末の姿の把握)を自分の言葉で言える。
- 同じ元帳から、合計試算表・残高試算表・合計残高試算表の3種類を作り分けられる。
- 借方合計と貸方合計が一致しないとき、差額から原因のあたりをつけられる。
1 試算表とは何か
試算表(しさんひょう)とは、総勘定元帳にあるすべての勘定を1枚の表に集め、借方と貸方の合計が一致するかどうかを確かめる表です。「試しに集計して検算する表」という意味です。資産をまとめた表ではないので、字面につられて「資産表」と覚えないでください。
簿記の流れは、取引 → 仕訳帳 → 総勘定元帳 → 試算表 という順に進みます。第5章で仕訳を、第6章で転記を学びました。試算表はその次の関所にあたります。
目的その1 転記が正しいかを確かめる
仕訳は借方と貸方が必ず同額です。ですから、その仕訳を元帳へ正しく転記していれば、すべての勘定の借方合計と貸方合計もぴったり一致します。逆にいえば、一致しなければどこかで転記をまちがえたとわかります。試算表は、機械のない時代から使われてきた検算装置です。
目的その2 月末の姿を1枚でつかむ
試算表には、現金がいくら残っているか、売掛金がいくら未回収か、当月の売上がいくらか、といった数字がすべて並びます。決算を待たずに、毎月末に会社の財政状態と損益のあらましをつかめます。これを月次集計といいます。日商簿記初級の第3問は、この月次の合計残高試算表から数字を読み取る問題です。
試算表の目的は2つです。
- 検算…転記のミスを見つける。
- 月次集計…月末時点の財政状態と、当月の損益をつかむ。
この2つを混ぜずに、別々に言えるようにしておいてください。
2 なぜ借方合計と貸方合計は一致するのか
理由はとても単純です。仕訳を1本つくるたびに、借方の金額合計と貸方の金額合計は必ず等しくなります。等しいもの同士を何本足しても、やはり等しいままです。
たとえば当月の仕訳が3本あり、それぞれ 400,000円、600,000円、350,000円だったとします。借方の総額は 1,350,000円、貸方の総額も 1,350,000円です。この仕訳を1件ももらさず元帳へ写せば、元帳の借方合計も 1,350,000円、貸方合計も 1,350,000円になります。これを貸借平均の原理といいます。
貸借平均の原理
1つの仕訳で 借方の合計 = 貸方の合計
↓ だから全部足しても
元帳全体で 借方の合計 = 貸方の合計
↓ 差を取っても等式は崩れない
残高でも 借方残高の合計 = 貸方残高の合計
残高でも一致するのはなぜでしょうか。各勘定について「借方合計 ひく 貸方合計」を計算し、プラスなら借方残高、マイナスなら貸方残高として扱います。全部の勘定を足し合わせると、借方合計の総額と貸方合計の総額が等しいのですから、差の総額はゼロです。差の総額がゼロということは、借方残高の合計と貸方残高の合計が等しいということです。
3 試算表は3種類ある
元となる元帳のデータは同じでも、表に何を書き写すかで3種類に分かれます。
3つめの合計残高試算表は、この2つを1枚に合体させた表です。中央に勘定科目を置き、その左右に「合計」と「残高」の欄を並べます。借方側は左から「借方残高・借方合計」、貸方側は「貸方合計・貸方残高」の順に並べるのがふつうです。
3種類の関係は次のとおりです。
- 合計試算表…動いた金額の総額。前月からの繰越額も借方合計や貸方合計に含まれる。
- 残高試算表…残っている金額。貸借対照表と損益計算書のもとになる。
- 合計残高試算表…上の2つを1枚にしたもの。初級の第3問はこの形で出ます。
4 同じ元帳から3種類を作ってみる
個人企業のかえで商店を例にします。6月1日の前月繰越額と、6月中の取引は次のとおりです。
前月繰越額 現金 200,000円/普通預金 500,000円/売掛金 300,000円/備品 250,000円/買掛金 180,000円/借入金 400,000円/資本金 670,000円
6月中の取引
- 商品 400,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
- 商品 600,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- 売掛金 350,000円を現金で回収した。
- 買掛金 250,000円を普通預金から支払った。
- 給料 150,000円を現金で支払った。
- 家賃 80,000円を普通預金から支払った。
- 商品 120,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。
まず元帳の各勘定を数える
元帳のT字勘定を3つだけのぞいてみます。左側(借方)に書かれた金額を全部足したものが借方合計、右側(貸方)を全部足したものが貸方合計です。
現金勘定は、借方合計が 200,000 たす 350,000 たす 120,000 で 670,000円、貸方合計が 150,000円です。残高は 670,000 ひく 150,000 で、借方に 520,000円となります。同じ作業をすべての勘定について行います。
前月繰越の金額も、そのまま借方合計または貸方合計に含めます。「当月に動いた分だけ」を集計するのではありません。前月繰越を落とすと、資産と負債の残高がまるごと狂います。
3種類を並べて見る
1 合計試算表 借方合計と貸方合計をそのまま写す
| 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 |
|---|---|---|
| 670,000 | 現金 | 150,000 |
| 500,000 | 普通預金 | 330,000 |
| 900,000 | 売掛金 | 350,000 |
| 250,000 | 備品 | – |
| 250,000 | 買掛金 | 580,000 |
| – | 借入金 | 400,000 |
| – | 資本金 | 670,000 |
| – | 売上 | 720,000 |
| 400,000 | 仕入 | – |
| 150,000 | 給料 | – |
| 80,000 | 支払家賃 | – |
| 3,200,000 | 合計 | 3,200,000 |
2 残高試算表 残高だけを、出た側に書く
| 借方残高 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|
| 520,000 | 現金 | – |
| 170,000 | 普通預金 | – |
| 550,000 | 売掛金 | – |
| 250,000 | 備品 | – |
| – | 買掛金 | 330,000 |
| – | 借入金 | 400,000 |
| – | 資本金 | 670,000 |
| – | 売上 | 720,000 |
| 400,000 | 仕入 | – |
| 150,000 | 給料 | – |
| 80,000 | 支払家賃 | – |
| 2,120,000 | 合計 | 2,120,000 |
3 合計残高試算表 1と2を1枚に合体させる
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 520,000 | 670,000 | 現金 | 150,000 | – |
| 170,000 | 500,000 | 普通預金 | 330,000 | – |
| 550,000 | 900,000 | 売掛金 | 350,000 | – |
| 250,000 | 250,000 | 備品 | – | – |
| – | 250,000 | 買掛金 | 580,000 | 330,000 |
| – | – | 借入金 | 400,000 | 400,000 |
| – | – | 資本金 | 670,000 | 670,000 |
| – | – | 売上 | 720,000 | 720,000 |
| 400,000 | 400,000 | 仕入 | – | – |
| 150,000 | 150,000 | 給料 | – | – |
| 80,000 | 80,000 | 支払家賃 | – | – |
| 2,120,000 | 3,200,000 | 合計 | 3,200,000 | 2,120,000 |
3つとも元のデータは同じです。合計欄の縦計はどちらも 3,200,000円、残高欄の縦計はどちらも 2,120,000円で一致しています。
数字の読み取り方も少し見ておきます。現金の月末残高は 520,000円です。前月繰越が 200,000円ですから、当月の現金の純増加額は 320,000円です。売掛金の貸方合計 350,000円は、当月に回収した金額を示します。売上高は貸方残高の 720,000円です。このような読み取りは第19章でたっぷり練習します。
5 試算表の作り方(手順)
作業は次の6段階です。順番を守れば必ず作れます。
- 総勘定元帳のすべての勘定について、借方に書かれた金額をすべて足す。これが借方合計。
- 同じ勘定について、貸方に書かれた金額をすべて足す。これが貸方合計。
- 借方合計と貸方合計の大きいほうから小さいほうを引き、残高を出す。残高は大きかった側に置く。
- 勘定科目を資産・負債・純資産・収益・費用の順に表へ並べ、金額を書き写す。
- 合計欄・残高欄それぞれについて、借方の縦計と貸方の縦計を出す。
- 借方の縦計と貸方の縦計が一致すれば完成。一致しなければ原因を探す。
資産と費用は借方に残高が出ます。負債・純資産・収益は貸方に残高が出ます。第4章で学んだ勘定記入法則そのままです。残高が反対側に出たときは、まず転記ミスを疑ってください。
個人企業ひなた商店の8月1日の前月繰越額と、8月中の取引は次のとおりです。8月31日の合計残高試算表を作りなさい。
前月繰越額 現金 150,000円/売掛金 80,000円/買掛金 70,000円/資本金 160,000円
8月中の取引
- 商品 100,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
- 商品 130,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- 商品 90,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。
- 売掛金 60,000円を現金で回収した。
- 商品 40,000円を仕入れ、代金は現金で支払った。
- 通信費 12,000円を現金で支払った。
解き方の実況
まず仕訳を頭の中で作ります。(1)仕入 100,000/買掛金 100,000 (2)売掛金 130,000/売上 130,000 (3)現金 90,000/売上 90,000 (4)現金 60,000/売掛金 60,000 (5)仕入 40,000/現金 40,000 (6)通信費 12,000/現金 12,000。
次に勘定ごとに左右を数えます。現金の借方は前月繰越 150,000 と (3)90,000 と (4)60,000 で 300,000円。貸方は (5)40,000 と (6)12,000 で 52,000円。残高は借方に 248,000円です。
売掛金の借方は 80,000 たす 130,000 で 210,000円、貸方は 60,000円、残高は借方 150,000円。買掛金は借方の記入がなく、貸方が 70,000 たす 100,000 で 170,000円、残高は貸方 170,000円です。
売上は貸方に 130,000 と 90,000 で 220,000円。仕入は借方に 100,000 と 40,000 で 140,000円。通信費は借方 12,000円。資本金は貸方 160,000円です。
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 248,000 | 300,000 | 現金 | 52,000 | – |
| 150,000 | 210,000 | 売掛金 | 60,000 | – |
| – | – | 買掛金 | 170,000 | 170,000 |
| – | – | 資本金 | 160,000 | 160,000 |
| – | – | 売上 | 220,000 | 220,000 |
| 140,000 | 140,000 | 仕入 | – | – |
| 12,000 | 12,000 | 通信費 | – | – |
| 550,000 | 662,000 | 合計 | 662,000 | 550,000 |
合計欄はどちらも 662,000円、残高欄はどちらも 550,000円で一致しました。ここまで確認して初めて「できた」といえます。
6 貸借が一致しないときの探し方
縦計が合わないときは、必ずどこかにミスがあります。やみくもに最初から見直すのは時間の無駄です。まず差額を計算し、差額の性質から原因を絞り込みます。
典型的な4つのミス
- 片方だけ転記した…仕訳の借方は元帳に写したが、貸方を写し忘れた。差額はその金額そのもの。
- 金額を書き間違えた…片方の勘定だけ金額をまちがえた。差額はまちがえた分だけ。
- 貸借を逆に転記した…貸方に書くべき金額を借方に書いた。差額はその金額の2倍。
- 同じ仕訳を二重に転記した…片側だけ2回写した。差額はその金額そのもの。
差額のクセを利用する
- 差額を2で割った金額が元帳にあれば、その記入を貸借逆に転記した可能性が高い。借方が多いなら、貸方に書くべきものを借方に書いています。
- 差額が9で割り切れるなら、桁の書きまちがい(60,000円を6,000円と書いた。差は 54,000円)や、数字の入れ替え(45,000円を54,000円と書いた。差は 9,000円)を疑います。
差額はたいてい2でも割り切れます。大切なのは「割ってみる」ことではなく、その金額の記入が実際に元帳にあるかを探すことです。
次の2つの場合について、まず何を疑うべきかを答えなさい。
(a) 合計試算表の借方合計は 2,340,000円、貸方合計は 2,290,000円であった。
(b) 合計試算表の借方合計は 1,845,000円、貸方合計は 1,899,000円であった。
解き方の実況(a)
差額は 2,340,000 ひく 2,290,000 で 50,000円。借方のほうが多い状態です。
50,000円を9で割ると割り切れません。桁ちがいの線は薄いと判断します。
50,000円を2で割ると 25,000円。元帳を見ると、支払手数料 25,000円を現金で支払った取引がありました。この仕訳は「支払手数料 25,000/現金 25,000」です。ところが現金勘定の借方に 25,000円と書かれていました。本来は貸方です。
これを直すと、借方は 2,340,000 ひく 25,000 で 2,315,000円、貸方は 2,290,000 たす 25,000 で 2,315,000円。一致しました。答え…貸借を逆に転記したミス。
解き方の実況(b)
差額は 1,899,000 ひく 1,845,000 で 54,000円。貸方のほうが多い状態です。
2で割ると 27,000円ですが、元帳に 27,000円という記入は見当たりません。逆転記の線は消えます。
54,000円を9で割ると 6,000円。きれいに割り切れます。桁ちがいを疑って探すと、現金 60,000円を受け取った取引を、現金勘定の借方に 6,000円と書いていました。1桁少なく書いたのです。
60,000 ひく 6,000 は 54,000円で差額と一致します。直せば借方は 1,845,000 たす 54,000 で 1,899,000円となり一致します。答え…金額の桁を書きまちがえたミス。
7 試算表では見つからない誤り
試算表は万能ではありません。借方と貸方が同じだけ狂っている誤りは、貸借が一致してしまうので発見できません。ここは試験でもよく問われます。
| 試算表で見つかる誤り(貸借がずれる) | 試算表では見つからない誤り(貸借はずれない) |
|---|---|
| 仕訳は正しいが、一方の勘定へ転記し忘れた | 取引をまったく仕訳も転記もしなかった |
| 一方の勘定だけ金額を書きまちがえた | 仕訳の勘定科目そのものをまちがえた |
| 一方の勘定だけ貸借を逆に転記した | 借方と貸方の科目を入れ替えて仕訳した |
| 一方の勘定だけ二重に転記した | 同じ仕訳を借方も貸方もそろえて二重に記帳した |
| 元帳や試算表の縦計を計算しまちがえた | 借方と貸方の両方を同じ金額だけ書きまちがえた |
「貸借を逆にした」には2種類あります。混同しないでください。
- 転記だけ逆…仕訳は正しいのに、片方の勘定の反対側へ書いた。貸借がずれるので見つかる。
- 仕訳自体が逆…「仕入/現金」とすべきところを「現金/仕入」とした。借方も貸方も同時に狂っているので合計は一致し、見つからない。
試算表が一致しても、正しいとは限りません。
試算表が一致する = 借方と貸方の金額の合計が合っている、というだけ。
科目のまちがい、記帳もれ、まるごと二重記帳は素通りします。
8 この章と第19章のつながり
この章では「試算表とは何か」「どう作るか」「合わないときどうするか」を学びました。第19章では、完成した合計残高試算表から、資産総額・現金の純増加額・売掛金の未回収額・当月の損益といった数字を読み取る訓練をします。表の形とことばの意味をここで固めておけば、第19章は数字を拾うだけの作業になります。
- 試算表は転記の検算装置であり、同時に月次の財政状態と損益をつかむ集計表である。
- 合計試算表は借方合計と貸方合計をそのまま、残高試算表は残高だけを、合計残高試算表は両方を1枚に書く。
- 貸借が合わないときは差額を出し、同額・2分の1・9で割り切れるかの順に疑う。ただし科目ちがいや記帳もれは試算表では見つからない。
章末演習(18問)
次の合計試算表の借方欄について、空欄(ア)にあてはまる金額はいくらか。
| 借方合計 | 勘定科目 |
|---|---|
| 620,000 | 現金 |
| 430,000 | 売掛金 |
| 150,000 | 買掛金 |
| (ア) | 仕入 |
| 90,000 | 給料 |
| 1,580,000 | 借方合計 |
解答と解説
正解
290,000 円
解説
縦計から、わかっている金額を引くだけです。
620,000 たす 430,000 たす 150,000 たす 90,000 は 1,290,000円。
1,580,000 ひく 1,290,000 で、(ア)は 290,000円 です。
買掛金にも借方合計があることに注意してください。当月に買掛金を支払えば、買掛金勘定の借方に金額が入ります。
次の残高試算表の貸方欄について、空欄(ア)にあてはまる金額はいくらか。
| 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|
| 買掛金 | 240,000 |
| 借入金 | 300,000 |
| 資本金 | (ア) |
| 売上 | 860,000 |
| 貸方合計 | 1,900,000 |
解答と解説
正解
500,000 円
解説
240,000 たす 300,000 たす 860,000 は 1,400,000円。
1,900,000 ひく 1,400,000 で、(ア)は 500,000円 です。
負債・純資産・収益は貸方に残高が出ます。並び方も覚えておくと空欄の位置から科目を推測できます。
現金勘定の借方合計は 780,000円、貸方合計は 315,000円であった。残高試算表に記入される現金の金額はいくらか。
解答と解説
正解
465,000 円
解説
残高は、大きいほうから小さいほうを引きます。
780,000 ひく 315,000 で 465,000円。
借方合計のほうが大きいので、借方残高として記入します。現金は資産なので借方に残るのが正常です。
合計試算表では、売掛金の借方合計が 940,000円、貸方合計が 520,000円であった。同じ元帳から残高試算表を作ると、売掛金の金額はいくらになるか。
解答と解説
正解
420,000 円
解説
940,000 ひく 520,000 で 420,000円(借方残高)です。
この 420,000円が、月末に回収できていない売掛金の金額を示します。
なお貸方合計 520,000円は、当月に回収した金額(前月繰越がある場合は当月の回収額)を表します。合計試算表と残高試算表では読み取れることが違う、という良い例です。
次の合計残高試算表の買掛金の行について、空欄(ア)にあてはまる金額はいくらか。
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| – | 380,000 | 買掛金 | (ア) | 260,000 |
解答と解説
正解
640,000 円
解説
買掛金は負債なので、貸方合計から借方合計を引いた差が貸方残高になります。
つまり (ア) ひく 380,000 が 260,000円ということです。
(ア)は 380,000 たす 260,000 で 640,000円。
合計残高試算表は、1行の中で「合計 ひく 合計 は 残高」の関係が必ず成り立ちます。空欄はこの関係で埋められます。
次の残高試算表の空欄(ア)にあてはまる金額はいくらか。
| 借方残高 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|
| (ア) | 現金 | – |
| 480,000 | 売掛金 | – |
| 300,000 | 備品 | – |
| – | 買掛金 | 390,000 |
| – | 借入金 | 500,000 |
| – | 資本金 | 620,000 |
| – | 売上 | 1,150,000 |
| 750,000 | 仕入 | – |
| 180,000 | 給料 | – |
解答と解説
正解
950,000 円
解説
貸借平均の原理を使います。まず貸方残高の縦計を出します。
390,000 たす 500,000 たす 620,000 たす 1,150,000 は 2,660,000円。
借方残高の縦計も 2,660,000円でなければなりません。
わかっている借方は 480,000 たす 300,000 たす 750,000 たす 180,000 で 1,710,000円。
2,660,000 ひく 1,710,000 で、(ア)は 950,000円 です。
現金勘定の借方合計は 1,050,000円、貸方合計は 640,000円であった。このうち借方合計には前月繰越 200,000円が含まれている。当月の現金の純増加額はいくらか。
解答と解説
正解
210,000 円
解説
2段階で考えます。
まず月末残高は 1,050,000 ひく 640,000 で 410,000円。
純増加額は「月末残高 ひく 前月繰越」なので、410,000 ひく 200,000 で 210,000円 です。
別の道すじでも同じ答えになります。当月の入金は 1,050,000 ひく 200,000 で 850,000円、当月の出金は 640,000円。850,000 ひく 640,000 で 210,000円。
前月繰越を差し引かずに 410,000円と答えるのが最も多いミスです。「純増加額」と聞かれたら必ず前月繰越を外してください。
個人企業みどり商店の前月繰越額は、現金 240,000円、売掛金 160,000円、買掛金 90,000円、資本金 310,000円であった。当月の取引は次のとおりである。当月末の残高試算表の貸方合計はいくらか。
- 商品 220,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
- 商品 300,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- 売掛金 180,000円を現金で回収した。
- 買掛金 140,000円を現金で支払った。
- 給料 100,000円を現金で支払った。
解答と解説
正解
780,000 円
解説
貸方に残高が出るのは、負債・純資産・収益だけです。買掛金・資本金・売上の3つを求めれば足ります。
買掛金…前月繰越 90,000 たす 仕入 220,000 ひく 支払 140,000 で 170,000円。
資本金…当月の増減がないので 310,000円。
売上…掛け売上 300,000円のみで 300,000円。
合計は 170,000 たす 310,000 たす 300,000 で 780,000円。
検算します。借方残高は、現金が 240,000 たす 180,000 ひく 140,000 ひく 100,000 で 180,000円、売掛金が 160,000 たす 300,000 ひく 180,000 で 280,000円、仕入 220,000円、給料 100,000円。合計 780,000円で一致しました。
各勘定の借方合計と貸方合計を、そのまま書き写して作る表はどれか。
解答と解説
正解
ア 合計試算表
解説
正解は合計試算表です。
残高試算表は残高だけを書きます。合計残高試算表は合計と残高の両方を1枚に書いた表です。総勘定元帳は試算表のもとになる帳簿であり、試算表ではありません。
残高試算表についての説明として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
イ 各勘定の残高だけを、残高が生じた側に記入する
解説
正解は「各勘定の残高だけを、残高が生じた側に記入する」です。
合計をそのまま両方書くのは合計試算表です。
残高試算表でも貸借平均の原理は働くので、縦計は必ず一致します。
試算表には元帳のすべての勘定を並べます。収益と費用も当然入ります。
合計残高試算表の借方側には、どのような欄が並ぶか。
解答と解説
正解
ウ 残高欄と合計欄の2つ
解説
正解は「残高欄と合計欄の2つ」です。
合計残高試算表は、中央に勘定科目を置き、その左側に借方残高と借方合計、右側に貸方合計と貸方残高を並べます。合計で4つの金額欄をもつ表になります。
日商簿記初級の第3問はこの形式で出題されます。欄の並び順を先に頭へ入れておくと、本番で迷いません。
ある勘定の借方合計は 500,000円、貸方合計は 320,000円であった。正しいものはどれか。
解答と解説
正解
イ 残高試算表には、借方 180,000円と記入する
解説
正解は「残高試算表には、借方 180,000円と記入する」です。
500,000 ひく 320,000 で 180,000円。借方合計のほうが大きいので、残高は借方に置きます。
合計試算表には借方 500,000円・貸方 320,000円と、そのままの向きで書きます。左右を入れ替えてはいけません。
820,000円は合計と合計を足した数字で、簿記上の意味はありません。
試算表の借方合計と貸方合計が一致していれば、仕訳の勘定科目のまちがいもないといえる。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。
たとえば旅費交通費とすべきところを通信費としても、借方の金額そのものは変わりません。貸借は一致したままなので、試算表では発見できません。
試算表が保証するのは「金額の合計が合っていること」だけです。
ある取引をまったく仕訳しなかった場合でも、試算表の借方合計と貸方合計は一致する。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。
取引を1本まるごと落とすと、借方も貸方も同じ金額だけ少なくなります。差が生じないので貸借は一致し、試算表では気づけません。
記帳もれを防ぐには、証ひょう(領収書や請求書など)と帳簿を突き合わせる必要があります。これは第17章と第18章で扱います。
試算表の差額が 2 で割り切れ、その2分の1にあたる金額の記入が元帳に見つかった。まず疑うべき誤りはどれか。
解答と解説
正解
イ 一方の勘定へ貸借を逆に転記した
解説
正解は「一方の勘定へ貸借を逆に転記した」です。
本来 貸方に書くべき金額を借方に書くと、借方がその金額だけ多くなり、同時に貸方がその金額だけ少なくなります。ずれは金額の2倍になります。
だから差額を2で割った金額を元帳で探すのです。
他の3つは借方と貸方が同じだけ狂うので、そもそも差額が出ません。
試算表の借方合計と貸方合計の差額が 63,000円であった。この差額から真っ先に疑うべき誤りはどれか。
解答と解説
正解
イ 金額の桁の書きまちがい、または数字の入れ替え
解説
正解は「金額の桁の書きまちがい、または数字の入れ替え」です。
63,000円は9で割り切れます。63,000 わる 9 は 7,000円です。
たとえば 70,000円を 7,000円と1桁少なく書けば、差は 63,000円になります。桁がずれた誤りは差額が9の倍数になる、というクセを利用します。
数字の入れ替え(たとえば 74,000円を 47,000円と書く)でも差額は9の倍数になります。
他の3つは貸借が同じだけ狂うため、差額そのものが生じません。
旅費交通費 8,000円を現金で支払った取引を、誤って「通信費 8,000円/現金 8,000円」と仕訳し、そのまま元帳へ転記した。試算表への影響として正しいものはどれか。
解答と解説
正解
ウ 借方合計と貸方合計は一致し、この誤りは発見できない
解説
正解は「借方合計と貸方合計は一致し、この誤りは発見できない」です。
まちがえたのは借方の勘定科目だけで、金額も向きも正しいままです。借方に 8,000円、貸方に 8,000円が計上されるので、縦計は動きません。
この誤りを見つけるには、元帳の中身を証ひょうと照らし合わせるしかありません。試算表の役割の限界を示す典型例です。
「売掛金 90,000円/売上 90,000円」という正しい仕訳を作ったが、売上勘定への転記だけを忘れた。合計試算表はどうなるか。
解答と解説
正解
ア 借方合計が貸方合計より 90,000円多くなる
解説
正解は「借方合計が貸方合計より 90,000円多くなる」です。
売掛金勘定の借方には 90,000円が入りましたが、売上勘定の貸方には何も入っていません。貸方だけが 90,000円足りない状態です。
差額は転記し忘れた金額そのもの(90,000円)になります。2倍の 180,000円になるのは、片側だけ反対に書いた場合です。
差額と同じ金額を元帳で探し、その金額の仕訳が2つの勘定にきちんと入っているかを確かめれば見つかります。
第8章現金と預金0 / 22▼
簿記でいう「現金」の範囲をはっきりさせ、当座預金・普通預金・定期預金の出し入れを迷わず仕訳できるようになります。
- 紙幣や硬貨以外に現金として扱うものを3つ挙げ、理由を説明できる。
- 当座預金・普通預金・定期預金の違いを言葉で説明し、正しく使い分けられる。
- 預金の預入れ・引出し・振替・利息・振込手数料の仕訳を、その場で書ける。
1. 簿記でいう「現金」は、お札と硬貨だけではない
日常の会話で現金といえば、紙幣と硬貨のことです。しかし簿記では、もう少し広い意味で現金という勘定科目を使います。
基準はたったひとつです。銀行や郵便局へ持っていけば、すぐに紙幣や硬貨に換えられるもの。これに当てはまるものは、まとめて現金として記録します。
紙幣と硬貨をまとめて通貨といいます。そして通貨の代わりとして受け取り、いつでも通貨に換えられる証券を通貨代用証券といいます。簿記では、この通貨代用証券も現金勘定で処理します。
代表的な通貨代用証券は3つ
- 他人振出の小切手 取引先が振り出した小切手です。銀行の窓口へ持ち込めば、その場で通貨に換えてもらえます。
- 送金小切手 遠方へ送金するために銀行が発行する小切手です。これも銀行で通貨に換えられます。
- 郵便為替証書 郵便局が発行する証書です。郵便局の窓口で通貨に換えられます。
| 区分 | 具体例 | 使う勘定科目 |
|---|---|---|
| 現金として 扱う | 紙幣・硬貨(通貨) | 現金 |
| 同上 | 他人が振り出した小切手 | 現金 |
| 同上 | 送金小切手 | 現金 |
| 同上 | 郵便為替証書 | 現金 |
| 現金として 扱わない | 自分が振り出した小切手(支払いに使った側) | 当座預金 |
| 同上 | 普通預金・当座預金・定期預金の残高 | 各預金の科目 |
| 同上 | 郵便切手・はがき | 通信費 |
| 同上 | 収入印紙 | 租税公課 |
現金として扱うのは「通貨・他人振出の小切手・送金小切手・郵便為替証書」の4つです。すぐ通貨に換えられるかという1点で判断します。切手や収入印紙は買った時点で費用や租税公課になり、現金には含めません。
2027年4月からの出題範囲の改定で、紙の小切手と手形は範囲から外れます。しかし本書が対象とする2026年度の試験では、他人振出の小切手はこれまでどおり現金として出題されます。いま学ぶ内容で問題ありません。
2. 現金が増える取引・減る取引を総ざらいする
現金は資産です。したがって増えたら借方、減ったら貸方。これは第4章から変わりません。あとは相手科目を、現金が動いた理由から決めるだけです。
商品を売って代金を受け取った
売掛金を回収した
預金を引き出した
手数料や家賃を受け取った
他人振出の小切手を受け取った
商品を仕入れて代金を払った
買掛金を支払った
預金に預け入れた
家賃や給料を支払った
切手やはがきを買った
| 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 商品 200,000円を売り上げ、得意先振出の小切手を受け取った | 現金 200,000 | 売上 200,000 |
| 売掛金 150,000円を郵便為替証書で回収した | 現金 150,000 | 売掛金 150,000 |
| 普通預金から現金 50,000円を引き出した | 現金 50,000 | 普通預金 50,000 |
| 電車代 1,800円を現金で支払った | 旅費交通費 1,800 | 現金 1,800 |
| 郵便切手 5,000円分を現金で購入した | 通信費 5,000 | 現金 5,000 |
| 現金 300,000円を普通預金に預け入れた | 普通預金 300,000 | 現金 300,000 |
小切手が出てきたら、自分が振り出したのか、相手が振り出したのかを必ず確かめます。受け取った側は現金の増加、振り出した側は当座預金の減少です。同じ1枚の小切手でも、立場によって使う科目が変わります。
3. 預金は3種類を使い分ける
初級で登場する預金は、当座預金・普通預金・定期預金の3つです。どれも資産なので、増えたら借方、減ったら貸方という扱いは同じです。違うのはお金の出し入れのしかただけです。
| 勘定科目 | どんな預金か | 主な出し入れ | 利息 |
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 小切手を振り出して支払うための、企業向けの預金 | 小切手を振り出すと減る。現金や小切手を預け入れると増える | つかない |
| 普通預金 | 日々の入金と出金に使う、いちばん身近な預金 | 窓口や現金自動預払機での出し入れ、振込、口座振替 | つく |
| 定期預金 | 決めた期間は引き出さない約束をする預金 | 預入れと、満期になったときの払戻し | つく(普通預金より高い) |
当座預金と小切手のしくみ
当座預金は、小切手で支払いをするための専用口座だと考えてください。会社はあらかじめ銀行に当座預金の口座を開き、そこにお金を入れておきます。
支払いのときは、金額を書いた小切手を相手に渡します。これを小切手の振出といいます。受け取った相手が銀行に持ち込むと、こちらの当座預金からその金額が引き落とされます。
ここで大切なのは仕訳を切るタイミングです。簿記では、相手が銀行に持ち込んだ日ではなく、小切手を振り出した日に当座預金の減少として仕訳します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 180,000 | 当座預金 | 180,000 |
これは「買掛金 180,000円を支払うため小切手を振り出した」という仕訳です。現金は1円も動いていません。小切手を振り出した=当座預金が減ったと、そのまま覚えてください。
初級では現金過不足も当座借越も出題されません。帳簿の現金残高と実際の有高がずれる話や、当座預金の残高を超えて小切手を振り出す話は、3級で学ぶ内容です。初級では「帳簿どおりにお金がある」「残高の範囲で振り出す」前提だけで解けます。安心して先へ進んでください。
4. 預金まわりの3つの仕訳パターン
預金の問題は、次の3パターンを押さえれば大半が解けます。順に見ていきます。
パターン1 預金と現金、預金と預金のあいだの移動
現金を預け入れる、預金から引き出す、口座から口座へ振り替える。いずれも資産どうしの入れ替えです。増えたほうを借方に、減ったほうを貸方に書きます。
会社全体の財産の合計は1円も変わりません。ですから収益も費用も登場しません。ここを勘違いして売上や雑費を使わないでください。
パターン2 利息を受け取る
普通預金や定期預金には利息がつきます。利息が口座に入金されたら、受取利息という収益で処理します。収益の発生なので貸方です。
「銀行から受け取る利息だから受取利息」「銀行に払う利息なら支払利息」。受け取ったのか支払ったのかで、科目はきれいに分かれます。
パターン3 振込手数料を負担する
振込や口座振替のときに銀行へ支払う手数料は、支払手数料という費用で処理します。費用の発生なので借方です。
手数料を当社が負担する場合、口座から引き落とされる金額は「本来の支払額たす手数料」になります。貸方の預金の金額は、必ず手数料を含めた合計額です。ここが最もよく間違えるところです。
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 現金 400,000円を普通預金に預け入れた | 普通預金 400,000 | 現金 400,000 |
| 普通預金から当座預金へ 500,000円を振り替えた | 当座預金 500,000 | 普通預金 500,000 |
| 普通預金から定期預金へ 300,000円を預け替えた | 定期預金 300,000 | 普通預金 300,000 |
| 普通預金に利息 400円が入金された | 普通預金 400 | 受取利息 400 |
| 買掛金 200,000円を普通預金から振り込んだ。手数料 660円は当社負担 | 買掛金 200,000 支払手数料 660 | 普通預金 200,660 |
| 普通預金から定期預金へ 300,000円。振替手数料 220円は普通預金から引落し | 定期預金 300,000 支払手数料 220 | 普通預金 300,220 |
定期預金が満期になったとき
定期預金は満期になると、預けた元金に利息を加えて払い戻されます。元金と利息は別の要素なので、必ず2つの科目に分けます。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 503,000 | 定期預金 | 500,000 |
| – | – | 受取利息 | 3,000 |
定期預金 500,000円が満期となり、利息 3,000円とともに普通預金へ入金された場合です。借方の普通預金は合計額の 503,000円になります。
元金と利息は絶対に混ぜない。定期預金 500,000円と受取利息 3,000円を足して「定期預金 503,000円」と書いてはいけません。第5章の借入金と支払利息の関係とまったく同じ考え方です。
手数料や利息がからむ問題は、動いた預金の金額を最後に決めると早く解けます。まず買掛金や定期預金など「本体の科目」を書き、次に支払手数料や受取利息を書き、残った側に合計額を入れます。貸借はこれで必ず一致します。
5. 例題で手順を実況中継する
10月12日、得意先から売掛金 480,000円を回収しました。内訳は、得意先が振り出した小切手 300,000円と、当社の普通預金口座への振込 180,000円です。仕訳を示しなさい。
STEP1 動いた科目を探します。回収されたので売掛金が減ります。入ってきたものは2つ。得意先振出の小切手 300,000円と、普通預金への振込 180,000円です。
ここが分かれ道です。他人が振り出した小切手は通貨代用証券なので現金で処理します。当座預金ではありません。振込の分は普通預金です。
STEP2 増減を言葉にします。「現金が 300,000円増えた」「普通預金が 180,000円増えた」「売掛金が 480,000円減った」。
STEP3 法則に当てはめます。現金と普通預金は資産の増加なので借方。売掛金は資産の減少なので貸方です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 300,000 | 売掛金 | 480,000 |
| 普通預金 | 180,000 | – | – |
借方は 300,000円たす 180,000円で 480,000円。貸方と一致しました。
10月25日、買掛金 350,000円を支払うため、普通預金口座から振り込みました。振込手数料 770円は当社負担で、同じ口座から引き落とされています。仕訳を示しなさい。
STEP1。まず本体の科目を書きます。支払義務がなくなったので、買掛金 350,000円が減ります。次に手数料。銀行へのサービス料なので支払手数料 770円が発生します。
STEP2。「買掛金が 350,000円減った」「支払手数料が 770円発生した」「普通預金が減った」。
STEP3。買掛金は負債の減少で借方。支払手数料は費用の発生で借方。減った普通預金は資産の減少で貸方です。
金額を決めます。借方合計は 350,000円たす 770円で 350,770円。口座から出ていったのも同じ 350,770円です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 350,000 | 普通預金 | 350,770 |
| 支払手数料 | 770 | – | – |
貸方を 350,000円と書いてしまう誤りが非常に多いです。口座から実際に出た金額を書く、と覚えてください。
- 現金には通貨のほか、他人振出の小切手・送金小切手・郵便為替証書を含める。すぐ通貨に換えられるかで判断する。
- 小切手を振り出したら当座預金の減少。受け取った側は現金の増加。立場で科目が変わる。
- 預金どうしの振替は資産の入れ替えで損益は動かない。利息は受取利息、振込手数料は支払手数料で処理し、預金の金額は必ず合計額にする。
章末演習(22問)
商品 150,000円を売り上げ、代金は得意先が振り出した小切手で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 150,000 | 売上 | 150,000 |
解説
他人が振り出した小切手は通貨代用証券なので、現金として扱います。現金が 150,000円増えたので資産の増加で借方。増えた理由は商品を売ったことなので、貸方は収益の発生である売上です。当座預金としないよう注意してください。
現金 400,000円を普通預金口座に預け入れた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 400,000 | 現金 | 400,000 |
解説
普通預金が 400,000円増えたので資産の増加で借方。手もとの現金は同額減ったので資産の減少で貸方です。資産どうしの入れ替えなので、収益も費用も出てきません。
普通預金口座から現金 80,000円を引き出した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 80,000 | 普通預金 | 80,000 |
解説
預入れとちょうど左右が逆になります。現金が 80,000円増えたので借方、普通預金が 80,000円減ったので貸方です。会社の財産の合計は変わりません。
買掛金 230,000円を支払うため、小切手を振り出して渡した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 230,000 | 当座預金 | 230,000 |
解説
小切手を振り出した側は当座預金が減ります。資産の減少なので貸方に当座預金。支払義務がなくなったので、借方は負債の減少である買掛金です。現金は動いていません。
今月分の電気代 26,000円が、普通預金口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 水道光熱費 | 26,000 | 普通預金 | 26,000 |
解説
普通預金が 26,000円減ったので資産の減少で貸方。減った理由は電気を使ったことへの対価なので、借方は費用の発生である水道光熱費です。
普通預金口座に、利息 300円が入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 300 | 受取利息 | 300 |
解説
普通預金が 300円増えたので借方。増えた理由は銀行から利息を受け取ったことなので、貸方は収益の発生である受取利息です。支払利息と取り違えないでください。
次のうち、簿記で現金として扱わないものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 購入した郵便切手
解説
現金として扱うのは、通貨のほか、他人振出の小切手・送金小切手・郵便為替証書です。いずれも窓口へ持ち込めばすぐ通貨に換えられます。郵便切手は換金できず、購入した時点で通信費という費用になります。
当座預金が減少するのはどのようなときか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 小切手を振り出して支払ったとき
解説
当座預金は小切手を振り出すための預金です。小切手を振り出した日に当座預金の減少として仕訳します。他人振出の小切手や郵便為替証書を受け取った場合は現金の増加です。掛けの仕入は買掛金の増加で、預金は動きません。
現金の前月繰越高は 180,000円であった。当月中に現金で受け取った金額の合計は 520,000円、現金で支払った金額の合計は 430,000円である。当月末の現金有高はいくらか。
解答と解説
正解
270,000 円
解説
前月繰越に当月の増加を足し、当月の減少を引きます。
180,000 たす 520,000 で 700,000円。
700,000 ひく 430,000 で 270,000円。
現金は資産なので、借方合計から貸方合計を引いた借方残高が月末の有高になります。
得意先から売掛金 320,000円を、得意先振出の小切手で回収した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 320,000 | 売掛金 | 320,000 |
解説
受け取ったのは他人が振り出した小切手なので現金です。現金が 320,000円増えたので借方。回収により代金を受け取る権利がなくなったので、貸方は資産の減少である売掛金です。
かねて受け取っていた郵便為替証書 150,000円を、普通預金口座に預け入れた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 150,000 | 現金 | 150,000 |
解説
郵便為替証書は受け取った時点ですでに現金として記録されています。それを預け入れたので、普通預金が 150,000円増えて借方、現金が 150,000円減って貸方です。証書という科目は使いません。
普通預金口座から当座預金口座へ 500,000円を振り替えた。手数料は考えなくてよい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 500,000 | 普通預金 | 500,000 |
解説
預金から預金への移動です。増えた当座預金が借方、減った普通預金が貸方になります。資産どうしの入れ替えなので、会社の財産の合計は変わりません。損益は一切動きません。
商品 260,000円を仕入れ、代金は小切手を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 260,000 | 当座預金 | 260,000 |
解説
小切手を振り出したので当座預金が 260,000円減り、資産の減少で貸方。減った理由は商品を仕入れたことなので、借方は費用の発生である仕入です。現金で払ったわけではない点に注意してください。
定期預金 1,200,000円を、普通預金口座から振り替えて預け入れた。手数料は考えなくてよい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 定期預金 | 1,200,000 | 普通預金 | 1,200,000 |
解説
定期預金が 1,200,000円増えたので資産の増加で借方。元手となった普通預金が同額減ったので資産の減少で貸方です。これも資産どうしの入れ替えで、収益や費用は発生しません。
買掛金 180,000円を普通預金口座から振り込んで支払った。なお、振込手数料 550円は当社が負担し、同じ口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 180,000 | 普通預金 | 180,550 |
| 支払手数料 | 550 | – | – |
解説
まず本体の科目です。支払義務がなくなったので買掛金 180,000円が借方。次に手数料は費用の発生なので支払手数料 550円も借方です。
口座から実際に出た金額は 180,000 たす 550 で 180,550円。これを貸方の普通預金に書きます。貸方を 180,000円としないでください。
当座預金の説明として正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 小切手を振り出して支払うために使う預金で、利息はつかない
解説
当座預金は小切手による支払いのための預金で、利息はつきません。決めた期間引き出さない約束をするのは定期預金です。通貨そのものは現金であり、当座預金とは別の勘定科目です。
普通預金口座から他社へ振り込んだ際に当社が負担した振込手数料は、どの勘定科目で処理するか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 支払手数料
解説
銀行のサービスに対して支払う手数料は、支払手数料という費用で処理します。費用の発生なので借方です。支払利息はお金を借りたことに対する利息であり、性質が違います。
普通預金の月初残高は 850,000円であった。当月中の取引は次のとおりである。当月末の普通預金残高はいくらか。
- 売掛金 620,000円が普通預金口座に振り込まれた。
- 今月分の家賃 130,000円が普通預金口座から引き落とされた。
- 買掛金 240,000円を普通預金口座から振り込んだ。振込手数料 660円は当社負担で、同じ口座から引き落とされた。
解答と解説
正解
1,099,340 円
解説
増えた分を足し、減った分を引いていきます。
850,000 たす 620,000 で 1,470,000円。
1,470,000 ひく 130,000 で 1,340,000円。
1,340,000 ひく 240,000 で 1,100,000円。
1,100,000 ひく 660 で 1,099,340円。
振込手数料も口座から出ていくので、忘れずに差し引きます。ここを落とすと 1,100,000円になってしまいます。
普通預金口座から定期預金口座へ 800,000円を預け替えた。その際、振替手数料 440円が普通預金口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 定期預金 | 800,000 | 普通預金 | 800,440 |
| 支払手数料 | 440 | – | – |
解説
本体は預金から預金への振替です。定期預金が 800,000円増えたので借方。手数料 440円は費用の発生なので支払手数料として借方に加えます。
普通預金からは 800,000 たす 440 で 800,440円が出ていきました。これを貸方に書きます。
借方合計 800,440円と貸方 800,440円が一致します。定期預金を 800,440円としないでください。定期預金に入ったのはあくまで 800,000円です。
得意先から売掛金 600,000円を回収した。うち 350,000円は得意先が振り出した小切手で受け取り、残額は当社の普通預金口座に振り込まれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 350,000 | 売掛金 | 600,000 |
| 普通預金 | 250,000 | – | – |
解説
他人振出の小切手は現金として扱うので、現金 350,000円が借方です。当座預金ではありません。
残額は 600,000 ひく 350,000 で 250,000円。これは普通預金の増加なので借方に加えます。
回収により売掛金 600,000円が減ったので貸方です。借方合計は 350,000 たす 250,000 で 600,000円となり、一致します。
定期預金 1,000,000円が満期となり、利息 4,000円とともに普通預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 1,004,000 | 定期預金 | 1,000,000 |
| – | – | 受取利息 | 4,000 |
解説
普通預金に入ったのは 1,000,000 たす 4,000 で 1,004,000円。資産の増加なので借方です。
貸方は2つに分けます。元金の払戻しにあたる定期預金 1,000,000円(資産の減少)と、利息にあたる受取利息 4,000円(収益の発生)です。
元金と利息を足して定期預金 1,004,000円としてはいけません。金額が合っていても科目を混ぜた仕訳は不正解になります。
買掛金 400,000円を支払った。うち 250,000円は小切手を振り出し、残額は普通預金口座から振り込んだ。なお、振込手数料 770円は当社が負担し、普通預金口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 400,000 | 当座預金 | 250,000 |
| 支払手数料 | 770 | 普通預金 | 150,770 |
解説
借方から決めます。支払義務がなくなった買掛金 400,000円と、手数料である支払手数料 770円で、合計 400,770円です。
貸方は出ていった先ごとに分けます。小切手を振り出した分は当座預金 250,000円。
普通預金からは、振込分 400,000 ひく 250,000 で 150,000円に、手数料 770円を加えた 150,770円が出ていきました。
貸方合計は 250,000 たす 150,770 で 400,770円。借方合計と一致します。
第9章商品売買(3分法)と返品・諸掛0 / 24▼
仕入・売上・繰越商品の3勘定で商品売買を記録し、諸掛と返品まで迷わず処理できるようになります。
- 3分法が仕入・売上・繰越商品の3つの勘定を使う方法だと説明できる。
- 仕入諸掛と売上諸掛を、負担者に応じて4つのパターンに振り分けられる。
- 返品と値引きを、もとの仕訳の反対側に書くだけで処理できる。
1. 商品売買は3つの勘定に分けて記録する
お店や会社の本業は、商品を仕入れて売ることです。この商品売買を記録する方法として、日商簿記初級では3分法(さんぶんぽう。3分割法ともいいます)だけを使います。
3分法とは、商品売買を次の3つの勘定科目に分けて記録する方法です。名前のとおり、3つに分けるから3分法です。
| 勘定科目 | グループ | いつ記入するか | いくら記入するか |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 費用 | 商品を買ったとき | 買った値段(原価) |
| 売上 | 収益 | 商品を売ったとき | 売った値段(売価) |
| 繰越商品 | 資産 | 月初と月末だけ | 売れ残った商品の原価 |
仕入れた
→ 借方に仕入
売った
→ 貸方に売上
売れ残り
→ 繰越商品は動かさない
買ったら仕入、売ったら売上。それだけです
商品 200,000円を掛けで仕入れたときの仕訳は、次のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 200,000 | 買掛金 | 200,000 |
その商品を 320,000円で掛け売りしたときの仕訳は、次のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 320,000 | 売上 | 320,000 |
仕入は費用ですから、発生したら借方です。売上は収益ですから、発生したら貸方です。第5章で学んだ記入法則がそのまま当てはまります。仕入は必ず借方、売上は必ず貸方から書き始める、と覚えてしまってかまいません。
なぜ1つの勘定にまとめないのか
ここが3分法のいちばん大事な考え方です。もし商品売買を1つの勘定だけで記録すると、その勘定の借方には原価が、貸方には売価が並びます。値段の意味が違うものが同じ場所に混ざるのです。
そうなると、その勘定の残高が「売れ残っている商品の金額」なのか「儲けの金額」なのか、見分けがつきません。3つに分けておけば話は簡単です。仕入勘定の残高がそのまま当月の仕入高、売上勘定の残高がそのまま当月の売上高になります。
第19章で作る合計残高試算表では、商品仕入高と売上高を読み取る問題が出ます。3分法はそのための備えでもあります。
3つの勘定と入る金額をセットで覚えます。仕入は費用で原価が入る。売上は収益で売価が入る。繰越商品は資産で売れ残りの原価が入る。原価と売価は、決して同じ勘定に入りません。
2. 期中は繰越商品を動かさない
3分法の3つ目、繰越商品勘定は資産です。ところが初級では、この勘定を期中の仕訳で使う場面がありません。理由ははっきりしています。初級は決算整理を扱わないからです。
繰越商品の残高を売れ残りの実際額に直す作業は、決算整理と呼ばれる手続きで行います。それは3級以上の内容です。初級では、繰越商品勘定は前月から繰り越された金額のまま、1か月を通じてじっと動きません。
商品を仕入れても繰越商品は増えません。売っても減りません。増えるのは仕入勘定、増えるのは売上勘定です。試算表の繰越商品の欄に前月繰越額がぽつんと1つだけ載っているのは、これが理由です。金額が動いていないからといって、書き忘れではありません。
3. 仕入諸掛は「誰が負担するか」で分かれる
商品を仕入れるときには、商品そのものの代金のほかにお金がかかります。運送会社に払う引取運賃、保険料、荷役費などです。これらをまとめて仕入諸掛(しいれしょがかり)といいます。
処理の分かれ道はただ1つ、その費用を最終的に誰が負担するのかです。問題文には必ず「当社負担」「先方負担」「仕入先が負担すべき」といった言葉が書いてあります。ここを読み飛ばすと必ず間違えます。
当社が負担するとき → 仕入に含める
引取運賃を当社が負担するなら、その金額は仕入勘定に上乗せします。運賃という別の費用科目は使いません。
理由は、商品を売れる状態にするまでにかかった支出だからです。運賃を払わなければ商品は手元に届きません。ですから運賃も商品の原価の一部と考えます。これを取得原価の考え方といいます。
商品 200,000円を掛けで仕入れ、当社負担の引取運賃 5,000円を現金で払った場合は、こうなります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 205,000 | 買掛金 | 200,000 |
| – | – | 現金 | 5,000 |
借方の仕入は 200,000円ではなく 205,000円です。買掛金はあくまで商品代金の 200,000円のままで、運賃は含めません。運送会社への 5,000円は現金で払っているからです。
仕入先が負担すべき分を立て替えたとき → 立替金
本来は仕入先が払うはずの運賃を、当社がその場で代わりに払うことがあります。これは立替えです。あとで仕入先から返してもらえます。
返してもらえる権利は資産です。ですから立替金(資産)の増加として借方に書きます。仕入には1円も含めません。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 200,000 | 買掛金 | 200,000 |
| 立替金 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
借方合計は 205,000円、貸方合計も 205,000円で一致します。先ほどの仕訳と現金の動きはまったく同じですが、借方の中身が変わります。
仕入諸掛の問題を見たら、まず負担者を示す言葉に印をつけることです。「当社負担」なら仕入に足す。「先方負担」「仕入先負担」で当社が払ったなら立替金。この2択しかありません。負担者が書かれていない場合は当社負担と考えます。
4. 売上諸掛は「発送費」を使う
商品を売って得意先に届けるときにも運賃がかかります。これを売上諸掛(うりあげしょがかり)といいます。分かれ道は仕入諸掛とまったく同じで、負担者しだいです。
当社が負担する発送運賃 → 発送費(費用)
当社負担の発送運賃は、発送費という費用の勘定科目で処理します。ここが仕入諸掛と決定的に違うところです。
仕入諸掛は仕入に吸収されましたが、売上諸掛は売上に吸収されません。売上から差し引いても、売上に上乗せしてもいけません。売上勘定には売価をそのまま記入し、運賃は発送費として別に費用計上します。
商品を 300,000円で掛け売りし、当社負担の発送運賃 4,000円を現金で払った場合です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 300,000 | 売上 | 300,000 |
| 発送費 | 4,000 | 現金 | 4,000 |
得意先が負担すべき分を立て替えたとき → 立替金
得意先が負担すべき運賃を当社が立て替えたなら、仕入のときと同じく立替金です。発送費は使いません。あとで返してもらえるお金は、費用ではなく資産だからです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 300,000 | 売上 | 300,000 |
| 立替金 | 4,000 | 現金 | 4,000 |
| 場面 | 負担する人 | 使う勘定科目 | 仕訳(運賃 5,000円を現金払い) |
|---|---|---|---|
| 仕入諸掛 (引取運賃) | 当社 | 仕入に含める (費用) | (借)仕入 5,000 (貸)現金 5,000 ※商品代金と合算して1行にする |
| 仕入諸掛 (引取運賃) | 仕入先 (当社が立替) | 立替金 (資産) | (借)立替金 5,000 (貸)現金 5,000 |
| 売上諸掛 (発送運賃) | 当社 | 発送費 (費用) | (借)発送費 5,000 (貸)現金 5,000 |
| 売上諸掛 (発送運賃) | 得意先 (当社が立替) | 立替金 (資産) | (借)立替金 5,000 (貸)現金 5,000 |
仕入に上乗せする
仕入 205,000円のように合算
独立した費用科目は作らない
発送費として別に計上する
売上は 300,000円のまま
売上を増減させない
4パターンのうち、先方負担の2つは仕訳がまったく同じです。立替金を借方に、現金を貸方に書くだけ。ですから覚えるのは実質2つ、「当社負担の仕入諸掛は仕入に足す」「当社負担の売上諸掛は発送費」だけです。
当社負担の発送運賃を仕入に含めてはいけません。売った商品の運賃は、仕入れた商品の原価とは何の関係もありません。逆に、当社負担の引取運賃を発送費で処理するのも誤りです。発送費は「売るとき」だけに使う科目だと押さえてください。
10月4日、はやて商店から商品 480,000円を仕入れ、代金は掛けとしました。なお、引取運賃 12,000円は当社負担であり、現金で支払いました。仕訳を示しなさい。
STEP1 負担者を確認します。「当社負担」と書いてあります。ですから運賃 12,000円は仕入に含めます。
STEP2 仕入の金額を計算します。480,000円 + 12,000円 = 492,000円。これが借方の仕入です。
STEP3 貸方を埋めます。商品代金 480,000円は掛けなので買掛金。運賃 12,000円は現金で払ったので現金です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 492,000 | 買掛金 | 480,000 |
| – | – | 現金 | 12,000 |
貸方合計は 480,000円 + 12,000円 = 492,000円。借方と一致します。買掛金を 492,000円にしないことが最大の注意点です。仕入先に借りているのは商品代金だけです。
10月11日、みなみ商会に商品 650,000円を売り上げ、代金は掛けとしました。なお、発送運賃 9,000円は先方負担ですが、当社が現金で立て替えて支払いました。仕訳を示しなさい。
STEP1 負担者を確認します。「先方負担」で「当社が立て替えた」とあります。あとで返してもらえるお金です。ですから発送費ではなく立替金を使います。
STEP2 売上を書きます。売価 650,000円をそのまま貸方の売上に。相手は掛けなので借方に売掛金 650,000円です。
STEP3 立替分を追加します。借方に立替金 9,000円、貸方に現金 9,000円を書き足します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 650,000 | 売上 | 650,000 |
| 立替金 | 9,000 | 現金 | 9,000 |
借方合計 659,000円、貸方合計 659,000円で一致します。もしこれが「当社負担」だったら、立替金 9,000円が発送費 9,000円に変わるだけです。動く金額はまったく同じで、借方の科目名だけが入れ替わります。
5. 返品はもとの仕訳の反対側に書く
仕入れた商品が注文と違っていた、傷がついていた。こうしたときは商品を送り返します。これが返品です。仕入側から見た返品を仕入戻し、売上側から見た返品を売上戻りといいます。
処理の考え方はきわめて単純です。なかったことにする分だけ、もとの仕訳を反対側に書く。それだけです。
仕入戻し → 仕入の減少(貸方)
仕入は費用なので、増えたら借方でした。返品でその一部が消えるのですから、反対の貸方に書きます。掛けで仕入れていたなら、買掛金も同じ額だけ減ります。買掛金は負債なので、減ったら借方です。
売上戻り → 売上の減少(借方)
売上は収益なので、発生したら貸方でした。返品されたら反対の借方に書きます。掛け売りだったなら、売掛金も同じ額だけ減ります。売掛金は資産なので、減ったら貸方です。
| 場面 | もとの仕訳 | 返品の仕訳 |
|---|---|---|
| 仕入戻し 掛けで仕入れた 300,000円のうち 20,000円を返品した | (借)仕入 300,000 (貸)買掛金 300,000 | (借)買掛金 20,000 (貸)仕入 20,000 |
| 売上戻り 掛けで売った 500,000円のうち 30,000円が返品された | (借)売掛金 500,000 (貸)売上 500,000 | (借)売上 30,000 (貸)売掛金 30,000 |
もとの仕訳と返品の仕訳を見比べてください。科目の名前はそのままで、左右だけが入れ替わっています。金額は返品した分だけです。
値引きも同じ形で処理する
商品に汚れがあったので代金を安くしてもらった、というのが値引きです。商品は返していません。しかし初級では、返品とまったく同じ形で処理します。
仕入の値引きを受けたら(借)買掛金(貸)仕入。売上の値引きをしたら(借)売上(貸)売掛金。返品か値引きかで仕訳が変わることはありません。安心してください。
掛け取引の返品では、現金も預金も動きません。動くのは掛代金だけです。「返品したのだからお金が戻ってくるのでは」と考えて現金を使ってしまう誤りが非常に多いです。まだ払っていないのですから、払う約束の金額が減るだけです。
借方合計は 300,000円 + 150,000円 = 450,000円。貸方には返品の 20,000円。差額の 430,000円が借方残高で、これが当月の純仕入高です。
試算表に載る仕入勘定・売上勘定の残高は、返品を差し引いたあとの純額です。仕入戻しは仕入の貸方に、売上戻りは売上の借方に積み上がり、それぞれ差額が残高になります。第19章の読み取り問題では、この差額を答えさせる形が定番です。
10月20日、さきに掛けで仕入れていた商品 400,000円のうち、品違いのため 25,000円を返品しました。同日、残額をすべて当座預金から支払いました。返品と支払いをあわせて1つの仕訳で示しなさい。
STEP1 返品を考えます。仕入が 25,000円減るので貸方に仕入 25,000円。買掛金も同じだけ減るので借方に買掛金 25,000円です。
STEP2 支払いを考えます。残った買掛金は 400,000円 - 25,000円 = 375,000円。これを当座預金から払うので、借方に買掛金 375,000円、貸方に当座預金 375,000円です。
STEP3 1つにまとめます。借方の買掛金は 25,000円 + 375,000円 = 400,000円にまとまります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 400,000 | 仕入 | 25,000 |
| – | – | 当座預金 | 375,000 |
貸方合計は 25,000円 + 375,000円 = 400,000円。借方の買掛金 400,000円と一致します。買掛金 400,000円がまるごと消えたと読めば、形がすっきり見えてきます。当座預金から出ていくのは 375,000円だけです。
6. 売上総利益は「売上高 ひく 売上原価」
商品売買でどれだけ儲かったかを表す金額を売上総利益(うりあげそうりえき)といいます。粗利(あらり)とも呼ばれます。計算式は次の1本です。
売価の合計
(返品を引いた純額)
売れた商品の原価
商品売買の儲け
| 売上原価の計算 | 金額の例 |
|---|---|
| 月初の商品棚卸高(繰越商品の前月繰越額) | 250,000 |
| + 当月の仕入高(返品を引いた純額) | 1,900,000 |
| - 月末の商品棚卸高 | 210,000 |
| = 売上原価 | 1,940,000 |
売れ残りの商品は、まだ儲けを生んでいません。ですから仕入高から月末の売れ残り分を差し引き、月初にあった分を足し戻します。こうして「実際に売れた商品の原価」を取り出したものが売上原価です。
上の例で当月の売上高が 2,600,000円なら、売上総利益は 2,600,000円 - 1,940,000円 = 660,000円です。
この計算は計算だけで、仕訳は書きません。売上原価を求める仕訳(決算整理)は初級の範囲外だからです。初級では、試算表の数値を使って電卓で計算し、答えの数値を入力するところまでが問われます。繰越商品勘定はあくまで動かしません。
売上高にも仕入高にも、必ず返品を差し引いた純額を使います。総額のまま計算すると売上総利益がずれます。問題文に「売上戻り」「仕入戻し」「返品」の語が出てきたら、真っ先に引き算をしてから計算に入ってください。
- 3分法は仕入(費用・原価)、売上(収益・売価)、繰越商品(資産)の3勘定を使い、期中に繰越商品は動かさない。
- 諸掛は負担者で決まる。当社負担の仕入諸掛は仕入に含め、当社負担の売上諸掛は発送費、先方負担の立替えは立替金。
- 返品と値引きは、もとの仕訳の反対側に返品額だけを書く。掛取引なら現金も預金も動かない。
章末演習(24問)
商品 320,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 320,000 | 買掛金 | 320,000 |
解説
3分法では、仕入れた商品の原価を仕入勘定に記入します。仕入は費用なので、発生したら借方です。代金は後払いの約束なので、商品代金の未払いを表す買掛金(負債の増加)を貸方に書きます。繰越商品は動かしません。
商品を 450,000円で売り上げ、代金は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 450,000 | 売上 | 450,000 |
解説
売った値段 450,000円をそのまま売上勘定に記入します。売上は収益なので、発生したら貸方です。代金は後で受け取る約束なので、借方は売掛金(資産の増加)です。原価がいくらだったかは、この仕訳には出てきません。
商品 180,000円を仕入れ、代金は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 180,000 | 現金 | 180,000 |
解説
現金が 180,000円減ったので、資産の減少で貸方。減った理由は商品を仕入れたことなので、借方は費用の発生である仕入です。買った瞬間に費用として記録するのが3分法の考え方です。
商品を 260,000円で売り上げ、代金は現金で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 260,000 | 売上 | 260,000 |
解説
現金が 260,000円増えたので、資産の増加で借方。増えた理由は商品を売ったことなので、貸方は収益の発生である売上です。金額は売価をそのまま使います。
掛けで仕入れた商品のうち 24,000円を、品違いのため仕入先に返品した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 24,000 | 仕入 | 24,000 |
解説
仕入戻しです。もとの仕訳は(借)仕入(貸)買掛金でしたから、返品はその反対側に書きます。仕入が 24,000円減るので貸方に仕入。買掛金も同じ額だけ減るので借方に買掛金です。まだ代金を払っていないので、現金は動きません。
掛けで売り上げた商品のうち 35,000円が、品違いのため返品されてきた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売上 | 35,000 | 売掛金 | 35,000 |
解説
売上戻りです。もとの仕訳は(借)売掛金(貸)売上でしたから、その反対側に書きます。売上が 35,000円減るので借方に売上。受け取る権利も同じ額だけ減るので、貸方に売掛金(資産の減少)です。
得意先へ商品を発送し、当社が負担する発送運賃 4,000円を現金で支払った。運賃の支払いに関する仕訳のみを示しなさい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 発送費 | 4,000 | 現金 | 4,000 |
解説
当社負担の売上諸掛は、発送費という費用の勘定科目で処理します。現金が 4,000円減ったので貸方に現金、借方に発送費です。売上を減らしたり増やしたりはしません。仕入に含めるのも誤りです。
3分法で商品売買を記録するときに用いる3つの勘定科目の組み合わせとして、正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 仕入・売上・繰越商品
解説
3分法は、仕入(費用)・売上(収益)・繰越商品(資産)の3つに分けて記録する方法です。売掛金や買掛金は代金の決済に使う科目であり、3分法の3勘定には含まれません。売上原価という勘定は初級では使いません。
仕入勘定・売上勘定・繰越商品勘定が属するグループの組み合わせとして、正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 費用・収益・資産
解説
仕入は費用、売上は収益、繰越商品は資産です。仕入は費用なので増えたら借方、売上は収益なので発生したら貸方、繰越商品は資産なので増えたら借方に来ます。ただし初級では繰越商品を期中に動かしません。
商品 400,000円を仕入れ、代金のうち 150,000円は現金で支払い、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 400,000 | 現金 | 150,000 |
| – | – | 買掛金 | 250,000 |
解説
借方は仕入 400,000円です。貸方は、支払った現金 150,000円と、残額 400,000円 - 150,000円 = 250,000円の買掛金に分かれます。貸方合計は 150,000円 + 250,000円 = 400,000円で、借方と一致します。
商品を 520,000円で売り上げ、代金のうち 200,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 200,000 | 売上 | 520,000 |
| 売掛金 | 320,000 | – | – |
解説
貸方は売上 520,000円です。借方は、受け取った現金 200,000円と、残額 520,000円 - 200,000円 = 320,000円の売掛金に分かれます。借方合計は 200,000円 + 320,000円 = 520,000円で一致します。
商品 260,000円を仕入れ、代金は掛けとした。なお、当社が負担する引取運賃 8,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 268,000 | 買掛金 | 260,000 |
| – | – | 現金 | 8,000 |
解説
当社負担の仕入諸掛は仕入に含めます。借方の仕入は 260,000円 + 8,000円 = 268,000円です。貸方は、商品代金の買掛金 260,000円と、運賃を払った現金 8,000円に分かれます。買掛金を 268,000円としないよう注意してください。仕入先に負っている債務は商品代金の 260,000円だけです。
商品 300,000円を仕入れ、代金は掛けとした。なお、仕入先が負担すべき引取運賃 6,000円を現金で立て替えて支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 300,000 | 買掛金 | 300,000 |
| 立替金 | 6,000 | 現金 | 6,000 |
解説
先方負担の運賃を立て替えたので、仕入には含めません。あとで返してもらえる権利ですから、借方に立替金 6,000円(資産の増加)を書きます。仕入は商品代金の 300,000円のままです。借方合計も貸方合計も 306,000円で一致します。
商品を 380,000円で売り上げ、代金は掛けとした。なお、当社が負担する発送運賃 5,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 380,000 | 売上 | 380,000 |
| 発送費 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
解説
当社負担の売上諸掛は発送費(費用)で処理します。売上は売価 380,000円のままで、運賃を上乗せも差し引きもしません。借方は売掛金 380,000円と発送費 5,000円、貸方は売上 380,000円と現金 5,000円。どちらも合計 385,000円です。
商品を 420,000円で売り上げ、代金は掛けとした。なお、得意先が負担すべき発送運賃 7,000円を現金で立て替えて支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 420,000 | 売上 | 420,000 |
| 立替金 | 7,000 | 現金 | 7,000 |
解説
先方負担の運賃を立て替えたので発送費は使いません。借方に立替金 7,000円(資産の増加)を書きます。当社負担なら発送費、先方負担の立替えなら立替金。借方の科目名だけが入れ替わり、金額の動きは同じです。
掛けで仕入れた商品に品質不良があったため、仕入先から 18,000円の値引きを受けた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 18,000 | 仕入 | 18,000 |
解説
値引きは初級では返品と同じ形で処理します。仕入が 18,000円減るので貸方に仕入、買掛金が同じだけ減るので借方に買掛金です。商品を返していなくても仕訳は変わりません。現金は動きません。
商品 250,000円を仕入れ、代金は小切手を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 250,000 | 当座預金 | 250,000 |
解説
自分が小切手を振り出したときは、当座預金が減ります。ですから貸方は当座預金 250,000円です。借方は費用の発生である仕入 250,000円。自分で振り出した小切手を現金としないよう注意してください。
当社が負担する商品の発送運賃の処理として、正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 発送費として費用に計上する
解説
当社負担の売上諸掛は、発送費という費用の勘定科目で処理します。売上は売価をそのまま記入するので、増やしても減らしてもいけません。仕入に含めるのは仕入諸掛のうち当社負担分だけです。立替金は先方が負担すべき分を立て替えたときに使います。
当月の商品仕入高(引取運賃を含まない金額)は 1,840,000円であった。このほかに当社負担の引取運賃 32,000円を現金で支払い、品違いによる返品が 60,000円あった。当月末の仕入勘定の残高はいくらか。
解答と解説
正解
1,812,000 円
解説
当社負担の引取運賃は仕入に含めるので、仕入勘定の借方に加算します。返品は仕入勘定の貸方に記入され、残高を減らします。1,840,000円 + 32,000円 - 60,000円 = 1,812,000円が借方残高です。
商品 600,000円を仕入れ、代金のうち 200,000円は現金で支払い、残額は掛けとした。なお、当社が負担する引取運賃 12,000円も現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 612,000 | 現金 | 212,000 |
| – | – | 買掛金 | 400,000 |
解説
まず仕入の金額です。当社負担なので運賃を含め、600,000円 + 12,000円 = 612,000円を借方に書きます。次に貸方です。出ていった現金は商品代金の 200,000円と運賃 12,000円で合計 212,000円。残額 600,000円 - 200,000円 = 400,000円が買掛金です。貸方合計 212,000円 + 400,000円 = 612,000円で借方と一致します。買掛金に運賃を含めないことが要点です。
商品を 700,000円で売り上げ、代金のうち 250,000円は普通預金口座に振り込まれ、残額は掛けとした。なお、得意先が負担すべき発送運賃 11,000円を現金で立て替えて支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 250,000 | 売上 | 700,000 |
| 売掛金 | 450,000 | 現金 | 11,000 |
| 立替金 | 11,000 | – | – |
解説
売上は売価 700,000円をそのまま貸方に書きます。借方は、振り込まれた普通預金 250,000円と、残額 700,000円 - 250,000円 = 450,000円の売掛金です。さらに先方負担の運賃を立て替えたので、借方に立替金 11,000円、貸方に現金 11,000円を加えます。借方合計も貸方合計も 711,000円です。得意先負担なので発送費は使いません。
さきに掛けで仕入れていた商品 350,000円のうち 30,000円を品違いのため返品し、同日、残額をすべて当座預金から支払った。返品と支払いをあわせて1つの仕訳で示しなさい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 350,000 | 仕入 | 30,000 |
| – | – | 当座預金 | 320,000 |
解説
返品で仕入が 30,000円減るので貸方に仕入。残った買掛金は 350,000円 - 30,000円 = 320,000円で、これを当座預金から支払うので貸方に当座預金 320,000円です。買掛金は返品分と支払分をあわせて 350,000円がすべて消えるので、借方に買掛金 350,000円と書きます。貸方合計 30,000円 + 320,000円 = 350,000円で一致します。
商品 540,000円を仕入れ、さきに支払っていた手付金 100,000円を差し引き、残額は掛けとした。なお、当社が負担する引取運賃 7,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 547,000 | 前払金 | 100,000 |
| – | – | 買掛金 | 440,000 |
| – | – | 現金 | 7,000 |
解説
借方の仕入は、当社負担の運賃を含めて 540,000円 + 7,000円 = 547,000円です。貸方は3つに分かれます。さきに払っていた手付金は前払金という資産で、商品を受け取ったことでその権利が消えるので前払金 100,000円。残りの代金 540,000円 - 100,000円 = 440,000円が買掛金。運賃を払った現金 7,000円。貸方合計は 100,000円 + 440,000円 + 7,000円 = 547,000円です。
当月の資料は次のとおりであった。月初の商品棚卸高 320,000円、当月の仕入高(返品控除後、当社負担の引取運賃を含む)2,180,000円、月末の商品棚卸高 290,000円、当月の売上高(返品控除後)3,150,000円。当月の売上総利益はいくらか。
解答と解説
正解
940,000 円
解説
先に売上原価を求めます。売上原価 = 月初商品棚卸高 + 当月仕入高 - 月末商品棚卸高 ですから、320,000円 + 2,180,000円 - 290,000円 = 2,210,000円です。次に売上総利益 = 売上高 - 売上原価 に当てはめます。3,150,000円 - 2,210,000円 = 940,000円。この計算は数値を求めるだけで、仕訳は書きません。
第10章売掛金・買掛金とクレジット売掛金0 / 24▼
商品の代金を後払いにする「掛取引」を、発生から決済まで一直線に処理できるようになります。
- 掛取引の意味を説明し、売掛金(資産)と買掛金(負債)の仕訳を発生から決済まで書ける。
- 売掛金勘定・買掛金勘定の残高が「未回収額」「未払額」を表すことを使って、金額を読み取れる。
- クレジット売掛金の2ステップを処理でき、売掛金と未収入金、買掛金と未払金を正しく使い分けられる。
1. 掛取引とは「代金を後でまとめて決済する約束」
会社どうしの商品売買では、その場で現金をやりとりすることはほとんどありません。商品だけを先に受け渡し、代金は月末や翌月末にまとめて決済します。この約束のもとで行う商品売買を掛取引といいます。
掛取引をすると、代金の受け渡しが後回しになるので、その間だけ権利または義務が帳簿に残ります。売った側には「代金を受け取る権利」が、買った側には「代金を支払う義務」が生まれます。
代金を後で受け取る権利
勘定科目は売掛金
グループは資産
代金を後で支払う義務
勘定科目は買掛金
グループは負債
売掛金は「売った代金の掛け(未回収分)」、買掛金は「買った代金の掛け(未払分)」と読むと覚えやすいです。売と買のどちらが自社の立場かを取り違えないでください。
掛取引は「発生」と「決済」の2回に分かれる
掛取引では、1つの商売が2回の仕訳になります。商品を渡した(受け取った)ときが1回目、代金をやりとりしたときが2回目です。ここを最初に頭に入れておくと、以降の話がすべてつながります。
売上側(当社が商品を売る)
商品を掛けで売り上げる
売掛金が増える
約束した決済日まで
売掛金が残ったまま
代金を受け取る
売掛金が減る
仕入側(当社が商品を買う)
商品を掛けで仕入れる
買掛金が増える
約束した決済日まで
買掛金が残ったまま
代金を支払う
買掛金が減る
2. 発生と決済の仕訳を4本だけ覚える
掛取引で登場する仕訳は、たった4本です。この4本の形を丸ごと覚えてしまえば、本章の仕訳問題はほぼ解けます。
売上側の2本
商品を 400,000円で売り上げ、代金を掛けとしたときの仕訳です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 400,000 | 売上 | 400,000 |
後日、その 400,000円を現金で回収したときの仕訳です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 400,000 | 売掛金 | 400,000 |
回収したときに売上を計上してはいけません。売上はSTEP1でもう計上済みです。回収の仕訳で動くのは、現金と売掛金という資産どうしだけです。
仕入側の2本
商品 250,000円を仕入れ、代金を掛けとしたときの仕訳です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 250,000 | 買掛金 | 250,000 |
後日、その 250,000円を現金で支払ったときの仕訳です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 250,000 | 現金 | 250,000 |
支払ったときに仕入を計上してはいけません。仕入もSTEP1で計上済みです。支払の仕訳は、負債の減少と資産の減少の組み合わせになります。
売掛金は資産だから、増えたら借方・減ったら貸方。買掛金は負債だから、増えたら貸方・減ったら借方。売掛金は売上とセットで生まれ、買掛金は仕入とセットで生まれます。この向きさえ固定できれば、掛取引で迷うことはありません。
T字勘定で「行って帰ってくる」動きを見る
売掛金と買掛金は、発生したあと必ず決済されて消えます。T字勘定で見ると、片側に立った金額が反対側で打ち消される形になります。
売掛金は借方で生まれて貸方で消えます。買掛金は貸方で生まれて借方で消えます。生まれる側と消える側は、必ず正反対です。
「掛け」という言葉が使えるのは商品の売買だけです。備品を後払いで買っても買掛金にはなりませんし、土地を売って代金が後日でも売掛金にはなりません。この線引きは第5節でくわしく扱います。まずは「掛け=商品」と刻んでおいてください。
3. 残高が表すのは「未回収額」と「未払額」
売掛金勘定や買掛金勘定は、1か月のあいだに何度も増えたり減ったりします。月末に残った金額(残高)は、次の意味を持ちます。
- 売掛金の残高 得意先からまだ回収できていない代金の合計。つまり未回収額です。
- 買掛金の残高 仕入先にまだ支払っていない代金の合計。つまり未払額です。
第19章で学ぶ月次の合計残高試算表では、この2つの残高が読み取り項目として毎回問われます。金額の意味を言葉で説明できる状態にしておいてください。
T字勘定から3つの数値を読み取る
売掛金勘定を1つ与えられて、「当月の掛売上高」「当月回収額」「月末未回収額」を答えさせる出題は頻出です。読み取り方は完全に決まっています。
| 読み取る数値 | どこを見るか | 計算 | 答え |
|---|---|---|---|
| 当月の掛売上高 | 借方のうち前月繰越を除いた分 | 260,000 たす 350,000 たす 210,000 | 820,000 |
| 当月回収額 | 貸方の合計 | 300,000 たす 400,000 | 700,000 |
| 月末未回収額 | 借方合計 ひく 貸方合計 | 1,200,000 ひく 700,000 | 500,000 |
売掛金勘定の読み取りは、次の1本の式で片づきます。月初残高 たす 当月の掛売上高 ひく 当月回収額 イコール 月末残高。買掛金なら「月初残高 たす 当月の掛仕入高 ひく 当月支払額 イコール 月末残高」です。4つの数値のうち3つが与えられれば、残り1つは必ず求まります。
前月繰越を「当月の売上」に数えてしまう誤りが非常に多いです。前月繰越は前の月から持ち越された未回収額であって、当月の売上ではありません。当月の掛売上高を聞かれたら、借方から前月繰越を必ず除いてください。
4. クレジット売掛金:カード払いで売ったとき
小売店では、代金をクレジットカードで支払うお客が増えています。このとき代金は、お客からではなく信販会社(カード会社)から後日入金されます。
お店から見ると、代金を受け取る相手が得意先ではなく信販会社に変わります。そこで、ふつうの売掛金と区別するためにクレジット売掛金という勘定科目を使います。グループは売掛金と同じく資産です。
もう1つ大事な点があります。信販会社は代金の全額を渡してくれません。手数料を差し引いた残りが入金されます。この手数料は、お店にとって費用であり、勘定科目は支払手数料を使います。
2ステップで処理する
本書では、販売時に手数料を計上する方法で統一します。販売した時点で、入金される金額と手数料をきちんと分けてしまう方法です。
売上を総額で計上し
手数料を差し引いた残りを
クレジット売掛金にする
信販会社から入金され
クレジット売掛金が消える
手数料はもう出てこない
手数料の計算 200,000円 かける 3パーセント イコール 6,000円。信販会社から入金される金額は 200,000円 ひく 6,000円 イコール 194,000円です。
STEP1 販売時の仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 194,000 | 売上 | 200,000 |
| 支払手数料 | 6,000 | – | – |
STEP2 後日、普通預金に入金されたときの仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 194,000 | クレジット売掛金 | 194,000 |
クレジット販売の販売時は借方が2つ、貸方が1つの形になります。借方はクレジット売掛金と支払手数料、貸方は売上です。借方の2つを足すと、必ず売上の金額と一致します。
手数料を差し引いた金額を売上にしてはいけません。売上は必ず販売代金の総額で計上します。上の例で売上を 194,000円としてしまうと、売上高が過小になり、第19章の試算表がすべて狂います。手数料は売上を減らすのではなく、費用として別に立てます。
入金時の仕訳に支払手数料は登場しません。手数料は販売時にもう計上済みだからです。入金額とクレジット売掛金の金額は同じになります。問題文に「販売代金 200,000円」と書いてあっても、入金の仕訳で 200,000円と書かないでください。
5. 売掛金と未収入金、買掛金と未払金を区別する
ここが本章で最も差がつく論点です。判断の基準はただ1つ、商品の売買から生じたかどうかだけです。
- 商品を売った代金の未回収分 → 売掛金
- 商品以外のものを売った代金の未回収分 → 未収入金
- 商品を買った代金の未払分 → 買掛金
- 商品以外のものを買った代金の未払分 → 未払金
ここでいう「商品」とは、その会社が売るために仕入れた品物のことです。文房具店にとってのノートは商品ですが、事務所で使う応接セットは商品ではありません。同じ物でも、その会社が売り物として扱っているかどうかで変わります。
| どんな金額か | 商品の売買から生じた | 商品以外から生じた |
|---|---|---|
| 後で受け取る権利 (資産) | 売掛金 商品を掛けで売り上げた | 未収入金 土地を売り、代金は翌月末に受け取る |
| 後で支払う義務 (負債) | 買掛金 商品を掛けで仕入れた | 未払金 備品を買い、代金は翌月末に支払う |
| 相手になる科目 | 売上・仕入 | 土地・建物・備品・車両運搬具など |
縦の軸は「受け取るか、支払うか」。横の軸は「商品か、商品以外か」。この2つの軸だけで4つの科目が決まります。
覚え方は「掛」の字が付いたら商品です。売掛金と買掛金には掛の字があります。商品以外は掛の字がない未収入金と未払金を使います。文字の形で判断できるので、本番で迷ったときはこれを思い出してください。
クレジット売掛金は、商品をカードで売ったときにだけ使います。土地や備品をカード払いで売ることは初級では出題されません。また、クレジット売掛金は売掛金とは別の勘定科目です。試算表では別の行に並ぶので、合算して答えないよう気をつけてください。
6. 得意先ごとの管理は補助簿にまかせる
売掛金勘定には、すべての得意先の未回収額がまとめて入ります。しかし実務では「A商店にいくら、B商店にいくら」という内訳が必要です。
そこで、得意先ごとの明細を記録する帳簿を別に用意します。これを得意先元帳(売掛金元帳)といいます。仕入先ごとの明細を記録するものが仕入先元帳(買掛金元帳)です。得意先や仕入先の名前をそのまま勘定名として使う人名勘定という方法もあります。
これらはいずれも補助簿であり、主要簿である総勘定元帳を補う位置づけです。くわしい書き方は第18章で扱います。本章では「売掛金・買掛金の内訳を管理する帳簿が別にある」とだけ押さえてください。
7. 例題で流れを確認する
次の取引の仕訳を、それぞれ示しなさい。
- 9月4日、商品 560,000円を掛けで仕入れた。
- 9月11日、商品を 830,000円で売り上げ、代金は掛けとした。
- 9月28日、9月4日の買掛金 560,000円を普通預金口座から支払った。
- 9月30日、9月11日の売掛金 830,000円が普通預金口座に振り込まれた。
9月4日。商品を仕入れたので、借方は費用の発生である仕入 560,000円。代金は後払いなので、貸方は負債の増加である買掛金 560,000円です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 560,000 | 買掛金 | 560,000 |
9月11日。商品を売ったので、貸方は収益の発生である売上 830,000円。代金は後で受け取るので、借方は資産の増加である売掛金 830,000円です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 830,000 | 売上 | 830,000 |
9月28日。普通預金が 560,000円減ったので、貸方は資産の減少。減った理由は支払義務がなくなったことなので、借方は負債の減少である買掛金です。ここで仕入と書いてはいけません。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 560,000 | 普通預金 | 560,000 |
9月30日。普通預金が 830,000円増えたので、借方は資産の増加。増えた理由は受け取る権利がなくなったことなので、貸方は資産の減少である売掛金です。ここで売上と書いてはいけません。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 830,000 | 売掛金 | 830,000 |
4本すべてで借方合計と貸方合計が一致しています。仕入と売上が出てくるのは1回目だけ、という点を必ず確認してください。
10月6日、商品を 300,000円で販売し、代金はクレジットカード払いを受けました。信販会社への手数料は販売代金の3パーセントで、販売時に計上します。10月25日、手数料を差し引いた金額が普通預金口座に入金されました。それぞれの仕訳を示しなさい。
まず手数料を計算します。300,000円 かける 3パーセント イコール 9,000円。信販会社から入金される金額は 300,000円 ひく 9,000円 イコール 291,000円です。
10月6日の販売時。売上は総額の 300,000円で貸方。借方には、後で受け取る 291,000円をクレジット売掛金として、差し引かれた 9,000円を支払手数料として並べます。借方の合計は 291,000円 たす 9,000円で 300,000円となり、貸方と一致します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 291,000 | 売上 | 300,000 |
| 支払手数料 | 9,000 | – | – |
10月25日の入金時。普通預金が 291,000円増えたので借方。増えた理由はクレジット売掛金がなくなったことなので、貸方はクレジット売掛金 291,000円です。支払手数料はもう計上済みなので登場しません。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 291,000 | クレジット売掛金 | 291,000 |
入金の仕訳に 300,000円という数字は一度も出てきません。ここが最大のひっかけどころです。
次は、ある商店の8月の買掛金勘定です。当月の掛仕入高、当月の支払額、月末未払額をそれぞれ求めなさい。
当月の掛仕入高。買掛金が増えるのは貸方です。ただし前月繰越は当月の仕入ではないので除きます。340,000円 たす 290,000円 イコール 630,000円。
当月の支払額。買掛金が減るのは借方です。260,000円 たす 180,000円 イコール 440,000円。
月末未払額。貸方合計から借方合計を引きます。貸方合計は 310,000円 たす 340,000円 たす 290,000円 イコール 940,000円。借方合計は 440,000円。940,000円 ひく 440,000円 イコール 500,000円。
公式でも検算できます。月初残高 310,000円 たす 掛仕入高 630,000円 ひく 支払額 440,000円 イコール 500,000円。一致しました。
買掛金は負債なので、増える側が貸方、減る側が借方です。売掛金とちょうど左右が逆になる点に注意してください。
- 掛取引は発生と決済の2回の仕訳になる。決済の仕訳に売上や仕入は出てこない。
- 売掛金の残高は未回収額、買掛金の残高は未払額。月初残高 たす 当月発生額 ひく 当月決済額 イコール 月末残高。
- クレジット販売は売上を総額で立て、手数料は支払手数料として販売時に計上する。商品以外なら未収入金・未払金を使う。
章末演習(24問)
得意先に商品 530,000円を売り渡し、代金は月末にまとめて受け取ることとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 530,000 | 売上 | 530,000 |
解説
商品を引き渡したので、貸方は収益の発生である売上 530,000円です。代金はその場で受け取らず、月末にまとめて受け取る約束をしました。これが掛取引です。代金を受け取る権利が生まれたので、借方は資産の増加である売掛金 530,000円になります。現金も預金もまだ動きません。
仕入先に対する買掛金 380,000円を、普通預金口座から振り込んで支払った。振込手数料は考えなくてよい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 380,000 | 普通預金 | 380,000 |
解説
普通預金が 380,000円減ったので、貸方は資産の減少です。借方は、支払義務がなくなったことを表す買掛金 380,000円(負債の減少)になります。掛取引は、仕入れたときに買掛金を貸方へ計上し、支払ったときに借方へ書いて消す2段構えです。ここでもう一度仕入と書くと、費用の二重計上になってしまいます。
得意先に対する売掛金 450,000円を現金で回収した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 450,000 | 売掛金 | 450,000 |
解説
現金が 450,000円増えたので、借方は資産の増加です。増えた理由は代金を受け取る権利がなくなったことなので、貸方は資産の減少である売掛金です。回収の仕訳に売上は出てきません。売上は掛けで売り上げたときにすでに計上済みです。
仕入先に対する買掛金 320,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 320,000 | 現金 | 320,000 |
解説
現金が 320,000円減ったので、貸方は資産の減少です。減った理由は支払義務がなくなったことなので、借方は負債の減少である買掛金です。支払の仕訳に仕入は出てきません。仕入は掛けで仕入れたときにすでに計上済みです。
商品を 180,000円で販売し、代金はクレジットカード払いを受けた。信販会社への手数料は販売代金の3パーセントであり、販売時に計上する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 174,600 | 売上 | 180,000 |
| 支払手数料 | 5,400 | – | – |
解説
手数料は 180,000円 かける 3パーセント イコール 5,400円。後で受け取る金額は 180,000円 ひく 5,400円 イコール 174,600円です。売上は総額の 180,000円で貸方に計上し、借方にクレジット売掛金 174,600円と支払手数料 5,400円を並べます。借方合計は 180,000円で貸方と一致します。
事務所で使うパソコン 210,000円を購入し、代金は翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 210,000 | 未払金 | 210,000 |
解説
事務所で長く使う物品を手に入れたので、借方は資産の増加である備品 210,000円です。代金は後払いですが、パソコンは売り物である商品ではありません。したがって貸方は買掛金ではなく未払金 210,000円になります。商品以外なら掛の字が付かない科目、と覚えてください。
得意先に対する売掛金 260,000円が、当社の普通預金口座に振り込まれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 260,000 | 売掛金 | 260,000 |
解説
普通預金が 260,000円増えたので借方は資産の増加。増えた理由は売掛金の回収なので、貸方は資産の減少である売掛金です。回収先が現金でも預金でも、貸方が売掛金である点は変わりません。
月末における売掛金勘定の残高が表しているものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 得意先からまだ回収していない代金の合計
解説
売掛金は資産であり、その残高は「代金を受け取る権利がまだ残っている金額」を意味します。つまり未回収額です。当月の売上高は売上勘定の貸方で分かります。回収済みの金額は売掛金勘定の貸方合計で、残高ではありません。仕入先への未払額は買掛金の残高です。
売掛金の月初残高は 380,000円であった。当月の掛売上高は 620,000円、当月の回収額は 540,000円である。売掛金の月末残高はいくらか。
解答と解説
正解
460,000 円
解説
売掛金は、掛けで売り上げると増え、回収すると減ります。月初残高 380,000円 たす 当月の掛売上高 620,000円 イコール 1,000,000円。ここから当月回収額 540,000円を引きます。1,000,000円 ひく 540,000円 イコール 460,000円。これが月末の未回収額です。
商品 540,000円を仕入れ、代金のうち 140,000円は現金で支払い、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 540,000 | 現金 | 140,000 |
| – | – | 買掛金 | 400,000 |
解説
仕入れた商品の原価は総額の 540,000円なので、借方は仕入 540,000円。現金は 140,000円減ったので貸方。残額 540,000円 ひく 140,000円 イコール 400,000円は後で支払う義務なので、買掛金 400,000円を貸方に加えます。貸方合計は 140,000円 たす 400,000円で 540,000円となり、借方と一致します。
商品を 700,000円で売り上げ、代金のうち 200,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 200,000 | 売上 | 700,000 |
| 売掛金 | 500,000 | – | – |
解説
売上は総額の 700,000円で貸方。現金は 200,000円増えたので借方。残額 700,000円 ひく 200,000円 イコール 500,000円は後で受け取る権利なので、売掛金 500,000円を借方に加えます。借方合計は 200,000円 たす 500,000円で 700,000円です。
クレジットカード払いによる商品の販売代金について、信販会社から 174,600円が普通預金口座に入金された。手数料は販売時に計上済みである。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 174,600 | クレジット売掛金 | 174,600 |
解説
普通預金が 174,600円増えたので借方。増えた理由はクレジット売掛金がなくなったことなので、貸方はクレジット売掛金 174,600円です。手数料は販売時にもう計上しているので、この仕訳に支払手数料は出てきません。入金額とクレジット売掛金の金額は必ず同じになります。
商品を 400,000円で販売し、代金はクレジットカード払いを受けた。信販会社への手数料は販売代金の3パーセントであり、販売時に計上する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 388,000 | 売上 | 400,000 |
| 支払手数料 | 12,000 | – | – |
解説
手数料は 400,000円 かける 3パーセント イコール 12,000円。後で受け取る金額は 400,000円 ひく 12,000円 イコール 388,000円です。売上を 388,000円としてはいけません。売上は必ず販売代金の総額 400,000円で計上し、差し引かれた 12,000円は支払手数料という費用で別に立てます。
得意先に対する売掛金 300,000円について、同店が振り出した小切手を受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 300,000 | 売掛金 | 300,000 |
解説
他人が振り出した小切手は、第8章で学んだとおり簿記では現金として扱います。したがって借方は現金 300,000円。受け取る権利がなくなったので、貸方は資産の減少である売掛金 300,000円です。当座預金としないよう注意してください。
仕入先に対する買掛金 450,000円を普通預金口座から振り込んで支払った。なお、振込手数料 800円は当社の負担であり、同じ口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 450,000 | 普通預金 | 450,800 |
| 支払手数料 | 800 | – | – |
解説
口座から出ていった金額は 450,000円 たす 800円 イコール 450,800円なので、貸方は普通預金 450,800円。借方は、支払義務がなくなった買掛金 450,000円(負債の減少)と、振込にかかった支払手数料 800円(費用の発生)に分けます。手数料を買掛金に含めて 450,800円としてはいけません。
掛けで仕入れた商品のうち 40,000円を品違いのため返品し、代金は買掛金から差し引くこととした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 40,000 | 仕入 | 40,000 |
解説
返品は、仕入れたときの仕訳を金額の分だけ取り消す処理です。仕入れたときは借方が仕入・貸方が買掛金でしたから、返品では左右を入れかえます。借方は買掛金 40,000円(支払義務が減る)、貸方は仕入 40,000円(費用が取り消される)です。
買掛金の月初残高は 290,000円であった。当月の掛仕入高は 750,000円、当月の支払額は 610,000円である。買掛金の月末残高はいくらか。
解答と解説
正解
430,000 円
解説
買掛金は、掛けで仕入れると増え、支払うと減ります。月初残高 290,000円 たす 当月の掛仕入高 750,000円 イコール 1,040,000円。ここから当月支払額 610,000円を引きます。1,040,000円 ひく 610,000円 イコール 430,000円。これが月末の未払額です。
商品を 850,000円で販売し、代金はクレジットカード払いを受けた。信販会社への手数料は販売代金の3パーセントである。後日、信販会社から入金される金額はいくらか。
解答と解説
正解
824,500 円
解説
手数料は 850,000円 かける 3パーセント イコール 25,500円です。信販会社は手数料を差し引いた残りを入金します。850,000円 ひく 25,500円 イコール 824,500円。この 824,500円が販売時にクレジット売掛金として計上され、入金時にそのまま消える金額になります。
次の取引のうち、代金の未回収額を売掛金ではなく未収入金で処理するものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 所有する土地を売却し、代金は翌月末に受け取ることにした
解説
売掛金を使えるのは、商品の売買から生じた未回収額だけです。土地は売り物として仕入れた商品ではないので、その売却代金の未回収額は未収入金で処理します。商品を掛けで売れば売掛金、クレジットカード払いならクレジット売掛金です。現金で受け取った取引には、そもそも未回収額がありません。
商品を 600,000円で売り上げ、代金のうち 250,000円はクレジットカード払いを受け、残額は掛けとした。信販会社への手数料はクレジットカード払いの金額の3パーセントであり、販売時に計上する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 242,500 | 売上 | 600,000 |
| 売掛金 | 350,000 | – | – |
| 支払手数料 | 7,500 | – | – |
解説
売上は総額の 600,000円で貸方。手数料はカード払い分だけにかかるので、250,000円 かける 3パーセント イコール 7,500円です。クレジット売掛金は 250,000円 ひく 7,500円 イコール 242,500円。カード払い以外の残額 600,000円 ひく 250,000円 イコール 350,000円は、ふつうの売掛金として借方に置きます。借方合計は 242,500円 たす 350,000円 たす 7,500円 イコール 600,000円で、貸方と一致します。
帳簿価額 1,500,000円の土地を 1,700,000円で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未収入金 | 1,700,000 | 土地 | 1,500,000 |
| – | – | 固定資産売却益 | 200,000 |
解説
土地は商品ではないので、売却代金の未回収額は売掛金ではなく未収入金 1,700,000円です。手放した土地は資産の減少なので、貸方に帳簿価額 1,500,000円。売却額が帳簿価額を 1,700,000円 ひく 1,500,000円 イコール 200,000円上回っているので、その差額を固定資産売却益として貸方に計上します。貸方合計は 1,700,000円で借方と一致します。
商品 380,000円を掛けで仕入れ、その引取運賃 9,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 389,000 | 買掛金 | 380,000 |
| – | – | 現金 | 9,000 |
解説
当社が負担する引取運賃は、商品を仕入れるためにかかった費用なので仕入の金額に含めます。借方の仕入は 380,000円 たす 9,000円 イコール 389,000円です。貸方は、商品代金の未払分である買掛金 380,000円と、運賃として出ていった現金 9,000円に分かれます。買掛金を 389,000円としないよう注意してください。運賃は仕入先ではなく運送会社に支払っています。
先月クレジットカード払いで販売した商品の代金について、信販会社から手数料を差し引いた 291,000円が普通預金口座に入金された。なお、この販売代金は 300,000円であり、手数料 9,000円は販売時に計上済みである。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 291,000 | クレジット売掛金 | 291,000 |
解説
販売時にすでに、クレジット売掛金 291,000円と支払手数料 9,000円を借方、売上 300,000円を貸方として計上しています。今回はその 291,000円が入金されただけなので、借方は普通預金 291,000円、貸方はクレジット売掛金 291,000円です。問題文の 300,000円や 9,000円につられてはいけません。入金の仕訳に売上も支払手数料も登場しません。
売掛金の月初残高は 420,000円であった。当月の掛売上高は 980,000円で、月末残高は 350,000円であった。当月の回収額はいくらか。
解答と解説
正解
1,050,000 円
解説
公式は「月初残高 たす 当月の掛売上高 ひく 当月回収額 イコール 月末残高」です。回収額を求めるので式を組みかえます。月初残高 420,000円 たす 掛売上高 980,000円 イコール 1,400,000円。ここから月末残高 350,000円を引きます。1,400,000円 ひく 350,000円 イコール 1,050,000円。検算すると、420,000円 たす 980,000円 ひく 1,050,000円 イコール 350,000円となり、月末残高と一致します。
第11章その他の債権と債務0 / 26▼
貸付金・借入金から仮払金・仮受金まで、5つのペアを「お金の向き」と「約束の向き」で整理し、迷わず仕訳できるようになります。
- 債権は資産、債務は負債であることを、5つのペアで説明できる。
- 「お金の向き」と「約束の向き」を確かめて、5つのペアを正しく使い分けられる。
- 利息の計算式を使い、貸付金・借入金の仕訳を利息とあわせて作れる。
1. 債権と債務は、いつも2人1組で生まれる
あとでお金や物を受け取れる権利を債権といいます。反対に、あとでお金や物を渡さなければならない義務を債務といいます。債権は資産、債務は負債です。
大切なのは、1つの取引から債権と債務が同時に生まれることです。こちらが貸付金という債権を持つとき、相手は借入金という債務を負っています。同じ出来事を、どちら側から見ているかの違いにすぎません。
この章では5つのペアを学びます。バラバラに暗記すると必ず混乱します。かならず左右セットで覚えてください。
| 資産(債権) | 負債(債務) | 何を表すか | 代表的な場面 |
|---|---|---|---|
| 貸付金 | 借入金 | お金そのものの貸し借り | 取引先に資金を貸す/銀行から借りる |
| 未収入金 | 未払金 | 商品以外の売買の未決済 | 土地を売って代金は翌月/備品を買って代金は翌月 |
| 前払金 | 前受金 | 商品代金の前渡し・前受け | 手付金や内金をやりとりした |
| 立替金 | 預り金 | 他人のお金の一時的な肩代わり・預かり | 従業員の負担分を立て替える/給料から所得税を預かる |
| 仮払金 | 仮受金 | 金額または内容が未確定 | 出張旅費の概算を前渡し/内容不明の入金 |
迷ったら、2つの向きを確かめる
どの科目を使うかは、次の2つを順に確かめれば決まります。
- お金の向き 自分が先に払ったのか、先に受け取ったのか。
- 約束の向き あとで受け取るのか、あとで渡すのか。
先にお金を払った側は、あとで何かを受け取れます。だから債権、つまり資産です。先にお金を受け取った側は、あとで何かを渡さなければなりません。だから債務、つまり負債です。
先に出したら資産、先にもらったら負債。この一行が5つのペアすべてに効きます。前払金も立替金も仮払金も、先にお金を出しているから資産です。前受金も預り金も仮受金も、先にお金をもらっているから負債です。
科目名そのものが答えを教えています。前払金・立替金・仮払金には「払」「立替」と、こちらが出したことが書かれています。前受金・預り金・仮受金には「受」「預り」と、こちらがもらったことが書かれています。名前を声に出せば、資産か負債かは迷いません。
2. 貸付金と借入金 — お金そのものを貸し借りする
借用証書を取り交わしてお金を貸したときは貸付金(資産)、借りたときは借入金(負債)で処理します。商品の売買とは関係のない、お金そのもののやりとりです。
貸したお金が返ってくれば貸付金は減り、返済すれば借入金は減ります。ここまでは第5章で見たとおりです。この章で新しく学ぶのは利息の扱いです。
利息は元金と切り離して考える
お金を貸した側は利息を受け取ります。これは収益なので受取利息を使います。借りた側は利息を支払います。これは費用なので支払利息を使います。
利息の額は、次の式で計算します。
利息 = 元本 × 年利率 × 月数 ÷ 12
| 手順 | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 条件 | 元本 900,000円/年利率 2パーセント/期間 6か月 | – |
| 1年分の利息を出す | 900,000円 × 0.02 | 18,000円 |
| 月数で按分する | 18,000円 × 6 ÷ 12 | 9,000円 |
1つの式にまとめると 900,000円 × 0.02 × 6 ÷ 12 = 9,000円 です。
利息 = 元本 × 年利率 × 月数 ÷ 12。年利率は1年間ぶんの割合ですから、数か月しか貸し借りしていないときは月数で按分します。ここを忘れて1年分をそのまま答えてしまうミスが非常に多いです。
元金と利息は別の勘定科目です。借入金 500,000円を利息 5,000円とあわせて返したとき、借入金 505,000円と書いてはいけません。元金の返済は負債の減少、利息の支払いは費用の発生で、性質がまったく違います。金額が合っていても不正解になります。
3. 未収入金と未払金 — 商品以外の売り買いで使う
商品を掛けで売れば売掛金、掛けで買えば買掛金でした。では、商品以外のものを売り買いして代金が後日になったときは、どうするのでしょうか。
このときに使うのが未収入金(資産)と未払金(負債)です。備品や土地のように、その会社が商売として売っているわけではないものが対象になります。
売った側は 売掛金(資産)
買った側は 買掛金(負債)
例:販売用の商品を掛けで売買した
売った側は 未収入金(資産)
買った側は 未払金(負債)
例:備品や土地を売買し代金は後日
分かれ道は金額でも相手でもありません。その会社が商売として売っている物かどうかだけです。文房具店が事務用のパソコンを掛けで買えば未払金ですが、販売用の文房具を掛けで買えば買掛金になります。同じ会社でも中身で変わります。
4. 前払金と前受金 — 手付金・内金は2ステップで動く
大きな取引では、契約のしるしとして代金の一部を先に渡すことがあります。これを手付金や内金といいます。
先に払った側は、あとで商品を受け取れる権利を持ちます。これが前払金(資産)です。先に受け取った側は、あとで商品を渡す義務を負います。これが前受金(負債)です。
商品が動いていない段階では、仕入も売上も使わない
ここが最大のつまずきポイントです。手付金を払った時点では、商品はまだ手元にありません。ですから仕入を使ってはいけません。同じく、内金を受け取っただけでは売上になりません。
商品を受け渡したときにはじめて、前払金を仕入へ、前受金を売上へと振り替えます。
お金だけが動く
前払金・前受金で受ける
仕入・売上を計上し
前払金・前受金を消す
| 立場 | タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|---|
| 買い手 | STEP1 手付金を現金で支払った | 前払金 100,000 | 現金 100,000 |
| 買い手 | STEP2 商品を受け取り、残額は掛け | 仕入 450,000 | 前払金 100,000 買掛金 350,000 |
| 売り手 | STEP1 内金を現金で受け取った | 現金 100,000 | 前受金 100,000 |
| 売り手 | STEP2 商品を引き渡し、残額は掛け | 前受金 100,000 売掛金 350,000 | 売上 450,000 |
2ステップ目では、前払金・前受金を必ずゼロに戻すと覚えてください。手付金 100,000円を払っていたなら、商品受取時に前払金 100,000円を貸方に書いて消します。書き忘れると、いつまでも資産が残ったままになります。
5. 立替金と預り金 — 他人のお金を一時的にあずかる
本来は相手が払うべきお金を、こちらが一時的に肩代わりして払うことがあります。このとき使うのが立替金(資産)です。あとで返してもらえるので債権になります。
反対に、本来は他の人に渡すお金を、こちらが一時的に預かることがあります。このとき使うのが預り金(負債)です。あとで渡す義務があるので債務になります。
いちばん出題されるのは、給料からの天引き
従業員の給料からは、所得税や社会保険料の本人負担分が差し引かれます。会社は差し引いた分をいったん預かり、あとでまとめて国などに納めます。この仕組みを源泉徴収といいます。
会社が預かっているだけのお金ですから、預り金(負債)で処理します。納付したときに預り金を減らします。従業員に立て替えていたお金を給料から回収したときは、立替金(資産)を減らします。
| 項目 | 金額 | 仕訳での位置 |
|---|---|---|
| 給料の総額 | 380,000 | 借方 給料 |
| 差し引く 立て替えていた分の回収 | 15,000 | 貸方 立替金 |
| 差し引く 所得税の源泉徴収額 | 22,000 | 貸方 預り金 |
| 実際に手渡す手取額 | 343,000 | 貸方 現金 |
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 380,000 | 立替金 | 15,000 |
| – | – | 預り金 | 22,000 |
| – | – | 現金 | 343,000 |
貸方は 15,000円たす 22,000円たす 343,000円で 380,000円。借方の給料と一致します。
借方の給料は天引き前の総額で書きます。手取額を書いてはいけません。会社が負担した労働の対価は総額そのものだからです。手取額は、総額から預り金と立替金を差し引いた残りとして貸方に現れます。
預り金も2ステップで完結します。給料を払うときに預かり(貸方に預り金)、税務署などへ納めるときに消す(借方に預り金)。納付の仕訳を書き忘れると、預り金がいつまでも残ります。
6. 仮払金と仮受金 — 金額または内容が決まっていないとき
簿記では、金額または内容が決まらないと勘定科目を選べません。しかし現実には、決まる前にお金が動いてしまう場面があります。
そのようなときに使う一時的な箱が仮払金(資産)と仮受金(負債)です。「まだ決まっていない」という印をつけて、いったん置いておくイメージです。
代表的な2つの場面
- 仮払金 出張する従業員に、旅費の概算額を前もって渡した。いくら使うかがまだ決まっていない。
- 仮受金 預金口座に入金があったが、誰から何のお金かが分からない。
あとで内容や金額が確定したら、正しい勘定科目へ振り替えます。
科目が決まらないので
仮払金・仮受金に入れる
正しい科目へ振り替え
仮払金・仮受金を消す
| 場面 | タイミング | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|---|
| 仮払金 | STEP1 旅費の概算 60,000円を現金で前渡し | 仮払金 60,000 | 現金 60,000 |
| 仮払金 | STEP2 旅費 52,000円と確定、残りは返却 | 旅費交通費 52,000 現金 8,000 | 仮払金 60,000 |
| 仮受金 | STEP1 内容不明の入金 150,000円 | 普通預金 150,000 | 仮受金 150,000 |
| 仮受金 | STEP2 売掛金の回収と判明 | 仮受金 150,000 | 売掛金 150,000 |
仮払金と仮受金は一時的な置き場所にすぎません。内容が確定した時点で必ず正しい科目へ振り替え、残高をゼロにします。振替の仕訳では、仮払金は貸方に、仮受金は借方に来ます。増えたときと反対側だと考えれば迷いません。
仮払金と前払金を混同しないでください。前払金は商品代金の一部を先に払ったもので、相手も金額も決まっています。仮払金は金額または内容が未確定のものです。決まっているかどうかが分かれ道です。
7. 例題で流れを追う
取引先に貸し付けていた 1,200,000円を、5か月分の利息とあわせて現金で回収しました。年利率は 3パーセントです。仕訳を示しなさい。
STEP1 まず利息を計算します。1年分の利息は 1,200,000円 × 0.03 で 36,000円。今回は5か月分なので、36,000円 × 5 ÷ 12 で 15,000円です。
STEP2 現金の動きを決めます。入ってきた現金は、元金 1,200,000円たす利息 15,000円で 1,215,000円。資産の増加なので借方です。
STEP3 相手科目を2つに分けます。返してもらう権利がなくなったので貸付金 1,200,000円(資産の減少)は貸方。利息は受取利息 15,000円(収益の発生)で貸方です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,215,000 | 貸付金 | 1,200,000 |
| – | – | 受取利息 | 15,000 |
貸方は 1,200,000円たす 15,000円で 1,215,000円。借方と一致します。
さきに手付金 100,000円を支払っていた商品 450,000円を受け取りました。残額は掛けとしました。仕訳を示しなさい。
STEP1 商品が届いたので仕入を計上します。金額は商品の全額 450,000円です。手付金を引いた金額ではありません。費用の発生なので借方です。
STEP2 前払金を消します。手付時に借方へ置いた前払金 100,000円は、商品を受け取った時点で役目を終えます。貸方に書いてゼロに戻します。
STEP3 残額を計算します。450,000円ひく 100,000円で 350,000円。商品代金の未払いなので買掛金(負債の増加)で貸方です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 450,000 | 前払金 | 100,000 |
| – | – | 買掛金 | 350,000 |
仕入を 350,000円としないこと。仕入は受け取った商品の全額で計上します。
従業員に今月分の給料 380,000円を支給しました。さきに立て替えていた 15,000円と、所得税の源泉徴収額 22,000円を差し引き、残額を現金で支払いました。仕訳を示しなさい。
STEP1 借方は総額です。給料 380,000円(費用の発生)を借方に置きます。手取額ではありません。
STEP2 差し引いた分を貸方に並べます。立替金 15,000円は返してもらえたので資産の減少で貸方。所得税 22,000円はこれから納める預り金なので、負債の増加で貸方です。
STEP3 手取額を出します。380,000円ひく 15,000円ひく 22,000円で 343,000円。現金の減少なので貸方です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 380,000 | 立替金 | 15,000 |
| – | – | 預り金 | 22,000 |
| – | – | 現金 | 343,000 |
後日この所得税を納付したときは、借方に預り金 22,000円、貸方に現金 22,000円と書いて預り金を消します。ここまでが1セットです。
- 債権と債務は同時に生まれる。先にお金を出したら資産、先にもらったら負債と覚える。
- 利息は 元本 × 年利率 × 月数 ÷ 12 で計算し、元金とは別の科目(受取利息・支払利息)で処理する。
- 前払金・前受金・預り金・仮払金・仮受金は2ステップ。確定したときに必ず消して残高をゼロに戻す。
章末演習(26問)
取引先の柏木商店に、借用証書を受け取って現金 500,000円を貸し付けた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 貸付金 | 500,000 | 現金 | 500,000 |
解説
現金が 500,000円減ったので、資産の減少で貸方。減った代わりに「返してもらう権利」を手に入れたので、借方は資産の増加である貸付金です。先にお金を出した側が債権を持ちます。
北央銀行から 2,000,000円を借り入れ、普通預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 2,000,000 | 借入金 | 2,000,000 |
解説
普通預金が 2,000,000円増えたので、資産の増加で借方。増えた理由は返す義務を負ったことなので、貸方は負債の増加である借入金です。貸付金とちょうど左右が反対になります。
事務所で使う複合機 380,000円を購入し、代金は翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 380,000 | 未払金 | 380,000 |
解説
複合機は長く使う事務用の物品なので、借方は資産の増加である備品。代金を後で払う義務が生まれたので貸方は未払金です。販売用の商品ではないので買掛金は使いません。
商品 300,000円を注文し、手付金として 60,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前払金 | 60,000 | 現金 | 60,000 |
解説
現金が 60,000円減ったので貸方。商品はまだ届いていないので仕入は使いません。あとで商品を受け取れる権利が生まれたので、借方は資産の増加である前払金です。金額は手付金の 60,000円だけです。
商品 400,000円の注文を受け、内金として 80,000円を現金で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 80,000 | 前受金 | 80,000 |
解説
現金が 80,000円増えたので借方。商品はまだ引き渡していないので売上は使いません。あとで商品を渡す義務が生まれたので、貸方は負債の増加である前受金です。
従業員が個人で負担すべき同好会の会費 12,000円を、現金で立て替えて支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 立替金 | 12,000 | 現金 | 12,000 |
解説
現金が 12,000円減ったので貸方。本来は従業員が払うお金を肩代わりしただけで、あとで返してもらえます。借方は資産の増加である立替金です。会社の費用ではないので雑費などにはしません。
従業員の出張にあたり、旅費の概算額 70,000円を現金で前渡しした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仮払金 | 70,000 | 現金 | 70,000 |
解説
現金が 70,000円減ったので貸方。実際にいくら使うかがまだ決まっていないので、旅費交通費では処理できません。借方は一時的な置き場所である仮払金(資産)です。
普通預金口座に 150,000円の入金があったが、誰から何のお金か分からなかった。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 150,000 | 仮受金 | 150,000 |
解説
普通預金が 150,000円増えたので借方。内容が分からないと相手科目を決められないので、貸方は一時的な置き場所である仮受金(負債)です。内容が判明したら正しい科目へ振り替えます。
次のうち、負債に属する勘定科目はどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 預り金
解説
先にお金を出したものは資産、先にもらったものは負債です。前払金・立替金・仮払金はいずれもこちらが先に払っているので資産。預り金は他人に渡すお金を先に預かっているので負債です。
元本 600,000円を年利率 3パーセントで 4か月間貸し付けた。受け取る利息はいくらか。
解答と解説
正解
6,000 円
解説
1年分の利息は 600,000円 かける 0.03 で 18,000円。今回は4か月分なので 18,000円 かける 4 わる 12 で 6,000円です。年利率は1年分の割合なので、必ず月数で按分します。
貸付金 800,000円を、6か月分の利息とあわせて現金で回収した。年利率は 3パーセントである。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 812,000 | 貸付金 | 800,000 |
| – | – | 受取利息 | 12,000 |
解説
利息は 800,000円 かける 0.03 かける 6 わる 12 で 12,000円。入ってきた現金は 800,000円たす 12,000円で 812,000円なので借方です。貸方は、元金の回収である貸付金 800,000円(資産の減少)と、受取利息 12,000円(収益の発生)に分けます。
借入金 1,200,000円を、3か月分の利息とあわせて普通預金口座から返済した。年利率は 2パーセントである。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 借入金 | 1,200,000 | 普通預金 | 1,206,000 |
| 支払利息 | 6,000 | – | – |
解説
利息は 1,200,000円 かける 0.02 かける 3 わる 12 で 6,000円。出ていった普通預金は 1,206,000円なので貸方です。借方は、元金の返済である借入金 1,200,000円(負債の減少)と、支払利息 6,000円(費用の発生)に分けます。借入金 1,206,000円とまとめてはいけません。
所有する土地(帳簿価額 1,500,000円)を 1,500,000円で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未収入金 | 1,500,000 | 土地 | 1,500,000 |
解説
土地がなくなったので貸方は資産の減少である土地 1,500,000円。代金はあとで受け取るので、借方は未収入金(資産の増加)です。商品を売ったわけではないので売掛金は使いません。帳簿価額と同額で売ったため売却損益は生じません。
土地の売却代金として生じていた未収入金 1,500,000円を、普通預金口座で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 1,500,000 | 未収入金 | 1,500,000 |
解説
普通預金が 1,500,000円増えたので借方。受け取る権利がなくなったので、貸方は未収入金(資産の減少)です。土地は売却時にすでに減らしているので、ここでは動きません。
複合機の購入代金として生じていた未払金 380,000円を、現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未払金 | 380,000 | 現金 | 380,000 |
解説
現金が 380,000円減ったので貸方。支払義務がなくなったので、借方は未払金(負債の減少)です。備品は購入時にすでに計上しているので、ここでは動きません。
注文していた商品 300,000円を受け取った。さきに支払った手付金 60,000円を差し引き、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 300,000 | 前払金 | 60,000 |
| – | – | 買掛金 | 240,000 |
解説
商品が届いたので、借方は仕入 300,000円。手付金を引いた金額ではなく、受け取った商品の全額です。貸方は、役目を終えた前払金 60,000円(資産の減少)と、残額 300,000円ひく 60,000円イコール 240,000円の買掛金(負債の増加)です。
注文を受けていた商品 400,000円を引き渡した。さきに受け取った内金 80,000円を差し引き、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前受金 | 80,000 | 売上 | 400,000 |
| 売掛金 | 320,000 | – | – |
解説
商品を引き渡したので、貸方は売上 400,000円(収益の発生)。借方は、役目を終えた前受金 80,000円(負債の減少)と、残額 400,000円ひく 80,000円イコール 320,000円の売掛金(資産の増加)です。
従業員に今月分の給料 320,000円を支給し、所得税の源泉徴収額 21,000円を差し引いた残額を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 320,000 | 預り金 | 21,000 |
| – | – | 現金 | 299,000 |
解説
借方の給料は天引き前の総額 320,000円です。手取額を書いてはいけません。貸方は、あとで税務署に納める預り金 21,000円(負債の増加)と、実際に手渡した現金 320,000円ひく 21,000円イコール 299,000円です。
給料から預かっていた所得税 21,000円を、現金で税務署に納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 預り金 | 21,000 | 現金 | 21,000 |
解説
現金が 21,000円減ったので貸方。従業員から預かったお金を国に渡し、渡す義務がなくなったので、借方は預り金(負債の減少)です。会社の税金ではないので租税公課は使いません。これで預り金の残高がゼロに戻ります。
商品を注文し、手付金を現金で支払ったときの処理として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 借方に前払金、貸方に現金を記入する
解説
手付金を払った時点では商品はまだ手元にないので、仕入は使いません。あとで商品を受け取れる権利が生まれるので、借方は前払金(資産)、貸方は現金です。お金は現実に動いているので、仕訳をしないという選択肢も誤りです。
商品 500,000円の注文を受け、内金として 150,000円を現金で受け取った。商品を引き渡すときに受け取る残額はいくらか。
解答と解説
正解
350,000 円
解説
500,000円ひく 150,000円イコール 350,000円です。引渡時の仕訳は、借方に前受金 150,000円と売掛金 350,000円、貸方に売上 500,000円となります。売上は内金を含めた全額で計上します。
従業員に今月分の給料 450,000円を支給した。さきに立て替えていた 20,000円と、所得税の源泉徴収額 26,000円を差し引き、残額を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 450,000 | 立替金 | 20,000 |
| – | – | 預り金 | 26,000 |
| – | – | 現金 | 404,000 |
解説
借方は総額の給料 450,000円。貸方は3つに分かれます。立て替えていた 20,000円を回収したので立替金(資産の減少)、所得税 26,000円は預かっただけなので預り金(負債の増加)、手取額は 450,000円ひく 20,000円ひく 26,000円イコール 404,000円で現金です。貸方合計は 450,000円となり借方と一致します。
出張から戻った従業員から報告を受け、前渡ししていた 70,000円のうち旅費として 58,000円を使ったことが分かり、残額を現金で返してもらった。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 58,000 | 仮払金 | 70,000 |
| 現金 | 12,000 | – | – |
解説
金額が確定したので、仮払金 70,000円を全額いったん消します。資産の減少なので貸方です。借方は、確定した旅費交通費 58,000円(費用の発生)と、返してもらった現金 70,000円ひく 58,000円イコール 12,000円です。仮払金を 58,000円だけ減らすのは誤りです。
内容が分からず仮受金として処理していた 150,000円は、得意先からの売掛金の回収であることが分かった。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仮受金 | 150,000 | 売掛金 | 150,000 |
解説
内容が確定したので、仮受金 150,000円を消します。負債の減少なので借方です。相手は回収された売掛金(資産の減少)で貸方になります。お金はすでに入金済みなので、ここで普通預金や現金は動きません。
所有する土地(帳簿価額 1,800,000円)を 2,050,000円で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未収入金 | 2,050,000 | 土地 | 1,800,000 |
| – | – | 固定資産売却益 | 250,000 |
解説
あとで受け取る代金 2,050,000円は未収入金(資産の増加)で借方。貸方は、なくなった土地 1,800,000円(資産の減少)と、差額 2,050,000円ひく 1,800,000円イコール 250,000円の固定資産売却益(収益の発生)です。売却代金を売掛金としないよう注意してください。
元本 900,000円を年利率 4パーセントで 8か月間借り入れた。支払う利息はいくらか。
解答と解説
正解
24,000 円
解説
1年分の利息は 900,000円 かける 0.04 で 36,000円。今回は8か月分なので 36,000円 かける 8 わる 12 で 24,000円です。返済時の仕訳は、借方に借入金 900,000円と支払利息 24,000円、貸方に現金など 924,000円となります。
第12章手形と電子記録債権・債務0 / 22▼
約束手形の振出・受入・満期決済と、電子記録債権・電子記録債務の発生から決済までを、機械的に仕訳できるようになります。
- 約束手形のしくみを説明し、受取手形と支払手形を正しく使い分けられる。
- 手形の振出・受入・満期決済という3つの場面を、迷わず仕訳できる。
- 電子記録債権・電子記録債務の発生記録と決済を仕訳でき、手形との違いを説明できる。
1. 約束手形とは「支払いを約束した紙」
商品を買っても、その場で代金を払わないことがあります。第10章では、それを買掛金という形で学びました。この章で学ぶ手形も「あとで払う」しくみです。ただし手形は、支払う日と金額を証券に書いて約束します。
初級で扱う手形は約束手形だけです。約束手形とは、決められた期日に、決められた金額を支払うことを約束した証券をいいます。
登場人物は2人だけ
手形を作って相手に渡す人
代金を支払う側
商品を買った側
使う科目は支払手形(負債)
手形を受け取る人
代金を受け取る側
商品を売った側
使う科目は受取手形(資産)
手形を「振り出す」とは、手形を作成して相手に渡すことをいいます。振り出した瞬間、振出人には支払義務が生まれます。同時に、名宛人には代金を受け取る権利が生まれます。名宛人は受取人とも呼ばれます。
手形に書かれた支払日を満期日(支払期日)といいます。満期日が来ると、振出人の当座預金口座からお金が引き落とされます。そして名宛人の口座に入金されます。
商品の売買
代金は後払い
買った側が手形を振り出し
売った側に渡す
満期日まで
売った側が手形を保管
満期日に決済
当座預金で受け払い
STEP2で支払手形と受取手形が同時に生まれます。STEP4で、その両方が同時に消えます。手形の仕訳は、この生まれる場面と消える場面の2回だけです。
受け取った側は受取手形(資産)。振り出した側は支払手形(負債)。科目名がそのまま立場を表しています。手形を持っている人は「お金をもらう権利」を持つので資産です。手形を渡した人は「お金を払う義務」を負うので負債です。
2. 手形の仕訳は3つの場面しかない
手形の仕訳は、覚える形が3つだけです。しかも売った側と買った側で、ちょうど鏡のように左右が入れかわります。表で一度に押さえてください。
| 場面 | 手形を受け取った側(名宛人) | 手形を振り出した側(振出人) |
|---|---|---|
| 商品の売買と 同時に手形を渡す | (借)受取手形 500,000 (貸)売上 500,000 | (借)仕入 500,000 (貸)支払手形 500,000 |
| 売掛金・買掛金の 決済として渡す | (借)受取手形 300,000 (貸)売掛金 300,000 | (借)買掛金 300,000 (貸)支払手形 300,000 |
| 満期日の決済 | (借)当座預金 500,000 (貸)受取手形 500,000 | (借)支払手形 500,000 (貸)当座預金 500,000 |
| 勘定の分類 | 資産 | 負債 |
場面1 商品売買と同時に手形が動く
商品を売り、その場で相手が振り出した約束手形を受け取ったときは、受取手形が増えます。買った側は支払手形が増えます。売掛金や買掛金は登場しません。
場面2 売掛金・買掛金の決済として手形が動く
先に掛けで売買し、あとから手形をやりとりすることもあります。このとき売った側は、売掛金という権利が受取手形という権利に形を変えただけです。ですから売上は使いません。
買った側も同じです。買掛金という義務が支払手形という義務に変わっただけなので、仕入は使いません。
場面2で売上や仕入を使ってはいけません。商品を売買したのは前の取引で、そのときすでに売上と仕入を計上しています。ここで再び計上すると、売上高も仕入高も二重になります。債権や債務が入れかわるだけの取引だと見抜いてください。
場面3 満期日に決済される
満期日が来ると、手形の代金は当座預金を通じて受け払いされます。受け取った側は当座預金が増え、受取手形が減ります。振り出した側は支払手形が減り、当座預金が減ります。
札幌商店は函館商店に商品 600,000円を売り上げ、代金は函館商店が振り出した約束手形で受け取りました。その後、満期日に手形が決済され、代金は当座預金で受け払いされました。両店の仕訳を示しなさい。
まず札幌商店(売った側)の売上時です。手形を受け取ったので、受取手形という権利が 600,000円増えました。資産の増加なので借方です。増えた理由は商品を売ったことなので、貸方は売上です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 受取手形 | 600,000 | 売上 | 600,000 |
次に函館商店(買った側)の仕入時です。手形を振り出したので、支払手形という義務が 600,000円増えました。負債の増加なので貸方です。増えた理由は商品を仕入れたことなので、借方は仕入です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 600,000 | 支払手形 | 600,000 |
満期日の札幌商店です。当座預金に 600,000円が入金されたので借方。受け取る権利がなくなったので、貸方は受取手形(資産の減少)です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 600,000 | 受取手形 | 600,000 |
満期日の函館商店です。支払義務がなくなったので、借方は支払手形(負債の減少)。当座預金が減ったので貸方です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払手形 | 600,000 | 当座預金 | 600,000 |
4本の仕訳を並べると、左右がきれいに反転しているのが分かります。自分がどちら側に立っているかを最初に決めれば、あとは機械的です。
初級で出るのは約束手形だけです。為替手形、手形の裏書譲渡、手形の割引は出題範囲外です。参考書や検索でこれらの用語に出会っても、初級の学習では立ち止まる必要はありません。3級に進んだときに学べば十分です。
3. 手形と掛けは、どこが違うのか
どちらも「あとで払う」しくみです。それでも、なぜ手形をわざわざ使うのでしょうか。理由は2つあります。
- 支払期日がはっきり決まる 掛けの支払日は当事者の取り決めしだいです。手形は証券に満期日が書いてあるため、いつ入金されるかが動きません。資金繰りの計画が立てやすくなります。
- 法的な力が強い 手形は法律で守られた証券です。満期日に支払われないと不渡りとなり、振出人は銀行との取引が続けられなくなるおそれがあります。そのため、掛けよりも確実に支払われます。
この2つの利点があるので、金額が大きい取引や、支払いまでの期間が長い取引で手形が使われてきました。
簿記の処理の上では、手形も掛けも「相手にあとで払ってもらう権利・払う義務」であることは同じです。違うのは科目名だけだと考えてください。売掛金が受取手形に、買掛金が支払手形に置きかわるだけです。この見方でいけば、新しく覚えることはほとんどありません。
4. 2027年4月から、手形は出題範囲から消える
ここで、受験時期にかかわる大切な話をします。紙の小切手と手形は、実務の世界で廃止に向かっています。これを受けて、簿記初級の出題範囲も変わります。
- 2026年度の試験 手形は出題範囲に含まれます。受取手形も支払手形も、そのまま出題されます。
- 2027年4月から適用される出題範囲 紙の小切手および手形の廃止にともない、手形に関する問題はすべて削除されます。かわりに電子記録債権・電子記録債務が中心になります。
- 2026年度中に受験する人 手形は必ず出ます。この章の前半を確実に押さえてください。受取手形と支払手形の3場面が書ければ十分です。
- 2027年度以降に受験する人 手形の問題は出ません。後半の電子記録債権・電子記録債務に集中してください。前半は「電子記録の元になった考え方」として一読すれば足ります。
- 受験時期を決めていない人 両方を学んでおけば損はありません。手形の3場面と電子記録の3場面はほぼ同じ形なので、片方を覚えれば、もう片方はすぐ書けます。
5. 電子記録債権・電子記録債務のしくみ
紙の手形には弱点がありました。紛失や盗難のおそれがあり、収入印紙も必要で、金額を分けて使うこともできません。この弱点をなくしたのが電子記録債権です。「でんさい」とも呼ばれます。
電子記録債権は、紙を使いません。電子債権記録機関という専門の機関が管理する記録に登録することで、債権が生まれます。この登録を発生記録といいます。
使う勘定科目は2つだけ
- 電子記録債権 代金を受け取る側が使います。資産です。受取手形にあたります。
- 電子記録債務 代金を支払う側が使います。負債です。支払手形にあたります。
掛けで売買
売掛金・買掛金が発生
取引銀行を通じて
発生記録を請求
記録機関に登録され
電子記録債権・債務になる
支払期日に
口座間で自動決済
STEP2からSTEP3で行う仕訳が売掛金から電子記録債権への振り替えです。STEP4で行う仕訳が決済です。手形とまったく同じ流れになっています。
科目名の最後の1文字で立場が決まります。電子記録債権は権利なので資産、電子記録債務は義務なので負債。売掛金が変身したものが電子記録債権、買掛金が変身したものが電子記録債務です。
6. 発生記録と決済の仕訳
売掛金を電子記録債権に変える(代金を受け取る側)
売掛金を持っている側が、取引銀行を通じて発生記録を請求します。登録が済むと、売掛金が電子記録債権に変わります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 400,000 | 売掛金 | 400,000 |
電子記録債権という資産が増え、売掛金という資産が減りました。資産の中で入れかわっただけなので、資産の合計額は動きません。
買掛金を電子記録債務に変える(代金を支払う側)
買掛金を負っている側では、発生記録が行われると買掛金が電子記録債務に変わります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 400,000 | 電子記録債務 | 400,000 |
支払期日に決済される
支払期日が来ると、債務者の口座から債権者の口座へ自動的に送金されます。手形のように、証券を銀行へ持ち込む必要はありません。
(借)当座預金 400,000
(貸)電子記録債権 400,000
権利が消えて預金が増える
(借)電子記録債務 400,000
(貸)当座預金 400,000
義務が消えて預金が減る
発生記録の仕訳で売上や仕入を使うのは誤りです。商品の売買はすでに終わっていて、売掛金や買掛金として記録済みだからです。ここで動くのは債権と債務の名前だけです。手形の場面2とまったく同じ考え方になります。
小樽商店は、得意先に対する売掛金 550,000円のうち 350,000円について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行いました。残額 200,000円は現金で回収しました。その後、支払期日に電子記録債権の全額が普通預金口座へ入金されました。仕訳を示しなさい。
発生記録と現金回収の日です。まず動いた資産を並べます。電子記録債権が 350,000円増えました。現金が 200,000円増えました。どちらも資産の増加なので借方です。
そのかわり、売掛金が 550,000円まるごと減りました。資産の減少なので貸方です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 350,000 | 売掛金 | 550,000 |
| 現金 | 200,000 | – | – |
借方は 350,000円たす 200,000円で 550,000円。貸方の 550,000円と一致します。
支払期日です。普通預金が 350,000円増えたので借方。受け取る権利がなくなったので、貸方は電子記録債権です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 350,000 | 電子記録債権 | 350,000 |
決済先は当座預金とはかぎりません。問題文に書かれた口座の科目をそのまま使うのが鉄則です。手形は当座預金で決済されますが、電子記録債権は普通預金でも決済されます。
7. 手形と電子記録債権は、どこが同じでどこが違うか
仕訳の形はほとんど同じです。違うのは、紙を使うかどうかという実務の部分です。最後に表で整理します。
| 項目 | 約束手形 | 電子記録債権・電子記録債務 |
|---|---|---|
| 形 | 紙の証券 | 記録機関に登録された電子データ |
| 生まれ方 | 手形を作成して相手に渡す | 取引銀行を通じて発生記録を請求する |
| 受け取る側の科目 | 受取手形(資産) | 電子記録債権(資産) |
| 支払う側の科目 | 支払手形(負債) | 電子記録債務(負債) |
| 金額の分割 | 分けて使えない | 金額を分けて記録できる |
| 紛失・盗難 | おそれがある。再発行も難しい | データなので紛失しない |
| 収入印紙 | 必要 | 不要 |
| 2027年4月からの 出題範囲 | 削除される | 中心論点として残る |
仕訳を書くときの手順は、手形も電子記録もまったく同じです。第一に、自分は受け取る側か支払う側かを決める。第二に、権利や義務が生まれた場面か、消えた場面かを決める。この2つが決まれば、書くべき科目と左右は自動的に決まります。
- 手形を受け取った側は受取手形(資産)、振り出した側は支払手形(負債)。仕訳は振出・受入と満期決済の2回だけ。
- 売掛金は電子記録債権に、買掛金は電子記録債務に振り替える。発生記録の仕訳で売上・仕入は絶対に使わない。
- 2026年度は手形も出題される。2027年4月からの出題範囲では手形が全廃され、電子記録債権・債務が中心になる。
章末演習(22問)
商品 480,000円を仕入れ、代金は約束手形を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 480,000 | 支払手形 | 480,000 |
解説
手形を振り出したのは代金を支払う側です。支払義務が 480,000円生まれたので、貸方は負債の増加である支払手形。義務が生まれた理由は商品を仕入れたことなので、借方は費用の発生である仕入です。
商品を 650,000円で売り上げ、代金は得意先が振り出した約束手形で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 受取手形 | 650,000 | 売上 | 650,000 |
解説
手形を受け取った側なので、代金を受け取る権利が 650,000円生まれました。資産の増加なので借方は受取手形。増えた理由は商品を売ったことなので、貸方は収益の発生である売上です。
買掛金 320,000円の支払いのため、約束手形を振り出した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 320,000 | 支払手形 | 320,000 |
解説
買掛金という義務が、支払手形という義務に形を変えただけです。買掛金が 320,000円減ったので借方(負債の減少)。支払手形が 320,000円増えたので貸方(負債の増加)。商品を仕入れたのは前の取引なので、仕入は使いません。
売掛金 270,000円の回収として、得意先が振り出した約束手形を受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 受取手形 | 270,000 | 売掛金 | 270,000 |
解説
売掛金という権利が、受取手形という権利に置きかわりました。受取手形が増えたので借方(資産の増加)、売掛金が減ったので貸方(資産の減少)です。商品を売ったのは前の取引なので、売上は使いません。
かねて振り出していた約束手形 480,000円が満期日となり、当座預金口座から支払われた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払手形 | 480,000 | 当座預金 | 480,000 |
解説
支払義務がなくなったので、借方は支払手形(負債の減少)。当座預金が 480,000円減ったので貸方(資産の減少)です。振り出したときとちょうど左右が入れかわります。
かねて受け取っていた約束手形 650,000円が満期日となり、当座預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 650,000 | 受取手形 | 650,000 |
解説
当座預金が 650,000円増えたので借方(資産の増加)。受け取る権利がなくなったので、貸方は受取手形(資産の減少)です。受け取ったときと左右が反対になります。
得意先に対する売掛金 400,000円について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 400,000 | 売掛金 | 400,000 |
解説
発生記録によって、売掛金が電子記録債権に変わりました。電子記録債権が増えたので借方(資産の増加)、売掛金が減ったので貸方(資産の減少)です。資産どうしの入れかえなので、資産の合計額は変わりません。
約束手形を振り出した側が用いる勘定科目と、その分類の組み合わせとして正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 支払手形・負債
解説
手形を振り出すのは代金を支払う側です。決められた期日に支払う義務を負うので、勘定科目は支払手形、分類は負債になります。受け取った側が使う受取手形は資産です。
電子記録債務が属する分類として正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 負債
解説
電子記録債務は、支払期日に代金を支払う義務です。義務なので負債に属します。科目名の最後が「務」なら負債、「権」なら資産と覚えると混同しません。電子記録債権は資産です。
仕入先に対する買掛金 350,000円について、取引銀行を通じて電子記録債務の発生記録が行われた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 350,000 | 電子記録債務 | 350,000 |
解説
買掛金という義務が、電子記録債務という義務に変わりました。買掛金が減ったので借方(負債の減少)、電子記録債務が増えたので貸方(負債の増加)です。仕入は使いません。
電子記録債権 400,000円が支払期日となり、普通預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 400,000 | 電子記録債権 | 400,000 |
解説
普通預金が 400,000円増えたので借方(資産の増加)。受け取る権利がなくなったので、貸方は電子記録債権(資産の減少)です。入金先の口座は問題文のとおりの科目を使います。
電子記録債務 350,000円が支払期日となり、当座預金口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債務 | 350,000 | 当座預金 | 350,000 |
解説
支払義務がなくなったので、借方は電子記録債務(負債の減少)。当座預金が 350,000円減ったので貸方(資産の減少)です。発生記録のときと左右が入れかわります。
商品 540,000円を仕入れ、代金のうち 200,000円は現金で支払い、残額は約束手形を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 540,000 | 現金 | 200,000 |
| – | – | 支払手形 | 340,000 |
解説
まず現金です。200,000円減ったので貸方に置きます。残額は 540,000円ひく 200,000円で 340,000円。これは手形による支払義務なので、支払手形 340,000円を貸方に加えます。借方は仕入 540,000円。貸方合計は 200,000円たす 340,000円で 540,000円となり一致します。
商品を 720,000円で売り上げ、代金のうち 300,000円は得意先振出の約束手形で受け取り、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 受取手形 | 300,000 | 売上 | 720,000 |
| 売掛金 | 420,000 | – | – |
解説
貸方は売上 720,000円です。借方は受け取った権利を2つに分けます。手形で受け取った 300,000円は受取手形。残りの 720,000円ひく 300,000円で 420,000円は掛けなので売掛金です。借方合計は 720,000円で貸方と一致します。
得意先に対する売掛金 480,000円のうち 300,000円について電子記録債権の発生記録を行い、残額は現金で回収した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 300,000 | 売掛金 | 480,000 |
| 現金 | 180,000 | – | – |
解説
売掛金 480,000円がまるごと消えるので、貸方は売掛金 480,000円。かわりに電子記録債権 300,000円と現金 180,000円が増えたので、この2つを借方に並べます。残額は 480,000円ひく 300,000円で 180,000円です。
仕入先に対する買掛金 560,000円のうち 400,000円は約束手形を振り出して支払い、残額は当座預金口座から支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 560,000 | 支払手形 | 400,000 |
| – | – | 当座預金 | 160,000 |
解説
買掛金 560,000円が全額なくなるので、借方は買掛金 560,000円。貸方は、新たに生まれた支払手形 400,000円と、減った当座預金 160,000円です。残額は 560,000円ひく 400,000円で 160,000円になります。
約束手形と掛け(売掛金・買掛金)の違いの説明として、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 手形は証券に支払期日が記載され、法的な力も強いので、掛けより支払いが確実である
解説
手形も掛けも、あとで代金を受け払いする点は同じで、両当事者がそれぞれ記録します。違いは、手形には満期日が証券に書かれていて資金繰りの計画が立てやすいことと、法律で守られた証券なので支払いが確実なことです。受取手形も売掛金も同じ資産に属します。
2027年4月から適用される日商簿記初級の出題範囲について、正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 紙の小切手および手形の廃止にともない、手形に関する問題がすべて削除される
解説
2026年度の試験では手形も出題されます。しかし2027年4月から適用される出題範囲では、紙の小切手および手形の廃止にともなって手形の問題がすべて削除されます。今後は電子記録債権・電子記録債務が中心になります。なお為替手形や手形の割引は、初級では現在も範囲外です。
商品を 850,000円で売り上げ、代金のうち 500,000円は得意先振出の約束手形で受け取り、150,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。あわせて、当社負担の発送費 12,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 受取手形 | 500,000 | 売上 | 850,000 |
| 現金 | 150,000 | – | – |
| 売掛金 | 200,000 | – | – |
| 発送費 | 12,000 | 現金 | 12,000 |
解説
売上の仕訳と発送費の仕訳は別々に考えます。まず売上です。貸方は売上 850,000円。借方は受取手形 500,000円、現金 150,000円、そして残額の売掛金です。売掛金は 850,000円ひく 500,000円ひく 150,000円で 200,000円。借方合計は 850,000円で一致します。次に当社負担の発送費 12,000円は費用の発生なので借方、支払った現金は貸方です。
仕入先に対する買掛金 700,000円のうち 450,000円について電子記録債務の発生記録が行われ、残額は約束手形を振り出して支払った。なお、発生記録にかかる手数料 1,650円は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 700,000 | 電子記録債務 | 450,000 |
| – | – | 支払手形 | 250,000 |
| 支払手数料 | 1,650 | 現金 | 1,650 |
解説
買掛金 700,000円が全額なくなるので借方に置きます。貸方は、新たに生まれた電子記録債務 450,000円と支払手形 250,000円です。残額は 700,000円ひく 450,000円で 250,000円。手数料 1,650円は債務の金額とは別の費用なので、支払手数料として独立した仕訳にします。電子記録債務や買掛金に手数料を含めてはいけません。
かねて振り出していた約束手形 340,000円と、電子記録債務 260,000円が同じ日に支払期日を迎え、いずれも当座預金口座から支払われた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払手形 | 340,000 | 当座預金 | 600,000 |
| 電子記録債務 | 260,000 | – | – |
解説
2つの義務が同時になくなります。借方は支払手形 340,000円と電子記録債務 260,000円。出ていった当座預金は 340,000円たす 260,000円で 600,000円なので、これを貸方に置きます。義務の中身が違うので、まとめて1つの科目にしてはいけません。
受取手形の前月繰越は 380,000円であった。当月中に、売掛金の回収として約束手形 520,000円を受け取り、また満期日を迎えた手形 610,000円が当座預金に入金された。当月末の受取手形の残高はいくらか。
解答と解説
正解
290,000 円
解説
受取手形は資産なので、増えたら借方、減ったら貸方に記入します。前月繰越 380,000円に、当月受け取った 520,000円を加えます。ここから、決済されて権利がなくなった 610,000円を差し引きます。380,000円たす 520,000円は 900,000円。900,000円ひく 610,000円で 290,000円が当月末の残高です。
第13章有形固定資産と毎月の減価償却0 / 24▼
建物・備品・車両運搬具・土地の取得原価を正しく組み立て、1年分の見積額を12で割って毎月の減価償却費を計上できるようになります。
- 取得原価が「購入代価+付随費用」であることを説明し、付随費用を費用にせず資産に含められる。
- 1年分の見積額を12で割って、毎月の減価償却費を間接法で仕訳できる。
- 土地の売却で、売却価額と帳簿価額の差額を固定資産売却益または固定資産売却損に振り分けられる。
1. 有形固定資産とは「長く使うために持っている、形のあるもの」
有形固定資産とは、営業のために1年を超えて長く使う目的で持っている、目に見える形のある財産のことです。売るために持っている商品とは、目的がまったく違います。
初級で登場する有形固定資産は、次の4つだけです。この4つ以外の科目は出てきません。
| 勘定科目 | 中身の例 | 減価償却 |
|---|---|---|
| 建物 | 店舗、事務所、倉庫 | する |
| 備品 | パソコン、机、いす、応接セット、陳列棚、金庫 | する |
| 車両運搬具 | 営業用の乗用車、軽トラック、配送用バン | する |
| 土地 | 店舗用の敷地、駐車場の敷地 | しない |
商品との違いは「売るためか、使うためか」
同じパソコンでも、家電店が販売するために仕入れれば仕入(費用)です。自社の事務作業に使うために買えば備品(資産)です。科目を決めるのは、モノの種類ではなく持っている目的です。
買った物が有形固定資産かどうかを、金額の大小で決めてはいけません。初級では問題文が「事務所で使う」「営業用の」と書いていれば有形固定資産、「商品」と書いていれば仕入です。問題文の目的の記述だけを見て判断してください。
2. 取得原価は「購入代価+付随費用」
有形固定資産を買ったときに借方に書く金額を取得原価といいます。取得原価は、値札の金額そのものではありません。
取得原価 = 購入代価 + 付随費用。付随費用とは、その資産を使える状態にするまでにかかった支出のことです。引取運賃、据付費、設置工事費、登記費用、登録費用、仲介手数料、整地費用が代表例です。
たとえば、パソコン本体が 480,000円、送料が 20,000円だったとします。このとき備品の取得原価は 500,000円です。送料 20,000円を発送費や支払手数料にしてはいけません。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 500,000 | 現金 | 500,000 |
| 取得原価に含める(資産にする) | 取得原価に含めない(費用にする) |
|---|---|
| 購入代価そのもの | 使い始めたあとの修理代 → 修繕費 |
| 引取運賃・運送料・送料 | 毎年かかる固定資産税 → 租税公課 |
| 据付費・設置工事費・組立費 | 建物や車にかける火災保険料 → 保険料 |
| 登記費用・登録費用 | ガソリン代・電気代など、使ううちにかかる支出 |
| 不動産業者への仲介手数料 | 借りている建物の家賃 → 支払家賃 |
| 土地の整地費用・地ならし費用 | – |
左右を分ける境目は「使えるようになるまで」か「使い始めたあと」かの一点です。使えるようにするための支出は資産、使っている間に出ていく支出は費用。この時間軸で切ると、初級の問題はすべて判定できます。
この章で最もよく出る引っかけが、付随費用をうっかり費用の科目にしてしまうミスです。引取運賃を発送費、据付費を修繕費、仲介手数料を支払手数料、登記費用を租税公課にした答案は、金額が合っていても不正解です。取得のためにかかった支出は、すべて資産の金額に足し込むと覚えてください。
代金の払い方は、取得原価とは別の話
取得原価が決まったら、次はその金額をどう支払ったかを貸方に書きます。全額現金なら現金、後払いなら未払金です。商品以外のものを買った未払いは買掛金ではなく未払金を使います。
付随費用だけを現金で払い、購入代価は後払いにする問題もよく出ます。その場合でも借方は取得原価の合計1行で、貸方が2つに分かれるだけです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 500,000 | 未払金 | 480,000 |
| – | – | 現金 | 20,000 |
3. 修繕にかかった支出は「修繕費」
使っている建物や備品が壊れたり傷んだりして、元どおりの状態に戻すためにお金を払うことがあります。この支出は資産を増やしません。壊れる前の状態に戻しただけだからです。
この場合は費用の勘定科目である修繕費を借方に書きます。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 修繕費 | 45,000 | 現金 | 45,000 |
問題文に「元どおりに」「原状を回復する」「破損した箇所を直した」とあれば修繕費です。取得のときの据付費や設置工事費と字面が似ていますが、取得前は資産、取得後の原状回復は費用と、はっきり線が引かれています。
4. 減価償却は「1年分の見積額を12で割って毎月」
建物・備品・車両運搬具は、使っているうちに古くなり、価値が下がっていきます。この価値の目減りを、使っている期間にわたって費用として記録する手続きを減価償却といいます。そのとき使う費用の科目が減価償却費です。
初級で問われるのは、たった1つのやり方だけです。1年分の減価償却費の見積額を12で割り、毎月同じ額を計上する方法です。
1年分の見積額を出す
取得原価 ÷ 耐用年数
12で割る
1年分 ÷ 12
その額を毎月計上
借方 減価償却費
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| 取得原価 | 購入代価 2,700,000円 + 付随費用 180,000円 | 2,880,000円 |
| 1年分の見積額 | 2,880,000円 ÷ 耐用年数8年 | 360,000円 |
| 1か月分 | 360,000円 ÷ 12 | 30,000円 |
問題文が「1年分の減価償却費の見積額は 360,000円」と直接与えてくる形もあります。そのときは STEP1 を飛ばして、いきなり12で割ります。
月次の減価償却費 = 1年分の見積額 ÷ 12。1年分の見積額が示されていなければ、取得原価 ÷ 耐用年数 ÷ 12 で1か月分が直接出ます。耐用年数とは、その資産を何年使えると見込むかを表す年数です。
仕訳は「借方 減価償却費/貸方 減価償却累計額」で固定
減価償却の仕訳は、毎月まったく同じ形です。金額が変わるだけで、科目は動きません。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 30,000 | 減価償却累計額 | 30,000 |
ここで注目してほしいのは、貸方が建物や備品ではないことです。建物や備品の金額は取得原価のまま動かさず、値下がり分は減価償却累計額という別の箱にためていきます。このやり方を間接法といいます。
間接法を使うと、帳簿を見るだけで「もともといくらで買ったか」と「これまでにいくら価値が減ったか」の両方が分かります。だから実務でも試験でもこの方法が使われます。
減価償却の仕訳で、貸方に「備品」や「建物」と書いてはいけません。初級で問われるのは間接法だけです。貸方は必ず減価償却累計額。この形以外は出てきません。
減価償却累計額は「資産のマイナス」を表す評価勘定
減価償却累計額は、名前に「額」とついていますが負債ではありません。資産から差し引くための科目で、こうした科目を評価勘定と呼びます。増えると貸方に記入する点は負債と同じですが、貸借対照表では資産の部に、マイナスの形で並びます。
| 資産の部 | 取得原価と累計額 | 帳簿価額 |
|---|---|---|
| 建物 | 7,200,000 | – |
| 減価償却累計額 | △900,000 | 6,300,000 |
| 備品 | 1,440,000 | – |
| 減価償却累計額 | △300,000 | 1,140,000 |
| 土地 | – | 5,300,000 |
△はマイナスを表す記号です。取得原価 7,200,000円から累計額 900,000円を差し引いた 6,300,000円が、その時点の建物の帳簿価額です。土地は減価償却をしないので、取得原価がそのまま帳簿価額になります。
帳簿価額 = 取得原価 – 減価償却累計額。そして減価償却累計額 = 1か月分の減価償却費 × 経過した月数です。計算問題はこの2本の式でほぼ全部解けます。「1年3か月経過」と書かれたら、まず15か月に直してから掛け算してください。
土地は減価償却しません。土地は使っても古くならず、価値が目減りしないと考えるからです。「建物・備品・車両運搬具・土地を所有している」と並べて、当月分の減価償却費を計上させる問題では、土地の分をうっかり計算に入れないこと。これが最頻出の引っかけです。
5. 土地を売ったときの処理
初級で出題される固定資産の売却は土地の売却だけです。建物・備品・車両運搬具の売却は出題範囲外なので、学習する必要はありません。減価償却累計額を取り崩すような複雑な仕訳は、初級では一切出ません。
土地を売ったときは、次の3つを順番に決めます。
- 手放した土地を、貸方に帳簿価額で書いて消す。土地は減価償却しないので、帳簿価額は取得原価と同じです。
- 受け取った代金を、借方に書く。現金なら現金、後で受け取るなら未収入金です。
- 借方と貸方の差額を、固定資産売却益(収益)または固定資産売却損(費用)で埋める。
売却価額が帳簿価額より高ければ固定資産売却益、低ければ固定資産売却損。差額は「売却価額 – 帳簿価額」で計算します。プラスなら益、マイナスなら損です。
| パターン | 帳簿価額 | 売却価額 | 差額 | 使う科目 |
|---|---|---|---|---|
| 高く売れた | 5,300,000 | 5,800,000 | プラス 500,000 | 固定資産売却益(収益) |
| 安く売れた | 5,300,000 | 4,900,000 | マイナス 400,000 | 固定資産売却損(費用) |
| 同じ額 | 5,300,000 | 5,300,000 | 0 | 損益は出ない |
代金をすべて現金で受け取ったとすると、仕訳は次の3本になります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 5,800,000 | 土地 | 5,300,000 |
| – | – | 固定資産売却益 | 500,000 |
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 4,900,000 | 土地 | 5,300,000 |
| 固定資産売却損 | 400,000 | – | – |
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 5,300,000 | 土地 | 5,300,000 |
収益なので貸方に来る
売却価額が帳簿価額を上回った額
売上ではないので注意
費用なので借方に来る
帳簿価額が売却価額を上回った額
仕入ではないので注意
土地を売った代金が後払いのとき、貸方に立てるのは売掛金ではなく未収入金です。売掛金は商品を売った代金のための科目です。商品以外を売った未回収額は未収入金、と覚えてください。
6. 例題で手順を実況中継する
7月4日、営業用の陳列棚を購入しました。本体価格は 780,000円、引取運賃 15,000円、据付費 25,000円です。引取運賃と据付費は現金で支払い、本体価格は翌月末に支払うことにしました。仕訳を示しなさい。
STEP1 取得原価を組み立てます。780,000円 + 15,000円 + 25,000円 = 820,000円。引取運賃と据付費は、陳列棚を使える状態にするための支出なので、すべて備品に足し込みます。
STEP2 借方を書きます。備品 820,000円。ここは1行にまとめます。
STEP3 支払い方を貸方に分けます。現金で払ったのは 15,000円 + 25,000円 = 40,000円。本体価格 780,000円は後払いなので未払金です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 820,000 | 未払金 | 780,000 |
| – | – | 現金 | 40,000 |
貸方合計は 780,000円 + 40,000円 = 820,000円。借方と一致するので完成です。引取運賃を発送費、据付費を修繕費にしないこと。ここだけ守れば必ず正解します。
7月31日、月末につき当月分の減価償却費を計上します。当社が所有する有形固定資産は、建物(取得原価 14,400,000円・耐用年数25年)、備品(取得原価 1,728,000円・耐用年数6年)、土地(取得原価 5,000,000円)です。1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上しています。仕訳を示しなさい。
STEP1 建物から計算します。14,400,000円 ÷ 25年 = 576,000円(1年分)。576,000円 ÷ 12 = 48,000円(1か月分)。
STEP2 備品を計算します。1,728,000円 ÷ 6年 = 288,000円(1年分)。288,000円 ÷ 12 = 24,000円(1か月分)。
STEP3 土地は除きます。土地は減価償却しないので、5,000,000円は計算に一切登場しません。ここが最大の落とし穴です。
STEP4 合計して仕訳にします。48,000円 + 24,000円 = 72,000円。借方は減価償却費、貸方は減価償却累計額です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 72,000 | 減価償却累計額 | 72,000 |
建物と備品で科目を分けず、減価償却費 72,000円の1行にまとめて答えます。
7月20日、購入代価 7,000,000円、仲介手数料 280,000円、登記費用 120,000円で取得していた土地を、8,100,000円で売却しました。代金のうち 3,000,000円は現金で受け取り、残額は翌月末に受け取ることにしました。仕訳を示しなさい。
STEP1 帳簿価額を出します。7,000,000円 + 280,000円 + 120,000円 = 7,400,000円。仲介手数料と登記費用は取得原価に含まれていました。土地は減価償却しないので、この 7,400,000円がそのまま帳簿価額です。
STEP2 土地を貸方に置いて消します。土地 7,400,000円。
STEP3 受け取った代金を借方に置きます。現金 3,000,000円。残りの 8,100,000円 – 3,000,000円 = 5,100,000円は後で受け取るので未収入金です。売掛金ではありません。
STEP4 差額を判定します。売却価額 8,100,000円 – 帳簿価額 7,400,000円 = プラス 700,000円。高く売れたので固定資産売却益です。収益なので貸方に置きます。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 3,000,000 | 土地 | 7,400,000 |
| 未収入金 | 5,100,000 | 固定資産売却益 | 700,000 |
借方は 3,000,000円 + 5,100,000円 = 8,100,000円。貸方は 7,400,000円 + 700,000円 = 8,100,000円。一致しました。
- 取得原価は購入代価に付随費用を足した額。引取運賃・据付費・登記費用・仲介手数料は費用にせず資産に含め、使い始めたあとの原状回復は修繕費にする。
- 月次の減価償却費は「1年分の見積額 ÷ 12」。仕訳は借方 減価償却費/貸方 減価償却累計額で固定し、土地は対象外。累計額は資産から差し引く評価勘定で、取得原価 – 累計額 = 帳簿価額。
- 売却が出るのは土地だけ。売却価額 – 帳簿価額がプラスなら固定資産売却益、マイナスなら固定資産売却損で差額を埋める。
章末演習(24問)
事務所で使う応接セット 600,000円を購入し、代金は据付費 40,000円とあわせて現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 640,000 | 現金 | 640,000 |
解説
据付費は、応接セットを使える状態にするためにかかった付随費用です。取得原価は 600,000円 + 40,000円 = 640,000円となり、借方は備品 640,000円です。据付費 40,000円を修繕費や支払手数料にしてはいけません。貸方は出ていった現金 640,000円です。
営業用の軽トラック 1,500,000円を購入し、購入にかかった登録費用 90,000円とあわせて普通預金から支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 車両運搬具 | 1,590,000 | 普通預金 | 1,590,000 |
解説
登録費用は、車を使える状態にするための付随費用なので取得原価に含めます。1,500,000円 + 90,000円 = 1,590,000円が車両運搬具の取得原価です。登録費用を租税公課や支払手数料に分けてはいけません。貸方は減った普通預金 1,590,000円です。
店舗用の土地 4,000,000円を購入し、代金は仲介手数料 160,000円とあわせて現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 土地 | 4,160,000 | 現金 | 4,160,000 |
解説
不動産業者への仲介手数料は土地の付随費用です。取得原価は 4,000,000円 + 160,000円 = 4,160,000円で、借方は土地 4,160,000円になります。仲介手数料 160,000円を支払手数料にすると不正解です。
月末につき、備品について当月分の減価償却費を計上する。この備品の取得原価は 1,440,000円、耐用年数は6年であり、1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上している。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 20,000 | 減価償却累計額 | 20,000 |
解説
1年分の見積額は 1,440,000円 ÷ 6年 = 240,000円。1か月分は 240,000円 ÷ 12 = 20,000円です。借方は費用の発生である減価償却費、貸方は減価償却累計額で固定です。貸方に備品と書いてはいけません。
月末につき、建物について当月分の減価償却費を計上する。この建物の取得原価は 7,200,000円、耐用年数は20年であり、1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上している。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 30,000 | 減価償却累計額 | 30,000 |
解説
7,200,000円 ÷ 20年 = 360,000円が1年分の見積額です。これを12で割ると 360,000円 ÷ 12 = 30,000円が当月分になります。仕訳は借方 減価償却費/貸方 減価償却累計額の形で、建物の金額 7,200,000円は動かしません。
事務所の窓ガラスが割れたため、元どおりに直す修理を行い、代金 45,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 修繕費 | 45,000 | 現金 | 45,000 |
解説
「元どおりに直す」とあるので、原状を回復しただけの支出です。建物の価値を増やしたわけではないため、資産にはせず費用の修繕費で処理します。借方は修繕費 45,000円、貸方は減った現金 45,000円です。建物 45,000円としてはいけません。
帳簿価額 3,000,000円の土地を 3,000,000円で売却し、代金は現金で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 3,000,000 | 土地 | 3,000,000 |
解説
売却価額 3,000,000円と帳簿価額 3,000,000円が同額なので、差額は 0円です。固定資産売却益も固定資産売却損も登場しません。手放した土地を貸方で消し、受け取った現金を借方に書くだけで完成します。
取得原価 2,880,000円、耐用年数8年の備品について、1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上している。1か月分の減価償却費はいくらか。
解答と解説
正解
30,000 円
解説
まず1年分を出します。2,880,000円 ÷ 8年 = 360,000円。次に12で割ります。360,000円 ÷ 12 = 30,000円。よって1か月分の減価償却費は 30,000円です。取得原価 ÷ 耐用年数 ÷ 12 と続けて計算しても同じ結果になります。
次の有形固定資産のうち、減価償却を行わないものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 土地
解説
減価償却は、使ううちに価値が目減りしていく資産に対して行う手続きです。土地は使っても古くならず価値が目減りしないと考えるため、減価償却をしません。建物・備品・車両運搬具の3つは減価償却の対象です。
営業用の陳列棚 780,000円を購入した。引取運賃 15,000円と据付費 25,000円は現金で支払い、本体価格は翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 820,000 | 未払金 | 780,000 |
| – | – | 現金 | 40,000 |
解説
取得原価は 780,000円 + 15,000円 + 25,000円 = 820,000円です。借方は備品 820,000円の1行にまとめます。貸方は、現金で払った 15,000円 + 25,000円 = 40,000円と、後払いの 780,000円です。商品以外を買った未払いなので買掛金ではなく未払金を使います。
駐車場用の土地 6,000,000円を購入し、仲介手数料 240,000円と登記費用 110,000円をあわせた総額を、小切手を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 土地 | 6,350,000 | 当座預金 | 6,350,000 |
解説
仲介手数料も登記費用も土地の付随費用です。取得原価は 6,000,000円 + 240,000円 + 110,000円 = 6,350,000円になります。小切手を振り出したので貸方は当座預金 6,350,000円です。付随費用 350,000円を支払手数料や租税公課に分けると不正解です。
建物の雨どいが破損したため元どおりに修理し、代金 180,000円は翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 修繕費 | 180,000 | 未払金 | 180,000 |
解説
原状を回復しただけの支出なので、借方は費用の修繕費 180,000円です。代金は後払いなので、貸方は負債の増加である未払金 180,000円になります。修理は商品の仕入ではないので買掛金は使いません。
月末につき、車両運搬具について当月分の減価償却費を計上する。この車両運搬具の取得原価は 2,160,000円、耐用年数は5年であり、1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上している。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 36,000 | 減価償却累計額 | 36,000 |
解説
1年分の見積額は 2,160,000円 ÷ 5年 = 432,000円。1か月分は 432,000円 ÷ 12 = 36,000円です。借方は減価償却費 36,000円、貸方は減価償却累計額 36,000円になります。貸方に車両運搬具と書く間接法以外の形は、初級では出題されません。
月末につき、建物と備品の当月分の減価償却費をまとめて計上する。1年分の見積額は、建物が 480,000円、備品が 240,000円である。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 60,000 | 減価償却累計額 | 60,000 |
解説
1年分の見積額が示されているので、耐用年数で割る手順は不要です。建物は 480,000円 ÷ 12 = 40,000円、備品は 240,000円 ÷ 12 = 20,000円。合計 40,000円 + 20,000円 = 60,000円を、減価償却費の1行にまとめて計上します。貸方も減価償却累計額 60,000円の1行です。
帳簿価額 5,300,000円の土地を 5,800,000円で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未収入金 | 5,800,000 | 土地 | 5,300,000 |
| – | – | 固定資産売却益 | 500,000 |
解説
手放した土地 5,300,000円を貸方で消します。代金は後で受け取るので、借方は未収入金 5,800,000円です。差額は 5,800,000円 – 5,300,000円 = プラス 500,000円なので、収益の固定資産売却益 500,000円を貸方に置きます。土地は商品ではないため、売掛金や売上は使いません。
取得原価 4,160,000円の土地を 3,900,000円で売却し、代金は普通預金に振り込まれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 3,900,000 | 土地 | 4,160,000 |
| 固定資産売却損 | 260,000 | – | – |
解説
土地は減価償却しないので、帳簿価額は取得原価と同じ 4,160,000円です。これを貸方で消します。入金額 3,900,000円は借方の普通預金です。差額は 3,900,000円 – 4,160,000円 = マイナス 260,000円なので、費用の固定資産売却損 260,000円を借方に加えます。
取得原価 1,080,000円、耐用年数6年の備品について、1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上している。取得から10か月が経過した時点の減価償却累計額はいくらか。
解答と解説
正解
150,000 円
解説
1年分は 1,080,000円 ÷ 6年 = 180,000円。1か月分は 180,000円 ÷ 12 = 15,000円です。累計額は1か月分に経過月数を掛けるので、15,000円 × 10か月 = 150,000円になります。
取得原価 9,600,000円、耐用年数25年の建物について、1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上している。取得から2年6か月が経過した時点の帳簿価額はいくらか。
解答と解説
正解
8,640,000 円
解説
1年分は 9,600,000円 ÷ 25年 = 384,000円、1か月分は 384,000円 ÷ 12 = 32,000円です。2年6か月は 24か月 + 6か月 = 30か月なので、累計額は 32,000円 × 30か月 = 960,000円。帳簿価額は取得原価から累計額を引いて 9,600,000円 – 960,000円 = 8,640,000円となります。
建物に関する次の支出のうち、建物の取得原価に含めないものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 使用を始めたあとに、破損した箇所を元どおりに直した修理代
解説
取得原価に含めるのは、その資産を使える状態にするまでにかかった支出です。登記費用も仲介手数料も取得のための支出なので建物に含めます。これに対して、使い始めたあとに原状を回復するために払った修理代は、資産を増やしません。費用の修繕費で処理します。
営業用のショーケース 1,150,000円を購入し、引取運賃 30,000円と据付費 60,000円が生じた。総額のうち 240,000円は現金で支払い、残額は翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 1,240,000 | 現金 | 240,000 |
| – | – | 未払金 | 1,000,000 |
解説
取得原価は 1,150,000円 + 30,000円 + 60,000円 = 1,240,000円で、借方は備品 1,240,000円です。支払いは現金 240,000円と、残額 1,240,000円 – 240,000円 = 1,000,000円の未払金に分かれます。貸方合計 240,000円 + 1,000,000円 = 1,240,000円で借方と一致します。付随費用 90,000円を費用の科目にしないことが正解の分かれ目です。
購入代価 7,000,000円、仲介手数料 280,000円、登記費用 120,000円で取得していた土地を 8,100,000円で売却した。代金のうち 3,000,000円は現金で受け取り、残額は翌月末に受け取ることにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 3,000,000 | 土地 | 7,400,000 |
| 未収入金 | 5,100,000 | 固定資産売却益 | 700,000 |
解説
帳簿価額は 7,000,000円 + 280,000円 + 120,000円 = 7,400,000円です。土地は減価償却しないので取得原価がそのまま帳簿価額になります。これを貸方で消します。借方は現金 3,000,000円と、残額 8,100,000円 – 3,000,000円 = 5,100,000円の未収入金。差額 8,100,000円 – 7,400,000円 = プラス 700,000円は固定資産売却益として貸方に置きます。
月末につき、当月分の減価償却費を計上する。当社が所有する有形固定資産は、建物(取得原価 14,400,000円・耐用年数25年)、備品(取得原価 1,728,000円・耐用年数6年)、土地(取得原価 5,000,000円)である。いずれも1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上している。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 72,000 | 減価償却累計額 | 72,000 |
解説
建物は 14,400,000円 ÷ 25年 = 576,000円、576,000円 ÷ 12 = 48,000円。備品は 1,728,000円 ÷ 6年 = 288,000円、288,000円 ÷ 12 = 24,000円。土地は減価償却しないので 5,000,000円は計算に入れません。合計 48,000円 + 24,000円 = 72,000円を、減価償却費と減価償却累計額の1行ずつで計上します。
購入代価 2,700,000円の備品を購入し、引取運賃 100,000円と据付費 80,000円もあわせて支払った。耐用年数は8年で、1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上している。取得から1年3か月が経過した時点の帳簿価額はいくらか。
解答と解説
正解
2,430,000 円
解説
まず取得原価を組み立てます。2,700,000円 + 100,000円 + 80,000円 = 2,880,000円。1年分は 2,880,000円 ÷ 8年 = 360,000円、1か月分は 360,000円 ÷ 12 = 30,000円です。1年3か月は 12か月 + 3か月 = 15か月なので、累計額は 30,000円 × 15か月 = 450,000円。帳簿価額は 2,880,000円 – 450,000円 = 2,430,000円になります。付随費用 180,000円を取得原価に入れ忘れると答えがずれます。
購入代価 8,500,000円、仲介手数料 340,000円、登記費用 160,000円で取得した土地を、9,200,000円で売却した。このとき生じる固定資産売却益はいくらか。
解答と解説
正解
200,000 円
解説
取得原価は 8,500,000円 + 340,000円 + 160,000円 = 9,000,000円です。土地は減価償却しないので、帳簿価額も 9,000,000円のままです。売却益は 9,200,000円 – 9,000,000円 = 200,000円になります。付随費用 500,000円を取得原価に含めずに計算すると 700,000円という誤った答えになるので注意してください。
第14章資本金(個人企業)0 / 20▼
個人企業の純資産を表す「資本金」1本で、開業の元入れ・追加元入・引出をすべて処理できるようになります。
- 純資産(資本)が「元手」と「儲けの蓄積」でできていることを説明できる。
- 開業時の元入れ・追加元入・引出の仕訳を、資本金1本で機械的に作れる。
- 事業主個人の所得税は費用にならず、資本金を減らすことを即答できる。
1. 純資産(資本)とは何か
1-1 純資産は「資産から負債を引いた残り」
第1章で学んだとおり、店が持っている財産が資産、いつか返さなければならない義務が負債です。資産から負債を差し引いた残りが純資産で、資本とも呼びます。
覚える式は1行だけです。
資産 ひく 負債 イコール 純資産(資本)。この式を移項すると 資産 イコール 負債 たす 純資産 となり、そのまま貸借対照表の形になります。
たとえば資産が 5,000,000円、負債が 1,200,000円なら、純資産は 3,800,000円です。この 3,800,000円が「誰にも返さなくてよい、事業主の取り分」にあたります。
1-2 純資産の中身は「元手」と「儲けの蓄積」
純資産は、性質のちがう2つの部分でできています。
- 元手 事業を始めるとき、そして始めたあとに、事業主が自分で入れたお金や物です。
- 儲けの蓄積 事業が稼いだ利益のうち、まだ持ち出さずに事業の中に残っている部分です。
個人企業では、この2つをまとめて資本金という1つの勘定科目で扱います。分けて記録することはしません。ここが個人企業のいちばん分かりやすいところです。
2026年度の試験に出る純資産の勘定科目は資本金ただ1つです。ですから「純資産の欄にどの科目を書くか」で迷うことはありません。迷いが生まれるのは資本金を使うのか、費用の科目を使うのかという場面だけです。この章はそこだけを潰します。
1-3 資本金は貸方がホームポジション
資本金は純資産の勘定です。第4章のホームポジションのとおり、増えたら貸方、減ったら借方に書きます。負債とまったく同じ動き方だと覚えてください。
| 区分 | できごと | 資本金 | 記入する側 |
|---|---|---|---|
| 元手 | 開業のときに現金や備品を入れた(元入れ) | 増える | 貸方 |
| 元手 | あとから資金を足した(追加元入) | 増える | 貸方 |
| 元手 | 事業主が私用で現金を持ち出した(引出) | 減る | 借方 |
| 元手 | 店のお金で事業主の生活費を払った | 減る | 借方 |
| 元手 | 事業主個人にかかる所得税を店のお金で納めた | 減る | 借方 |
| 元手 | 店の商品を家庭で使った(家事消費) | 減る | 借方 |
| 儲け | 収益が費用を上回った(当期純利益) | 増える | 決算で貸方 |
| 儲け | 費用が収益を上回った(当期純損失) | 減る | 決算で借方 |
上の6行が期中に自分で書く仕訳、下の2行は決算の手続です。初級で作るのは月次の試算表までなので、実際に仕訳を書くのは上の6行だけです。
利益が出ても、その場で「資本金/売上」のような仕訳を書くことはありません。利益を資本金に振り替えるのは決算の手続で、初級の出題範囲の外です。月中は、収益は収益の勘定に、費用は費用の勘定にそのまま積み上がっていきます。
2. 開業のとき — 元入れの仕訳
2-1 入れた物を借方に、合計を資本金として貸方に
事業主が事業のために自分の財産を入れることを元入れといいます。仕訳の作り方はきわめて単純です。
- 店に入ってきた物を、資産の増加として借方に並べる。
- その合計額を、資本金の増加として貸方に1本で書く。
たとえば「現金 1,000,000円を元入れして開業した」なら、こうなります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,000,000 | 資本金 | 1,000,000 |
入れたのが現金だけとはかぎりません。「現金 1,000,000円と備品 400,000円を元入れして開業した」なら、借方が2行になります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,000,000 | 資本金 | 1,400,000 |
| 備品 | 400,000 | – | – |
借方は 1,000,000円と 400,000円で合計 1,400,000円。貸方の資本金 1,400,000円と一致します。資本金の金額は、入れた物の合計額です。
2-2 借金つきで元入れした場合
まれに、未払いの代金が残った物を店に入れることがあります。そのときは負債も一緒に引き継ぐので、資本金は「資産の合計 ひく 負債の合計」になります。第1章の式そのものです。
元入れの仕訳で資本金の金額に迷ったら、貸借を一致させる金額を書けば必ず正解です。借方に並べた資産の合計から、貸方に書いた負債を差し引いた残りが資本金になります。計算するのではなく、差額で埋めると考えてください。
3. 追加元入 — あとから元手を足す
開業したあとで、事業主が事業に資金を足すことがあります。これを追加元入といいます。処理は開業のときとまったく同じで、入ってきた資産を借方、資本金の増加を貸方に書くだけです。
「事業主が個人の預金から、店の当座預金口座に 500,000円を入金した」なら、次のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 500,000 | 資本金 | 500,000 |
お金が店に入ってきたからといって、借入金にしてはいけません。借入金は銀行など他人から借りたお金で、返す義務があります。事業主自身が入れたお金には返す義務がないので、負債ではなく純資産、つまり資本金です。ここは第11章の債権債務との最重要の分かれ目です。
4. 引出 — 事業主が事業から持ち出す
4-1 引出は資本金を直接減らす
事業主が、事業のお金や商品を私用のために持ち出すことを引出といいます。元手を減らす行為ですから、資本金を借方に書いて減らします。
「事業主が私用のため、店の現金 80,000円を引き出した」なら、こうです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 80,000 | 現金 | 80,000 |
引出の仕訳は、形が3つとも同じです。借方は必ず資本金。貸方は、出ていった物をそのまま書くだけです。現金が出たら現金、預金から出たら普通預金や当座預金、商品が出たら仕入。この3パターンで引出はすべて片づきます。
4-2 よく出る引出の4つの場面
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 私用のため店の現金を持ち出した | 資本金 | 現金 |
| 店の預金から事業主の生活費を支払った | 資本金 | 普通預金など |
| 事業主個人の所得税を店のお金で納めた | 資本金 | 現金など |
| 店の商品を家庭で消費した | 資本金 | 仕入 |
4-3 商品を家庭で消費したときは、貸方が仕入
店の商品を事業主が家庭で使ってしまうことを家事消費といいます。ここだけ貸方が現金ではないので、少し立ち止まって理由を押さえます。
3分法では、商品を仕入れた時点で仕入という費用が計上されています。ところがその商品は、売るためではなく家庭で使われました。売上に結びつかない以上、店の費用として残しておくのは正しくありません。そこで仕入を貸方に書いて減らし、その分を事業主の取り分の減少、つまり資本金の減少に振り替えます。
原価 30,000円の商品を家庭で消費したなら、次のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 30,000 | 仕入 | 30,000 |
家事消費で売上を使ってはいけません。事業主が持ち帰っただけで、店は誰にも売っていないからです。金額も売価ではなく原価を使います。問題文に「原価」と書かれているのはそのためです。
5. 事業主の所得税は費用ではない
5-1 なぜ費用にならないのか
この章の最重要ポイントです。所得税は、事業主個人にかかる税金です。店が負担すべき税金ではありません。ですから、店のお金で納めた場合は「事業主が私用のお金を持ち出した」のと同じことになり、資本金の減少として処理します。
一方、事業が使っている建物や土地にかかる固定資産税、契約書に貼る収入印紙の代金である印紙税は、店が負担する税金です。こちらは費用として租税公課で処理します。くわしくは第16章で扱います。
| 比べる点 | 事業主個人の所得税 | 固定資産税・印紙税 |
|---|---|---|
| 誰にかかる税金か | 事業主という個人 | 事業が使う建物・土地・契約書 |
| 店の費用になるか | ならない | なる |
| 使う勘定科目 | 資本金(減少) | 租税公課(費用) |
| 現金で納めたときの仕訳 | 借方 資本金/貸方 現金 | 借方 租税公課/貸方 現金 |
| 損益計算書に載るか | 載らない | 費用として載る |
| 当月の利益への影響 | 影響しない | 利益を減らす |
税金の科目は、この一言で選び分けます。「事業主にかかる税金」は資本金、「事業にかかる税金」は租税公課。所得税と書かれていたら資本金、固定資産税と印紙税と書かれていたら租税公課。ここは丸暗記で構いません。
所得税を租税公課で処理するのは誤りです。租税公課にしてしまうと、店の費用が水増しされ、当月の利益が実際より少なく計算されます。試験でも、正しい科目を選べているかを見るために所得税と固定資産税を並べて出題してきます。「税金 イコール 租税公課」と短絡しないでください。
6. 資本金勘定の動きを1つのT字勘定で見る
ここまでの処理を、資本金勘定の上でまとめて見ておきます。開業して元入れし、途中で追加元入し、私用で引き出す。この3つが期中に自分で書く仕訳です。
借方合計 3,400,000円、貸方合計 3,400,000円。貸方の3行目「当期純利益」は決算で振り替える行なので、期中に作る月次の試算表にはまだ現れません。
6-1 試算表に載る資本金の金額
月次の合計残高試算表では、資本金は貸方残高として並びます。その金額は、次の引き算そのものです。
開業時の元入額
追加元入額
私用の現金の引出
生活費の支払
事業主の所得税の納付
商品の家事消費
図14-3でいえば、月次の試算表に載る資本金の残高は 2,000,000 たす 800,000 ひく 400,000 で 2,400,000円です。当期純利益 600,000円はまだ入りません。
第19章で試算表を読む問題に「資本金(追加元入額)」という読み取り項目が出てきます。答えるのは資本金勘定の貸方に記入された金額のうち、開業時の元入額を除いた分です。合計試算表なら貸方合計から元入額を引く、と機械的に処理できます。
7. 例題で流れをたどる
次の取引の仕訳を示し、6月末の資本金勘定の残高を求めなさい。
- 6月1日 開業にあたり、事業主が現金 1,600,000円と営業用の備品 500,000円を店に入れた。
- 6月12日 運転資金が不足したため、事業主が個人の預金から店の当座預金口座に 700,000円を入金した。
- 6月28日 事業主が私用のため、店の現金 90,000円を引き出した。
6月1日を考えます。店に入ってきたのは現金 1,600,000円と備品 500,000円。どちらも資産の増加なので借方に並べます。合計 2,100,000円が元手ですから、貸方に資本金 2,100,000円と書きます。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,600,000 | 資本金 | 2,100,000 |
| 備品 | 500,000 | – | – |
6月12日。当座預金が 700,000円増えたので借方。増えた理由は事業主が元手を足したことなので、貸方は資本金です。銀行から借りたのではないので借入金は使いません。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 700,000 | 資本金 | 700,000 |
6月28日。現金が 90,000円減ったので貸方。減った理由は事業主が私用で持ち出したことなので、借方は資本金です。給料でも雑費でもありません。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 90,000 | 現金 | 90,000 |
残高を出します。貸方に 2,100,000円と 700,000円で合計 2,800,000円、借方に 90,000円。差し引いて 貸方残高 2,710,000円です。試算表の資本金の欄には、この 2,710,000円が並びます。
次の取引の仕訳を示しなさい。
- 7月10日 事業主が、店で販売するために仕入れた商品(原価 38,000円)を家庭に持ち帰り、家族で使った。
- 7月31日 事業主個人にかかる所得税 220,000円と、店の建物にかかる固定資産税 145,000円を、いずれも店の現金で納付した。
7月10日。商品が店から出ていきましたが、売ったわけではないので売上は使いません。仕入れたときに計上した仕入 38,000円を取り消すため、貸方に仕入 38,000円。相手は事業主の取り分の減少なので、借方は資本金です。金額は売価ではなく原価を使います。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 38,000 | 仕入 | 38,000 |
7月31日。2つの税金を分けて考えます。所得税 220,000円は事業主個人の税金なので、店の費用にはせず資本金を減らします。固定資産税 145,000円は店の建物にかかる税金なので、費用の租税公課です。出ていった現金は 220,000 たす 145,000 で 365,000円です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 220,000 | 現金 | 365,000 |
| 租税公課 | 145,000 | – | – |
借方は 220,000円と 145,000円で 365,000円。貸方と一致します。同じ日に同じ現金で払っても、誰の税金かで科目が割れるのがこの論点の急所です。
8. 2027年度からは株式会社の資本金が加わる
2027年4月に適用される出題範囲では、個人企業の資本金に加えて株式会社の資本金が入ります。会社をつくるとき(設立時)と、あとから資金を集めるとき(増資時)に株式を発行し、株主から払い込まれた金額を資本金とする処理です。初級では発行価額の総額をそのまま全額資本金にする形だけを扱います。
たとえば「株式を発行し、払込金額 5,000,000円が当座預金に入金された」なら、仕訳はこの1本です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 5,000,000 | 資本金 | 5,000,000 |
2026年度の試験では出題されません。ただし貸方が資本金である点は個人企業とまったく同じで、3級に進むならそのまま使える知識です。余力があるときに、この1本だけ形を見ておいてください。
- 純資産は「資産 ひく 負債」。個人企業では元手も儲けの蓄積も、資本金1つで表す。
- 元入れと追加元入は資本金の増加で貸方、引出は資本金の減少で借方。引出の貸方は現金・預金・仕入のいずれか。
- 事業主個人の所得税は費用にせず資本金を減らす。固定資産税と印紙税は店の費用なので租税公課。
章末演習(20問)
現金 1,500,000円を元入れして、雑貨店を開業した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,500,000 | 資本金 | 1,500,000 |
解説
店に現金 1,500,000円が入ってきたので、資産の増加で借方。入ってきた理由は事業主が元手を入れたことなので、貸方は純資産の増加である資本金です。資本金は増えたら貸方がホームポジションでした。
事業主が、事業に追加で現金 400,000円を元入れした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 400,000 | 資本金 | 400,000 |
解説
追加元入も、開業のときとまったく同じ形です。現金が 400,000円増えたので借方、元手が増えたので貸方に資本金 400,000円。事業主が入れたお金には返す義務がないので、借入金にしてはいけません。
事業主が私用のため、店の現金 60,000円を引き出した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 60,000 | 現金 | 60,000 |
解説
現金が 60,000円減ったので貸方。減った理由は事業主が私用で持ち出したことなので、借方は資本金です。引出は元手を取り崩す行為なので、資本金を直接減らします。給料や雑費ではありません。
事業主の生活費 200,000円を、店の普通預金口座から支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 200,000 | 普通預金 | 200,000 |
解説
普通預金が 200,000円減ったので貸方。生活費は店の費用ではなく事業主個人の支出なので、借方は資本金です。引出は、出ていった物を貸方に書き、借方はいつも資本金と覚えてください。
事業主個人にかかる所得税 130,000円を、店の現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 130,000 | 現金 | 130,000 |
解説
所得税は事業主という個人にかかる税金で、店が負担すべきものではありません。ですから費用にはせず、借方は資本金です。租税公課で処理すると店の費用が水増しされ、当月の利益が実際より少なくなってしまいます。
事業主が、店で販売するために仕入れた商品(原価 25,000円)を家庭で使った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 25,000 | 仕入 | 25,000 |
解説
誰にも売っていないので売上は使いません。仕入れたときに計上した仕入 25,000円を取り消すため、貸方に仕入。相手は事業主の取り分の減少なので、借方は資本金です。金額は売価ではなく原価を使います。
資本金が属する要素として正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 純資産(資本)
解説
資本金は純資産(資本)に属します。純資産は「資産 ひく 負債」で求められる、事業主の取り分です。個人企業で使う純資産の勘定科目は資本金ただ1つなので、迷う必要はありません。
開業時の元入額は 2,000,000円であった。当月中に追加元入 500,000円と、私用のための現金の引出 180,000円があった。当月末の資本金の残高はいくらか。
解答と解説
正解
2,320,000 円
解説
資本金を増やしたのは元入額 2,000,000円と追加元入 500,000円で、合計 2,500,000円が貸方に入ります。減らしたのは引出 180,000円で借方です。2,500,000 ひく 180,000 イコール 2,320,000円が貸方残高になります。
開業にあたり、事業主が現金 900,000円、備品 300,000円、車両運搬具 800,000円を店に入れた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 900,000 | 資本金 | 2,000,000 |
| 備品 | 300,000 | – | – |
| 車両運搬具 | 800,000 | – | – |
解説
店に入ってきた物を、すべて資産の増加として借方に並べます。現金 900,000円、備品 300,000円、車両運搬具 800,000円で合計 2,000,000円。この合計額がそのまま元手なので、貸方に資本金 2,000,000円と1本で書きます。
事業主が個人の預金から、店の当座預金口座に 600,000円を追加で元入れした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 600,000 | 資本金 | 600,000 |
解説
当座預金が 600,000円増えたので借方。ここで借入金を選ぶ誤りが非常に多いです。銀行から借りたお金には返す義務があるので負債ですが、事業主自身が入れたお金に返す義務はありません。よって貸方は資本金です。
店が所有する建物にかかる固定資産税 90,000円を、現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 90,000 | 現金 | 90,000 |
解説
固定資産税は、事業が使っている建物にかかる税金です。店が負担すべき税金なので、費用として租税公課で処理します。事業主個人にかかる所得税とは扱いが正反対になる点をおさえてください。
事業主個人の所得税の予定納税額 150,000円を、店の普通預金口座から納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 150,000 | 普通預金 | 150,000 |
解説
予定納税と書かれていても、事業主個人にかかる所得税であることに変わりはありません。店の費用にはせず、借方は資本金です。普通預金が 150,000円減ったので貸方に普通預金と書きます。
取引先との契約書に貼る収入印紙 12,000円を現金で購入し、ただちに使用した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 12,000 | 現金 | 12,000 |
解説
収入印紙の代金は印紙税で、事業の契約書に貼るために店が負担する税金です。したがって費用として租税公課で処理します。通信費や消耗品費ではありません。所得税との違いは「誰にかかる税金か」の一点です。
事業主が私用のため、店の商品(原価 48,000円)を持ち帰り、あわせて店の現金 70,000円を引き出した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 118,000 | 仕入 | 48,000 |
| – | – | 現金 | 70,000 |
解説
出ていった物を貸方に並べます。商品は原価 48,000円で仕入を取り消し、現金は 70,000円の減少です。合計 118,000円がまるごと事業主の取り分の減少なので、借方に資本金 118,000円と1本で書きます。貸借はどちらも 118,000円で一致します。
事業主個人にかかる所得税を、店の現金で納付したときの借方の勘定科目として正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 資本金
解説
所得税は事業主という個人にかかる税金で、店の費用ではありません。店のお金で納めた場合は事業主が私用でお金を持ち出したのと同じなので、借方は資本金です。租税公課を使えるのは、店が負担する固定資産税と印紙税です。
資本金勘定の前月繰越は 2,850,000円であった。当月中に、追加元入 400,000円、私用のための現金の引出 90,000円、商品の家事消費 35,000円、事業主の所得税の納付 160,000円があった。当月末の資本金の残高はいくらか。
解答と解説
正解
2,965,000 円
解説
増やしたのは追加元入 400,000円だけです。減らしたのは引出 90,000円、家事消費 35,000円、所得税 160,000円で合計 285,000円。2,850,000 たす 400,000 ひく 285,000 イコール 2,965,000円となります。所得税を租税公課にしてしまうと、この計算がずれる点に注意してください。
開業にあたり、事業主が現金 1,000,000円、備品 350,000円、車両運搬具 650,000円を店に入れた。ただし、車両運搬具の未払代金 200,000円についても、あわせて店が引き継いだ。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,000,000 | 未払金 | 200,000 |
| 備品 | 350,000 | 資本金 | 1,800,000 |
| 車両運搬具 | 650,000 | – | – |
解説
まず入ってきた資産を借方に並べます。合計は 1,000,000 たす 350,000 たす 650,000 で 2,000,000円。次に引き継いだ支払義務 200,000円を、負債の増加として貸方に未払金と書きます。商品以外の代金の未払いなので買掛金ではありません。資本金は差額で埋めます。2,000,000 ひく 200,000 イコール 1,800,000円。これが「資産 ひく 負債 イコール 純資産」そのものです。
事業主が、店の商品(原価 55,000円)を家庭で消費した。また同じ日に、事業主個人にかかる所得税 180,000円と、店の建物にかかる固定資産税 120,000円を、いずれも店の現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 235,000 | 仕入 | 55,000 |
| 租税公課 | 120,000 | 現金 | 300,000 |
解説
3つの出来事を1本にまとめます。家事消費 55,000円は仕入の減少で貸方、相手は資本金の減少です。所得税 180,000円は事業主個人の税金なので、これも資本金の減少。よって資本金は 55,000 たす 180,000 で 235,000円になります。固定資産税 120,000円は店が負担するので費用の租税公課で借方。出ていった現金は 180,000 たす 120,000 で 300,000円です。借方合計 355,000円、貸方合計 355,000円で一致します。
個人企業の月次の合計残高試算表に示される資本金の残高について、正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 開業時の元入額に追加元入を加え、引出を差し引いた金額が示される
解説
期中に資本金勘定へ記入されるのは、元入れ・追加元入(いずれも貸方)と、引出(借方)だけです。したがって残高は、元入額に追加元入を加えて引出を差し引いた金額になります。利益を資本金に振り替えるのは決算の手続で、月次の試算表にはまだ現れません。また資本金は純資産なので、残高は貸方に立ちます。
月初の資産総額は 5,400,000円、負債総額は 1,900,000円であった。当月中に追加元入 300,000円と引出 250,000円があり、当月の収益総額は 1,800,000円、費用総額は 1,450,000円であった。月末の純資産はいくらか。
解答と解説
正解
3,900,000 円
解説
まず月初の純資産を出します。5,400,000 ひく 1,900,000 イコール 3,500,000円。次に当月の利益は 1,800,000 ひく 1,450,000 で 350,000円です。純資産は、追加元入で増え、引出で減り、利益で増えます。3,500,000 たす 300,000 ひく 250,000 たす 350,000 イコール 3,900,000円となります。なお、このうち利益 350,000円が資本金勘定に振り替えられるのは決算のときです。
第15章収益と費用の勘定科目を使い分ける0 / 27▼
収益6科目と費用18科目を一覧で押さえ、「これは何費か」で迷う時間をゼロにして、第2問の仕訳を確実に取り切れるようになります。
- 収益6科目と費用18科目について、それぞれ「何があったときに使うか」を言える。
- 支払家賃と支払地代、通信費と消耗品費のように、紛らわしい組み合わせを一発で見分けられる。
- 領収書の中身を読んで、正しい費用の科目に振り分ける仕訳を作れる。
1. 初級で最も点を落とすのは「科目選び」
初級の第2問は仕訳が10問で40点。1問あたり4点と配点が大きく、ここが合否を分けます。そして仕訳で落とす原因の大半は、借方と貸方を間違えることではありません。科目名を1つ選び損ねることです。
たとえば「郵便切手を買った」を消耗品費と書いてしまう。「駐車場の賃借料」を支払家賃と書いてしまう。金額も貸借も合っているのに、科目名だけで不正解になります。もったいない失点です。
この章はその失点を潰す章です。使える科目は収益6つと費用18つ、合計24しかありません。24個を覚え切れば、迷う場面そのものがなくなります。
簿記の科目選びは、センスでも記憶力でもありません。候補が有限のリストから選ぶ作業です。使ってよい科目はあらかじめ決まっています。リストの外から答えを探そうとするから迷うのです。まずリスト全体を頭に入れてください。
収益と費用は「発生したら」計上する
収益はもうけのもと、費用はもうけを得るために使ったものです。どちらも、その事実が起きた時点で計上します。これを発生といいます。
初級で出題されるのは、現金や預金の受け払いと発生のタイミングが一致する取引だけです。ですから「お金が動いた瞬間に、相手科目として収益か費用を書く」と考えて差し支えありません。前払いや未払いの調整は、初級では出題されません。
収益が発生したら貸方、費用が発生したら借方。これは第4章の勘定記入法則そのままです。費用の科目はほぼ必ず借方に、収益の科目はほぼ必ず貸方に来ます。この章で覚えるのは「どちら側か」ではなく「どの名前か」だけです。
2. 収益は6科目しかない
まず収益から片づけます。数が少ないうえ、名前が中身をそのまま表しているので、こちらは短時間で終わります。
| 科目 | どんなときに使うか | 相手科目の例 |
|---|---|---|
| 売上 | 販売用の商品を得意先に売り渡したとき。売価の全額で計上する | 現金/売掛金/クレジット売掛金/前受金 |
| 受取家賃 | 自分が所有する建物を人に貸し、賃料を受け取ったとき | 現金/普通預金/当座預金 |
| 受取地代 | 自分が所有する土地を人に貸し、賃料を受け取ったとき | 現金/普通預金/当座預金 |
| 受取手数料 | 仲介・紹介・代行などのサービスを提供し、手数料を受け取ったとき | 現金/普通預金/未収入金 |
| 受取利息 | 貸付金や預金から利息を受け取ったとき | 現金/普通預金/貸付金と同時に回収 |
| 固定資産売却益 | 土地を帳簿価額より高く売ったとき。差額だけを計上する | 現金/普通預金/未収入金/土地 |
収益で唯一ややこしいのが固定資産売却益です。これは売った金額そのものではありません。売却代金から帳簿価額を差し引いた差額だけを計上します。土地 1,800,000円を 2,000,000円で売ったなら、固定資産売却益は 200,000円です。2,000,000円と書いたら不正解になります。
収益の科目名は頭に「受取」が付くものが4つ(受取家賃・受取地代・受取手数料・受取利息)。残りは売上と固定資産売却益だけです。「受取」で始まる4つを唱えて、そこに売上と固定資産売却益を足す。この覚え方なら30秒で復習できます。
3. 費用は18科目。まとめて一覧で押さえる
次が本丸の費用です。18科目あります。1つずつバラバラに覚えると必ず取りこぼすので、表ごと一気に読むのが最短です。3列目の「間違えやすい科目」まで含めて目を通してください。ここが試験でひっかけとして出るところです。
| 科目 | どんなときに使うか | 間違えやすい科目 |
|---|---|---|
| 仕入 | 販売用の商品を買い入れたとき。当社負担の引取運賃も含めて計上する | 消耗品費/発送費 |
| 発送費 | 売った商品を得意先へ届ける運賃を、当社が負担したとき | 立替金(先方負担なら立替金)/仕入 |
| 給料 | 従業員に労働の対価を支払ったとき。天引き前の総額で計上する | 預り金(源泉徴収額)/立替金 |
| 広告宣伝費 | 不特定多数に向けて商品や店を知らせるための支出 | 消耗品費/雑費 |
| 支払手数料 | 振込手数料・仲介手数料など、サービスの対価として払う手数料 | 雑費/取得原価に含める仲介手数料 |
| 支払利息 | 借入金について利息を支払ったとき | 借入金(元金とまとめない)/支払手数料 |
| 旅費交通費 | 営業活動や出張のための電車代・バス代・タクシー代・宿泊代 | 通信費/仮払金(概算の前渡し) |
| 減価償却費 | 有形固定資産の当月分の価値の減少を計上したとき | 修繕費/備品や建物(直接は減らさない) |
| 通信費 | 郵便切手・はがき・電話料金・インターネット利用料など通信の支出 | 消耗品費(切手を消耗品費にしない)/発送費 |
| 消耗品費 | 文房具・コピー用紙など、短期間で使い切る物品を買ったとき | 通信費(切手と混同)/備品(長く使う物) |
| 水道光熱費 | 電気代・ガス代・水道代 | 通信費(電話代と混同)/雑費 |
| 支払家賃 | 建物を借りて賃料を支払ったとき | 支払地代(土地なら地代)/保険料 |
| 支払地代 | 土地を借りて賃料を支払ったとき | 支払家賃(建物なら家賃) |
| 保険料 | 火災保険・自動車保険などの保険料を支払ったとき | 支払手数料/租税公課 |
| 租税公課 | 固定資産税・印紙税など、事業にかかる税金を負担したとき | 事業主個人の所得税(費用にしない)/支払手数料 |
| 修繕費 | 固定資産を元どおりの状態に戻すための修理代 | 取得原価に含める据付費・設置費/消耗品費 |
| 雑費 | どの科目にも当てはまらない、金額の小さい支出 | 支払手数料/消耗品費/広告宣伝費 |
| 固定資産売却損 | 土地を帳簿価額より安く売ったとき。差額だけを計上する | 減価償却費/修繕費 |
18科目は、性質ごとに4つのかたまりに分けると覚えやすくなります。
商売の中身 仕入・発送費・給料・広告宣伝費
場所とインフラ 支払家賃・支払地代・水道光熱費・通信費
動くための支出 旅費交通費・消耗品費・修繕費・保険料
お金と制度 支払手数料・支払利息・租税公課・減価償却費・雑費・固定資産売却損
4. 紛らわしいペアを4つの質問で切り分ける
科目選びで迷ったときは、思い出そうとせずに順番に質問するのが確実です。次の4ステップを上から順に当てはめれば、ほぼすべての支出が正しい科目に落ちます。
事業主個人のもの
→ 費用にせず
資本金を減らす
長く使う物
取得のための支出
→ 備品・建物などの資産
場所・物・サービス
の3つに分けて
該当する費用へ
どれにも当てはまらず
金額も小さい
→ 雑費
| STEP | 質問 | 答えが決まる科目 |
|---|---|---|
| 1 | 店のためか、事業主個人のためか | 個人のためなら資本金の減少(費用にしない) |
| 2 | これから長く使う物か。取得のためにかかった支出か | 備品/車両運搬具/建物/土地(資産に含める) |
| 3a | 場所を借りたのか。建物か、土地か | 建物なら支払家賃/土地なら支払地代 |
| 3b | 物を買ったのか。通信のための物か、事務で使い切る物か | 切手やはがきなら通信費/文房具なら消耗品費 |
| 3c | サービスを受けたのか。何のサービスか | 移動なら旅費交通費/通信なら通信費/宣伝なら広告宣伝費/手数料なら支払手数料/修理なら修繕費 |
| 4 | どれにも当てはまらず、金額も小さいか | 雑費 |
STEP4の雑費は最後の手段です。先に3までを必ず通してください。振込手数料を雑費、チラシ代を雑費と答えると不正解になります。雑費に逃げてよいのは、ゴミの処理代のように名前の付いた科目がどうしても見つからない少額の支出だけです。
ペア1 支払家賃と支払地代 — 借りたのは建物か土地か
どちらも「場所を借りて払う賃料」です。分かれ道は1つだけ、借りた対象が建物か土地かです。
事務所・店舗・倉庫・社宅
屋根と壁のある建物の賃料
受け取る側は 受取家賃
駐車場・資材置場・空地
更地そのものの賃料
受け取る側は 受取地代
問題文の「事務所」「店舗」「倉庫」は建物、「駐車場」「資材置場」「土地」は土地の合図です。
家が付いたら建物、地が付いたら土地。家賃の「家」は建物、地代の「地」は土地。文字がそのまま答えです。受け取る側も同じで、建物を貸せば受取家賃、土地を貸せば受取地代になります。
ペア2 通信費と消耗品費 — 通信のためか、事務で使い切るか
ここが初級で最頻出のひっかけです。郵便切手とはがきは、紙でできていますが文房具ではありません。郵便という通信サービスを買っているのです。ですから通信費です。
一方、コピー用紙・ボールペン・ファイル・封筒などは、事務で短期間に使い切る物品です。こちらが消耗品費になります。
郵便切手・はがき
電話料金・携帯電話料金
インターネット利用料
郵便小包の送料(商品以外)
合言葉は「情報を運ぶ」
コピー用紙・ボールペン
ファイル・封筒・のり
電池・掃除用具
少額の事務用品
合言葉は「使えばなくなる物」
切手を消耗品費にする誤答は非常に多いです。切手は通信費と、丸暗記してしまってください。あわせて、封筒は消耗品費、その封筒に貼る切手は通信費、と分かれることも押さえておきましょう。1枚の領収書の中で科目が2つに割れる問題が出ます。
ペア3 旅費交通費と通信費 — 人が動いたか、情報が動いたか
この2つは字面が似ていないのに、意外と取り違えが起きます。判定は簡単です。人が移動したなら旅費交通費、情報が移動したなら通信費です。
電車代・バス代・タクシー代・高速道路の通行料・出張の宿泊代は、すべて人の移動なので旅費交通費。電話・郵便・インターネットは情報の移動なので通信費です。
出張旅費で気をつけるのはタイミングです。出発前に概算額を前渡ししただけなら、金額が未確定なので仮払金(資産)です。帰社後に精算して金額が確定した時点で、はじめて旅費交通費に振り替えます。第11章で学んだ2ステップがそのまま出ます。
ペア4 支払手数料と雑費 — 名前の付いたサービスかどうか
支払手数料は、はっきりしたサービスの対価として払う手数料です。銀行の振込手数料、不動産業者への仲介手数料、専門家への報酬などが該当します。
雑費は、どの科目にも当てはまらない少額の支出のための受け皿です。「手数料」と書かれていれば支払手数料、と機械的に判断して構いません。
仲介手数料には落とし穴があります。固定資産を買うときに払った仲介手数料や登記費用は、支払手数料ではありません。第13章で学んだとおり、これらは付随費用として土地や建物の取得原価に含めて資産にします。支払手数料になるのは、賃貸の仲介のように資産の取得と結びつかない場合だけです。
ペア5 広告宣伝費とそれ以外の販売促進の支出
広告宣伝費は、不特定多数に向けて商品や店を知らせるための支出です。新聞広告の掲載料、チラシの印刷代と折込料、看板の掲出料、ホームページの制作費などが入ります。
ここで注意したいのが、取引先を接待するような支出です。相手が特定の1社なので広告ではありません。初級では専用の科目を用意していないため、金額の小さいものは雑費に寄せて処理します。試験でも、初級の範囲では広告宣伝費か雑費かの2択にしかなりません。
広告宣伝費かどうかは、相手が不特定多数かで判断します。新聞・チラシ・看板・ホームページは誰でも見るので広告宣伝費。特定の取引先だけに向けた少額の支出は雑費です。なお、チラシの印刷代を消耗品費にしてはいけません。買っているのは紙ではなく宣伝だからです。
ペア6 租税公課と事業主の所得税 — 誰にかかる税金か
租税公課は、事業にかかる税金を処理する費用の科目です。代表は固定資産税と印紙税です。印紙税は、契約書や領収書に貼る収入印紙を買ったときに負担します。
これに対して、事業主個人にかかる所得税は費用にしません。個人企業では、事業主のもうけに対してかかる税金だからです。店のお金で納めた場合は、事業主がお店から引き出したのと同じ扱いになり、資本金を直接減らします。
| 税金の種類 | 誰にかかるか | 処理 | 仕訳の借方 |
|---|---|---|---|
| 固定資産税 | 事業で使う土地・建物 | 費用にする | 租税公課 |
| 印紙税(収入印紙) | 事業の契約書・領収書 | 費用にする | 租税公課 |
| 所得税 | 事業主個人 | 費用にしない | 資本金 |
| 従業員から預かった所得税 | 従業員個人 | 費用にしない | 預り金 |
同じ「所得税」でも、事業主のものは資本金、従業員から預かったものは預り金です。混同しないでください。
固定資産税と印紙税は租税公課、事業主の所得税は資本金の減少。この一行だけで税金の科目選びは終わります。所得税を租税公課と書いたら不正解です。
ペア7 修繕費と取得原価 — いつの支出か
建物や備品にお金をかけたとき、費用になるか資産になるかはタイミングで決まります。
使える状態にするまでにかかった支出(引取運賃・据付費・設置工事費・登記費用・仲介手数料)は取得原価に含めて資産。使い始めたあとに元どおりの状態へ戻すための支出は修繕費で費用です。
使い始める前の支出
引取運賃・据付費・設置工事費
登記費用・仲介手数料・整地費用
合図は「購入にあたり」「据え付けた」
使い始めたあとの原状回復
壁の塗り直し・ガラスの取り替え
故障した箇所の修理
合図は「元どおりに」「破損した」
5. 「これは何費か」早見表
ここまでの内容を、試験で出る言い回しのまま一覧にしました。本番前はこの表だけを見返せば十分です。左の言葉を見て、右の科目が反射的に出てくるまで繰り返してください。
| 支出・収入の内容 | 勘定科目 | ひとことメモ |
|---|---|---|
| 郵便切手を買った | 通信費 | 消耗品費にしない。最頻出のひっかけ |
| はがき・郵便料金を払った | 通信費 | 切手と同じ扱い |
| 電話料金・携帯電話料金を払った | 通信費 | 水道光熱費にしない |
| インターネットの利用料を払った | 通信費 | 情報を運ぶ支出 |
| 売った商品を届ける宅配便の運賃を当社が負担した | 発送費 | 先方負担で立て替えたなら立替金 |
| コピー用紙を買った | 消耗品費 | 使えばなくなる事務用品 |
| 事務用のボールペン・ファイルを買った | 消耗品費 | 通信費にしない |
| 電池・掃除用具など少額の物品を買った | 消耗品費 | 長く使う物なら備品 |
| 電気代を払った | 水道光熱費 | 電気・ガス・水道はこの1科目 |
| 水道代を払った | 水道光熱費 | 同上 |
| ガス代を払った | 水道光熱費 | 同上 |
| 営業のための電車代・バス代を払った | 旅費交通費 | 人が動いたら交通費 |
| タクシー代を払った | 旅費交通費 | 同上 |
| 出張の宿泊代を払った | 旅費交通費 | 前渡しの概算額は仮払金 |
| 新聞に広告を掲載した | 広告宣伝費 | 相手は不特定多数 |
| 看板の掲出料を払った | 広告宣伝費 | 同上 |
| 宣伝用チラシの印刷代・折込料を払った | 広告宣伝費 | 消耗品費にしない |
| 事務所として借りている建物の家賃を払った | 支払家賃 | 建物なら家賃 |
| 駐車場として借りている土地の賃借料を払った | 支払地代 | 土地なら地代 |
| 火災保険料を払った | 保険料 | 自動車保険も同じ |
| 銀行の振込手数料を払った | 支払手数料 | 雑費にしない |
| 賃貸物件の仲介手数料を払った | 支払手数料 | 固定資産購入の仲介手数料は取得原価 |
| 固定資産税を納付した | 租税公課 | 事業にかかる税金 |
| 契約書に貼る収入印紙を買った | 租税公課 | 印紙税。消耗品費にしない |
| 店舗の壁を塗り直した | 修繕費 | 元どおりに戻す支出 |
| 破損したガラスを取り替えた | 修繕費 | 同上 |
| 従業員に給料を支払った | 給料 | 天引き前の総額で計上 |
| 借入金の利息を払った | 支払利息 | 元金とまとめない |
| 当月分の減価償却の見積額を計上した | 減価償却費 | 貸方は減価償却累計額 |
| 販売用の商品を買い入れた | 仕入 | 当社負担の引取運賃も含める |
| ゴミの処理代など、どれにも当てはまらない少額の支出 | 雑費 | 最後の手段。先に他を探す |
| 備品を買うときの据付費を払った | 備品(資産) | 費用にしない。取得原価に含める |
| 事業主個人の所得税を店の現金で納付した | 資本金(減少) | 費用にしない。租税公課にもしない |
| 建物を貸して家賃を受け取った | 受取家賃 | 収益。貸方に書く |
| 土地を貸して賃料を受け取った | 受取地代 | 収益。貸方に書く |
| 仲介をして手数料を受け取った | 受取手数料 | 収益。支払手数料と逆 |
6. 消耗品は「買ったときに費用」で固定する
消耗品の処理には、実は2つのやり方があります。しかし初級では、支払った時点で消耗品費として費用に計上する方法だけを使います。
買った文房具が月末に少し残っていても、何もしません。残った分を資産に振り替える処理は、決算整理の話なので初級では出題されません。
消耗品を買ったら、その場で借方 消耗品費。使い残しを気にする必要はありません。仕訳は「消耗品費 ○○円/現金 ○○円」の1行で完結します。迷う余地がないと決めてしまえば、その分の時間を他の問題に回せます。
消耗品費と備品の線引きだけは意識してください。1年を超えて繰り返し使う物は備品(資産)です。パソコン・机・椅子・応接セット・陳列棚は備品。ボールペン・コピー用紙・電池は消耗品費。問題文の「事務所で使う机」は備品、「事務用のボールペン」は消耗品費と、対象物の名前で判断します。
7. 例題で科目の振り分けを体験する
事務用品店で、コピー用紙 3,200円、郵便切手 4,200円、ボールペン 800円を購入し、代金 8,200円を現金で支払いました。仕訳を示しなさい。
STEP1 貸方から確定させます。現金が 8,200円出ていきました。資産の減少なので貸方に現金 8,200円です。ここは迷いません。
STEP2 借方の中身を仕分けます。3つの品目を、通信のための物とそれ以外に分けます。郵便切手 4,200円は通信費。コピー用紙 3,200円とボールペン 800円は事務で使い切る物なので消耗品費です。
STEP3 同じ科目はまとめます。消耗品費は 3,200円たす 800円で 4,000円。1行にまとめて書きます。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 4,000 | 現金 | 8,200 |
| 通信費 | 4,200 | – | – |
借方合計は 4,000円たす 4,200円で 8,200円。貸方と一致します。全額を消耗品費 8,200円としないこと。同じ店で買っても、切手だけは通信費に分かれます。
事務所として借りている建物の当月分家賃 200,000円と、来客用駐車場として借りている土地の当月分賃借料 30,000円を、普通預金口座からまとめて振り込みました。振込手数料 440円は当社負担で、同じ口座から支払っています。仕訳を示しなさい。
STEP1 借りた対象を確認します。事務所は建物なので支払家賃 200,000円。来客用駐車場は土地なので支払地代 30,000円です。どちらも賃料ですが、対象物が違うので科目が分かれます。
STEP2 手数料を独立させます。振込手数料 440円は銀行のサービスの対価です。支払手数料として、家賃にも地代にも足し込まず別に立てます。
STEP3 貸方をまとめます。普通預金から出た総額は 200,000円たす 30,000円たす 440円で 230,440円。資産の減少なので貸方です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払家賃 | 200,000 | 普通預金 | 230,440 |
| 支払地代 | 30,000 | – | – |
| 支払手数料 | 440 | – | – |
借方合計は 230,440円で貸方と一致します。駐車場を支払家賃と書く誤答が非常に多いところです。借りたのが土地なら、必ず支払地代です。
- 使える科目は収益6つと費用18つだけ。リストを丸ごと頭に入れれば、科目選びで迷う場面がなくなる。
- 建物なら支払家賃・土地なら支払地代、切手なら通信費・文房具なら消耗品費、固定資産税と印紙税なら租税公課。この3組は反射で答える。
- 事業主個人の所得税は費用にせず資本金を減らす。固定資産を使えるようにするまでの支出は費用にせず取得原価に含める。
章末演習(27問)
郵便局で郵便切手 8,400円を購入し、代金は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 通信費 | 8,400 | 現金 | 8,400 |
解説
現金が 8,400円減ったので、資産の減少で貸方。郵便切手は紙の物品ではなく、郵便という通信サービスを買ったものです。借方は費用の発生で通信費 8,400円になります。消耗品費としないこと。初級で最も多い誤答です。
事務所で使うコピー用紙とボールペン 5,600円を購入し、代金は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 5,600 | 現金 | 5,600 |
解説
現金が 5,600円減ったので貸方。コピー用紙もボールペンも、事務で短期間に使い切る物品です。借方は消耗品費 5,600円になります。消耗品は買ったときに全額を費用に計上し、使い残しは考えません。
事務所の当月分の電気代 23,000円が、普通預金口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 水道光熱費 | 23,000 | 普通預金 | 23,000 |
解説
普通預金が 23,000円減ったので貸方。電気・ガス・水道の料金は、まとめて水道光熱費という1つの科目で処理します。借方は水道光熱費 23,000円です。電話代と混同して通信費としないよう注意してください。
事務所として借りている建物の当月分の家賃 180,000円を、現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払家賃 | 180,000 | 現金 | 180,000 |
解説
現金が 180,000円減ったので貸方。借りたのは事務所、つまり建物です。建物の賃料は支払家賃なので、借方は支払家賃 180,000円になります。家賃の「家」は建物と覚えてください。
駐車場として借りている土地の当月分の賃借料 45,000円を、現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払地代 | 45,000 | 現金 | 45,000 |
解説
現金が 45,000円減ったので貸方。借りたのは駐車場、つまり土地です。土地の賃料は支払地代なので、借方は支払地代 45,000円になります。支払家賃としないこと。地代の「地」は土地です。
当社が所有する建物を貸し付けており、当月分の家賃 250,000円が普通預金口座に振り込まれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 250,000 | 受取家賃 | 250,000 |
解説
普通預金が 250,000円増えたので、資産の増加で借方。建物を貸して賃料を受け取ったので、貸方は収益の発生である受取家賃 250,000円です。貸したのが土地なら受取地代になります。
郵便切手を購入し、代金を現金で支払ったときに使う勘定科目はどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 通信費
解説
郵便切手は、郵便という通信サービスの対価です。したがって通信費で処理します。紙の物品に見えるため消耗品費と答えたくなりますが誤りです。発送費は売った商品を届ける当社負担の運賃に使う科目で、切手には使いません。
次のうち、収益に属する勘定科目はどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 受取手数料
解説
収益の科目は、売上と固定資産売却益のほか、頭に「受取」が付く4つ(受取家賃・受取地代・受取手数料・受取利息)です。受取手数料が収益にあたります。支払手数料・支払家賃・広告宣伝費はいずれも費用です。
事務所で使うボールペンとコピー用紙を購入したときに使う勘定科目はどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 消耗品費
解説
ボールペンやコピー用紙は、短期間で使い切る事務用の物品なので消耗品費です。備品は机や応接セットのように1年を超えて繰り返し使う物に使う資産の科目で、文房具には使いません。名前の付いた科目がある以上、雑費も誤りです。
駐車場として土地を借り、その賃借料を支払ったときは、支払家賃で処理する。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。借りた対象が土地なので支払地代で処理します。支払家賃を使うのは、事務所・店舗・倉庫のように建物を借りた場合です。家賃の「家」は建物、地代の「地」は土地と、文字で覚えてください。
取引先を訪問するため、営業担当者がタクシーを利用し、代金 3,200円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 3,200 | 現金 | 3,200 |
解説
現金が 3,200円減ったので貸方。人が移動するための支出なので旅費交通費です。借方は旅費交通費 3,200円になります。電車代・バス代・高速道路の通行料・出張の宿泊代も同じ科目です。
商品の宣伝のため新聞に広告を掲載し、掲載料 150,000円を普通預金口座から支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 150,000 | 普通預金 | 150,000 |
解説
普通預金が 150,000円減ったので貸方。新聞広告は不特定多数に向けて商品を知らせる支出なので、借方は広告宣伝費 150,000円です。チラシの印刷代や看板の掲出料も同じ科目になります。
買掛金 400,000円を普通預金口座から振り込んで支払った。あわせて振込手数料 660円が当社負担として同じ口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 400,000 | 普通預金 | 400,660 |
| 支払手数料 | 660 | – | – |
解説
普通預金から出た総額は 400,000円たす 660円で 400,660円なので貸方です。借方は2つに分かれます。支払義務がなくなった買掛金 400,000円(負債の減少)と、銀行のサービスの対価である支払手数料 660円(費用の発生)です。買掛金 400,660円とまとめてはいけません。手数料を雑費とするのも誤りです。
店舗の建物にかけている火災保険の保険料 96,000円を、現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 保険料 | 96,000 | 現金 | 96,000 |
解説
現金が 96,000円減ったので貸方。火災保険や自動車保険の保険料は、そのまま保険料という科目で処理します。借方は保険料 96,000円です。建物にかけた保険であっても、建物の金額には足し込みません。
契約書に貼るための収入印紙 4,000円を購入し、代金は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 4,000 | 現金 | 4,000 |
解説
現金が 4,000円減ったので貸方。収入印紙を買うことは印紙税を負担することにあたり、事業にかかる税金なので借方は租税公課 4,000円です。紙の物品に見えても消耗品費ではありません。切手が通信費、収入印紙が租税公課と、セットで覚えてください。
店舗の壁が汚れたため塗り直しを行い、代金 85,000円を現金で支払った。壁は元どおりの状態に戻っている。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 修繕費 | 85,000 | 現金 | 85,000 |
解説
現金が 85,000円減ったので貸方。「元どおりの状態に戻す」ための支出なので、借方は費用である修繕費 85,000円です。使い始めたあとの原状回復は費用、使える状態にするまでの支出は取得原価に含めて資産、という線引きで判断します。
空き店舗の賃貸を仲介し、仲介手数料 120,000円を現金で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 120,000 | 受取手数料 | 120,000 |
解説
現金が 120,000円増えたので、資産の増加で借方。仲介というサービスを提供して受け取った対価なので、貸方は収益の発生である受取手数料 120,000円です。払う側なら支払手数料になります。名前が似ているので、受け取ったのか払ったのかを必ず確認してください。
事務所から出たゴミの処理費用 4,300円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 雑費 | 4,300 | 現金 | 4,300 |
解説
現金が 4,300円減ったので、資産の減少で貸方。ゴミの処理費用は、物品を買ったわけではないので消耗品費ではなく、電気やガスの料金でもないので水道光熱費でもありません。名前の付いたサービスの手数料でもないため支払手数料も使えません。どの科目にも当てはまらない少額の支出として、借方は雑費 4,300円になります。雑費は最後の手段です。まず他の科目を一通り探し、どれにも当てはまらないときだけ使ってください。
事務所の電話料金とインターネット利用料を支払ったときに使う勘定科目はどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 通信費
解説
電話もインターネットも情報を運ぶサービスなので通信費です。水道光熱費は電気・ガス・水道の料金に使う科目で、電話代は含みません。毎月の請求書としてまとめて届くため水道光熱費と答える誤りが起きやすいところです。
事業で使用している建物の固定資産税を現金で納付したときに使う勘定科目はどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 租税公課
解説
固定資産税は事業にかかる税金なので租税公課で処理します。契約書に貼る収入印紙も同じ租税公課です。なお、建物を買ったときの登記費用は税金であっても取得原価に含めて資産にする点が異なるので、区別しておいてください。
個人企業の事業主が、自分にかかる所得税を店の現金で納付した。このときの処理として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 資本金を減額する
解説
事業主個人にかかる所得税は、店の費用ではありません。店のお金で納めた場合は、事業主がお店から引き出したのと同じ扱いになり、借方に資本金を書いて直接減額します。租税公課になるのは固定資産税や印紙税です。預り金を使うのは、従業員の給料から源泉徴収した所得税を納付する場合です。
消耗品を購入したときは、支払った時点で全額を消耗品費として費用に計上する。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。初級では、消耗品は支払時に消耗品費として処理する方法だけを使います。月末に使い残しがあっても、資産へ振り替える処理は行いません。仕訳は「消耗品費/現金」の1行で完結します。
当月分の事務所経費をまとめて普通預金口座から支払った。内訳は、事務所の家賃 180,000円、電気代 24,000円、電話料金 12,000円、コピー用紙代 6,000円である。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払家賃 | 180,000 | 普通預金 | 222,000 |
| 水道光熱費 | 24,000 | – | – |
| 通信費 | 12,000 | – | – |
| 消耗品費 | 6,000 | – | – |
解説
4つの支出を科目ごとに分けます。事務所は建物なので支払家賃 180,000円、電気代は水道光熱費 24,000円、電話料金は通信費 12,000円、コピー用紙代は消耗品費 6,000円です。貸方は普通預金から出た総額 180,000円たす 24,000円たす 12,000円たす 6,000円イコール 222,000円。電気代と電話料金を同じ科目にまとめないことが最大のポイントです。
商品 250,000円を得意先に売り渡し、代金は掛けとした。あわせて、商品を届ける宅配便の運賃 4,800円を当社負担として現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 250,000 | 売上 | 250,000 |
| 発送費 | 4,800 | 現金 | 4,800 |
解説
売上の仕訳と運賃の仕訳を分けて考えます。まず商品を売り渡したので、借方は売掛金 250,000円、貸方は売上 250,000円です。次に当社負担の発送運賃は発送費という費用の科目で処理し、借方に発送費 4,800円、貸方に現金 4,800円と書きます。売上に上乗せしても差し引いてもいけません。運賃が先方負担で当社が立て替えたのであれば、発送費ではなく立替金になります。
個人企業の事業主にかかる所得税 90,000円を、店の現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 90,000 | 現金 | 90,000 |
解説
現金が 90,000円減ったので貸方。事業主個人にかかる所得税は店の費用ではないため、租税公課は使いません。事業主がお店の元手を引き出したのと同じ扱いになるので、借方は資本金 90,000円(純資産の減少)です。同じ所得税でも、従業員から預かった分を納付するときは借方が預り金になります。
次の支出のうち、費用として処理せず資産に含めるものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 購入した土地の登記費用を支払った
解説
土地の登記費用は、その土地を使える状態にするためにかかった付随費用です。したがって費用にせず、取得原価に含めて土地(資産)の金額に足し込みます。火災保険料は保険料、破損したガラスの取り替えは原状回復なので修繕費、収入印紙は租税公課で、いずれも費用です。
次のうち、旅費交通費で処理するものはどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 営業担当者が取引先を訪問した際のタクシー代を支払った
解説
旅費交通費は、人が移動するための支出に使う科目です。取引先訪問のタクシー代がこれにあたります。売った商品を届ける当社負担の運賃は発送費、電話料金は情報が動く支出なので通信費、宣伝用チラシの印刷代は不特定多数に向けた支出なので広告宣伝費です。運賃という言葉に引かれて宅配便を旅費交通費とする誤答に注意してください。
第16章税金の処理(所得税・固定資産税・印紙税・消費税)0 / 24▼
4つの税金を「誰にかかる税金か」で仕分けし、租税公課・資本金・預り金・仮払消費税と仮受消費税を迷わず選べるようになります。
- 所得税・固定資産税・印紙税・消費税の4つを「誰にかかる税金か」で仕分けできる。
- 租税公課・資本金・預り金・未払固定資産税を、場面に応じて正しく選び分けられる。
- 税抜方式で仮払消費税と仮受消費税を使い、税込金額から税抜金額と消費税額を計算できる。
1. 税金は「誰にかかるか」で置き場所が決まる
「税金を払ったのだから費用だ」と考えると、この章は必ず落とします。簿記では、その税金が誰にかかっているかで処理がまったく変わるからです。
判定の順番はいつも同じです。次の3つを上から順に確かめてください。
- 店(事業)そのものにかかる税金か。→ 店の費用になる。租税公課を使う。
- 事業主個人にかかる税金か。→ 店の費用にならない。資本金を減らす。
- 他人の税金を預かった、または他人に払っただけか。→ 店の費用にならない。預り金・仮払消費税・仮受消費税で受ける。
| 税金の種類 | 誰にかかるか | 使う勘定科目 | 店の費用になるか |
|---|---|---|---|
| 所得税 | 事業主個人(もうけにかかる) | 資本金(減少) | ならない |
| 固定資産税 | 事業が使う建物・土地・備品など | 租税公課(費用) | なる |
| 印紙税 | 事業の契約書・領収書(収入印紙) | 租税公課(費用) | なる |
| 消費税 | 最終的に商品を買った消費者 | 仮払消費税/仮受消費税 | ならない |
費用になるのは固定資産税と印紙税の2つだけです。この2つだけが租税公課という費用の科目を使います。
租税公課になるのは固定資産税と印紙税だけ。所得税は資本金、消費税は仮払消費税と仮受消費税です。この一行を丸暗記すれば、税金の仕訳はほとんど落としません。
「税金 イコール 租税公課」と短絡してはいけません。所得税を租税公課で処理すると、店の費用が水増しされ、当月の利益が実際より少なく計算されます。試験では所得税と固定資産税をわざと並べて出し、この区別ができているかを見てきます。
2. 所得税 — 「事業主本人」と「従業員」で扱いが正反対
所得税は、個人のもうけ(所得)にかかる税金です。この章では2つの場面が出ます。絶対に混ぜないでください。
(1) 事業主本人の所得税は、資本金を減らす
個人企業では、店のもうけがそのまま事業主個人のもうけになります。ですから所得税は事業主個人にかかる税金であって、店が負担すべきものではありません。
店のお金で納めた場合は、事業主が私用のためにお金を持ち出したのと同じことです。したがって資本金の減少として処理します。第14章で学んだ引出と同じ扱いです。
たとえば所得税 240,000円を店の現金で納付したときは、借方に資本金 240,000円、貸方に現金 240,000円と書きます。租税公課は出てきません。
(2) 従業員から預かった源泉所得税は、預り金
従業員の給料からは、本人が納めるべき所得税があらかじめ差し引かれます。この仕組みを源泉徴収といいました。第11章で学んだとおりです。
差し引いた分は従業員個人の税金であり、店はいったん預かっているだけです。渡す義務があるので預り金(負債)で処理し、納付したときに預り金を減らします。
かかる相手は事業主個人
店の費用にしない
納付時 → 借方 資本金
例:所得税 240,000円を店の現金で納付
借方 資本金 240,000/貸方 現金 240,000
かかる相手は従業員個人
店の費用にしない
給料支給時 → 貸方 預り金
例:預かった 19,000円を現金で納付
借方 預り金 19,000/貸方 現金 19,000
どちらも店の費用にはなりません。ただし置き場所は資本金と預り金でまったく違います。
問題文の主語を読むだけで決まります。「事業主個人にかかる所得税」と書いてあれば資本金。「従業員の給料から差し引いた所得税」「源泉徴収した所得税」と書いてあれば預り金です。金額の大小や納付先はヒントになりません。
3. 固定資産税 — 通知を受けた時と、納めた時の2ステップ
固定資産税は、店が所有する建物・土地・備品などにかかる税金です。事業が使っている資産にかかるので、店が負担すべき費用になります。科目は租税公課です。
固定資産税は市区町村が金額を決め、納税通知書を送ってきます。通常は年4回に分けて納めます。ここで、簿記としては2つの書き方があります。
(1) 納付したときにまとめて費用にする
通知書を受け取っただけでは何も書かず、実際に納めたときに租税公課を計上する方法です。仕訳は1本だけです。
例:固定資産税 168,000円を現金で納付した。→ 借方 租税公課 168,000/貸方 現金 168,000
(2) 通知書を受け取ったときに未払を計上する
通知書を受け取った時点で、店が納めるべき金額はすでに確定しています。そこでその時点で費用に計上し、まだ払っていない分を負債にしておく方法があります。この負債が未払固定資産税です。
その後、各期の分を納めるたびに未払固定資産税を減らしていきます。減らし終わったとき、残高はゼロになります。
年税額の全部を費用にする
借方 租税公課
貸方 未払固定資産税
負債を減らすだけ
借方 未払固定資産税
貸方 現金など
| 日付 | 取引 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|---|
| 7月10日 | 納税通知書 192,000円を受け取った | 租税公課 192,000 | 未払固定資産税 192,000 |
| 7月31日 | 第1期分 48,000円を現金で納付 | 未払固定資産税 48,000 | 現金 48,000 |
| 9月30日 | 第2期分 48,000円を現金で納付 | 未払固定資産税 48,000 | 現金 48,000 |
7月31日と9月30日には租税公課が出てきません。費用はすでに7月10日に計上ずみだからです。
未払固定資産税が登場するかどうかは、問題文の「納税通知書を受け取った」「未払分として計上した」という言葉で判断します。この言葉がなく、いきなり「納付した」とだけ書かれていれば、租税公課と現金の1本だけで完結します。
未払固定資産税を計上したあとで納付したとき、もう一度 租税公課を借方に書いてはいけません。同じ費用を二重に計上することになり、利益が実際より小さくなってしまいます。納付時に動くのは負債と現金だけです。
4. 印紙税 — 収入印紙は買った時点で租税公課
一定金額以上の契約書や領収書には、収入印紙を貼って印を押す必要があります。この収入印紙の代金が印紙税です。事業の書類のために店が負担する税金なので、費用として租税公課で処理します。
初級では、購入したときに全額を租税公課にする方法だけを学びます。使い残しを資産に振り替えるような処理は出てきません。
例:契約書に貼る収入印紙 24,000円を現金で購入した。→ 借方 租税公課 24,000/貸方 現金 24,000
郵便切手と一緒に買う問題に気をつける
郵便局では収入印紙と郵便切手の両方を売っています。試験では、この2つを同時に買う取引がよく出ます。
収入印紙は税金なので租税公課、郵便切手は郵便料金なので通信費です。名前が似ていても中身はまったく違います。
| 租税公課になるもの(店の費用) | 租税公課にならないもの(正しい科目) |
|---|---|
| 店が所有する建物・土地の固定資産税 | 事業主個人にかかる所得税 → 資本金の減少 |
| 店が使う備品・車両の固定資産税 | 従業員から源泉徴収した所得税 → 預り金 |
| 契約書・領収書に貼る収入印紙(印紙税) | 仕入や売上にかかる消費税 → 仮払消費税・仮受消費税 |
| 事業の届出に必要な証明書の手数料など | 郵便切手・はがきの代金 → 通信費 |
| – | 固定資産を買うためにかかった登記費用 → 取得原価に含める |
いちばん下の行は第13章の内容です。固定資産の取得のためにかかった支出は、費用にせず資産の金額に足し込みます。
収入印紙は租税公課、郵便切手は通信費。どちらも郵便局で買える紙ですが、片方は税金、片方は郵便料金です。セットで出たら借方が2行になります。
5. 消費税 — 税抜方式で「預かる」「預ける」を分けて記録する
消費税は、商品やサービスを買った人が負担する税金です。税率は10パーセントとします。
ここで大切なのは、消費税を最終的に負担するのは消費者であって、店ではないという点です。店は消費者から消費税を預かり、それを国に納める役目を担っているだけです。
店から見た消費税の動き
店は2つの立場を同時に持ちます。
- 仕入れるとき 仕入先に消費税を払う。この分はあとで国に納める額から差し引けるので、返ってくるお金と同じ性質です。だから仮払消費税(資産)で受けます。
- 売るとき 得意先から消費税を預かる。あとで国に納める義務があるので、仮受消費税(負債)で受けます。
そして、預かった額から払った額を差し引いた残りを国に納めます。これが消費税の基本的な流れです。
仕入先に消費税 50,000円を払う
借方 仮払消費税 50,000
(資産の増加)
得意先から消費税 80,000円を預かる
貸方 仮受消費税 80,000
(負債の増加)
80,000円ひく 50,000円
差額 30,000円を国に納める
店の負担はゼロ
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 500,000 | 買掛金 | 550,000 |
| 仮払消費税 | 50,000 | – | – |
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 880,000 | 売上 | 800,000 |
| – | – | 仮受消費税 | 80,000 |
税抜方式では、仕入と売上に消費税を含めない
いま見たように、仕入は 500,000円、売上は 800,000円で計上しました。消費税の 50,000円や 80,000円は仕入にも売上にも入れません。これが税抜方式です。
消費税は店のもうけとは関係のないお金です。売上に含めてしまうと、預かっただけのお金がもうけに見えてしまいます。だから分けて記録します。
税抜方式の仕訳は、必ず3行以上になります。仕入か売上が1行、消費税が1行、相手科目(現金や掛け)が1行です。2行で終わったら、消費税を書き忘れています。
税込と税抜の計算はこの2式だけ
問題文の金額が「税抜」で示されるか「税込」で示されるかで、計算が変わります。使う式は2本だけです。
- 税抜金額が分かっているとき 消費税額 イコール 税抜金額 × 0.1/税込金額 イコール 税抜金額 × 1.1
- 税込金額が分かっているとき 税抜金額 イコール 税込金額 ÷ 1.1/消費税額 イコール 税込金額 ÷ 11
税込金額から消費税を出すとき、税込金額に 0.1 を掛けてはいけません。税込金額のなかにはすでに消費税が入っているからです。
税抜金額から求めるとき
| 税抜金額 | 消費税額(税抜 × 0.1) | 税込金額(税抜 × 1.1) |
|---|---|---|
| 100,000 | 10,000 | 110,000 |
| 200,000 | 20,000 | 220,000 |
| 300,000 | 30,000 | 330,000 |
| 400,000 | 40,000 | 440,000 |
| 500,000 | 50,000 | 550,000 |
| 800,000 | 80,000 | 880,000 |
税込金額から求めるとき
| 税込金額 | 税抜金額(税込 ÷ 1.1) | 消費税額(税込 ÷ 11) |
|---|---|---|
| 110,000 | 100,000 | 10,000 |
| 220,000 | 200,000 | 20,000 |
| 330,000 | 300,000 | 30,000 |
| 550,000 | 500,000 | 50,000 |
| 792,000 | 720,000 | 72,000 |
| 968,000 | 880,000 | 88,000 |
右端の列は「税込 ÷ 11」で一気に出ます。税込 792,000円なら 792,000 わる 11 で 72,000円です。
税込 ÷ 1.1 イコール 税抜、税込 ÷ 11 イコール 消費税。この2つを覚えておけば、税込金額しか書かれていない問題でも一瞬で分解できます。検算は「税抜 たす 消費税 イコール 税込」で必ず行ってください。
「商品を 440,000円で売り上げた(税込)」と書かれているのに、売上を 440,000円で計上するのは誤りです。正しくは売上 400,000円と仮受消費税 40,000円に分けます。逆に「税抜 400,000円」と書かれていれば、そのまま売上 400,000円とし、消費税 40,000円を足して代金を 440,000円とします。税込か税抜かを読み違えないことが最大の防御です。
試算表では「未払の税額」として問われる
月末の試算表には、仮払消費税が借方に、仮受消費税が貸方に残高として並びます。第3問では、この2つを使って「未払の税額はいくらか」と問われることがあります。
答え方は簡単です。仮受消費税 ひく 仮払消費税で計算します。これが、国にこれから納める見込みの金額です。
仮払消費税は資産なので借方に、仮受消費税は負債なので貸方に残高が出ます。未払の税額は 215,000円ひく 132,000円で 83,000円です。
初級では、この差額を実際に振り替える決算の仕訳までは書きません。求められるのは仮受消費税 ひく 仮払消費税 イコール 納付見込額という関係だけです。引く向きを逆にしないよう気をつけてください。預かった額のほうが大きいのが通常です。
6. 例題で流れを追う
商品を税込 660,000円で仕入れ、代金は掛けとしました。その後この商品をすべて、税抜 900,000円で売り渡し、消費税とあわせた金額を掛けとしました。税率は 10パーセント、税抜方式で処理します。2つの仕訳を示し、納付見込額も答えなさい。
STEP1 仕入の金額を分解します。問題文は税込 660,000円です。税抜は 660,000 わる 1.1 で 600,000円、消費税は 660,000 わる 11 で 60,000円。検算すると 600,000 たす 60,000 で 660,000円となり一致します。
STEP2 仕入の仕訳を書きます。借方は仕入 600,000円(費用の発生)と仮払消費税 60,000円(資産の増加)。貸方は支払義務である買掛金 660,000円です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 600,000 | 買掛金 | 660,000 |
| 仮払消費税 | 60,000 | – | – |
STEP3 売上は税抜で示されています。そのまま売上 900,000円とし、消費税は 900,000 かける 0.1 で 90,000円。受け取る代金は 900,000 たす 90,000 で 990,000円です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 990,000 | 売上 | 900,000 |
| – | – | 仮受消費税 | 90,000 |
STEP4 納付見込額を出します。仮受消費税 90,000円ひく仮払消費税 60,000円で 30,000円です。もうけは 900,000 ひく 600,000 で 300,000円、その 10パーセントと一致することを確かめておきましょう。
7月10日、店が所有する建物と土地にかかる固定資産税 192,000円の納税通知書を受け取り、未払分として計上しました。7月31日、そのうち第1期分 48,000円を店の現金で納付しました。2つの仕訳を示しなさい。
STEP1 7月10日を考えます。「納税通知書を受け取り、未払分として計上した」とあります。金額が確定したので、年税額の全額 192,000円を費用にします。借方は租税公課、貸方はまだ払っていない義務なので未払固定資産税(負債の増加)です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 192,000 | 未払固定資産税 | 192,000 |
STEP2 7月31日を考えます。費用はすでに10日に計上ずみです。ここで動くのは負債と現金だけ。借方は未払固定資産税 48,000円(負債の減少)、貸方は現金 48,000円です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未払固定資産税 | 48,000 | 現金 | 48,000 |
31日にもう一度 租税公課と書くのは誤りです。同じ費用を二重に計上してしまいます。未払固定資産税の残高は 192,000 ひく 48,000 で 144,000円になります。
取引先と結ぶ契約書に貼る収入印紙 24,000円と、郵便切手 9,000円を現金で購入し、収入印紙はただちに使用しました。仕訳を示しなさい。
STEP1 出ていったお金を確かめます。24,000 たす 9,000 で 33,000円。現金の減少なので貸方に現金 33,000円です。
STEP2 中身を2つに分けます。収入印紙は印紙税という税金なので租税公課 24,000円。郵便切手は郵便料金なので通信費 9,000円。どちらも費用の発生で借方です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 24,000 | 現金 | 33,000 |
| 通信費 | 9,000 | – | – |
借方は 24,000 たす 9,000 で 33,000円。貸方と一致します。まとめて租税公課 33,000円としたり、まとめて消耗品費としたりするのは誤りです。
- 租税公課になるのは固定資産税と印紙税だけ。事業主の所得税は資本金、従業員の源泉所得税は預り金。
- 納税通知書を受け取って未払を計上したら租税公課と未払固定資産税。納付時は未払固定資産税を減らすだけ。
- 税抜方式は仕入・売上に消費税を含めない。税込 ÷ 1.1 で税抜、税込 ÷ 11 で消費税、仮受ひく仮払が納付見込額。
章末演習(24問)
事業主個人にかかる所得税 240,000円を、店の現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 240,000 | 現金 | 240,000 |
解説
所得税は事業主個人にかかる税金で、店が負担すべきものではありません。店のお金で納めたので、事業主が私用のためにお金を持ち出したのと同じです。借方は資本金(純資産の減少)、貸方は現金 240,000円です。租税公課は使いません。
店が所有する建物にかかる固定資産税 168,000円を、現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 168,000 | 現金 | 168,000 |
解説
固定資産税は、事業が使っている建物にかかる税金です。店が負担すべき費用なので、借方は租税公課 168,000円(費用の発生)。貸方は減った現金です。納税通知書や未払の記述がないので、この1本で完結します。
契約書に貼る収入印紙 15,000円を現金で購入し、ただちに使用した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 15,000 | 現金 | 15,000 |
解説
収入印紙の代金は印紙税です。事業の契約書のために店が負担する税金なので、借方は租税公課 15,000円(費用の発生)。貸方は現金です。通信費や消耗品費にしないよう注意してください。
従業員に今月分の給料 300,000円を支給し、所得税の源泉徴収額 19,000円を差し引いた残額を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 300,000 | 預り金 | 19,000 |
| – | – | 現金 | 281,000 |
解説
借方は天引き前の総額である給料 300,000円です。差し引いた所得税 19,000円は従業員個人の税金を預かっただけなので、貸方は預り金(負債の増加)。手取額は 300,000 ひく 19,000 で 281,000円となり、貸方の現金です。租税公課ではありません。
店が所有する土地にかかる固定資産税 240,000円の納税通知書を受け取り、未払分として計上した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 240,000 | 未払固定資産税 | 240,000 |
解説
通知書を受け取った時点で納めるべき金額が確定します。そこで年税額の全額 240,000円を費用にし、借方は租税公課。まだ払っていないので、貸方は未払固定資産税(負債の増加)です。この段階では現金は動きません。
商品を税抜 400,000円で仕入れ、消費税 10パーセントとあわせた金額を掛けとした。税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 400,000 | 買掛金 | 440,000 |
| 仮払消費税 | 40,000 | – | – |
解説
消費税は 400,000 かける 0.1 で 40,000円。税抜方式なので仕入は 400,000円のまま計上し、支払った消費税は借方に仮払消費税 40,000円(資産の増加)とします。貸方は代金の総額 400,000 たす 40,000 で 440,000円の買掛金です。
商品を税抜 600,000円で売り上げ、消費税 10パーセントとあわせた金額を掛けとした。税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 660,000 | 売上 | 600,000 |
| – | – | 仮受消費税 | 60,000 |
解説
消費税は 600,000 かける 0.1 で 60,000円。税抜方式なので売上は 600,000円のまま計上し、預かった消費税は貸方に仮受消費税 60,000円(負債の増加)とします。借方は受け取る権利である売掛金 660,000円です。売上を 660,000円としてはいけません。
商品を税込 330,000円で売り上げた。税率を 10パーセントとするとき、この売上に含まれる消費税額はいくらか。
解答と解説
正解
30,000 円
解説
税込金額から消費税を出すときは 11 で割ります。330,000 わる 11 で 30,000円です。税抜金額は 330,000 わる 1.1 で 300,000円。検算すると 300,000 たす 30,000 で 330,000円となり一致します。税込金額に 0.1 を掛けると 33,000円となり誤りです。
郵便局で収入印紙 20,000円と郵便切手 5,000円を現金で購入した。このときの借方の勘定科目の組合せとして正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 租税公課 20,000円と通信費 5,000円
解説
収入印紙の代金は印紙税という税金なので租税公課 20,000円。郵便切手は郵便料金なので通信費 5,000円です。同じ窓口で買っても中身が違うため、借方は2行に分かれます。まとめて1科目にするのは誤りです。
さきに未払分として計上していた固定資産税 240,000円のうち、第1期分 60,000円を現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未払固定資産税 | 60,000 | 現金 | 60,000 |
解説
費用である租税公課は、通知書を受け取ったときにすでに計上ずみです。納付時に動くのは負債と現金だけ。借方は未払固定資産税 60,000円(負債の減少)、貸方は現金です。ここで租税公課を書くと費用の二重計上になります。
従業員の給料から預かっていた所得税 19,000円を、現金で税務署に納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 預り金 | 19,000 | 現金 | 19,000 |
解説
預かっていたのは従業員個人の税金です。国に渡したことで渡す義務がなくなったので、借方は預り金 19,000円(負債の減少)、貸方は現金です。店の税金ではないため租税公課は使いません。これで預り金の残高がゼロに戻ります。
商品を税込 550,000円で仕入れ、代金は掛けとした。税率は 10パーセント、税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 500,000 | 買掛金 | 550,000 |
| 仮払消費税 | 50,000 | – | – |
解説
税込で示されているので分解します。税抜は 550,000 わる 1.1 で 500,000円、消費税は 550,000 わる 11 で 50,000円。借方は仕入 500,000円と仮払消費税 50,000円、貸方は買掛金 550,000円です。仕入を 550,000円としないでください。
商品を税込 880,000円で売り上げ、代金は掛けとした。税率は 10パーセント、税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 880,000 | 売上 | 800,000 |
| – | – | 仮受消費税 | 80,000 |
解説
税抜は 880,000 わる 1.1 で 800,000円、消費税は 880,000 わる 11 で 80,000円。借方は売掛金 880,000円、貸方は売上 800,000円と仮受消費税 80,000円です。売上に消費税を含めると、預かっただけのお金がもうけに見えてしまいます。
事業主個人にかかる所得税 180,000円と、店が所有する建物にかかる固定資産税 96,000円を、いずれも店の普通預金口座から納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 180,000 | 普通預金 | 276,000 |
| 租税公課 | 96,000 | – | – |
解説
2つの税金を分けて考えます。所得税 180,000円は事業主個人の税金なので費用にせず資本金の減少。固定資産税 96,000円は店の建物にかかるので費用の租税公課です。出ていった普通預金は 180,000 たす 96,000 で 276,000円となり、借方合計と一致します。
収入印紙 30,000円と郵便切手 8,000円を現金で購入し、収入印紙はただちに使用した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 30,000 | 現金 | 38,000 |
| 通信費 | 8,000 | – | – |
解説
収入印紙は印紙税なので租税公課 30,000円、郵便切手は郵便料金なので通信費 8,000円。どちらも費用の発生で借方です。貸方は出ていった現金 30,000 たす 8,000 で 38,000円となります。
商品を税抜 250,000円で仕入れ、消費税 10パーセントを含めた代金を小切手を振り出して支払った。税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 250,000 | 当座預金 | 275,000 |
| 仮払消費税 | 25,000 | – | – |
解説
消費税は 250,000 かける 0.1 で 25,000円。借方は仕入 250,000円と仮払消費税 25,000円です。小切手を振り出したときは当座預金の減少なので、貸方は当座預金 250,000 たす 25,000 で 275,000円となります。
商品を税込 792,000円で仕入れた。税率を 10パーセントとするとき、この仕入に含まれる消費税額はいくらか。
解答と解説
正解
72,000 円
解説
税込金額を 11 で割ります。792,000 わる 11 で 72,000円です。税抜金額は 792,000 わる 1.1 で 720,000円。検算すると 720,000 たす 72,000 で 792,000円となり一致します。仕訳では借方に仕入 720,000円と仮払消費税 72,000円が並びます。
月末の残高試算表に、仮受消費税 96,000円と仮払消費税 58,000円が計上されている。これから国に納めることになる消費税額はいくらか。
解答と解説
正解
38,000 円
解説
納付見込額は、預かった額から払った額を差し引いて求めます。96,000 ひく 58,000 で 38,000円です。仮受消費税は負債なので貸方残高、仮払消費税は資産なので借方残高になります。引く向きを逆にしないよう注意してください。
税抜方式で、商品を税込 440,000円で売り上げ、代金は掛けとした。売上勘定に計上する金額として正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 400,000円
解説
税抜方式では売上に消費税を含めません。税抜金額は 440,000 わる 1.1 で 400,000円です。残りの 40,000円は預かった消費税なので仮受消費税(負債)になります。借方は売掛金 440,000円です。
商品を税抜 700,000円で売り上げ、消費税 10パーセントを加えた代金のうち 300,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 300,000 | 売上 | 700,000 |
| 売掛金 | 470,000 | 仮受消費税 | 70,000 |
解説
消費税は 700,000 かける 0.1 で 70,000円なので、受け取る代金の総額は 770,000円。うち現金が 300,000円なので、掛けは 770,000 ひく 300,000 で 470,000円です。貸方は売上 700,000円と仮受消費税 70,000円。借方合計 770,000円と一致します。掛けの金額を 400,000円としないよう注意してください。
事業主個人にかかる所得税 210,000円を店の現金で納付するとともに、店が所有する土地にかかる固定資産税 84,000円の納税通知書を受け取り、未払分として計上した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 210,000 | 現金 | 210,000 |
| 租税公課 | 84,000 | 未払固定資産税 | 84,000 |
解説
2つの出来事を1つの仕訳にまとめます。所得税 210,000円は事業主個人の税金なので借方は資本金、現金で納めたので貸方は現金 210,000円。固定資産税 84,000円は店の費用なので借方は租税公課、まだ払っていないので貸方は未払固定資産税です。借方合計も貸方合計も 294,000円になります。
商品を税込 968,000円で仕入れ、代金のうち 168,000円は現金で支払い、残額は掛けとした。税率は 10パーセント、税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 880,000 | 現金 | 168,000 |
| 仮払消費税 | 88,000 | 買掛金 | 800,000 |
解説
まず税込を分解します。税抜は 968,000 わる 1.1 で 880,000円、消費税は 968,000 わる 11 で 88,000円。借方は仕入 880,000円と仮払消費税 88,000円で合計 968,000円です。貸方は現金 168,000円と、残額 968,000 ひく 168,000 で 800,000円の買掛金となります。
当月の売上高は税抜 1,450,000円、仕入高は税抜 890,000円であった。税率を 10パーセントとするとき、仮受消費税と仮払消費税の差額として求められる納付見込額はいくらか。
解答と解説
正解
56,000 円
解説
仮受消費税は 1,450,000 かける 0.1 で 145,000円、仮払消費税は 890,000 かける 0.1 で 89,000円。差額は 145,000 ひく 89,000 で 56,000円です。もうけ 1,450,000 ひく 890,000 イコール 560,000円の 10パーセントと一致することでも検算できます。
月末の合計残高試算表において、仮払消費税の借方残高は 132,000円、仮受消費税の貸方残高は 215,000円であった。この試算表から読み取れる未払の税額はいくらか。
解答と解説
正解
83,000 円
解説
未払の税額は、預かった消費税から支払った消費税を差し引いた金額です。215,000 ひく 132,000 で 83,000円となります。仮払消費税は資産なので借方に、仮受消費税は負債なので貸方に残高が並びます。初級ではこの差額を振り替える仕訳までは求められません。
第17章証ひょうと伝票0 / 22▼
領収書や請求書から仕訳を起こし、3種類の伝票を使い分け、1日分の伝票を仕訳日計表にまとめるまでを一本の線でつなげます。
- 主な証ひょうの役割を説明し、そこから4点を読み取って仕訳を起こせる。
- 入金伝票・出金伝票・振替伝票を使い分け、伝票から仕訳を復元できる。
- 1日分の伝票を仕訳日計表に集計し、総勘定元帳へ転記する流れを説明できる。
1. 証ひょう — 仕訳のもとになる紙
簿記の勉強では「商品 300,000円を掛けで仕入れた」といった文章が最初から与えられます。しかし実務にそんな親切な文章はありません。手元にあるのは領収書や請求書といった紙や電子データだけです。
取引があったことを裏づけるこれらの書類を証ひょうといいます。証ひょうは仕訳のもとになる資料であり、同時に「この仕訳はでたらめではない」と示す証拠でもあります。
証ひょうを読む力は、そのまま第2問の得点力になります。試験でも領収書や請求書の形をした資料が示され、そこから仕訳を選ばせる出題があります。
| 証ひょう | だれが作るか | 読み取れること | 起こす仕訳の例 |
|---|---|---|---|
| 領収書(受け取った分) | 代金を受け取った相手 | 支払った日・相手・金額・内容 | 借方 旅費交通費/貸方 現金 |
| レシート | 買い物をした店 | 少額の現金支払いの明細 | 借方 消耗品費/貸方 現金 |
| 請求書(受け取った分) | 仕入先 | 掛けで買った金額・支払期日 | 借方 仕入/貸方 買掛金 |
| 請求書の控え(出した分) | 自社 | 掛けで売った金額・入金期日 | 借方 売掛金/貸方 売上 |
| 納品書 | 商品を引き渡す側 | 品名・数量・引渡日 | 借方 仕入/貸方 買掛金 |
| 注文書 | 注文する側 | 注文した品と数量 | 仕訳なし(まだ取引ではない) |
| 預金通帳 | 銀行 | 入出金の日付と金額 | 借方 普通預金/貸方 売掛金 |
| 振込明細 | 銀行 | 振込日・相手・金額・手数料 | 借方 買掛金と支払手数料/貸方 普通預金 |
| 給与明細の控え | 自社 | 給料総額・天引額・差引支給額 | 借方 給料/貸方 預り金と現金 |
証ひょうから仕訳を起こす4点読み取り
どの証ひょうでも、読み取る場所は同じです。次の4点だけを順に拾えば、仕訳は必ず組み上がります。
いつの取引か
仕訳の日付になる
だれとの取引か
得意先か仕入先かを判定
いくらか
本体と消費税を分ける
なにを買い、どう払ったか
勘定科目が決まる
4点のうち、勘定科目を決めるのはSTEP4の内容です。「但し書き」や「品名」の欄を必ず読んでください。同じ 10,000円の領収書でも、但し書きが「切手代」なら通信費、「事務用品代」なら消耗品費、「電車代」なら旅費交通費になります。金額だけ見て科目を決めることはできません。
証ひょうは仕訳を書いたら捨てる紙ではありません。あとから帳簿の内容を確かめられるように、法律で一定期間の保存が義務づけられています。帳簿と証ひょうがそろってはじめて、記録が信用できるものになります。
証ひょうがあっても、仕訳を起こさないものがあります。代表が注文書です。注文しただけでは資産も負債も動いていないので、簿記上の取引ではありません。商品を受け取ったとき、または代金を払ったときにはじめて仕訳をします。
2. 伝票 — 仕訳帳の代わりに使う1枚の紙
仕訳は仕訳帳に書くのが原則でした。しかし仕訳帳は1冊しかありません。1冊の帳簿に全員が書き込むと、担当を分けることができず作業が渋滞します。
そこで、取引1件ごとに1枚の紙に仕訳を書く方法が使われます。この紙を伝票といい、伝票に書くことを起票といいます。伝票を使えば、複数の担当者が同時に記録できます。
伝票を使う仕組みでは、伝票が仕訳帳の役割を果たします。伝票は仕訳そのものだと考えてください。
3伝票制の3種類
初級で扱うのは3伝票制です。次の3種類だけを使い分けます。
- 入金伝票 現金が増えた取引に使う。
- 出金伝票 現金が減った取引に使う。
- 振替伝票 現金が動かない取引に使う。
分かれ道は現金が動いたかどうか、動いたなら増えたのか減ったのかの2つだけです。
動いていない
→ 振替伝票
増えた
→ 入金伝票
借方はかならず現金
減った
→ 出金伝票
貸方はかならず現金
実務では、入金伝票を赤、出金伝票を青で刷り分けることが多く、見た目でも区別できるようになっています。
入金伝票は借方がかならず現金、出金伝票は貸方がかならず現金、それ以外はすべて振替伝票。この3行を覚えれば、伝票の選択問題は落としません。
入金伝票と出金伝票は、片側しか書かない
入金伝票は借方が現金と決まっています。決まっているものをわざわざ書く必要はありません。そこで入金伝票には相手科目(貸方の科目)と金額だけを書きます。
出金伝票も同じです。貸方が現金と決まっているので、相手科目(借方の科目)と金額だけを書きます。
振替伝票だけは現金という手がかりがないので、借方と貸方の両方を書きます。
| 入金伝票 8月10日 No.101 | 金額 |
|---|---|
| 科目 売掛金 | 120,000 |
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 120,000 | 売掛金 | 120,000 |
| 出金伝票 8月10日 No.202 | 金額 |
|---|---|
| 科目 通信費 | 8,000 |
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 通信費 | 8,000 | 現金 | 8,000 |
| 振替伝票 8月10日 No.301 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 借方科目 仕入 | 250,000 | 買掛金 | 250,000 |
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 250,000 | 買掛金 | 250,000 |
伝票から仕訳を復元する手順は機械的です。入金伝票なら借方に現金を足す。出金伝票なら貸方に現金を足す。振替伝票なら書いてあるとおりに写す。金額はすべて伝票に書かれた額をそのまま使います。
入金伝票に書かれた科目を、借方に書いてしまうミスが非常に多いです。入金伝票の借方はいつでも現金で、伝票に書いてある科目は貸方に来ます。出金伝票はその逆です。声に出して確かめてから写してください。
3. 一部現金取引の起票
やっかいなのは、1つの取引に現金の部分と現金以外の部分が混ざる場合です。たとえば「商品 300,000円を仕入れ、100,000円は現金で払い、残額 200,000円は掛けとした」という取引です。
この取引を1つの仕訳で書けば次のとおりです。しかし伝票は、入金・出金・振替のどれか1種類しか選べません。1枚では表せないのです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 300,000 | 現金 | 100,000 |
| – | – | 買掛金 | 200,000 |
そこで、取引を分解する方法を使います。現金が動いた部分と、そうでない部分に切り分け、伝票2枚で表します。
仕入 100,000円を現金で払った
→ 出金伝票へ
仕入 200,000円は掛け
→ 振替伝票へ
| 出金伝票 | 金額 |
|---|---|
| 科目 仕入 | 100,000 |
| 振替伝票 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 借方科目 仕入 | 200,000 | 買掛金 | 200,000 |
2枚を合わせると、借方は 仕入 100,000円たす 200,000円で 300,000円。貸方は 現金 100,000円と買掛金 200,000円。もとの仕訳と完全に一致します。
分解の手順は2ステップです。まず現金の行だけを抜き出して入金伝票または出金伝票にする。残った行をそのまま振替伝票にする。分けたあとに合計しても、もとの取引と一致するかを必ず確かめてください。
一部現金取引の起票には、もう1つ別の方法があります。取引の全額をいったん掛け取引とみなして振替伝票に書き、続けて掛け代金を現金で決済したとみなして入金伝票または出金伝票を書く方法です。上位の級で学びます。初級では、取引を分解する方法だけを確実に使えるようにしてください。
4. 仕訳日計表 — 1日分の伝票をまとめる
伝票は取引1件につき1枚できます。1日で数十枚になることも珍しくありません。これを1枚ずつ総勘定元帳へ転記すると、手間もミスも増えます。
そこで、1日分の伝票を勘定科目ごとに集計した表を作ります。これが仕訳日計表です。集計してから、科目ごとに1本ずつ元帳へ転記します。
作り方は3ステップ
- 伝票を仕訳に直す 入金伝票は借方に現金、出金伝票は貸方に現金を補う。
- 科目ごとに借方・貸方を合計する 同じ科目が何枚に出てきても、すべて足し合わせる。
- 借方合計と貸方合計が一致するか確かめる 一致しなければどこかが間違っている。
| 伝票 | No. | 記入内容 | 復元した仕訳 |
|---|---|---|---|
| 入金伝票 | 101 | 売掛金 120,000 | 現金 120,000/売掛金 120,000 |
| 入金伝票 | 102 | 売上 60,000 | 現金 60,000/売上 60,000 |
| 出金伝票 | 201 | 買掛金 90,000 | 買掛金 90,000/現金 90,000 |
| 出金伝票 | 202 | 通信費 8,000 | 通信費 8,000/現金 8,000 |
| 出金伝票 | 203 | 消耗品費 5,000 | 消耗品費 5,000/現金 5,000 |
| 振替伝票 | 301 | 仕入 250,000/買掛金 250,000 | 仕入 250,000/買掛金 250,000 |
| 振替伝票 | 302 | 売掛金 180,000/売上 180,000 | 売掛金 180,000/売上 180,000 |
これを科目ごとに集計します。現金の借方は入金伝票の合計 120,000円たす 60,000円で 180,000円。現金の貸方は出金伝票の合計 90,000円たす 8,000円たす 5,000円で 103,000円です。
| 借方 | 元丁 | 勘定科目 | 元丁 | 貸方 |
|---|---|---|---|---|
| 180,000 | 1 | 現金 | 1 | 103,000 |
| 180,000 | 4 | 売掛金 | 4 | 120,000 |
| 90,000 | 11 | 買掛金 | 11 | 250,000 |
| – | – | 売上 | 21 | 240,000 |
| 250,000 | 31 | 仕入 | – | – |
| 8,000 | 33 | 通信費 | – | – |
| 5,000 | 34 | 消耗品費 | – | – |
| 713,000 | – | 合計 | – | 713,000 |
借方合計 713,000円と貸方合計 713,000円が一致しました。ここまで来れば集計は正しいと判断できます。
売上は貸方にしか現れず、仕入や通信費は借方にしか現れません。収益は貸方、費用は借方という勘定記入法則がそのまま出ています。片側だけの科目は「-」を引いて空欄と区別します。
仕訳日計表から総勘定元帳へ転記する
集計が終わったら、科目ごとの合計額を総勘定元帳へ転記します。1日に何枚伝票があっても、元帳への記入は科目ごとに借方1行・貸方1行で済みます。
元帳の摘要欄には、相手科目ではなく「仕訳日計表」と書きます。合計額なので相手科目が1つに決まらないからです。仕訳日計表の元丁欄には、転記した元帳のページ番号を書き、どこへ写したかを追えるようにします。
8月10日の現金残高は 250,000円たす 180,000円ひく 103,000円で 327,000円。当日の現金の純増加額は 180,000円ひく 103,000円で 77,000円です。
仕訳日計表と試算表を混同しないでください。仕訳日計表は1日分の伝票を集計した表で、その日の動きだけを表します。試算表は元帳の全記録を集計した表で、前月からの繰越を含みます。集計する対象がまったく違います。
5. 例題で流れを追う
次の領収書を受け取り、代金は現金で支払いました。仕訳を示しなさい。
| 領 収 書 | |
|---|---|
| 日付 | 8月12日 |
| 宛名 | 大通商事 様 |
| 但し書き | 事務用コピー用紙代として |
| 本体価格 | 25,000 |
| 消費税 | 2,500 |
| 合計 | 27,500 |
| 発行 | 北央文具店 |
STEP1 日付と相手を確認します。8月12日に北央文具店へ支払った取引です。宛名が自社になっているので、支払った側であることが分かります。
STEP2 内容から科目を決めます。但し書きは「事務用コピー用紙代」。文房具などの事務用品は、支払時に消耗品費(費用)で処理します。
STEP3 金額を分けます。税抜方式なので、本体価格 25,000円を消耗品費、消費税 2,500円を仮払消費税(資産)とします。合計をまとめて費用にしてはいけません。
STEP4 支払方法を確認します。現金で払ったので、貸方は現金 27,500円です。領収書に書かれた合計額がそのまま出ていく金額になります。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 25,000 | 現金 | 27,500 |
| 仮払消費税 | 2,500 | – | – |
借方は 25,000円たす 2,500円で 27,500円。貸方と一致します。
次の3枚の伝票について、それぞれが表す仕訳を示しなさい。
| 伝票 | 記入内容 |
|---|---|
| 入金伝票 | 科目 前受金 50,000 |
| 出金伝票 | 科目 旅費交通費 13,600 |
| 振替伝票 | 借方 売掛金 240,000/貸方 売上 240,000 |
STEP1 入金伝票を開きます。入金伝票は借方がかならず現金です。書かれている前受金は貸方へ回します。商品の内金を現金で受け取った取引だと分かります。
STEP2 出金伝票を開きます。出金伝票は貸方がかならず現金です。書かれている旅費交通費は借方へ回します。
STEP3 振替伝票はそのまま写します。借方と貸方の両方が書かれているので、手を加える必要はありません。商品を掛けで売り上げた取引です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 50,000 | 前受金 | 50,000 |
| 旅費交通費 | 13,600 | 現金 | 13,600 |
| 売掛金 | 240,000 | 売上 | 240,000 |
入金伝票と出金伝票では、現金が置かれる側が反対になります。ここを取り違えなければ復元は簡単です。
事務所で使う応接セット 180,000円を購入し、50,000円は現金で支払い、残額は翌月末に支払うことにしました。取引を分解する方法で起票しなさい。
STEP1 もとの仕訳を作ります。備品 180,000円が借方。貸方は現金 50,000円と、商品以外の未払いなので未払金 130,000円です。買掛金ではありません。
STEP2 現金の部分を切り出します。現金が 50,000円減っているので出金伝票です。相手科目は備品、金額は 50,000円と書きます。
STEP3 残りを振替伝票にします。残った行は 備品 130,000円と未払金 130,000円。現金が動かないので振替伝票へ、借方と貸方の両方を書きます。
| 出金伝票 | 金額 |
|---|---|
| 科目 備品 | 50,000 |
| 振替伝票 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 借方科目 備品 | 130,000 | 未払金 | 130,000 |
STEP4 検算します。備品は 50,000円たす 130,000円で 180,000円。貸方は現金 50,000円と未払金 130,000円。もとの取引と一致しました。
- 証ひょうからは日付・相手・金額・内容の4点を読む。科目を決めるのは但し書きなどの内容欄。
- 入金伝票は借方が現金、出金伝票は貸方が現金、それ以外は振替伝票。一部現金取引は現金の部分を切り出して2枚に分解する。
- 仕訳日計表は1日分の伝票を科目ごとに集計した表。借方合計と貸方合計の一致を確かめてから、科目ごとに1本ずつ元帳へ転記する。
章末演習(22問)
取引先を訪問するための電車代 1,400円を現金で支払い、領収書を受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 1,400 | 現金 | 1,400 |
解説
領収書の但し書きが電車代なので、科目は旅費交通費(費用の発生)で借方。現金が 1,400円減ったので貸方は現金です。証ひょうから科目を決めるときは、金額ではなく内容の欄を読みます。
仕入先の北光商会から、商品 250,000円分の請求書を受け取った。商品はすでに受け取っており、代金は翌月末払いである。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 250,000 | 買掛金 | 250,000 |
解説
商品を受け取っているので仕入(費用の発生)を借方に計上します。代金は翌月末払いなので、商品代金の未払いを表す買掛金(負債の増加)が貸方です。未払金ではありません。
入金伝票に「科目 売掛金 90,000」と記入されていた。この伝票が表す仕訳を示しなさい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 90,000 | 売掛金 | 90,000 |
解説
入金伝票は借方がかならず現金です。伝票に書かれた売掛金は貸方へ回します。売掛金を現金で回収した取引を表しています。書かれた科目を借方に置かないよう注意してください。
出金伝票に「科目 通信費 7,200」と記入されていた。この伝票が表す仕訳を示しなさい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 通信費 | 7,200 | 現金 | 7,200 |
解説
出金伝票は貸方がかならず現金です。伝票に書かれた通信費は借方へ回します。切手代や電話代などを現金で支払った取引を表しています。
振替伝票に、借方「買掛金 160,000」貸方「普通預金 160,000」と記入されていた。この伝票が表す仕訳を示しなさい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 160,000 | 普通預金 | 160,000 |
解説
振替伝票は借方と貸方の両方が書かれているので、そのまま写すだけです。現金が動かない取引に使う伝票なので、現金を補う必要はありません。買掛金を普通預金から支払った取引です。
商品 120,000円を売り上げ、代金を現金で受け取った。この取引を起票する伝票はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 入金伝票
解説
現金が 120,000円増えているので入金伝票です。入金伝票には相手科目である売上と金額 120,000円を書きます。仕訳日計表は伝票を集計する表であって、起票に使う伝票ではありません。
入金伝票についての説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 借方はかならず現金になる
解説
入金伝票は現金が増えた取引に使うので、借方はかならず現金です。決まっているため記入は省略し、相手科目である貸方の科目と金額だけを書きます。貸方が現金になるのは出金伝票、両方を書くのは振替伝票です。
次の証ひょうのうち、それを受け取っただけでは簿記上の仕訳を起こさないものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 注文書
解説
注文書は「これから買います」という意思表示にすぎず、資産も負債も動いていません。したがって簿記上の取引ではなく、仕訳をしません。領収書は代金の支払い、納品書は商品の受け渡し、預金通帳は入出金という事実を表すので、いずれも仕訳を起こします。
ある日の入金伝票の合計金額は 320,000円、出金伝票の合計金額は 185,000円であった。この日の現金の純増加額はいくらか。
解答と解説
正解
135,000 円
解説
入金伝票の合計は現金の増加額、出金伝票の合計は現金の減少額です。320,000円ひく 185,000円イコール 135,000円が純増加額になります。振替伝票は現金が動かない取引なので、この計算には関係しません。
事務用のプリンター用紙を購入し、代金を現金で支払った。領収書には本体価格 18,000円、消費税 1,800円、合計 19,800円と記載されている。消費税は税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 18,000 | 現金 | 19,800 |
| 仮払消費税 | 1,800 | – | – |
解説
事務用品は支払時に消耗品費(費用)で処理します。税抜方式なので、本体価格 18,000円を消耗品費、消費税 1,800円を仮払消費税(資産)に分けて借方に並べます。貸方は実際に支払った現金 19,800円です。合計額をそのまま消耗品費にしてはいけません。
買掛金 300,000円を普通預金口座から振り込んで支払った。振込明細によると、振込手数料 660円もあわせて口座から引き落とされている。手数料は当社が負担する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 300,000 | 普通預金 | 300,660 |
| 支払手数料 | 660 | – | – |
解説
振込明細から読み取るのは、支払った相手・金額・手数料の3点です。買掛金 300,000円(負債の減少)と支払手数料 660円(費用の発生)を借方に並べます。貸方は口座から実際に減った 300,000円たす 660円イコール 300,660円です。
給与明細の控えによると、今月の給料の総額は 285,000円、所得税の源泉徴収額は 17,000円であった。差引支給額を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 285,000 | 預り金 | 17,000 |
| – | – | 現金 | 268,000 |
解説
給与明細から読み取るのは総額と天引額です。借方の給料は天引き前の総額 285,000円。貸方は、あとで納める所得税 17,000円を預り金(負債の増加)、差引支給額 285,000円ひく 17,000円イコール 268,000円を現金とします。
普通預金の通帳を確認したところ、得意先の南郷商店から 145,000円の入金があった。これは売掛金の回収である。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 145,000 | 売掛金 | 145,000 |
解説
通帳は銀行が作る証ひょうで、入出金の日付と金額を確かめられます。普通預金が 145,000円増えたので借方。回収によって受け取る権利がなくなったので、貸方は売掛金(資産の減少)です。
一部現金取引を分解する方法で起票した結果、出金伝票に「科目 仕入 40,000」、振替伝票に借方「仕入 210,000」貸方「買掛金 210,000」と記入されていた。この2枚が表すもとの取引の仕訳を1つにまとめて示しなさい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 250,000 | 現金 | 40,000 |
| – | – | 買掛金 | 210,000 |
解説
出金伝票は貸方が現金なので、仕入 40,000円と現金 40,000円。振替伝票はそのまま仕入 210,000円と買掛金 210,000円です。仕入をまとめると 40,000円たす 210,000円イコール 250,000円。貸方は現金 40,000円と買掛金 210,000円になります。
備品 200,000円を購入し、代金は月末に支払うことにした。この取引の起票として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 振替伝票に借方「備品 200,000」貸方「未払金 200,000」と記入する
解説
代金は月末払いなので現金は動いていません。したがって振替伝票を使います。備品は販売用の商品ではないので、代金の未払いは買掛金ではなく未払金(負債)です。現金が動いていない以上、入金伝票も出金伝票も使えません。
仕訳日計表についての説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 1日分の伝票を勘定科目ごとに集計した表である
解説
仕訳日計表は、その日に起票された伝票を勘定科目ごとに集計した表です。もとはすべて貸借が一致する仕訳なので、借方合計と貸方合計は必ず一致します。前月からの繰越を含めて集計するのは試算表であり、仕訳日計表はその日の動きだけを表します。
商品 90,000円を売り上げ、代金のうち 30,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。取引を分解する方法で起票したときの伝票の組み合わせとして正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 入金伝票「売上 30,000」と振替伝票 借方「売掛金 60,000」貸方「売上 60,000」
解説
もとの仕訳は、借方が現金 30,000円と売掛金 60,000円、貸方が売上 90,000円です。現金が増えた部分を切り出すと、入金伝票に相手科目の売上 30,000円。残った売掛金 60,000円と売上 60,000円を振替伝票に書きます。現金は増えているので出金伝票は使えず、1枚の振替伝票にまとめることもできません。
ある日の伝票は次のとおりであった。入金伝票は 売掛金 130,000円と受取手数料 25,000円。出金伝票は 仕入 70,000円、水道光熱費 12,000円、旅費交通費 6,500円。この日の仕訳日計表における現金勘定の貸方合計はいくらか。
解答と解説
正解
88,500 円
解説
現金の貸方に集まるのは、出金伝票の金額です。70,000円たす 12,000円たす 6,500円イコール 88,500円になります。入金伝票の合計 155,000円は現金の借方側なので、この問いには含めません。
得意先の白石商会へ発行した請求書の控えによると、商品の本体価格 400,000円、消費税 40,000円、合計 440,000円を請求している。商品はすでに引き渡し済みで、代金は翌月末に受け取る。消費税は税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 440,000 | 売上 | 400,000 |
| – | – | 仮受消費税 | 40,000 |
解説
請求書の控えは自社が作る証ひょうで、掛けで売った金額を確かめられます。あとで受け取る金額は消費税込みの 440,000円なので、借方は売掛金 440,000円。貸方は本体価格の売上 400,000円と、預かった消費税である仮受消費税 40,000円(負債)に分けます。売上を 440,000円としないよう注意してください。
給与明細の控えによると、今月の給料の総額は 460,000円、内訳は所得税の源泉徴収額 28,000円、さきに立て替えていた分の回収 12,000円、差引支給額 420,000円であった。差引支給額は普通預金口座から従業員へ振り込んだ。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 460,000 | 預り金 | 28,000 |
| – | – | 立替金 | 12,000 |
| – | – | 普通預金 | 420,000 |
解説
借方は天引き前の総額である給料 460,000円です。貸方は3つに分かれます。所得税 28,000円はあとで納めるので預り金(負債の増加)、立て替えていた 12,000円は回収できたので立替金(資産の減少)、振り込んだ 420,000円は普通預金の減少です。貸方合計は 28,000円たす 12,000円たす 420,000円イコール 460,000円で、借方と一致します。
一部現金取引の起票について、「取引を分解する方法」の説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 現金が動いた部分とそれ以外の部分に分け、現金の部分を入金伝票または出金伝票に、残りを振替伝票に記入する
解説
取引を分解する方法では、もとの仕訳のうち現金が現れる行だけを切り出して入金伝票または出金伝票にし、残った行をそのまま振替伝票にします。伝票は2枚になり、合計するともとの取引と一致します。全額を掛け取引とみなして起票する別の方法もありますが、上位級で扱う内容です。
ある日の伝票は次のとおりであった。入金伝票は 売掛金 210,000円と売上 45,000円。出金伝票は 買掛金 150,000円と通信費 9,000円。振替伝票は 借方 仕入 380,000円/貸方 買掛金 380,000円。この日の仕訳日計表の借方合計はいくらか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 794,000円
解説
科目ごとに借方を集計します。現金の借方は入金伝票の合計 210,000円たす 45,000円イコール 255,000円。買掛金の借方は出金伝票の 150,000円、通信費の借方は 9,000円、仕入の借方は 380,000円です。合計すると 255,000円たす 150,000円たす 9,000円たす 380,000円イコール 794,000円。貸方も現金 159,000円、売掛金 210,000円、売上 45,000円、買掛金 380,000円で 794,000円となり一致します。
第18章補助簿と帳簿組織0 / 20▼
主要簿2冊と補助簿9種の役割を整理し、「この取引はどの帳簿に記入されるか」を取引文から漏れなく選べるようになります。
- 主要簿と補助簿の関係を、補助記入帳・補助元帳に分けて説明できる。
- 1つの取引が複数の補助簿に記入されることを理解し、記入される帳簿をすべて挙げられる。
- 売掛金勘定と得意先元帳のように、統制勘定と補助元帳の残高が一致する理由を説明できる。
1. 帳簿は「主要簿」と「補助簿」の2階建て
1-1 主要簿は必ず作る2冊
第5章と第6章で学んだとおり、簿記で必ず作る帳簿は仕訳帳と総勘定元帳の2冊です。この2冊をあわせて主要簿といいます。
仕訳帳はすべての取引を発生順に記録します。総勘定元帳はすべての取引を勘定科目ごとに集めます。この2冊がそろえば、試算表も貸借対照表も損益計算書も作れます。
1-2 主要簿だけでは知りたいことが分からない
ところが主要簿だけでは、実務で必要な情報が足りません。総勘定元帳の売掛金勘定を開いても、書いてあるのは金額の合計だけです。どの得意先にいくら残っているのかは読み取れません。
商品についても同じです。仕入勘定と売上勘定を見ても、どの商品が何個残っているかは分かりません。
そこで、必要に応じて別の帳簿を用意します。これが補助簿です。補助簿は主要簿を補うための帳簿で、どれを作るかは各企業が自由に決めます。
証ひょうで
内容と金額を確認する
仕訳帳に仕訳し
総勘定元帳へ転記する
試算表を作り
数値を読み取る
補助簿は、この流れの横で同時に記入されます。主要簿のあとで作るのではありません。
| 大分類 | 中分類 | 具体的な帳簿 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 主要簿 (必ず作る) | – | 仕訳帳 | すべての取引を発生順に記録する |
| – | 総勘定元帳 | すべての取引を勘定科目ごとに集める | |
| 補助簿 (必要に応じて作る) | 補助記入帳 | 現金出納帳/当座預金出納帳/仕入帳/売上帳/受取手形記入帳/支払手形記入帳 | 特定の取引だけを発生順に、より詳しく記録する |
| 補助元帳 | 商品有高帳/得意先元帳(売掛金元帳)/仕入先元帳(買掛金元帳) | 特定の勘定の内訳を、相手先や品目ごとに口座を分けて記録する |
帳簿の分類は2段階で覚えると一気に楽になります。まず「主要簿か補助簿か」。主要簿は仕訳帳と総勘定元帳の2冊だけで、それ以外はすべて補助簿です。つぎに補助簿を「補助記入帳か補助元帳か」。名前に「元帳」が付くものが補助元帳と覚えれば、商品有高帳を除いてほぼ判別できます。
2. 補助記入帳 — 特定の取引を発生順に詳しく書く
補助記入帳は、特定の種類の取引だけを取り出して、発生順に細かく記録する帳簿です。仕訳帳が全取引を扱うのに対し、補助記入帳は1種類の取引に絞り込みます。
初級で押さえる補助記入帳は次の6つです。
2-1 現金出納帳と当座預金出納帳
現金出納帳は、現金の入金と出金を1件ずつ記録し、そのつど残高を示す帳簿です。現金の残高がその場で分かるので、手元の実際の現金と照らし合わせる作業に使います。
当座預金出納帳は、当座預金の預け入れと引き出しを記録します。小切手を振り出したときは、小切手番号もあわせて書きます。
他人が振り出した小切手を受け取ったときは現金出納帳に記入します。当座預金出納帳ではありません。第8章で学んだとおり、他人振出の小切手は現金として扱うからです。反対に、自分が小切手を振り出したときは当座預金が減るので、当座預金出納帳に記入します。
2-2 仕入帳と売上帳
仕入帳は、仕入取引の明細を記録します。仕入先の名前、代金の支払方法、商品名、数量、単価、金額を書きます。当社負担の引取運賃も仕入原価に含めるため、仕入帳に記入します。
売上帳は、売上取引の明細を同じ形で記録します。得意先の名前、代金の受取方法、商品名、数量、単価、金額を書きます。
返品があったときも、仕入帳・売上帳にそれぞれ記入します。返品を書き忘れると、帳簿の金額が実際より大きいままになります。
2-3 受取手形記入帳と支払手形記入帳
受取手形記入帳は、受け取った約束手形を1枚ずつ記録します。手形金額、振出人、振出日、満期日などを書き、決済されたかどうかも記録します。
支払手形記入帳は、自分が振り出した約束手形を同じ形で記録します。満期日が並ぶので、いつ資金が必要になるかが一目で分かります。
2027年4月からの出題範囲の改定で、紙の手形は出題範囲から外れます。ただし本書が対象とする2026年度の試験では、受取手形記入帳・支払手形記入帳はこれまでどおり出題されます。いま学んでおいて損はありません。
3. 補助元帳 — 特定の勘定の内訳を口座別に分ける
補助元帳は、総勘定元帳のある1つの勘定について、その中身を相手先や品目ごとに分けて記録する帳簿です。総勘定元帳と同じ形式の口座を、内訳の数だけ用意すると考えてください。
3-1 得意先元帳と仕入先元帳
得意先元帳は、売掛金の内訳を得意先ごとに分けた帳簿です。売掛金元帳ともいいます。青葉商店の口座、白樺商店の口座、というように得意先の数だけ口座を作ります。
仕入先元帳は、買掛金の内訳を仕入先ごとに分けた帳簿です。買掛金元帳ともいいます。
得意先や仕入先の名前をそのまま勘定名として総勘定元帳に置く人名勘定という方法もありますが、取引先が増えると総勘定元帳が膨らみます。そこで補助元帳に外へ出すのが一般的です。
3-2 商品有高帳
商品有高帳は、商品の種類ごとに口座を作り、受け入れた数量・単価・金額と、払い出した数量・単価・金額、そして残高を記録する帳簿です。名前に「元帳」は付きませんが、口座を品目別に分ける形なので補助元帳に分類します。
3分法では、商品を仕入れても売っても、総勘定元帳には仕入勘定と売上勘定しか現れません。どの商品がいくつ残っているかは総勘定元帳から読み取れないため、商品有高帳が必要になります。
商品有高帳の払出単価を決める方法には先入先出法と移動平均法がありますが、これらの計算そのものは3級の範囲です。初級では「商品の数量と金額を管理するための補助元帳である」という位置づけと、どの取引で商品有高帳に記入されるかを押さえれば十分です。単価の計算練習に時間を使う必要はありません。
| 帳簿名 | 種類 | 何を記録するか | 関係する勘定科目 |
|---|---|---|---|
| 現金出納帳 | 補助記入帳 | 現金の入金と出金の明細、およびそのつどの残高 | 現金 |
| 当座預金出納帳 | 補助記入帳 | 当座預金の預入と引出の明細、小切手番号、残高 | 当座預金 |
| 仕入帳 | 補助記入帳 | 仕入先・商品名・数量・単価・金額、引取運賃、返品 | 仕入 |
| 売上帳 | 補助記入帳 | 得意先・商品名・数量・単価・金額、返品 | 売上 |
| 受取手形記入帳 | 補助記入帳 | 受け取った約束手形の金額・振出人・満期日・決済状況 | 受取手形 |
| 支払手形記入帳 | 補助記入帳 | 振り出した約束手形の金額・受取人・満期日・決済状況 | 支払手形 |
| 商品有高帳 | 補助元帳 | 商品の種類ごとの受入・払出の数量と金額、および残高 | 仕入/売上 |
| 得意先元帳 (売掛金元帳) | 補助元帳 | 得意先ごとの売掛金の増減と残高 | 売掛金 |
| 仕入先元帳 (買掛金元帳) | 補助元帳 | 仕入先ごとの買掛金の増減と残高 | 買掛金 |
右端の列がそのまま判定のカギになります。仕訳に出てくる勘定科目を見れば、記入すべき補助簿が分かります。
補助簿を選ぶ手順はたった2ステップです。まず仕訳を書く。つぎに出てきた勘定科目を図18-2の右端の列で探す。現金が出たら現金出納帳、売掛金が出たら得意先元帳、というように機械的に決まります。ただし商品が動いたときは、仕訳に現れなくても商品有高帳に記入します。ここだけが例外です。
4. 1つの取引が複数の補助簿に記入される
初級で最もよく問われるのが、この考え方です。1つの取引が、いくつもの補助簿に同時に記入されることがあります。
次の取引を見てください。
商品 240,000円を掛けで仕入れ、当社負担の引取運賃 6,000円を現金で支払った。
まず仕訳を書きます。第9章で学んだとおり、当社負担の引取運賃は仕入に含めます。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 246,000 | 買掛金 | 240,000 |
| – | – | 現金 | 6,000 |
出てきた勘定科目は、仕入・買掛金・現金の3つです。図18-2の右端で探すと、仕入は仕入帳、買掛金は仕入先元帳、現金は現金出納帳に対応します。さらに商品が入ってきたので商品有高帳にも記入します。
つまりこの取引1件で、仕入帳・仕入先元帳・現金出納帳・商品有高帳の4冊に記入が生じます。
「どの補助簿に記入されるか」を問われたら、記入される帳簿は1つとは限らないと最初から疑ってください。答えが1つだけだと決めつけると必ず取りこぼします。仕訳の勘定科目を1つずつ指でたどり、対応する帳簿を全部書き出すのが確実です。
| 取引 | 現金 出納帳 | 仕入帳 | 売上帳 | 商品 有高帳 | 得意先 元帳 | 仕入先 元帳 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 商品 240,000円を掛けで仕入れ、当社負担の引取運賃 6,000円を現金で支払った | ○ | ○ | – | ○ | – | ○ |
| 2 商品 350,000円を掛けで売り上げた | – | – | ○ | ○ | ○ | – |
| 3 得意先から売掛金 200,000円を現金で回収した | ○ | – | – | – | ○ | – |
| 4 仕入先へ買掛金 180,000円を現金で支払った | ○ | – | – | – | – | ○ |
| 5 掛けで仕入れた商品のうち 20,000円を品違いのため返品した | – | ○ | – | ○ | – | ○ |
| 6 事務用の消耗品 8,000円を現金で購入した | ○ | – | – | – | – | – |
取引1のように4冊に及ぶものもあれば、取引6のように1冊で終わるものもあります。消耗品は商品ではありませんから、商品有高帳には記入しません。
取引3と取引4では、商品有高帳に記入しません。代金を決済しただけで商品そのものは動いていないからです。反対に取引5の返品では、お金は動いていませんが商品が戻るので商品有高帳に記入します。「お金が動いたか」ではなく「商品が動いたか」で判断してください。
5. 補助簿の記入から取引を推定する
逆向きの問題もよく出ます。補助簿の記入内容だけを見せられて、もとの取引と仕訳を答える形式です。
次の仕入帳を読んでみましょう。
| 日付 | 摘要 | 内訳 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 9月8日 | 苫小牧商会 掛け | – | – |
| – | A商品 60個 単価 2,500円 | 150,000 | – |
| – | 引取運賃 現金払い | 6,000 | 156,000 |
| 9月12日 | 苫小牧商会 掛け返品 | – | – |
| – | A商品 4個 単価 2,500円 | – | 10,000 |
9月8日の取引は「商品 150,000円を掛けで仕入れ、引取運賃 6,000円を現金で支払った」と読めます。9月12日は「掛けで仕入れた商品 10,000円を返品した」です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 156,000 | 買掛金 | 150,000 |
| – | – | 現金 | 6,000 |
| 買掛金 | 10,000 | 仕入 | 10,000 |
上の2行が9月8日、下の1行が9月12日の仕訳です。
推定問題では摘要欄の言葉が答えを教えています。「掛け」とあれば買掛金または売掛金、「現金払い」とあれば現金、「小切手振出」とあれば当座預金です。摘要欄を先に読み、代金の決済方法を特定してから金額を当てはめてください。
6. 統制勘定と補助元帳は必ず一致する
総勘定元帳の売掛金勘定と、得意先元帳の各口座は、まったく同じ取引を別の粒度で記録しています。売掛金勘定は全得意先をまとめた合計、得意先元帳はその内訳です。
このように、補助元帳の全体をまとめて表している総勘定元帳の勘定を統制勘定といいます。売掛金勘定は得意先元帳の統制勘定、買掛金勘定は仕入先元帳の統制勘定です。
同じ取引を記録している以上、売掛金勘定の残高と、得意先元帳の各口座の残高の合計は必ず一致します。一致しなければ、どこかに記入もれか誤記入があります。
| 項目 | 青葉商店 | 白樺商店 | 合計 | 売掛金勘定 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 前月繰越 | 250,000 | 170,000 | 420,000 | 420,000 | 一致 |
| 当月の掛け売上 | 460,000 | 320,000 | 780,000 | 780,000 | 一致 |
| 当月の回収額 | 400,000 | 250,000 | 650,000 | 650,000 | 一致 |
| 次月繰越(月末残高) | 310,000 | 240,000 | 550,000 | 550,000 | 一致 |
青葉商店 310,000円 たす 白樺商店 240,000円 イコール 550,000円。売掛金勘定の月末残高と同じです。
統制勘定の残高 イコール 補助元帳の各口座の残高合計。売掛金勘定と得意先元帳、買掛金勘定と仕入先元帳の2組で成り立ちます。試験では「得意先元帳の残高が示され、売掛金勘定の残高を答える」形で出ます。単純に足すだけです。
得意先元帳の口座は得意先の名前が付いていますが、中身は売掛金です。ですから青葉商店の口座も白樺商店の口座も、増えたら借方、減ったら貸方と、売掛金勘定とまったく同じ向きに動きます。仕入先元帳は買掛金の内訳なので、増えたら貸方、減ったら借方です。逆に覚えないでください。
7. 例題で流れを追う
商品 320,000円を掛けで仕入れ、当社負担の引取運賃 9,000円を現金で支払いました。仕訳を示し、記入される補助簿をすべて挙げなさい。
STEP1 先に仕訳を書きます。当社負担の引取運賃は仕入原価に含めるので、仕入は 320,000円たす 9,000円で 329,000円です。貸方は、商品代金の未払いである買掛金 320,000円と、運賃で出ていった現金 9,000円に分かれます。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 329,000 | 買掛金 | 320,000 |
| – | – | 現金 | 9,000 |
STEP2 勘定科目を1つずつ帳簿に置きかえます。仕入は仕入帳、買掛金は仕入先元帳、現金は現金出納帳です。
STEP3 商品が動いたかを確かめます。商品を仕入れたので在庫が増えました。したがって商品有高帳にも記入します。
答えは仕入帳・仕入先元帳・現金出納帳・商品有高帳の4冊です。仕入帳だけと答えないよう注意してください。
得意先の青葉商店へ商品 350,000円を売り渡し、代金のうち 100,000円は同店振出の小切手で受け取り、残額は掛けとしました。なお当社負担の発送運賃 8,000円を現金で支払いました。仕訳を示し、記入される補助簿をすべて挙げなさい。
STEP1 小切手の扱いを決めます。同店振出、つまり他人が振り出した小切手なので現金で処理します。当座預金ではありません。
STEP2 仕訳を書きます。売上は値引きも返品もないので 350,000円全額です。当社負担の発送運賃は第9章のとおり発送費(費用)で別に計上します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 100,000 | 売上 | 350,000 |
| 売掛金 | 250,000 | – | – |
| 発送費 | 8,000 | 現金 | 8,000 |
STEP3 勘定科目を帳簿に置きかえます。現金は現金出納帳、売掛金は得意先元帳、売上は売上帳です。発送費に対応する補助簿はありません。
STEP4 商品が動いたかを確かめます。商品を売り渡したので在庫が減りました。商品有高帳にも記入します。
答えは現金出納帳・売上帳・得意先元帳・商品有高帳の4冊です。現金出納帳には、小切手の受け取り 100,000円が入金として、発送運賃 8,000円が出金として、それぞれ記入されます。1冊に2行入る点にも注意してください。
- 主要簿は仕訳帳と総勘定元帳の2冊だけ。それ以外はすべて補助簿で、発生順に書く補助記入帳と口座別に分ける補助元帳に分かれる。
- 補助簿は「仕訳を書く → 勘定科目を帳簿に置きかえる → 商品が動いたか確かめる」の3手順で選ぶ。1つの取引が複数の帳簿に記入されるのが普通である。
- 統制勘定の残高は、補助元帳の各口座の残高合計と必ず一致する。売掛金と得意先元帳、買掛金と仕入先元帳の2組で成り立つ。
章末演習(20問)
次のうち、主要簿にあたるものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 仕訳帳
解説
主要簿は仕訳帳と総勘定元帳の2冊だけです。この2冊は必ず作らなければなりません。現金出納帳・仕入帳・商品有高帳はいずれも補助簿で、必要に応じて作るものです。
次のうち、補助元帳に分類されるものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 得意先元帳
解説
補助元帳は、ある勘定の内訳を相手先や品目ごとに口座を分けて記録する帳簿です。得意先元帳は売掛金の内訳を得意先ごとに分けたもので補助元帳にあたります。現金出納帳・売上帳・受取手形記入帳は、取引を発生順に記録する補助記入帳です。
得意先ごとの売掛金の増減と残高を記録する補助簿はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 得意先元帳
解説
得意先元帳(売掛金元帳)です。総勘定元帳の売掛金勘定は全得意先の合計しか示さないため、得意先ごとの残高は得意先元帳で管理します。仕入先元帳は買掛金の内訳を仕入先ごとに分けた帳簿です。
商品の種類ごとに受入・払出の数量と金額、および残高を記録する補助簿はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 商品有高帳
解説
商品有高帳です。3分法では総勘定元帳に仕入勘定と売上勘定しか現れないため、どの商品がいくつ残っているかは商品有高帳でしか分かりません。仕入帳と売上帳は取引の明細を発生順に記録する帳簿で、在庫の残高は示しません。
現金の入金と出金の明細、およびそのつどの残高を記録する補助簿はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 現金出納帳
解説
現金出納帳です。残高がそのつど示されるので、手元の実際の現金と照らし合わせる作業に使います。当座預金出納帳は当座預金の預入と引出を記録する帳簿で、対象が違います。
仕訳帳と総勘定元帳をあわせて主要簿という。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。仕訳帳は取引を発生順に、総勘定元帳は取引を勘定科目ごとに記録します。この2冊が主要簿で、どの企業も必ず作ります。
補助簿は、すべての企業が必ず作らなければならない帳簿である。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。必ず作らなければならないのは主要簿である仕訳帳と総勘定元帳の2冊だけです。補助簿は主要簿を補うためのもので、どれを作るかは各企業が必要に応じて決めます。
仕入帳は補助記入帳に分類される。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。仕入帳は仕入取引だけを取り出して発生順に明細を記録する帳簿なので、補助記入帳にあたります。補助元帳は商品有高帳・得意先元帳・仕入先元帳の3つです。
「商品 200,000円を掛けで仕入れた」という取引で記入される補助簿の組み合わせとして正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 仕入帳・仕入先元帳・商品有高帳
解説
仕訳は借方が仕入 200,000円、貸方が買掛金 200,000円です。仕入は仕入帳、買掛金は仕入先元帳に対応します。さらに商品が入ってきたので商品有高帳にも記入します。現金は動いていないので現金出納帳は関係ありません。
「仕入先へ買掛金 150,000円を現金で支払った」という取引で記入される補助簿の組み合わせとして正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 現金出納帳と仕入先元帳
解説
仕訳は借方が買掛金 150,000円、貸方が現金 150,000円です。買掛金は仕入先元帳、現金は現金出納帳に対応します。商品は動いていないので商品有高帳には記入しません。代金を決済しただけの取引では商品有高帳は動きません。
「売掛金 180,000円を得意先振出の小切手で回収した」という取引で記入される補助簿の組み合わせとして正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 現金出納帳と得意先元帳
解説
他人が振り出した小切手を受け取ったときは現金として処理します。仕訳は借方が現金 180,000円、貸方が売掛金 180,000円です。したがって現金出納帳と得意先元帳に記入します。当座預金は動いていないので当座預金出納帳は誤りです。
次のうち、記入される補助簿が1冊だけである取引はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 事務用の消耗品を現金で購入した
解説
消耗品費と現金の仕訳になり、対応する補助簿は現金出納帳だけです。消耗品は販売用の商品ではないので商品有高帳には記入しません。他の3つはいずれも3冊に及びます。掛け売上は売上帳・得意先元帳・商品有高帳、現金仕入は現金出納帳・仕入帳・商品有高帳、掛け仕入の返品は仕入帳・仕入先元帳・商品有高帳です。
統制勘定と補助元帳の関係について、正しい記述はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 売掛金勘定の残高は、得意先元帳の各口座の残高合計と一致する
解説
売掛金勘定は得意先元帳の統制勘定であり、両者は同じ取引を合計と内訳という別の粒度で記録しています。したがって残高は必ず一致します。得意先元帳を作っても総勘定元帳の売掛金勘定は残ります。買掛金勘定の統制対象は仕入先元帳です。
1つの取引が、同時に複数の補助簿へ記入されることがある。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。たとえば商品を掛けで仕入れ、引取運賃を現金で支払った取引では、仕入帳・仕入先元帳・現金出納帳・商品有高帳の4冊に記入されます。記入先は1冊とは限らないと覚えてください。
総勘定元帳の売掛金勘定を見れば、どの得意先にいくら残っているかが分かる。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。売掛金勘定に記録されるのは全得意先を合計した金額だけで、内訳は分かりません。得意先ごとの残高を知るには、補助元帳である得意先元帳(売掛金元帳)を見る必要があります。
仕入帳に「苫小牧商会 掛け/A商品 60個 単価 2,500円 150,000円/引取運賃 現金払い 6,000円/合計 156,000円」と記入されている。この記入のもとになった取引の仕訳を示しなさい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 156,000 | 買掛金 | 150,000 |
| – | – | 現金 | 6,000 |
解説
摘要欄の「掛け」から商品代金 150,000円は買掛金、「現金払い」から引取運賃 6,000円は現金と分かります。当社負担の引取運賃は仕入原価に含めるので、借方の仕入は 150,000円たす 6,000円で 156,000円です。仕入帳の合計欄 156,000円がそのまま仕入の金額になります。
得意先元帳の月末残高は、青葉商店 310,000円、白樺商店 240,000円であり、他に得意先はない。このとき総勘定元帳の売掛金勘定の月末残高はいくらか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 550,000円
解説
売掛金勘定は得意先元帳の統制勘定なので、残高は各口座の残高合計と一致します。310,000円たす 240,000円で 550,000円です。差額を求めたり、いずれか一方の口座と同額としたりするのは誤りです。
「約束手形を振り出して商品 400,000円を仕入れた」という取引で記入される補助簿の組み合わせとして正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 仕入帳・支払手形記入帳・商品有高帳
解説
仕訳は借方が仕入 400,000円、貸方が支払手形 400,000円です。自分が振り出した手形なので支払手形記入帳に記入します。受取手形記入帳ではありません。買掛金は生じていないので仕入先元帳には記入せず、商品が入ってきたので商品有高帳に記入します。
掛けで仕入れた商品を返品したときは、仕入帳には記入するが、商品有高帳には記入しない。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。返品では商品そのものが仕入先へ戻るため、在庫が減ります。したがって商品有高帳にも記入します。あわせて買掛金が減るので仕入先元帳にも記入します。商品有高帳の判断基準は「お金が動いたか」ではなく「商品が動いたか」です。
得意先元帳の青葉商店の口座の貸方に「入金 400,000円」と記入され、同じ日付で現金出納帳の入金欄にも 400,000円が記入されている。この記入のもとになった取引の仕訳を示しなさい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 400,000 | 売掛金 | 400,000 |
解説
現金出納帳の入金欄に記入があるので、現金が 400,000円増えました。資産の増加で借方です。得意先元帳は売掛金の内訳なので、その貸方に記入があるということは売掛金が 400,000円減ったことを意味します。資産の減少で貸方です。商品は動いていないので売上は使いません。
第19章月次集計:合計残高試算表を作り、読み取る0 / 39▼
本試験 第3問(30点)の完成形。取引を集計して合計残高試算表を作り、15項目を読み取る。
- 前月繰越の残高と当月の取引から、合計残高試算表を最後まで作れる
- 合計欄と残高欄の違いを説明でき、どちらを見るべきか瞬時に判断できる
- 出題される15項目の読み取りを、迷わず正しい欄から拾える
1. 第3問は「作る問題」ではなく「拾う問題」
本試験の第3問は30点。ここを落とすと合格が一気に遠のきます。
しかし恐れる必要はありません。やることは2つだけです。前月繰越の金額に当月の取引を足し引きして各勘定の合計と残高を出すこと。そして問われた項目を、正しい欄から拾うことです。
新しい知識はひとつも出てきません。第8章から第18章までで学んだ仕訳を、ただ集計するだけです。
左から 借方残高/借方合計/勘定科目/貸方合計/貸方残高 の5列です。
合計欄は「前月繰越を含めて、その側に記入された金額の総額」。残高欄は「借方合計と貸方合計の差額を、多いほうの側に書いたもの」です。
2. 作る手順は6ステップ
- 前月繰越の残高を、各勘定のホームポジション側に書き入れる
- 当月の取引をひとつずつ仕訳する
- 仕訳を各勘定のT字に転記する(借方は左、貸方は右)
- 勘定ごとに借方合計と貸方合計を出す(前月繰越を含める)
- 差額を計算し、多いほうの側に残高として書く
- 借方合計の総額と貸方合計の総額、借方残高の総額と貸方残高の総額が、それぞれ一致することを確かめる
借方合計の総額=貸方合計の総額。借方残高の総額=貸方残高の総額。この2組が一致します。
合計の総額と残高の総額は一致しません。ここを混同して「合わない」と焦る人が非常に多いところです。
3. 通しでやってみる(例題)
次の前月繰越高と当月の取引にもとづいて、9月末の合計残高試算表を作りなさい。
[資料1]前月繰越高
| 借方残高 | 勘定科目 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|
| 240,000 | 現金 | 買掛金 | 380,000 |
| 860,000 | 当座預金 | 借入金 | 500,000 |
| 520,000 | 売掛金 | 減価償却累計額 | 120,000 |
| 180,000 | 繰越商品 | 資本金 | 1,400,000 |
| 600,000 | 備品 | ||
| 2,400,000 | 合計 | 合計 | 2,400,000 |
[資料2]当月の取引
- 3日 商品 300,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
- 5日 商品 650,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- 7日 売掛金 380,000円を当座預金口座で回収した。
- 9日 買掛金 250,000円を当座預金口座から支払った。
- 11日 商品 180,000円を仕入れ、代金のうち 80,000円は現金で支払い、残額は掛けとした。
- 13日 5日に売り上げた商品のうち 30,000円分が返品され、掛代金から差し引いた。
- 15日 給料 220,000円のうち源泉所得税 12,000円を預かり、残額を当座預金口座から支払った。
- 17日 商品 360,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。
- 18日 事務所の家賃 90,000円を現金で支払った。
- 20日 電話料金 18,000円が当座預金口座から引き落とされた。
- 22日 借入金 200,000円と利息 3,000円を当座預金口座から返済した。
- 24日 事業主が私用のため、事業用の現金 50,000円を引き出した。
- 26日 収入印紙 5,000円を現金で購入し、ただちに使用した。
- 28日 備品について、当月分の減価償却費 10,000円を見積額により計上した。
- 30日 事業主が事業資金として現金 300,000円を追加で元入れした。
まず、当月の取引を順に仕訳します。ここまでの章で全部やった型ばかりです。1本ずつ確実に。
つぎに、前月繰越を含めて各勘定の借方合計と貸方合計を出します。最後に差額を残高欄へ。完成形が次の表です。
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 675,000 | 900,000 | 現金 | 225,000 | |
| 561,000 | 1,240,000 | 当座預金 | 679,000 | |
| 760,000 | 1,170,000 | 売掛金 | 410,000 | |
| 180,000 | 180,000 | 繰越商品 | ||
| 600,000 | 600,000 | 備品 | ||
| 250,000 | 買掛金 | 780,000 | 530,000 | |
| 200,000 | 借入金 | 500,000 | 300,000 | |
| 預り金 | 12,000 | 12,000 | ||
| 減価償却累計額 | 130,000 | 130,000 | ||
| 50,000 | 資本金 | 1,700,000 | 1,650,000 | |
| 30,000 | 売上 | 1,010,000 | 980,000 | |
| 480,000 | 480,000 | 仕入 | ||
| 220,000 | 220,000 | 給料 | ||
| 18,000 | 18,000 | 通信費 | ||
| 90,000 | 90,000 | 支払家賃 | ||
| 5,000 | 5,000 | 租税公課 | ||
| 10,000 | 10,000 | 減価償却費 | ||
| 3,000 | 3,000 | 支払利息 | ||
| 3,602,000 | 5,446,000 | 合計 | 5,446,000 | 3,602,000 |
借方合計 5,446,000 = 貸方合計 5,446,000。借方残高 3,602,000 = 貸方残高 3,602,000。2組とも一致しているので、集計は正しく行われています。
時間が足りなくなる典型パターンは、15本の仕訳をていねいに紙に書いてから集計を始めることです。
実際の解き方は逆です。問われている勘定だけをメモ用紙にT字で用意し、取引を読みながらその都度書き込んでいきます。40分の試験では、これが決定的な差になります。
4. 読み取り15項目の「どこを見るか」
出題範囲に列挙されている読み取り項目は15種類。どこを見れば答えが出るかを覚えてしまえば、第3問は作業になります。
| 読み取り項目 | 試算表のどこを見るか | つまずきポイント |
|---|---|---|
| 資産総額 | 借方残高欄のうち資産の勘定を合計する | 減価償却累計額はマイナスする |
| 現金残高 | 現金の借方残高 | 合計欄と取り違えない |
| 現金の純増加額 | 現金の借方残高 - 前月繰越額 | 「残高」ではなく「増えた分」 |
| 当座預金残高 | 当座預金の借方残高 | 普通預金と混ぜない |
| 売掛金回収額 | 売掛金の貸方に記入された当月の回収額 | 返品による減少は回収ではない |
| 売掛金残高(未回収額) | 売掛金の借方残高 | 前月繰越を足し忘れない |
| 商品残高(次期繰越) | 繰越商品の借方残高 | 初級では期中に動かさない |
| 商品仕入高 | 仕入の借方残高 | 返品を差し引いた後の金額 |
| 負債残高 | 貸方残高欄のうち負債の勘定を合計する | 資本金は負債ではない |
| 買掛金残高(未払額) | 買掛金の貸方残高 | 未払金と混ぜない |
| 資本金(追加元入額) | 資本金の貸方合計 - 前月繰越額 | 引出は借方なので混ぜない |
| 未払の税額 | 仮受消費税残高 - 仮払消費税残高(未払固定資産税があれば加算) | 引き算の向きに注意 |
| 売上高 | 売上の貸方残高 | 返品を差し引いた後の金額 |
| 費用総額 | 借方残高欄のうち費用の勘定を合計する | 仕入も費用に含める |
| 当月の損益 | 収益総額 - 費用総額 | マイナスなら損失 |
読み取りのほとんどは「欄から拾うだけ」です。引き算が必要なのは次の3つだけ。
- 現金の純増加額 = 現金残高 - 前月繰越額
- 追加元入額 = 資本金の貸方合計 - 前月繰越額
- 当月の損益 = 収益総額 - 費用総額
5. 例題の試算表から実際に読み取る
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 資産総額 | 2,646,000 |
| 現金残高 | 675,000 |
| 現金の純増加額 | 435,000 |
| 当座預金残高 | 561,000 |
| 売掛金回収額 | 380,000 |
| 売掛金残高 | 760,000 |
| 商品残高 | 180,000 |
| 商品仕入高 | 480,000 |
| 負債残高 | 842,000 |
| 買掛金残高 | 530,000 |
| 追加元入額 | 300,000 |
| 売上高 | 980,000 |
| 収益総額 | 980,000 |
| 費用総額 | 826,000 |
| 当月の損益 | 154,000 |
売掛金残高を聞かれて借方合計を答える。現金残高を聞かれて借方合計を答える。この2つが第3問の失点の大半です。
問題文が「残高」「未回収額」「未払額」と書いていたら残高欄。「回収額」「支払額」「仕入高」「売上高」と書いていたら、その勘定の当月の動きを見ます。
減価償却累計額は資産のマイナスですが、試算表では貸方に置かれます。
資産総額を聞かれたら、借方残高欄の資産を合計してから減価償却累計額を引きます。負債総額に含めてはいけません。
- 合計欄は総額、残高欄は差額。一致するのは「合計どうし」と「残高どうし」の2組
- 読み取りは15項目。引き算が要るのは現金の純増加額・追加元入額・当月の損益の3つだけ
- 解く順序は「問われた勘定だけT字を作り、取引を読みながら書き込む」
章末演習(39問)
次の[資料1]前月繰越高と[資料2]当月の取引にもとづいて、みなと商店の10月末の合計残高試算表を作り、下の各金額を答えなさい。減少した場合はマイナスを付けて答えます。
[資料1]前月繰越高
| 借方残高 | 勘定科目 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|
| 180,000 | 現金 | 買掛金 | 520,000 |
| 1,240,000 | 普通預金 | 未払金 | 160,000 |
| 640,000 | 売掛金 | 減価償却累計額 | 600,000 |
| 220,000 | 繰越商品 | 資本金 | 2,800,000 |
| 1,800,000 | 車両運搬具 | ||
| 4,080,000 | 合計 | 合計 | 4,080,000 |
[資料2]当月の取引
- 2日 商品 520,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
- 4日 商品 780,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- 6日 先月分の未払金 160,000円を普通預金口座から支払った。
- 8日 売掛金 700,000円が普通預金口座に振り込まれた。
- 10日 仕入れた商品のうち 40,000円分を返品し、掛代金から差し引いた。
- 12日 買掛金 460,000円を普通預金口座から支払った。
- 14日 商品 350,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。
- 16日 広告のチラシ代 60,000円を現金で支払った。
- 18日 従業員の出張旅費 34,000円を現金で概算払いした。
- 20日 事務用のコピー用紙 8,000円を現金で購入した。
- 22日 出張から戻り、旅費の精算を行った。実際の旅費は 29,000円で、残額は現金で返金を受けた。
- 24日 事務所の水道光熱費 23,000円が普通預金口座から引き落とされた。
- 26日 取引先に現金 400,000円を貸し付けた。
- 28日 車両運搬具について、当月分の減価償却費 25,000円を見積額により計上した。
- 30日 事務所の火災保険料 36,000円を普通預金口座から支払った。
解答と解説
正解
| 項目 | 答え |
|---|---|
| 資産総額 | 3,809,000 円 |
| 現金残高 | 33,000 円 |
| 現金の純増加額 | -147,000 円 |
| 普通預金残高 | 1,261,000 円 |
| 売掛金回収額 | 700,000 円 |
| 売掛金残高 | 720,000 円 |
| 買掛金残高 | 540,000 円 |
| 商品仕入高 | 480,000 円 |
| 負債残高 | 540,000 円 |
| 売上高 | 1,130,000 円 |
| 費用総額 | 661,000 円 |
| 当月の損益 | 469,000 円 |
解説
完成した合計残高試算表
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 33,000 | 535,000 | 現金 | 502,000 | |
| 1,261,000 | 1,940,000 | 普通預金 | 679,000 | |
| 720,000 | 1,420,000 | 売掛金 | 700,000 | |
| 220,000 | 220,000 | 繰越商品 | ||
| 34,000 | 仮払金 | 34,000 | ||
| 400,000 | 400,000 | 貸付金 | ||
| 1,800,000 | 1,800,000 | 車両運搬具 | ||
| 500,000 | 買掛金 | 1,040,000 | 540,000 | |
| 160,000 | 未払金 | 160,000 | ||
| 減価償却累計額 | 625,000 | 625,000 | ||
| 資本金 | 2,800,000 | 2,800,000 | ||
| 売上 | 1,130,000 | 1,130,000 | ||
| 480,000 | 520,000 | 仕入 | 40,000 | |
| 60,000 | 60,000 | 広告宣伝費 | ||
| 29,000 | 29,000 | 旅費交通費 | ||
| 8,000 | 8,000 | 消耗品費 | ||
| 23,000 | 23,000 | 水道光熱費 | ||
| 36,000 | 36,000 | 保険料 | ||
| 25,000 | 25,000 | 減価償却費 | ||
| 5,095,000 | 7,710,000 | 合計 | 7,710,000 | 5,095,000 |
借方合計 7,710,000 = 貸方合計 7,710,000、借方残高 5,095,000 = 貸方残高 5,095,000 で一致します。
読み取り結果
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 資産総額 | 3,809,000 |
| 現金残高 | 33,000 |
| 現金の純増加額 | -147,000 |
| 普通預金残高 | 1,261,000 |
| 売掛金回収額 | 700,000 |
| 売掛金残高 | 720,000 |
| 商品残高 | 220,000 |
| 商品仕入高 | 480,000 |
| 負債残高 | 540,000 |
| 買掛金残高 | 540,000 |
| 追加元入額 | 0 |
| 売上高 | 1,130,000 |
| 収益総額 | 1,130,000 |
| 費用総額 | 661,000 |
| 当月の損益 | 469,000 |
次の[資料1]前月繰越高と[資料2]当月の取引にもとづいて、そよかぜ商店の11月末の合計残高試算表を作り、下の各金額を答えなさい。減少した場合はマイナスを付けて答えます。なお、消費税は税抜方式で処理しています。「未払の税額」は、仮受消費税の残高から仮払消費税の残高を差し引いた金額に、未払固定資産税の残高を加えたものとします(預り金は含めません)。
[資料1]前月繰越高
| 借方残高 | 勘定科目 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|
| 312,000 | 現金 | 買掛金 | 594,000 |
| 1,450,000 | 当座預金 | 仮受消費税 | 129,000 |
| 858,000 | 売掛金 | 減価償却累計額 | 160,000 |
| 260,000 | 繰越商品 | 資本金 | 3,041,000 |
| 84,000 | 仮払消費税 | ||
| 960,000 | 備品 | ||
| 3,924,000 | 合計 | 合計 | 3,924,000 |
[資料2]当月の取引
- 2日 商品 400,000円(消費税 40,000円は別途)を仕入れ、代金は掛けとした。
- 5日 商品 700,000円(消費税 70,000円は別途)を売り上げ、代金は掛けとした。
- 7日 売掛金 880,000円を当座預金口座で回収した。
- 9日 買掛金 620,000円を当座預金口座から支払った。
- 11日 商品 250,000円(消費税 25,000円は別途)を売り上げ、代金は現金で受け取った。
- 13日 事務所の家賃 120,000円(消費税 12,000円は別途)を当座預金口座から支払った。
- 15日 給料 380,000円のうち源泉所得税 21,000円を預かり、残額を当座預金口座から支払った。
- 17日 先月預かった源泉所得税 19,000円を現金で納付した。
- 19日 商品 300,000円(消費税 30,000円は別途)を仕入れ、代金は現金で支払った。
- 21日 事務所の固定資産税の納税通知書 96,000円を受け取り、全額を未払計上した。
- 23日 固定資産税の第1期分 24,000円を現金で納付した。
- 25日 備品について、当月分の減価償却費 16,000円を見積額により計上した。
- 27日 取引銀行に対する振込手数料 1,100円(消費税 100円を含む)が当座預金口座から引き落とされた。
- 29日 商品 480,000円(消費税 48,000円は別途)を売り上げ、代金は掛けとした。
- 30日 事業主が私用のため、事業用の現金 80,000円を引き出した。
解答と解説
正解
| 項目 | 答え |
|---|---|
| 資産総額 | 3,838,000 円 |
| 現金残高 | 134,000 円 |
| 現金の純増加額 | -178,000 円 |
| 当座預金残高 | 1,217,900 円 |
| 売掛金回収額 | 880,000 円 |
| 売掛金残高 | 1,276,000 円 |
| 買掛金残高 | 414,000 円 |
| 商品仕入高 | 700,000 円 |
| 負債残高 | 760,000 円 |
| 未払の税額 | 177,900 円 |
| 売上高 | 1,430,000 円 |
| 費用総額 | 1,313,000 円 |
| 当月の損益 | 117,000 円 |
解説
完成した合計残高試算表
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 134,000 | 587,000 | 現金 | 453,000 | |
| 1,217,900 | 2,330,000 | 当座預金 | 1,112,100 | |
| 1,276,000 | 2,156,000 | 売掛金 | 880,000 | |
| 260,000 | 260,000 | 繰越商品 | ||
| 166,100 | 166,100 | 仮払消費税 | ||
| 960,000 | 960,000 | 備品 | ||
| 620,000 | 買掛金 | 1,034,000 | 414,000 | |
| 19,000 | 預り金 | 21,000 | 2,000 | |
| 仮受消費税 | 272,000 | 272,000 | ||
| 24,000 | 未払固定資産税 | 96,000 | 72,000 | |
| 減価償却累計額 | 176,000 | 176,000 | ||
| 80,000 | 資本金 | 3,041,000 | 2,961,000 | |
| 売上 | 1,430,000 | 1,430,000 | ||
| 700,000 | 700,000 | 仕入 | ||
| 380,000 | 380,000 | 給料 | ||
| 1,000 | 1,000 | 支払手数料 | ||
| 120,000 | 120,000 | 支払家賃 | ||
| 96,000 | 96,000 | 租税公課 | ||
| 16,000 | 16,000 | 減価償却費 | ||
| 5,327,000 | 8,515,100 | 合計 | 8,515,100 | 5,327,000 |
借方合計 8,515,100 = 貸方合計 8,515,100、借方残高 5,327,000 = 貸方残高 5,327,000 で一致します。
読み取り結果
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 資産総額 | 3,838,000 |
| 現金残高 | 134,000 |
| 現金の純増加額 | -178,000 |
| 当座預金残高 | 1,217,900 |
| 売掛金回収額 | 880,000 |
| 売掛金残高 | 1,276,000 |
| 商品残高 | 260,000 |
| 商品仕入高 | 700,000 |
| 負債残高 | 760,000 |
| 買掛金残高 | 414,000 |
| 追加元入額 | 0 |
| 未払の税額 | 177,900 |
| 売上高 | 1,430,000 |
| 収益総額 | 1,430,000 |
| 費用総額 | 1,313,000 |
| 当月の損益 | 117,000 |
合計残高試算表について、正しい説明はどれですか。
解答と解説
正解
イ 借方合計の総額と貸方合計の総額は必ず一致する
解説
一致するのは「合計どうし」と「残高どうし」の2組です。合計の総額と残高の総額は一致しません。
「売掛金の未回収額」を答えるとき、試算表のどの欄を見ますか。
解答と解説
正解
イ 売掛金の借方残高
解説
未回収額とは月末に残っている売掛金のことです。売掛金は資産なので借方残高欄を見ます。
「当月の売掛金回収額」を求めるとき、売掛金の貸方に記入された金額のうち、含めてはいけないものはどれですか。
解答と解説
正解
ウ 売り上げた商品が返品されたことによる減少
解説
返品は代金を受け取ったわけではないので回収額に含めません。貸方の金額をそのまま足すと誤ります。
現金の前月繰越高は 260,000円、当月の借方記入合計は 940,000円、当月の貸方記入合計は 815,000円でした。現金の純増加額はいくらですか。
解答と解説
正解
125,000 円
解説
純増加額は当月の増加と減少の差額です。940,000円 - 815,000円 = 125,000円。前月繰越高は関係しません。
資本金の前月繰越高は 3,200,000円でした。当月、資本金勘定の貸方に 500,000円、借方に 90,000円が記入されています。当月の追加元入額はいくらですか。
解答と解説
正解
500,000 円
解説
追加元入は資本金の貸方に記入されるので、当月の追加元入額は 500,000円です。借方の 90,000円は引出であり、追加元入額とは別に扱います。
月末の残高が、現金 380,000円、当座預金 1,120,000円、売掛金 640,000円、繰越商品 210,000円、備品 900,000円、減価償却累計額 240,000円でした。資産総額はいくらですか。
解答と解説
正解
3,010,000 円
解説
380,000+1,120,000+640,000+210,000+900,000 = 3,250,000円。ここから減価償却累計額 240,000円を引いて 3,010,000円です。
月末の残高が、買掛金 520,000円、借入金 700,000円、預り金 24,000円、未払金 156,000円、資本金 2,800,000円でした。負債残高はいくらですか。
解答と解説
正解
1,400,000 円
解説
520,000+700,000+24,000+156,000 = 1,400,000円。資本金は純資産なので負債には含めません。
仮受消費税の残高が 186,000円、仮払消費税の残高が 118,000円、未払固定資産税の残高が 72,000円でした。未払の税額はいくらですか。
解答と解説
正解
140,000 円
解説
消費税の未払分は 186,000円 - 118,000円 = 68,000円。これに未払固定資産税 72,000円を加えて 140,000円です。
当月の収益が、売上 1,860,000円、受取手数料 45,000円でした。費用が、仕入 1,120,000円、給料 320,000円、支払家賃 95,000円、通信費 16,000円、減価償却費 14,000円でした。当月の損益はいくらですか。利益の場合は正の数で答えなさい。
解答と解説
正解
340,000 円
解説
収益 1,905,000円 - 費用 1,565,000円 = 340,000円の利益です。仕入も費用に含めるのを忘れないでください。
仕入勘定の借方合計が 1,480,000円、貸方合計が 65,000円でした。当月の商品仕入高はいくらですか。
解答と解説
正解
1,415,000 円
解説
貸方の 65,000円は返品です。1,480,000円 - 65,000円 = 1,415,000円が実質の仕入高になります。
売掛金の前月繰越高は 480,000円でした。当月の掛売上高は 920,000円、当月の回収額は 760,000円、返品による減少が 35,000円ありました。月末の売掛金残高はいくらですか。
解答と解説
正解
605,000 円
解説
480,000+920,000-760,000-35,000 = 605,000円です。返品も売掛金を減らす点に注意します。
買掛金の月末残高が 418,000円でした。前月繰越高は 350,000円、当月の掛仕入高は 830,000円、返品による減少が 42,000円ありました。当月の買掛金支払額はいくらですか。
解答と解説
正解
720,000 円
解説
350,000+830,000-42,000-支払額 = 418,000円。よって支払額は 1,138,000-418,000 = 720,000円です。
月次の合計残高試算表を作ったところ、借方合計の総額が貸方合計の総額より 18,000円多くなりました。原因として最も考えにくいものはどれですか。
解答と解説
正解
ウ 商品を仕入れたのに仕入ではなく消耗品費で処理した
解説
科目そのものを間違えても借方と貸方の金額は一致するので、試算表の不一致にはなりません。試算表で見つけられない誤りの代表例です。
月次の合計残高試算表では、当月の損益が資本金勘定の残高にすでに反映されている。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
損益の資本金への振替は決算の手続きです。月次試算表の資本金残高には、当月の損益は含まれていません。
第20章直前総まとめと本番の戦い方0 / 20▼
全55勘定科目と仕訳パターン60本を一気に総ざらいし、40分の時間配分と失点しやすい20か所を頭に入れて本番に臨めるようになります。
- 55の勘定科目を5要素に分類し、増えたらどちら側かを即答できる。
- 頻出の仕訳パターン60本を、取引の一言説明から借方・貸方に変換できる。
- 40分の時間配分と当日の流れを決め、失点しやすい20か所を先回りして潰せる。
1. この章の使い方 — 直前1週間の回し方
この章に新しい論点は1つも出てきません。第1章から第19章までの内容を、本番で使える形に圧縮しただけです。だからこそ、直前期に何度も往復してください。
おすすめの回し方は次のとおりです。時間がない人は、太字の3つだけでもかまいません。
| タイミング | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 7日前から | 勘定科目55の早見表を、意味を隠して分類だけ言う | 1回 5分 |
| 5日前から | 仕訳パターン60連発を、借方・貸方を隠して口で答える | 1回 15分 |
| 3日前から | 模擬試験を本番と同じ40分で解き、時間配分を体に入れる | 1回 40分 |
| 2日前から | 失点しやすいポイント20と間違いノートを読み返す | 1回 10分 |
| 前日 | チェックリスト40で、説明できない項目だけ該当章に戻る | 30分 |
| 当日の直前 | 失点しやすいポイント20だけを読む。新しい問題は解かない | 5分 |
直前期に新しい教材へ手を出すのは失点への近道です。やることを増やすのではなく、同じものを回す回数を増やしてください。この章は「回すための道具」として作ってあります。
2. 全55勘定科目 早見表
初級で使う勘定科目は55個です。これ以外は出ません。科目名を見た瞬間に、5要素のどれかと、増えたらどちら側かが出てくる状態を目指します。
| 科目名 | 意味 | 増えたら |
|---|---|---|
| 現金 | 紙幣・硬貨と、通貨代用証券(他人振出の小切手など) | 借方 |
| 当座預金 | 小切手の支払いに使う、利息のつかない預金 | 借方 |
| 普通預金 | いつでも出し入れできる預金 | 借方 |
| 定期預金 | 満期まで引き出さない約束の預金 | 借方 |
| 売掛金 | 商品を掛けで売った代金を受け取る権利 | 借方 |
| クレジット売掛金 | クレジット払いの売上代金を信販会社から受け取る権利 | 借方 |
| 貸付金 | 貸したお金を返してもらう権利 | 借方 |
| 立替金 | 他人が負担すべきお金を一時的に肩代わりした額 | 借方 |
| 前払金 | 商品代金を先に払い、あとで商品を受け取れる権利 | 借方 |
| 未収入金 | 商品以外のものを売った代金を受け取る権利 | 借方 |
| 仮払金 | 金額または内容が未確定の支出の一時置き場 | 借方 |
| 受取手形 | 約束手形で代金を受け取る権利 | 借方 |
| 電子記録債権 | 電子債権記録機関に発生記録をした債権 | 借方 |
| 繰越商品 | 前月から繰り越してきた商品の在庫 | 借方 |
| 備品 | 机・パソコン・複合機など、長く使う事務用の物品 | 借方 |
| 車両運搬具 | 営業用の自動車やトラック | 借方 |
| 建物 | 店舗・事務所・倉庫など | 借方 |
| 土地 | 店舗や駐車場の敷地。減価償却しない | 借方 |
| 減価償却累計額 | 資産から差し引く評価勘定。これまでの減価償却費の合計 | 貸方 |
| 仮払消費税 | 仕入などのときに支払った消費税 | 借方 |
資産の中で減価償却累計額だけが例外です。名前は資産グループにありますが、資産のマイナスを表す評価勘定なので、増えるのは貸方です。減価償却の仕訳で貸方に来るのは、この性質があるからです。
| 科目名 | 意味 | 増えたら |
|---|---|---|
| 買掛金 | 商品を掛けで買った代金を支払う義務 | 貸方 |
| 借入金 | 借りたお金を返す義務 | 貸方 |
| 前受金 | 代金を先に受け取り、あとで商品を渡す義務 | 貸方 |
| 未払金 | 商品以外のものを買った代金を支払う義務 | 貸方 |
| 仮受金 | 内容または金額が未確定の入金の一時置き場 | 貸方 |
| 預り金 | 給料から天引きした所得税など、他人のお金を預かった額 | 貸方 |
| 支払手形 | 約束手形で代金を支払う義務 | 貸方 |
| 電子記録債務 | 電子債権記録機関に発生記録をした債務 | 貸方 |
| 未払固定資産税 | 納税通知を受けたが、まだ納めていない固定資産税 | 貸方 |
| 仮受消費税 | 売上などのときに受け取った消費税 | 貸方 |
| 資本金 | 純資産。店主が出したもとで。追加元入で増え、引出で減る | 貸方 |
| 科目名 | 意味 | 増えたら |
|---|---|---|
| 売上 | 商品を売った金額(売価の総額) | 貸方 |
| 受取家賃 | 建物を貸して受け取る賃貸料 | 貸方 |
| 受取地代 | 土地を貸して受け取る賃貸料 | 貸方 |
| 受取手数料 | 仲介や事務代行などで受け取る手数料 | 貸方 |
| 受取利息 | 貸付金や預金から受け取る利息 | 貸方 |
| 固定資産売却益 | 土地を帳簿価額より高く売ったときの差額 | 貸方 |
| 科目名 | 意味 | 増えたら |
|---|---|---|
| 仕入 | 販売用の商品を買った金額。当社負担の仕入諸掛も含める | 借方 |
| 発送費 | 当社が負担した売上諸掛(発送運賃など) | 借方 |
| 給料 | 従業員に支払う労働の対価。天引き前の総額で計上する | 借方 |
| 広告宣伝費 | チラシ・看板・ウェブ広告などの費用 | 借方 |
| 支払手数料 | 振込手数料や信販会社に払う手数料 | 借方 |
| 支払利息 | 借入金などについて支払う利息 | 借方 |
| 旅費交通費 | 出張旅費・電車代・宿泊代 | 借方 |
| 減価償却費 | 固定資産の価値の目減りを、当月分だけ計上した額 | 借方 |
| 通信費 | 電話代・郵便切手・はがき代・インターネット利用料 | 借方 |
| 消耗品費 | 文房具など。初級では買った時点で全額を費用にする | 借方 |
| 水道光熱費 | 電気・ガス・水道の料金 | 借方 |
| 支払家賃 | 建物を借りて支払う賃借料 | 借方 |
| 支払地代 | 土地を借りて支払う賃借料 | 借方 |
| 保険料 | 火災保険などの掛金 | 借方 |
| 租税公課 | 固定資産税・印紙税など、費用になる税金 | 借方 |
| 修繕費 | 建物や備品の修理にかかった費用 | 借方 |
| 雑費 | ほかの科目に当てはまらない少額の費用 | 借方 |
| 固定資産売却損 | 土地を帳簿価額より安く売ったときの差額 | 借方 |
ホームポジションは資産と費用が借方、負債と純資産と収益が貸方。増えたらホームポジション側、減ったらその反対側です。この一行さえ言えれば、55科目すべての左右が決まります。例外は減価償却累計額だけです。
3. 仕訳パターン60連発
第2問は仕訳が10問、40点です。ここが得点源になります。次の60本は、初級で繰り返し問われる形をすべて並べたものです。
使い方は簡単です。右の2列を手で隠し、取引の説明だけを見て口で答える。詰まった行に印をつけ、次はそこだけ回します。
| 取引の一言説明 | 借方科目 | 貸方科目 |
|---|---|---|
| A 現金預金(1から6) | ||
| 1 仲介手数料を現金で受け取った | 現金 | 受取手数料 |
| 2 手元の現金を普通預金口座に預け入れた | 普通預金 | 現金 |
| 3 普通預金口座から現金を引き出した | 現金 | 普通預金 |
| 4 普通預金から定期預金へ預け替えた | 定期預金 | 普通預金 |
| 5 今月分の家賃が当座預金口座から引き落とされた | 支払家賃 | 当座預金 |
| 6 電気代が普通預金口座から引き落とされた | 水道光熱費 | 普通預金 |
| B 商品売買(7から13) | ||
| 7 商品を仕入れ、代金は現金で支払った | 仕入 | 現金 |
| 8 商品を売り上げ、代金は現金で受け取った | 現金 | 売上 |
| 9 当社負担の引取運賃を現金で支払った | 仕入 | 現金 |
| 10 仕入先負担の引取運賃を現金で立て替えた | 立替金 | 現金 |
| 11 当社負担の発送運賃を現金で支払った | 発送費 | 現金 |
| 12 掛けで仕入れた商品を品違いで返品した | 買掛金 | 仕入 |
| 13 掛けで売り上げた商品が返品されてきた | 売上 | 売掛金 |
| C 掛取引(14から19) | ||
| 14 商品を掛けで仕入れた | 仕入 | 買掛金 |
| 15 商品を掛けで売り上げた | 売掛金 | 売上 |
| 16 売掛金を現金で回収した | 現金 | 売掛金 |
| 17 買掛金を小切手を振り出して支払った | 買掛金 | 当座預金 |
| 18 クレジット払いの条件で商品を売り上げた | クレジット売掛金 支払手数料 | 売上 |
| 19 クレジット売掛金が信販会社から入金された | 普通預金 | クレジット売掛金 |
| D その他の債権と債務(20から33) | ||
| 20 借用証書を受け取り、現金を貸し付けた | 貸付金 | 現金 |
| 21 貸付金を利息とともに現金で回収した | 現金 | 貸付金 受取利息 |
| 22 銀行から借り入れ、普通預金口座に入金された | 普通預金 | 借入金 |
| 23 借入金を利息とともに普通預金から返済した | 借入金 支払利息 | 普通預金 |
| 24 事務用のパソコンを買い、代金は翌月払いとした | 備品 | 未払金 |
| 25 未払金を現金で支払った | 未払金 | 現金 |
| 26 商品を注文し、手付金を現金で支払った | 前払金 | 現金 |
| 27 手付金を払った商品を受け取り、残額は掛けとした | 仕入 | 前払金 買掛金 |
| 28 商品の注文を受け、内金を現金で受け取った | 現金 | 前受金 |
| 29 内金を受けた商品を引き渡し、残額は掛けとした | 前受金 売掛金 | 売上 |
| 30 出張旅費の概算額を現金で前渡しした | 仮払金 | 現金 |
| 31 旅費が確定し、残額を現金で返してもらった | 旅費交通費 現金 | 仮払金 |
| 32 内容不明の入金が普通預金口座にあった | 普通預金 | 仮受金 |
| 33 仮受金が売掛金の回収であると判明した | 仮受金 | 売掛金 |
| E 手形と電子記録(34から43) | ||
| 34 商品を売り上げ、約束手形を受け取った | 受取手形 | 売上 |
| 35 商品を仕入れ、約束手形を振り出した | 仕入 | 支払手形 |
| 36 売掛金の回収として約束手形を受け取った | 受取手形 | 売掛金 |
| 37 買掛金の支払いとして約束手形を振り出した | 買掛金 | 支払手形 |
| 38 受取手形が満期日に当座預金へ入金された | 当座預金 | 受取手形 |
| 39 支払手形が満期日に当座預金から引き落とされた | 支払手形 | 当座預金 |
| 40 売掛金について電子記録債権の発生記録をした | 電子記録債権 | 売掛金 |
| 41 買掛金について電子記録債務の発生記録がされた | 買掛金 | 電子記録債務 |
| 42 電子記録債権が支払期日に普通預金へ入金された | 普通預金 | 電子記録債権 |
| 43 電子記録債務が支払期日に普通預金から引き落とされた | 電子記録債務 | 普通預金 |
| F 固定資産(44から49) | ||
| 44 営業用の車両を買い、代金は現金で支払った | 車両運搬具 | 現金 |
| 45 備品を買い、据付費を含めて普通預金から支払った | 備品 | 普通預金 |
| 46 建物を修繕し、代金を現金で支払った | 修繕費 | 現金 |
| 47 当月分の減価償却費を計上した | 減価償却費 | 減価償却累計額 |
| 48 土地を帳簿価額より高く売り、代金は翌月受取 | 未収入金 | 土地 固定資産売却益 |
| 49 土地を帳簿価額より安く売り、代金は現金で受取 | 現金 固定資産売却損 | 土地 |
| G 資本金(50から52) | ||
| 50 店主が現金を元入れして開業した | 現金 | 資本金 |
| 51 店主が事業用の普通預金口座に追加元入れした | 普通預金 | 資本金 |
| 52 店主が私用のため、店の現金を引き出した | 資本金 | 現金 |
| H 税金(53から60) | ||
| 53 給料から所得税を預かり、残額を現金で支給した | 給料 | 預り金 現金 |
| 54 預かっていた所得税を現金で納付した | 預り金 | 現金 |
| 55 店主個人の所得税を店の現金で納付した | 資本金 | 現金 |
| 56 固定資産税の納税通知書を受け取った(未納) | 租税公課 | 未払固定資産税 |
| 57 固定資産税を現金で納付した | 未払固定資産税 | 現金 |
| 58 収入印紙を現金で購入した | 租税公課 | 現金 |
| 59 商品を仕入れ、消費税を含めて現金で支払った | 仕入 仮払消費税 | 現金 |
| 60 商品を売り上げ、消費税を含めて現金で受け取った | 現金 | 売上 仮受消費税 |
60本のうち、相手科目が2つに分かれる行だけを先に完璧にしてください。18・21・23・27・29・31・48・49・53・59・60の11本です。ここが第2問の得点差になります。1つの科目にまとめて書くと、金額が合っていても不正解です。
4. 直前チェックリスト40
次の40項目を、声に出して「できる」と言えるか確かめてください。詰まった項目は、右の章に戻って5分だけ読み返します。全部やり直す必要はありません。
- 第1章 資産・負債・純資産・収益・費用の5要素を、それぞれ例を挙げて説明できる。
- 第2章 与えられた勘定科目を、貸借対照表と損益計算書に振り分けられる。
- 第2章 当期純利益が2つの表をつなぐ仕組みを説明できる。
- 第3章 簿記上の取引になる出来事と、ならない出来事を区別できる。
- 第3章 取引の8要素の結合関係を図に書ける。
- 第4章 5要素それぞれについて、増加がどちら側かを即答できる。
- 第4章 T字勘定の左が借方、右が貸方であると即答できる。
- 第5章 仕訳を「科目を決める→増減を決める→左右を決める」の順で組み立てられる。
- 第5章 貸借平均の原理を自分の言葉で説明できる。
- 第6章 仕訳を総勘定元帳へ正しく転記できる。
- 第6章 相手科目が2つ以上のとき、諸口と書くことを知っている。
- 第7章 合計試算表・残高試算表・合計残高試算表の違いを説明できる。
- 第8章 通貨代用証券を現金として扱う理由を説明できる。
- 第8章 当座預金・普通預金・定期預金を使い分けられる。
- 第9章 3分法での仕入・売上・繰越商品の役割を説明できる。
- 第9章 当社負担の仕入諸掛を仕入に含める仕訳が書ける。
- 第9章 先方負担の諸掛を立替金で処理する仕訳が書ける。
- 第9章 当社負担の売上諸掛を発送費で処理する仕訳が書ける。
- 第9章 仕入戻しと売上戻りを、元の仕訳の逆で書ける。
- 第10章 売掛金・買掛金の発生と決済の仕訳が書ける。
- 第10章 クレジット売掛金と支払手数料の仕訳が書ける。
- 第11章 貸付金・借入金の利息を、月数按分で計算できる。
- 第11章 未収入金・未払金と、売掛金・買掛金を使い分けられる。
- 第11章 前払金・前受金の2ステップの仕訳が書ける。
- 第11章 給料からの天引きを、預り金と立替金で処理できる。
- 第11章 仮払金・仮受金を、確定時に正しい科目へ振り替えられる。
- 第12章 約束手形の受入・振出・決済の仕訳が書ける。
- 第12章 電子記録債権・電子記録債務の発生記録と決済の仕訳が書ける。
- 第13章 付随費用を含めた取得原価を計算できる。
- 第13章 月次の減価償却費を「1年分の見積額 ÷ 12」で出せる。
- 第13章 減価償却の仕訳が、借方 減価償却費/貸方 減価償却累計額だと即答できる。
- 第13章 土地は減価償却しないと即答できる。
- 第13章 土地の売却損益を計算し、仕訳にできる。
- 第14章 元入れ・追加元入れの仕訳を、資本金で書ける。
- 第14章 店主の引出を、資本金の減少として処理できる。
- 第15章 似た収益・費用の科目を、取引の内容から選び分けられる。
- 第16章 店主個人の所得税を費用にせず、資本金を減らすと説明できる。
- 第16章 固定資産税と印紙税を、租税公課で処理できる。
- 第16章 消費税の税抜方式の仕訳を、仕入時と売上時の両方で書ける。
- 第17章から第19章 3伝票制で起票でき、補助簿を選べ、合計残高試算表を作って数値を読み取れる。
5. 本番40分の時間配分
試験時間は40分、100点満点、70点以上で合格です。第1問30点・第2問40点・第3問30点の3部構成です。
40分は思っているより短いです。時間配分を決めずに解き始めると、第3問に手が回りません。次の配分を目安にしてください。
| 順番 | 大問と配点 | 目安時間 | 本番での動き方 |
|---|---|---|---|
| 1 | 第1問 基礎概念・用語 10問 30点 | 8分 (1問 約48秒) | 知識問題です。読んだ瞬間に答えが出るものだけ即答し、迷ったら仮の答えを選んで先へ進みます。1問に1分以上かけません。 |
| 2 | 第2問 仕訳 10問 40点 | 16分 (1問 約96秒) | 最大の得点源です。取引を読み、メモに借方・貸方を書いてから画面で選びます。金額の桁をここで必ず確認します。 |
| 3 | 第3問 合計残高試算表 30点 | 13分 | 先に問われている数値を確認し、必要な勘定だけを追います。全部の集計をやり直す時間はありません。 |
| 4 | 見直し | 3分 | 空欄がないかを最優先で確認します。次に、第2問の借方・貸方が逆になっていないかを見ます。 |
| – | 合計 | 40分 | 残り時間は画面に表示されます。10分ごとに現在地を確認します。 |
ネット試験ならではの動き方
解答は画面上で選択したり数値を入力したりする形です。紙に書き込むことはできません。そのかわり、会場からメモ用紙とペンが渡されるのが一般的です。
このメモ用紙が仕訳の下書き場になります。第2問では、必ずメモに「借方科目・金額/貸方科目・金額」を書いてから画面を操作してください。頭の中だけで処理すると、貸借を逆にする事故が起きます。
- 取引文を読み、キーワードに丸をつける(当社負担、手付金、掛け、など)。
- メモに借方と貸方を書き、金額の合計が一致することを確かめる。
- 画面のプルダウンで科目を選び、金額を入力する。
- 入力した金額の桁を、メモと1回だけ突き合わせる。
メモ用紙の使い方、ペンの本数、電卓の持込可否や種類は、会場ごとに案内が異なります。画面上の電卓を使う形式の会場もあります。当日は必ず会場の指示に従ってください。事前に申込サイトの案内を読んでおくと安心です。
分からない問題で止まらないことが、40分を守る最大の技術です。30秒考えて糸口が見えなければ、仮の答えを選んで次へ。全問に触れてから戻るほうが、確実に点が伸びます。空欄は0点ですが、選んでおけば当たる可能性があります。
6. 失点しやすいポイント20
不合格になる人の失点は、驚くほど同じ場所に集中します。次の20か所を当日の朝に読み返すだけで、数点は変わります。
| 論点 | やりがちな誤り | 正しい処理 |
|---|---|---|
| 1 貸借が逆 | 増減の判定を誤り、左右を入れ替えてしまう | 5要素のホームポジションに戻る。資産と費用は借方、負債と純資産と収益は貸方 |
| 2 売掛金と未収入金 | 土地や備品を売った代金を売掛金にする | 商品なら売掛金、商品以外なら未収入金 |
| 3 買掛金と未払金 | 備品の購入代金を買掛金にする | 商品なら買掛金、商品以外なら未払金 |
| 4 諸掛の負担者 | 先方負担の運賃を仕入に加算する | 先方負担で当社が払ったなら立替金。当社負担なら仕入に含める |
| 5 売上諸掛の処理 | 発送費を売上から差し引く | 売上は売価の総額。当社負担の運賃は発送費として別に計上 |
| 6 減価償却の月割り | 1年分の見積額をそのまま計上する | 1年分の見積額 ÷ 12 が当月分 |
| 7 減価償却の貸方 | 貸方に備品や建物と書く | 貸方は減価償却累計額で固定 |
| 8 土地の減価償却 | 土地も償却してしまう | 土地は減価償却しない |
| 9 消費税の税抜処理 | 税込金額をまるごと仕入や売上にする | 本体は仕入・売上、税額は仮払消費税・仮受消費税に分ける |
| 10 店主の所得税 | 租税公課などの費用にする | 店の費用ではない。資本金を減らす |
| 11 源泉所得税 | 天引き分を租税公課にする | 従業員から預かっただけなので預り金 |
| 12 返品の向き | 仕入戻しを売上で処理する | 元の仕訳の逆。仕入戻しは買掛金/仕入、売上戻りは売上/売掛金 |
| 13 前払と前受の逆 | 先に払ったのに前受金と書く | 先に出したら前払金(資産)、先にもらったら前受金(負債) |
| 14 立替と預りの逆 | 天引きした所得税を立替金にする | 肩代わりして払ったら立替金、預かったら預り金 |
| 15 仮払と仮受の逆 | 概算の前渡しを仮受金にする | 先に出したら仮払金、先にもらったら仮受金 |
| 16 手付金の段階で仕入 | 商品が届く前に仕入を計上する | 手付時は前払金。商品受取時に仕入へ振り替える |
| 17 給料の金額 | 手取額を給料として計上する | 借方の給料は天引き前の総額 |
| 18 元金と利息の合算 | 借入金に利息を含めて1行で書く | 元金は借入金、利息は支払利息。必ず分ける |
| 19 手形と掛の混同 | 手形で回収したのに売掛金のままにする | 売掛金を減らし、受取手形を増やす振替が必要 |
| 20 金額の桁 | 0の数を1つ間違える | メモに書いた金額と入力欄を1回だけ突き合わせる |
迷ったときの3つの質問です。その1、商品か商品以外か(売掛金と未収入金、買掛金と未払金の分かれ道)。その2、先に出したか先にもらったか(前払と前受、立替と預り、仮払と仮受の分かれ道)。その3、店のお金か店主個人のお金か(費用か資本金の減少かの分かれ道)。
7. ネット試験当日の流れ
会場に着いてから結果を受け取るまでの流れを、あらかじめ知っておくと落ち着いて臨めます。
- 持ち物を確認する 本人確認書類は必須です。何が有効かは申込サイトと会場の案内に書かれています。前日までに確認しておきます。
- 受付をする 受付で本人確認を受けます。かばんや上着、スマートフォンはロッカーなどに預けます。
- 席に案内される パソコンの前に案内されます。画面の指示に従って情報を入力し、ログインします。
- 操作説明を受ける 開始前に、解答画面の操作方法とルールの説明があります。メモ用紙とペンはここで渡されるのが一般的です。
- 電卓を確認する 持込の可否や使える種類、画面上の電卓を使うかどうかは会場によって異なります。指示に従ってください。
- 試験を受ける 40分間です。残り時間は画面に表示されます。全問に答えてから見直します。
- 終了する 時間内に終えたら自分で終了操作をします。40分が経過すると自動で終了します。
- 結果を見る 終了直後にその場で採点され、得点と合否が画面に表示されます。
- スコアレポートを受け取る 大問ごとの得点が載っています。合格ならデジタル合格証を後日確認できます。
- メモ用紙を返却する 使ったメモ用紙とペンは必ず返します。持ち帰ることはできません。
受付の時刻、持込が認められる物、休憩の可否などの運用は会場ごとに違います。この本の記述と会場の案内が食い違う場合は、必ず会場の指示に従ってください。当日に慌てないよう、申込完了メールと会場からの案内を印刷して持っていくことをおすすめします。
8. 例題で最後の確認をする
商品 600,000円を仕入れ、そのうち 150,000円は注文時に支払った手付金と相殺し、残額は掛けとしました。なお、当社負担の引取運賃 8,000円は現金で支払いました。仕訳を示しなさい。
STEP1 仕入の金額を決めます。商品の代金 600,000円に、当社負担の引取運賃 8,000円を足します。仕入は 608,000円です。運賃を別の費用科目にしてはいけません。
STEP2 手付金を消します。注文時に借方へ置いた前払金 150,000円は、商品を受け取った時点で役目を終えます。貸方に書いてゼロに戻します。
STEP3 残りの代金を計算します。600,000円ひく 150,000円で 450,000円。商品代金の未払いなので買掛金です。
STEP4 現金の動きを書きます。運賃 8,000円は現金で払ったので、現金の減少で貸方です。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 608,000 | 前払金 | 150,000 |
| – | – | 買掛金 | 450,000 |
| – | – | 現金 | 8,000 |
貸方は 150,000円たす 450,000円たす 8,000円で 608,000円。借方と一致します。運賃 8,000円を買掛金に足さないこと。掛けにしたのは商品代金の残額だけです。
当月の合計試算表で、現金勘定の借方合計は 1,850,000円、貸方合計は 1,180,000円でした。借方合計には前月繰越 500,000円が含まれています。(1)月末の現金残高と、(2)当月の現金の純増加額を求めなさい。
STEP1 残高は差額で出します。合計試算表の残高は、借方合計から貸方合計を引くだけです。1,850,000円ひく 1,180,000円で 670,000円。これが(1)の答えです。
STEP2 純増加額は繰越を除いて考えます。純増加額とは、当月にどれだけ増えたかです。前月繰越は当月の増加ではないので、借方合計から取り除きます。1,850,000円ひく 500,000円で 1,350,000円が当月の増加額です。
STEP3 当月の減少額を引きます。1,350,000円ひく 1,180,000円で 170,000円。これが(2)の答えです。
| 項目 | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| (1) 月末の現金残高 | 1,850,000円 – 1,180,000円 | 670,000円 |
| 当月の現金増加額 | 1,850,000円 – 500,000円 | 1,350,000円 |
| (2) 当月の現金純増加額 | 1,350,000円 – 1,180,000円 | 170,000円 |
検算もできます。前月繰越 500,000円たす純増加額 170,000円で 670,000円。残高と一致しました。残高と純増加額は別物だと押さえてください。
9. 不合格だったときの立て直し方
ネット試験は随時受けられます。1回で決めなければならない試験ではありません。うまくいかなかったときこそ、手順どおりに立て直してください。
- その日のうちにスコアレポートを見る 大問別の得点が出ています。どこで落としたかを数字で確認します。
- 次の受験日を先に決める 記憶が新しいうちが有利です。2週間以内を目安にします。
- 弱かった大問だけを潰す 第2問が低ければ仕訳パターン60連発、第3問が低ければ第19章に戻ります。全部やり直す必要はありません。
- 間違いノートを作る 次の項目で説明する形式で、間違えた問題だけを書き出します。
- 再受験する 申込手続きは初回と同じです。受験料は都度かかります。
間違いノートの作り方
間違いノートは、たくさん書くほど効果が下がります。1問につき4行だけと決めてください。解説を丸写しにしてはいけません。
| 行 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
| 1行目 | 問題の一言要約 | 先方負担の引取運賃を現金で払った |
| 2行目 | 自分が書いた答え | 借方 仕入/貸方 現金 |
| 3行目 | 正しい答え | 借方 立替金/貸方 現金 |
| 4行目 | なぜ間違えたか(1行) | 負担者を読み飛ばした |
4行目がいちばん大切です。ここに書けるのは、原因を言葉にできたときだけです。
間違いノートは3回読んだら捨てると決めてください。3回読んでも間違える項目は、理解ではなく暗記の問題です。その場合は該当章の本文に戻ります。ノートを分厚くすることが目的ではありません。
10. 合格したあとの進み方
初級に合格したら、次の2つの方向があります。どちらへ進んでも、この本で身につけた仕訳の型がそのまま使えます。
企業の経理実務の基礎を学ぶ資格です。
決算整理、精算表、財務諸表の作成、株式会社の会計へと広がります。
初級で覚えた55科目はほぼそのまま使えます。
就職や転職で評価されやすいのはこちらです。
ものを作るときの費用を計算する分野です。
材料費・労務費・経費の集計や、原価を下げる考え方を学びます。
製造業や飲食業に関わる人に向いています。
商業簿記とは別の視点が身につきます。
迷ったら日商簿記3級を選んでください。初級の内容が土台になっているので、学習をそのまま続けられます。
合格した日のうちに、次の目標を1つ決めてください。間隔をあけると、覚えた仕訳の型が抜けていきます。3級のテキストを1冊買っておくだけでも、続きに入りやすくなります。
- 55科目は「資産と費用は借方、負債と純資産と収益は貸方」で決まる。例外は減価償却累計額だけ。
- 40分の配分は第1問8分・第2問16分・第3問13分・見直し3分。30秒で糸口が見えなければ仮の答えを選んで次へ進む。
- 失点は同じ20か所に集中する。商品か商品以外か、先に出したか先にもらったか、店か店主個人か。この3つの質問で大半は防げる。
章末演習(20問)
商品 240,000円を掛けで仕入れ、当社負担の引取運賃 6,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 246,000 | 買掛金 | 240,000 |
| – | – | 現金 | 6,000 |
解説
当社負担の仕入諸掛は仕入に含めます。仕入は 240,000円たす 6,000円で 246,000円です。貸方は、商品代金の未払いである買掛金 240,000円と、運賃の支払いによる現金の減少 6,000円に分けます。運賃を買掛金に足してはいけません。
得意先から売掛金 380,000円を、同店振出の小切手で回収した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 380,000 | 売掛金 | 380,000 |
解説
他人が振り出した小切手は通貨代用証券なので、受け取った時点で現金として扱います。借方は現金 380,000円(資産の増加)です。回収によって受け取る権利がなくなったので、貸方は売掛金(資産の減少)になります。
従業員の出張にあたり、旅費の概算額 50,000円を現金で前渡しした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仮払金 | 50,000 | 現金 | 50,000 |
解説
現金が 50,000円減ったので貸方です。実際にいくら使うかがまだ決まっていないため、旅費交通費では処理できません。借方は一時的な置き場所である仮払金(資産の増加)です。金額が確定したときに振り替えます。
次のうち、負債に属する勘定科目はどれか。正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 未払固定資産税
解説
未払固定資産税は、納税通知を受けたがまだ納めていない税金を表す負債です。前払金・未収入金・仮払消費税は、いずれも先に払ったりあとで受け取ったりする権利なので資産です。名前に「払」や「収」が付いていても、こちらが先に出したものは資産になります。
次の有形固定資産のうち、減価償却の対象とならないものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 土地
解説
減価償却は、使ううちに価値が減っていく資産に対して行います。土地は使っても価値が目減りしないと考えるため、減価償却をしません。建物・備品・車両運搬具は、いずれも減価償却の対象です。
商品 500,000円を売り上げた。代金のうち 120,000円は注文時に受け取った内金と相殺し、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前受金 | 120,000 | 売上 | 500,000 |
| 売掛金 | 380,000 | – | – |
解説
商品を引き渡したので、貸方は売上 500,000円(収益の発生)です。内金を差し引いた金額ではありません。借方は、役目を終えた前受金 120,000円(負債の減少)と、残額 500,000円ひく 120,000円イコール 380,000円の売掛金(資産の増加)に分かれます。
買掛金 300,000円の支払いのため、約束手形を振り出して仕入先に渡した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 300,000 | 支払手形 | 300,000 |
解説
約束手形を振り出したので、期日に支払う義務が生まれます。貸方は支払手形 300,000円(負債の増加)です。もともとあった買掛金の支払義務は手形に置き換わって消えるので、借方は買掛金(負債の減少)になります。現金や預金はまだ動きません。
売掛金 450,000円について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 450,000 | 売掛金 | 450,000 |
解説
発生記録によって、売掛金が電子記録債権に姿を変えます。借方は電子記録債権 450,000円(資産の増加)、貸方は売掛金 450,000円(資産の減少)です。資産の中での振替なので、金額の総額は変わりません。入金はこの時点ではありません。
当月分の減価償却費を計上した。備品の取得原価は 1,800,000円、耐用年数は 5年である。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 30,000 | 減価償却累計額 | 30,000 |
解説
1年分の見積額は 1,800,000円 わる 5年で 360,000円。当月分はこれを12で割り、360,000円 わる 12 で 30,000円です。借方は費用の発生である減価償却費、貸方は減価償却累計額で固定です。貸方に備品と書いてはいけません。
商品 200,000円を仕入れ、消費税 20,000円とあわせて現金で支払った。消費税は税抜方式による。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 200,000 | 現金 | 220,000 |
| 仮払消費税 | 20,000 | – | – |
解説
税抜方式では、商品の本体価格と消費税を分けて記入します。借方は仕入 200,000円と仮払消費税 20,000円です。支払った現金は 200,000円たす 20,000円で 220,000円なので貸方になります。仕入を 220,000円としてはいけません。
店主が私用のため、店の現金 80,000円を引き出した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 80,000 | 現金 | 80,000 |
解説
現金が 80,000円減ったので貸方です。店主が私用で持ち出したお金は、店の費用ではありません。もとでを取り崩したことになるので、借方は資本金(純資産の減少)です。給料や雑費で処理してはいけません。
商品以外の物品を売却し、代金を後日受け取ることにした。このとき用いる勘定科目はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 未収入金
解説
分かれ道は、その会社が商売として売っている物かどうかだけです。商品を掛けで売れば売掛金ですが、土地や備品のように商品以外のものを売った代金は未収入金で処理します。前払金は先に払った商品代金、立替金は他人の負担分の肩代わりなので、いずれも当てはまりません。
従業員の給料から差し引いた所得税の源泉徴収額を処理する勘定科目はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 預り金
解説
源泉徴収した所得税は、会社が従業員から預かって国に納めるだけのお金です。会社の税金ではないので租税公課は使いません。あとで渡す義務があるため、負債である預り金で処理します。金額も内容も決まっているので仮受金でもありません。
元本 1,500,000円を年利率 2パーセントで 9か月間借り入れた。支払う利息はいくらか。
解答と解説
正解
22,500 円
解説
1年分の利息は 1,500,000円 かける 0.02 で 30,000円。今回は9か月分なので 30,000円 かける 9 わる 12 で 22,500円です。年利率は1年分の割合なので、必ず月数で按分します。返済時の仕訳は、借方に借入金 1,500,000円と支払利息 22,500円、貸方に現金など 1,522,500円となります。
商品 720,000円を仕入れた。うち 180,000円は注文時に支払った手付金と相殺し、残額は掛けとした。なお、当社負担の引取運賃 9,000円は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 729,000 | 前払金 | 180,000 |
| – | – | 買掛金 | 540,000 |
| – | – | 現金 | 9,000 |
解説
仕入は商品代金 720,000円に当社負担の引取運賃 9,000円を足した 729,000円です。貸方は3つに分かれます。役目を終えた前払金 180,000円(資産の減少)、残額 720,000円ひく 180,000円イコール 540,000円の買掛金(負債の増加)、運賃の支払いによる現金 9,000円です。貸方合計は 729,000円で借方と一致します。運賃を買掛金に含めないよう注意してください。
従業員に今月分の給料 520,000円を支給した。さきに立て替えていた 18,000円と、所得税の源泉徴収額 31,000円を差し引き、残額を普通預金口座から振り込んだ。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 520,000 | 立替金 | 18,000 |
| – | – | 預り金 | 31,000 |
| – | – | 普通預金 | 471,000 |
解説
借方の給料は天引き前の総額 520,000円です。手取額を書いてはいけません。貸方は、回収できた立替金 18,000円(資産の減少)、これから納める預り金 31,000円(負債の増加)、実際に振り込んだ普通預金 520,000円ひく 18,000円ひく 31,000円イコール 471,000円の3つです。貸方合計は 520,000円となり借方と一致します。
帳簿価額 2,400,000円の土地を 2,150,000円で売却した。代金のうち 1,000,000円は現金で受け取り、残額は翌月末に受け取ることにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,000,000 | 土地 | 2,400,000 |
| 未収入金 | 1,150,000 | – | – |
| 固定資産売却損 | 250,000 | – | – |
解説
土地がなくなったので、貸方は土地 2,400,000円(資産の減少)です。借方は、受け取った現金 1,000,000円、あとで受け取る 2,150,000円ひく 1,000,000円イコール 1,150,000円の未収入金、そして売却損です。売却損は 2,400,000円ひく 2,150,000円で 250,000円になります。代金を売掛金としないよう注意してください。
次の取引のうち、費用が発生しないものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 店主個人の所得税 90,000円を店の現金で納付した
解説
店主個人の所得税は店の費用ではありません。もとでの引出しにあたるので、借方は資本金(純資産の減少)となり、費用は発生しません。当社負担の発送運賃は発送費、収入印紙は租税公課、建物の修繕は修繕費で、いずれも費用が発生します。店のお金か店主個人のお金かが分かれ道です。
当月の合計試算表で、現金勘定の借方合計は 3,260,000円、貸方合計は 2,480,000円であった。借方合計には前月繰越 640,000円が含まれている。当月の現金の純増加額はいくらか。
解答と解説
正解
140,000 円
解説
前月繰越は当月の増加ではないので、借方合計から取り除きます。当月の増加額は 3,260,000円ひく 640,000円で 2,620,000円。ここから当月の減少額 2,480,000円を引き、2,620,000円ひく 2,480,000円で 140,000円が純増加額です。なお月末残高は 3,260,000円ひく 2,480,000円で 780,000円であり、前月繰越 640,000円たす 140,000円と一致します。残高と純増加額を混同しないでください。
当月、商品を 850,000円(税抜)で売り上げ、消費税 85,000円とあわせて代金を受け取った。また商品を 600,000円(税抜)で仕入れ、消費税 60,000円とあわせて代金を支払った。ほかに消費税を伴う取引はない。月末の仮受消費税の残高から仮払消費税の残高を差し引いた金額はいくらか。
解答と解説
正解
25,000 円
解説
税抜方式では、売上時に受け取った消費税を仮受消費税(負債)、仕入時に支払った消費税を仮払消費税(資産)で処理します。仮受消費税の残高は 85,000円、仮払消費税の残高は 60,000円です。差額は 85,000円ひく 60,000円で 25,000円になります。本体価格の 850,000円や 600,000円は、売上と仕入に計上されており、この計算には使いません。
特別演習仕訳ドリル100本ノック0 / 100▼
本試験の第2問(40点)を確実に取り切るための、全範囲からの仕訳100問。
- 全範囲の仕訳100問を通しで解き、自分が迷う型を洗い出す。
- 1問30秒で、借方科目・貸方科目・金額を確定できるようにする。
- 3周してすべて正解にし、第2問の40点を得点源に変える。
1. この100問の使い方
本試験の第2問は、仕訳が10問で40点です。ここを取り切れば合格は一気に近づきます。この演習は、第2問だけに的をしぼった総仕上げです。
- 1問30秒を目標にする 試験時間40分のうち、仕訳1問に使える時間はおよそ1分です。その半分の30秒で解けるようにしておけば、本番で必ず余裕が生まれます。時計を見ながら解いてください。
- 間違えた問題は番号を控える 解説を読んで納得しただけでは身につきません。間違えた問題の番号をノートに書き出します。これが自分専用の弱点リストになります。
- 3周する 1周目は100問すべて。2周目は間違えた問題だけ。3周目も間違えた問題だけです。3周目で全問正解できれば仕上がりです。
解く順番は番号どおりで構いません。分野ごとにまとまっているので、どこでつまずいたかが番号で分かります。たとえば d091 から d100 で手が止まったら、税金の章に戻る合図です。
2. 分野別の内訳
100問の内訳は次のとおりです。本試験で出題されやすい分野に、多めに配分しています。
| 分野 | 問題番号 | 問数 | 戻る章 |
|---|---|---|---|
| 現金・預金 | d001〜d010 | 10 | 第8章 |
| 商品売買と3分法・返品・諸掛 | d011〜d024 | 14 | 第9章 |
| 売掛金・買掛金・クレジット売掛金 | d025〜d038 | 14 | 第10章 |
| その他の債権と債務 | d039〜d052 | 14 | 第11章 |
| 手形と電子記録債権・債務 | d053〜d062 | 10 | 第12章 |
| 有形固定資産と減価償却 | d063〜d074 | 12 | 第13章 |
| 資本金(個人企業) | d075〜d080 | 6 | 第14章 |
| 収益と費用の科目選び | d081〜d090 | 10 | 第15章 |
| 税金(所得税・固定資産税・印紙税・消費税) | d091〜d100 | 10 | 第16章 |
| 合計 | d001〜d100 | 100 | – |
難易度は、基本が40問、標準が40問、応用が20問です。基本と標準の80問を確実に取れれば、第2問はほぼ満点になります。
答えを書いたら、借方合計と貸方合計が一致しているかを必ず確かめてください。一致していなければ、その時点で確実に誤りです。この確認は3秒で終わります。
演習(100問)
青葉商店に商品を 180,000円で売り上げ、代金は同店振出の小切手で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 180,000 | 売上 | 180,000 |
解説
他人が振り出した小切手は、簿記では現金として扱います。借方は現金 180,000円(資産の増加)、貸方は売上 180,000円(収益の発生)です。
手元の現金 350,000円を、当座預金口座に預け入れた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 350,000 | 現金 | 350,000 |
解説
資産どうしの振替です。増えた当座預金が借方、減った現金が貸方になります。収益も費用も登場しません。
普通預金口座から現金 60,000円を引き出した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 60,000 | 普通預金 | 60,000 |
解説
増えた現金が借方、減った普通預金が貸方です。預金の引き出しは、預け入れとちょうど左右が反対になります。
今月分の水道料金 18,000円が、普通預金口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 水道光熱費 | 18,000 | 普通預金 | 18,000 |
解説
水道・電気・ガスの料金は水道光熱費でまとめます。費用の発生なので借方、減った普通預金が貸方です。
普通預金口座に、利息 900円が入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 900 | 受取利息 | 900 |
解説
預金が増えたので借方は普通預金。増えた理由は利息を受け取ったことなので、貸方は収益の受取利息です。
かねて受け取っていた郵便為替証書 120,000円を、普通預金口座に預け入れた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
解説
郵便為替証書は、受け取った時点で現金として処理しています。預け入れによってその現金が預金に変わるので、貸方は現金です。
普通預金口座から 700,000円を、定期預金口座へ預け替えた。手数料は考えなくてよい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 定期預金 | 700,000 | 普通預金 | 700,000 |
解説
増えた定期預金が借方、減った普通預金が貸方です。預金の種類が変わっただけで、資産の総額は変わりません。
松風商店から借りている事務所の、1か月分の家賃 160,000円を小切手を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払家賃 | 160,000 | 当座預金 | 160,000 |
解説
小切手を振り出したときに減るのは当座預金です。借方は費用の発生である支払家賃、貸方は当座預金で、現金としてはいけません。
桐谷商会に対する買掛金 315,000円を普通預金口座から振り込んだ。あわせて、当社が負担する振込手数料 660円が同口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 315,000 | 普通預金 | 315,660 |
| 支払手数料 | 660 | – | – |
解説
買掛金の消滅 315,000円と、費用である手数料 660円は別の科目です。口座から出た合計 315,000円 + 660円 = 315,660円が貸方の普通預金になります。
定期預金 1,500,000円が満期となり、利息 6,000円とあわせて普通預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 1,506,000 | 定期預金 | 1,500,000 |
| – | – | 受取利息 | 6,000 |
解説
入金額 1,500,000円 + 6,000円 = 1,506,000円を借方に置きます。貸方は、元本の払戻しである定期預金と、収益である受取利息 6,000円に分けます。
藤棚商事から商品 240,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 240,000 | 買掛金 | 240,000 |
解説
3分法では、仕入れた商品は費用の仕入で処理します。代金は後払いなので、貸方は負債の買掛金です。
楓橋商店に商品を 320,000円で売り上げ、代金は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 320,000 | 売上 | 320,000 |
解説
売り上げたので貸方は収益の売上。代金はあとで受け取るので、借方は資産の売掛金です。
蓮見商会から商品 150,000円を仕入れ、代金は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 150,000 | 現金 | 150,000 |
解説
仕入は費用の発生なので借方、支払った現金は資産の減少なので貸方です。掛けか現金かで変わるのは貸方だけです。
桜坂産業から掛けで仕入れた商品のうち、20,000円を品違いのため返品した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 20,000 | 仕入 | 20,000 |
解説
返品は仕入の取り消しです。仕入時と左右を反対にして、仕入 20,000円を貸方で減らし、支払う必要がなくなった買掛金を借方で減らします。
柚木商店に掛けで売り上げた商品のうち、35,000円が返品された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売上 | 35,000 | 売掛金 | 35,000 |
解説
売上の取り消しなので、売上 35,000円を借方に書いて減らします。受け取る権利も消えるため、貸方は売掛金です。
榧の木商会から商品 260,000円を仕入れ、代金は掛けとした。なお、当社が負担する引取運賃 8,000円は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 268,000 | 買掛金 | 260,000 |
| – | – | 現金 | 8,000 |
解説
当社負担の引取運賃は仕入原価に含めます。仕入は 260,000円 + 8,000円 = 268,000円。貸方は買掛金 260,000円と現金 8,000円に分かれます。
樫野商店に商品を 350,000円で売り上げ、代金は掛けとした。なお、当社が負担する発送費 9,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 350,000 | 売上 | 350,000 |
| 発送費 | 9,000 | 現金 | 9,000 |
解説
売る側が負担した運送料は、費用の発送費で処理します。仕入諸掛と違い、売上に加算も減算もしません。売上は 350,000円のままです。
杉沢物産から商品 400,000円を仕入れ、代金のうち 150,000円は現金で支払い、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 400,000 | 現金 | 150,000 |
| – | – | 買掛金 | 250,000 |
解説
仕入は全額の 400,000円で借方に1行。貸方は現金 150,000円と、残り 400,000円 – 150,000円 = 250,000円の買掛金に分けます。
椿山商事から商品 480,000円を掛けで仕入れた。なお、仕入先が負担すべき引取運賃 6,000円を現金で立て替えて支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 480,000 | 買掛金 | 480,000 |
| 立替金 | 6,000 | 現金 | 6,000 |
解説
先方負担の運賃は当社の費用ではありません。あとで返してもらえるので、借方は資産の立替金 6,000円です。仕入に含めてはいけません。
楡本商店に商品を 520,000円で売り上げ、代金のうち 200,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 200,000 | 売上 | 520,000 |
| 売掛金 | 320,000 | – | – |
解説
売上は総額 520,000円で貸方に1行。借方は現金 200,000円と、残り 320,000円の売掛金に分けます。
早瀬商会から現金で仕入れていた商品 30,000円を品質不良のため返品し、代金は現金で返してもらった。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 30,000 | 仕入 | 30,000 |
解説
返品なので仕入 30,000円を貸方で取り消します。掛けではなく現金取引だったため、借方は戻ってきた現金です。買掛金は登場しません。
瀬戸口商店に商品を 450,000円で売り上げ、代金は同店振出の小切手で受け取り、ただちに当座預金口座に預け入れた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 450,000 | 売上 | 450,000 |
解説
受け取った小切手をすぐ預け入れたので、現金を経由させず当座預金の増加として処理します。貸方は売上 450,000円です。
岩清水商会から商品 720,000円を仕入れ、さきに支払っていた手付金 120,000円を差し引き、残額は掛けとした。なお、当社が負担する引取運賃 15,000円は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 735,000 | 前払金 | 120,000 |
| – | – | 買掛金 | 600,000 |
| – | – | 現金 | 15,000 |
解説
仕入は商品 720,000円 + 引取運賃 15,000円 = 735,000円。貸方は、役目を終えた前払金 120,000円、残額 600,000円の買掛金、運賃分の現金 15,000円の3つです。
汐見台商店から商品 540,000円を掛けで仕入れた。引取運賃 12,000円のうち 5,000円は当社負担、7,000円は仕入先負担であり、全額を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 545,000 | 買掛金 | 540,000 |
| 立替金 | 7,000 | 現金 | 12,000 |
解説
当社負担の 5,000円だけを仕入に加算して 545,000円。仕入先負担の 7,000円は返してもらえるので立替金です。貸方の現金は支払った全額 12,000円になります。
波多江物産に対する売掛金 280,000円を、現金で回収した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 280,000 | 売掛金 | 280,000 |
解説
現金が増えたので借方。受け取る権利がなくなったので、貸方は売掛金(資産の減少)です。売上は販売時に計上済みなので使いません。
霧島工房に対する買掛金 190,000円を、現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 190,000 | 現金 | 190,000 |
解説
支払義務が消えたので借方は買掛金(負債の減少)、出ていった現金が貸方です。仕入も仕入時に計上済みなので登場しません。
雪見商店に対する売掛金 400,000円が、普通預金口座に振り込まれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 400,000 | 売掛金 | 400,000 |
解説
回収の手段が普通預金に変わっただけです。借方は増えた普通預金、貸方は消えた売掛金となります。
星ケ丘商会に対する買掛金 260,000円を、普通預金口座から振り込んで支払った。手数料は考えなくてよい。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 260,000 | 普通預金 | 260,000 |
解説
借方は買掛金(負債の減少)、貸方は減った普通預金です。支払手段が変わっても借方の考え方は同じです。
月見坂商店に商品 300,000円をクレジットカード払いの条件で売り上げた。信販会社への手数料は販売代金の 3パーセントであり、販売時に計上する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 291,000 | 売上 | 300,000 |
| 支払手数料 | 9,000 | – | – |
解説
手数料は 300,000円 × 3パーセント = 9,000円。あとで受け取る 300,000円 – 9,000円 = 291,000円がクレジット売掛金です。売上は総額 300,000円で計上します。
クレジット売掛金 291,000円が、信販会社から普通預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 291,000 | クレジット売掛金 | 291,000 |
解説
手数料は販売時に計上済みなので、入金時には登場しません。入金額とクレジット売掛金は同じ 291,000円になります。
陽だまり商店に対する売掛金 360,000円を、同店振出の小切手で回収した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 360,000 | 売掛金 | 360,000 |
解説
他人が振り出した小切手は現金として扱います。借方は当座預金ではなく現金 360,000円です。
木洩れ日工房に対する買掛金 420,000円のうち、180,000円は現金で支払い、残額は普通預金口座から振り込んだ。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 420,000 | 現金 | 180,000 |
| – | – | 普通預金 | 240,000 |
解説
借方は買掛金 420,000円の1行。貸方は現金 180,000円と、残り 420,000円 – 180,000円 = 240,000円の普通預金に分けます。
風見鶏商会に商品 250,000円をクレジットカード払いの条件で売り上げた。信販会社への手数料は販売代金の 4パーセントである。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 240,000 | 売上 | 250,000 |
| 支払手数料 | 10,000 | – | – |
解説
手数料は 250,000円 × 4パーセント = 10,000円。クレジット売掛金は 240,000円です。手数料率が変わっても手順は変わりません。
石畳商店に対する売掛金 320,000円について、当社が負担する振込手数料 550円が差し引かれ、残額が普通預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 319,450 | 売掛金 | 320,000 |
| 支払手数料 | 550 | – | – |
解説
売掛金は全額 320,000円を貸方で消します。借方は実際の入金額 320,000円 – 550円 = 319,450円と、費用の支払手数料 550円です。
赤煉瓦商会に対する買掛金 480,000円を支払うため、小切手を振り出して渡した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 480,000 | 当座預金 | 480,000 |
解説
小切手を振り出した側は当座預金が減ります。貸方を現金としないよう注意してください。
青竹商店に商品を 500,000円で売り上げ、代金は掛けとした。なお、先方が負担する発送費 9,000円を現金で立て替え、掛け代金に含めて請求した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 509,000 | 売上 | 500,000 |
| – | – | 現金 | 9,000 |
解説
先方負担の発送費を掛け代金に含めたので、売掛金は 500,000円 + 9,000円 = 509,000円です。当社の費用ではないため、発送費は使いません。
銀杏並木商会に対する売掛金 540,000円について、200,000円を現金で回収し、300,000円が普通預金口座に振り込まれた。残りの 40,000円は、さきに返品を受けた商品の代金であり、掛け代金から差し引いた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 200,000 | 売掛金 | 540,000 |
| 普通預金 | 300,000 | – | – |
| 売上 | 40,000 | – | – |
解説
売掛金 540,000円を貸方で一度に消します。借方は、回収した現金 200,000円と普通預金 300,000円、返品による売上の取り消し 40,000円の3つです。
山吹商店に商品を 700,000円で売り上げた。代金のうち 400,000円はクレジットカード払い(手数料は代金の 3パーセント)とし、残額は現金で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 388,000 | 売上 | 700,000 |
| 支払手数料 | 12,000 | – | – |
| 現金 | 300,000 | – | – |
解説
手数料は 400,000円 × 3パーセント = 12,000円で、クレジット分は 388,000円。残額 700,000円 – 400,000円 = 300,000円は現金です。借方合計は売上と一致します。
紫苑商事に借用証書を受け取って、現金 600,000円を貸し付けた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 貸付金 | 600,000 | 現金 | 600,000 |
解説
先にお金を出した側は、あとで返してもらう権利を持ちます。借方は資産の貸付金、貸方は減った現金です。
取引銀行から 1,500,000円を借り入れ、普通預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 1,500,000 | 借入金 | 1,500,000 |
解説
普通預金が増えたので借方。返す義務を負ったので、貸方は負債の借入金です。貸付金とは左右がちょうど反対になります。
撫子商会に依頼した折込チラシの広告料 90,000円について請求書を受け取り、代金は翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 90,000 | 未払金 | 90,000 |
解説
広告料は費用の広告宣伝費で借方。商品の仕入ではないので、後払いの義務は買掛金ではなく未払金になります。
菖蒲沢商店に商品 400,000円を注文し、手付金として 80,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前払金 | 80,000 | 現金 | 80,000 |
解説
商品はまだ届いていないので仕入は使いません。あとで商品を受け取れる権利として、借方は前払金 80,000円だけを計上します。
従業員に今月分の給料 300,000円を支給し、所得税の源泉徴収額 18,000円を差し引いた残額を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 300,000 | 預り金 | 18,000 |
| – | – | 現金 | 282,000 |
解説
借方の給料は天引き前の総額 300,000円です。貸方は、あとで納める預り金 18,000円と、手取額 300,000円 – 18,000円 = 282,000円の現金になります。
営業担当者の県外出張にあたり、交通費と宿泊費の概算額 78,000円を普通預金口座から振り込んだ。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仮払金 | 78,000 | 普通預金 | 78,000 |
解説
実際にいくら使うかが未確定なので、旅費交通費では処理できません。借方は一時的な置き場所である仮払金です。
桔梗商店から商品 600,000円の注文を受け、内金として 150,000円が普通預金口座に振り込まれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 150,000 | 前受金 | 150,000 |
解説
商品はまだ引き渡していないので売上は使いません。あとで商品を渡す義務として、貸方は負債の前受金です。
普通預金口座に 180,000円の入金があったが、誰から何のための入金かが分からなかった。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 180,000 | 仮受金 | 180,000 |
解説
内容が不明では相手科目を決められません。貸方はいったん仮受金(負債)で受け、判明した時点で正しい科目へ振り替えます。
芍薬商会に注文していた商品 400,000円を受け取った。さきに支払っていた手付金 80,000円を差し引き、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 400,000 | 前払金 | 80,000 |
| – | – | 買掛金 | 320,000 |
解説
仕入は受け取った商品の全額 400,000円です。貸方で前払金 80,000円を消し、残り 400,000円 – 80,000円 = 320,000円を買掛金とします。
白鷺商店から注文を受けていた商品 600,000円を引き渡した。さきに受け取っていた内金 150,000円を差し引き、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前受金 | 150,000 | 売上 | 600,000 |
| 売掛金 | 450,000 | – | – |
解説
売上は内金を含めた総額 600,000円です。借方で前受金 150,000円を消し、残り 450,000円を売掛金とします。
給料から預かっていた所得税 18,000円を、現金で税務署に納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 預り金 | 18,000 | 現金 | 18,000 |
解説
従業員から預かったお金を国に納めたので、借方は預り金(負債の減少)です。会社自身の税金ではないため、租税公課は使いません。
鴻ノ池商会に貸し付けていた 600,000円を、5か月分の利息とあわせて現金で回収した。年利率は 4パーセントである。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 610,000 | 貸付金 | 600,000 |
| – | – | 受取利息 | 10,000 |
解説
利息は 600,000円 × 0.04 × 5 ÷ 12 = 10,000円。借方は入金合計 610,000円、貸方は貸付金 600,000円と受取利息 10,000円に分けます。
出張から戻った従業員から報告を受け、前渡ししていた 50,000円のうち旅費として 43,000円を使ったことが分かり、残額は現金で返してもらった。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 43,000 | 仮払金 | 50,000 |
| 現金 | 7,000 | – | – |
解説
金額が確定したので、仮払金 50,000円を全額消します。借方は確定した旅費交通費 43,000円と、戻ってきた現金 50,000円 – 43,000円 = 7,000円です。
従業員に今月分の給料 480,000円を支給した。さきに立て替えていた 15,000円と、所得税の源泉徴収額 27,000円を差し引き、残額を普通預金口座から振り込んだ。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 480,000 | 立替金 | 15,000 |
| – | – | 預り金 | 27,000 |
| – | – | 普通預金 | 438,000 |
解説
借方は総額 480,000円。貸方は、回収した立替金 15,000円、預かった 27,000円、振込額 480,000円 – 15,000円 – 27,000円 = 438,000円の普通預金です。
鶴巻商店から商品 420,000円を仕入れ、代金は約束手形を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 420,000 | 支払手形 | 420,000 |
解説
手形を振り出した側は、あとで支払う義務を負います。貸方は負債の支払手形 420,000円です。
亀田谷商会に商品を 560,000円で売り上げ、代金は同店振出の約束手形で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 受取手形 | 560,000 | 売上 | 560,000 |
解説
手形を受け取った側は、あとで代金を受け取る権利を持ちます。借方は資産の受取手形 560,000円です。
かねて振り出していた約束手形 420,000円が満期日となり、当座預金口座から支払われた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払手形 | 420,000 | 当座預金 | 420,000 |
解説
支払義務がなくなったので借方は支払手形(負債の減少)、出ていった当座預金が貸方です。
かねて受け取っていた約束手形 560,000円が満期日となり、当座預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 560,000 | 受取手形 | 560,000 |
解説
入金で当座預金が増えたので借方。受け取る権利が消えたので、貸方は受取手形です。
燕沢商店に対する買掛金 300,000円の支払いのため、約束手形を振り出して渡した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 300,000 | 支払手形 | 300,000 |
解説
買掛金という義務が、支払手形という義務に形を変えただけです。商品を仕入れた場面ではないので、仕入は使いません。
雲雀丘商会に対する売掛金 250,000円の回収として、同店振出の約束手形を受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 受取手形 | 250,000 | 売掛金 | 250,000 |
解説
売掛金という権利が、受取手形という権利に変わっただけです。売上はすでに計上済みなので登場しません。
蛍川商店に対する売掛金 380,000円について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 380,000 | 売掛金 | 380,000 |
解説
売掛金が電子記録債権に置きかわります。借方は資産の電子記録債権、貸方は減った売掛金です。手形の受け取りと同じ考え方です。
かねて発生記録が行われていた電子記録債務 340,000円が支払期日となり、当座預金口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債務 | 340,000 | 当座預金 | 340,000 |
解説
支払義務が消えたので借方は電子記録債務(負債の減少)、減った当座預金が貸方です。
蜻蛉池商会に対する買掛金 700,000円のうち 450,000円について電子記録債務の発生記録が行われ、残額は当座預金口座から支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 700,000 | 電子記録債務 | 450,000 |
| – | – | 当座預金 | 250,000 |
解説
買掛金 700,000円を借方で全額消します。貸方は電子記録債務 450,000円と、残り 700,000円 – 450,000円 = 250,000円の当座預金です。
電子記録債権 380,000円が支払期日となり、当社が負担する取立手数料 880円が差し引かれて普通預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 379,120 | 電子記録債権 | 380,000 |
| 支払手数料 | 880 | – | – |
解説
電子記録債権は全額 380,000円を貸方で消します。借方は入金額 380,000円 – 880円 = 379,120円と、費用の支払手数料 880円です。
事務所で使うノートパソコン 280,000円を購入し、代金は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 280,000 | 現金 | 280,000 |
解説
長期にわたって使う事務用の物品は資産の備品です。短期間で使い切る事務用品ではないので、消耗品費にはしません。
月末につき、備品の当月分の減価償却費を計上する。この備品の取得原価は 1,800,000円、耐用年数は6年であり、1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上している。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 25,000 | 減価償却累計額 | 25,000 |
解説
1年分は 1,800,000円 ÷ 6年 = 300,000円、1か月分は 300,000円 ÷ 12 = 25,000円です。貸方は備品ではなく減価償却累計額とします。
事務所の外壁が破損したため元どおりに修理し、代金 60,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 修繕費 | 60,000 | 現金 | 60,000 |
解説
元の状態に戻しただけで、建物の価値が増えたわけではありません。資産にはせず、費用の修繕費で処理します。
帳簿価額 2,500,000円の土地を 2,500,000円で売却し、代金は現金で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 2,500,000 | 土地 | 2,500,000 |
解説
売却価額と帳簿価額が同額なので、売却損益は生じません。手放した土地を貸方で消し、受け取った現金を借方に書くだけです。
営業用の軽自動車 1,200,000円を購入し、登録費用 80,000円とあわせて普通預金口座から支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 車両運搬具 | 1,280,000 | 普通預金 | 1,280,000 |
解説
登録費用は、使える状態にするための付随費用なので取得原価に含めます。1,200,000円 + 80,000円 = 1,280,000円が車両運搬具です。
店舗用の土地 5,000,000円を購入し、仲介手数料 200,000円とあわせて小切手を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 土地 | 5,200,000 | 当座預金 | 5,200,000 |
解説
仲介手数料も土地の付随費用です。5,000,000円 + 200,000円 = 5,200,000円を土地とし、支払手数料には振り分けません。
商品陳列用のケース 640,000円を購入した。引取運賃 20,000円と据付費 30,000円は現金で支払い、本体代金は翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 690,000 | 未払金 | 640,000 |
| – | – | 現金 | 50,000 |
解説
取得原価は 640,000円 + 20,000円 + 30,000円 = 690,000円で借方に1行。貸方は後払いの未払金 640,000円と、現金 50,000円に分かれます。
月末につき、車両運搬具の当月分の減価償却費を計上する。取得原価は 2,400,000円、耐用年数は5年であり、1年分の見積額を毎月12分の1ずつ計上している。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 40,000 | 減価償却累計額 | 40,000 |
解説
1年分は 2,400,000円 ÷ 5年 = 480,000円、1か月分は 480,000円 ÷ 12 = 40,000円です。毎月同じ金額を計上します。
帳簿価額 3,200,000円の土地を 3,600,000円で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未収入金 | 3,600,000 | 土地 | 3,200,000 |
| – | – | 固定資産売却益 | 400,000 |
解説
差額 3,600,000円 – 3,200,000円 = 400,000円は固定資産売却益です。商品の売買ではないので、代金は売掛金ではなく未収入金になります。
帳簿価額 4,500,000円の土地を 4,150,000円で売却し、代金は普通預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 4,150,000 | 土地 | 4,500,000 |
| 固定資産売却損 | 350,000 | – | – |
解説
売却価額が帳簿価額を 4,500,000円 – 4,150,000円 = 350,000円下回るので、借方に固定資産売却損を置いて借方合計をそろえます。
月末につき、建物と備品の当月分の減価償却費をまとめて計上する。1年分の見積額は、建物が 600,000円、備品が 360,000円である。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 80,000 | 減価償却累計額 | 80,000 |
解説
建物は 600,000円 ÷ 12 = 50,000円、備品は 360,000円 ÷ 12 = 30,000円。合計 80,000円を減価償却費の1行にまとめて計上します。
事務所用の建物 8,000,000円を購入した。仲介手数料 240,000円と登記費用 160,000円を含めた総額のうち、2,000,000円は普通預金口座から支払い、残額は取引銀行からの借入れでまかなった。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 建物 | 8,400,000 | 普通預金 | 2,000,000 |
| – | – | 借入金 | 6,400,000 |
解説
取得原価は 8,000,000円 + 240,000円 + 160,000円 = 8,400,000円。貸方は普通預金 2,000,000円と、残り 6,400,000円の借入金です。
事業主が現金 2,000,000円を元入れして、雑貨店を開業した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 2,000,000 | 資本金 | 2,000,000 |
解説
店に入ってきた現金が借方、元手を表す純資産の資本金が貸方です。返す義務はないので借入金ではありません。
事業主が私用のため、店の現金 80,000円を引き出した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 80,000 | 現金 | 80,000 |
解説
引出は元手の払い戻しなので、借方で資本金を減らします。引出金は使わず、資本金を直接減額する形で処理します。
事業主が、事業に追加で現金 500,000円を元入れした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 500,000 | 資本金 | 500,000 |
解説
追加元入も開業時と同じ扱いです。増えた現金が借方、資本金の増加が貸方になります。
開業にあたり、事業主が現金 1,200,000円、備品 400,000円、車両運搬具 900,000円を店に入れた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 1,200,000 | 資本金 | 2,500,000 |
| 備品 | 400,000 | – | – |
| 車両運搬具 | 900,000 | – | – |
解説
店に入ってきた資産を借方に並べ、その合計 1,200,000円 + 400,000円 + 900,000円 = 2,500,000円を資本金として貸方に1行で書きます。
事業主が、店で販売するために仕入れた商品(原価 42,000円)を家庭で消費した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 42,000 | 仕入 | 42,000 |
解説
誰にも売っていないので売上は使いません。仕入 42,000円を貸方で取り消し、借方は事業主の取り分が減ったとみて資本金とします。
事業主が私用のため、店の普通預金口座から 150,000円を引き出し、あわせて店の商品(原価 38,000円)を持ち帰った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 188,000 | 普通預金 | 150,000 |
| – | – | 仕入 | 38,000 |
解説
どちらも引出なので資本金の減少です。150,000円 + 38,000円 = 188,000円を借方にまとめ、貸方は普通預金と仕入に分けます。
従業員が立て替えていた出張時の電車代とバス代 24,000円を、現金で精算して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 24,000 | 現金 | 24,000 |
解説
出張や外出にかかる交通費は旅費交通費です。事前の前渡しがないので、仮払金は登場しません。
事務所の電話料金 18,000円が、普通預金口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 通信費 | 18,000 | 普通預金 | 18,000 |
解説
電話・郵便・インターネットにかかる費用は通信費でまとめます。水道光熱費と混同しないでください。
事務用のコピー用紙とファイル 9,000円を購入し、代金は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 消耗品費 | 9,000 | 現金 | 9,000 |
解説
短期間で使い切る事務用品は、支払時に消耗品費として費用処理します。長く使う物ではないので備品にはしません。
所有する建物の2階部分を貸しており、当月分の家賃 175,000円が当座預金口座に振り込まれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 175,000 | 受取家賃 | 175,000 |
解説
建物を貸して受け取る家賃は、収益の受取家賃です。支払家賃とは借方と貸方がちょうど反対になります。
商品の売買を仲介し、仲介手数料 45,000円が普通預金口座に振り込まれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 45,000 | 受取手数料 | 45,000 |
解説
受け取った手数料は収益の受取手数料で貸方です。支払手数料と取り違えないよう、お金の向きで判断します。
駐車場として貸している土地の今月分の地代 60,000円が、普通預金口座に振り込まれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 60,000 | 受取地代 | 60,000 |
解説
土地を貸して受け取るのは受取地代です。建物を貸したときの受取家賃と、貸した物で使い分けます。
店舗にかけている火災保険の1年分の保険料 96,000円を、現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 保険料 | 96,000 | 現金 | 96,000 |
解説
支払った全額 96,000円を費用の保険料とします。初級では決算整理を行わないので、前払分を分ける処理は不要です。
取引銀行からの借入金 800,000円を、6か月分の利息とあわせて普通預金口座から返済した。年利率は 3パーセントである。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 借入金 | 800,000 | 普通預金 | 812,000 |
| 支払利息 | 12,000 | – | – |
解説
利息は 800,000円 × 0.03 × 6 ÷ 12 = 12,000円。元金の返済(負債の減少)と利息(費用の発生)は別の科目に分けます。
今月分の広告料 120,000円と、店舗の火災保険料 36,000円を、あわせて小切手を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | 120,000 | 当座預金 | 156,000 |
| 保険料 | 36,000 | – | – |
解説
目的が違う支出は科目を分けます。広告料は広告宣伝費、保険料は保険料で、貸方は合計 120,000円 + 36,000円 = 156,000円の当座預金です。
事務所の水道料金 24,000円、電話料金 16,000円、インターネット利用料 8,000円が、普通預金口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 水道光熱費 | 24,000 | 普通預金 | 48,000 |
| 通信費 | 24,000 | – | – |
解説
電話とインターネットはどちらも通信費なので、16,000円 + 8,000円 = 24,000円にまとめます。水道料金は水道光熱費として別の行に書きます。
取引先との契約書に貼る収入印紙 15,000円を現金で購入し、ただちに使用した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 15,000 | 現金 | 15,000 |
解説
収入印紙の代金は印紙税で、店が負担する税金です。費用の租税公課で処理し、通信費や消耗品費にはしません。
事業主個人にかかる所得税 140,000円を、店の現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 140,000 | 現金 | 140,000 |
解説
所得税は事業主個人にかかる税金なので、店の費用にはしません。借方は資本金の減少とし、租税公課は使いません。
店が所有する建物と土地にかかる固定資産税 180,000円について、納税通知書を受け取った。納付はまだ行っていない。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 180,000 | 未払固定資産税 | 180,000 |
解説
店が負担する税金なので、借方は費用の租税公課。まだ払っていないため、貸方は負債の未払固定資産税になります。
納税通知書の受取時に未払固定資産税として計上していた固定資産税のうち、第1期分 45,000円を現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未払固定資産税 | 45,000 | 現金 | 45,000 |
解説
納付によって負債が減るので、借方は未払固定資産税です。租税公課は通知書の受取時に計上済みなので、ここでは使いません。
錦木商店から商品 300,000円を仕入れ、消費税 30,000円とあわせて掛けとした。消費税は税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 300,000 | 買掛金 | 330,000 |
| 仮払消費税 | 30,000 | – | – |
解説
税抜方式では、支払った消費税を仕入に含めず仮払消費税(資産)とします。買掛金は税込みの 300,000円 + 30,000円 = 330,000円です。
金木犀商会に商品を 500,000円で売り上げ、消費税 50,000円とあわせて掛けとした。消費税は税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 550,000 | 売上 | 500,000 |
| – | – | 仮受消費税 | 50,000 |
解説
売上は税抜きの 500,000円だけです。預かった消費税 50,000円は仮受消費税(負債)とし、売掛金は税込みの 550,000円になります。
事務所用の応接セット 400,000円を購入し、消費税 40,000円とあわせて翌月末に支払うことにした。消費税は税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 400,000 | 未払金 | 440,000 |
| 仮払消費税 | 40,000 | – | – |
解説
備品は税抜きの 400,000円で計上し、消費税 40,000円は仮払消費税とします。商品以外の後払いなので、貸方は未払金 440,000円です。
掛けで仕入れていた商品のうち、税抜価額 50,000円分を品違いのため返品した。消費税 5,000円を含む 55,000円を買掛金から差し引く。消費税は税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 55,000 | 仕入 | 50,000 |
| – | – | 仮払消費税 | 5,000 |
解説
仕入時と左右を反対にします。仕入 50,000円と仮払消費税 5,000円を貸方で取り消し、買掛金 55,000円を借方で減らします。
沈丁花商店に商品を 700,000円で売り上げ、消費税 70,000円を加えた総額のうち 300,000円を現金で受け取り、残額は掛けとした。消費税は税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 300,000 | 売上 | 700,000 |
| 売掛金 | 470,000 | 仮受消費税 | 70,000 |
解説
税込みの総額は 700,000円 + 70,000円 = 770,000円。現金 300,000円を差し引いた 470,000円が売掛金です。貸方は売上と仮受消費税に分けます。
事業主個人にかかる所得税 120,000円と、店が所有する土地にかかる固定資産税 48,000円を、あわせて店の普通預金口座から納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 120,000 | 普通預金 | 168,000 |
| 租税公課 | 48,000 | – | – |
解説
誰にかかる税金かで分けます。事業主個人の所得税は資本金の減少、店の固定資産税は費用の租税公課です。貸方は合計 168,000円の普通預金になります。
特別演習一問一答60(第1問対策)0 / 60▼
本試験の第1問(30点・用語と基礎概念)を満点で通過するための60問。
- 第1問で問われる用語と基礎概念を、60問で一気に総点検する。
- 選択肢の言い回しに慣れ、よく似た用語のひっかけを見抜けるようにする。
- 取りこぼした分野をその場で特定し、対応する章にすぐ戻れるようにする。
1 第1問はここが出る
第1問は 30点、小問10問の構成です。1問 3点ですから、8問正解で 24点。ここを落とすと、第2問と第3問にかかる重圧が一気に増します。満点で通過するのが理想です。
出題の中心は、文章の空欄に当てはまる語句を選択肢から選ぶ形式です。仕訳や計算はほとんど出ません。知っているかどうかだけで決まるので、もっとも短時間で確実に点になる大問だといえます。
1-1 よく問われる5つの型
- 用語の定義 簿記の目的、財政状態、経営成績、取引、勘定、転記などの意味を問う。
- 5要素の分類 示された勘定科目が資産・負債・純資産・収益・費用のどれに入るかを問う。
- 帳簿の名称 主要簿と補助簿の区別、補助記入帳と補助元帳の区別を問う。
- 伝票の種類 入金伝票・出金伝票・振替伝票のどれに記入するかを問う。
- 試算表の性質 3種類の違い、貸借が合わないときの原因、合っても見つからない誤りを問う。
第1問の選択肢は、正解と紛らわしい用語で組み立てられています。「財政状態」と「経営成績」、「補助記入帳」と「補助元帳」、「入金伝票」と「振替伝票」のように、必ずペアで覚えてください。片方しか覚えていないと、選択肢を見た瞬間に手が止まります。
選択肢には、初級の範囲外の用語がまぎれ込むことがあります。精算表・繰越試算表・決算整理といった言葉は、初級では正解になりません。見慣れない用語が並んでいたら、高い確率でそれは誤答肢です。
2 この60問の分野別内訳
次の表のとおり、第1問で問われる範囲をもれなく覆っています。1周したら、まちがえた分野の対応章に戻ってください。
| 分野 | 問番号 | 問数 | 対応章 |
|---|---|---|---|
| 簿記の目的・複式簿記の意義・会計期間 | t01からt08 | 8 | 第1章 |
| 5要素の定義と分類 | t09からt18 | 10 | 第1章 |
| 貸借対照表と損益計算書・2つの利益計算 | t19からt24 | 6 | 第2章 |
| 取引の意義と8要素の結合関係 | t25からt31 | 7 | 第3章 |
| 勘定・勘定記入法則・貸借平均の原理 | t32からt38 | 7 | 第4章 |
| 仕訳と転記・主要簿 | t39からt44 | 6 | 第5章と第6章 |
| 試算表の3種類と誤りの発見 | t45からt50 | 6 | 第7章 |
| 補助簿 | t51からt55 | 5 | 第18章 |
| 証ひょうと伝票 | t56からt60 | 5 | 第17章 |
| 合計 | – | 60 | – |
難易度の内訳は、基本(レベル1)が 25問、標準(レベル2)が 25問、応用(レベル3)が 10問です。形式は4つの選択肢から選ぶ問題が 45問、正誤を判定する問題が 15問です。
第1問で迷ったら、次の3つの合言葉に戻ります。時点なら貸借対照表、期間なら損益計算書。先に出したら資産、先にもらったら負債。主要簿は2冊、それ以外は補助簿。この3行だけで、第1問の半分は片づきます。
1問あたり 15秒で答えを決め、迷ったら印をつけて先へ進みます。2周目は印をつけた問題だけを解きます。3周して全問を即答できるようになれば、第1問の 30点が見えてきます。
演習(60問)
簿記を行う目的として、もっとも適切なものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 一定時点の財政状態と、一定期間の経営成績を明らかにすること
解説
簿記は、一定時点の財政状態(資産・負債・純資産の状態)と、一定期間の経営成績(収益・費用と利益)を明らかにするために行います。税額の確定は簿記の記録を使った結果の1つにすぎず、数量だけの記録では金額が分からず、将来の予測数値を作ることは簿記の役割ではありません。
一定時点における資産・負債・純資産の状態を何というか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 財政状態
解説
一定時点の資産・負債・純資産の状態を財政状態といい、貸借対照表で示します。一定期間の収益・費用と利益の状態は経営成績といい、損益計算書で示します。会計期間は区切られた期間そのもの、当期純利益はその期間の儲けの金額です。
複式簿記では、1つの取引を借方と貸方の2つの面からとらえて記録する。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。複式簿記は「財産がどう動いたか」と「その原因は何か」の2面をセットで記録します。現金の増減など一面だけを記録するのが単式簿記です。
会計期間の初めの日を何というか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 期首
解説
会計期間の初日が期首、最終日が期末で、期末の日を決算日ともいいます。前期末は前の会計期間の最終日であり、その翌日が当期の期首になるため、期首とは別の日を指します。
単式簿記と比べたときの複式簿記の特徴として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 取引の二面性を記録するため、財産の増減とその原因が同時に分かる
解説
複式簿記は取引を借方と貸方の2面で記録するので、財産がいくら増減したかと、その原因である収益・費用が同時に分かります。現金の出入りだけを記録するのは単式簿記の特徴で、貸借が一致してもすべての誤りを発見できるわけではなく、勘定科目ごとの集計は複式簿記でも必要です。
会計期間は、どの企業も4月1日から翌年3月31日までと決められている。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。会計期間をどこで区切るかは企業が定めます。4月1日から翌年3月31日までというのは、よくある例の1つにすぎません。ただし、期間の長さは1年とするのが一般的です。
会計期間を1年としている企業において、当期の期末の翌日にあたるものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 次期の期首
解説
会計期間は切れ目なく続きます。当期の期末の翌日は、次期の期首になります。当期の期首はその1年前の日、前期の期末は当期の期首の前日、当期の決算日は期末そのものです。
企業の活動は続いているのに、一定の期間で区切って損益を計算するのはなぜか。もっとも適切なものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 区切らないと利益額が確定せず、利害関係者へ報告するタイミングも来ないから
解説
企業の活動は区切りなく続くため、人為的に期間を区切らなければ利益額が確定せず、出資者や取引先へ報告できません。帳簿の保存期間は理由になりませんし、資産と負債は期間を区切らなくても時点ごとに集計できます。貸借の一致は取引件数とは無関係です。
資産の説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 企業が所有する財貨と、将来お金などを受け取れる権利
解説
資産は、現金や商品などの財貨と、売掛金や貸付金のように将来お金を受け取れる権利をあわせたものです。ほかの3つは順に、負債・純資産・収益の説明であり、資産の定義ではありません。
次のうち、負債に属する勘定科目はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 前受金
解説
前受金は代金を先に受け取り、あとで商品を渡す義務なので負債です。前払金・未収入金・立替金は、いずれもあとで商品やお金を受け取れる権利なので資産になります。
次のうち、費用に属する勘定科目はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 支払手数料
解説
支払手数料は支払った手数料なので費用です。受取手数料は収益、仮払金と売掛金は資産です。「支払」で始まる科目は費用、「受取」で始まる科目は収益と押さえると速く判断できます。
借入金は他人から預かっているお金であるから、純資産に属する。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。借入金は返済しなければならない義務なので負債です。純資産は資産から負債を差し引いた正味の財産で、個人企業では資本金がこれにあたります。
収益の説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 純資産を増やす原因となった事実
解説
収益は純資産を増やした原因、費用は純資産を減らした原因です。受け取ったお金がすべて収益になるわけではなく、借入れによる入金は負債の増加にすぎません。資産と負債の増加額の差も収益の定義ではありません。
次の勘定科目のうち、属する要素が他の3つと異なるものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 減価償却累計額
解説
減価償却累計額だけが、資産のマイナスを表す評価勘定です。貸借対照表では、備品などの取得原価から差し引く形で示します。繰越商品・備品・土地は、いずれも資産そのものです。
次の5つの勘定科目のうち、資産に属するものはいくつあるか。クレジット売掛金、仮受金、電子記録債権、預り金、立替金。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 3つ
解説
資産はクレジット売掛金・電子記録債権・立替金の3つです。仮受金と預り金は、あとでお金を渡す義務があるので負債になります。先にお金を出したものは資産、先にもらったものは負債という原則で判定できます。
仮受金は内容が確定していないため、資産にも負債にも属さない。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。仮受金は内容が確定するまでの一時的な置き場所ですが、あとで返すか正しい科目へ振り替える義務があるため負債に属します。5つの要素のどれにも入らない勘定科目はありません。
次のうち、収益に属する勘定科目はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 受取地代
解説
受取地代は、土地を貸して受け取る収益です。固定資産売却損と支払地代は費用、前受金は先に受け取った代金であり、まだ収益ではなく負債です。
勘定科目とその属する要素の組み合わせとして、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 前払金は資産、前受金は負債である
解説
先にお金を出したものは資産、先にもらったものは負債です。未収入金と未払金は債権と債務であって収益・費用ではなく、預り金は負債で立替金は資産、仮払消費税は資産で仮受消費税は負債です。
貸借対照表が明らかにするものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 一定時点の財政状態
解説
貸借対照表は、決算日などの一定時点における資産・負債・純資産を並べ、財政状態を示します。一定期間の経営成績を示すのは損益計算書です。現金の増減や商品の数量は、補助簿で管理する明細です。
損益計算書は、一定期間の収益と費用を対比して、当期純利益または当期純損失を明らかにする。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。収益が費用を上回れば当期純利益、費用が収益を上回れば当期純損失になります。どちらも一定期間の経営成績を表す金額です。
当期純利益が生じた場合、損益計算書の借方(左側)に記載されるものの組み合わせとして正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 費用と当期純利益
解説
損益計算書は借方に費用、貸方に収益を並べます。収益が費用を上回るときは、差額である当期純利益を借方に加えて貸借を一致させます。当期純損失が出た場合は、逆に貸方へ記載します。
期首純資産は 1,200,000円、期末純資産は 1,460,000円であった。期中に追加元入と引出はなかった。当期純利益はいくらか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 260,000円
解説
財産法では、当期純利益は期末純資産から期首純資産を差し引いて求めます。1,460,000円ひく 1,200,000円で 260,000円です。期首や期末の純資産そのもの、両者の合計は利益額ではありません。
財産法で計算した当期純利益と、損益法で計算した当期純利益は、必ず同じ金額になる。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。財産法は貸借対照表から、損益法は損益計算書から求めますが、同じ期間の同じ利益を別の角度から計算しているだけなので一致します。片方で解き、もう片方で検算するのが最短です。
期首純資産は 900,000円、期末純資産は 1,180,000円であった。期中に追加元入 150,000円と引出 60,000円があった。当期純利益はいくらか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 190,000円
解説
追加元入も引出も儲けではないので、純資産の増加額から取り除きます。1,180,000円ひく 900,000円ひく 150,000円たす 60,000円で 190,000円です。単純な差額の 280,000円としたり、加算と減算を逆にしたりするミスが多いところです。
簿記上の取引の説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 資産・負債・純資産・収益・費用のいずれかが増減する事実
解説
簿記上の取引とは、5つの要素のどれかが増減し、その金額を円で測れる事実です。契約や合意だけでは何も動きません。また、現金が動かない掛け取引も、商品の引き渡しがない前払いも、いずれも簿記上の取引になります。
商品の売買契約を結んだだけの段階では、簿記上の取引にはならない。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。契約の段階では商品も代金も動いておらず、5つの要素が増減していないので仕訳をしません。ただし、契約と同時に手付金を支払えば、その支払いは簿記上の取引になります。
次のうち、簿記上の取引にあたるものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 倉庫で保管していた商品 35,000円分が火災で焼失した
解説
火災による焼失は、商品という資産が実際に 35,000円減っているので簿記上の取引です。賃貸借契約・採用の決定・注文の受領は、いずれも約束の段階にとどまり、5つの要素が動いていません。
取引の8要素のうち、借方に置かれるのは、資産の増加・負債の減少・純資産の減少・費用の発生の4つである。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。貸方に置かれるのは、資産の減少・負債の増加・純資産の増加・収益の発生の4つになります。資産と費用は増えたら借方、負債・純資産・収益は増えたら貸方と覚えます。
「資産の増加」と結合しない要素はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 費用の発生
解説
資産の増加は借方要素なので、結合する相手は必ず貸方要素になります。費用の発生も借方要素なので結合しません。負債の増加・資産の減少・収益の発生はいずれも貸方要素なので結合します。
「借入金 300,000円を利息 4,500円とともに現金で返済した」という取引は、取引の種類として何にあたるか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 混合取引
解説
元金の返済という負債の減少(交換取引の部分)と、利息の支払いという費用の発生(損益取引の部分)が1つの取引に同居しているので混合取引です。収益・費用が1つも出てこなければ交換取引、片側の全額が収益または費用なら損益取引になります。
「商品 250,000円を仕入れ、代金は掛けとした」という取引の8要素の結合として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 費用の発生と負債の増加
解説
3分法では仕入時に仕入(費用の発生・借方)を使い、代金の未払いは買掛金(負債の増加・貸方)となります。商品を資産として増やすことはせず、売っていないので収益も生じず、現金は動いていないので資産の減少もありません。
勘定の説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 取引を記録・計算するために設けられた、種類ごとの記録の単位
解説
勘定は、現金なら現金だけというように、種類ごとに金額を集める記録の単位です。勘定につけた名前が勘定科目になります。日付順に記入する帳簿は仕訳帳、合計や残高を集めた表は試算表です。
資産の勘定は、増えたときに借方、減ったときに貸方に記入する。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。資産はホームポジションが借方です。増えたらホームポジション側の借方、減ったら反対側の貸方に記入します。
負債の勘定の記入方法として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 増えたら貸方、減ったら借方に記入する
解説
負債はホームポジションが貸方なので、増えたら貸方、減ったら借方です。資産とちょうど反対になります。増減にかかわらず片側だけに記入する勘定はありません。
費用の勘定の残高は、通常どちら側に生じるか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 借方
解説
費用は発生したときに借方へ記入し、取り消しはめったに起こらないので、残高は借方に生じます。残高はホームポジション側に出ると覚えれば、資産と費用は借方、負債・純資産・収益は貸方です。
収益の勘定は、発生したときに借方に記入する。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。収益はホームポジションが貸方なので、発生したときは貸方に記入します。借方に記入するのは費用の発生です。
貸借平均の原理の説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ すべての取引を複式で記入する結果、勘定全体の借方合計と貸方合計は必ず一致する
解説
1つの取引を必ず借方と貸方に同額ずつ記入するため、すべての勘定を集計すれば借方合計と貸方合計が一致します。これが貸借平均の原理です。勘定ごとに一致するわけではなく、資産と負債、収益と費用の合計が一致するわけでもありません。
減価償却累計額の勘定について、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 資産のマイナスを表す勘定なので、増えたときは貸方に記入する
解説
減価償却累計額は、資産の取得原価から差し引くための評価勘定です。資産のマイナスなので、資産とは反対に増えたら貸方へ記入します。費用となるのは毎月計上する減価償却費のほうで、負債ではないため負債として並べることもありません。
仕訳の説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 取引を借方と貸方に分け、勘定科目と金額を決める作業
解説
仕訳は、取引をどの勘定科目にいくら、借方と貸方のどちらへ記入するかを決める作業です。総勘定元帳へ書き移すのは転記、合計や残高を集めるのは試算表の作成にあたります。
主要簿にあたる帳簿の組み合わせはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 仕訳帳と総勘定元帳
解説
主要簿は仕訳帳と総勘定元帳の2冊だけで、この2冊は必ず作ります。現金出納帳・売掛金元帳・商品有高帳は、主要簿を補うために必要に応じて作る補助簿です。
転記とは、仕訳帳に記入した仕訳を、総勘定元帳の各勘定口座へ書き移す作業である。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。転記では新しい判断を一切しません。仕訳ですでに決まった勘定科目・金額・貸借の側を、そのまま各勘定口座へ書き移します。
転記の方法として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 仕訳の借方に書いた科目は、その勘定の借方へ同じ金額を書き移す
解説
借方に書いた科目はその勘定の借方へ、貸方に書いた科目はその勘定の貸方へ、金額を変えずに書き移します。貸借を入れ替えたり、差額だけを移したり、1か月分をまとめて1行にしたりはしません。
仕訳帳と総勘定元帳の記録の並び方として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 仕訳帳は日付順、総勘定元帳は勘定科目ごとに並ぶ
解説
仕訳帳は取引を発生した日付順に記録し、総勘定元帳は同じ内容を勘定科目ごとに集め直します。日付順だけでは各科目の残高が分からないため、2冊とも必要になります。
「商品 180,000円を売り上げ、代金のうち 50,000円は現金で受け取り、残額は掛けとした」という仕訳を転記するとき、売上勘定の摘要欄に記入するものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 諸口
解説
売上の相手科目は現金と売掛金の2つあるので、摘要欄には諸口と書きます。相手科目が1つのときだけその科目名を書き、自分の勘定名である売上を摘要欄に書くことはありません。
試算表を作る目的として、もっとも適切なものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 総勘定元帳への転記が正しく行われたかを確かめること
解説
試算表の第一の目的は、仕訳から総勘定元帳への転記が正しいかを、貸借の一致によって確かめることです。日付順の記録は仕訳帳、得意先ごとの内訳は補助簿の役目です。翌期へ繰り越す金額を確定する繰越試算表は決算の手続きであり、これは初級の範囲外です。
試算表の3種類の組み合わせとして正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 合計試算表・残高試算表・合計残高試算表
解説
試算表は合計試算表・残高試算表・合計残高試算表の3種類です。繰越試算表・精算表・決算整理後試算表は、いずれも決算に関する表であり、これらは初級の範囲外です。
合計試算表には各勘定の借方合計と貸方合計を記入し、残高試算表には各勘定の残高だけを記入する。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。合計試算表は各勘定の借方合計と貸方合計をそのまま並べ、残高試算表はその差額である残高だけを並べます。両方を左右に並べたものが合計残高試算表です。
合計試算表の借方合計が、貸方合計より 36,000円多かった。まず疑うべき誤りはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 18,000円の記入を、貸方に書くべきところ借方に書いた
解説
貸借を逆に転記すると、差額はその金額の2倍になります。まず 36,000円の2分の1である 18,000円の記入を探します。まるごとの記帳もれや科目の入れ替えは借方と貸方が同時に狂うので差が生じず、72,000円の二重転記なら差額は 72,000円になります。
試算表の借方合計と貸方合計が一致すれば、記帳に誤りがないことが確かめられる。
解答と解説
正解
×(誤り)
解説
誤りです。一致するのは金額の合計が合っているという意味だけです。取引をまるごと記帳し忘れた場合、勘定科目そのものをまちがえた場合、借方も貸方もそろえて二重記帳した場合は、貸借がずれないため発見できません。
次のうち、試算表の貸借が一致してしまうため発見できない誤りはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 「支払家賃 90,000/現金 90,000」とすべき仕訳を「支払地代 90,000/現金 90,000」とした
解説
支払家賃を支払地代としても、借方に 90,000円、貸方に 90,000円が計上される点は変わらないので、貸借は一致したままです。ほかの3つは片側だけが狂うため、縦計にずれが出て発見できます。
補助簿の説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 主要簿では分からない明細を記録し、主要簿を補う帳簿
解説
補助簿は、得意先ごとの残高や商品の種類ごとの在庫など、主要簿だけでは分からない明細を記録して主要簿を補います。必ず作らなければならないのは主要簿であり、すべての取引を日付順に記入するのは仕訳帳です。
現金出納帳や売掛金元帳は補助簿であり、主要簿ではない。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。主要簿は仕訳帳と総勘定元帳の2冊だけです。現金出納帳や売掛金元帳は、必要に応じて作る補助簿にあたります。
補助簿は補助記入帳と補助元帳に分けられる。次のうち、補助元帳にあたるものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 商品有高帳
解説
補助元帳は、特定の勘定の明細を口座ごとに記録する帳簿で、商品有高帳・得意先元帳・仕入先元帳がこれにあたります。現金出納帳・仕入帳・売上帳は、特定の取引を発生順に記入する補助記入帳です。
得意先ごとに売掛金の増減と残高を記録する補助簿はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 得意先元帳(売掛金元帳)
解説
得意先元帳(売掛金元帳)は、得意先ごとに口座を設けて売掛金の増減と残高を記録します。仕入先元帳は買掛金の明細、売上帳は売上取引の明細、商品有高帳は商品の種類ごとの在庫を記録する帳簿です。
「商品 240,000円を掛けで仕入れた」という取引が記入される補助簿の組み合わせとして、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 仕入帳・商品有高帳・仕入先元帳
解説
仕入取引なので仕入帳、商品が増えるので商品有高帳、買掛金が増えるので仕入先元帳に記入します。現金は動いていないので現金出納帳には記入せず、売上帳と得意先元帳は売る側で使う帳簿です。
証ひょうの説明として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 取引が行われた事実を証明する、領収書や請求書などの書類
解説
証ひょうは、領収書・請求書・納品書・預金通帳など、取引の事実を裏づける書類です。勘定科目ごとに集計するのは総勘定元帳、日付順に記入するのは仕訳帳、1か月分を集計するのは試算表です。
3伝票制では、入金伝票・出金伝票・振替伝票の3種類の伝票を用いる。
解答と解説
正解
○(正しい)
解説
正しい記述です。現金が増える取引は入金伝票、現金が減る取引は出金伝票、現金が動かない取引は振替伝票に記入します。
次のうち、入金伝票に記入される取引はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 売掛金 80,000円を現金で回収した
解説
売掛金の現金回収は現金が増える取引なので入金伝票です。入金伝票では仕訳の借方が必ず現金になるため、伝票には相手科目と金額だけを書きます。買掛金の現金払いは出金伝票、掛け仕入と代金後払いの備品購入は現金が動かないので振替伝票です。
次のうち、振替伝票に記入される取引はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 商品 150,000円を売り上げ、代金は掛けとした
解説
掛け売上は現金が1円も動かないので振替伝票に記入します。現金で受け取った売上と売掛金の現金回収は現金が増えるので入金伝票、家賃の現金払いは現金が減るので出金伝票です。
伝票に記入した取引を1日分まとめて集計し、総勘定元帳へ転記するために作る表を何というか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 仕訳日計表
解説
各伝票を1日分ずつ集計した表を仕訳日計表といい、ここから総勘定元帳へまとめて転記します。1週間分をまとめる場合は仕訳週計表です。合計残高試算表は月次の集計表、総勘定元帳は帳簿そのもので、精算表は決算の表であり初級の範囲外です。
模擬試験本番形式 模擬試験 第1回0 / 30▼
制限時間40分・100点満点・70点以上で合格。本番と同じ第1問30点/第2問40点/第3問30点の構成です。
選択問題と数値入力は、答えるとその場でこの得点に反映されます。第2問の仕訳は自分で解いてから解答を開き、合っていれば「解けた」を押すと加点されます。
- 40分という制限時間の中で、解く順番と時間配分を体に覚えさせる。
- 本番と同じ形式で通しで解き、いまの実力と合格ライン70点との距離を測る。
- 間違えた論点を書き出し、該当する章に戻って穴を埋める。
1. 解き方
必ず40分を計って解いてください。時間を計らずに解くと、本番でいちばん怖い時間切れの練習になりません。解いている間はテキストを閉じ、電卓とメモ用紙だけを手元に置きます。
時間配分の目安は次のとおりです。
| 順番 | 内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 1 | 第1問 基礎概念と用語 | 8分 |
| 2 | 第2問 仕訳 | 16分 |
| 3 | 第3問 | 13分 |
| 4 | 見直し | 3分 |
迷った問題はその場で粘らず、印をつけて先へ進みます。1問に2分以上かけないと決めておけば、時間切れはほぼ防げます。最後の3分で、印をつけた問題と記入漏れだけを見直してください。
2. 配点
| 大問 | 1問あたり | 小計 |
|---|---|---|
| 第1問 | 各3点 | 30点 |
| 第2問 | 各4点 | 40点 |
| 第3問 | 各3点 | 30点 |
| 合計 | – | 100点 |
70点以上で合格です。仕訳は1問4点と重いので、第2問を落とさないことが最短の合格ルートになります。採点が終わったら、正解した問題も含めて解説にひととおり目を通してください。
問題(30問)
簿記を行う目的として、もっとも適切なものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 企業の財政状態と経営成績を明らかにし、関係者に報告すること
解説
簿記は、一定時点の財政状態と一定期間の経営成績を金額で明らかにし、経営者や銀行などの関係者に報告するために行います。数量だけの記録では金額が分からず、給料計算や将来の予測は簿記そのものの目的ではありません。
複式簿記の説明として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 1つの取引を借方と貸方の2つの面からとらえて記録する方法である
解説
複式簿記は、1つの取引を借方と貸方の2面でとらえます。これにより、財産がいくら増減したかと、その原因が同時に分かります。現金の増減だけを追うのは単式簿記です。2回決算や帳簿2冊は複式という言葉に引っかけた誤りです。
次の勘定科目のうち、収益に属するものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 受取家賃
解説
受取家賃は、建物などを貸して受け取る収益です。受取手形は代金を受け取る権利なので資産、前受金と仮受金はあとで商品を渡したり精算したりする義務なので負債です。名前に「受」がついていても収益とは限りません。
貸借対照表と損益計算書の関係について、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 損益計算書で計算した当期純利益は、貸借対照表で計算した当期純利益と一致する
解説
当期純利益は、収益ひく費用(損益計算書)でも、期末純資産ひく期首純資産(貸借対照表)でも計算でき、必ず同じ金額になります。貸借対照表は一定時点の財政状態、損益計算書は一定期間の経営成績を示し、当期純損失が出れば純資産は減少します。
「商品を仕入れ、代金は掛けとした」という取引の結合関係として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 費用の発生と負債の増加
解説
3分法では、仕入れた時点で仕入(費用)が発生します。代金は後払いなので買掛金(負債)が増えます。したがって借方が費用の発生、貸方が負債の増加です。現金で支払えば費用の発生と資産の減少になります。
勘定記入の法則として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 収益が発生したときは、その勘定の貸方に記入する
解説
収益が発生したときは貸方に記入します。資産と費用は増えたら借方、負債・純資産・収益は増えたら貸方です。減ったときはその反対側に記入するので、負債の減少は借方になります。
主要簿にあたる帳簿の組み合わせはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 仕訳帳と総勘定元帳
解説
すべての取引を必ず記入する帳簿が主要簿で、仕訳帳と総勘定元帳の2つだけです。現金出納帳や売掛金元帳などは、必要に応じて明細を記録する補助簿です。
試算表についての説明として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 合計残高試算表は、合計試算表と残高試算表を1つの表にまとめたものである
解説
合計試算表は各勘定の借方合計と貸方合計を、残高試算表は各勘定の残高を集めた表です。この2つを1つにまとめたものが合計残高試算表です。貸借平均の原理により、どの試算表でも借方合計と貸方合計は一致します。
3伝票制を採用している場合、商品を掛けで売り上げた取引を記入する伝票はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 振替伝票
解説
3伝票制で使うのは入金伝票・出金伝票・振替伝票の3種類です。入金伝票は現金が入る取引、出金伝票は現金が出る取引に使います。掛売上は現金がまったく動かないので振替伝票に記入します。売上伝票は3伝票制では使いません。
貸借平均の原理について、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ すべての取引を記入した結果、総勘定元帳の借方合計と貸方合計は必ず一致する
解説
1つの取引ごとに借方金額と貸方金額が等しいので、すべてを集計しても必ず一致します。これが貸借平均の原理です。ただし一致していても、取引まるごとの記入漏れ、勘定科目の取り違え、二重記帳は発見できません。また1つの取引で科目が3つ以上になることもあります。
取引銀行に当座預金口座を開設し、現金 800,000円を預け入れた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 800,000 | 現金 | 800,000 |
解説
現金 800,000円が手元から出ていったので、資産の減少で貸方。代わりに当座預金が同額増えたので、資産の増加で借方です。資産どうしの振り替えなので、収益も費用も生じません。
商品 360,000円を仕入れ、代金は掛けとした。なお、引取運賃 12,000円は現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 372,000 | 買掛金 | 360,000 |
| – | – | 現金 | 12,000 |
解説
引取運賃のような仕入諸掛は、商品を仕入れるためにかかった費用なので仕入原価に含めます。したがって借方の仕入は 360,000円たす 12,000円で 372,000円。貸方は買掛金 360,000円と現金 12,000円です。運賃を発送費としないよう注意してください。
仕入先に対する買掛金 260,000円を、小切手を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 買掛金 | 260,000 | 当座預金 | 260,000 |
解説
支払義務がなくなったので、借方は買掛金(負債の減少)。小切手を振り出すと当座預金が減るので、貸方は当座預金(資産の減少)です。小切手イコール当座預金と覚えてください。現金ではありません。
商品 200,000円をクレジット払いの条件で売り上げ、販売代金の 4パーセントにあたる信販会社への手数料を販売時に計上した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| クレジット売掛金 | 192,000 | 売上 | 200,000 |
| 支払手数料 | 8,000 | – | – |
解説
貸方の売上は手数料を引く前の 200,000円です。手数料は 200,000円 かける 0.04 で 8,000円。これは支払手数料(費用の発生)で借方に計上します。信販会社から受け取れるのは残りの 192,000円なので、クレジット売掛金は 192,000円です。
出張から戻った従業員から報告を受け、前渡ししていた 60,000円のうち旅費として 47,000円を使ったことが判明し、残額を現金で返却させた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 47,000 | 仮払金 | 60,000 |
| 現金 | 13,000 | – | – |
解説
金額が確定したので、仮払金 60,000円は全額を貸方に書いて消します。借方は確定した旅費交通費 47,000円と、返してもらった現金 60,000円ひく 47,000円イコール 13,000円です。仮払金を 47,000円だけ減らすのは誤りです。
今月分の給料 540,000円について、所得税の源泉徴収額 32,000円と、従業員に立て替えていた 8,000円を差し引き、残額を普通預金口座から振り込んだ。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 540,000 | 預り金 | 32,000 |
| – | – | 立替金 | 8,000 |
| – | – | 普通預金 | 500,000 |
解説
借方の給料は天引き前の総額 540,000円です。貸方は、あとで納める所得税の預り金 32,000円(負債の増加)、回収できた立替金 8,000円(資産の減少)、実際に振り込んだ 540,000円ひく 32,000円ひく 8,000円イコール 500,000円の普通預金です。
得意先に対する売掛金 300,000円について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録が行われた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 300,000 | 売掛金 | 300,000 |
解説
発生記録により、売掛金という権利が電子記録債権という権利に置き換わります。借方は電子記録債権(資産の増加)、貸方は売掛金(資産の減少)です。この時点ではお金は動かないので、現金や預金は出てきません。
営業用の車両 1,800,000円を購入し、代金は登録手数料 60,000円とあわせて翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 車両運搬具 | 1,860,000 | 未払金 | 1,860,000 |
解説
登録手数料のような付随費用は、取得原価に含めます。したがって借方の車両運搬具は 1,800,000円たす 60,000円で 1,860,000円。商品以外の購入代金を後払いにしたので、貸方は未払金 1,860,000円です。買掛金や支払手数料としないよう注意してください。
事業主個人にかかる所得税 96,000円を、事業用の普通預金口座から納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 96,000 | 普通預金 | 96,000 |
解説
所得税は事業主個人にかかる税金で、店の費用ではありません。したがって租税公課は使えません。事業用の資金を私用に充てたことになるので、借方は資本金(純資産の減少)です。貸方は普通預金 96,000円(資産の減少)です。
商品 600,000円(消費税を含まない金額)を売り上げ、消費税 60,000円とあわせた代金を掛けとした。なお、消費税は税抜方式で処理した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 660,000 | 売上 | 600,000 |
| – | – | 仮受消費税 | 60,000 |
解説
税抜方式では、売上に消費税を含めません。貸方は売上 600,000円と、あとで国に納める仮受消費税 60,000円(負債の増加)に分けます。得意先から受け取る金額は消費税込みの 660,000円なので、借方の売掛金は 660,000円です。
第3問(30点) 次の[資料1]前月繰越高と[資料2]当月の取引にもとづいて、ひかり商店の6月末の合計残高試算表を作り、下の各金額を答えなさい。(各3点)
[資料1]前月繰越高
| 借方残高 | 勘定科目 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|
| 286,000 | 現金 | 買掛金 | 336,000 |
| 940,000 | 当座預金 | 借入金 | 600,000 |
| 470,000 | 売掛金 | 減価償却累計額 | 180,000 |
| 150,000 | 繰越商品 | 資本金 | 1,450,000 |
| 720,000 | 備品 | ||
| 2,566,000 | 合計 | 合計 | 2,566,000 |
[資料2]当月の取引
- 1日 商品 260,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
- 3日 商品 390,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- 5日 売掛金 420,000円を当座預金口座で回収した。
- 8日 買掛金 300,000円を当座預金口座から支払った。
- 10日 商品 175,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。
- 12日 事務所で使う文房具 6,000円を現金で購入した。
- 14日 郵便切手 4,000円を現金で購入し、ただちに使用した。
- 16日 得意先から商品の注文を受け、手付金 50,000円を現金で受け取った。
- 18日 事務所の家賃 85,000円を現金で支払った。
- 20日 16日に手付金を受け取っていた商品 200,000円を引き渡し、手付金を差し引いた残額を掛けとした。
- 22日 借入金 150,000円と利息 2,000円を当座預金口座から返済した。
- 24日 商品 130,000円を仕入れ、引取運賃 5,000円とともに現金で支払った。
- 26日 備品について、当月分の減価償却費 12,000円を見積額により計上した。
- 28日 商品売買の仲介手数料 40,000円を現金で受け取った。
- 30日 電気代とガス代 21,000円が当座預金口座から引き落とされた。
解答と解説
正解
| 項目 | 答え |
|---|---|
| 資産総額 | 2,476,000 円 |
| 現金残高 | 321,000 円 |
| 現金の純増加額 | 35,000 円 |
| 当座預金残高 | 887,000 円 |
| 売掛金回収額 | 420,000 円 |
| 売掛金残高 | 590,000 円 |
| 買掛金残高 | 296,000 円 |
| 商品仕入高 | 395,000 円 |
| 売上高 | 765,000 円 |
| 当月の損益 | 280,000 円 |
解説
完成した合計残高試算表
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 321,000 | 551,000 | 現金 | 230,000 | |
| 887,000 | 1,360,000 | 当座預金 | 473,000 | |
| 590,000 | 1,010,000 | 売掛金 | 420,000 | |
| 150,000 | 150,000 | 繰越商品 | ||
| 720,000 | 720,000 | 備品 | ||
| 300,000 | 買掛金 | 596,000 | 296,000 | |
| 150,000 | 借入金 | 600,000 | 450,000 | |
| 50,000 | 前受金 | 50,000 | ||
| 減価償却累計額 | 192,000 | 192,000 | ||
| 資本金 | 1,450,000 | 1,450,000 | ||
| 売上 | 765,000 | 765,000 | ||
| 受取手数料 | 40,000 | 40,000 | ||
| 395,000 | 395,000 | 仕入 | ||
| 4,000 | 4,000 | 通信費 | ||
| 6,000 | 6,000 | 消耗品費 | ||
| 21,000 | 21,000 | 水道光熱費 | ||
| 85,000 | 85,000 | 支払家賃 | ||
| 12,000 | 12,000 | 減価償却費 | ||
| 2,000 | 2,000 | 支払利息 | ||
| 3,193,000 | 4,816,000 | 合計 | 4,816,000 | 3,193,000 |
借方合計 4,816,000 = 貸方合計 4,816,000、借方残高 3,193,000 = 貸方残高 3,193,000 で一致します。
読み取り結果
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 資産総額 | 2,476,000 |
| 現金残高 | 321,000 |
| 現金の純増加額 | 35,000 |
| 当座預金残高 | 887,000 |
| 売掛金回収額 | 420,000 |
| 売掛金残高 | 590,000 |
| 買掛金残高 | 296,000 |
| 商品仕入高 | 395,000 |
| 売上高 | 765,000 |
| 当月の損益 | 280,000 |
模擬試験本番形式 模擬試験 第2回0 / 30▼
制限時間40分・100点満点・70点以上で合格。第1回より少し難度を上げた構成です。
選択問題と数値入力は、答えるとその場でこの得点に反映されます。第2問の仕訳は自分で解いてから解答を開き、合っていれば「解けた」を押すと加点されます。
- 用語問題の言い回しが一段深くなっても、定義に立ち返って正解を選び切る。
- 諸掛・返品・税抜処理など、金額を自分で作り直す仕訳を落とさない。
- 40分の配分を体に入れ、見直しの時間を残して解き終える。
1 解き方
本番と同じ条件で解いてください。時計を用意し、40分を計ってから始めます。電卓は使えます。教科書やノートは閉じてください。
合格基準は100点満点で70点以上です。ただし本番で確実に受かるには、模擬試験の段階で 80点を目標にしてください。
1-1 配点と時間配分
| 大問 | 小問数 | 1問の配点 | 満点 | 目標点 | 目安時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1問 | 10 | 3 | 30 | 27 | 8分 |
| 第2問 | 10 | 4 | 40 | 32 | 15分 |
| 第3問 | 10 | 3 | 30 | 21 | 15分 |
| 合計 | 30 | – | 100 | 80 | 38分 |
残りの2分は見直しにあてます。時間が余ったら、必ず第2問の金額を検算してください。
1-2 解く順番
- 第1問から順に解く 知識だけで決まる第1問を先に片づけ、勢いをつけます。
- 迷ったら飛ばす 20秒考えて決まらない問題は印をつけて次へ進みます。1問に粘るのが最大の失点原因です。
- 第2問は貸借の一致を必ず確認 科目を選んだら、借方合計と貸方合計をその場で足し算します。
- 最後に飛ばした問題へ戻る 全問に目を通してから、印をつけた問題を処理します。
第2問は1問 4点です。第1問の1問より配点が大きいことを忘れないでください。時間が足りなくなりそうなときは、第1問の難問を捨ててでも、第2問を全問埋めるほうが得点は伸びます。
問題文の金額を、そのまま仕訳の金額として写してはいけない場面があります。当社負担の引取運賃、返品された分、税込と税抜の区別。この3つが出たら、必ず自分で計算し直してから科目を選んでください。第2回はこの型を多めに入れてあります。
まちがえた問題は、答えを見て納得するだけでは同じ形でまた落とします。該当する章に戻り、その章の演習をもう一度通すところまでを1セットにしてください。
問題(30問)
会計期間についての説明として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 会計期間の最初の日を期首、最後の日を期末といい、その間を期中という。
解説
もうけを計算するために区切った一定の期間を会計期間といいます。最初の日が期首、最後の日が期末、その間が期中です。会計期間の長さは1年ですが、開始日は企業が自由に決められます。4月1日から翌年3月31日までとする企業も多くあります。
資産・負債・純資産の関係を正しく表している式はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 資産 = 負債 + 純資産
解説
貸借対照表は、左に資産、右に負債と純資産を並べます。左右は必ず一致するので 資産 = 負債 + 純資産 が成り立ちます。これを貸借対照表等式といいます。移項すれば 純資産 = 資産 – 負債 となり、純資産は正味の財産を表すことが分かります。
収益と費用の説明として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 収益は純資産を増やす原因、費用は純資産を減らす原因である。
解説
商品を売って受け取った代金のように、純資産を増やす原因が収益です。反対に、給料や家賃のように純資産を減らす原因が費用です。収益と費用が集計される場所は損益計算書で、貸借対照表ではありません。
当期純利益を計算する2つの方法について、正しい説明はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 財産法は 期末純資産 – 期首純資産、損益法は 収益 – 費用 で計算する。
解説
純資産がどれだけ増えたかで測るのが財産法で、期末純資産 – 期首純資産 です。もうけの中身を集計して測るのが損益法で、収益 – 費用 です。出発点は違いますが、同じ会計期間を計算しているので金額は必ず一致します。
次のうち、簿記上の取引にあたるものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 火災により、倉庫に保管していた商品 300,000円が焼失した。
解説
簿記上の取引とは、資産・負債・純資産の金額が実際に変わる出来事です。契約や注文だけでは、まだ何も動いていないので取引になりません。火災による焼失は、商品という資産が 300,000円減っているので取引にあたります。日常語の「取引」とはずれる点が出題の中心です。
「帳簿価額 1,000,000円の土地を 1,200,000円で売却し、代金は現金で受け取った」という取引の種類として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 混合取引
解説
この仕訳は、借方に現金 1,200,000円、貸方に土地 1,000,000円と固定資産売却益 200,000円です。土地と現金の入れかえは交換取引の部分、売却益 200,000円の発生は損益取引の部分です。両方が1つの仕訳に含まれているので混合取引になります。収益または費用が混じっているかどうかが判定の分かれ道です。
次のうち、費用に属する勘定科目はどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 支払手数料
解説
支払手数料は、振込手数料などを支払ったときに使う費用です。受取手数料は収益、未払金は負債、前払金は資産です。「受取」で始まれば収益、「支払」で始まれば費用と覚えると即答できます。ただし支払手形だけは負債なので、例外として押さえてください。
総勘定元帳への転記において、摘要欄に「諸口」と記入するのはどのような場合か。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 仕訳の相手科目が2つ以上あるとき、相手科目名の代わりに記入する。
解説
転記では、摘要欄に相手科目名を書きます。相手科目が2つ以上あると1つに絞れないので、まとめて諸口と記入します。相手科目が1つのときは、その科目名をそのまま書きます。金額は必ず1行ずつ実額で転記し、諸口とは書きません。
補助記入帳と補助元帳の説明として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 補助記入帳は取引の明細を発生順に記録し、補助元帳は相手先や品目ごとに口座を設けて記録する。
解説
補助簿は2つに分かれます。補助記入帳は現金出納帳や当座預金出納帳のように、特定の取引を起きた順に記録します。補助元帳は売掛金元帳や商品有高帳のように、相手先や品目ごとの口座を設けて残高を管理します。主要簿は仕訳帳と総勘定元帳の2冊だけで、補助簿は必要に応じて作るものです。
証ひょうの説明として、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 証ひょうとは、領収書や請求書のように取引の事実を証明する書類をいい、記帳の根拠となる。
解説
領収書・請求書・納品書・預金通帳などが証ひょうです。取引が本当にあったことを裏づける書類で、記帳の出発点になります。取引の内容を仕訳の形で記入する紙片は伝票であり、別のものです。証ひょうは帳簿ではないので主要簿にも補助簿にも入らず、一定期間の保存が必要です。
普通預金口座から当座預金口座へ 600,000円を振り替えた。その際、振込手数料 500円が普通預金口座から差し引かれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 600,000 | 普通預金 | 600,500 |
| 支払手数料 | 500 | – | – |
解説
当座預金が 600,000円増えたので借方。手数料 500円は費用の発生なので、借方に支払手数料です。普通預金からは、振替額と手数料の両方が引かれています。600,000円たす 500円で 600,500円が貸方の普通預金です。当座預金を 600,500円としないこと。実際に入金されたのは 600,000円だけです。
商品 450,000円を掛けで仕入れ、当社が負担する引取運賃 9,000円を現金で支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 459,000 | 買掛金 | 450,000 |
| – | – | 現金 | 9,000 |
解説
当社負担の仕入諸掛は、仕入に上乗せします。450,000円たす 9,000円で、借方の仕入は 459,000円です。貸方は、商品代金の未払分である買掛金 450,000円と、運送会社に払った現金 9,000円に分けます。買掛金を 459,000円とするのは誤りです。運賃は仕入先ではなく運送会社へ現金で払っています。
さきに掛けで売り渡した商品のうち 36,000円が、品違いのため返品された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売上 | 36,000 | 売掛金 | 36,000 |
解説
返品は、売上を計上したときの仕訳を返品された分だけ逆に書くと考えます。売上時は借方が売掛金、貸方が売上でした。返品ではこれを反対にして、借方に売上 36,000円、貸方に売掛金 36,000円とします。売上戻りという科目は初級では使いません。
得意先から売掛金 280,000円の回収として、同店が振り出した小切手を受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 280,000 | 売掛金 | 280,000 |
解説
他人が振り出した小切手は現金として扱います。銀行に持ち込めばすぐ通貨に換えられるからです。借方は現金 280,000円(資産の増加)、貸方は回収された売掛金 280,000円(資産の減少)です。当座預金としないよう注意してください。当座預金が減るのは、自分が小切手を振り出した側です。
従業員に今月分の給料 340,000円を支給し、所得税の源泉徴収額 24,000円を差し引いた残額を普通預金口座から振り込んだ。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 340,000 | 預り金 | 24,000 |
| – | – | 普通預金 | 316,000 |
解説
借方の給料は天引き前の総額 340,000円です。手取額を書いてはいけません。差し引いた所得税 24,000円は、あとで国に納めるために預かっただけなので、貸方に預り金(負債の増加)です。振り込んだ額は 340,000円ひく 24,000円で 316,000円となり、貸方の普通預金になります。
出張から戻った従業員より報告を受け、さきに前渡ししていた 80,000円のうち旅費として 64,000円を使ったことが分かり、残額は現金で返済を受けた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 64,000 | 仮払金 | 80,000 |
| 現金 | 16,000 | – | – |
解説
金額が確定したので、仮払金は全額 80,000円をいったん消します。資産の減少なので貸方です。借方は、確定した旅費交通費 64,000円(費用の発生)と、返してもらった現金 80,000円ひく 64,000円イコール 16,000円です。仮払金を 64,000円だけ減らす形は誤りです。
得意先に対する売掛金 250,000円について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録が行われた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 250,000 | 売掛金 | 250,000 |
解説
発生記録によって、売掛金が電子記録債権に姿を変えます。借方は電子記録債権 250,000円(資産の増加)、貸方は売掛金 250,000円(資産の減少)です。資産どうしの入れかえなので、資産の合計額は変わりません。まだ入金されていないので、預金や現金は動きません。
所有する土地(帳簿価額 3,200,000円)を 2,900,000円で売却し、代金は翌月末に受け取ることにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 未収入金 | 2,900,000 | 土地 | 3,200,000 |
| 固定資産売却損 | 300,000 | – | – |
解説
土地がなくなったので、貸方は土地 3,200,000円(資産の減少)です。あとで受け取る代金 2,900,000円は未収入金(資産の増加)で借方。差額は 3,200,000円ひく 2,900,000円イコール 300,000円で、帳簿価額を下回って売ったので固定資産売却損(費用の発生)となり借方です。商品を売ったわけではないので、売掛金は使いません。
備品(取得原価 1,440,000円・耐用年数5年・残存価額ゼロ)について、当月分の減価償却費を月次で計上した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 24,000 | 減価償却累計額 | 24,000 |
解説
1年分の見積額は 1,440,000円 わる 5年で 288,000円。1か月分は 288,000円 わる 12で 24,000円です。借方は減価償却費 24,000円(費用の発生)、貸方は減価償却累計額 24,000円で固定です。貸方に備品と書いてはいけません。初級で問われるのは間接法だけで、備品の金額は取得原価のまま動かしません。
商品を税込 660,000円で売り上げ、代金は掛けとした。消費税の税率は 10パーセントであり、税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 660,000 | 売上 | 600,000 |
| – | – | 仮受消費税 | 60,000 |
解説
税込金額が示されているので、まず税抜金額と消費税額に分けます。税抜金額は 660,000円 わる 1.1 で 600,000円、消費税額は 660,000円ひく 600,000円で 60,000円です。借方は受け取る代金の総額である売掛金 660,000円。貸方は売上 600,000円(収益の発生)と、預かった仮受消費税 60,000円(負債の増加)に分けます。売上を 660,000円としないことが最大の注意点です。
第3問(30点) 次の[資料1]前月繰越高と[資料2]当月の取引にもとづいて、あさひ商店の7月末の合計残高試算表を作り、下の各金額を答えなさい。(各3点)
[資料1]前月繰越高
| 借方残高 | 勘定科目 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|
| 324,000 | 現金 | 買掛金 | 448,000 |
| 1,080,000 | 普通預金 | 未払金 | 93,000 |
| 560,000 | 売掛金 | 減価償却累計額 | 900,000 |
| 97,000 | クレジット売掛金 | 資本金 | 4,430,000 |
| 210,000 | 繰越商品 | ||
| 3,600,000 | 建物 | ||
| 5,871,000 | 合計 | 合計 | 5,871,000 |
[資料2]当月の取引
- 2日 商品 480,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
- 4日 商品 300,000円をクレジットカード払いの条件で売り上げた。信販会社への手数料は販売代金の3パーセントで、販売時に計上する。
- 6日 先月のクレジット売掛金 97,000円が普通預金口座に入金された。
- 8日 売掛金 520,000円が普通預金口座に振り込まれた。
- 10日 買掛金 400,000円を普通預金口座から支払った。
- 12日 商品 620,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- 14日 先月分の未払金 93,000円を現金で支払った。
- 16日 商品の発送運賃 12,000円(当社負担)を現金で支払った。
- 18日 従業員が立て替えた交通費 7,000円を現金で精算した。
- 20日 事務所の修繕を行い、代金 68,000円を現金で支払った。
- 22日 仕入れた商品のうち 35,000円分を返品し、掛代金から差し引いた。
- 24日 駐車場の地代 30,000円を現金で支払った。
- 26日 建物について、当月分の減価償却費 30,000円を見積額により計上した。
- 28日 事務所の一部を貸し付けており、当月分の家賃 55,000円を現金で受け取った。
- 30日 事業主が事業資金として現金 200,000円を追加で元入れした。
解答と解説
正解
| 項目 | 答え |
|---|---|
| 資産総額 | 5,497,000 円 |
| 現金残高 | 369,000 円 |
| 現金の純増加額 | 45,000 円 |
| 普通預金残高 | 1,297,000 円 |
| 売掛金回収額 | 520,000 円 |
| 売掛金残高 | 660,000 円 |
| 買掛金残高 | 493,000 円 |
| 商品仕入高 | 445,000 円 |
| 負債残高 | 493,000 円 |
| 当月の損益 | 374,000 円 |
解説
完成した合計残高試算表
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 369,000 | 579,000 | 現金 | 210,000 | |
| 1,297,000 | 1,697,000 | 普通預金 | 400,000 | |
| 660,000 | 1,180,000 | 売掛金 | 520,000 | |
| 291,000 | 388,000 | クレジット売掛金 | 97,000 | |
| 210,000 | 210,000 | 繰越商品 | ||
| 3,600,000 | 3,600,000 | 建物 | ||
| 435,000 | 買掛金 | 928,000 | 493,000 | |
| 93,000 | 未払金 | 93,000 | ||
| 減価償却累計額 | 930,000 | 930,000 | ||
| 資本金 | 4,630,000 | 4,630,000 | ||
| 売上 | 920,000 | 920,000 | ||
| 受取家賃 | 55,000 | 55,000 | ||
| 445,000 | 480,000 | 仕入 | 35,000 | |
| 12,000 | 12,000 | 発送費 | ||
| 9,000 | 9,000 | 支払手数料 | ||
| 7,000 | 7,000 | 旅費交通費 | ||
| 30,000 | 30,000 | 支払地代 | ||
| 68,000 | 68,000 | 修繕費 | ||
| 30,000 | 30,000 | 減価償却費 | ||
| 7,028,000 | 8,818,000 | 合計 | 8,818,000 | 7,028,000 |
借方合計 8,818,000 = 貸方合計 8,818,000、借方残高 7,028,000 = 貸方残高 7,028,000 で一致します。
読み取り結果
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 資産総額 | 5,497,000 |
| 現金残高 | 369,000 |
| 現金の純増加額 | 45,000 |
| 普通預金残高 | 1,297,000 |
| 売掛金回収額 | 520,000 |
| 売掛金残高 | 660,000 |
| 買掛金残高 | 493,000 |
| 商品仕入高 | 445,000 |
| 負債残高 | 493,000 |
| 当月の損益 | 374,000 |
模擬試験本番形式 模擬試験 第3回0 / 30▼
制限時間40分・100点満点・70点以上で合格。手形と電子記録債権・債務を厚めに出題します。
選択問題と数値入力は、答えるとその場でこの得点に反映されます。第2問の仕訳は自分で解いてから解答を開き、合っていれば「解けた」を押すと加点されます。
- 受取手形と支払手形を、振出・受入から満期決済まで一往復で書き切れるかを確かめる。
- 電子記録債権・電子記録債務への振替と決済を、売上・仕入を使わずに処理できるかを確かめる。
- 簿記一巡・試算表・伝票のことばを、迷わず選べる状態まで仕上げる。
1. 解き方
タイマーを40分に設定し、途中で止めずに最後まで解いてください。分からない問題があっても飛ばして先へ進みます。1問に3分以上かけないのが鉄則です。
- 第1問を5分で通過する 知っているかどうかで決まる問題です。考え込むだけ時間の損になります。1問30秒で判断し、迷ったら印をつけて次へ進みます。
- 第2問を10分で片づける 1問1分の計算です。取引を読んだら、借方科目・貸方科目・金額の3点セットを声に出さずに口の中で唱えてから解答します。
- 残りの時間を第3問にあてる 配点が大きく、時間もかかります。第1問と第2問を15分で抜ければ、およそ22分を確保できます。
- 最後の3分で見直す 印をつけた問題と、金額のけた数を優先して確認します。
配点
| 大問 | 問数 | 配点 | 目安の時間 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 10問 | 各3点 30点 | 5分 |
| 第2問 | 10問 | 各4点 40点 | 10分 |
| 第3問 | 10問 | 各3点 30点 | 22分 |
| 合計 | 30問 | 100点 | 37分 |
合格は70点以上です。第1問で24点、第2問で32点を取れれば、その時点で56点。第3問は半分の正解で合格ラインに届きます。満点を狙う試験ではありません。
採点したあとが本番です。間違えた問題の番号を必ず書き出し、解説を読んでから、同じ問題をもう一度だけ解き直してください。読んで納得しただけでは、次も同じところで止まります。
問題(30問)
簿記一巡の手続きについて、作業を行う順序として正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 取引 → 仕訳 → 転記 → 試算表
解説
正解は「取引 → 仕訳 → 転記 → 試算表」です。まず取引を仕訳帳に仕訳し、それを総勘定元帳の各勘定へ転記します。転記が終わったら、各勘定の金額を集めて試算表を作り、貸借の一致を確かめます。仕訳が先、転記があとです。順序を入れかえた選択肢にひっかからないでください。
仕訳の説明として正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 取引を借方と貸方に分け、勘定科目と金額を決める手続きである
解説
正解は1番目です。仕訳とは、1つの取引を借方の要素と貸方の要素に分解し、それぞれの勘定科目と金額を決める作業をいいます。2番目は転記、3番目は試算表の作成、4番目は補助元帳への記入の説明です。よく似た文が並ぶので、何をする作業かで切り分けてください。
勘定口座への記入について、正しい組み合わせを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 資産の増加は借方、負債の増加は貸方に記入する
解説
正解は2番目です。資産と費用は増えたら借方、負債・純資産・収益は増えたら貸方に記入します。減ったときは、それぞれ反対側です。資産の増加は借方、負債の増加は貸方という基本形を、まず1つだけ確実に覚えてください。ほかの要素は、そこから左右を反転させれば導けます。
通常、貸方に残高が生じる勘定科目の組み合わせを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 買掛金 と 売上
解説
正解は「買掛金 と 売上」です。資産と費用は借方残高、負債・純資産・収益は貸方残高になります。買掛金は負債、売上は収益なので、どちらも貸方に残高が出ます。売掛金・現金は資産、仕入・給料は費用なので借方残高です。支払手形は負債で貸方残高ですが、組み合わせた給料が費用なので3番目と4番目は誤りです。
合計試算表と残高試算表の違いの説明として、正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 合計試算表は各勘定の借方合計と貸方合計をそのまま並べ、残高試算表はその差額だけを並べる
解説
正解は1番目です。合計試算表は各勘定の借方合計・貸方合計をそのまま集めた表、残高試算表は各勘定の残高(借方合計と貸方合計の差額)だけを集めた表です。どちらも貸借は必ず一致します。並べる勘定科目や作成する時期で分かれるわけではありません。両方を1つの表にまとめたものが合計残高試算表です。
次のうち、試算表を作成しても発見できない誤りを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 通信費 20,000円とすべきところを、旅費交通費 20,000円として借方に記入した
解説
正解は2番目です。試算表が見つけられるのは、借方合計と貸方合計がずれる誤りだけです。金額の書き間違い・二重記入・記入もれは、片側だけが動くので貸借が一致しなくなり、そこで気づけます。ところが科目だけを取り違えた誤りは、借方の金額そのものが変わりません。貸借は一致したままなので、試算表では発見できません。
3伝票制において、次の取引を起票する伝票として正しいものを1つ選びなさい。「買掛金 150,000円を当座預金口座から支払った。」
解答と解説
正解
ウ 振替伝票
解説
正解は振替伝票です。分かれ道は現金が動いたかどうかだけです。この取引で減ったのは当座預金であり、現金は1円も動いていません。ですから振替伝票を使います。当座預金の減少を現金の減少と考えて出金伝票を選ぶのが、もっとも多い誤りです。なお仕訳日計表は伝票ではなく、伝票を集計した表です。
仕訳日計表の説明として正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 1日分の伝票を勘定科目ごとに集計した表で、総勘定元帳へはこの表から合計転記する
解説
正解は1番目です。仕訳日計表は、その日に起票された伝票を勘定科目ごとに集計した表です。総勘定元帳へは、伝票を1枚ずつ転記するかわりに、この表から科目ごとの合計を1回だけ転記します。これを合計転記といい、転記の手間とミスを大きく減らせます。2番目は仕訳帳、3番目は得意先元帳、4番目は現金出納帳の説明です。
得意先元帳の各口座の月末残高は、札幌商店 320,000円、旭川商店 180,000円、釧路商店 250,000円であった。総勘定元帳の売掛金勘定の月末残高として正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 750,000円
解説
正解は 750,000円です。売掛金勘定は得意先元帳の統制勘定にあたり、統制勘定の残高は補助元帳の各口座の残高合計と必ず一致します。320,000円たす 180,000円たす 250,000円で 750,000円です。もっとも大きい口座の金額や、一部だけを足した金額を選ばないでください。単純に全部を足すだけの問題です。
2027年4月から適用される出題範囲の変更として、正しいものを1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 手形に関する問題が削除され、株式会社の株式発行が追加される
解説
正解は1番目です。紙の小切手と手形が実務で廃止されることを受け、2027年4月からの出題範囲では手形の問題が全廃されます。かわりに、株式会社の株式発行(設立時と増資時。払込額は全額を資本金とする)が加わります。ただし2026年度の試験では手形はそのまま出題されます。受験する時期で学習の重みが変わるので、申込前に必ず確かめてください。電子記録債権・電子記録債務は、変更後も中心論点として残ります。
商品 480,000円を売り上げ、代金は先方が振り出した約束手形で受け取った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 受取手形 | 480,000 | 売上 | 480,000 |
解説
手形を受け取った側なので、使う科目は受取手形(資産)です。代金を受け取る権利が 480,000円増えたので、資産の増加で借方。増えた理由は商品を売ったことなので、貸方は売上(収益の発生)です。手形で受け取っただけで、売掛金は登場しません。
商品 350,000円を仕入れ、代金は約束手形を振り出して支払った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 350,000 | 支払手形 | 350,000 |
解説
手形を振り出した側なので、使う科目は支払手形(負債)です。期日に支払う義務が 350,000円生まれたので、負債の増加で貸方。借方は仕入(費用の発生)です。前問とちょうど左右が鏡になっています。自分がどちら側に立っているかを最初に決めれば迷いません。
かねて受け取っていた約束手形 480,000円が満期日に決済され、当座預金口座に入金された。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 480,000 | 受取手形 | 480,000 |
解説
当座預金が 480,000円増えたので、資産の増加で借方。代金を受け取る権利は使い切ってなくなったので、貸方は受取手形(資産の減少)です。ここで売上を計上してはいけません。売上は手形を受け取った日にすでに計上済みで、この日は権利が預金に変わっただけです。
かねて振り出していた約束手形 350,000円が満期日に決済され、当座預金口座から支払われた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払手形 | 350,000 | 当座預金 | 350,000 |
解説
支払義務がなくなったので、借方は支払手形(負債の減少)。当座預金が 350,000円減ったので貸方です。仕入を使うのは誤りです。仕入は手形を振り出した日に計上済みで、この日は義務が消えて預金が減っただけです。手形の仕訳は、生まれる場面と消える場面の2回しかありません。
得意先に対する売掛金 620,000円のうち 400,000円について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行った。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債権 | 400,000 | 売掛金 | 400,000 |
解説
発生記録を行ったのは 400,000円だけです。売掛金の全額 620,000円を消してはいけません。電子記録債権という資産が 400,000円増えて借方、売掛金という資産が 400,000円減って貸方です。資産の中で名前が入れかわっただけなので、資産の合計額は変わりません。商品の売買はすでに終わっているため、売上は使いません。
電子記録債務 400,000円が支払期日に決済され、普通預金口座から引き落とされた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 電子記録債務 | 400,000 | 普通預金 | 400,000 |
解説
支払義務がなくなったので、借方は電子記録債務(負債の減少)。普通預金が 400,000円減ったので貸方です。決済先は当座預金とはかぎりません。問題文に書かれた口座の科目をそのまま使うのが鉄則です。手形の満期決済と、まったく同じ形の仕訳になります。
仕入先から商品 620,000円を仕入れ、代金のうち 170,000円は現金で支払い、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 620,000 | 現金 | 170,000 |
| – | – | 買掛金 | 450,000 |
解説
借方は受け取った商品の全額 620,000円(費用の発生)です。一部だけ払っても、仕入は総額で計上します。貸方は2つに分かれます。手放した現金 170,000円(資産の減少)と、あとで支払う義務である残額 620,000円ひく 170,000円イコール 450,000円の買掛金(負債の増加)です。貸方合計は 620,000円となり借方と一致します。仕入を 450,000円としないこと。
従業員に今月分の給料 410,000円を支給し、所得税の源泉徴収額 27,000円を差し引いた残額を普通預金口座から振り込んだ。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給料 | 410,000 | 預り金 | 27,000 |
| – | – | 普通預金 | 383,000 |
解説
借方の給料は天引き前の総額 410,000円です。手取額を書いてはいけません。貸方は、あとで国に納めるために預かった 27,000円の預り金(負債の増加)と、実際に振り込んだ 410,000円ひく 27,000円イコール 383,000円の普通預金(資産の減少)です。後日この所得税を納付したときに、借方へ預り金 27,000円と書いて残高をゼロに戻します。
取引先に貸し付けていた 1,500,000円を、4か月分の利息とあわせて当座預金口座で回収した。年利率は 2パーセントである。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 当座預金 | 1,510,000 | 貸付金 | 1,500,000 |
| – | – | 受取利息 | 10,000 |
解説
まず利息を計算します。1年分は 1,500,000円 かける 0.02 で 30,000円。今回は4か月分なので 30,000円 かける 4 わる 12 で 10,000円です。入金額は 1,500,000円たす 10,000円で 1,510,000円となり、資産の増加で借方。貸方は、元金の回収である貸付金 1,500,000円(資産の減少)と、受取利息 10,000円(収益の発生)に分けます。元金と利息を1つの科目にまとめてはいけません。
収入印紙 12,000円と郵便切手 4,000円を現金で購入し、いずれもただちに使用した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 12,000 | 現金 | 16,000 |
| 通信費 | 4,000 | – | – |
解説
同じ窓口で買っても、科目は2つに分かれます。収入印紙は印紙税という税金を納めるための証票なので租税公課(費用)、郵便切手は郵便料金なので通信費(費用)です。貸方は支払った現金の合計 12,000円たす 4,000円イコール 16,000円。まとめて租税公課としたり、まとめて通信費としたりするのが典型的な失点です。
第3問(30点) 次の[資料1]前月繰越高と[資料2]当月の取引にもとづいて、こもれび商店の8月末の合計残高試算表を作り、下の各金額を答えなさい。(各3点)
[資料1]前月繰越高
| 借方残高 | 勘定科目 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|
| 258,000 | 現金 | 買掛金 | 505,000 |
| 1,320,000 | 当座預金 | 支払手形 | 240,000 |
| 610,000 | 売掛金 | 電子記録債務 | 120,000 |
| 280,000 | 受取手形 | 減価償却累計額 | 210,000 |
| 150,000 | 電子記録債権 | 資本金 | 2,573,000 |
| 190,000 | 繰越商品 | ||
| 840,000 | 備品 | ||
| 3,648,000 | 合計 | 合計 | 3,648,000 |
[資料2]当月の取引
- 1日 商品 430,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
- 3日 商品 760,000円を売り上げ、代金のうち 260,000円は約束手形で受け取り、残額は掛けとした。
- 5日 かねて受け取っていた約束手形 280,000円が満期となり、当座預金口座に入金された。
- 7日 買掛金 350,000円の支払いのため、約束手形を振り出した。
- 9日 かねて振り出していた約束手形 240,000円が満期となり、当座預金口座から引き落とされた。
- 11日 売掛金 200,000円について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録が行われた。
- 13日 電子記録債権 150,000円が支払期日を迎え、当座預金口座に入金された。
- 15日 買掛金 180,000円について、取引銀行を通じて電子記録債務の発生記録が行われた。
- 17日 電子記録債務 120,000円が支払期日を迎え、当座預金口座から引き落とされた。
- 19日 売掛金 380,000円を当座預金口座で回収した。
- 21日 給料 340,000円のうち源泉所得税 18,000円を預かり、残額を当座預金口座から支払った。
- 23日 商品 340,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。
- 25日 事務所の家賃 105,000円を当座預金口座から支払った。
- 27日 備品について、当月分の減価償却費 14,000円を見積額により計上した。
- 29日 雑誌の購読料など 9,000円を現金で支払った。
解答と解説
正解
| 項目 | 答え |
|---|---|
| 資産総額 | 3,728,000 円 |
| 現金残高 | 589,000 円 |
| 現金の純増加額 | 331,000 円 |
| 当座預金残高 | 1,343,000 円 |
| 売掛金回収額 | 580,000 円 |
| 売掛金残高 | 530,000 円 |
| 買掛金残高 | 405,000 円 |
| 商品仕入高 | 430,000 円 |
| 費用総額 | 898,000 円 |
| 当月の損益 | 202,000 円 |
解説
完成した合計残高試算表
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 589,000 | 598,000 | 現金 | 9,000 | |
| 1,343,000 | 2,130,000 | 当座預金 | 787,000 | |
| 530,000 | 1,110,000 | 売掛金 | 580,000 | |
| 260,000 | 540,000 | 受取手形 | 280,000 | |
| 200,000 | 350,000 | 電子記録債権 | 150,000 | |
| 190,000 | 190,000 | 繰越商品 | ||
| 840,000 | 840,000 | 備品 | ||
| 530,000 | 買掛金 | 935,000 | 405,000 | |
| 240,000 | 支払手形 | 590,000 | 350,000 | |
| 120,000 | 電子記録債務 | 300,000 | 180,000 | |
| 預り金 | 18,000 | 18,000 | ||
| 減価償却累計額 | 224,000 | 224,000 | ||
| 資本金 | 2,573,000 | 2,573,000 | ||
| 売上 | 1,100,000 | 1,100,000 | ||
| 430,000 | 430,000 | 仕入 | ||
| 340,000 | 340,000 | 給料 | ||
| 105,000 | 105,000 | 支払家賃 | ||
| 14,000 | 14,000 | 減価償却費 | ||
| 9,000 | 9,000 | 雑費 | ||
| 4,850,000 | 7,546,000 | 合計 | 7,546,000 | 4,850,000 |
借方合計 7,546,000 = 貸方合計 7,546,000、借方残高 4,850,000 = 貸方残高 4,850,000 で一致します。
読み取り結果
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 資産総額 | 3,728,000 |
| 現金残高 | 589,000 |
| 現金の純増加額 | 331,000 |
| 当座預金残高 | 1,343,000 |
| 売掛金回収額 | 580,000 |
| 売掛金残高 | 530,000 |
| 買掛金残高 | 405,000 |
| 商品仕入高 | 430,000 |
| 費用総額 | 898,000 |
| 当月の損益 | 202,000 |
模擬試験本番形式 模擬試験 第4回0 / 30▼
制限時間40分・100点満点・70点以上で合格。全範囲から満遍なく、本番よりやや難しめに作っています。
選択問題と数値入力は、答えるとその場でこの得点に反映されます。第2問の仕訳は自分で解いてから解答を開き、合っていれば「解けた」を押すと加点されます。
1. 配点と時間配分
制限時間は40分、100点満点、70点以上で合格です。配点は次のとおりです。
- 第1問 10問 各3点 合計30点 (目安 8分)
- 第2問 10問 各4点 合計40点 (目安 18分)
- 第3問 各3点 合計30点 (目安 14分)
残り4分は見直しにあてます。第1問と第2問だけで70点分ありますから、ここを取り切れるかどうかが合否を分けます。
2. 解き方の指示
- 時計を用意し、40分をはかって最初から通しで解きます。途中で解説を見ないでください。
- 第1問は1問45秒が目安です。10秒考えて手が止まったら印をつけて先へ進み、最後に戻ります。
- 第2問は借方科目・貸方科目・金額の3点セットで採点されます。金額だけ合っていても得点にはなりません。
- 第2問では、問題文の主語が店なのか事業主個人なのか従業員なのかを必ず確かめてから科目を選びます。
- 採点が終わったら、間違えた問題の解説を読み、対応する章に戻って復習します。
- 個人企業の資本金まわり(私用の引出・事業主の所得税)を、費用の科目と混ぜずに処理できるか。
- 前払金・前受金・仮受金・未払固定資産税といった「あとで消す科目」を、確実に残高ゼロへ戻せるか。
- 取得原価への付随費用の足し込みと、税抜方式による消費税の分解を、落ち着いて計算できるか。
問題(30問)
個人企業において、資本金が減少する原因として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 事業主が私用のため店の商品を持ち出した
解説
追加元入は資本金の増加なので誤りです。借入れは負債の増加であり、資産と負債が同額増えるだけで純資産は動きません。売掛金の回収は売掛金から現金への振替で、これも純資産を動かしません。商品の私用の持ち出しは引出にあたり、資本金の減少として処理します。個人企業の純資産は資本金1本で表します。
個人企業で、事業主が私用のため店の現金 100,000円を持ち出したときの処理として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 借方に資本金、貸方に現金を記入する
解説
引出は元手を減らす行為なので、借方に資本金を書いて純資産を直接減らします。給料は従業員に払う費用、雑費は店の少額の費用で、どちらも店の費用ですから使えません。店の現金は現実に減っていますので、仕訳をしないという扱いも誤りです。初級では引出金勘定を使わず、資本金を直接減らします。
次のうち、租税公課で処理するものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ウ 店が所有する建物にかかる固定資産税を現金で納付した
解説
租税公課になるのは固定資産税と印紙税だけです。事業主個人にかかる所得税は店の費用ではないので資本金の減少、従業員から預かった所得税は預り金の減少、仕入時に払った消費税は税抜方式なので仮払消費税です。「誰にかかる税金か」を先に判定すれば、迷わず選べます。
税抜方式による消費税の処理として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 商品を仕入れたときに支払った消費税は、仮払消費税として資産に計上する
解説
税抜方式では、消費税を仕入や売上に含めません。仕入時に払った消費税は、あとで納める額から差し引ける権利なので仮払消費税(資産)、売上時に預かった消費税は、あとで国に納める義務なので仮受消費税(負債)で受けます。消費税は最終的に消費者が負担する税金ですから、店の費用にも収益にもなりません。租税公課も使いません。
間接法による備品の減価償却の仕訳として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 借方に減価償却費、貸方に減価償却累計額を記入する
解説
間接法では、備品の金額を取得原価のまま動かさず、値下がり分を減価償却累計額という別の科目にためていきます。したがって借方は費用の発生である減価償却費、貸方は減価償却累計額で固定です。貸方に備品と書くのは直接法であり、初級では出題されません。減価償却累計額は資産から差し引く評価勘定で、負債ではありません。
次の有形固定資産のうち、減価償却を行わないものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
エ 土地
解説
減価償却は、使用や時の経過によって価値が減っていく資産に対して行います。土地は使っても価値が減らないと考えるため、減価償却をしません。建物・備品・車両運搬具は減価償却の対象です。なお、初級で売却が出題される固定資産は土地だけである点もあわせて押さえてください。
商品売買にともなう諸掛の処理として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 当社負担の仕入諸掛は、商品代金に加えて仕入で処理する
解説
分かれ道は負担者です。当社負担の仕入諸掛は商品の原価に含めるので、仕入に上乗せします。当社負担の売上諸掛は売上に吸収させず、発送費という費用で別に計上します。売上から差し引いてはいけません。先方が負担すべき運賃を当社が立て替えたときは、あとで返してもらえるので立替金(資産)です。
商品 400,000円をクレジット払いの条件で販売した。信販会社への手数料は販売代金の 4パーセントであり、販売時に計上する。このときの仕訳として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 借方 クレジット売掛金 384,000、支払手数料 16,000/貸方 売上 400,000
解説
手数料は 400,000円 かける 0.04 で 16,000円。あとで信販会社から受け取れるのは、手数料を差し引いた 400,000円ひく 16,000円イコール 384,000円です。売上は総額の 400,000円で計上し、借方をクレジット売掛金 384,000円と支払手数料 16,000円に分けます。手数料は店が払うものなので受取手数料ではありません。カード販売の債権は売掛金と区別してクレジット売掛金を使います。
月次の合計残高試算表から、当月の売掛金の回収額を読み取る方法として正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
イ 売掛金勘定の貸方合計を見る
解説
売掛金は資産なので、増えたときは借方、減ったときは貸方に記入します。回収は売掛金の減少ですから、当月の回収額は貸方合計に集まります。借方合計は前月繰越高と当月の掛売上高の合計、借方残高は未回収額です。売上の貸方合計には現金売上も含まれるので、回収額とは一致しません。合計欄と残高欄で読み取れることが違う点が、第3問の要になります。
2027年4月からの日商簿記初級の出題範囲の改定について、正しいものはどれか。1つ選びなさい。
解答と解説
正解
ア 株式会社の株式発行による資本金の処理が追加される
解説
紙の小切手と手形の廃止に伴い、手形の問題が全廃されるとともに、株式会社の株式発行(設立時と増資時のいずれも全額を資本金とする)が追加されます。2026年度の試験は改定前の範囲で行われますので、この模擬試験も現行の範囲で作成しています。税込方式や決算整理は初級では扱いません。
注文していた商品 540,000円を受け取った。さきに支払っていた手付金 120,000円を差し引き、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仕入 | 540,000 | 前払金 | 120,000 |
| – | – | 買掛金 | 420,000 |
解説
商品が届いたので、借方は仕入 540,000円です。手付金を差し引いた金額ではなく、受け取った商品の全額で計上します。貸方は、役目を終えた前払金 120,000円(資産の減少)と、残額 540,000円ひく 120,000円イコール 420,000円の買掛金(負債の増加)です。前払金を消し忘れると資産が残ったままになります。
注文を受けていた商品 680,000円を引き渡した。さきに受け取っていた手付金 200,000円を差し引き、残額は掛けとした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前受金 | 200,000 | 売上 | 680,000 |
| 売掛金 | 480,000 | – | – |
解説
商品を引き渡したので、貸方は売上 680,000円(収益の発生)です。手付金を含めた全額で計上します。借方は、役目を終えた前受金 200,000円(負債の減少)と、残額 680,000円ひく 200,000円イコール 480,000円の売掛金(資産の増加)です。前受金は手付金を受け取った時点で貸方に置いた負債ですから、引渡時に借方へ書いて消します。
内容が不明のまま仮受金として処理していた 260,000円は、得意先から受け取った商品の手付金であることが判明した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仮受金 | 260,000 | 前受金 | 260,000 |
解説
内容が確定したので、一時的な置き場所である仮受金 260,000円を消します。負債の減少なので借方です。判明した中身は、商品を引き渡す義務である前受金(負債の増加)で貸方になります。お金はすでに入金済みですから、ここで現金や普通預金は動きません。まだ商品を渡していないので売上も使いません。
事務用のキャビネット 460,000円を購入し、据付費 40,000円とあわせた代金のうち 150,000円を現金で支払い、残額は翌月末に支払うことにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 備品 | 500,000 | 現金 | 150,000 |
| – | – | 未払金 | 350,000 |
解説
取得原価は購入代価に付随費用を足した金額です。460,000円たす 40,000円イコール 500,000円が備品(資産の増加)で借方1行になります。据付費を修繕費などの費用にしてはいけません。貸方は、支払った現金 150,000円と、残額 500,000円ひく 150,000円イコール 350,000円の未払金です。販売用の商品ではないので買掛金は使いません。
駐車場として使用していた土地(帳簿価額 5,400,000円)を 4,950,000円で売却し、代金のうち 2,000,000円は普通預金口座に振り込まれ、残額は翌月末に受け取ることにした。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 2,000,000 | 土地 | 5,400,000 |
| 未収入金 | 2,950,000 | – | – |
| 固定資産売却損 | 450,000 | – | – |
解説
土地を手放したので、貸方は帳簿価額そのままの土地 5,400,000円(資産の減少)です。売却代金 4,950,000円のうち、すでに入金された 2,000,000円は普通預金(資産の増加)、残額 4,950,000円ひく 2,000,000円イコール 2,950,000円はあとで受け取る未収入金(資産の増加)で、どちらも借方に並べます。さらに、帳簿価額 5,400,000円ひく売却代金 4,950,000円イコール 450,000円は安く売ったための損失なので、固定資産売却損(費用の発生)も借方です。借方合計は 5,400,000円となり貸方と一致します。商品を売ったわけではないので売掛金は使いません。
事業主が私用のため、店の普通預金口座から 130,000円を引き出した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 130,000 | 普通預金 | 130,000 |
解説
普通預金が 130,000円減ったので、資産の減少で貸方です。減った理由は事業主が私用でお金を持ち出したことなので、借方は資本金(純資産の減少)になります。店の費用ではありませんから、給料や雑費は使いません。引出の仕訳は、借方が必ず資本金で、貸方に出ていったものをそのまま書くだけです。
事業主個人にかかる所得税 260,000円を、店の現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 資本金 | 260,000 | 現金 | 260,000 |
解説
所得税は事業主個人のもうけにかかる税金で、店が負担すべきものではありません。店のお金で納めたので、私用のためにお金を持ち出したのと同じ扱いになり、借方は資本金(純資産の減少)です。貸方は現金 260,000円。租税公課になるのは固定資産税と印紙税だけですから、ここでは使いません。従業員から預かった所得税の納付(預り金)とも区別してください。
店が所有する建物と土地にかかる固定資産税の納税通知書 168,000円を受け取り、年税額の全額を未払分として計上した。あわせて、同日に第1期分 42,000円を現金で納付した。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 租税公課 | 168,000 | 未払固定資産税 | 168,000 |
| 未払固定資産税 | 42,000 | 現金 | 42,000 |
解説
2つの仕訳に分けて考えます。通知書を受け取った時点で年税額が確定しているので、まず全額 168,000円を費用の租税公課として借方に、まだ払っていない義務を未払固定資産税(負債の増加)として貸方に計上します。次に第1期分 42,000円を納めたときは、負債を減らすだけです。借方は未払固定資産税、貸方は現金 42,000円。納付時にもう一度租税公課を書くと費用の二重計上になります。
商品を 726,000円(消費税 10パーセント込み)で売り上げ、代金は掛けとした。消費税は税抜方式で処理する。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 726,000 | 売上 | 660,000 |
| – | – | 仮受消費税 | 66,000 |
解説
税込金額から税抜金額を求めます。726,000円 わる 1.1 イコール 660,000円が売上、差額 726,000円ひく 660,000円イコール 66,000円が消費税です。税抜方式なので売上は 660,000円だけで計上し、預かった消費税 66,000円は国に納める義務として仮受消費税(負債の増加)で貸方に置きます。得意先に請求する金額は税込の 726,000円なので、借方の売掛金は 726,000円です。
貸している事務所の当月分の家賃 155,000円が、普通預金口座に振り込まれた。
解答と解説
仕訳
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 155,000 | 受取家賃 | 155,000 |
解説
普通預金が 155,000円増えたので、資産の増加で借方です。増えた理由は事務所を貸したことによるもうけなので、貸方は収益の発生である受取家賃になります。自分が借りて払う側であれば費用の支払家賃ですが、ここは受け取る側です。土地や駐車場を貸して受け取る場合は受取地代を使い分けます。
第3問(30点) 次の[資料1]前月繰越高と[資料2]当月の取引にもとづいて、なぎさ商店の5月末の合計残高試算表を作り、下の各金額を答えなさい。(各3点)
[資料1]前月繰越高
| 借方残高 | 勘定科目 | 勘定科目 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|
| 402,000 | 現金 | 買掛金 | 586,000 |
| 1,160,000 | 当座預金 | 借入金 | 800,000 |
| 735,000 | 売掛金 | 預り金 | 21,000 |
| 240,000 | 繰越商品 | 減価償却累計額 | 270,000 |
| 90,000 | 前払金 | 資本金 | 4,530,000 |
| 1,080,000 | 備品 | ||
| 2,500,000 | 土地 | ||
| 6,207,000 | 合計 | 合計 | 6,207,000 |
[資料2]当月の取引
- 2日 商品 610,000円を仕入れ、うち 90,000円は前月に支払った手付金を充当し、残額は掛けとした。
- 4日 商品 840,000円を売り上げ、代金は掛けとした。
- 6日 先月預かった源泉所得税 21,000円を現金で納付した。
- 8日 売掛金 780,000円を当座預金口座で回収した。
- 10日 買掛金 640,000円を当座預金口座から支払った。
- 12日 帳簿価額 2,500,000円の土地を 2,750,000円で売却し、代金は月末に受け取ることとした。
- 14日 商品 295,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。
- 16日 広告宣伝のための看板製作費 130,000円を当座預金口座から支払った。
- 18日 借入金 300,000円と利息 4,500円を当座預金口座から返済した。
- 20日 事務所で使う文房具 11,000円を現金で購入した。
- 22日 12日に売却した土地の代金 2,750,000円が当座預金口座に入金された。
- 24日 収入印紙 12,000円を現金で購入し、ただちに使用した。
- 26日 備品について、当月分の減価償却費 18,000円を見積額により計上した。
- 28日 事務所の火災保険料 42,000円を現金で支払った。
- 30日 事業主が私用のため、事業用の現金 120,000円を引き出した。
解答と解説
正解
| 項目 | 答え |
|---|---|
| 資産総額 | 5,933,500 円 |
| 現金残高 | 491,000 円 |
| 現金の純増加額 | 89,000 円 |
| 当座預金残高 | 3,615,500 円 |
| 売掛金回収額 | 780,000 円 |
| 売掛金残高 | 795,000 円 |
| 買掛金残高 | 466,000 円 |
| 商品仕入高 | 610,000 円 |
| 収益総額 | 1,385,000 円 |
| 当月の損益 | 557,500 円 |
解説
完成した合計残高試算表
| 借方残高 | 借方合計 | 勘定科目 | 貸方合計 | 貸方残高 |
|---|---|---|---|---|
| 491,000 | 697,000 | 現金 | 206,000 | |
| 3,615,500 | 4,690,000 | 当座預金 | 1,074,500 | |
| 795,000 | 1,575,000 | 売掛金 | 780,000 | |
| 240,000 | 240,000 | 繰越商品 | ||
| 90,000 | 前払金 | 90,000 | ||
| 2,750,000 | 未収入金 | 2,750,000 | ||
| 1,080,000 | 1,080,000 | 備品 | ||
| 2,500,000 | 土地 | 2,500,000 | ||
| 640,000 | 買掛金 | 1,106,000 | 466,000 | |
| 300,000 | 借入金 | 800,000 | 500,000 | |
| 21,000 | 預り金 | 21,000 | ||
| 減価償却累計額 | 288,000 | 288,000 | ||
| 120,000 | 資本金 | 4,530,000 | 4,410,000 | |
| 売上 | 1,135,000 | 1,135,000 | ||
| 固定資産売却益 | 250,000 | 250,000 | ||
| 610,000 | 610,000 | 仕入 | ||
| 130,000 | 130,000 | 広告宣伝費 | ||
| 11,000 | 11,000 | 消耗品費 | ||
| 42,000 | 42,000 | 保険料 | ||
| 12,000 | 12,000 | 租税公課 | ||
| 18,000 | 18,000 | 減価償却費 | ||
| 4,500 | 4,500 | 支払利息 | ||
| 7,049,000 | 15,530,500 | 合計 | 15,530,500 | 7,049,000 |
借方合計 15,530,500 = 貸方合計 15,530,500、借方残高 7,049,000 = 貸方残高 7,049,000 で一致します。
読み取り結果
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 資産総額 | 5,933,500 |
| 現金残高 | 491,000 |
| 現金の純増加額 | 89,000 |
| 当座預金残高 | 3,615,500 |
| 売掛金回収額 | 780,000 |
| 売掛金残高 | 795,000 |
| 買掛金残高 | 466,000 |
| 商品仕入高 | 610,000 |
| 収益総額 | 1,385,000 |
| 当月の損益 | 557,500 |
簿記初級で学ぶのは、会社のお金の動きを記録する共通言語です。ここから先、記帳を自動化したり、月次の数字を経営判断に使ったりする段階では、専門家の視点が効いてきます。
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