日商簿記2級 完全合格テキスト[2026年度版]

2026年度版全34章・完全網羅演習650問収録図解・表 286点超無料公開

日商簿記2級 完全合格テキスト

商業簿記+工業簿記/図解と演習で「確実に70点」

本書は、日本商工会議所が公表する2022年度適用の出題区分表(2026年度試験に適用)の全論点を、図解・比較表・T字勘定・ボックス図で可視化し、論点ごとの例題と章末の確認問題、本試験レベルの「合格演習」、頻出仕訳を鍛える「仕訳トレーニング150」、そして本試験形式の模擬試験4回分までを1ページに収めた独学専用テキストです。

60商業簿記(第1〜3問)
40工業簿記(第4・5問)
90試験時間
70合格ライン(100点満点)
学習進捗
【全34章+直前対策 完結】商業簿記(第0〜16章)・工業簿記(第17〜29章)の全論点、本試験レベルの「合格演習」、頻出仕訳トレーニング150、本試験形式の模擬試験 全4回(第30〜33章)を公開しています。すべての問題(合計650問)に折りたたみ式の解答・解説つき。学習チェックはお使いの端末に保存されます。
最終更新:2026年8月22日/対応:2026年度試験(2021年度改定・2022年度適用の出題区分表)
簿記がはじめての方・3級が未受験の方は、まず日商簿記3級 完全合格テキスト[2026年度版]からどうぞ。全30章・演習619問、統一試験とネット試験(CBT)の両方に対応した無料テキストです。
簿記そのものが初めての方は、入門級から始めるのが確実です。日商簿記初級 完全合格テキスト[2026年度版](全21章・演習741問)と、日商原価計算初級 完全合格テキスト[2026年度版](全13章・演習429問)も無料で公開しています。どちらもネット試験(CBT)方式・40分・70点以上で合格の入門級です。
年代・立場別あなたに合った簿記2級合格までの進め方

学習時間は目安です。大切なのは合計時間ではなく「小さく毎日つづく設計」にすること。下のプランを叩き台に、自分の生活に合わせて調整してください。

高校生・大学生
週8〜10時間 × 4〜6か月

就活市場で明確に評価が変わる級。3級合格から間を空けず、商業簿記(第1〜16章)→工業簿記(第17〜29章)の順で。工業簿記は暗記ではなく図(ボックス図)で解く科目です。図を自分の手で書き写すことが最強の勉強法です。

このページの使い方配点は商業60点・工業40点。工業簿記を得点源にできると合格が一気に近づきます。

社会人(20〜30代)
週6〜8時間 × 5〜8か月

経理の実務言語がそろう級で、求人票の「簿記2級以上」の壁を越えます。250〜350時間が目安。平日2時間の確保が難しければ、朝30分+昼15分+夜45分の分割が現実的です。連結・税効果は最後に回し、まず工業簿記を仕上げるのが定石です。

このページの使い方模擬試験4回分は「90分を計って第1問→第4問→第5問→第2問→第3問の順」で。時間配分も実力のうちです。

経理・会計事務所で働く方
週5〜7時間 × 4〜6か月

日々の仕訳が「なぜそうなるか」でつながり、決算整理・申告資料の理解が変わります。実務で触れない工業簿記・連結を重点的に。第30〜32章の模擬試験で本試験の網羅性を確認してください。

このページの使い方実務経験がある方は例題を飛ばし、章末の確認問題→合格演習の順で「解ける章」を先に潰すと効率的です。

40代からの学び直し・経営者
週4〜6時間 × 6〜10か月

自社の製造原価・損益分岐点・キャッシュの流れを自分の目で確かめられるようになります。焦らず長期戦の設計を。1周目は完璧を目指さず全章を通し、2周目から演習中心に切り替えるのが挫折しない進め方です。

このページの使い方進捗バーが「積み上げ」を見える化します。週1回、先週の自分より進んでいれば十分です。

第0章合格戦略 ― 試験の正体を知る

図0-A 試験の配点構成 ― 工業簿記40点が得点源
100点満点・70点で合格(大問5つ) 第1問 仕訳20点 第2問連結ほか 20点 第3問決算 20点 商業簿記 60点 第4問 費目別・部門別・総合原価計算など28点 第5問 標準原価・CVP12点 工業簿記 40点 戦略:第1問(20点)+工業簿記(40点)で60点を固め、第2・3問で10点以上を拾えば合格
図0-B 合格までの学習ロードマップ(標準3〜4か月)
STEP 1(1〜1.5か月)商業簿記を一巡第1〜16章+例題 STEP 2(1か月)工業簿記を一巡第17〜29章+例題 STEP 3(2〜3週間)合格演習+仕訳100弱点章を往復 STEP 4(1〜2週間)模試3回+直前チェック時間配分の練習 開始本試験へ

簿記2級は「全部わかった人」が受かる試験ではありません。100点満点中70点を取った人が受かる試験です。この章では、何を・どの順で・どこまでやれば70点に届くのかを最初に固定します。ここを読まずに仕訳から始めると、必ず途中で迷子になります。

0-1 試験の全体像

項目内容
試験時間90分(3級は60分、1級は180分)
満点・合格基準100点満点、70点以上で合格(絶対評価。他人の出来に左右されない)
出題科目商業簿記(第1問〜第3問/60点)+工業簿記(第4問・第5問/40点)
受験資格なし。3級を持っていなくても受験できる
実施方式統一試験(ペーパー・例年6月/11月/2月の年3回)と
ネット試験(CBT・テストセンターで随時。統一試験の前後は休止期間あり)
電卓持ち込み可(関数電卓・印字機能付き・音の出るものは不可)
合格発表ネット試験は終了直後に画面で即時判定。統一試験は後日
POINT 統一試験とネット試験、どちらを受けるべきか 出題範囲・合格基準・資格としての価値はまったく同じです。違いは「受けやすさ」だけ。独学なら、まずネット試験を予約してしまうのが最強の戦略です。日付が決まると学習が終わります(人は締切がないと終わらせません)。落ちても数日後にまた受けられるので、1回目を「本気の模擬試験」として使えます。
注意 ネット試験特有の3つの罠
  1. 下書用紙はA4が2枚だけ(配布・回収)。ボックス図や勘定連絡図を大きく書く癖のある人は、必ず「A4・2枚に収まる下書き」で練習しておくこと。
  2. 金額はテンキーで入力、勘定科目はプルダウン選択。手書きなら通る「売掛金」の略字が使えない代わりに、プルダウンの選択肢が答えのヒントになる(=統一試験よりやや易しく感じる場面がある)。
  3. 画面上でしか問題が読めない。第3問のような長い資料は上下スクロールが必要。問題文に線を引けないので、下書用紙に「資料番号→処理」をメモする習慣をつける。

0-2 大問別の配点と「解く順番」

大問科目配点出題内容目標時間目標点
第1問商簿20点仕訳問題 5題(各4点)15分16点
第2問商簿20点個別論点(連結会計、株主資本等変動計算書、有価証券、固定資産、銀行勘定調整表、商品売買、外貨建など)20分8点
第3問商簿20点決算問題(財務諸表作成、精算表、決算整理後残高試算表、本支店会計)25分12点
第4問(1)工簿12点費目別計算の仕訳 3題(各4点)8分12点
第4問(2)工簿16点個別原価計算・総合原価計算・部門別計算・製造原価報告書など12分14点
第5問工簿12点標準原価計算の差異分析、直接原価計算・CVP分析10分12点
合計100点(見直し10分)90分74点
合格者の解答順序(=点の取りやすい順)
第1問
仕訳20点
第4問
工簿28点
第5問
工簿12点
第2問
個別20点
第3問
決算20点

問題番号順に解いてはいけません。第2問・第3問は「時間を吸い込むブラックホール」で、ここで詰まると満点が取れるはずの工業簿記40点に手が回らず不合格になります。工業簿記40点を先に確保する——これが2級の鉄則です。

合格ライン設計 「工簿40+第1問16=56点」を土台にする 工業簿記は範囲が狭く、パターンが固定されており、満点を取りやすい領域です。ここで40点、第1問の仕訳で16点(5問中4問正解)を積むと56点。残りは第2問・第3問の40点のうち14点=35%だけ取れば合格です。第3問の決算問題は「配点箇所を拾う」だけで十分。全部埋める必要はありません。

0-3 部分点の拾い方と「捨てる勇気」

拾える部分点の場所

  • 第3問(財務諸表・精算表):配点は3点×数か所+2点×数か所のように散らばっています。現金預金・売掛金・買掛金・資本金など「動かない項目」は資料を写すだけで得点になるので、必ず先に埋めます。
  • 第2問(連結など):連結精算表の「単純合算するだけの行」は無条件で正解できます。難所の非支配株主持分や利益剰余金を飛ばしても、売上高・売上原価・のれん償却などは取れます。
  • 当期純利益:積み上げの最後にある数値は、途中でどこか間違えると連鎖的に外れます。当期純利益から先に狙うのは最悪手。最後に時間が余ったら計算する程度で構いません。

捨ててよい論点の判断基準

状況判断
第2問が「連結第2年度+成果連結フルセット」資本連結の開始仕訳だけ作り、成果連結(未実現利益)は捨ててOK
第3問で税効果会計が絡み、法人税等調整額が読めない法人税等・繰延税金資産だけ空欄にして他を全部埋める
問題を読んで90秒考えても手が動かない即座に次へ。戻る時間は最後に確保してある

0-4 学習ロードマップ

スタート地点標準学習時間推奨ペース
3級合格済み200〜250時間1日2時間×3.5か月/1日3時間×2.5か月
簿記まったくの初学者350〜400時間先に3級範囲(本書 第1章)を2週間で通す
8週間・完全独学スケジュール(1日3時間想定)
やること到達目標
1週第1章〜第4章(土台・商品売買・現金預金・手形)第1問の仕訳が半分解ける
2週第5章〜第9章(固定資産・リース・無形固定資産・有価証券・引当金)第1問の主力論点を制圧
3週工業簿記に着手 第18章〜第22章(費目別・製造間接費・部門別)勘定連絡図が書ける
4週第23章〜第26章(個別・総合・標準・直接原価計算)第4問・第5問で30点
5週第10章〜第14章(外貨・株式会社会計・税効果・収益認識・決算)第3問の全体像がつかめる
6週第15章〜第17章(本支店・伝票・連結会計連結の開始仕訳が書ける
7週模擬試験①②を時間を計って実施 → 間違えた論点だけ本文に戻る60点前後
8週模擬試験③、第1問仕訳の総ざらい、工業簿記の反復75点前後で安定
独学で必ず守る3つのルール
  1. 読むな、手を動かせ。 簿記は「わかる」と「できる」の距離が異常に遠い科目です。例題は必ず紙に仕訳を書いてから解答を開いてください。読んだだけの論点は本番で1問も解けません。
  2. 工業簿記を後回しにするな。 3週目には必ず着手します。工簿は「わかれば満点、わからなければゼロ」の分野で、直前に詰め込むと最も損をします。
  3. 間違いノートは作らない。代わりに「解き直し」をする。 ノートを綺麗に作る時間があったら、同じ問題を3回解いてください。2級は理解より再現速度の試験です。

0-5 本書の使い方(アイコン一覧)

POINTその論点の核心。ここだけは絶対に覚える。
注意本試験で受験生が実際に落とすポイント、ひっかけ。
暗記覚え方・語呂・機械的に処理するための手順。
得点戦略本試験での時間配分・部分点の取り方。
深掘り理由・背景。急ぐ人は飛ばしてよい。

例題・確認問題は難易度を3段階で示しています。基本=必ず取る/標準=合格者は取る/応用=取れれば上位。解答は必ず自分で書いてから開いてください。

0-6 【重要】2027年度からの試験範囲の大改定について

2026年度中に受験するなら、本書の内容がそのまま試験範囲です

日本商工会議所は2025年12月25日付で、2026年度中に施行する試験には2021年度に改定した「2022年度適用の出題区分表」を引き続き適用すると公表しています。つまり2026年度(2026年4月〜2027年3月)の試験範囲に変更はありません

一方、2027年度以降に適用される出題区分表の暫定版が同時に公表されており、手形・小切手の実務廃止に伴う出題見直しやリース会計基準の改定反映、1級・3級との範囲の入れ替えなど、大きな改定が予定されています。受験を2027年度以降にずらすと、学び直しが必要になります。2級を取るなら2026年度中の受験を強くおすすめします。

なぜ手形が試験から消えるのか 全国銀行協会は、紙の約束手形と小切手を電子的な決済手段(電子記録債権など)へ移行させる方針を進めており、実務上の紙の手形は役割を終えつつあります。簿記検定は「実務で使われている会計処理」を出題する試験なので、実務から消えた論点は範囲から外れていきます。ただし2026年度の試験では手形は依然として重要論点です。本書の第4章はしっかり学習してください。

第1章2級の土台 ― 簿記一巡と仕訳の原理例題・演習 15問

図1-A 簿記一巡 ― 取引から財務諸表までの流れ
取引仕訳帳(仕訳)総勘定元帳(転記)試算表(検証)決算整理(修正)帳簿の締切財務諸表P/L・B/S 2級の主戦場は「決算整理」と「財務諸表の作成」。3級の一巡が土台になる

2級の学習でつまずく人の9割は、新しい論点が難しいのではなく「その仕訳が簿記一巡のどこにいるのか」を見失っているだけです。この章で全体地図を頭に入れてから個別論点へ進むと、以降の理解速度がまったく変わります。3級合格者も必ず目を通してください。

1-1 簿記一巡 ― 1年間の流れを1枚で

図1-1 簿記一巡の手続き(会計期間1年)
期首開始記入
前期B/Sの繰越
期中取引→仕訳
→総勘定元帳へ転記
決算予備試算表の作成
(決算整理前T/B)
決算本手続決算整理仕訳
→精算表
決算帳簿の締切
損益振替・資本振替
報告財務諸表
P/L・B/S・S/S
POINT 試験の大問はこの流れのどこを聞いているか
  • 第1問(仕訳)=「期中取引」+「決算整理」の入口。1取引1仕訳の世界。
  • 第2問(個別問題)=「総勘定元帳」「勘定記入」の世界。仕訳を勘定に転記できるかを問う。
  • 第3問(決算)=「決算整理〜財務諸表」の世界。前T/B+整理仕訳=後T/B=F/S、という一本道。

1-2 5つの要素とホームポジション

簿記のすべての勘定科目は、必ず次の5要素のどれかに属します。そして各要素には「増えたときに書く側(=ホームポジション)」が決まっています。これさえ体に入れば、知らない勘定科目が出てきても仕訳が組めます。

図1-2 5要素の位置と増減のルール
貸借対照表(B/S)= 期末時点の財産
借方(左)貸方(右)
資産
現金・売掛金・建物・有価証券…
負債
買掛金・借入金・引当金…
  純資産
資本金・繰越利益剰余金…
損益計算書(P/L)= 1年間のもうけ
借方(左)貸方(右)
費用
仕入・給料・減価償却費…
収益
売上・受取利息・有価証券利息…
当期純利益
(差額で計算)
 

左に居場所がある要素(資産・費用)は増えたら借方、右に居場所がある要素(負債・純資産・収益)は増えたら貸方。減ったら反対側に書く。ルールはこれだけです。

要素ホーム増加減少意味2級で新しく出る代表例
資産借方借方貸方会社が持っているプラスの財産電子記録債権、リース資産、ソフトウェア、繰延税金資産、契約資産、のれん
負債貸方貸方借方将来支払う義務電子記録債務、リース債務、退職給付引当金、繰延税金負債、契約負債、返金負債
純資産貸方貸方借方資産-負債=株主の取り分資本準備金、利益準備金、その他資本剰余金、非支配株主持分、その他有価証券評価差額金
費用借方借方貸方もうけを生むために使ったもの手形売却損、棚卸減耗損、商品評価損、支払リース料、研究開発費、支払手数料
収益貸方貸方借方もうけの源泉有価証券利息、有価証券評価益、償却債権取立益、負ののれん発生益
暗記 迷ったら「現金でチェック」 仕訳の方向がわからなくなったら、現金がどう動くかを先に書くのが最速です。現金は資産なので、入ってきたら借方・出ていったら貸方。片側が決まれば、もう片側は自動的に決まります。
例:「手数料を現金で支払った」→ 現金が減る=貸方に現金 → 相手は借方 → 支払手数料。

1-3 仕訳の作り方 ― 5ステップ

  1. 取引を2つに割る。「何が増えて/減ったか」を必ず2つ以上見つける。
  2. それぞれが5要素のどれかを判定する。(資産/負債/純資産/費用/収益)
  3. 増減とホームポジションから、左右を決める。
  4. 金額を入れる。借方合計=貸方合計を必ず確認。
  5. 勘定科目名が問題文・答案用紙の指定どおりか確認する。(本試験は指定科目以外は不正解)
注意 本試験で最も多い「もったいない失点」
  • 勘定科目の指定違反:「支払手数料」と書くべきところを「手数料」と書く、勘定科目群にない科目を使う。意味が合っていても0点です。
  • 同じ勘定科目を同じ側で2回使う:統一試験・ネット試験とも「各勘定科目は1回ずつ」が原則。同じ科目が2つ出たら合算して1行にまとめる
  • 貸借不一致:書き終えたら必ず合計を確認。ここは1秒で防げる失点です。

1-4 2級で使う主要勘定科目マップ

いま全部覚える必要はありません。「この科目はどの要素か」だけを眺めて、各章に入ったときに戻ってきてください。

分類勘定科目
流動資産現金/当座預金/普通預金/受取手形/売掛金/クレジット売掛金電子記録債権契約資産/売買目的有価証券/繰越商品/貯蔵品/前払費用/未収収益/未収還付法人税等/仮払金/仮払消費税/仮払法人税等/立替金/不渡手形営業外受取手形
固定資産建物/備品/車両運搬具/機械装置/土地/建設仮勘定/リース資産/減価償却累計額(評価勘定・貸方)/のれん特許権商標権ソフトウェアソフトウェア仮勘定/満期保有目的債券/子会社株式/関連会社株式/その他有価証券/長期貸付金/差入保証金繰延税金資産長期前払費用
流動負債支払手形/買掛金/電子記録債務/短期借入金/当座借越/未払金/未払費用/前受収益/契約負債返金負債/預り金/仮受金/仮受消費税/未払法人税等未払配当金営業外支払手形賞与引当金修繕引当金商品保証引当金
固定負債長期借入金/リース債務退職給付引当金繰延税金負債長期未払金
純資産資本金/資本準備金その他資本剰余金利益準備金新築積立金別途積立金/繰越利益剰余金/その他有価証券評価差額金非支配株主持分(連結)
収益売上/役務収益/受取手数料/受取利息/有価証券利息/受取配当金/有価証券評価益有価証券売却益/固定資産売却益/償却債権取立益為替差益負ののれん発生益/貸倒引当金戻入
費用仕入/売上原価/役務原価/給料/法定福利費/退職給付費用賞与引当金繰入/減価償却費/のれん償却ソフトウェア償却研究開発費/支払手数料/支払リース料/貸倒引当金繰入/貸倒損失/棚卸減耗損商品評価損手形売却損債権売却損電子記録債権売却損創立費開業費株式交付費為替差損/固定資産売却損/固定資産除却損火災損失法人税、住民税及び事業税法人税等調整額

太字が2級で新たに登場する科目です。数は多く見えますが、章ごとに10個ずつ出てくるだけなので恐れる必要はありません。

1-5 決算整理の全体像 ― 第3問の設計図

第3問は毎回「決算整理事項が8〜12個並ぶ」形式です。出題される整理事項の種類はほぼ固定なので、この一覧を先に頭に入れておくと、本試験で「初見の項目」に見えなくなります。

決算整理事項典型的な仕訳の骨格本書
1現金過不足の整理雑損/雑益に振り替える3章
2当座借越の振替当座預金 / 当座借越(短期借入金)3章
3売上原価の算定仕入/繰越商品、繰越商品/仕入2章
4棚卸減耗損・商品評価損棚卸減耗損・商品評価損 / 繰越商品2章
5貸倒引当金の設定(差額補充法)貸倒引当金繰入 / 貸倒引当金9章
6有価証券の評価替え売買目的=評価損益、その他=評価差額金、満期保有=償却原価法8章
7減価償却(定額法・定率法・生産高比例法)減価償却費 / 減価償却累計額5章
8無形固定資産の償却のれん償却・ソフトウェア償却 / のれん・ソフトウェア(直接控除)7章
9引当金の設定(賞与・退職給付・修繕・商品保証)○○引当金繰入 / ○○引当金9章
10費用・収益の見越し/繰延べ前払費用・未払費用・前受収益・未収収益14章
11外貨建資産負債の換算替え為替差損益 / 売掛金 など10章
12消費税の精算(税抜方式)仮受消費税 / 仮払消費税・未払消費税12章
13法人税等の計上法人税、住民税及び事業税 / 仮払法人税等・未払法人税等12章
14税効果会計繰延税金資産 / 法人税等調整額12章
得点戦略 第3問は「上から順」ではなく「独立して解ける順」 決算整理事項は互いに独立しているものがほとんどです。ただし①売上原価 ②貸倒引当金 ③減価償却 ④経過勘定の4つは毎回必ず出るうえ配点も厚い。まずこの4つだけを処理して答案用紙を埋め、残りは時間と相談——これが第3問の正しい戦い方です。税効果と法人税等は最後で構いません。

1-6 確認問題(仕訳10問)

確認問題1-1 基本仕訳の総点検基本

次の各取引について仕訳しなさい。

  1. 商品¥350,000を仕入れ、代金のうち¥100,000は現金で支払い、残額は掛けとした。
  2. 得意先に商品¥480,000を売り上げ、代金は同社振出の約束手形で受け取った。
  3. 従業員の給料¥600,000について、源泉所得税¥42,000と社会保険料の従業員負担分¥58,000を差し引き、残額を当座預金から振り込んだ。
  4. 上記の源泉所得税¥42,000を現金で納付した。
  5. 建物の修繕を行い、代金¥800,000を小切手を振り出して支払った。うち¥300,000は建物の価値を高める資本的支出と認められた。
  6. 決算にあたり、当期に発生した利息のうち未収分¥15,000を計上した。
  7. 売掛金¥200,000が貸し倒れた。なお、貸倒引当金の残高は¥150,000である。
  8. 前期に貸倒処理した売掛金¥80,000を現金で回収した。
  9. 事務用の消耗品¥45,000を購入し、代金は月末払いとした(購入時に費用処理する方法による)。
  10. 決算において、上記消耗品のうち¥12,000が未使用であった。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入350,000現 金
買掛金
100,000
250,000
2受取手形480,000売 上480,000
3給 料600,000所得税預り金
社会保険料預り金
当座預金
42,000
58,000
500,000
4所得税預り金42,000現 金42,000
5建 物
修繕費
300,000
500,000
当座預金800,000
6未収利息(未収収益)15,000受取利息15,000
7貸倒引当金
貸倒損失
150,000
50,000
売掛金200,000
8現 金80,000償却債権取立益80,000
9消耗品費45,000未払金45,000
10貯蔵品12,000消耗品費12,000
つまずきポイント
  • 3:源泉所得税と社会保険料は会社の費用ではなく「あとで納付するために預かっているだけ」=負債(預り金)。給料の総額を費用にするのがポイントです。
  • 5:修繕のうち価値を高める・耐用年数を延ばす部分は資本的支出=資産(建物)、現状維持部分は収益的支出=費用(修繕費)。第1問頻出です。
  • 7:貸倒引当金を先に取り崩し、足りない分だけ貸倒損失。逆にすると不正解。
  • 8:前期以前に貸倒処理した債権の回収は、売掛金を戻すのではなく償却債権取立益(収益)で受けます。
  • 9・10:消耗品を購入時に費用処理した場合、決算で未使用分を貯蔵品(資産)に振り替える。切手・収入印紙も同じ扱いです。
確認問題1-2 勘定の流れを追う標準

当期の受取家賃に関する資料は次のとおりである。損益計算書に計上される受取家賃の金額と、貸借対照表に計上される前受家賃の金額を答えなさい。会計期間はX5年4月1日〜X6年3月31日である。

  • 期首の前受家賃 ¥120,000(前期末に4か月分を前受けしていた)
  • 当期の入金額 ¥900,000
  • 期末において、翌期分3か月分¥180,000を前受けしている
解答・解説を見る

受取家賃(P/L)= ¥840,000 / 前受家賃(B/S)= ¥180,000

考え方 ― T字勘定に落とす
前受家賃(負債)
受取家賃(再振替)120,000
次期繰越180,000
前期繰越120,000
受取家賃(繰延べ)180,000
受取家賃(収益)
前受家賃(繰延べ)180,000
損益(P/L)840,000
前受家賃(再振替)120,000
現金預金(入金)900,000

期首の前受分¥120,000は当期の収益になり(再振替仕訳)、期末の前受分¥180,000は翌期の収益なので当期から除きます。

120,000 + 900,000 - 180,000 = 840,000

暗記 経過勘定の公式 収益:P/L計上額 = 期首前受 + 当期入金 - 期末前受(未収がある場合は「+期末未収 -期首未収」)
費用:P/L計上額 = 期首前払 + 当期支払 - 期末前払(未払がある場合は「+期末未払 -期首未払」)

合格演習 — 本試験レベルの追加9問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習1-1 仕訳の8要素基本

次の取引を仕訳しなさい。北星商事は、備品¥300,000を購入し、代金のうち¥100,000は現金で支払い、残額は月末払いとした。

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解答(仕訳)

借方貸方
備品¥300,000現金¥100,000
未払金¥200,000
合計¥300,000合計¥300,000

商品以外の物品の後払いは「買掛金」ではなく未払金。資産の増加(備品)=借方、資産の減少(現金)と負債の増加(未払金)=貸方という8要素の組合せを確認しましょう。

合格演習1-2 訂正仕訳標準

円山物産は、得意先から売掛金¥250,000を現金で回収した際、誤って借方・貸方を逆に仕訳していた。必要な訂正仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
現金¥500,000売掛金¥500,000

誤った仕訳(売掛金/現金 250,000)を取り消す逆仕訳+正しい仕訳を合算すると、金額が2倍になります。訂正仕訳の定番パターンです。

合格演習1-3 再振替仕訳基本

前期末に計上した未払家賃¥60,000について、当期首に行う再振替仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
未払家賃¥60,000支払家賃¥60,000

経過勘定は翌期首に決算時と逆の仕訳で振り戻します。期中の支払額をそのまま費用計上できるようにするための準備です。

合格演習1-4 決算振替仕訳標準

決算整理後の収益合計は¥8,400,000、費用合計は¥7,650,000であった。損益勘定から繰越利益剰余金勘定への振替仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
損益¥750,000繰越利益剰余金¥750,000

収益>費用なので当期純利益¥750,000。株式会社では損益勘定の残高を繰越利益剰余金へ振り替えます(個人商店の「資本金」との違いに注意)。

合格演習1-5 貸借対照表等式基本

期首の資産総額は¥5,200,000、負債総額は¥3,100,000であった。期末の資産総額が¥6,000,000、負債総額が¥3,400,000のとき、当期純利益はいくらか。なお、期中の増資・配当はない。

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解答

¥500,000

期首資本¥2,100,000 → 期末資本¥2,600,000。資本の増加額=当期純利益です(財産法)。損益法(収益−費用)との関係もセットで覚えましょう。

合格演習1-6 経過勘定の総合標準

決算(3月31日)に必要な仕訳を示しなさい。当期の8月1日に、向こう1年分の保険料¥120,000を現金で支払い、全額を費用に計上している。

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解答(仕訳)

借方貸方
前払保険料¥40,000保険料¥40,000

翌期分は4月〜7月の4か月分=120,000×4/12=¥40,000。「支払時に全額費用計上→決算で未経過分を資産へ」の流れです。月数の数え間違いに注意。

合格演習1-7 当座預金の修正標準

手稲商会は、買掛金支払いのために小切手¥180,000を作成して仕訳も行ったが、決算日現在、仕入先へ未渡しのまま金庫に保管されていた。必要な仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
当座預金¥180,000買掛金¥180,000

未渡小切手は当座預金の減少がまだ生じていないため、仕訳を戻します。相手科目は元の取引の内容(費用の支払いなら未払金)で判断します。

合格演習1-8 試算表の役割基本

合計試算表・残高試算表・合計残高試算表のうち、「貸借合計の一致によって転記の正確性を検証でき、かつ勘定ごとの残高も読み取れる」ものはどれか。

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解答

合計残高試算表

合計試算表は取引量(合計額)、残高試算表は財政状態・経営成績の概観に強み。両方の情報を併せ持つのが合計残高試算表です。

合格演習1-9 複合仕訳応用

月寒物流は、商品¥400,000を仕入れ、代金のうち¥150,000は小切手を振り出して支払い、残額は掛けとした。この取引の仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
仕入¥400,000当座預金¥150,000
買掛金¥250,000
合計¥400,000合計¥400,000

1つの取引で貸方が2科目になる複合仕訳。小切手の振出しは当座預金の減少です(他人振出小切手の受取り=現金、との対比で覚える)。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習1-X1 訂正仕訳(逆仕訳と正しい仕訳の合成)本試験レベル

商品¥180,000を仕入れ、代金のうち¥50,000は注文時に支払っていた手付金を充当し、残額は掛けとした。ところが、この取引を誤って全額掛け仕入とする仕訳「(借)仕入 180,000(貸)買掛金 180,000」で記帳していたことが判明した。誤った仕訳の逆仕訳と正しい仕訳を合成した訂正仕訳を、1本の仕訳で示しなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
買掛金50,000前払金50,000

手順は、①誤った仕訳の逆仕訳「(借)買掛金 180,000(貸)仕入 180,000」、②正しい仕訳「(借)仕入 180,000(貸)前払金 50,000・買掛金 130,000」、③両者で相殺される仕入¥180,000と買掛金¥130,000を消去、の3ステップです。本試験第1問では「訂正仕訳を1つの仕訳で示すこと」という指示が定番で、相殺後に残った買掛金 50,000/前払金 50,000だけが解答になります。逆仕訳だけ書いて終えたり、前払金を貸方に置いたりする誤りが多いので、必ず3ステップを下書きしてから合成しましょう。

合格演習1-X2 期首の再振替仕訳標準

当社(会計期間は4月1日から3月31日までの1年間)は、前期末の決算整理において次の経過勘定を計上している。当期首(4月1日)に必要な再振替仕訳をそれぞれ示しなさい。

1. 前払費用(保険料の前払分)¥24,000
2. 未収収益(受取利息の未収分)¥9,000
3. 未払費用(給料の未払分)¥36,000
4. 前受収益(受取家賃の前受分)¥60,000

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No借方科目金額貸方科目金額
1保険料24,000前払費用24,000
2受取利息9,000未収収益9,000
3未払費用36,000給料36,000
4前受収益60,000受取家賃60,000

再振替仕訳は、前期末の決算整理仕訳の貸借をそっくり逆にするだけ、という手順を機械的に当てはめます。本試験では第2問の勘定記入で、期首の再振替から始まる総勘定元帳を完成させる形で頻出です。資産(前払費用・未収収益)と負債(未払費用・前受収益)のどちらを借方に戻すかで混乱しやすいので、「計上したときの反対側に書く」とだけ覚えれば迷いません。

合格演習1-X3 当座借越の決算振替標準

決算日(3月31日)現在、当座預金勘定は¥170,000の貸方残高となっている。取引銀行とは借越限度額¥1,000,000の当座借越契約を結んでおり、貸方残高は当座借越勘定に振り替える方法によっている。1. 決算日および 2. 翌期首(4月1日)に必要な仕訳をそれぞれ示しなさい。

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No借方科目金額貸方科目金額
1当座預金170,000当座借越170,000
2当座借越170,000当座預金170,000

当座預金の貸方残高は実質的な銀行からの借入れなので、決算では負債の当座借越(または借入金)へ振り替え、翌期首に逆仕訳で当座預金勘定へ戻すのが手順です。本試験では決算整理仕訳の1つとして問われるほか、貸借対照表の表示科目とセットで出題されます。振替の方向を逆にして当座借越を借方に書いてしまうミスと、翌期首の再振替を忘れて期中の記帳が合わなくなるミスが典型です。

合格演習1-X4 経過勘定4種の決算整理本試験レベル

当社(会計期間は4月1日から3月31日までの1年間)の決算にあたり、次の資料にもとづいて、決算日(3月31日)に必要な決算整理仕訳をそれぞれ示しなさい。

1. 11月1日に、向こう1年分の火災保険料¥144,000を支払い、全額を保険料勘定で処理している。
2. 12月1日に、向こう6か月分の家賃¥180,000を受け取り、全額を受取家賃勘定で処理している。
3. 8月1日に、取引先へ¥600,000を貸付期間1年、年利率3%、利息は元本とともに回収する条件で貸し付けている。
4. 2月1日に、銀行から¥900,000を年利率4%、利息は元本の返済時に支払う条件で借り入れている。

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No借方科目金額貸方科目金額
1前払費用84,000保険料84,000
2受取家賃60,000前受収益60,000
3未収収益12,000受取利息12,000
4支払利息6,000未払費用6,000

手順は、①支払日・受取日から決算日までの経過月数と翌期に属する月数をタイムラインで数え、②月割で金額を計算し、③当期の費用・収益を正しい金額に修正する方向で仕訳します(1は翌期分7か月¥84,000、2は翌期分2か月¥60,000、3は経過8か月¥12,000、4は経過2か月¥6,000)。本試験第3問の決算整理では4種が混ぜて出題され、精算表や損益計算書の金額に直結します。月数の数え間違い(初月の算入もれ)と、前払・前受の貸借の向きの取り違えが最大の失点源なので、必ず線分図を描いて数えましょう。

第2章商品売買と収益認識基準例題・演習 22問

商品売買は第1問(仕訳)・第2問(総合問題)・第3問(決算)のすべてに顔を出す最重要論点です。とくに2022年度から本格出題されている収益認識基準は、3級までの常識が通用しない部分があり、ここを曖昧にしたまま進むと第1問で確実に失点します。丁寧に潰しましょう。

2-1 三分法と売上原価の算定

三分法は「仕入(費用)・売上(収益)・繰越商品(資産)」の3勘定で商品売買を記録する方法です。期中は仕入勘定に全部放り込み、決算で売上原価に作り替える——これが三分法の本質です。

図2-1 売上原価の算定(決算整理)
期首商品棚卸高
(前期の売れ残り)
当期商品仕入高
期末商品棚卸高
(今期の売れ残り)
売上原価P/L
暗記 「しくりくりし」 決算整理仕訳は必ずこの2本セットです。
仕 入 / 繰越商品(期首分を仕入に加算)… し・くり
繰越商品 / 仕 入(期末分を仕入から控除)… くり・し
これで仕入勘定の残高が「売上原価」に変身します。
例題2-1 売上原価の算定基本

期首商品棚卸高¥180,000、当期商品仕入高¥1,420,000、期末商品棚卸高¥210,000であった。決算整理仕訳を示し、売上原価の金額を答えなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
仕 入180,000繰越商品180,000
繰越商品210,000仕 入210,000

売上原価 = 180,000 + 1,420,000 - 210,000 = ¥1,390,000

仕 入(→ 売上原価)
当期仕入高1,420,000
繰越商品(期首)180,000
繰越商品(期末)210,000
損益(売上原価)1,390,000

2-2 売上原価対立法(販売のつど売上原価に振り替える方法)

2級で新たに登場する記帳方法です。商品を売るたびに、その商品の原価を「商品」勘定から「売上原価」勘定に振り替えます。決算整理が不要になるのが最大の特徴です。

三分法

仕入時
仕 入 / 買掛金
販売時
売掛金 / 売 上
決算時
しくりくりしが必要

売上原価対立法

仕入時
商 品 / 買掛金
販売時
売掛金 / 売 上
売上原価 / 商 品(2本)
決算時
仕訳不要

例題2-2 売上原価対立法基本

売上原価対立法により記帳している。次の取引を仕訳しなさい。

  1. 商品¥400,000を掛けで仕入れた。
  2. 原価¥250,000の商品を¥380,000で販売し、代金は掛けとした。
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No借方科目金額貸方科目金額
1商 品400,000買掛金400,000
2売掛金
売上原価
380,000
250,000
売 上
商 品
380,000
250,000
注意販売時の仕訳を1本にまとめてはいけません。「売掛金380,000 / 売上380,000」と「売上原価250,000 / 商品250,000」は別の事実(収益の認識と原価の払出)を記録しています。答案では2行に分けて書きます。

2-3 収益認識基準 ― 2級で問われるのはここだけ

収益認識基準は本来とても大部な基準ですが、2級で出るのは次の4つだけです。まず全体像を押さえます。

図2-2 収益認識の5ステップ(2級では③〜⑤が中心)
  1. 契約を識別する 顧客との契約を特定する
  2. 履行義務を識別する 「何を引き渡す約束か」を分解する(商品Xの引渡し/商品Yの引渡し/据付サービス…)
  3. 取引価格を算定する 値引き・リベートなど変動する部分(変動対価)を除いた金額を取引価格とする
  4. 取引価格を履行義務に配分する 複数の約束があれば独立販売価格の比で按分する
  5. 履行義務の充足時に収益を認識する 商品を引き渡した(=約束を果たした)ときに売上を計上する
POINT 2級の出題ポイントは4つ
  1. 契約資産(代金請求権がまだ確定していない売上)
  2. 契約負債(先にお金を受け取った=旧「前受金」)
  3. 返金負債(売上割戻=リベートの見込額)
  4. 売上諸掛(送料を含めて売上を計上する)

2-4 契約資産と契約負債

■ 契約資産 ― 「引き渡したが、まだ請求できない」

2つの商品を引き渡してはじめて代金を請求できる契約の場合、1つ目を引き渡した時点では法的な債権(売掛金)が発生していません。しかし履行義務は果たしているので売上は計上します。この受け皿が契約資産です。

図2-3 売掛金と契約資産の分かれ道
履行義務を充足商品を引き渡した
→ 売上を計上
請求権が確定している
売掛金
請求権が未確定(残りの引渡し待ち)
契約資産
例題2-3 契約資産標準

当社は札幌商事と、商品A(¥300,000)と商品B(¥500,000)を販売する契約を締結し、本日、商品Aを引き渡した。代金は商品Bを引き渡した後にまとめて請求する契約であり、商品Aの代金についてはまだ顧客との契約から生じた債権となっていない。なお、商品Aの引渡しと商品Bの引渡しは、それぞれ独立した履行義務として識別する。

(1) 商品Aを引き渡したときの仕訳
(2) その後、商品Bを引き渡し、代金¥800,000を請求したときの仕訳

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)契約資産300,000売 上300,000
(2)売掛金800,000売 上
契約資産
500,000
300,000

(2)では、商品Bの売上¥500,000を新たに計上すると同時に、Aのときに立てた契約資産¥300,000を売掛金に振り替えます。「契約資産が売掛金に化ける」イメージです。

注意問題文に「まだ顧客との契約から生じた債権となっていない」という一文があれば、それが契約資産を使えというサインです。逆にこの一文がなければ普通に売掛金を使います。

■ 契約負債 ― 「先にお金をもらった」

商品の引渡し前に代金を受け取った場合、まだ履行義務を果たしていないので売上にはできません。3級では「前受金」で処理しましたが、2級では契約負債という科目も使われます。

注意 前受金と契約負債、どちらを書けばいいのか 収益認識基準ではどちらの科目名も認められています。したがって本試験では、答案用紙の勘定科目欄・与えられた勘定科目群を必ず確認し、そこにある方を使ってください。これは知識ではなく「確認作業」の問題です。
例題2-4 契約負債基本

(1) 商品¥600,000の注文を受け、手付金として¥150,000を現金で受け取った(契約負債を用いる)。
(2) 上記の商品を引き渡し、残額は掛けとした。

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No借方科目金額貸方科目金額
(1)現 金150,000契約負債150,000
(2)契約負債
売掛金
150,000
450,000
売 上600,000

引渡し時に売上を総額¥600,000で計上し、受け取り済みの契約負債を取り崩します。売上を¥450,000としないよう注意。

2-5 変動対価と返金負債(売上割戻=リベート)

「一定数量以上買ってくれたら、あとで代金の一部を返します」という取決め(リベート、売上割戻)がある場合、返す見込みの金額は最初から売上に含めてはいけません。これが変動対価の考え方です。

図2-4 リベート付き販売の考え方
請求額(債権)その内訳
売掛金
100,000
売上(収益)
90,000
自社に残る分
返金負債
10,000
あとで返す分
例題2-5 返金負債標準

当社は函館商店へ商品200個を1個あたり¥500で掛け販売した。函館商店との間には、当期中に商品を合計300個以上購入した場合、この期間の販売額の10%をリベートとして支払う取決めがあり、この条件が達成される可能性は高いと判断した。

(1) 販売時の仕訳
(2) その後、条件が達成され、リベート¥10,000を現金で支払ったときの仕訳

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No借方科目金額貸方科目金額
(1)売掛金100,000売 上
返金負債
90,000
10,000
(2)返金負債10,000現 金10,000

200個×@500=¥100,000(売掛金)。うち10%の¥10,000は返す見込みなので返金負債、残り¥90,000が売上です。

POINT 支払方法によって貸方が変わる
  • 問題文に「売掛金から直接減額する」→ 返金負債 / 売掛金
  • 問題文に「現金で支払った」→ 返金負債 / 現金
  • 支払時期の指示がなく、まだ支払っていない → 返金負債 / 未払金
注意売上割戻に使うのは「契約負債」ではなく「返金負債」です。両方とも負債ですが、契約負債は「まだ商品を渡していない」、返金負債は「商品は渡したがお金を返す」と、意味がまったく違います。ここは頻出のひっかけです。

2-6 売上諸掛 ― 「当社負担・先方負担」はもう考えない

ここが変わった 2021年度以前は「発送費が先方負担なら売掛金に含める/当社負担なら発送費」と区別していました。収益認識基準の適用後は、問題文の指示どおりに、送料を含めた合計額で売上を計上する形に変わっています。古いテキストや過去問で覚えた人ほど間違えます。
例題2-6 売上諸掛基本

商品¥300,000を旭川商店へ販売し、送料¥5,000を加えた合計額を掛けとした。また同時に配送業者へ商品を引き渡し、送料¥5,000は後日支払うこととした。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
売掛金305,000売 上305,000
発送費5,000未払金5,000
  • 「送料を加えた合計額を掛けとした」→ 売上も¥305,000(送料込み)。
  • 送料の未払いは仕入先ではなく配送業者に対するものなので「買掛金」ではなく未払金。ここは毎回間違える人がいます。

2-7 返品・値引と割引

用語意味処理(売り手側)
返品
(戻り)
売った商品が返ってくる売上を取り消す 売上 / 売掛金
値引品質不良などで代金を安くする売上を減額する 売上 / 売掛金
割戻
(リベート)
大量購入への割戻し変動対価 → 返金負債(2-5参照)
割引代金を early に支払ってくれたお礼(利息の性質)売上割引は2級の出題範囲から削除。買い手側の仕入割引は範囲内で、営業外収益として処理する
例題2-7 仕入割引標準

買掛金¥400,000を支払期日前に小切手を振り出して支払い、契約により2%の割引を受けた。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
買掛金400,000当座預金
仕入割引
392,000
8,000

400,000×2%=¥8,000。仕入を減らすのではなく「仕入割引」という収益で受けます(実質的に早期支払いによる利息の受取り)。P/Lでは営業外収益に表示されます。

暗記 4つの「もどし・ねびき・わりもどし・わりびき」を1行で 返品・値引=売上/仕入を直接減らす | 割戻=返金負債(売り手) | 割引=利息の性質、仕入割引は営業外収益(売上割引は範囲外)

2-8 クレジット売掛金

クレジットカード払いで販売した場合、代金はお客ではなく信販会社から入ってきます。この債権は通常の売掛金と区別してクレジット売掛金で処理し、信販会社に支払う手数料は支払手数料(販売費及び一般管理費)とします。

例題2-8 クレジット売掛金基本

(1) 商品¥250,000をクレジット払いの条件で販売した。信販会社への手数料(販売代金の4%)は販売時に計上する。
(2) 後日、手数料を差し引いた残額が当座預金口座に入金された。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)クレジット売掛金
支払手数料
240,000
10,000
売 上250,000
(2)当座預金240,000クレジット売掛金240,000

250,000×4%=¥10,000。売上は手数料を引く前の¥250,000、クレジット売掛金は手数料控除後の¥240,000です。

注意 手数料の計上タイミング 問題文に「入金時に計上する」と指示がある場合は、販売時は「クレジット売掛金 250,000 / 売上 250,000」とし、入金時に「当座預金240,000・支払手数料10,000 / クレジット売掛金250,000」とします。指示を読み飛ばすと満点を落とします。

2-9 期末商品の評価 ― 棚卸減耗損と商品評価損

帳簿上は100個あるはずなのに実際に数えたら95個しかない(=数量の減少)、あるいは商品が古くなって売値が原価を下回った(=単価の下落)。この2つを決算で反映させるのが本論点です。ボックス図を書けば絶対に間違えません。

図2-5 棚卸減耗損・商品評価損のボックス図
◀ 単価数量 ▶
商品評価損
(原価-正味売却価額)× 実地数量
棚卸減耗損
原価 ×
減耗数量
B/S 商品(貸借対照表価額)
正味売却価額 × 実地数量
← 実地棚卸数量 →← 減耗 →

縦軸は単価(上が原価、下が正味売却価額)、横軸は数量(左が実地、右が帳簿との差=減耗)。棚卸減耗は「原価」で計算し、右端の縦いっぱいを取る——ここが最頻出の間違いどころです。

例題2-9 棚卸減耗損・商品評価損標準

決算にあたり、商品の状況は次のとおりであった。期首商品棚卸高は¥48,000である。決算整理仕訳を示し、貸借対照表の商品の金額を答えなさい。なお、棚卸減耗損と商品評価損はともに売上原価に算入する。

  • 帳簿棚卸数量 100個  原価 @¥600
  • 実地棚卸数量  95個  正味売却価額 @¥560
解答・解説を見る
Step1 金額の計算
  • 期末商品棚卸高(帳簿)=100個 × @600 = ¥60,000
  • 棚卸減耗損 =(100個 - 95個)× @600 = ¥3,000
  • 商品評価損 =(@600 - @560)× 95個 = ¥3,800
  • B/S 商品 = 95個 × @560 = ¥53,200 (検算:60,000 - 3,000 - 3,800 = 53,200 ✔)
Step2 決算整理仕訳
借方科目金額貸方科目金額
仕 入48,000繰越商品48,000
繰越商品60,000仕 入60,000
棚卸減耗損3,000繰越商品3,000
商品評価損3,800繰越商品3,800
仕 入6,800棚卸減耗損
商品評価損
3,000
3,800

最後の1本は「売上原価に算入する」という指示があるときだけ必要です。指示がなければ書きません。

Step3 繰越商品勘定の動き
繰越商品
前期繰越48,000
仕入(期末計上)60,000
仕入(期首振替)48,000
棚卸減耗損3,000
商品評価損3,800
次期繰越53,200
得点戦略 損益計算書での表示区分
項目表示区分
商品評価損原則として売上原価の内訳として表示
棚卸減耗損原価性がある(毎期経常的に発生する程度)→ 売上原価または販売費及び一般管理費
原価性がない(異常な量)→ 営業外費用または特別損失

本試験では必ず問題文に指示があります。自分で判断せず、指示の一文を探してください。

2-10 払出単価の計算 ― 先入先出法・移動平均法・総平均法

例題2-10 先入先出法と移動平均法標準

6月の商品Xの受払は次のとおりである。(1)先入先出法、(2)移動平均法それぞれによる月末商品棚卸高と売上原価を求めなさい。

日付摘要数量単価金額
6/1前月繰越10個2002,000
6/8仕 入30個2407,200
6/12売 上25個
6/20仕 入15個2704,050
6/25売 上20個
解答・解説を見る
(1) 先入先出法 ― 古いものから先に出す
  • 6/12 売上25個= 前月繰越10個×200(2,000)+ 6/8仕入15個×240(3,600)= ¥5,600 残:6/8仕入 15個×240=3,600
  • 6/25 売上20個= 6/8仕入15個×240(3,600)+ 6/20仕入5個×270(1,350)= ¥4,950
  • 月末棚卸高=10個×270=¥2,700 / 売上原価=5,600+4,950=¥10,550

検算:2,000+7,200+4,050=13,250 - 2,700 = 10,550 ✔

(2) 移動平均法 ― 仕入のつど平均単価を計算し直す
日付計算残高数量残高金額平均単価
6/1前月繰越102,000200
6/8(2,000+7,200)÷(10+30)409,200230
6/12払出 25個×230=5,750153,450230
6/20(3,450+4,050)÷(15+15)307,500250
6/25払出 20個×250=5,000102,500250

月末棚卸高=¥2,500 / 売上原価=5,750+5,000=¥10,750 (検算:13,250 - 2,500 = 10,750 ✔)

先入先出法と比べると、月末棚卸高は¥2,700→¥2,500、売上原価は¥10,550→¥10,750。値上がり局面では先入先出法のほうが期末在庫が大きく、利益も大きくなります。

POINT どちらの方法でも「合計」は変わらない 期首+仕入の合計¥13,250は同じで、それを「期末在庫」と「売上原価」にどう配分するかだけが違います。価格上昇局面では、先入先出法のほうが期末在庫が大きく(=売上原価が小さく=利益が大きく)なります。
例題2-11 総平均法基本

期首商品20個(@¥150)、当期仕入80個(@¥165)、当期販売70個であった。総平均法による売上原価と期末商品棚卸高を求めなさい。

解答・解説を見る
  • 総平均単価 =(20個×150 + 80個×165)÷(20+80)個 =(3,000+13,200)÷100 = @¥162
  • 売上原価 = 70個 × 162 = ¥11,340
  • 期末商品 = 30個 × 162 = ¥4,860 (検算:16,200-11,340=4,860 ✔)

総平均法は期末に一度だけ平均単価を計算します。期中の払出のたびに計算する移動平均法との違いを押さえてください。

2-11 商品保証 ― 無償保証と有償保証(延長保証)

無償保証(品質保証)

販売価格に含まれている「当然の保証」。将来の修理費用を見積もって引当金を計上する。

商品保証引当金繰入 / 商品保証引当金

有償保証(延長保証)

お客が追加でお金を払って買う「別売りのサービス」。独立した履行義務なので、その分は売上にせず契約負債とする。

現 金 / 売 上
    / 契約負債

例題2-12 有償保証(延長保証)応用

商品を¥320,000で販売し、あわせて2年間の延長保証サービス¥30,000を販売して、合計額を現金で受け取った。延長保証は独立した履行義務として識別する。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
現 金350,000売 上
契約負債
320,000
30,000

延長保証はこれから2年かけて提供するサービスなので、受け取った時点では売上にできません。保証期間の経過に応じて契約負債を取り崩し、売上(役務収益)に振り替えます(例:1年経過時 契約負債15,000 / 売上15,000)。

2-12 サービス業の会計(役務収益・役務原価)

商品ではなく「サービス」を売る会社(学習塾、旅行業、コンサルティングなど)の処理です。サービスを提供し終わった時点で「役務収益」、それに対応する費用を「役務原価」とします。提供前に発生した費用は仕掛品(資産)にプールしておくのがポイントです。

図2-6 サービス業の流れ
①費用の発生給料・旅費など
いったん費用計上
②仕掛品へ振替特定案件のための
費用を資産化
③代金の受取先にもらったら
契約負債
④役務提供の完了役務収益を計上
仕掛品→役務原価
例題2-13 サービス業の一連の処理標準

次の一連の取引を仕訳しなさい。

  1. 研修サービスの提供にあたり、給料¥400,000と旅費交通費¥60,000を現金で支払った。
  2. 上記のうち、給料¥300,000と旅費交通費¥50,000が特定の顧客に対する役務提供のために直接費やされたものであることが判明したので、仕掛品勘定に振り替えた。
  3. 顧客から研修料金¥600,000を現金で受け取った(サービスはまだ提供していない)。
  4. 研修サービスの提供が完了した。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1給 料
旅費交通費
400,000
60,000
現 金460,000
2仕掛品350,000給 料
旅費交通費
300,000
50,000
3現 金600,000契約負債600,000
4契約負債
役務原価
600,000
350,000
役務収益
仕掛品
600,000
350,000
POINT 4の仕訳は必ず2本セット 収益の計上(契約負債→役務収益)と、原価の計上(仕掛品→役務原価)は同時に行います。片方だけ書いて減点される答案が非常に多い論点です。

2-13 確認問題

確認問題2-1 商品売買の仕訳12問標準
  1. 商品¥500,000を仕入れ、代金は掛けとした。なお、引取運賃¥8,000は現金で支払った(三分法)。
  2. 売上原価対立法により、原価¥180,000の商品を¥260,000で販売し、代金は掛けとした。
  3. 商品¥400,000を販売し、送料¥6,000を加えた合計額を掛けとした。同時に配送業者へ引き渡し、送料は後日支払う。
  4. 商品150個を1個あたり¥800で掛け販売した。当期中に合計250個以上購入した場合、販売額の8%をリベートとして支払う取決めがあり、達成の可能性は高い。
  5. 上記4のリベートについて条件が達成され、売掛金から直接減額した。
  6. 商品A(¥200,000)と商品B(¥350,000)を販売する契約を締結し、商品Aを引き渡した。代金は両方の引渡し後にまとめて請求する契約であり、Aの代金はまだ債権となっていない。
  7. 上記6につき、商品Bを引き渡し、代金全額を請求した。
  8. 商品¥180,000をクレジット払いの条件で販売した。手数料(販売代金の3%)は販売時に計上する。
  9. 買掛金¥250,000を期日前に当座預金から支払い、1.2%の割引を受けた。
  10. 商品¥900,000の注文を受け、内金¥200,000を現金で受け取った(契約負債を使用)。
  11. 顧客から役務提供の対価¥450,000を現金で受け取った。サービスは翌月提供する(契約負債を使用)。
  12. 上記11のサービス提供が完了した。対応する原価は仕掛品¥260,000である。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入508,000買掛金
現 金
500,000
8,000
2売掛金
売上原価
260,000
180,000
売 上
商 品
260,000
180,000
3売掛金
発送費
406,000
6,000
売 上
未払金
406,000
6,000
4売掛金120,000売 上
返金負債
110,400
9,600
5返金負債9,600売掛金9,600
6契約資産200,000売 上200,000
7売掛金550,000売 上
契約資産
350,000
200,000
8クレジット売掛金
支払手数料
174,600
5,400
売 上180,000
9買掛金250,000当座預金
仕入割引
247,000
3,000
10現 金200,000契約負債200,000
11現 金450,000契約負債450,000
12契約負債
役務原価
450,000
260,000
役務収益
仕掛品
450,000
260,000
計算の内訳
  • 1:引取運賃(仕入諸掛)は仕入原価に含める。500,000+8,000=508,000。
  • 4:150個×@800=120,000。リベート120,000×8%=9,600 → 売上は120,000-9,600=110,400。
  • 8:180,000×3%=5,400 → クレジット売掛金は180,000-5,400=174,600。
  • 9:250,000×1.2%=3,000 → 支払額247,000、仕入割引3,000(営業外収益)。
確認問題2-2 期末商品の評価(第3問形式)応用

決算整理前残高試算表の繰越商品は¥162,000(=期首商品棚卸高)、仕入は¥2,340,000である。期末商品に関する資料は次のとおり。決算整理仕訳を示し、損益計算書の売上原価および貸借対照表の商品の金額を求めなさい。なお、棚卸減耗損と商品評価損はいずれも売上原価の内訳項目として表示する。

商品帳簿数量実地数量原価正味売却価額
A200個190個@¥400@¥380
B150個150個@¥700@¥720
解答・解説を見る
Step1 商品ごとに計算する
商品帳簿棚卸高棚卸減耗損商品評価損B/S価額
A200×400=80,000(200-190)×400=4,000(400-380)×190=3,800190×380=72,200
B150×700=105,00000150×700=105,000
185,0004,0003,800177,200
最重要の注意商品Bは正味売却価額(@720)が原価(@700)を上回っているので、評価益は計上しません(低価法は「下がったときだけ」)。B/S価額は原価@700のままです。ここを@720で計算すると全滅します。
Step2 決算整理仕訳
借方科目金額貸方科目金額
仕 入162,000繰越商品162,000
繰越商品185,000仕 入185,000
棚卸減耗損
商品評価損
4,000
3,800
繰越商品7,800
仕 入7,800棚卸減耗損
商品評価損
4,000
3,800
Step3 解答
  • 売上原価 = 162,000 + 2,340,000 - 185,000 + 4,000 + 3,800 = ¥2,324,800
  • 貸借対照表の商品 = ¥177,200

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習2-X1 売上原価対立法の一連の仕訳標準

当社は商品売買の記帳方法として売上原価対立法を採用している。次の一連の取引について仕訳を示しなさい。仕訳が不要なものは「仕訳なし」とすること。

1. 商品¥520,000を仕入れ、代金は掛けとした。
2. 上記の商品のうち原価¥390,000の商品を¥585,000で販売し、代金は掛けとした。
3. 決算日を迎えた(棚卸減耗および商品評価損はない)。売上原価算定に関して必要な決算整理を行う。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1商品520,000買掛金520,000
2売掛金
売上原価
585,000
390,000
売上
商品
585,000
390,000
3仕訳なし

売上原価対立法では、仕入時に商品(資産)で受け入れ、販売のつど売上の計上と同時に売上原価 390,000 / 商品 390,000と原価を振り替えるのが手順です。そのため三分法と異なり、決算で「仕入/繰越商品」という売上原価算定の整理仕訳は不要になります。本試験では第1問の仕訳のほか、第2問の勘定記入で三分法との違いを問う形でも出題されます。販売時に原価の振替を書き忘れる誤りが圧倒的に多いので、「売ったら2本セット」と覚えましょう。

合格演習2-X2 役務収益と役務原価標準

資格試験の受験指導を行う当社の次の一連の取引について仕訳を示しなさい。

1. 開講前に、受講生から受講料¥360,000を現金で受け取った(契約負債勘定で処理する)。
2. 講座で使用する教材の印刷費¥30,000と外部講師への報酬¥150,000を現金で支払った。これらはこの講座のための費用であるため、いったん仕掛品勘定に計上した。
3. 講座がすべて終了したため、収益および対応する費用を計上した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1現金360,000契約負債360,000
2仕掛品180,000現金180,000
3契約負債
役務原価
360,000
180,000
役務収益
仕掛品
360,000
180,000

サービス業では、①代金の前受けは契約負債(前受金)で受け、②サービス提供前の支出は仕掛品にため、③提供が完了した時点で役務収益と役務原価へ一斉に振り替える、という3段階が手順です。本試験第1問では資格学校・美容室・旅行業などの設定で頻出します。役務収益だけ計上して仕掛品を役務原価へ振り替え忘れる誤りや、支出を最初から費用計上してしまう誤りに注意してください。

合格演習2-X3 商品券の発行と使用(契約負債)標準

当社は、自社の店舗でのみ利用できる商品券を発行している。次の取引について仕訳を示しなさい。

1. 商品券¥200,000を発行し、代金は現金で受け取った。
2. 顧客に商品¥150,000を販売し、代金として当社発行の商品券¥140,000と現金¥10,000を受け取った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1現金200,000契約負債200,000
2契約負債
現金
140,000
10,000
売上150,000

自社発行の商品券は、発行時には商品を引き渡す義務を表す契約負債として計上し、実際に使用された時点でその分だけ売上へ振り替えるのが手順です。本試験では発行時・使用時に加えて、長期間未使用となった商品券を収益に振り替える処理とセットで問われることもあります。発行した時点で売上を計上してしまう誤りと、使用時に商品券の額面と販売額の差額(現金¥10,000の受取り)の処理を落とす誤りが典型です。

合格演習2-X4 ポイント制度と取引価格の配分本試験レベル

当社は、商品の販売額に応じて顧客にポイントを付与しており、顧客は次回以降の購入代金に1ポイント=¥1として利用できる。このポイントは顧客に重要な権利を提供するものである。次の取引について仕訳を示しなさい(計算上、円未満の端数は生じない)。

1. 商品を¥300,000で現金販売し、あわせて20,000ポイントを付与した。独立販売価格は商品が¥300,000、ポイントが¥20,000であり、付与したポイントはすべて使用されると見込んでいる。取引価格¥300,000は独立販売価格の比率で商品とポイントに配分する。
2. 決算日までに、付与したポイントのうち12,000ポイントが使用された(使用見込みに変更はない)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1現金300,000売上
契約負債
281,250
18,750
2契約負債11,250売上11,250

手順は、①独立販売価格の合計¥320,000を分母として取引価格¥300,000を按分し(商品分¥281,250・ポイント分¥18,750)、②使用時に「使用ポイント÷使用見込み総ポイント」の割合で契約負債を売上へ振り替えます(¥18,750×12,000/20,000=¥11,250)。本試験では付与時の配分計算が第1問で、使用実績や見込み変更を絡めた振替が第2問・第3問で出題されます。受け取った現金全額を売上にしてしまう、按分の分母を¥300,000にしてしまう、使用割合を掛け忘れる、の3つが定番の誤りです。

合格演習2-X5 売上割戻と返金負債本試験レベル

当社は得意先A社と、一定数量以上を購入した場合に代金の一部を割り戻す(リベートを支払う)契約を結んでいる。次の取引について仕訳を示しなさい。

1. A社に商品¥500,000を掛けで販売した。過去の実績から、このうち¥40,000について割戻しを行う可能性が高いと見積もったため、変動対価として売上に含めない処理を行う。
2. その後、割戻しの条件が達成されたため、見積りどおり¥40,000の割戻しを行い、同額をA社に対する売掛金と相殺した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売掛金500,000売上
返金負債
460,000
40,000
2返金負債40,000売掛金40,000

割戻しが見込まれる金額は、販売した時点から売上に含めず返金負債(顧客に返す義務)として計上するのが収益認識基準の手順です。実際に割戻しを行ったときは返金負債を取り崩すだけで、売上をあらためて減額しません。本試験では旧来の「売上割戻」勘定ではなく返金負債を使わせる点自体が論点になります。販売時に全額¥500,000を売上計上してしまう誤りと、割戻し実行時に売上勘定を借方に立ててしまう誤りが頻出です。

合格演習2-X6 出荷基準と検収基準本試験レベル

当社(決算日は3月31日)は、商品販売の収益を得意先の検収が完了した時点で認識する検収基準を採用している。決算日前後の販売の状況は次のとおりである。下記の3件について、(1)当期の売上高に計上される金額の合計と、(2)仮に出荷した時点で収益を認識する出荷基準を採用していた場合の当期売上高の合計を、それぞれ計算しなさい。

A. 3月29日出荷、3月30日検収完了:¥300,000
B. 3月30日出荷、3月31日検収完了:¥240,000
C. 3月31日出荷、4月2日検収完了:¥180,000

解答・解説を見る
採用基準当期の売上高
(1) 検収基準¥540,000(AとBの合計)
(2) 出荷基準¥720,000(AとBとCの合計)

手順は、各取引について「収益認識のタイミング(検収完了日または出荷日)が3月31日以前かどうか」を1件ずつ判定し、当期に属する分だけを合計します。検収基準ではCの検収完了が4月2日なので翌期の売上となり、出荷基準では3件すべてが当期の売上です。本試験第3問では、決算整理として「検収未了の売上を取り消す」修正仕訳の形でも出題されます。出荷日と検収日を読み違えて1件ずれるだけで売上高・売掛金・利益がすべて崩れるので、日付に印を付けて判定しましょう。

合格演習2-X7 クレジット売掛金と消費税本試験レベル

次の一連の取引について仕訳を示しなさい。消費税(税率10%)は税抜方式で処理する。

1. 商品を税込価格¥330,000でクレジット払いの条件により販売した。信販会社へのクレジット手数料は税抜販売価格の4%であり、販売時に費用として計上する(手数料に消費税は課されないものとする)。
2. 後日、信販会社から手数料を差し引いた残額が当座預金口座に振り込まれた。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1クレジット売掛金
支払手数料
318,000
12,000
売上
仮受消費税
300,000
30,000
2当座預金318,000クレジット売掛金318,000

手順は、①税込¥330,000を1.1で割って税抜の売上¥300,000と仮受消費税¥30,000に分け、②手数料は税抜価格の4%で¥12,000、③クレジット売掛金は税込総額から手数料を差し引いた¥318,000、の順で確定します。本試験第1問では消費税との複合が定番で、手数料の計算基礎が税抜か税込かは問題文の指示で決まります。仮受消費税を税込価格の10%の¥33,000としてしまう誤りと、手数料を差し引かずクレジット売掛金を¥330,000とする誤りに注意してください。

第3章現金・預金と銀行勘定調整表例題・演習 17問

図3-A 銀行勘定調整表(両者区分調整法)の構造
当社の帳簿残高 銀行の残高証明書 当社側で加減 = 仕訳が必要連絡未通知・誤記入・未渡小切手(原因が自社にあるもの) 銀行側で加減 = 仕訳不要時間外預入(+)・未取付小切手(−)(銀行の処理待ちのもの) 修正後残高が両者で一致 = B/Sの当座預金

この章の主役は銀行勘定調整表です。第2問で単独出題されることがあり、第3問の決算整理でも「未渡小切手」「連絡未通知」がしれっと混ざってきます。「修正仕訳が必要なもの/不要なもの」を分類できるかがすべてです。

3-1 簿記上の「現金」の範囲

簿記でいう現金は、財布の中のお札や硬貨だけではありません。すぐに換金できる証券(通貨代用証券)も「現金」として扱います。

現金として扱うもの現金として扱わないもの(要注意)
  • 通貨(紙幣・硬貨)
  • 他人振出の小切手
  • 送金小切手
  • 郵便為替証書
  • 配当金領収証
  • 期限到来後の公社債利札
  • 自己振出の小切手(→ 当座預金の増加として処理)
  • 先日付小切手(→ 受取手形)
  • 期限未到来の公社債利札
  • 収入印紙・郵便切手(→ 通信費・租税公課、未使用分は貯蔵品)
  • 約束手形(→ 受取手形)
注意 自己振出小切手が戻ってきたら 以前に自分が振り出した小切手を受け取った場合、現金ではなく「当座預金」の増加として処理します。
例:売掛金の回収として、かつて当社が振り出した小切手を受け取った → 当座預金 / 売掛金
暗記 配当金領収証と利札 現 金 / 受取配当金(配当金領収証を受け取ったとき)
現 金 / 有価証券利息(期限到来後の公社債利札を切り取ったとき)
どちらも「紙切れだが銀行に持ち込めばすぐ現金になる」ので現金扱いです。

3-2 現金過不足

図3-1 現金過不足の一生
①発見時帳簿残高を
実際有高に合わせる
→ 現金過不足
②原因判明時正しい勘定科目へ
振り替える
③決算時原因不明のまま
雑損/雑益
例題3-1 現金過不足基本

(1) 現金の実際有高が帳簿残高より¥8,000不足していた。
(2) 上記のうち¥5,000は通信費の記帳漏れであることが判明した。
(3) 決算日を迎えたが、残額の原因は不明であった。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)現金過不足8,000現 金8,000
(2)通信費5,000現金過不足5,000
(3)雑 損3,000現金過不足3,000

現金過不足は決算日をまたげません。必ず雑損(費用)または雑益(収益)に振り替えて消滅させます。なお、決算日当日に過不足を発見した場合は、現金過不足を経由せず直接 雑損/雑益で処理します。

3-3 当座預金と当座借越

当座預金の残高を超えて小切手を振り出すと、その分は銀行からの一時的な借入れ(当座借越)になります。期中は当座預金勘定が貸方残高になったままでも構いませんが、決算日に貸方残高(マイナス残高)のままにはできません。負債として振り替えます。

例題3-2 当座借越の振替基本

決算にあたり、当座預金勘定が¥130,000の貸方残高となっていた。これは銀行との当座借越契約によるものである。適切な決算整理仕訳を示しなさい(当座借越勘定を用いる場合と、短期借入金勘定を用いる場合)。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
当座預金130,000当座借越(または短期借入金)130,000
  • 借方に当座預金を書いて残高をゼロに戻し、貸方に負債を計上します。
  • どちらの科目を使うかは問題文の指示・答案用紙の科目欄で判断します。
  • この仕訳は翌期首に再振替仕訳(当座借越 / 当座預金)を行います。

3-4 銀行勘定調整表 ― この章の本丸

会社の帳簿の当座預金残高と、銀行が発行する残高証明書の金額は、ほぼ必ずズレます。そのズレの原因を並べて一致させる表が銀行勘定調整表です。

■ ズレの原因は6種類しかない

原因内容どちら側を
調整
加算
減算
修正仕訳覚え方
時間外預入営業時間外に夜間金庫へ入金。銀行は翌日付で処理銀行不要会社は正しい
未取立小切手受け取った小切手を銀行に預けたが、銀行がまだ取り立てていない銀行不要会社は正しい
未取付小切手振り出した小切手が、まだ銀行に呈示されていない銀行不要会社は正しい
連絡未通知振込入金・自動引落しなどの連絡が会社に届いていない企業±必要会社が知らない
未渡小切手小切手を作成して記帳したが、相手にまだ渡していない企業必要会社が先走った
誤記入会社が金額を間違えて記帳した企業±必要会社のミス
暗記 最重要の分類ルール

「銀行側を調整するもの=修正仕訳は不要」「企業側を調整するもの=修正仕訳が必要」

銀行側の3つは頭に「未取立・未取付・時間外」——「取(と)」がつくものと時間外は銀行側と覚えると一瞬で判断できます。

注意 未渡小切手の相手勘定は2種類
  • 買掛金など「債務の支払い」のために作った小切手当座預金 / 買掛金(債務を復活させる)
  • 費用の支払い(広告費など)のために作った小切手当座預金 / 未払金
    費用そのものを取り消すのではありません。費用はすでに発生しているので、未払いに戻すだけです。ここは本試験の頻出ひっかけです。

■ 調整表の3つの形式

例題3-3 銀行勘定調整表(総合)応用

決算日における当座預金勘定の残高は¥520,000、銀行残高証明書の金額は¥605,000であった。不一致の原因を調査したところ次のとおりであった。

  1. 決算日に現金¥40,000を預け入れたが、営業時間外のため銀行では翌日付の入金として処理されていた。
  2. 得意先から受け取った小切手¥85,000を銀行に預け入れたが、銀行はまだ取り立てていなかった。
  3. 買掛金支払のために振り出した小切手¥120,000が、銀行にまだ呈示されていなかった。
  4. 売掛金¥60,000が当座預金に振り込まれていたが、その通知が当社に未達であった。
  5. 仕入先への買掛金支払のために作成した小切手¥45,000が、金庫に保管されたままであった。
  6. 水道光熱費¥15,000が当座預金から自動引落しされていたが、未記帳であった。

(1) 必要な修正仕訳を示しなさい。
(2) 両者区分調整法による銀行勘定調整表を作成しなさい。

解答・解説を見る
(1) 修正仕訳 ― 企業側の4・5・6だけ
No借方科目金額貸方科目金額
4当座預金60,000売掛金60,000
5当座預金45,000買掛金45,000
6水道光熱費15,000当座預金15,000

1・2・3は銀行側の事情なので、会社の帳簿は正しく、仕訳は不要です。

(2) 両者区分調整法 ― 実務でも試験でも標準
当社の帳簿残高(企業側)銀行残高証明書(銀行側)
帳簿残高520,000残高証明書605,000
(加算)売掛金振込未通知+60,000(加算)時間外預入+40,000
(加算)未渡小切手+45,000(加算)未取立小切手+85,000
(減算)自動引落未記帳△15,000(減算)未取付小切手△120,000
調整後残高610,000調整後残高610,000

この調整後残高¥610,000が、貸借対照表に計上される当座預金の金額です。

参考 他の2形式
企業残高基準法

帳簿残高 520,000
+ 未通知60,000 + 未渡45,000
- 未記帳15,000
- 時間外40,000 - 未取立85,000
+ 未取付120,000
= 605,000(=証明書残高)

銀行残高基準法

証明書残高 605,000
+ 時間外40,000 + 未取立85,000
- 未取付120,000
- 未通知60,000 - 未渡45,000
+ 未記帳15,000
= 520,000(=帳簿残高)

得点戦略企業残高基準法・銀行残高基準法は「相手側の調整項目を符号を逆にして並べる」だけです。両者区分調整法さえ作れれば、そこから機械的に作れます。まず両者区分調整法を完璧にしてください。

3-5 小口現金(定額資金前渡制度)

3級の復習ですが、第1問でたまに顔を出します。週初(月初)に定額を前渡しし、報告を受けた分だけ補給するのがインプレスト・システムです。

例題3-4 小口現金基本

(1) 小口現金係に小切手¥50,000を振り出して前渡しした。
(2) 小口現金係から、旅費交通費¥18,000、通信費¥9,000、消耗品費¥6,000の支払報告を受けた。
(3) 同額の小切手を振り出して補給した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)小口現金50,000当座預金50,000
(2)旅費交通費
通信費
消耗品費
18,000
9,000
6,000
小口現金33,000
(3)小口現金33,000当座預金33,000

報告と補給が同時に行われた場合は、(2)(3)をまとめて「各費用 / 当座預金 33,000」と1本で書きます(小口現金勘定を通さない)。

3-6 確認問題

確認問題3-1 現金・預金の仕訳8問標準
  1. 得意先振出の小切手¥180,000を受け取り、売掛金と相殺した。
  2. かつて当社が振り出した小切手¥95,000を、売掛金の回収として受け取った。
  3. 所有する社債の利札¥12,000の期限が到来した。
  4. 株式の配当金領収証¥7,500を受け取った。
  5. 決算日に現金の実際有高を調べたところ、帳簿残高より¥4,200多かった。原因は不明である。
  6. 決算にあたり、当座預金勘定が¥210,000の貸方残高となっていた(当座借越勘定を使用)。
  7. 広告費支払のために振り出した小切手¥68,000が、決算日現在まだ相手に渡されていなかった。
  8. 買掛金支払のために振り出した小切手¥140,000が、決算日現在まだ相手に渡されていなかった。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1現 金180,000売掛金180,000
2当座預金95,000売掛金95,000
3現 金12,000有価証券利息12,000
4現 金7,500受取配当金7,500
5現 金4,200雑 益4,200
6当座預金210,000当座借越210,000
7当座預金68,000未払金68,000
8当座預金140,000買掛金140,000
重要ポイント
  • 1と2の違い:他人振出小切手は現金、自己振出小切手は当座預金。1問で4点差がつきます。
  • 5:決算日に発見した過不足は現金過不足勘定を経由せず、直接雑益(多い場合)・雑損(不足の場合)へ。
  • 7と8の違い:未渡小切手の相手勘定は、費用の支払いなら未払金、債務の支払いなら元の債務(買掛金)。7で「広告費」を貸方に書くのは誤りです。
確認問題3-2 銀行勘定調整表(第2問形式)応用

X6年3月31日(決算日)の当座預金勘定残高は¥748,000、銀行残高証明書の残高は¥820,000であった。不一致の原因は次のとおりである。修正仕訳を示し、両者区分調整法による調整後残高を求めなさい。

  1. 得意先から売掛金¥95,000の振込みがあったが、当社に未通知であった。
  2. 仕入先へ振り出した小切手¥110,000が、決算日現在未取付けであった。
  3. 決算日の夜間金庫への預入れ¥52,000が、銀行では翌日入金として処理されていた。
  4. 受取手形¥88,000の取立てを銀行に依頼していたが、取立てが完了しておらず、当社は取立済として記帳していた。
  5. 備品購入代金の支払いのために作成した小切手¥64,000が未渡しであった。
  6. 支払手数料¥3,000が当座預金から引き落とされていたが、未記帳であった。
解答・解説を見る
分類
項目区分加減修正仕訳
1 振込未通知企業側+95,000必要
2 未取付小切手銀行側△110,000不要
3 時間外預入銀行側+52,000不要
4 未取立小切手(手形取立未完了)銀行側+88,000不要
5 未渡小切手(備品代)企業側+64,000必要
6 手数料引落未記帳企業側△3,000必要
修正仕訳
No借方科目金額貸方科目金額
1当座預金95,000売掛金95,000
5当座預金64,000未払金64,000
6支払手数料3,000当座預金3,000
調整後残高
  • 企業側:748,000 + 95,000 + 64,000 - 3,000 = ¥904,000
  • 銀行側:820,000 - 110,000 + 52,000 + 88,000 = ¥904,000 一致 ✔
5がポイント備品購入代金の未渡小切手なので、貸方は「備品」ではなく「未払金」。備品はすでに取得しており、支払いだけが未了だからです。

合格演習 — 本試験レベルの追加5問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習3-1 現金の範囲基本

決算日における金庫の中身は次のとおりであった。簿記上の「現金」として計上すべき金額を求めなさい。
紙幣・硬貨 ¥82,000/他人振出小切手 ¥50,000/自社振出の未渡小切手 ¥30,000/郵便切手 ¥5,000/配当金領収証 ¥8,000

解答・解説を見る

解答

¥140,000(82,000+50,000+8,000)

通貨代用証券(他人振出小切手・配当金領収証・期限到来後の公社債利札など)は現金に含めます。切手は通信費(貯蔵品)、自社振出小切手は当座預金の修正項目です。

合格演習3-2 銀行勘定調整表(企業残高基準)標準

決算日の当座預金勘定残高は¥520,000、銀行残高証明書は¥575,000であった。差異の原因は、①時間外預入¥40,000、②未取付小切手¥80,000、③買掛金支払いの未渡小切手¥15,000であった。修正後の正しい当座預金残高を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

¥535,000(520,000+15,000)

仕訳が必要なのは未渡小切手のみ(当座預金/買掛金)。時間外預入・未取付小切手は銀行側の調整項目なので、企業側の仕訳は不要です。銀行側:575,000+40,000−80,000=535,000で一致を確認。

合格演習3-3 修正仕訳の要否判定標準

銀行勘定調整表の作成にあたり、次のうち企業側で修正仕訳が必要なものをすべて選びなさい。
ア 時間外預入 イ 未取付小切手 ウ 連絡未通知(売掛金の振込入金) エ 誤記入 オ 未渡小切手

解答・解説を見る

解答

ウ・エ・オ

「銀行が原因(ア・イ)→仕訳不要」「自社が原因(ウ・エ・オ)→仕訳必要」。この判定は第1問・第2問の頻出論点です。

合格演習3-4 連絡未通知と誤記入応用

琴似商店の当座預金勘定残高と銀行残高の不一致原因を調査したところ、①得意先からの売掛金¥120,000の振込みが未記帳、②水道光熱費¥27,000の引落しを¥72,000と誤記帳、の2点が判明した。必要な仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
当座預金¥120,000売掛金¥120,000
当座預金¥45,000水道光熱費¥45,000
合計¥165,000合計¥165,000

誤記入は差額¥45,000だけ戻します(過大に減らした当座預金を回復)。誤記入の訂正は「差額アプローチ」が速くて確実です。

合格演習3-5 当座借越の振替標準

決算日現在、当座預金勘定が¥90,000の貸方残高となっている。決算整理仕訳を示しなさい(勘定科目は「借入金」を用いる)。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
当座預金¥90,000借入金¥90,000

貸方残高=銀行からの一時的な借入れの状態。B/S表示のため借入金(または当座借越)へ振り替え、翌期首に再振替します。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習3-X1 銀行勘定調整表(両者区分調整法)本試験レベル

決算日における当座預金勘定の残高は¥763,000、銀行から取り寄せた残高証明書の残高は¥841,000であった。不一致の原因を調査したところ、次の事実が判明した。両者区分調整法による銀行勘定調整表を作成して調整後の残高を求め、あわせて修正仕訳が必要な項目についてその仕訳を示しなさい。

1. 仕入先に振り出した小切手¥54,000が、銀行にまだ呈示されていなかった(未取付小切手)。
2. 決算日の営業時間終了後に現金¥30,000を夜間金庫に預け入れたが、銀行では翌日付の入金として処理されていた。
3. 広告宣伝費の支払いのために作成した小切手¥45,000が、相手先に渡されないまま金庫に保管されていた。
4. 得意先から売掛金¥28,000が当座振込みされていたが、当社への連絡が未達であった。
5. 水道光熱費¥19,000が当座預金口座から引き落とされていたが、当社への連絡が未達であった。

解答・解説を見る

【銀行勘定調整表(両者区分調整法)】

当社側(帳簿残高)金額銀行側(証明書残高)金額
残高763,000残高841,000
加算:未渡小切手(3)45,000加算:時間外預入(2)30,000
加算:振込連絡未達(4)28,000減算:未取付小切手(1)54,000
減算:引落連絡未達(5)19,000
調整後残高817,000調整後残高817,000

【修正仕訳(3・4・5のみ必要。1・2は仕訳なし)】

No借方科目金額貸方科目金額
3当座預金45,000未払金45,000
4当座預金28,000売掛金28,000
5水道光熱費19,000当座預金19,000

手順は、①各原因を「当社側(帳簿の未記帳・誤り)」と「銀行側(記録のタイムラグ)」に振り分け、②当社側の項目だけ修正仕訳を行い、③両者の調整後残高¥817,000が一致することを確かめます。本試験第2問・第3問では、この調整後残高がそのまま貸借対照表の当座預金の金額になります。未渡小切手のうち費用の支払いのためのものは買掛金ではなく未払金で戻す点と、未取付小切手は銀行側の減算項目なので仕訳不要という点が最大の引っかけです。

合格演習3-X2 修正仕訳の要否判定本試験レベル

決算日において、当座預金に関する次の1から5の事実が判明した。それぞれについて、当社で修正仕訳が必要な場合はその仕訳を示し、不要な場合は「仕訳なし」としなさい。

1. 買掛金支払いのために振り出した小切手¥62,000が、銀行にまだ呈示されていなかった(未取付小切手)。
2. 買掛金支払いのために作成した小切手¥38,000が、相手先に渡されないまま金庫に保管されていた(未渡小切手)。
3. 決算日に売上代金¥50,000を夜間金庫に預け入れたが、銀行では翌日付の入金として処理されていた(時間外預入)。
4. 得意先から売掛金¥71,000の当座振込みがあったが、当社への連絡が未達であった。
5. 通信費の自動引落し額は¥27,000であったのに、当社は誤って¥72,000と記帳していた(誤記入)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕訳なし
2当座預金38,000買掛金38,000
3仕訳なし
4当座預金71,000売掛金71,000
5当座預金45,000通信費45,000

判定の手順は「当社の帳簿が事実とずれているかどうか」だけを基準にすることです。未取付小切手と時間外預入は銀行側の時間差にすぎず帳簿は正しいので仕訳なし、未渡小切手・連絡未達・誤記入は帳簿が誤っているので修正します。本試験では、この5パターンを混ぜた要否判定が第2問で定番です。誤記入は正しい額との差額¥45,000だけを修正する点(全額を書き直さない)と、未渡小切手は当座預金を増やす方向に戻す点を取り違えないようにしましょう。

合格演習3-X3 未渡小切手の処理標準

決算日に金庫を実査したところ、作成済みであるが相手先に渡されていない小切手が次の2枚発見された。いずれも作成時に当座預金の減少として記帳済みである。それぞれについて必要な修正仕訳を示しなさい。

1. 仕入先に対する買掛金支払いのために作成した小切手 ¥86,000
2. 当月分の広告宣伝費支払いのために作成した小切手 ¥34,000

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1当座預金86,000買掛金86,000
2当座預金34,000未払金34,000

未渡小切手は、振出しの記帳で減らした当座預金を借方で復活させるのが手順で、貸方は支払いの内容によって使い分けます。買掛金のような債務の支払いなら元の債務(買掛金)を復活させ、広告宣伝費のような費用の支払いなら費用はすでに発生しているため取り消さず、未払金を計上します。本試験ではこの貸方科目の使い分けが最頻出の引っかけで、費用性のものまで費用勘定を取り消してしまう誤りが多発します。

合格演習3-X4 現金過不足の決算整理本試験レベル

期中に現金の実際有高が帳簿残高より¥7,000不足していたため、現金過不足勘定(借方)で処理していた。決算日にあらためて原因を調査したところ、通信費¥12,000の支払いと、手数料¥6,000の受取りが未記帳であることが判明したが、残額については原因が不明であった。決算日に必要な仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
通信費
雑損
12,000
1,000
現金過不足
受取手数料
7,000
6,000

手順は、①判明した原因を計上し(費用の未記帳は借方、収益の未記帳は貸方)、②現金過不足勘定の残高¥7,000を全額取り崩し、③最後に貸借の差額¥1,000を雑損(貸方に差額が出る場合は雑益)とします。本試験第1問や第3問の決算整理では、費用と収益の両方が混ざった形が定番です。判明分の純額¥6,000と過不足¥7,000を突き合わせる過程を飛ばして、¥7,000をそのまま雑損としてしまう誤りに注意してください。

合格演習3-X5 小口現金(定額資金前渡制度)標準

当社は定額資金前渡制度(インプレスト・システム)を採用し、小口現金¥80,000を用度係に前渡ししている。月末に用度係から次の支払報告を受け、ただちに同額の小切手を振り出して資金を補給した。報告と補給をあわせた仕訳を示しなさい。

旅費交通費 ¥23,000 消耗品費 ¥14,500 雑費 ¥3,500

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
旅費交通費
消耗品費
雑費
23,000
14,500
3,500
当座預金41,000

報告と同時に補給する場合は、小口現金勘定を経由させず、費用の計上と小切手の振出しを1本の仕訳にまとめるのが手順です。報告日と補給日が異なる場合は、報告時に「諸費用/小口現金」、補給時に「小口現金/当座預金」と2本に分けます。本試験では補給のタイミングによって小口現金勘定を使うかどうかが変わる点が問われ、どんな場合でも小口現金勘定を書いてしまう誤りが典型です。

合格演習3-X6 当座借越の貸借対照表表示標準

当社は決算日現在、A銀行とB銀行に当座預金口座を開設している。A銀行の当座預金残高は¥520,000(借方残高)である。B銀行については、期中に残高¥90,000を超える小切手¥220,000を振り出したため(借越限度額¥500,000の当座借越契約あり)、¥130,000の貸方残高となっている。(1)B銀行の貸方残高について決算日に必要な仕訳を示し、(2)貸借対照表に表示される科目と金額を答えなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
当座預金130,000当座借越130,000

【貸借対照表の表示】

表示区分科目金額
流動資産当座預金520,000
流動負債当座借越(または借入金)130,000

手順は、①銀行口座ごとに残高の貸借を確認し、②貸方残高となった口座だけを当座借越(または借入金)へ振り替え、③借方残高の口座とは相殺しないことを確かめます。本試験第3問では複数口座の設定で出題され、資産と負債の両建てで表示させます。A銀行の残高と相殺して当座預金¥390,000と表示してしまうのが最大の誤りで、銀行が異なれば債権と債務は別物と覚えてください。

第4章手形・電子記録債権債務・その他の債権債務例題・演習 18問

この章の位置づけ 手形は第1問の仕訳で最も出題頻度が高いグループのひとつです。裏書・割引・不渡り・更改の4つは必ず書けるようにしてください。なお2027年度以降は手形が出題範囲から外れる見込みですが、2026年度の試験では主力論点です。

4-1 手形取引の全体像

図4-1 約束手形の流れと、2級で学ぶ4つの応用
振出支払人が手形を
振り出す
受取受取人が
受取手形を計上
満期前の選択肢①裏書譲渡
②割引
③更改
満期決済
または④不渡り

4-2 手形の裏書譲渡

受け取った手形の裏面に署名して、仕入代金などの支払いに充てることを裏書譲渡といいます。受取手形が減るだけで、損益は発生しません。

例題4-1 裏書譲渡基本

商品¥350,000を仕入れ、代金は所有する約束手形を裏書譲渡して支払った。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
仕 入350,000受取手形350,000

支払手形ではありません。自分が振り出した手形ではなく、他人から受け取った手形を渡しているので、減るのは「受取手形」です。ここを間違える人が多い定番ポイントです。

4-3 手形の割引

満期前の手形を銀行に買い取ってもらい、現金化することを割引といいます。満期までの利息相当額(割引料)が差し引かれ、その差額は手形売却損(営業外費用)になります。

暗記 割引料の計算式

割引料 = 手形額面 × 年利率 × 割引日から満期日までの日数 ÷ 365日

例題4-2 手形の割引標準

所有する約束手形¥800,000を取引銀行で割り引き、割引料を差し引かれた手取金が当座預金に入金された。割引日から満期日までの日数は73日、年利率は5%である。

解答・解説を見る

割引料 = 800,000 × 5% × 73 ÷ 365 = ¥8,000  手取金 = 800,000 - 8,000 = ¥792,000

借方科目金額貸方科目金額
当座預金
手形売却損
792,000
8,000
受取手形800,000
深掘り 保証債務について 裏書・割引をしても、もし手形が不渡りになれば裏書人・割引依頼人が支払う義務(偶発債務)を負います。これを保証債務費用 / 保証債務として計上する処理が問われることがありますが、問題文に指示があるか、勘定科目群に「保証債務」が示されている場合だけ処理してください。指示がなければ考慮しません。

4-4 手形の不渡り

満期日に手形が決済されないことを不渡りといいます。受取手形(正常な債権)から、不渡手形(回収が危ぶまれる債権)へ振り替えるのが基本形です。償還請求にかかった諸費用も不渡手形に含めます。

ケース仕訳
①所有していた手形が不渡り不渡手形 / 受取手形・現金(諸費用)
②裏書・割引した手形が不渡りとなり、償還請求を受けて支払った不渡手形 / 当座預金(支払額=額面+延滞利息等)
③不渡手形が回収不能となった貸倒引当金・貸倒損失 / 不渡手形
④不渡手形を回収できた現金など / 不渡手形・受取利息
例題4-3 手形の不渡り標準

(1) 所有する約束手形¥400,000が不渡りとなったので、償還請求を行った。なお、償還請求費用¥6,000は現金で支払った。
(2) 以前に割り引いていた約束手形¥300,000が不渡りとなり、銀行から償還請求を受けたため、額面金額に延滞利息¥4,500を加えて小切手を振り出して支払った。
(3) (1)の不渡手形について、得意先が倒産し全額回収不能となった。貸倒引当金の残高は¥250,000である。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)不渡手形406,000受取手形
現 金
400,000
6,000
(2)不渡手形304,500当座預金304,500
(3)貸倒引当金
貸倒損失
250,000
156,000
不渡手形406,000
  • (1):償還請求費用も相手(振出人)に請求できる債権なので、不渡手形に含めます。費用にしません。
  • (2):延滞利息も含めて不渡手形。支払利息にしません(相手に請求できるため)。
  • (3):貸倒引当金を優先的に充当し、不足分を貸倒損失に。

4-5 手形の更改(書換え)

支払人が満期日に支払えず、支払期日を延ばした新しい手形と交換することを更改といいます。延長期間分の利息をどう処理するかが論点です。

利息を新手形に含める場合

【振出人(支払側)】
支払手形(旧)500,000
支払利息     12,000
 / 支払手形(新)512,000

利息を現金で受け払いする場合

【振出人(支払側)】
支払手形(旧)500,000
 / 支払手形(新)500,000
支払利息 12,000 / 現金 12,000

例題4-4 手形の更改(受取側)標準

かねて受け取っていた約束手形¥600,000について、支払人から支払期日の延期の申し出があり、これを承諾した。延期にともなう利息¥18,000は新手形の金額に含めることとした。当社(受取側)の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
受取手形(新)618,000受取手形(旧)
受取利息
600,000
18,000

受取側なので受取利息(収益)。答案では「受取手形」を借方・貸方の両方に書くことになりますが、これは同じ勘定を借方と貸方に1回ずつ書くケースで、認められます(同じ側に2回書くのがNG)。

4-6 営業外手形と手形貸付金・手形借入金

場面使う勘定理由
商品売買で手形を受け取った受取手形営業取引から生じた債権
備品・土地などを売却して手形を受け取った営業外受取手形営業外の取引。B/Sでも区別する
備品・土地などを購入して手形を振り出した営業外支払手形同上
金銭の貸付けにあたり手形を受け取った手形貸付金実質は貸付金
金銭の借入れにあたり手形を振り出した手形借入金実質は借入金
例題4-5 営業外支払手形・手形借入金基本

(1) 備品¥900,000を購入し、代金は約束手形を振り出して支払った。
(2) 取引先に¥500,000を貸し付け、同額の約束手形を受け取り、利息¥10,000を差し引いた残額を当座預金から振り込んだ。

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No借方科目金額貸方科目金額
(1)備 品900,000営業外支払手形900,000
(2)手形貸付金500,000当座預金
受取利息
490,000
10,000

4-7 電子記録債権・電子記録債務

紙の手形に代わる決済手段です。「電子債権記録機関に発生記録をする」と債権・債務が生まれます。手形と処理はそっくりですが、勘定科目名が違います。

図4-2 電子記録債権・債務の流れ
場面債権者(売った側)債務者(買った側)
発生記録電子記録債権 / 売掛金買掛金 / 電子記録債務
決済当座預金 / 電子記録債権電子記録債務 / 当座預金
譲渡記録
(支払いに充てる)
買掛金 / 電子記録債権
売却
(現金化)
当座預金
電子記録債権売却損 / 電子記録債権
例題4-6 電子記録債権標準

(1) 売掛金¥450,000について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行った。
(2) 上記の電子記録債権のうち¥200,000を、買掛金の支払いのため取引先に譲渡記録した。
(3) 残額¥250,000を取引銀行に¥243,000で売却し、当座預金に入金された。
(4) 買掛金¥380,000について、取引銀行を通じて電子記録債務の発生記録が行われた。

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No借方科目金額貸方科目金額
(1)電子記録債権450,000売掛金450,000
(2)買掛金200,000電子記録債権200,000
(3)当座預金
電子記録債権売却損
243,000
7,000
電子記録債権250,000
(4)買掛金380,000電子記録債務380,000

売却時の差額は電子記録債権売却損。手形のときの「手形売却損」に相当します。「電子記録債権割引料」のような科目はありません。

4-8 債権の譲渡(売掛金の売却)

売掛金そのものを他社に売却して早期に資金化することがあります。額面と手取額の差は債権売却損です。

例題4-7 債権の譲渡基本

売掛金¥700,000を¥685,000で他社に譲渡し、代金は当座預金に振り込まれた。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
当座預金
債権売却損
685,000
15,000
売掛金700,000

4-9 その他の債権債務まとめ

勘定科目区分使う場面
未収入金資産商品以外(備品・有価証券など)を売却した代金の未回収額
未払金負債商品以外を購入した代金の未払額、費用の未払い(未渡小切手の相手勘定)
立替金資産従業員や取引先の代わりに一時的に支払った金額
預り金負債源泉所得税・社会保険料など、預かって後日納付するもの
仮払金資産内容・金額が未確定のまま支払った金額(出張旅費の概算払いなど)
仮受金負債内容不明の入金。判明したら正しい科目に振り替える
差入保証金資産事務所を借りる際の敷金・保証金。退去時に返還される分は資産
法定福利費費用社会保険料の会社負担分
例題4-8 差入保証金と社会保険料標準

(1) 事務所を賃借し、敷金¥300,000、不動産業者への仲介手数料¥80,000、当月分家賃¥150,000を普通預金から支払った。敷金は退去時に全額返還される契約である。
(2) 従業員から預かった社会保険料¥58,000と、会社負担分¥58,000を合わせて現金で納付した。

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No借方科目金額貸方科目金額
(1)差入保証金
支払手数料
支払家賃
300,000
80,000
150,000
普通預金530,000
(2)社会保険料預り金
法定福利費
58,000
58,000
現 金116,000
  • 敷金は返ってくるお金なので資産(差入保証金)。費用にしません。
  • 仲介手数料は返ってこないので費用(支払手数料)。
  • 社会保険料の会社負担分は「法定福利費」。給料から天引きした従業員負担分は預り金の減少です。

4-10 確認問題

確認問題4-1 手形・債権債務の仕訳12問標準
  1. 商品¥280,000を仕入れ、代金は所有する約束手形を裏書譲渡した。
  2. 所有する約束手形¥500,000を銀行で割り引き、割引料¥7,500を差し引かれ、残額が当座預金に入金された。
  3. 額面¥900,000の約束手形を割り引いた。割引日から満期日まで146日、年利率5%(1年365日)で計算した割引料が差し引かれ、手取金は当座預金に入金された。
  4. 裏書譲渡していた約束手形¥250,000が不渡りとなり、償還請求を受けたので、額面に延滞利息¥3,000を加えて小切手を振り出して支払った。
  5. 上記4の不渡手形が回収不能となった。貸倒引当金残高は¥180,000である。
  6. かねて振り出していた約束手形¥400,000について、支払期日の延期を申し入れて承諾された。延期にともなう利息¥9,000は現金で支払った。
  7. 土地¥3,000,000を売却し、代金は約束手形で受け取った。この土地の帳簿価額は¥2,600,000である。
  8. 売掛金¥320,000について電子記録債権の発生記録を行った。
  9. 電子記録債務¥380,000が当座預金から決済された。
  10. 電子記録債権¥500,000を¥488,000で売却し、当座預金に入金された。
  11. 従業員の出張にあたり、旅費の概算額¥80,000を現金で渡した。
  12. 上記11につき、従業員が帰社し、旅費交通費¥73,000の報告を受け、残額を現金で受け取った。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入280,000受取手形280,000
2当座預金
手形売却損
492,500
7,500
受取手形500,000
3当座預金
手形売却損
882,000
18,000
受取手形900,000
4不渡手形253,000当座預金253,000
5貸倒引当金
貸倒損失
180,000
73,000
不渡手形253,000
6支払手形(旧)
支払利息
400,000
9,000
支払手形(新)
現 金
400,000
9,000
7営業外受取手形3,000,000土 地
固定資産売却益
2,600,000
400,000
8電子記録債権320,000売掛金320,000
9電子記録債務380,000当座預金380,000
10当座預金
電子記録債権売却損
488,000
12,000
電子記録債権500,000
11仮払金80,000現 金80,000
12旅費交通費
現 金
73,000
7,000
仮払金80,000
計算・注意点
  • 3:割引料=900,000 × 5% × 146 ÷ 365 = ¥18,000 → 手取金882,000。
  • 4裏書・割引した手形が不渡りになった場合も「不渡手形」(資産)。支払った額を相手に請求できるからです。延滞利息も含めます。
  • 7:土地の売却なので「受取手形」ではなく「営業外受取手形」。売却益は3,000,000-2,600,000=400,000。

合格演習 — 本試験レベルの追加3問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習4-1 電子記録債権の譲渡標準

白石産業は、買掛金¥350,000の支払いのため、保有する電子記録債権のうち¥350,000を仕入先に譲渡する記録を行った。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
買掛金¥350,000電子記録債権¥350,000

電子記録債権は手形と同様に譲渡・割引ができます。譲渡記録により債権が移転し、買掛金と相殺されます。

合格演習4-2 電子記録債権の割引応用

厚別電機は、電子記録債権¥600,000を取引銀行で割り引き、割引料¥6,000を差し引かれた手取金が当座預金に入金された。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
当座預金¥594,000電子記録債権¥600,000
電子記録債権売却損¥6,000
合計¥600,000合計¥600,000

割引時の差額は電子記録債権売却損。手形の割引(手形売却損)と対になる論点で、科目名の違いが問われます。

合格演習4-3 営業外取引の債権債務標準

澄川食品は、不用になった備品(帳簿価額¥200,000)を¥200,000で売却し、代金は電子記録債権の発生記録(債務者は購入先)によることとした。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
営業外電子記録債権¥200,000備品¥200,000

商品売買以外の取引から生じた電子記録債権・債務には「営業外」を付けます(営業外受取手形・営業外支払手形と同じ発想)。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習4-X1 電子記録債権の発生と譲渡本試験レベル

次の一連の取引について仕訳を示しなさい。

1. 得意先に対する売掛金¥400,000について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行った。
2. 上記の電子記録債権のうち¥250,000を、仕入先に対する買掛金¥250,000の決済のために譲渡記録により譲渡した。
3. 残りの電子記録債権¥150,000を取引銀行に¥147,000で譲渡し(割引)、代金は当座預金口座に振り込まれた。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1電子記録債権400,000売掛金400,000
2買掛金250,000電子記録債権250,000
3当座預金
電子記録債権売却損
147,000
3,000
電子記録債権150,000

手順は、①発生記録で売掛金を電子記録債権へ振り替え、②買掛金決済のための譲渡では債権と債務を相殺し、③銀行への割引譲渡では受取額との差額¥3,000を電子記録債権売却損とします。本試験第1問では手形の裏書・割引と対比する形で頻出です。割引時の差額を支払利息や手形売却損としてしまう誤りと、譲渡後の残額¥150,000の管理を誤る点に注意してください。

合格演習4-X2 手形の更改本試験レベル

当社は、得意先から受け取っていた約束手形¥600,000について、支払期日の延長を求められ、これに応じて手形の更改を行った。期日延長に伴う利息は¥9,000である。次の各場合について、当社(手形の所持人側)の仕訳を示しなさい。

1. 利息を新手形の金額に含める場合
2. 利息を現金で受け取る場合

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1受取手形(新)609,000受取手形(旧)
受取利息
600,000
9,000
2受取手形(新)
現金
600,000
9,000
受取手形(旧)
受取利息
600,000
9,000

手形の更改は、旧手形の債権を消滅させて新手形の債権を立て直す取引であり、利息の受け取り方で新手形の金額が変わる点が手順の分かれ目です。利息を含める場合は新手形が¥609,000、現金で受け取る場合は新手形¥600,000と現金¥9,000になります。本試験では債務者側(支払手形側)の立場で出題されることも多く、その場合は貸借が丸ごと逆になります。利息を含めるケースで新手形を¥600,000のまま書いてしまう誤りが典型です。

合格演習4-X3 手形の不渡り本試験レベル

次の一連の取引について仕訳を示しなさい。

1. かねて商品代金として受け取っていた得意先振出しの約束手形¥350,000が、満期日に決済されず不渡りとなった。当社は振出人に対して償還請求を行い、償還請求費用¥4,000を現金で支払った。
2. その後、振出人から上記の請求金額の全額と、満期日以後の法定利息¥2,000をあわせて現金で回収した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1不渡手形354,000受取手形
現金
350,000
4,000
2現金356,000不渡手形
受取利息
354,000
2,000

不渡りになったら、手形金額に償還請求費用を加えた¥354,000を不渡手形勘定へ振り替えて相手方に請求するのが手順です。回収時は不渡手形を取り崩し、あわせて受け取った法定利息は受取利息とします。本試験では、その後回収不能となって貸倒引当金や貸倒損失の処理につなげる出題もあります。償還請求費用を支払手数料として別に計上し、不渡手形の金額に含め忘れる誤りが最も多い失点パターンです。

合格演習4-X4 営業外受取手形・営業外支払手形標準

次の取引について仕訳を示しなさい。

1. 当社は、保有する土地(帳簿価額¥1,800,000)を¥2,100,000で売却し、代金は相手先振出しの約束手形(期日3か月後)で受け取った。
2. 当社は、事務用の備品¥480,000を購入し、代金は約束手形を振り出して支払った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1営業外受取手形2,100,000土地
固定資産売却益
1,800,000
300,000
2備品480,000営業外支払手形480,000

商品売買(主たる営業取引)以外の取引で手形を受け取ったり振り出したりした場合は、受取手形・支払手形ではなく営業外受取手形・営業外支払手形を使うのが手順です。本試験第1問では固定資産の売買と組み合わせて頻出で、売却損益の計算まで一体で問われます。科目名から「営業外」を落として通常の手形勘定にしてしまう誤りと、売却益¥300,000を貸方に立て忘れる誤りに注意してください。

合格演習4-X5 売掛金の譲渡(債権売却損)標準

当社は、得意先A社に対する売掛金¥500,000を、A社の承諾を得たうえで取引先B社に¥485,000で譲渡し、代金は当座預金口座に振り込まれた。この取引の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
当座預金
債権売却損
485,000
15,000
売掛金500,000

売掛金などの債権は手形と同じように第三者へ譲渡でき、帳簿価額¥500,000と譲渡価額¥485,000の差額¥15,000を債権売却損とするのが手順です。本試験第1問では電子記録債権の割引譲渡と並べて出題され、電子記録債権売却損と債権売却損の科目の使い分けが問われます。差額を支払手数料や雑損としてしまう誤りが典型です。

合格演習4-X6 受取商品券標準

次の一連の取引について仕訳を示しなさい。

1. 顧客に商品¥68,000を販売し、代金として自治体が発行した商品券¥70,000を受け取り、お釣り¥2,000を現金で支払った。
2. 後日、上記の商品券¥70,000を発行元で精算し、同額が当座預金口座に振り込まれた。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1受取商品券70,000売上
現金
68,000
2,000
2当座預金70,000受取商品券70,000

他者(自治体や他社)が発行した商品券を受け取ったときは、後日換金を請求できる債権として受取商品券(資産)に計上するのが手順です。自社発行の商品券(契約負債)とは貸借が逆になる点が本試験の定番の引っかけで、両者を並べた出題がよくあります。お釣りを支払った場合は、商品券の額面と売上の差額¥2,000を現金の貸方で調整することを忘れないようにしましょう。

第5章有形固定資産例題・演習 20問

図5-A 減価償却3方法の帳簿価額のイメージ(取得原価100・耐用年数5年)
100500 0年1年2年3年4年5年 定額法:毎期同額 200%定率法:はじめ大きく 生産高比例法:利用量に応じて 縦軸=帳簿価額。定率法は「期首帳簿価額×償却率」なので後半ほど償却費が小さくなる
この章の重要度 第1問(仕訳)・第2問(勘定記入の総合問題)・第3問(決算整理)のすべてで毎回のように出る最重要章です。特に期中取得・期中売却の月割計算買換えは、書けるかどうかで合否が変わります。

5-1 取得原価 ― いくらで資産に計上するか

暗記 取得原価の公式

取得原価 = 購入代価 + 付随費用

付随費用=引取運賃・据付費・試運転費・購入手数料・登記費用・整地費用など「使えるようにするまでにかかった費用」

ケース取得原価
備品¥500,000を購入、引取運賃¥12,000と据付費¥18,000を支払った500,000+12,000+18,000=¥530,000
土地¥8,000,000を購入、仲介手数料¥240,000と整地費用¥160,000を支払った8,000,000+240,000+160,000=¥8,400,000
割賦(分割払い)で機械を購入し、現金購入価額¥2,000,000、割賦総額¥2,180,000だった¥2,000,000(差額¥180,000は前払利息または支払利息
例題5-1 割賦購入標準

機械装置を割賦契約で購入した。現金購入価額は¥2,000,000、割賦代金は毎月末払いで月額¥181,000を12回(総額¥2,172,000)である。利息相当額は前払利息で処理する。購入時の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
機械装置
前払利息
2,000,000
172,000
営業外支払手形(未払金)2,172,000

資産計上額は現金購入価額の¥2,000,000。割賦総額との差¥172,000は利息であり、資産の価値ではありません。支払いのつど支払利息 / 前払利息で費用化していきます。

5-2 減価償却 ― 3つの方法

図5-1 減価償却方法の使い分け
方法計算式特徴・使う場面
定額法(取得原価-残存価額)÷ 耐用年数毎期同額。建物はこれ
定率法期首帳簿価額 × 償却率
(200%定率法の償却率 = 1÷耐用年数 × 200%)
初期に多く償却。備品・機械に多い
生産高
比例法
(取得原価-残存価額)× 当期利用量 ÷ 総利用可能量使った分だけ償却。車両・航空機など
例題5-2 3つの減価償却標準

次のそれぞれについて、当期(1年分)の減価償却費を計算しなさい。

  1. 建物:取得原価¥6,000,000、残存価額は取得原価の10%、耐用年数30年、定額法
  2. 備品:取得原価¥800,000、耐用年数5年、200%定率法。当期は取得後3年目である
  3. 車両:取得原価¥3,000,000、残存価額ゼロ、総走行可能距離200,000km、当期走行距離30,000km、生産高比例法
解答・解説を見る
1 定額法

(6,000,000 - 6,000,000×10%) ÷ 30年 = 5,400,000 ÷ 30 = ¥180,000

2 200%定率法

償却率 = 1 ÷ 5年 × 200% = 0.4

年度期首帳簿価額減価償却費期末帳簿価額
1年目800,000800,000×0.4=320,000480,000
2年目480,000480,000×0.4=192,000288,000
3年目288,000288,000×0.4=115,200172,800

¥115,200定率法は「期首帳簿価額(=取得原価-期首の減価償却累計額)」に率を掛けるのが絶対のルールです。取得原価に掛けてはいけません。

3 生産高比例法

3,000,000 × 30,000km ÷ 200,000km = ¥450,000

注意 残存価額2007年4月以降取得分は残存価額ゼロが原則ですが、試験では必ず問題文の指示に従います。「残存価額は取得原価の10%」と書いてあれば10%で計算してください。

5-3 期中取得・期中売却 ― 月割計算

暗記 月割のルール 使った月数 ÷ 12を掛けます。1か月に満たない端数は1か月として計算(=日割りしない)。取得月・売却月はどちらも1か月に数えるのが通常です(問題文に指示があればそれに従う)。
例題5-3 期中売却応用

当社(決算日3月31日)は、X8年11月30日に備品を¥350,000で売却し、代金は月末に受け取ることとした。この備品は X5年4月1日に¥900,000で取得したもので、耐用年数6年、残存価額ゼロ、定額法、間接法により記帳している。売却時の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
Step1 年間の減価償却費

900,000 ÷ 6年 = ¥150,000/年

Step2 売却時点の減価償却累計額(期首時点)

X5/4/1〜X8/3/31 = ちょうど3年経過 → 150,000 × 3 = ¥450,000

Step3 当期分(期首〜売却日)の減価償却費

X8/4/1〜X8/11/30 = 8か月 → 150,000 × 8/12 = ¥100,000

Step4 帳簿価額と売却損益

帳簿価額 = 900,000 - 450,000 - 100,000 = ¥350,000
売却価額¥350,000 - 帳簿価額¥350,000 = 損益ゼロ

借方科目金額貸方科目金額
減価償却累計額
減価償却費
未収入金
450,000
100,000
350,000
備 品900,000
最頻出のミス 期首から売却日までの減価償却費(Step3)を忘れるのが、この論点で最も多い失点です。「売った月まではきちんと減価償却する」と覚えてください。また、商品以外の売却なので売掛金ではなく未収入金です。

5-4 除却と廃棄

除却

使うのをやめて処分可能な価値が残っている場合。処分価値を貯蔵品(資産)で計上する。
差額 → 固定資産除却損

廃棄

捨ててしまい価値ゼロ。廃棄費用がかかることも。
差額 → 固定資産廃棄損

例題5-4 除却と廃棄標準

(1) 備品(取得原価¥800,000、減価償却累計額¥600,000)を当期首に除却した。処分価値は¥50,000と見積もられた。
(2) 機械装置(取得原価¥1,500,000、減価償却累計額¥1,350,000)を当期首に廃棄し、廃棄費用¥40,000を現金で支払った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)減価償却累計額
貯蔵品
固定資産除却損
600,000
50,000
150,000
備 品800,000
(2)減価償却累計額
固定資産廃棄損
1,350,000
190,000
機械装置
現 金
1,500,000
40,000

(2)の廃棄損=帳簿価額150,000+廃棄費用40,000=190,000。廃棄費用は別建てにせず廃棄損に含めます。

5-5 買換え(下取り)

買換えは「旧資産の売却」と「新資産の購入」を同時に行う取引です。分解して考えれば必ず解けます。

  1. 旧資産を下取価額で売却したと考える → 売却損益を計算
  2. 新資産を取得原価で購入したと考える
  3. 実際の支払額 = 新資産の価額 - 下取価額
例題5-5 車両の買換え応用

当期首に、車両(取得原価¥1,200,000、減価償却累計額¥800,000)を下取りに出し、新車両¥1,500,000を購入した。下取価額は¥300,000であり、差額は現金で支払った。

解答・解説を見る
分解して考える
  • 旧車両の帳簿価額 = 1,200,000 - 800,000 = ¥400,000
  • 下取価額¥300,000で売却 → 300,000 - 400,000 = 売却損¥100,000
  • 現金支払額 = 1,500,000 - 300,000 = ¥1,200,000
借方科目金額貸方科目金額
車両運搬具(新)
減価償却累計額
固定資産売却損
1,500,000
800,000
100,000
車両運搬具(旧)
現 金
1,200,000
1,200,000
POINT 検算のコツ 借方合計 2,400,000 = 貸方合計 2,400,000。新車両は「下取価額を引く前の¥1,500,000」で計上します。ここを1,200,000にしてしまうミスが非常に多い論点です。

5-6 資本的支出と収益的支出

資本的支出 → 資産

価値を高める・耐用年数を延ばす
例:非常階段の設置、性能アップの改造
建物 / 当座預金

収益的支出 → 費用

現状を維持するだけ
例:定期的な塗装、破損部分の修理
修繕費 / 当座預金

注意 修繕引当金がある場合 修繕引当金を設定しているときの支出は、まず引当金を取り崩し、足りない分を修繕費とします。
修繕引当金 300,000 修繕費 80,000 / 当座預金 380,000

5-7 建設仮勘定

建物などを建設中に支払った手付金・中間金は、まだ「建物」ではないので建設仮勘定(資産)で受けておき、完成・引渡し時に本勘定へ振り替えます。建設仮勘定は減価償却しません(まだ使っていないため)。

例題5-6 建設仮勘定基本

(1) 建物の新築工事(請負金額¥20,000,000)を契約し、手付金¥6,000,000を小切手を振り出して支払った。
(2) 工事が完成し引渡しを受けた。残額¥14,000,000は約束手形を振り出して支払った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)建設仮勘定6,000,000当座預金6,000,000
(2)建 物20,000,000建設仮勘定
営業外支払手形
6,000,000
14,000,000

建物の購入は商品売買ではないので支払手形ではなく営業外支払手形です。

5-8 固定資産の火災(火災未決算)

図5-2 保険を掛けていた資産が焼失したときの流れ
①焼失時帳簿価額を
火災未決算
(金額未確定)
②保険金額の確定保険会社から
通知が来る
保険金 > 未決算保険差益
保険金 < 未決算火災損失

保険を掛けていない場合は、焼失時にいきなり「火災損失」で処理します(未決算を経由しません)。

例題5-7 火災未決算標準

(1) 当期首に火災が発生し、建物(取得原価¥5,000,000、減価償却累計額¥2,000,000)が焼失した。この建物には¥4,000,000の火災保険を掛けている。
(2) 後日、保険会社より保険金¥2,800,000を支払う旨の連絡を受けた。
(3) 【別解】もし保険金が¥3,200,000であった場合の仕訳。

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No借方科目金額貸方科目金額
(1)減価償却累計額
火災未決算
2,000,000
3,000,000
建 物5,000,000
(2)未収入金
火災損失
2,800,000
200,000
火災未決算3,000,000
(3)未収入金3,200,000火災未決算
保険差益
3,000,000
200,000
注意火災未決算に計上するのは保険契約額(¥4,000,000)ではなく帳簿価額(¥3,000,000)です。保険をいくら掛けていたかは関係ありません。

5-9 圧縮記帳(国庫補助金・工事負担金)

国から補助金をもらって設備を買うと、補助金が収益となり税金がかかってしまいます。そこで、同額だけ資産の帳簿価額を減らして課税を将来に繰り延べるのが圧縮記帳(直接減額方式)です。

例題5-8 圧縮記帳応用

(1) X5年4月1日、国庫補助金¥1,000,000を受け取り、当座預金に入金された。
(2) 同日、この補助金を利用して機械装置¥3,000,000を購入し、代金は当座預金から支払った。
(3) 同日、直接減額方式により圧縮記帳を行った。
(4) 決算(X6年3月31日)にあたり、この機械について減価償却を行う。耐用年数5年、残存価額ゼロ、定額法、間接法。

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No借方科目金額貸方科目金額
(1)当座預金1,000,000国庫補助金受贈益1,000,000
(2)機械装置3,000,000当座預金3,000,000
(3)固定資産圧縮損1,000,000機械装置1,000,000
(4)減価償却費400,000減価償却累計額400,000
ポイント
  • (1)(3)で受贈益1,000,000と圧縮損1,000,000が相殺され、当期の利益への影響はゼロになります。これが圧縮記帳の目的です。
  • (4)の減価償却は圧縮後の帳簿価額 3,000,000 - 1,000,000 = ¥2,000,000 を基礎に計算します。2,000,000 ÷ 5年 = ¥400,000。取得原価3,000,000で計算すると不正解です。

5-10 確認問題

確認問題5-1 有形固定資産の仕訳10問標準

決算日は毎年3月31日、減価償却は間接法による。

  1. 備品¥600,000を購入し、引取運賃¥15,000と据付費¥25,000とともに小切手を振り出して支払った。
  2. X8年10月1日に取得した上記の備品(耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法)について、X9年3月31日の決算で減価償却を行う。
  3. 機械装置(取得原価¥2,400,000、耐用年数6年、残存価額ゼロ、200%定率法)の3年目の減価償却費を計上する。
  4. 建物の改修工事を行い¥3,000,000を小切手で支払った。うち¥1,800,000は耐震性能を高める資本的支出である。
  5. 建物の修繕を行い¥500,000を現金で支払った。修繕引当金の残高は¥420,000である。
  6. 備品(取得原価¥1,200,000、期首減価償却累計額¥900,000、耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法)をX9年7月31日に¥180,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることとした。
  7. 車両(取得原価¥1,800,000、減価償却累計額¥1,200,000)を下取りに出し、新車両¥2,200,000を購入した。下取価額は¥500,000で、差額は翌月末払いとした。
  8. 倉庫(取得原価¥4,000,000、減価償却累計額¥1,600,000)が火災により焼失した。この倉庫には火災保険を掛けている。
  9. 上記8について、保険会社から¥2,600,000の保険金支払いの連絡があった。
  10. 国庫補助金¥800,000を受け取り、これを利用して機械装置¥2,500,000を小切手を振り出して購入し、直接減額方式により圧縮記帳を行った(3つの仕訳をまとめて示すこと)。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1備 品640,000当座預金640,000
2減価償却費40,000減価償却累計額40,000
3減価償却費355,556減価償却累計額355,556
4建 物
修繕費
1,800,000
1,200,000
当座預金3,000,000
5修繕引当金
修繕費
420,000
80,000
現 金500,000
6減価償却累計額
減価償却費
未収入金
固定資産売却損
900,000
50,000
180,000
70,000
備 品1,200,000
7車両運搬具(新)
減価償却累計額
固定資産売却損
2,200,000
1,200,000
100,000
車両運搬具(旧)
未払金
1,800,000
1,700,000
8減価償却累計額
火災未決算
1,600,000
2,400,000
建 物4,000,000
9未収入金2,600,000火災未決算
保険差益
2,400,000
200,000
10当座預金
機械装置
固定資産圧縮損
800,000
2,500,000
800,000
国庫補助金受贈益
当座預金
機械装置
800,000
2,500,000
800,000
計算の内訳
  • 1:600,000+15,000+25,000=640,000(付随費用はすべて取得原価)。
  • 2:640,000÷8年=80,000/年。10/1〜3/31の6か月なので 80,000×6/12=40,000
  • 3:償却率=1/6×200%=0.3333…(1/3)。1年目 2,400,000×1/3=800,000 → 2年目 1,600,000×1/3=533,333 → 3年目 1,066,667×1/3=355,556(円未満四捨五入)。
  • 6:年償却額=1,200,000÷8年=150,000。4/1〜7/31の4か月分=150,000×4/12=50,000。帳簿価額=1,200,000-900,000-50,000=250,000 → 売却損=250,000-180,000=70,000
  • 7:旧帳簿価額600,000、下取500,000 → 売却損100,000。支払額=2,200,000-500,000=1,700,000(商品以外なので未払金)。

合格演習 — 本試験レベルの追加3問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習5-1 200%定率法標準

取得原価¥800,000、耐用年数8年、残存価額ゼロの備品を200%定率法で償却する。取得後2年目(期首から使用)の減価償却費を求めなさい(記帳は間接法)。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
減価償却費¥150,000備品減価償却累計額¥150,000

償却率=1/8×200%=25%。1年目:800,000×25%=200,000、2年目:(800,000−200,000)×25%=¥150,000。「期首帳簿価額×償却率」のリズムで解きます。

合格演習5-2 圧縮記帳(直接減額方式)応用

真駒内工業は、国庫補助金¥1,000,000を現金で受け取り、これに自己資金を加えて機械装置¥2,500,000を現金で購入、直ちに補助金相当額の圧縮記帳(直接減額方式)を行った。一連の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
① 補助金の受取り
現金¥1,000,000国庫補助金受贈益¥1,000,000
② 機械装置の購入
機械装置¥2,500,000現金¥2,500,000
③ 圧縮記帳
固定資産圧縮損¥1,000,000機械装置¥1,000,000

受贈益(収益)と圧縮損(費用)を両建てして課税の繰延べを図る処理です。圧縮後の帳簿価額¥1,500,000がその後の減価償却の基礎になる点まで問われます。

合格演習5-3 資本的支出と収益的支出標準

建物の改修工事代金¥900,000を小切手を振り出して支払った。このうち¥600,000は耐用年数を延長させる改良のための支出であり、残りは定期的な修繕のための支出である。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
建物¥600,000当座預金¥900,000
修繕費¥300,000
合計¥900,000合計¥900,000

価値を高める・寿命を延ばす部分=資本的支出(資産)、現状維持=収益的支出(費用)。1本の支払いを2科目に分ける形が定番です。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習5-X1 国庫補助金と圧縮記帳本試験レベル

次の一連の取引について仕訳を示しなさい。当社の会計期間は4月1日から3月31日までの1年間である。

1. ×1年4月1日、機械装置の購入にあたり国庫補助金¥800,000の交付を受け、当座預金口座に振り込まれた。
2. 同日、この補助金に自己資金を加えて機械装置¥2,000,000を購入し、代金は小切手を振り出して支払い、ただちに使用を開始した。
3. 同日、交付を受けた補助金¥800,000について、直接減額方式(直接控除方式)により圧縮記帳を行った。
4. ×2年3月31日、決算にあたりこの機械装置について定額法(耐用年数5年、残存価額ゼロ、間接法で記帳)により減価償却を行った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1当座預金800,000国庫補助金受贈益800,000
2機械装置2,000,000当座預金2,000,000
3固定資産圧縮損800,000機械装置800,000
4減価償却費240,000機械装置減価償却累計額240,000

手順は、①補助金の受領を国庫補助金受贈益(収益)で計上し、②取得原価¥2,000,000で資産計上、③補助金相当額を固定資産圧縮損(費用)として機械装置から直接減額、④圧縮後の帳簿価額¥1,200,000を基礎に減価償却(¥1,200,000÷5年=¥240,000)という流れです。本試験第1問では受領から決算の償却までを一連で問うのが定番で、受贈益と圧縮損を両建てすることで課税を繰り延べる趣旨も背景として押さえておくと迷いません。減価償却の計算基礎を圧縮前の¥2,000,000としてしまうのが最大の誤りです。

合格演習5-X2 建設仮勘定と月割償却本試験レベル

当社(決算日は3月31日)は、倉庫の新築を建設会社に依頼し、請負代金¥3,600,000のうち¥2,400,000を着工時までに小切手で支払い、建設仮勘定に計上していた。次の各取引について仕訳を示しなさい。

1. ×1年12月1日、倉庫が完成して引渡しを受け、ただちに使用を開始した。請負代金の残額¥1,200,000は小切手を振り出して支払った。
2. ×2年3月31日、決算にあたりこの倉庫について定額法(耐用年数30年、残存価額ゼロ、間接法で記帳)により月割で減価償却を行った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1建物3,600,000建設仮勘定
当座預金
2,400,000
1,200,000
2減価償却費40,000建物減価償却累計額40,000

建設中の支払額は建設仮勘定にためておき、完成・引渡しの時点で残額の支払いとあわせて建物勘定へ振り替えるのが手順です。減価償却は使用開始日の12月1日から決算日までの4か月分を月割で計算します(¥3,600,000÷30年×4か月/12か月=¥40,000)。本試験では建設仮勘定の振替もれや、期首からの12か月分で償却してしまう誤りが頻出です。建設仮勘定のままの固定資産は減価償却しないという点もあわせて覚えてください。

合格演習5-X3 資本的支出と収益的支出標準

当社は、建物の改修工事を行い、代金¥900,000を小切手を振り出して支払った。このうち60%は建物の耐用年数を延長させる改良のための支出(資本的支出)であり、残りは通常の機能維持のための修繕(収益的支出)である。この取引の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
建物
修繕費
540,000
360,000
当座預金900,000

支出額を「資産の価値や耐用年数を高める部分(資本的支出=建物に加算)」と「現状を維持するための部分(収益的支出=修繕費)」に按分するのが手順です(¥900,000×60%=¥540,000が建物、残り¥360,000が修繕費)。本試験第1問では按分の比率や金額が資料で与えられ、指示どおりに分けるだけの計算です。全額を修繕費にする、あるいは全額を資産計上するという極端な誤りのほか、比率の読み違いにも注意してください。

合格演習5-X4 固定資産の除却と貯蔵品標準

当期首において、備品(取得原価¥750,000、減価償却累計額¥600,000、間接法で記帳)を事業の用から除いて除却した。この備品の処分価値は¥40,000と見積もられたため、貯蔵品勘定に計上する。除却時の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
備品減価償却累計額
貯蔵品
固定資産除却損
600,000
40,000
110,000
備品750,000

手順は、①帳簿価額¥150,000(取得原価−減価償却累計額)を求め、②処分価値¥40,000を貯蔵品(資産)として残し、③差額¥110,000を固定資産除却損とします。本試験では期中除却として当期分の月割減価償却費が加わる形にも発展します。売却ではないので固定資産売却損としない点と、処分価値を差し引かずに帳簿価額¥150,000を全額除却損としてしまう誤りが定番です。

合格演習5-X5 固定資産の買換え本試験レベル

当期首において、営業用の車両(取得原価¥1,500,000、減価償却累計額¥1,080,000、間接法で記帳)を下取りに出し、新しい車両¥2,000,000を購入した。旧車両の下取価格は¥350,000であり、新車両の購入価額との差額は翌月末に支払うこととした。この取引の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
車両運搬具(新)
車両運搬具減価償却累計額
固定資産売却損
2,000,000
1,080,000
70,000
車両運搬具(旧)
未払金
1,500,000
1,650,000

買換えは「旧車両を下取価格¥350,000で売却」と「新車両¥2,000,000の購入」の2つに分解して考えるのが手順です。旧車両の帳簿価額¥420,000と下取価格の差額¥70,000が固定資産売却損、下取価格を購入代金に充当した後の¥1,650,000が未払金になります。本試験第1問の頻出パターンで、下取価格を現金で受け取ったかのように処理したり、未払金を購入価額の全額¥2,000,000としてしまう誤りがよく見られます。売却の仕訳と購入の仕訳を別々に下書きしてから合算すると確実です。

合格演習5-X6 200%定率法(改定償却率の適用)本試験レベル

当社(決算日は3月31日)は、×1年4月1日に備品¥1,000,000を取得し、200%定率法(耐用年数5年、償却率0.400、改定償却率0.500、保証率0.10800、間接法で記帳)により減価償却を行っている。取得後3年間の減価償却は適正に行われており、×4年4月1日時点の減価償却累計額は¥784,000である。×5年3月31日の決算における減価償却の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費108,000備品減価償却累計額108,000

手順は、①期首帳簿価額¥216,000×償却率0.400=¥86,400を計算し、②償却保証額¥1,000,000×0.10800=¥108,000と比較、③¥86,400が償却保証額に満たないため、この年度からは改定取得価額¥216,000×改定償却率0.500=¥108,000で償却します。本試験では償却率・改定償却率・保証率が資料で与えられ、切替え年度かどうかの判定込みで第1問・第3問に出題されます。比較を忘れて¥86,400のまま計上する誤りと、改定取得価額を期首帳簿価額ではなく取得原価¥1,000,000と取り違える誤りが典型です。

合格演習5-X7 生産高比例法標準

当期首に取得した業務用トラック(取得原価¥3,000,000、残存価額は取得原価の10%、見積総走行可能距離200,000km)について、当期の実際走行距離は25,000kmであった。生産高比例法により当期の減価償却を行った場合の仕訳を示しなさい(間接法で記帳)。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費337,500車両運搬具減価償却累計額337,500

生産高比例法は時間の経過ではなく利用度に応じて償却する方法で、(取得原価−残存価額)×当期利用量÷総利用可能量が計算の手順です(¥2,700,000×25,000km/200,000km=¥337,500)。本試験では車両や鉱業用の設備という設定で、定額法・定率法と混ぜて出題されます。残存価額10%を差し引き忘れて¥3,000,000を計算基礎にしてしまう誤りが最も多いので、まず要償却額¥2,700,000を確定させましょう。

合格演習5-X8 期中売却と月割償却本試験レベル

当社(決算日は3月31日)は、×1年8月1日に取得した備品(取得原価¥960,000、定額法、耐用年数8年、残存価額ゼロ、間接法で記帳)を、×3年10月31日に¥610,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることとした。当期分の減価償却費は月割で計上する。売却時の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
備品減価償却累計額
減価償却費
未収入金
固定資産売却損
200,000
70,000
610,000
80,000
備品960,000

手順は、①前期末までの減価償却累計額を集計し(×1年度は8か月分¥80,000、×2年度は¥120,000で合計¥200,000)、②当期首から売却日までの7か月分¥70,000を減価償却費として計上、③売却時の帳簿価額¥690,000と売却価額¥610,000の差額¥80,000を固定資産売却損とします。本試験第1問では、取得も売却も期中という月割計算の二重パターンが最難関クラスとして頻出です。累計額に当期分を混ぜてしまう、月数を1か月ずらす、代金を未収入金ではなく売掛金とする、の3つが典型的な失点です。

第6章リース取引例題・演習 17問

この章の攻略法 リースは覚えることが少ないのに毎回出る「おいしい論点」です。分類の判定と、利子込み法・利子抜き法の2パターンさえ押さえれば、第1問で確実に4点取れます。30分で仕上げられる章です。

6-1 リース取引の分類

図6-1 リース取引の2分類
ファイナンス・リース

実質的に「買ったのと同じ」リース。
次の2つを両方満たすもの。

  • 中途解約できない(ノンキャンセラブル)
  • 借り手がコストをほぼ全額負担し、その資産の経済的利益をほぼ享受する(フルペイアウト)

→ 資産・負債を計上する(売買処理)

オペレーティング・リース

ファイナンス・リース以外のすべて。要するに普通の「賃貸借」。

→ 資産・負債を計上しない。支払ったときに 支払リース料 / 当座預金 だけ

決算日と支払日がズレる場合は、経過勘定(前払リース料・未払リース料)で調整します。

6-2 ファイナンス・リース ― 2つの処理方法

方法リース資産・債務の計上額利息の扱い
利子込み法リース料総額で計上
(利息も資産に含めてしまう)
支払利息は計上しない。処理が簡単
利子抜き法見積現金購入価額で計上
(利息を除いた本体価格)
リース料総額との差額を支払利息として各期に配分(2級は定額法)
暗記 どちらの方法かは「計上額」で見分ける リース資産の金額=リース料総額 → 利子込み法リース資産の金額=見積現金購入価額 → 利子抜き法
問題文に「利子抜き法(利息相当額は定額法により配分)」などと必ず書いてあります。
例題6-1 利子込み法標準

X5年4月1日、次の条件で備品のリース契約(ファイナンス・リース)を結び、同日から使用を開始した。利子込み法により処理する。決算日は3月31日。

  • 年間リース料 ¥600,000(毎年3月31日に当座預金から支払い)
  • リース期間 5年  見積現金購入価額 ¥2,700,000
  • 減価償却:リース期間を耐用年数とする定額法、残存価額ゼロ、間接法

(1) 契約時 (2) X6年3月31日のリース料支払時 (3) X6年3月31日の決算時

解答・解説を見る

リース料総額 = 600,000 × 5年 = ¥3,000,000

No借方科目金額貸方科目金額
(1)リース資産3,000,000リース債務3,000,000
(2)リース債務600,000当座預金600,000
(3)減価償却費600,000リース資産減価償却累計額600,000

減価償却費 = 3,000,000 ÷ 5年 = ¥600,000。利子込み法では支払利息が一切出てきません。

例題6-2 利子抜き法応用

例題6-1と同じ条件で、利子抜き法(利息相当額は定額法により各期に配分)による場合の (1)(2)(3) の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
Step1 利息総額を出す

リース料総額 3,000,000 - 見積現金購入価額 2,700,000 = 利息総額 ¥300,000
1年あたり = 300,000 ÷ 5年 = ¥60,000

Step2 仕訳
No借方科目金額貸方科目金額
(1)リース資産2,700,000リース債務2,700,000
(2)リース債務
支払利息
540,000
60,000
当座預金600,000
(3)減価償却費540,000リース資産減価償却累計額540,000
リース債務(利子抜き法)
当座預金(元本返済)540,000
次期繰越2,160,000
リース資産(契約時)2,700,000
POINT 利子抜き法の3つの数字 ①リース資産=2,700,000(本体) ②毎年の支払利息=60,000 ③元本返済=600,000-60,000=540,000。減価償却も2,700,000÷5年=540,000で、たまたま元本返済額と同額になります(残存ゼロ・リース期間償却のため)。

6-3 期中契約の場合 ― 月割に注意

例題6-3 期中にリース契約した場合応用

X5年10月1日、次の条件でファイナンス・リース契約を結び使用を開始した。利子抜き法による。決算日は3月31日。

  • 年間リース料 ¥480,000(毎年9月30日に後払い) リース期間 4年
  • 見積現金購入価額 ¥1,760,000 減価償却:リース期間4年、残存価額ゼロ、定額法、間接法

X6年3月31日の決算整理仕訳をすべて示しなさい。

解答・解説を見る
Step1 数字の整理
  • リース料総額 = 480,000 × 4年 = ¥1,920,000
  • 利息総額 = 1,920,000 - 1,760,000 = ¥160,000 → 1年あたり ¥40,000
  • 当期の使用期間 = X5/10/1〜X6/3/31 = 6か月
Step2 決算整理仕訳
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費220,000リース資産減価償却累計額220,000
支払利息20,000未払利息20,000
  • 減価償却費 = 1,760,000 ÷ 4年 × 6/12 = ¥220,000
  • 支払利息 = 40,000 × 6/12 = ¥20,000。リース料の支払いは9/30なので、決算日時点では未払い → 未払利息で見越計上します。
注意リース料をまだ1度も支払っていないので、リース債務は減りません。「リース債務 / 未払金」のような仕訳は不要です。

6-4 オペレーティング・リースと、貸借対照表での表示

例題6-4 オペレーティング・リース基本

X5年11月1日にオペレーティング・リース契約(年額¥360,000、毎年10月31日後払い)を結び、使用を開始した。X6年3月31日の決算整理仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
支払リース料150,000未払リース料150,000

X5/11/1〜X6/3/31の5か月分=360,000 × 5/12 = ¥150,000。オペレーティング・リースではリース資産・リース債務は一切出てきません。契約時の仕訳も不要です。

POINT リース債務の流動・固定分類(第3問で問われる) 貸借対照表では、決算日の翌日から1年以内に返済する分=流動負債(リース債務)1年を超える分=固定負債(長期リース債務)に分けて表示します(ワン・イヤー・ルール)。
例:利子抜き法でリース債務残高が¥2,160,000、毎年の元本返済が¥540,000なら → 流動負債 ¥540,000/固定負債 ¥1,620,000。

6-5 確認問題

確認問題6-1 リース総合応用

当社(決算日3月31日)は、X7年4月1日に次のファイナンス・リース契約を結び、同日から使用を開始した。

  • 年間リース料 ¥750,000(毎年3月31日に当座預金より後払い) リース期間 6年
  • 見積現金購入価額 ¥4,050,000
  • 減価償却:リース期間を耐用年数とする定額法、残存価額ゼロ、間接法

(1) 利子込み法による、契約時・第1回支払時・第1期決算時の仕訳
(2) 利子抜き法(定額法により配分)による、同じ3つの仕訳
(3) 利子抜き法による場合の、X8年3月31日の貸借対照表に計上されるリース債務(流動・固定)の金額

解答・解説を見る

リース料総額 = 750,000 × 6年 = ¥4,500,000 / 利息総額 = 4,500,000 - 4,050,000 = ¥450,000 → 年 ¥75,000

(1) 利子込み法
時点借方科目金額貸方科目金額
契約リース資産4,500,000リース債務4,500,000
支払リース債務750,000当座預金750,000
決算減価償却費750,000リース資産減価償却累計額750,000
(2) 利子抜き法
時点借方科目金額貸方科目金額
契約リース資産4,050,000リース債務4,050,000
支払リース債務
支払利息
675,000
75,000
当座預金750,000
決算減価償却費675,000リース資産減価償却累計額675,000

元本返済 = 750,000 - 75,000 = 675,000 / 減価償却費 = 4,050,000 ÷ 6年 = 675,000

(3) X8年3月31日のリース債務
  • 残高 = 4,050,000 - 675,000 = ¥3,375,000
  • うち1年以内返済分 → 流動負債「リース債務」¥675,000
  • 残り → 固定負債「長期リース債務」¥2,700,000(675,000 × 4年分)
確認問題6-2 リースの仕訳6問標準
  1. ファイナンス・リース契約(リース料総額¥2,400,000、見積現金購入価額¥2,160,000、期間4年)を結んだ。利子込み法による契約時の仕訳。
  2. 上記1について、年間リース料¥600,000を当座預金から支払った。
  3. 同じ契約を利子抜き法で処理する場合の契約時の仕訳。
  4. 上記3について、年間リース料¥600,000を当座預金から支払った(利息は定額法で配分)。
  5. オペレーティング・リース契約により、年間リース料¥240,000を現金で支払った。
  6. 利子抜き法で処理しているリース資産(計上額¥2,160,000、リース期間4年、残存価額ゼロ、定額法、間接法)について、第1期の決算で減価償却を行う。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1リース資産2,400,000リース債務2,400,000
2リース債務600,000当座預金600,000
3リース資産2,160,000リース債務2,160,000
4リース債務
支払利息
540,000
60,000
当座預金600,000
5支払リース料240,000現 金240,000
6減価償却費540,000リース資産減価償却累計額540,000

4の利息=(2,400,000-2,160,000)÷4年=¥60,000。元本返済=600,000-60,000=¥540,000。

合格演習 — 本試験レベルの追加5問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習6-1 ファイナンス・リース(利子込み法)標準

宮の森商事は、期首にコピー機のリース契約(ファイナンス・リース取引、期間5年、年額リース料¥240,000・毎年度末払い、見積現金購入価額¥1,080,000)を利子込み法で処理する。①契約時と②第1回支払時(当座預金)の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
① 契約時
リース資産¥1,200,000リース債務¥1,200,000
② 第1回支払時
リース債務¥240,000当座預金¥240,000

利子込み法はリース料総額¥1,200,000で資産・債務を計上し、支払時はリース債務を取り崩すだけ。利息を分けない簡便な方法です。

合格演習6-2 ファイナンス・リース(利子抜き法)応用

上記と同じ契約(リース料総額¥1,200,000、見積現金購入価額¥1,080,000)を利子抜き法(利息は定額法で配分)で処理する場合の、①契約時、②第1回支払時(当座預金)の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
① 契約時
リース資産¥1,080,000リース債務¥1,080,000
② 第1回支払時
リース債務¥216,000当座預金¥240,000
支払利息¥24,000
合計¥240,000合計¥240,000

利息総額¥120,000を5年で定額配分(年¥24,000)。リース債務の返済額は1,080,000÷5=¥216,000。「支払額=債務返済+利息」の分解が核心です。

合格演習6-3 リース資産の減価償却標準

利子抜き法で計上したリース資産¥1,080,000(リース期間5年、残存価額ゼロ、定額法・間接法)について、決算時の減価償却の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
減価償却費¥216,000リース資産減価償却累計額¥216,000

ファイナンス・リースの償却はリース期間を耐用年数として行うのが原則(所有権移転外)。自己所有の資産と同じ手続です。

合格演習6-4 オペレーティング・リース基本

車両のリース契約(オペレーティング・リース取引、月額¥50,000)について、当月分のリース料を現金で支払った。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
支払リース料¥50,000現金¥50,000

オペレーティング・リースは賃貸借処理。資産計上せず、支払リース料(費用)で処理します。判定とセットで覚えましょう。

合格演習6-5 決算時の未払リース料標準

オペレーティング・リース取引につき、当期の12月1日から月額¥40,000でリースを開始し、リース料は半年分ごとの後払い(5月末・11月末)である。3月末の決算整理仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
支払リース料¥160,000未払リース料¥160,000

12月〜3月の4か月分を未払計上します。オペレーティング・リースでも経過勘定の処理は通常どおり必要です。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習6-X1 ファイナンス・リースの判定と利子込み法本試験レベル

×1年4月1日(期首)、備品について次の条件でリース契約を締結した。このリース取引は、解約不能のリース取引であり、リース物件からもたらされる経済的利益を実質的に享受でき、かつ、その使用に伴って生じるコストを実質的に負担するため、ファイナンス・リース取引と判定された。
・リース期間:5年 ・リース料:年額¥360,000(毎年3月31日に当座預金口座から後払い)
・リース料総額:¥1,800,000 ・見積現金購入価額:¥1,650,000
利子込み法によることとし、(1)リース取引開始日(×1年4月1日)、(2)第1回リース料支払日(×2年3月31日)、(3)決算日(×2年3月31日)の減価償却(リース期間を耐用年数とする定額法、残存価額ゼロ、間接法)の仕訳をそれぞれ示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1リース資産1,800,000リース債務1,800,000
2リース債務360,000当座預金360,000
3減価償却費360,000リース資産減価償却累計額360,000

解約不能(ノンキャンセラブル)かつフルペイアウトという2つの条件を満たすためファイナンス・リース取引です。利子込み法ではリース料総額¥1,800,000をそのままリース資産・リース債務に計上し、見積現金購入価額¥1,650,000は使いません。支払時はリース債務を取り崩すだけで支払利息は計上せず、決算では¥1,800,000÷5年=¥360,000を減価償却します。本試験の第1問では利子込み法か利子抜き法かの指示を読み落とさせる出題が定番で、利子込み法なのに見積現金購入価額で計上してしまう誤りが最も多いポイントです。

合格演習6-X2 利子抜き法と支払利息の定額配分本試験レベル

×1年4月1日(期首)、備品について次の条件でリース契約(ファイナンス・リース取引)を締結した。
・リース期間:4年 ・リース料:年額¥300,000(毎年3月31日に当座預金口座から後払い)
・リース料総額:¥1,200,000 ・見積現金購入価額:¥1,080,000
利子抜き法(利息相当額は定額法により各期に配分)によることとし、(1)リース取引開始日、(2)第1回リース料支払日(×2年3月31日)、(3)決算日(×2年3月31日)の減価償却(リース期間を耐用年数とする定額法、残存価額ゼロ、間接法)の仕訳をそれぞれ示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1リース資産1,080,000リース債務1,080,000
2リース債務
支払利息
270,000
30,000
当座預金300,000
3減価償却費270,000リース資産減価償却累計額270,000

利子抜き法では見積現金購入価額¥1,080,000をリース資産・リース債務に計上し、リース料総額との差額¥120,000が利息総額になります。定額法による配分で毎年の支払利息は¥120,000÷4年=¥30,000、リース債務の返済額は¥300,000−¥30,000=¥270,000です。本試験では支払額全額をリース債務の減少としてしまう誤りが頻出なので、利息部分を必ず分けることがポイントです。減価償却費は¥1,080,000÷4年=¥270,000で、リース料総額から計算しないよう注意しましょう。

合格演習6-X3 リース債務の流動・固定分類標準

×2年4月1日に備品のリース契約(ファイナンス・リース取引、リース期間5年)を締結し、利子抜き法によりリース資産・リース債務¥1,500,000を計上している。リース料は年額¥330,000(うち利息相当額¥30,000、定額法により配分)を毎年3月31日に支払う。×3年3月31日(決算日)のリース料支払後の貸借対照表について、(1)流動負債に表示されるリース債務、(2)固定負債に表示されるリース債務の金額をそれぞれ計算しなさい。

解答・解説を見る
表示区分表示科目金額
流動負債リース債務300,000
固定負債リース債務900,000

まずリース債務の期末残高を求めます。毎年の元本返済額は¥1,500,000÷5年=¥300,000なので、第1回支払後の残高は¥1,500,000−¥300,000=¥1,200,000です。このうち決算日の翌日から1年以内に返済する¥300,000が流動負債、残りの¥900,000が固定負債に区分されます(一年基準)。本試験の貸借対照表作成問題ではリース債務を全額固定負債に載せてしまう誤りが頻出なので、次回返済分だけを流動に振り替える意識を持ちましょう。

合格演習6-X4 決算日と支払日がずれる場合の未払利息本試験レベル

×2年12月1日、車両運搬具について次の条件でリース契約(ファイナンス・リース取引)を締結した。
・リース期間:5年 ・リース料:年額¥264,000(毎年11月30日に当座預金口座から後払い)
・リース料総額:¥1,320,000 ・見積現金購入価額:¥1,200,000
利子抜き法(利息相当額は定額法により配分し、月割計算する)による。当社の決算日は3月31日である。(1)リース取引開始日、(2)決算日(×3年3月31日)における利息の見越計上、(3)翌期首(×3年4月1日)の再振替の仕訳をそれぞれ示しなさい。なお、減価償却は考慮しなくてよい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1リース資産1,200,000リース債務1,200,000
2支払利息8,000未払利息8,000
3未払利息8,000支払利息8,000

支払日(11月30日)と決算日(3月31日)がずれているため、12月1日から3月31日までの4か月分の利息を見越計上します。利息総額は¥1,320,000−¥1,200,000=¥120,000、年間では¥120,000÷5年=¥24,000なので、¥24,000×4か月/12か月=¥8,000が未払利息です。翌期首には必ず再振替仕訳を行い、支払日に1年分の利息を計上したときの二重計上を防ぎます。本試験では「利息は月割計上する」という指示を読み飛ばして決算で仕訳なしとする誤りが多い論点です。

合格演習6-X5 オペレーティング・リースと未払リース料標準

×2年12月1日、事務用複合機についてリース契約を締結した。この取引はオペレーティング・リース取引と判定された。リース料は年額¥480,000で、毎年11月30日に1年分を当座預金口座から後払いする。当社の決算日は3月31日である。(1)決算日(×3年3月31日)、(2)翌期首(×3年4月1日)の再振替、(3)リース料支払日(×3年11月30日)の仕訳をそれぞれ示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1支払リース料160,000未払リース料160,000
2未払リース料160,000支払リース料160,000
3支払リース料480,000当座預金480,000

オペレーティング・リースは通常の賃貸借と同じ処理なので、リース資産・リース債務は計上せず、開始時の仕訳もありません。決算では当期の経過分4か月(12月〜3月)について¥480,000×4か月/12か月=¥160,000を支払リース料 / 未払リース料と見越計上し、翌期首に再振替します。本試験ではファイナンス・リースと並べて出題され、オペレーティング・リースにまでリース資産を計上してしまう誤りが定番のひっかけです。

合格演習6-X6 期中開始のリースと月割償却本試験レベル

×1年8月1日、備品について次の条件でリース契約(ファイナンス・リース取引)を締結した。
・リース期間:6年 ・リース料:年額¥240,000(毎年7月31日に当座預金口座から後払い)
・リース料総額:¥1,440,000 ・見積現金購入価額:¥1,320,000
利子込み法による。当社の決算日は3月31日である。(1)リース取引開始日、(2)決算日(×2年3月31日)の減価償却(リース期間を耐用年数とする定額法、残存価額ゼロ、月割計算、間接法)の仕訳をそれぞれ示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1リース資産1,440,000リース債務1,440,000
2減価償却費160,000リース資産減価償却累計額160,000

利子込み法なのでリース料総額¥1,440,000で計上し、見積現金購入価額は使いません。期中(8月1日)にリースを開始しているため、減価償却は8月から3月までの8か月分の月割計算となり、¥1,440,000÷6年×8か月/12か月=¥160,000です。また、利子込み法では利息を区分しないため、決算で未払利息を計上する必要はありません。本試験では12か月分の¥240,000で償却してしまう月割漏れが最も多いミスです。

第7章無形固定資産・研究開発費例題・演習 14問

形のない資産(のれん・特許権・ソフトウェア)の章です。償却は「直接法(残存価額ゼロ・定額法・月割)」の一本槍なので、覚えることは多くありません。第1問と第3問で確実に得点しましょう。

7-1 無形固定資産の全体像

科目中身償却期間
のれん他社を買収したときに支払った「ブランド力・顧客基盤」などへの上乗せ額20年以内の定額法
特許権発明を独占的に使う権利8年以内(問題文の指示に従う)
商標権商品名・ロゴを独占的に使う権利10年以内(同上)
ソフトウェア自社利用目的のソフトウェア5年以内の定額法
ソフトウェア
仮勘定
制作途中で支払った金額(完成前)償却しない(完成時にソフトウェアへ振替)
暗記 無形固定資産の償却は「直接法」 有形固定資産と違い、減価償却累計額を使いません。資産の金額を直接減らします。
のれん償却 / のれん ソフトウェア償却 / ソフトウェア 特許権償却 / 特許権
また残存価額はゼロ期中取得なら月割です。

7-2 のれん

図7-1 のれんはどこから生まれるか
支払った金額受け入れた純資産(資産-負債)の時価差額
¥5,000,000¥4,200,000のれん ¥800,000(資産)
¥3,800,000¥4,200,000負ののれん発生益 ¥400,000(収益・特別利益)
例題7-1 合併とのれん標準

X5年4月1日、当社は北海商事を吸収合併し、対価として当社の株式1,000株(時価@¥5,000)を交付した。全額を資本金とする。北海商事から引き継いだ資産・負債の時価は、諸資産¥7,800,000、諸負債¥3,600,000であった。

(1) 合併時の仕訳 (2) 決算(X6年3月31日)におけるのれんの償却(償却期間10年)

解答・解説を見る
Step1 のれんの計算
  • 交付株式の時価(=支払対価) = 1,000株 × @5,000 = ¥5,000,000
  • 受入純資産の時価 = 7,800,000 - 3,600,000 = ¥4,200,000
  • のれん = 5,000,000 - 4,200,000 = ¥800,000
No借方科目金額貸方科目金額
(1)諸資産
のれん
7,800,000
800,000
諸負債
資本金
3,600,000
5,000,000
(2)のれん償却80,000のれん80,000

のれん償却 = 800,000 ÷ 10年 = ¥80,000。P/Lでは販売費及び一般管理費に表示します。

注意のれんは「有償で取得した場合」だけ計上できます。自社で築き上げたブランド価値(自己創設のれん)は資産計上できません。

7-3 ソフトウェア

例題7-2 ソフトウェア仮勘定標準

当社(決算日3月31日)の取引である。

  1. X5年6月1日、自社利用目的のソフトウェアの制作をソフト会社に依頼し、契約総額¥3,000,000のうち手付金¥1,200,000を当座預金から支払った。
  2. X5年10月1日、ソフトウェアが完成し使用を開始した。残額¥1,800,000は翌月末払いとした。
  3. X6年3月31日、決算にあたり償却を行う(利用可能期間5年、定額法、月割)。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1ソフトウェア仮勘定1,200,000当座預金1,200,000
2ソフトウェア3,000,000ソフトウェア仮勘定
未払金
1,200,000
1,800,000
3ソフトウェア償却300,000ソフトウェア300,000
3の計算

年間償却額 = 3,000,000 ÷ 5年 = ¥600,000
使用開始はX5年10月1日 → 当期の使用期間は6か月 → 600,000 × 6/12 = ¥300,000

注意償却の起算点は「支払った日」ではなく「使用を開始した日」です。6月1日から10か月分と計算すると誤りになります。

7-4 研究開発費

POINT 研究開発費は全額「費用」 新製品の研究や開発にかかった支出は、将来収益を生むかどうかが不確実なので、支出した期に全額費用処理します。
研究開発目的でのみ使う機械や器具を購入した場合も、資産計上せず全額「研究開発費」とするのがポイントです。
例題7-3 研究開発費標準

(1) 新製品の研究開発に従事する研究員の給料¥1,500,000と、外部の研究機関への委託費¥800,000を当座預金から支払った。
(2) 研究開発目的でのみ使用する測定機器¥2,600,000を購入し、代金は翌月末払いとした。
(3) 【比較】製造にも使用する機械¥2,600,000を購入し、代金は翌月末払いとした。

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No借方科目金額貸方科目金額
(1)研究開発費2,300,000当座預金2,300,000
(2)研究開発費2,600,000未払金2,600,000
(3)機械装置2,600,000未払金2,600,000

(2)と(3)の違いに注目してください。「研究開発目的でのみ使用」=費用、「他の用途にも使える」=資産です。この一文が判断の分かれ目になります。

7-5 確認問題

確認問題7-1 無形固定資産の仕訳8問標準

決算日は3月31日、償却はすべて定額法・残存価額ゼロ・直接法・月割による。

  1. 特許権を¥2,400,000で取得し、当座預金から支払った(X5年4月1日)。
  2. 上記1について、決算(X6年3月31日)で償却する。償却期間は8年。
  3. X5年9月1日に商標権¥1,800,000を取得した。決算(X6年3月31日)で償却する。償却期間は10年。
  4. 他社を吸収合併し、諸資産¥12,000,000(時価)、諸負債¥7,500,000(時価)を引き継ぎ、対価として当社株式(時価総額¥6,000,000)を交付した。全額資本金とする。
  5. 上記4で生じたのれんを、決算にあたり20年で償却する(合併日は当期首)。
  6. 他社を吸収合併し、諸資産¥9,000,000(時価)、諸負債¥6,200,000(時価)を引き継ぎ、対価として現金¥2,500,000を支払った。
  7. 自社利用目的のソフトウェアの制作費として¥900,000を当座預金から支払った。まだ完成していない。
  8. 研究開発部門でのみ使用する実験装置¥1,700,000を小切手を振り出して購入した。
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No借方科目金額貸方科目金額
1特許権2,400,000当座預金2,400,000
2特許権償却300,000特許権300,000
3商標権償却105,000商標権105,000
4諸資産
のれん
12,000,000
1,500,000
諸負債
資本金
7,500,000
6,000,000
5のれん償却75,000のれん75,000
6諸資産9,000,000諸負債
現 金
負ののれん発生益
6,200,000
2,500,000
300,000
7ソフトウェア仮勘定900,000当座預金900,000
8研究開発費1,700,000当座預金1,700,000
計算の内訳
  • 2:2,400,000÷8年=300,000(期首取得なので12か月分)。
  • 3:1,800,000÷10年=180,000/年 → 9/1〜3/31の7か月分=180,000×7/12=105,000
  • 4:受入純資産=12,000,000-7,500,000=4,500,000。対価6,000,000-4,500,000=のれん1,500,000
  • 6:受入純資産=9,000,000-6,200,000=2,800,000。対価2,500,000のほうが小さい → 差額300,000は負ののれん発生益(特別利益)「負ののれん」という資産・負債の科目は作りません

合格演習 — 本試験レベルの追加5問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習7-1 のれんの計上標準

豊平商会は、大通商事の事業(諸資産の時価¥3,800,000・諸負債の時価¥1,300,000)を¥3,000,000で買収し、代金は小切手を振り出して支払った。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
諸資産¥3,800,000諸負債¥1,300,000
のれん¥500,000当座預金¥3,000,000
合計¥4,300,000合計¥4,300,000

受け入れた純資産(時価)¥2,500,000より高く払った差額がのれん。逆に安く買えた場合は「負ののれん発生益」(収益)です。

合格演習7-2 のれんの償却基本

当期首に計上したのれん¥500,000を、20年間にわたり定額法で月割償却する。決算時の仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
のれん償却¥25,000のれん¥25,000

のれんは20年以内に定額法等で償却します(直接控除)。「償却」科目で費用処理する点は無形固定資産に共通です。

合格演習7-3 ソフトウェアの取得と償却標準

自社利用目的のソフトウェア¥720,000を購入し、代金は翌月末払いとした。また、決算にあたり当期首に取得した別のソフトウェア¥600,000(利用可能期間5年、定額法)を償却する。それぞれの仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
① 購入時
ソフトウェア¥720,000未払金¥720,000
② 決算時(償却)
ソフトウェア償却¥120,000ソフトウェア¥120,000

自社利用ソフトウェアは無形固定資産に計上し、利用可能期間(原則5年以内)で償却。残存価額はゼロ、記帳は直接法です。

合格演習7-4 研究開発費の判定標準

次の支出のうち、「研究開発費」として費用処理すべきものをすべて選びなさい。
ア 新製品の基礎研究のための材料購入代 イ 研究専用に使用する測定機器の購入代(他の用途に転用できない) ウ 本社経理部で使うパソコンの購入代 エ 新技術の実験を外部機関へ委託した費用

解答・解説を見る

解答

ア・イ・エ

研究開発専用で他に転用できない固定資産は、取得時に全額研究開発費として費用処理します(イが引っかけポイント)。ウは通常の備品です。

合格演習7-5 特許権の取得基本

特許権を¥560,000で取得し、登録料等の付随費用¥40,000とともに小切手を振り出して支払った。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
特許権¥600,000当座預金¥600,000

付随費用は取得原価に含めます。特許権は8年で償却するのが一般的(問題の指示に従う)。有形固定資産と同じ「取得原価主義」です。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習7-X1 自社利用ソフトウェアの取得と償却標準

×1年4月1日、業務の効率化により将来の費用削減が確実と認められたため、自社利用目的のソフトウェアを¥900,000で購入し、導入にあたっての設定作業費¥60,000とともに代金は当座預金口座から支払った。(1)取得時の仕訳を示しなさい。(2)決算日(×2年3月31日)における償却(残存価額ゼロ、利用可能期間5年の定額法、記帳は直接法)の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1ソフトウェア960,000当座預金960,000
2ソフトウェア償却192,000ソフトウェア192,000

自社利用のソフトウェアは、将来の収益獲得または費用削減が確実な場合に無形固定資産として計上し、購入代価に導入のための設定作業費などの付随費用を加えた¥900,000+¥60,000=¥960,000が取得原価になります。償却は¥960,000÷5年=¥192,000で、無形固定資産なので残存価額ゼロ・直接法により記帳します。本試験では付随費用を費用処理してしまう誤りと、有形固定資産と同じように累計額勘定を使ってしまう誤りが多いので注意しましょう。

合格演習7-X2 ソフトウェア仮勘定からの振替と月割償却本試験レベル

当社は自社利用目的の基幹システムの開発を外部に依頼し、契約総額¥1,800,000のうち¥1,200,000は制作着手時に支払い、ソフトウェア仮勘定に計上している。×2年1月1日にシステムが完成して引渡しを受け、残額¥600,000は小切手を振り出して支払い、同日から使用を開始した。(1)完成・引渡時の仕訳を示しなさい。(2)決算日(×2年3月31日)における償却(利用可能期間5年、定額法、月割計算、直接法)の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1ソフトウェア1,800,000ソフトウェア仮勘定
当座預金
1,200,000
600,000
2ソフトウェア償却90,000ソフトウェア90,000

制作中に支払った金額はソフトウェア仮勘定に集計しておき、完成して使用を開始したときにソフトウェア勘定へ振り替えます。完成時に残額¥600,000を支払っているので、借方はソフトウェア¥1,800,000、貸方は仮勘定¥1,200,000と当座預金¥600,000です。償却は使用開始日(1月1日)からの3か月分の月割で、¥1,800,000÷5年×3か月/12か月=¥90,000となります。本試験では期首からの12か月で償却させるひっかけが頻出で、建設仮勘定と同じく仮勘定のままでは償却しない点もあわせて確認しておきましょう。

合格演習7-X3 研究開発費の範囲の判定本試験レベル

当期に次の支出を行い、代金はいずれも当座預金口座から支払った。それぞれの仕訳を示しなさい。
1.新製品の研究開発専用に使用する実験機械¥800,000を購入した(他の目的には転用できない)。
2.研究開発部門の研究員の当月分給料¥450,000を支払った。
3.新製品の試作品の製作費¥300,000を支払った。
4.研究開発部門でも使用するが、汎用性があり他の部門でも使用できるパソコン¥250,000を購入した。
5.他社が保有する特許権を¥600,000で買い取った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1研究開発費800,000当座預金800,000
2研究開発費450,000当座預金450,000
3研究開発費300,000当座預金300,000
4備品250,000当座預金250,000
5特許権600,000当座預金600,000

研究開発費になるかどうかは「研究開発のためにしか使えない支出か」で判定します。専用の実験機械・研究員の人件費・試作品の製作費は発生時に全額を研究開発費として費用処理します。一方、汎用性のあるパソコンは他の業務にも使えるので備品として資産計上し、特許権を外部から購入した支出は特許権(無形固定資産)になります。本試験では1のような「機械だから資産計上」という思い込みを突く出題が多く、専用機械は購入時に全額費用となる点が最重要ポイントです。

合格演習7-X4 のれんの計上と償却本試験レベル

×1年4月1日、当社はM社から同社の販売事業を譲り受け、対価¥3,900,000を当座預金口座から支払った。譲り受けた資産・負債の時価は、売掛金¥1,500,000、土地¥2,400,000、買掛金¥700,000である。(1)事業譲受時の仕訳を示しなさい。(2)決算日(×2年3月31日)において、のれんを10年間にわたり定額法で償却する仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売掛金
土地
のれん
1,500,000
2,400,000
700,000
買掛金
当座預金
700,000
3,900,000
2のれん償却70,000のれん70,000

事業を譲り受けたときは、受け入れた資産・負債を時価で計上し、支払対価との差額をのれんとします。純資産の時価は¥1,500,000+¥2,400,000−¥700,000=¥3,200,000で、対価¥3,900,000との差額¥700,000がのれんです。のれんは20年以内の定額法で償却し、本問では¥700,000÷10年=¥70,000をのれん償却として費用計上します。本試験ではのれんを算定させてから償却額まで問う形が定番で、引き受けた負債を純資産の計算から漏らす誤りが最も多いポイントです。

合格演習7-X5 特許権の取得と償却標準

×1年10月1日、特許権を¥1,520,000で取得し、出願・登録手続のための費用¥80,000とともに代金は当座預金口座から支払った。(1)取得時の仕訳を示しなさい。(2)決算日(×2年3月31日)における償却(償却期間8年、定額法、月割計算、直接法)の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1特許権1,600,000当座預金1,600,000
2特許権償却100,000特許権100,000

特許権の取得原価は購入代価に手続費用などの付随費用を加えた¥1,520,000+¥80,000=¥1,600,000です。償却は残存価額ゼロ・8年の定額法を月割で行い、10月1日から3月31日までの6か月分である¥1,600,000÷8年×6か月/12か月=¥100,000を特許権償却とします。記帳は直接法で特許権勘定を直接減額します。本試験では期中取得の月割を忘れて年額¥200,000で償却してしまう誤りが多い論点です。

第8章有価証券例題・演習 18問

図8-A 有価証券の4分類 ― 保有目的で評価が決まる
売買目的有価証券時価で評価差額 → 当期の損益(P/L)満期保有目的債券償却原価法差額 → 有価証券利息(P/L)子会社・関連会社株式取得原価のまま評価替えなしその他有価証券時価で評価差額 → 純資産に直入(B/S) 「なぜ持っているか」→「どう評価するか」→「差額はどこへ行くか」の3点セットで覚える
この章の重要度 第1問はもちろん、第2問で「有価証券の総合問題」として単独出題されることもある大型論点です。ポイントは4つの保有目的ごとに、期末の評価方法がまったく違うこと。この表を頭に叩き込むところから始めます。

8-1 保有目的による4分類 ― この表がすべて

分類B/S表示科目表示区分期末評価評価差額の行き先
売買目的
有価証券
有価証券流動資産時価有価証券評価益/評価損(P/L 営業外損益)
満期保有目的
債券
投資有価証券固定資産取得原価
(差額が金利調整なら償却原価
有価証券利息(P/L 営業外収益)
子会社株式
関連会社株式
関係会社株式固定資産取得原価
評価替えしない
その他
有価証券
投資有価証券固定資産時価その他有価証券評価差額金(B/S 純資産)
=P/Lを通さない!
暗記 評価差額の行き先だけ覚える 売買目的 → P/L(損益)その他有価証券 → B/S(純資産)満期保有 → 有価証券利息子会社・関連会社 → 何もしない
この4パターンの区別が、そのまま得点になります。

8-2 取得と売却

POINT 取得原価には購入手数料を含める

取得原価 = 購入代価 + 購入手数料

複数回に分けて取得した同一銘柄を売却する場合、払出単価は平均原価法で計算します。

例題8-1 取得と売却(平均原価法)標準

売買目的でA社株式を次のとおり取得した。その後、600株を1株¥720で売却し、代金は当座預金に入金された。売却時の仕訳を示しなさい。

  • 4月10日 400株を1株¥650で購入、購入手数料¥8,000を支払った
  • 6月20日 600株を1株¥700で購入、購入手数料¥12,000を支払った
解答・解説を見る
Step1 平均単価
  • 4/10 取得原価 = 400株×650 + 8,000 = ¥268,000
  • 6/20 取得原価 = 600株×700 + 12,000 = ¥432,000
  • 合計 1,000株 ¥700,000 → 平均単価 @¥700
Step2 売却
  • 売却価額 = 600株 × 720 = ¥432,000
  • 売却原価 = 600株 × 700 = ¥420,000
  • 売却益 = ¥12,000
借方科目金額貸方科目金額
当座預金432,000売買目的有価証券
有価証券売却益
420,000
12,000

売却手数料が別途かかる場合は、支払手数料として費用処理するか、売却益から控除するか問題文の指示に従います。

8-3 売買目的有価証券の期末評価

例題8-2 時価評価基本

決算にあたり、売買目的で保有する次の株式を時価評価する。

銘柄帳簿価額期末時価
B社株式620,000680,000
C社株式450,000410,000
解答・解説を見る

評価差額 = (680,000+410,000) - (620,000+450,000) = 1,090,000 - 1,070,000 = +¥20,000

借方科目金額貸方科目金額
売買目的有価証券20,000有価証券評価益20,000
注意 銘柄ごとに書くのか、合計で書くのか 答案用紙が1行しかないなら合計で相殺した純額を書きます。「銘柄ごとに評価する」という指示があれば、B社は評価益60,000、C社は評価損40,000と別々に計上します。指示を必ず確認してください。
切放法と洗替法 翌期首に評価差額を振り戻さないのが切放法、振り戻す(逆仕訳する)のが洗替法です。洗替法なら翌期首に有価証券評価益 20,000 / 売買目的有価証券 20,000を切ります。

8-4 満期保有目的債券と償却原価法

額面より安く(または高く)債券を買った場合、その差額が金利の調整と認められるときは、満期までの各期に少しずつ配分して額面に近づけていきます。これが償却原価法(2級は定額法)です。

図8-1 償却原価法のイメージ(取得価額960,000 → 額面1,000,000、5年)
時点取得時1年後2年後3年後4年後満期
帳簿価額960,000968,000976,000984,000992,0001,000,000
有価証券利息+8,000+8,000+8,000+8,000+8,000

毎期 (1,000,000-960,000)÷5年=¥8,000 ずつ帳簿価額を増やし、同額を有価証券利息(収益)とします。

例題8-3 償却原価法と端数利息応用

X5年8月1日、満期保有目的でD社社債(額面総額¥2,000,000、年利率2.19%、利払日5月末・11月末の年2回、償還日X10年7月31日)を、額面¥100につき¥97.00で購入し、端数利息とともに当座預金から支払った。前回利払日の翌日から購入日までは62日である(1年365日で計算)。決算日は3月31日、償却原価法(定額法・月割)による。

(1) 購入時の仕訳 (2) X6年3月31日の決算整理仕訳(償却原価法)

解答・解説を見る
Step1 購入価額と端数利息
  • 購入価額 = 2,000,000 × 97.00 ÷ 100 = ¥1,940,000
  • 端数利息 = 2,000,000 × 2.19% × 62 ÷ 365 = ¥7,440
  • 支払総額 = 1,940,000 + 7,440 = ¥1,947,440
No借方科目金額貸方科目金額
(1)満期保有目的債券
有価証券利息
1,940,000
7,440
当座預金1,947,440
(2)満期保有目的債券8,000有価証券利息8,000
Step2 償却原価法の計算
  • 額面と取得価額の差 = 2,000,000 - 1,940,000 = ¥60,000
  • 取得日から償還日まで = X5年8月1日〜X10年7月31日 = 60か月
  • 当期の保有月数 = X5年8月1日〜X6年3月31日 = 8か月
  • 60,000 × 8 ÷ 60¥8,000

決算後の満期保有目的債券の帳簿価額 = 1,940,000 + 8,000 = ¥1,948,000(B/Sの投資有価証券)。

POINT 端数利息は「有価証券利息のマイナス」 買い手は、前回利払日から購入日までの利息を売り手に立て替えて払います。次の利払日には半年分をまるごと受け取るので、払った端数利息を有価証券利息の借方に置いておけば、差引きでちょうど自分の保有期間分の利息だけが収益として残ります。
注意 端数利息を取得原価に含めない 端数利息¥7,440を満期保有目的債券に含めて¥1,947,440としてしまうミスが非常に多いです。端数利息は債券の値段ではなく「利息の立替払い」——ここを混同しないでください。

8-5 その他有価証券(全部純資産直入法)

POINT その他有価証券の3つのルール
  1. 期末に時価評価する
  2. 評価差額は損益にせず、「その他有価証券評価差額金」として純資産に直接計上する(全部純資産直入法)
  3. 翌期首に必ず「洗替え」(逆仕訳)をする ← 忘れやすい
例題8-4 その他有価証券(税効果あり)応用

決算にあたり、その他有価証券として保有するE社株式(取得原価¥800,000、期末時価¥900,000)を評価する。法定実効税率は30%であり、税効果会計を適用する。

(1) 決算整理仕訳 (2) 翌期首の再振替仕訳 (3) 【別解】期末時価が¥740,000だった場合の決算整理仕訳

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)その他有価証券100,000繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
30,000
70,000
(2)繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
30,000
70,000
その他有価証券100,000
(3)繰延税金資産
その他有価証券評価差額金
18,000
42,000
その他有価証券60,000
計算
  • (1) 評価差額 = 900,000 - 800,000 = +100,000(評価益なので繰延税金「負債」
     100,000 × 30% = 30,000(繰延税金負債) 残り 70,000 が評価差額金
  • (3) 評価差額 = 740,000 - 800,000 = △60,000(評価損なので繰延税金「資産」
     60,000 × 30% = 18,000(繰延税金資産) 残り 42,000 が評価差額金(借方=マイナスの純資産)
暗記 繰延税金資産か負債か 評価益(時価が上がった) → 繰延税金負債評価損(時価が下がった) → 繰延税金資産
「いま利益が出ている扱いだから、将来税金を払う=負債」と考えると迷いません。

8-6 利息・配当金の受取り

場面仕訳
社債の利払日に利息を受け取った当座預金 / 有価証券利息
期限到来後の公社債利札を切り取った現 金 / 有価証券利息
株式の配当金領収証を受け取った現 金 / 受取配当金
決算日と利払日がズレている未収有価証券利息 / 有価証券利息(見越計上)

8-7 確認問題

確認問題8-1 有価証券の仕訳10問標準

決算日は3月31日。法定実効税率は30%とする。

  1. 売買目的でF社株式800株を1株¥1,250で購入し、購入手数料¥20,000とともに当座預金から支払った。
  2. 上記1のF社株式のうち300株を1株¥1,320で売却し、代金は当座預金に入金された。
  3. 決算にあたり、売買目的で保有するG社株式(帳簿価額¥580,000、期末時価¥535,000)を評価替えする。
  4. 満期保有目的でH社社債(額面¥3,000,000)を額面¥100につき¥98.50で購入し、当座預金から支払った。
  5. 上記4について、決算で償却原価法(定額法)を適用する。当期の保有期間は12か月、償還までの残り期間は取得時から5年である。
  6. 子会社株式として I 社株式を¥4,000,000で取得し、当座預金から支払った。
  7. 決算にあたり、上記6の I 社株式の期末時価は¥3,600,000であった。必要な仕訳を示しなさい。
  8. 決算にあたり、その他有価証券として保有するJ社株式(取得原価¥1,200,000、期末時価¥1,350,000)を評価する(税効果会計を適用)。
  9. 上記8について、翌期首の再振替仕訳を示しなさい。
  10. 所有するK社社債の利札¥18,000の期限が到来した。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売買目的有価証券1,020,000当座預金1,020,000
2当座預金396,000売買目的有価証券
有価証券売却益
382,500
13,500
3有価証券評価損45,000売買目的有価証券45,000
4満期保有目的債券2,955,000当座預金2,955,000
5満期保有目的債券9,000有価証券利息9,000
6子会社株式4,000,000当座預金4,000,000
7仕訳なし(子会社株式は取得原価のまま。評価替えしない)
8その他有価証券150,000繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
45,000
105,000
9繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
45,000
105,000
その他有価証券150,000
10現 金18,000有価証券利息18,000
計算の内訳
  • 1:800株×1,250+20,000=1,020,000 → 平均単価 @1,275。
  • 2:売却価額 300×1,320=396,000/売却原価 300×1,275=382,500 → 売却益13,500
  • 4:3,000,000×98.50÷100=2,955,000。
  • 5:(3,000,000-2,955,000)÷5年=9,000帳簿価額を増やす(借方)方向です。
  • 7:ここが最重要のひっかけ。子会社株式・関連会社株式は時価が下がっても評価替えしません(著しい下落があった場合の減損は1級の範囲)。
  • 8:評価益150,000 → 繰延税金負債 150,000×30%=45,000、評価差額金 105,000。
確認問題8-2 有価証券の総合問題(第2問形式)応用

当社(決算日3月31日)の有価証券に関する資料は次のとおりである。当期末(X6年3月31日)の貸借対照表に計上される金額と、損益計算書に計上される金額を答えなさい。法定実効税率30%、税効果会計を適用する。

銘柄保有目的取得原価期末時価
L社株式売買目的720,000790,000
M社株式売買目的640,000595,000
N社社債満期保有目的1,880,0001,910,000
O社株式子会社株式5,000,0004,400,000
P社株式その他有価証券2,000,0002,240,000

N社社債は額面¥2,000,000、X5年4月1日に取得、償還日X10年3月31日(5年)。額面と取得価額の差は金利調整と認められるため償却原価法(定額法)を適用する。

解答・解説を見る
銘柄ごとの処理
銘柄処理B/S価額P/L・純資産への影響
L社時価評価790,000評価益 +70,000
M社時価評価595,000評価損 △45,000
N社償却原価法
(2,000,000-1,880,000)÷5=24,000
1,904,000有価証券利息 +24,000
O社評価替えなし5,000,000
P社時価評価(純資産直入)2,240,000繰延税金負債 72,000
評価差額金 168,000
解答
表示区分・科目金額
B/S 流動資産 有価証券(L+M)1,385,000
B/S 固定資産 投資有価証券(N+P)4,144,000
B/S 固定資産 関係会社株式(O)5,000,000
B/S 固定負債 繰延税金負債72,000
B/S 純資産 その他有価証券評価差額金168,000
P/L 営業外収益 有価証券評価益(70,000-45,000)25,000
P/L 営業外収益 有価証券利息24,000
この問題の落とし穴3つ
  1. O社(子会社株式)は時価が¥600,000下がっているが何もしない。ここで評価損を出すと連鎖的に全滅します。
  2. N社(満期保有)は時価¥1,910,000ではなく償却原価¥1,904,000で計上する。時価は使いません。
  3. P社(その他有価証券)の評価差額はP/Lに出さない。営業外収益に入れると誤りです。

合格演習 — 本試験レベルの追加5問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習8-1 売買目的有価証券の期末評価標準

決算日現在、売買目的で保有する上場株式(帳簿価額¥940,000、時価¥1,010,000)がある。決算整理仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
売買目的有価証券¥70,000有価証券評価益¥70,000

売買目的有価証券は時価法(評価差額は当期の損益)。翌期首に振り戻す方法(洗替法)と振り戻さない方法(切放法)があり、指示に従います。

合格演習8-2 満期保有目的債券(償却原価法)応用

当期首に、満期保有目的で額面¥2,000,000の社債(償還期間5年)を額面¥100につき¥97で購入し、代金は当座預金から支払った。決算時に定額法による償却原価法を適用する場合の、①取得時と②決算時の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
① 取得時
満期保有目的債券¥1,940,000当座預金¥1,940,000
② 決算時(償却原価法)
満期保有目的債券¥12,000有価証券利息¥12,000

取得価額と額面の差額¥60,000を償還期間5年で均等配分し、有価証券利息(収益)として帳簿価額に加算します。時価評価はしません。

合格演習8-3 その他有価証券の評価替え標準

決算日現在、その他有価証券として保有する株式(取得原価¥1,500,000、時価¥1,380,000)がある。全部純資産直入法(税効果は考慮しない)による決算整理仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
その他有価証券評価差額金¥120,000その他有価証券¥120,000

評価差額は損益にせず純資産の部へ直入します。翌期首には必ず振り戻します(洗替法のみ)。評価差益なら借方・貸方が逆になります。

合格演習8-4 端数利息付きの購入応用

手稲工業は、7月21日に売買目的で額面¥1,000,000の社債(利率年1.46%、利払日は6月末・12月末)を額面¥100につき¥98.50で購入し、代金は端数利息とともに小切手を振り出して支払った。端数利息は1年365日の日割計算(7月1日〜7月21日の21日分)とする。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
売買目的有価証券¥985,000当座預金¥985,840
有価証券利息¥840
合計¥985,840合計¥985,840

前回利払日の翌日から売買日までの利息¥840を売主に支払い、有価証券利息の借方に記入します。次回利払日に半年分を受け取ると差額が自分の保有期間分になります。

合格演習8-5 株式の売却(平均原価法)標準

売買目的で2回に分けて取得した同一銘柄の株式(1回目:200株を1株¥1,200、2回目:300株を1株¥1,450)のうち、300株を1株¥1,400で売却し、代金は月末に受け取ることとした。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
未収入金¥420,000売買目的有価証券¥405,000
有価証券売却益¥15,000
合計¥420,000合計¥420,000

平均単価=(240,000+435,000)÷500株=¥1,350。売却原価¥405,000と売価¥420,000の差額が売却益。有価証券の代金の未収は未収入金です。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習8-X1 売買目的有価証券の期末評価(切放法)本試験レベル

当期に売買目的でA社株式2,000株を1株¥750で取得し、代金は当座預金口座から支払済みである。決算日(×2年3月31日)におけるA社株式の時価は1株¥720であった。時価評価にあたっては切放法を採用している。(1)決算日の評価替えの仕訳を示しなさい。(2)翌期首(×2年4月1日)に必要な仕訳があれば示しなさい(不要な場合は「仕訳なし」と解答)。(3)×2年6月10日、A社株式のうち1,000株を1株¥765で売却し、代金は当座預金口座に入金された。売却時の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1有価証券評価損60,000売買目的有価証券60,000
3当座預金765,000売買目的有価証券
有価証券売却益
720,000
45,000

(2)翌期首:仕訳なし(切放法のため振戻しは行いません)。

売買目的有価証券は決算日に時価評価し、時価¥1,440,000(2,000株×¥720)と帳簿価額¥1,500,000の差額¥60,000を有価証券評価損とします。切放法では評価後の時価が新しい帳簿価額になるため、翌期首の再振替は行いません。したがって翌期の売却では1株¥720が原価となり、(¥765−¥720)×1,000株=¥45,000が売却益です。本試験では洗替法と切放法で翌期首の処理と売却損益が変わる点が狙われ、切放法なのに期首に振り戻してしまう誤りが典型的なミスです。

合格演習8-X2 満期保有目的債券と償却原価法本試験レベル

×1年10月1日、満期まで保有する目的でB社社債(額面総額¥2,000,000、利率年1.2%、利払日は3月末と9月末の年2回、償還日は×6年9月30日)を額面¥100につき¥97で取得し、代金は当座預金口座から支払った。額面金額と取得価額との差額は金利調整差額と認められるため、償却原価法(定額法)を月割で適用する。当社の決算日は3月31日である。(1)取得時、(2)×2年3月31日の利払日(利息が当座預金口座に入金)、(3)同日の決算時(償却原価法の適用)の仕訳をそれぞれ示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1満期保有目的債券1,940,000当座預金1,940,000
2当座預金12,000有価証券利息12,000
3満期保有目的債券6,000有価証券利息6,000

取得価額は¥2,000,000×97/100=¥1,940,000です。満期保有目的債券は時価評価せず、額面との差額¥60,000を取得日(×1年10月1日)から満期(×6年9月30日)までの60か月で配分し、当期は6か月分の¥6,000を帳簿価額に加算して有価証券利息を計上します。クーポン利息¥12,000(¥2,000,000×1.2%×6か月/12か月)とは別々に計上する点に注意してください。本試験では「償却原価法(定額法)を月割適用」の指示から月数を数え違えるミスが多発します。

合格演習8-X3 その他有価証券の評価と税効果本試験レベル

当社(決算日3月31日)は、長期利殖目的でC社株式を¥1,200,000で取得し、その他有価証券として保有している。決算日における時価は¥1,400,000であった。全部純資産直入法により、実効税率30%として税効果会計を適用する。(1)決算日の評価替えの仕訳、(2)翌期首の再振替仕訳をそれぞれ示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1その他有価証券200,000繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
60,000
140,000
2繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
60,000
140,000
その他有価証券200,000

その他有価証券は決算日に時価評価しますが、評価差額は損益とせず純資産に直入します(全部純資産直入法)。評価差額¥200,000に実効税率30%を掛けた¥60,000を繰延税金負債とし、残りの¥140,000がその他有価証券評価差額金です。翌期首には取得原価に戻す再振替仕訳を行います(洗替法)。本試験では評価差益なのに繰延税金資産としてしまう誤りと、翌期首の再振替を忘れる誤りが二大ポイントです。

合格演習8-X4 端数利息の日割計算本試験レベル

×1年8月24日、売買目的でD社社債(額面総額¥1,000,000、利率年7.3%、利払日は3月末と9月末の年2回)を額面¥100につき¥98.50で買い入れ、代金は端数利息とともに小切手を振り出して支払った。端数利息は、直前の利払日の翌日から売買当日までの期間について日割(1年=365日)で計算する。(1)購入時の仕訳を示しなさい。なお、4月1日から8月24日までは146日である。(2)×1年9月30日、利払日が到来し、半年分の利息が当座預金口座に入金された。この仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売買目的有価証券
有価証券利息
985,000
29,200
当座預金1,014,200
2当座預金36,500有価証券利息36,500

公社債を利払日の間に売買したときは、直前の利払日の翌日(4月1日)から売買当日(8月24日)までの経過利息(端数利息)を買主が売主に支払います。端数利息は¥1,000,000×7.3%×146日/365日=¥29,200で、有価証券利息の借方に計上します。9月30日の利払日には半年分¥36,500(¥1,000,000×7.3%×6か月/12か月)を受け取るので、差引¥7,300が当社の保有期間に対応する利息になります。本試験では日数を「利払日の翌日から売買当日まで」で数えることが最大のポイントで、起算日を誤ると解答がずれます。

合格演習8-X5 平均原価法による売却損益本試験レベル

売買目的で保有するE社株式について、×1年6月に2,000株を1株¥500で、×1年9月に3,000株を1株¥550で取得した(代金はいずれも当座預金口座から支払済み)。×1年11月、このうち3,000株を1株¥560で売却し、代金は当座預金口座に入金された。株式の払出単価の計算は平均原価法による。(1)×1年9月の追加取得時、(2)×1年11月の売却時の仕訳をそれぞれ示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売買目的有価証券1,650,000当座預金1,650,000
2当座預金1,680,000売買目的有価証券
有価証券売却益
1,590,000
90,000

同じ銘柄を複数回に分けて取得したときは、平均原価法で1株あたりの帳簿単価を求めます。(¥1,000,000+¥1,650,000)÷5,000株=平均単価¥530なので、売却分の帳簿価額は3,000株×¥530=¥1,590,000です。売却価額¥1,680,000との差額¥90,000が有価証券売却益になります。本試験では直近の取得単価¥550で計算させるひっかけが定番なので、必ず平均単価を出してから売却損益を計算しましょう。

合格演習8-X6 配当金領収証と社債利札基本

次の取引の仕訳を示しなさい。
(1) 保有するF社株式について、配当金領収証¥36,000が郵送されてきた。
(2) 保有するG社社債について、社債利札¥21,000の支払期日が到来した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1現金36,000受取配当金36,000
2現金21,000有価証券利息21,000

配当金領収証と支払期日が到来した社債利札は、金融機関に持ち込めばすぐに換金できる通貨代用証券なので、どちらも現金勘定で処理します。相手科目は株式の配当が受取配当金、社債の利札が有価証券利息です。本試験では「現金の範囲」を問う問題として頻出で、未収入金や受取利息としてしまう誤りが典型的なミスです。

合格演習8-X7 子会社株式・関連会社株式標準

×1年12月1日、当社は次の株式を取得し、代金はいずれも当座預金口座から支払った。
(1) H社を子会社とする目的で、同社の発行済株式総数の70%を¥3,500,000で取得した。
(2) I社への影響力の行使を目的として、同社の発行済株式総数の25%を¥1,200,000で取得した。
それぞれの取得時の仕訳を示しなさい。また、(3)決算日(×2年3月31日)におけるH社株式の時価は¥3,650,000、I社株式の時価は¥1,150,000であった。決算時に必要な仕訳があれば示しなさい(不要な場合は「仕訳なし」と解答)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1子会社株式3,500,000当座預金3,500,000
2関連会社株式1,200,000当座預金1,200,000

(3)決算時:仕訳なし。

発行済株式の過半数(本問は70%)を保有すると子会社株式、20%以上の保有(本問は25%)で重要な影響力をもつ場合は関連会社株式として区分します。どちらも支配や影響力の行使を目的とする長期保有なので、決算日に時価評価は行わず取得原価のまま据え置きます。したがって(3)は仕訳なしです。本試験では売買目的有価証券と並べて出題され、時価との差額をうっかり評価損益に計上してしまう誤りが狙われます。

第9章引当金例題・演習 17問

引当金は「まだ支払っていないが、将来の支出が今期の営業活動から生じている」ものを、今期の費用として先取りする仕組みです。貸倒引当金は第3問で毎回出題、賞与・退職給付・修繕・商品保証は第1問の仕訳で狙われます。

9-1 引当金の4要件

POINT この4つを全部満たすときだけ引当金を計上できる
  1. 将来の特定の費用または損失であること
  2. その発生が当期以前の事象に起因していること
  3. 発生の可能性が高いこと
  4. 金額を合理的に見積もることができること
引当金繰入時の費用科目P/Lの表示区分
貸倒引当金(営業債権)貸倒引当金繰入販売費及び一般管理費
貸倒引当金(営業外債権)貸倒引当金繰入営業外費用
賞与引当金賞与引当金繰入販売費及び一般管理費/製造原価
退職給付引当金退職給付費用(「繰入」ではない)販売費及び一般管理費/製造原価
修繕引当金修繕引当金繰入販売費及び一般管理費/製造原価
商品保証引当金商品保証引当金繰入販売費及び一般管理費
注意 退職給付引当金だけ費用科目名が違う 他はすべて「○○引当金繰入」なのに、退職給付だけは「退職給付費用」です。ここは第1問で狙われます。

9-2 貸倒引当金 ― 債権の区分と設定率

図9-1 債権の3区分と貸倒見積高の計算
区分どういう相手か貸倒見積高の計算
一般債権経営状態に重大な問題がない通常の相手債権金額 × 貸倒実績率(例:2%)
貸倒懸念債権経営破綻には至っていないが、履行に重大な問題が生じている相手(債権金額 - 担保処分見込額) × 設定率(例:50%)
破産更生債権等経営破綻または実質的に破綻している相手債権金額 - 担保処分見込額(全額
暗記 差額補充法

繰入額 = 当期の貸倒見積高 - 期末の貸倒引当金残高

残高のほうが大きければ、差額を貸倒引当金戻入(収益)として戻します。

例題9-1 貸倒引当金(区分あり)応用

決算にあたり、次の資料により貸倒引当金を設定する(差額補充法)。決算整理前の貸倒引当金残高は¥38,000である。

債権金額区分・条件
受取手形1,200,000一般債権(貸倒実績率2%)
売掛金(Q社を除く)1,800,000一般債権(貸倒実績率2%)
売掛金(Q社に対するもの)500,000貸倒懸念債権。担保処分見込額¥200,000を控除した残額の50%を設定
長期貸付金800,000一般債権(貸倒実績率1%)
解答・解説を見る
Step1 貸倒見積高
区分計算見積高
営業債権(一般)(1,200,000+1,800,000) × 2%60,000
営業債権(懸念)(500,000 - 200,000) × 50%150,000
営業外債権800,000 × 1%8,000
合計218,000
Step2 差額補充法による繰入額

218,000 - 38,000 = ¥180,000

借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金繰入180,000貸倒引当金180,000
得点戦略 P/Lでは2か所に分かれる 損益計算書を作らせる問題では、営業債権分(60,000+150,000=210,000相当)は販売費及び一般管理費、営業外債権分(8,000相当)は営業外費用に分けて表示します。期末残高の按分方法は問題文の指示に従ってください(多くは「貸付金に係る繰入額は営業外費用とする」等の指示があります)。
例題9-2 貸倒れの発生と回収標準

(1) 当期に発生した売掛金¥120,000が貸し倒れた。貸倒引当金残高は¥300,000である。
(2) 前期に発生した売掛金¥250,000が貸し倒れた。貸倒引当金残高は¥180,000である。
(3) 前期以前に貸倒処理していた売掛金¥90,000を現金で回収した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)貸倒損失120,000売掛金120,000
(2)貸倒引当金
貸倒損失
180,000
70,000
売掛金250,000
(3)現 金90,000償却債権取立益90,000
最重要 (1)と(2)の違い 当期に発生した債権が当期に貸し倒れた場合、貸倒引当金は使えません。引当金は「前期末に存在した債権」に対して積んだものだからです。当期発生 → 全額 貸倒損失前期以前発生 → まず引当金を取り崩す。第1問の頻出ひっかけです。

9-3 賞与引当金

「6月に支給する賞与は、12月〜5月の勤務に対するもの」というように、支給対象期間が決算をまたぐとき、当期に対応する月数分を引当金として計上します。

例題9-3 賞与引当金標準

当社(決算日3月31日)は、毎年6月10日と12月10日に賞与を支給している。6月支給の賞与は12月1日〜5月31日の勤務に対するもので、支給見込額は¥3,600,000である。

(1) X6年3月31日の決算整理仕訳 (2) X6年6月10日に賞与¥3,700,000を現金で支給したときの仕訳

解答・解説を見る
Step1 当期負担分

支給対象期間 12/1〜5/31 = 6か月。うち当期(〜3/31)に属するのは 12月・1月・2月・3月の4か月
3,600,000 × 4/6 = ¥2,400,000

No借方科目金額貸方科目金額
(1)賞与引当金繰入2,400,000賞与引当金2,400,000
(2)賞与引当金
賞 与
2,400,000
1,300,000
現 金3,700,000

支給時はまず引当金を全額取り崩し、超過分だけを当期の費用(賞与)とします。3,700,000 - 2,400,000 = ¥1,300,000。

9-4 退職給付引当金

図9-2 退職給付引当金の動き
退職給付引当金(負債)
退職金の支給(減少)
次期繰越
前期繰越
退職給付費用(繰入)(増加)

積み立てておいた引当金から退職金を支払うイメージです。支給時に「退職金」という費用は計上しません(引当金の範囲内であれば)。

例題9-4 退職給付引当金標準

(1) 決算にあたり、当期の退職給付費用¥1,800,000を計上する。
(2) 従業員が退職し、退職一時金¥2,500,000を当座預金から支払った。退職給付引当金の残高は十分にある。
(3) 【比較】外部の年金基金に掛金¥600,000を現金で拠出した(退職給付引当金を計上している場合)。

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No借方科目金額貸方科目金額
(1)退職給付費用1,800,000退職給付引当金1,800,000
(2)退職給付引当金2,500,000当座預金2,500,000
(3)退職給付引当金600,000現 金600,000

(3)の掛金拠出も、引当金の取り崩しとして処理します(費用にしません)。

9-5 修繕引当金・商品保証引当金

例題9-5 修繕引当金と商品保証引当金標準

(1) 決算にあたり、翌期に予定されている機械の定期修繕に備えて修繕引当金¥700,000を設定する。
(2) 翌期に修繕を行い、代金¥820,000を小切手を振り出して支払った。
(3) 決算にあたり、当期の売上高¥40,000,000について、過去の実績にもとづき0.5%の商品保証引当金を設定する。
(4) 前期に販売した商品について無償修理を行い、費用¥130,000を現金で支払った。商品保証引当金の残高は¥180,000である。
(5) 前期に設定した商品保証引当金のうち¥50,000について、保証期間が満了した。

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No借方科目金額貸方科目金額
(1)修繕引当金繰入700,000修繕引当金700,000
(2)修繕引当金
修繕費
700,000
120,000
当座預金820,000
(3)商品保証引当金繰入200,000商品保証引当金200,000
(4)商品保証引当金130,000現 金130,000
(5)商品保証引当金50,000商品保証引当金戻入50,000
  • (3):40,000,000 × 0.5% = ¥200,000。
  • (5):保証期間が過ぎて不要になった引当金は戻入(収益)として取り崩します。
注意 有償保証(延長保証)と混同しない 無償の品質保証は商品保証引当金ですが、追加料金をもらう延長保証は「契約負債」です(第2章 2-11参照)。収益認識基準の適用で扱いが分かれた論点なので、問題文が「無償」か「有償(別途料金)」かを必ず確認してください。

9-6 確認問題

確認問題9-1 引当金の仕訳10問標準
  1. 決算において、売掛金¥2,500,000と受取手形¥1,500,000(いずれも一般債権)に対し2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。貸倒引当金残高は¥52,000である。
  2. 決算において、R社に対する売掛金¥800,000(貸倒懸念債権)について、担保処分見込額¥300,000を控除した残額の50%の貸倒引当金を設定する。
  3. 当期に販売した商品の売掛金¥95,000が貸し倒れた。貸倒引当金残高は¥400,000である。
  4. 前期に販売した商品の売掛金¥320,000が貸し倒れた。貸倒引当金残高は¥250,000である。
  5. 前々期に貸倒処理した売掛金¥60,000を当座預金に回収した。
  6. 決算において、6月支給予定の賞与(支給対象期間12月〜5月、支給見込額¥5,400,000)について引当金を設定する。決算日は3月31日。
  7. 賞与¥5,500,000を現金で支給した。賞与引当金の残高は¥3,600,000である。
  8. 決算にあたり、当期の退職給付費用¥2,200,000を計上する。
  9. 従業員の退職に伴い、退職一時金¥1,900,000を当座預金から支払った(引当金残高は十分)。
  10. 決算にあたり、当期売上高¥60,000,000の0.4%を商品保証引当金として設定する。商品保証引当金の残高はない。
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No借方科目金額貸方科目金額
1貸倒引当金繰入28,000貸倒引当金28,000
2貸倒引当金繰入250,000貸倒引当金250,000
3貸倒損失95,000売掛金95,000
4貸倒引当金
貸倒損失
250,000
70,000
売掛金320,000
5当座預金60,000償却債権取立益60,000
6賞与引当金繰入3,600,000賞与引当金3,600,000
7賞与引当金
賞 与
3,600,000
1,900,000
現 金5,500,000
8退職給付費用2,200,000退職給付引当金2,200,000
9退職給付引当金1,900,000当座預金1,900,000
10商品保証引当金繰入240,000商品保証引当金240,000
計算の内訳
  • 1:(2,500,000+1,500,000)×2%=80,000 → 80,000-52,000=28,000
  • 2:(800,000-300,000)×50%=250,000担保処分見込額を先に引くのがポイント。
  • 3と4:当期発生か前期以前発生かで処理が変わる。3は引当金を使えません。
  • 6:12月〜5月の6か月のうち当期は12〜3月の4か月 → 5,400,000×4/6=3,600,000
  • 10:60,000,000×0.4%=240,000
第5章〜第9章のまとめ ― 第3問での出方 決算整理の定番8項目のうち、減価償却(第5章)・貸倒引当金(第9章)・有価証券の評価(第8章)の3つはほぼ毎回出ます。この3つだけで第3問の配点の半分近くを占めることも珍しくありません。「売上原価・貸倒引当金・減価償却・経過勘定」の4点セットを最優先で仕上げる——これが第3問の攻略ルートです。

合格演習 — 本試験レベルの追加5問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習9-1 貸倒引当金(差額補充法)基本

決算日現在の売掛金残高は¥2,400,000、受取手形残高は¥1,600,000であり、期末債権残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。貸倒引当金の決算整理前残高は¥50,000である。決算整理仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
貸倒引当金繰入¥30,000貸倒引当金¥30,000

設定額80,000−残高50,000=繰入30,000。残高が設定額を上回るときは「貸倒引当金戻入」(収益)です。

合格演習9-2 個別評価と一括評価応用

期末売掛金残高¥3,000,000のうち、甲社に対する¥400,000については回収可能性に問題があるため50%、その他の債権については2%の貸倒引当金を設定する(差額補充法、決算整理前残高¥60,000)。決算整理仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
貸倒引当金繰入¥192,000貸倒引当金¥192,000

個別分200,000+一括分52,000=設定額252,000。個別評価分を除いた残りに一括の率を掛けるのがポイントです。

合格演習9-3 貸倒れの処理標準

得意先の倒産により、売掛金¥180,000が回収不能となった。このうち¥130,000は前期の販売から生じたもの、¥50,000は当期の販売から生じたものである。貸倒引当金の残高は¥100,000である。仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
貸倒引当金¥100,000売掛金¥180,000
貸倒損失¥80,000
合計¥180,000合計¥180,000

引当金を充当できるのは前期以前に発生した債権のみ。前期分130,000のうち100,000は引当金、超過30,000と当期分50,000は貸倒損失です。

合格演習9-4 償却債権取立益基本

前期に貸倒れとして処理済みの売掛金のうち、¥70,000を現金で回収した。仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
現金¥70,000償却債権取立益¥70,000

過年度に償却済みの債権を回収したときは、貸倒引当金を戻すのではなく償却債権取立益(収益)で処理します。

合格演習9-5 費用性引当金標準

決算にあたり、①従業員賞与の当期負担分¥850,000、②翌期に予定する建物修繕の当期負担分¥300,000、③当期に販売した商品の無償保証見込額¥120,000をそれぞれ引き当てる。決算整理仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
① 賞与引当金
賞与引当金繰入¥850,000賞与引当金¥850,000
② 修繕引当金
修繕引当金繰入¥300,000修繕引当金¥300,000
③ 商品保証引当金
商品保証引当金繰入¥120,000商品保証引当金¥120,000

いずれも「当期の負担に属する費用の見積計上」。繰入(費用)/引当金(負債)の型は共通で、科目名を正確に書けるかが勝負です。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習9-X1 貸倒引当金の設定と区分表示本試験レベル

決算(3月31日)において、受取手形¥800,000および売掛金¥1,200,000に対しては2%、貸付金¥1,000,000に対しては3%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。決算整理前残高試算表の貸倒引当金は¥25,000であり、全額が営業債権に対して設定されたものである。決算整理仕訳を示すとともに、損益計算書に表示される貸倒引当金繰入の金額を、販売費及び一般管理費の区分と営業外費用の区分に分けて計算しなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金繰入45,000貸倒引当金45,000

損益計算書の表示:販売費及び一般管理費の区分に貸倒引当金繰入¥15,000、営業外費用の区分に貸倒引当金繰入¥30,000。

まず債権ごとに設定額を計算します。営業債権(受取手形+売掛金)は¥2,000,000×2%=¥40,000、営業外債権の貸付金は¥1,000,000×3%=¥30,000で合計¥70,000です。差額補充法なので残高¥25,000を差し引いた¥45,000を繰り入れます。損益計算書では、営業債権に対する繰入¥15,000(¥40,000−¥25,000)は販売費及び一般管理費、貸付金に対する繰入¥30,000は営業外費用と区分表示する点が、本試験の財務諸表作成問題で最も狙われるポイントです。

合格演習9-X2 個別評価と一括評価の併用本試験レベル

決算(3月31日)において、売掛金の期末残高¥2,500,000のうち、K社に対する売掛金¥500,000については回収に懸念があるため、担保処分見込額¥200,000を控除した残額の50%を貸倒引当金として個別に設定する。その他の売掛金については、期末残高に対して2%を一括して設定する。決算整理前残高試算表の貸倒引当金は¥40,000である。差額補充法による決算整理仕訳を示しなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金繰入150,000貸倒引当金150,000

回収懸念のある債権は個別に、それ以外は一括して見積もります。K社分は(¥500,000−¥200,000)×50%=¥150,000、その他は(¥2,500,000−¥500,000)×2%=¥40,000で、設定額の合計は¥190,000です。差額補充法により¥190,000−¥40,000=¥150,000を繰り入れます。本試験では個別評価分の売掛金を一括評価の母集団からも二重に含めてしまう誤りが最も多いので、必ず母集団から除外しましょう。

合格演習9-X3 貸倒れの処理と償却債権取立益標準

次の各取引の仕訳を示しなさい。
1.前期に発生した売掛金¥180,000が貸し倒れた。貸倒引当金の残高は¥150,000である。
2.当期に発生した売掛金¥120,000が貸し倒れた。貸倒引当金の残高は十分にある。
3.前期に貸倒れとして処理した売掛金のうち¥50,000を、当期に現金で回収した。

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No借方科目金額貸方科目金額
1貸倒引当金
貸倒損失
150,000
30,000
売掛金180,000
2貸倒損失120,000売掛金120,000
3現金50,000償却債権取立益50,000

貸倒れの処理は債権の発生時期で決まります。前期以前に発生した債権は貸倒引当金を優先的に充当し、不足額¥30,000だけを貸倒損失とします。当期に発生した債権は前期末の引当金の設定対象になっていないため、残高があっても全額貸倒損失です。前期に貸倒処理済みの債権を回収したときは償却債権取立益(収益)で処理し、売掛金を復活させない点がポイントです。本試験の第1問ではこの3パターンの区別がそのまま出題されます。

合格演習9-X4 修繕引当金と資本的支出本試験レベル

次の一連の取引の仕訳を示しなさい。
(1) 決算において、機械装置の定期修繕に備えて修繕引当金¥400,000を繰り入れる。
(2) 翌期、機械装置の修繕工事が完了し、代金¥1,000,000は小切手を振り出して支払った。このうち¥360,000は機械の性能を向上させる改良のための支出(資本的支出)と認められ、残額は通常の機能維持のための支出である。修繕引当金の残高¥400,000は全額これに充当する。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1修繕引当金繰入400,000修繕引当金400,000
2機械装置
修繕引当金
修繕費
360,000
400,000
240,000
当座預金1,000,000

支出¥1,000,000をまず資本的支出(改良分¥360,000は機械装置の取得原価に加算)と収益的支出(通常の修繕¥640,000)に分けます。次に収益的支出の部分に修繕引当金¥400,000を充当し、超過額¥240,000を修繕費とします。本試験では改良部分にまで引当金を充当してしまう誤りが典型的なひっかけで、引当金はあくまで「修繕」に備えた引当てである点を押さえましょう。

合格演習9-X5 商品保証引当金の設定・取崩し・戻入標準

次の一連の取引の仕訳を示しなさい。当社の決算日は3月31日である。
(1) 決算(×2年3月31日)において、当期の売上高¥8,000,000に対して1%の商品保証引当金を設定する。
(2) ×2年7月、前期に販売した商品について無償修理の申出があり、修理費用¥62,000を現金で支払った。
(3) ×3年3月31日、保証期間(販売後1年)が経過したため、商品保証引当金の残額を全額取り崩す。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1商品保証引当金繰入80,000商品保証引当金80,000
2商品保証引当金62,000現金62,000
3商品保証引当金18,000商品保証引当金戻入18,000

商品保証引当金は、当期の売上に対して翌期以降に見込まれる無償修理費用を当期の費用として見積もる引当金です(¥8,000,000×1%=¥80,000)。翌期に実際に保証を行ったときは引当金を取り崩し、保証期間の経過後に残った¥80,000−¥62,000=¥18,000は商品保証引当金戻入(収益)とします。本試験では、翌期の修理費用を当期の費用としてしまう誤りと、期間経過後の残額を放置して戻入を忘れる誤りが狙われます。

合格演習9-X6 賞与引当金と退職給付引当金本試験レベル

次の一連の取引の仕訳を示しなさい。当社の決算日は3月31日である。
(1) 決算において、翌期の6月10日に支給予定の従業員賞与¥1,800,000(支給対象期間:12月1日から5月31日)のうち、当期負担分を月割で賞与引当金に計上する。
(2) 決算において、退職給付の当期発生額¥350,000を見積計上する。
(3) ×2年6月10日、賞与¥1,800,000を当座預金口座から支給した。
(4) ×2年9月30日、従業員の退職にともない退職一時金¥900,000を当座預金口座から支払った。なお、退職給付引当金の残高は¥2,400,000である。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1賞与引当金繰入1,200,000賞与引当金1,200,000
2退職給付費用350,000退職給付引当金350,000
3賞与引当金
賞与
1,200,000
600,000
当座預金1,800,000
4退職給付引当金900,000当座預金900,000

賞与引当金は支給対象期間のうち当期に属する分を月割で見積もります。12月から5月の6か月のうち当期分は12月〜3月の4か月なので¥1,800,000×4か月/6か月=¥1,200,000です。支給時は引当金¥1,200,000を取り崩し、翌期負担分の¥600,000は賞与(費用)とします。退職給付引当金は繰入時に退職給付費用を計上し、退職金の支払時に引当金を取り崩します。本試験では支給額全額を賞与勘定にしてしまう誤りが最も多いポイントです。

第10章外貨建取引例題・演習 16問

ドル建てで取引したときの円換算の章です。覚えるのは「いつのレートで換算するか」だけ。ルールは3つしかありません。第1問と第3問(決算整理)で狙われます。

10-1 3つのレートと換算のルール

略号名称使う場面
HR取引時の為替相場
Historical Rate
取引が発生したときの換算
CR決算時の為替相場
Current Rate
決算日に貨幣項目だけを換算替え
FR先物為替相場
Forward Rate
為替予約を付した場合の換算
図10-1 決算時に換算替えするもの・しないもの
換算替えする(貨幣項目)
  • 外貨建の現金・預金
  • 売掛金・受取手形・未収入金
  • 買掛金・支払手形・未払金
  • 貸付金・借入金

→ 差額は為替差損益(P/L 営業外)

換算替えしない(非貨幣項目)
  • 前払金(手付金の支払い)
  • 前受金・契約負債(手付金の受取り)
  • 商品・棚卸資産
  • 固定資産

→ 取得時のレート(HR)のまま

暗記 「お金でもらう・お金で払う」ものだけ換算替え 前払金は「商品を受け取る権利」であって、お金が返ってくるわけではありません。だから前払金・前受金(契約負債)は決算で換算替えしない——ここが最頻出のひっかけです。

10-2 取引発生時・決済時・決算時

例題10-1 一連の流れ標準

当社(決算日3月31日)の取引である。

  1. X6年2月10日、米国の仕入先から商品 $5,000 を掛けで輸入した。直物為替相場は1ドル¥140。
  2. X6年3月5日、上記の買掛金のうち $3,000 を当座預金から支払った。直物為替相場は1ドル¥143。
  3. X6年3月31日、決算をむかえた。残りの買掛金 $2,000 について換算替えを行う。決算日の直物為替相場は1ドル¥145。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入700,000買掛金700,000
2買掛金
為替差損益
420,000
9,000
当座預金429,000
3為替差損益10,000買掛金10,000
計算
  • 1:$5,000 × 140 = ¥700,000
  • 2:買掛金の減少は取引時レートで $3,000 × 140 = 420,000。実際の支払額は $3,000 × 143 = 429,000。差額9,000は円安により余分に払った分 → 為替差損
  • 3:残り $2,000。帳簿価額 $2,000×140 = 280,000 → 決算日 $2,000×145 = 290,000。負債が10,000増える=損
POINT 為替差損益の符号を間違えないコツ 円安(レート上昇)のとき:資産は得、負債は損円高(レート下落)のとき:資産は損、負債は得
ドル建ての借金は、円安になると返す円が増えるので損——と現実の感覚で考えれば迷いません。
例題10-2 前払金がある場合応用

(1) X6年1月20日、商品 $10,000 の輸入契約を結び、手付金 $2,000 を当座預金から支払った。直物為替相場は1ドル¥142。
(2) X6年2月25日、商品が到着し、残額 $8,000 は掛けとした。直物為替相場は1ドル¥146。
(3) X6年3月31日、決算をむかえた。決算日の直物為替相場は1ドル¥150。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)前払金284,000当座預金284,000
(2)仕 入1,452,000前払金
買掛金
284,000
1,168,000
(3)為替差損益32,000買掛金32,000
計算
  • (1):$2,000 × 142 = 284,000
  • (2):買掛金 $8,000 × 146 = 1,168,000。仕入の金額は「前払金284,000 + 買掛金1,168,000 = 1,452,000」。$10,000 × 146 = 1,460,000 としてはいけません。前払金は支払時のレートで固定されているからです。
  • (3):買掛金 $8,000 のみ換算替え。$8,000 × (150 - 146) = 32,000 の為替差損前払金はすでに消滅しているので関係ありません

10-3 為替予約(振当処理)

将来の為替レートをあらかじめ銀行と約束しておくのが為替予約です。2級では振当処理——つまり予約レート(FR)で債権債務を固定してしまう方法を学びます。

図10-2 為替予約のタイミングによる2パターン
① 取引と同時(または取引前)に予約

最初から予約レート(FR)で取引を記帳する。
以後、決算でも決済でも換算替えは不要
為替差損益は発生しない。

② 取引の後で予約

すでに帳簿にある金額を、予約レート(FR)に付け替える
帳簿価額との差額を為替差損益で処理する。
以後、決算で換算替えは不要

いずれの場合も「予約を付けたら、その後は決算日レートで換算し直さない」のが最大のポイントです。

例題10-3 取引後に為替予約を付した場合応用

当社(決算日3月31日)の取引である。

  1. X6年2月1日、商品 $4,000 を掛けで輸出した。直物為替相場は1ドル¥140。
  2. X6年3月1日、上記の売掛金について、決済日(X6年4月30日)を期日とする為替予約を行った。先物為替相場は1ドル¥137。振当処理による。
  3. X6年3月31日、決算をむかえた。決算日の直物為替相場は1ドル¥144。
  4. X6年4月30日、売掛金を決済し、当座預金に入金された。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売掛金560,000売 上560,000
2為替差損益12,000売掛金12,000
3仕訳なし(為替予約により固定済みのため換算替えしない)
4当座預金548,000売掛金548,000
計算
  • 1:$4,000 × 140 = 560,000
  • 2:予約レートによる金額 = $4,000 × 137 = 548,000。帳簿の560,000より12,000 少ない → 売掛金を減らし、為替差損12,000を計上
  • 3決算日レート¥144は使いません。ここで換算替えしてしまうのが最大のミスです
  • 4:予約レートどおりに¥548,000が入金される
深掘り 直々差額・直先差額の区分について 本来、取引後に予約した場合の差額は「直々差額(予約日の直物と取引日の直物の差=当期の損益)」と「直先差額(予約日の直物と先物の差=決済日までの期間配分)」に分けます。ただし2級では簡便的に全額を予約時の為替差損益として一括処理する形で出題されます。問題文に配分の指示がある場合のみ、指示に従ってください。

10-4 確認問題

確認問題10-1 外貨建取引の仕訳8問標準

決算日は3月31日。

  1. 商品 $6,000 を掛けで輸入した。直物為替相場は1ドル¥138。
  2. 上記1の買掛金全額を当座預金から支払った。直物為替相場は1ドル¥135。
  3. 商品 $9,000 を掛けで輸出した。直物為替相場は1ドル¥141。
  4. 決算をむかえた。上記3の売掛金は未決済である。決算日の直物為替相場は1ドル¥147。
  5. 商品 $12,000 の輸入契約を結び、手付金 $3,000 を当座預金から支払った。直物為替相場は1ドル¥140。
  6. 上記5の商品が到着し、残額 $9,000 は掛けとした。直物為替相場は1ドル¥144。
  7. 売掛金 $5,000(取引時レート1ドル¥139)について、先物為替相場1ドル¥136で為替予約を行った(振当処理、取引後の予約)。
  8. 決算をむかえた。上記7の売掛金は未決済である。決算日の直物為替相場は1ドル¥148。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入828,000買掛金828,000
2買掛金828,000当座預金
為替差損益
810,000
18,000
3売掛金1,269,000売 上1,269,000
4売掛金54,000為替差損益54,000
5前払金420,000当座預金420,000
6仕 入1,716,000前払金
買掛金
420,000
1,296,000
7為替差損益15,000売掛金15,000
8仕訳なし
計算の内訳
  • 1:$6,000×138=828,000 2:支払額 $6,000×135=810,000。円高になって支払いが少なくて済んだ → 為替差益18,000
  • 3:$9,000×141=1,269,000 4:$9,000×(147-141)=54,000の為替差益(資産+円安=得)。
  • 6:仕入=前払金420,000+買掛金($9,000×144=1,296,000)=1,716,000
  • 7:$5,000×(139-136)=15,000の為替差損。8:予約済みなので決算日レート¥148は無視

合格演習 — 本試験レベルの追加5問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習10-1 輸入取引(取引時・決済時)標準

北星商事は、①米国の仕入先から商品1,000ドルを掛けで輸入し(取引時レート:1ドル¥148)、②1か月後に買掛金1,000ドルを当座預金から支払った(決済時レート:1ドル¥151)。それぞれの仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
① 輸入時(レート148円)
仕入¥148,000買掛金¥148,000
② 決済時(レート151円)
買掛金¥148,000当座預金¥151,000
為替差損益¥3,000
合計¥151,000合計¥151,000

取引時のレートで記帳し、決済時の差額は為替差損益。円安(148→151)での支払いは損になります。輸出(売掛金)なら逆に益です。

合格演習10-2 決算時の換算標準

決算日現在、外貨建ての売掛金2,000ドル(取引時レート:1ドル¥145)と前受金500ドル(受取時レート:1ドル¥143)がある。決算時レートは1ドル¥150である。必要な決算整理仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
売掛金¥10,000為替差損益¥10,000

換算替えするのは貨幣項目(外国通貨・売掛金・買掛金など)のみ。前受金・前払金は「もうお金が動かない」非貨幣項目なので換算しません。ここが最頻出の引っかけです。

合格演習10-3 為替予約(振当処理)応用

円山物産は、商品3,000ドルの輸入と同時に、買掛金3,000ドル(取引時レート:1ドル¥147)について1ドル¥149で為替予約を行い、振当処理を採用した。①取引・予約時の仕訳を示し、②決算時レートが1ドル¥153のときの決算整理仕訳を答えなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
仕入¥447,000買掛金¥447,000

解答

仕訳なし

取引と同時の予約(振当処理)では、予約レートで換算した額をそのまま用います。以後レートが動いても換算替えは不要——「予約で金額が確定している」からです。

合格演習10-4 外貨建取引の総合計算応用

当期の外貨建取引は次のとおり。決算日レートは1ドル¥152。当期の為替差損益(純額)を求めなさい。
・売掛金4,000ドル発生(レート¥146)、うち2,500ドルは期中に決済(レート¥150)
・残り1,500ドルは期末現在未決済

解答・解説を見る

解答

為替差益 ¥19,000(決済益10,000+換算益9,000)

決済分:2,500ドル×(150−146)=10,000の益。未決済分:1,500ドル×(152−146)=9,000の益。決済損益と換算損益はまとめて「為替差損益」1本で表示します。

合格演習10-5 輸出取引と前受金標準

手稲商会は、米国の得意先へ商品2,000ドルを輸出するにあたり、①事前に手付金500ドルを現金で受け取り(レート¥144)、②後日、商品を発送して残額1,500ドルを掛けとした(レート¥149)。②の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
前受金¥72,000売上¥295,500
売掛金¥223,500
合計¥295,500合計¥295,500

前受金は受取時のレートのまま充当し、掛け部分だけ売上時のレートで換算します。売上高は2つの合計になります。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習10-X1 輸入取引の一連の流れ本試験レベル

次の一連の取引の仕訳を示しなさい。商品売買の記帳は三分法による。
(1) ×2年2月1日、米国のJ社から商品10,000ドルを輸入する契約を結び、前払金2,000ドルを当座預金口座から送金した(為替相場:1ドル¥140)。
(2) ×2年2月15日、J社から商品10,000ドルを受け取り、前払金を差し引いた残額を掛けとした(為替相場:1ドル¥142)。
(3) ×2年3月10日、買掛金8,000ドルを当座預金口座から送金して決済した(為替相場:1ドル¥145)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1前払金280,000当座預金280,000
2仕入1,416,000前払金
買掛金
280,000
1,136,000
3買掛金
為替差損益
1,136,000
24,000
当座預金1,160,000

外貨建取引は原則として取引発生時の為替相場で換算します。前払金は支払時の¥140で確定しているため換算し直さず、仕入は前払金¥280,000+残額8,000ドル×¥142=¥1,416,000となります。決済時は帳簿上の買掛金¥1,136,000と実際の支払額8,000ドル×¥145=¥1,160,000との差額¥24,000を為替差損益(差損)とします。本試験では仕入全額を取引日の¥142で換算してしまう誤りが最頻出で、前払金部分は動かさないことが最大のポイントです。

合格演習10-X2 輸出取引の一連の流れ本試験レベル

次の一連の取引の仕訳を示しなさい。商品売買の記帳は三分法による。
(1) ×2年1月20日、米国のK社へ商品20,000ドルを輸出する契約を結び、前受金5,000ドルを受け取り当座預金口座に入金した(為替相場:1ドル¥138)。
(2) ×2年2月10日、K社へ商品20,000ドルを発送し、前受金を差し引いた残額を掛けとした(為替相場:1ドル¥141)。
(3) ×2年3月25日、売掛金15,000ドルを回収し、当座預金口座に入金した(為替相場:1ドル¥139)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1当座預金690,000前受金690,000
2前受金
売掛金
690,000
2,115,000
売上2,805,000
3当座預金
為替差損益
2,085,000
30,000
売掛金2,115,000

輸出取引も輸入と同じく、前受金は受取時の¥138のまま動かしません。売上は前受金¥690,000+残額15,000ドル×¥141=¥2,805,000です。回収時は売掛金の帳簿価額¥2,115,000に対して入金額が15,000ドル×¥139=¥2,085,000なので、差額¥30,000が為替差損になります。本試験では円高(相場の下落)のとき外貨建ての債権側は差損になるという方向感覚も問われるので、金額だけでなく損益の向きも確認しましょう。

合格演習10-X3 決算時の換算替えの判定本試験レベル

決算日(×2年3月31日)における為替相場は1ドル¥143である。次の各項目について、決算時に必要な換算替えの仕訳を示しなさい。換算替えが不要な項目は「仕訳なし」と解答すること。
1.売掛金6,000ドル(発生時の為替相場:1ドル¥140)
2.買掛金4,000ドル(発生時の為替相場:1ドル¥141)
3.前受金3,000ドル(受取時の為替相場:1ドル¥139)

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売掛金18,000為替差損益18,000
2為替差損益8,000買掛金8,000

3.前受金:仕訳なし。

決算日の相場に換算し直すのは、外国通貨や売掛金・買掛金・貸付金・借入金などの貨幣項目だけです。売掛金は6,000ドル×(¥143−¥140)=¥18,000の増額(差益)、買掛金は4,000ドル×(¥143−¥141)=¥8,000の増額(差損)となります。前受金はすでに円貨額が確定した非貨幣項目なので換算替えせず仕訳なしです。本試験の決算問題では前払金・前受金まで換算替えしてしまう誤りが最も多いひっかけです。

合格演習10-X4 為替予約(取引発生時までに予約)本試験レベル

×2年2月1日、米国のN社から商品5,000ドルを輸入し、代金は×2年4月30日に支払うこととした(取引日の直物為替相場:1ドル¥139)。当社は同日、取引銀行との間でこの買掛金5,000ドルについて為替予約(先物為替相場:1ドル¥141)を締結し、振当処理を行うこととした。決算日(×2年3月31日)の直物為替相場は1ドル¥143、決済日の直物為替相場は1ドル¥146である。商品売買の記帳は三分法による。(1)取引発生時(×2年2月1日)、(2)決算時、(3)決済時(×2年4月30日、当座預金口座から支払い)の仕訳をそれぞれ示しなさい。仕訳が不要な場合は「仕訳なし」と解答すること。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕入705,000買掛金705,000
3買掛金705,000当座預金705,000

(2)決算時:仕訳なし。

取引発生時までに為替予約を行った場合の振当処理では、直物相場ではなく予約レート¥141で換算します(5,000ドル×¥141=¥705,000)。買掛金は予約により支払う円貨額が確定しているため、決算日の相場への換算替えは不要で仕訳なしです。決済も予約レートで実行されるので為替差損益は生じません。本試験では決算時に¥143で換算替えしてしまう誤りが定番のひっかけです。

合格演習10-X5 為替予約(取引発生後の予約)本試験レベル

×2年2月1日、米国のP社へ商品6,000ドルを輸出し、代金は×2年5月31日に受け取ることとした(直物為替相場:1ドル¥140)。その後円高が進行したため、×2年3月1日にこの売掛金6,000ドルについて為替予約を締結し(同日の直物為替相場:1ドル¥138、先物為替相場:1ドル¥137)、振当処理を行う。なお、直々差額と直先差額は区分せず、為替予約による帳簿価額の修正差額はすべて当期の損益として処理する(期間配分は行わない)。商品売買の記帳は三分法による。(1)輸出時、(2)為替予約時、(3)決算時(×2年3月31日)、(4)決済時(×2年5月31日、当座預金口座に入金)の仕訳をそれぞれ示しなさい。仕訳が不要な場合は「仕訳なし」と解答すること。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売掛金840,000売上840,000
2為替差損益18,000売掛金18,000
4当座預金822,000売掛金822,000

(3)決算時:仕訳なし。

取引発生後に為替予約を行ったときは、予約時に売掛金の帳簿価額¥840,000を予約レートによる換算額6,000ドル×¥137=¥822,000に修正し、差額¥18,000を為替差損益とします。2級では直々差額・直先差額を区分せず、修正差額の全額をその期の損益として処理します(期間配分しません)。予約後は受け取る円貨額が確定するので、決算時は仕訳なし、決済時は¥822,000がそのまま入金され差損益は生じません。本試験では予約日の直物相場¥138を使ってしまう誤りが多く、修正後の金額は必ず先物(予約)レートで計算する点がポイントです。

合格演習10-X6 外貨建貸付金の決算換算標準

×1年12月1日、海外の取引先L社に対し、期間1年の約定で8,000ドルを当座預金口座から貸し付けた(貸付時の為替相場:1ドル¥139)。決算日(×2年3月31日)の為替相場は1ドル¥143である。なお、利息は返済時に受け取る契約であり、本問では考慮しなくてよい。(1)貸付時、(2)決算時の仕訳をそれぞれ示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1貸付金1,112,000当座預金1,112,000
2貸付金32,000為替差損益32,000

外貨建ての貸付金は貨幣項目なので、決算日の為替相場で換算し直します。帳簿価額は8,000ドル×¥139=¥1,112,000、決算日の換算額は8,000ドル×¥143=¥1,144,000なので、差額¥32,000だけ貸付金を増額し、為替差損益(差益)とします。円安(相場の上昇)で外貨建ての債権が増えれば差益、という方向の判断も重要です。本試験では売掛金・買掛金だけでなく営業外債権の貸付金も換算替えの対象になることを見落とす受験生が多い論点です。

合格演習10-X7 為替差損益の純額表示標準

当期に生じた為替差損益の内訳は次のとおりである。
・買掛金の決済時に生じた為替差損:¥47,000
・売掛金の回収時に生じた為替差益:¥54,000
・決算時の換算替えで生じた為替差損:¥39,000
損益計算書に表示される為替差損益について、(1)表示区分、(2)表示科目、(3)金額を答えなさい。

解答・解説を見る
表示区分表示科目金額
営業外費用為替差損32,000

為替差損益は期中に差益と差損が両建てで発生しますが、損益計算書では相殺した純額で表示します。借方(差損)は¥47,000+¥39,000=¥86,000、貸方(差益)は¥54,000なので、純額では借方残¥32,000となり、営業外費用の区分に「為替差損」として表示します。純額が貸方残なら営業外収益の「為替差益」です。本試験の損益計算書作成問題では、差益と差損を両方計上してしまう誤りや、表示科目を「為替差損益」のまま書いてしまう誤りが狙われます。

第11章株式会社会計例題・演習 17問

この章の重要度 第2問で「株主資本等変動計算書」として単独出題される頻度が非常に高い章です。連結会計と並ぶ第2問の二大テーマ。利益準備金の積立額の計算だけは絶対に落とさないでください。

11-1 純資産(株主資本)の構造

図11-1 純資産の分類 ― どこから来たお金か
大分類中分類科目出どころ
株主資本資本金資本金株主が払い込んだお金
(元手)
資本剰余金資本準備金
その他資本剰余金
利益剰余金利益準備金会社が稼いだお金
(もうけの蓄積)
その他利益剰余金
(新築積立金・別途積立金・繰越利益剰余金)
評価・換算
差額等
その他有価証券評価差額金時価評価による含み損益
注意 資本剰余金と利益剰余金は絶対に混ぜない 「株主から預かった元手」と「会社が稼いだもうけ」は性質がまったく違うので、原則として振り替えたり相殺したりできません。第2問の株主資本等変動計算書でも、この2系統を左右に分けて記入します。

11-2 株式の発行(設立・増資)

暗記 資本金にいくら入れるか 原則は払込金額の全額を資本金にします。ただし会社法により、払込金額の2分の1までは資本金としないことができ、その分は「資本準備金」とします。
問題文の「会社法が規定する最低額を資本金とする」= 払込金額の1/2を資本金、1/2を資本準備金、という意味です。
例題11-1 設立と増資標準

(1) 会社の設立にあたり、株式1,000株を1株¥5,000で発行し、全額の払込みを受けて当座預金とした。会社法が規定する最低額を資本金とする。
(2) 設立にかかった登記費用など¥180,000を現金で支払った。
(3) 増資のため株式500株を1株¥8,000で募集したところ、申込期日までに全株式が申し込まれ、払込金額の全額が申込証拠金として別段預金に払い込まれた。
(4) 払込期日となり、上記の申込証拠金を資本金(会社法が規定する最低額)に振り替え、別段預金を当座預金に預け替えた。
(5) 増資にともなう株式の発行費用¥95,000を現金で支払った。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)当座預金5,000,000資本金
資本準備金
2,500,000
2,500,000
(2)創立費180,000現 金180,000
(3)別段預金4,000,000株式申込証拠金4,000,000
(4)株式申込証拠金
当座預金
4,000,000
4,000,000
資本金
資本準備金
別段預金
2,000,000
2,000,000
4,000,000
(5)株式交付費95,000現 金95,000
POINT 3つの「費」を使い分ける
科目使う場面
創立費会社を設立するまでにかかった費用(定款作成費、設立登記の登録免許税など)
開業費設立後、営業を開始するまでにかかった費用(開業準備の広告費、家賃など)
株式交付費増資のときの株式発行費用(設立時の株式発行費用は創立費に含める)

11-3 剰余金の配当と処分 ― 利益準備金の積立額

暗記 利益準備金の積立額(最重要公式)

積立額 = 次の①と②のうち小さいほう

① 配当金 × 1/10 ② 資本金 × 1/4 -(資本準備金+利益準備金)

②は「準備金の積立枠の残り」です。資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1に達したら、それ以上積み立てる必要はありません。

例題11-2 剰余金の配当(枠が十分ある場合)標準

株主総会において、繰越利益剰余金を財源として次のとおり剰余金の処分が決議された。仕訳を示しなさい。

  • 株主配当金 ¥3,000,000  別途積立金の積立て ¥500,000
  • 利益準備金は会社法が規定する額を積み立てる
  • 決議時点の資本金 ¥40,000,000、資本準備金 ¥6,000,000、利益準備金 ¥3,000,000
解答・解説を見る
Step1 利益準備金の積立額
  • ① 配当金 3,000,000 × 1/10 = ¥300,000
  • ② 40,000,000 × 1/4 - (6,000,000 + 3,000,000) = 10,000,000 - 9,000,000 = ¥1,000,000
  • 小さいほう → ¥300,000
借方科目金額貸方科目金額
繰越利益剰余金3,800,000未払配当金
利益準備金
別途積立金
3,000,000
300,000
500,000

配当は株主総会で決議した時点ではまだ支払っていないので「未払配当金」(負債)。実際に支払ったときに 未払配当金 / 当座預金 とします。

例題11-3 剰余金の配当(枠が足りない場合)応用

株主総会において、株主配当金¥4,000,000と、会社法が規定する額の利益準備金の積立てが決議された。決議時点の資本金は¥40,000,000、資本準備金は¥6,000,000、利益準備金は¥3,800,000である。

解答・解説を見る
Step1 利益準備金の積立額
  • ① 4,000,000 × 1/10 = ¥400,000
  • ② 40,000,000 × 1/4 - (6,000,000 + 3,800,000) = 10,000,000 - 9,800,000 = ¥200,000
  • 小さいほう → ¥200,000
借方科目金額貸方科目金額
繰越利益剰余金4,200,000未払配当金
利益準備金
4,000,000
200,000
ここが差がつくポイント ①だけ計算して400,000と答えてしまう受験生が非常に多い論点です。問題文に「資本準備金」「利益準備金」の金額が書いてあったら、それは②を計算させるサインだと思ってください。
その他資本剰余金を財源とする配当 配当の財源が繰越利益剰余金ではなくその他資本剰余金の場合、積み立てるのは利益準備金ではなく「資本準備金」です。計算式は同じ。
その他資本剰余金 / 未払配当金・資本準備金

11-4 株主資本等変動計算書(S/S)

純資産の各項目が1年間でどう動いたかを示す財務諸表です。「当期首残高+当期変動額=当期末残高」を横に埋めていくだけ——形式さえ知っていれば怖くありません。

例題11-4 株主資本等変動計算書応用

当社(会計期間X5年4月1日〜X6年3月31日)の資料は次のとおりである。株主資本等変動計算書を完成させなさい(単位:千円)。

  • 当期首残高:資本金 40,000/資本準備金 6,000/利益準備金 3,000/繰越利益剰余金 12,000
  • X5年6月25日の株主総会で、配当金 3,000、利益準備金の積立て(会社法規定額)、別途積立金の積立て 500 を決議した
  • X5年10月1日、増資により株式を発行し、払込金額 8,000 の全額を当座預金とした。会社法規定の最低額を資本金とした
  • 当期純利益は 9,400 であった
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Step1 利益準備金の積立額

① 3,000 × 1/10 = 300 / ② 40,000 × 1/4 -(6,000+3,000) = 1,000 → 300

Step2 増資

8,000 × 1/2 = 資本金 4,000、資本準備金 4,000

Step3 株主資本等変動計算書
 資本金資本剰余金利益剰余金株主資本
合計
資本
準備金
資本剰余金
合計
利益
準備金
別途
積立金
繰越利益
剰余金
当期首残高40,0006,0006,0003,000012,00061,000
剰余金の配当300△3,300△3,000
別途積立金の積立500△5000
新株の発行4,0004,0004,0008,000
当期純利益9,4009,400
当期変動額合計4,0004,0004,0003005005,60014,400
当期末残高44,00010,00010,0003,30050017,60075,400
POINT 3つの検算
  • 横の検算:各行の合計が「株主資本合計」欄と一致する。配当の行は △3,300 + 300 = △3,000(社外に出ていくのは配当金だけ)。
  • 積立金の行は必ずゼロ:別途積立金への振替は純資産内の移動なので、合計は動きません。
  • 縦の検算:当期首残高 + 当期変動額合計 = 当期末残高。61,000 + 14,400 = 75,400 ✔

11-5 確認問題

確認問題11-1 株式会社会計の仕訳8問標準
  1. 会社設立にあたり、株式2,000株を1株¥3,000で発行し、全額払込みを受けて当座預金とした。資本金は会社法が規定する最低額とする。
  2. 設立にあたり、定款作成費および設立登記費用¥260,000を現金で支払った。
  3. 会社設立後、営業開始までの広告宣伝費と事務所賃借料の合計¥420,000を当座預金から支払った。
  4. 増資のため株式300株を1株¥10,000で募集し、申込期日までに全額が申込証拠金として別段預金に払い込まれた。
  5. 上記4について払込期日となったので、申込証拠金を資本金(全額)に振り替え、別段預金を当座預金とした。
  6. 株主総会で、繰越利益剰余金を財源として配当金¥2,500,000、新築積立金¥800,000の積立て、および会社法規定額の利益準備金の積立てが決議された。資本金¥30,000,000、資本準備金¥4,000,000、利益準備金¥3,200,000である。
  7. 上記6の配当金を当座預金から支払った。
  8. 株主総会で、その他資本剰余金を財源として配当金¥1,200,000と、会社法規定額の準備金の積立てが決議された。資本金¥50,000,000、資本準備金¥8,000,000、利益準備金¥4,000,000である。
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No借方科目金額貸方科目金額
1当座預金6,000,000資本金
資本準備金
3,000,000
3,000,000
2創立費260,000現 金260,000
3開業費420,000当座預金420,000
4別段預金3,000,000株式申込証拠金3,000,000
5株式申込証拠金
当座預金
3,000,000
3,000,000
資本金
別段預金
3,000,000
3,000,000
6繰越利益剰余金3,550,000未払配当金
利益準備金
新築積立金
2,500,000
250,000
800,000
7未払配当金2,500,000当座預金2,500,000
8その他資本剰余金1,320,000未払配当金
資本準備金
1,200,000
120,000
計算の内訳
  • 6:① 2,500,000×1/10=250,000 ② 30,000,000×1/4-(4,000,000+3,200,000)=7,500,000-7,200,000=300,000 → 小さいほうの250,000を積み立てます。繰越利益剰余金の減少額は 2,500,000+250,000+800,000=3,550,000
  • 参考:もし資本準備金+利益準備金がすでに資本金の1/4以上に達している場合、②がゼロ以下になるため利益準備金の積立ては不要(積立額ゼロ)となります。
  • 8:① 1,200,000×1/10=120,000 ② 50,000,000×1/4-(8,000,000+4,000,000)=12,500,000-12,000,000=500,000 → 小さいほう120,000。財源がその他資本剰余金なので資本準備金を積み立てます。

合格演習 — 本試験レベルの追加5問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習11-1 会社の設立基本

豊平商会株式会社は、会社の設立にあたり株式400株を1株¥50,000で発行し、払込金は全額当座預金とした。資本金には会社法が定める最低限度額を組み入れる。仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
当座預金¥20,000,000資本金¥10,000,000
資本準備金¥10,000,000
合計¥20,000,000合計¥20,000,000

払込額の2分の1までは資本金としないことができ、その分は資本準備金(株式払込剰余金)になります。指示がなければ全額資本金です。

合格演習11-2 増資標準

月寒物流株式会社は、事業拡大のため新株200株を1株¥60,000で発行し、払込金は全額当座預金とした。会社法が認める最低額を資本金とする。仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
当座預金¥12,000,000資本金¥6,000,000
資本準備金¥6,000,000
合計¥12,000,000合計¥12,000,000

設立時と同じルールです。「原則=全額資本金/容認=2分の1まで資本準備金」の使い分けを、問題文の指示から素早く読み取りましょう。

合格演習11-3 剰余金の配当と準備金の積立て応用

株主総会で繰越利益剰余金から配当¥2,000,000を行うことを決議した。資本金は¥30,000,000、資本準備金は¥4,000,000、利益準備金は¥3,200,000である。決議時の仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
繰越利益剰余金¥2,200,000未払配当金¥2,000,000
利益準備金¥200,000
合計¥2,200,000合計¥2,200,000

積立額は「配当の10分の1(200,000)」と「資本金の4分の1−準備金合計(7,500,000−7,200,000=300,000)」の小さいほう=¥200,000。この比較計算が第1問の定番です。

合格演習11-4 欠損てん補標準

繰越利益剰余金の借方残高(欠損)¥1,500,000をてん補するため、株主総会の決議により別途積立金¥1,500,000を取り崩した。仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
別途積立金¥1,500,000繰越利益剰余金¥1,500,000

純資産の中での振替え(計数の変動)なので、資産・負債は動きません。積立金を取り崩してマイナスを埋めるイメージです。

合格演習11-5 当期純損失の振替え基本

決算の結果、当期純損失¥480,000が算定された。損益勘定から繰越利益剰余金勘定への振替仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
繰越利益剰余金¥480,000損益¥480,000

純利益のときと借方・貸方が逆になります。損益勘定の借方残高(費用>収益)を繰越利益剰余金の借方へ移します。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習11-X1 株式の発行と株式交付費標準

株式会社北央商事は、取締役会の決議により新株400株を1株につき¥60,000で発行し、払込金は全額当座預金とした。資本金には会社法が認める最低額を組み入れる。また、この株式発行のために要した広告費・手数料など¥350,000は現金で支払った。増資時の一連の仕訳を示しなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
当座預金24,000,000資本金
資本準備金
12,000,000
12,000,000
株式交付費350,000現金350,000

払込総額は400株×¥60,000=¥24,000,000で、会社法の原則は全額を資本金としますが、「認める最低額」の指示があるときは2分の1の¥12,000,000を資本金とし、残額を資本準備金とします。本試験第1問では「原則」か「最低額」かの指示語の読み分けが問われます。増資のための費用は株式交付費(費用処理)とし、設立時の創立費と混同しないことがポイントです。

合格演習11-X2 新株発行と申込証拠金本試験レベル

株式会社道南産業は、増資にあたり新株300株を1株につき¥50,000で募集した。次の一連の取引について仕訳を示しなさい。なお、資本金には会社法が定める最低限度額を組み入れる。

1. 申込期日までに全株式について申込証拠金が払い込まれ、別段預金とした。
2. 払込期日に申込証拠金を払込金に充当し、資本金等への振替えを行った。
3. 同日、別段預金を当座預金に預け替えた。

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No借方科目金額貸方科目金額
1別段預金15,000,000株式申込証拠金15,000,000
2株式申込証拠金15,000,000資本金
資本準備金
7,500,000
7,500,000
3当座預金15,000,000別段預金15,000,000

申込証拠金は割当て前の段階では資本金にできないため、いったん株式申込証拠金別段預金で処理するのが手順です。払込期日に証拠金を資本金・資本準備金へ、別段預金を当座預金へ同時に振り替えます。本試験では3つの時点のうち1つだけを切り出して問われることが多く、払込期日の2本の仕訳のどちらかを書き漏らすミスが典型です。

合格演習11-X3 剰余金の配当と利益準備金の積立て本試験レベル

株式会社東西物産(資本金¥40,000,000、資本準備金¥4,200,000、利益準備金¥5,000,000)は、定時株主総会において、繰越利益剰余金を財源として¥9,000,000の配当を行うことを決議した。会社法に規定する額の利益準備金を積み立てる場合の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
繰越利益剰余金9,800,000未払配当金
利益準備金
9,000,000
800,000

手順は、①積立基準額=資本金×4分の1=¥10,000,000、②既積立額=資本準備金¥4,200,000+利益準備金¥5,000,000=¥9,200,000、③積立可能余地=¥800,000、④配当額×10分の1=¥900,000、⑤小さいほうの¥800,000を積み立てる、の順です。本試験第1問の定番で、比較を忘れて¥900,000と解答させる引っかけが最頻出です。基準判定の際に資本準備金を合算せず、利益準備金だけで判定してしまうミスにも注意してください。

合格演習11-X4 欠損の填補(マイナスの繰越利益剰余金)標準

株式会社南北商会は、前期までの業績不振により繰越利益剰余金勘定が¥3,600,000の借方残高(マイナス)となっていた。そこで株主総会の決議により、利益準備金¥2,000,000と別途積立金¥1,600,000を取り崩してこれを填補した。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
利益準備金
別途積立金
2,000,000
1,600,000
繰越利益剰余金3,600,000

繰越利益剰余金の借方残高(欠損)は、株主総会の決議で利益準備金や任意積立金(別途積立金)を取り崩し、貸方に振り替えて填補します。取崩しの仕訳は積立ての逆で、準備金・積立金が借方にきます。本試験では「借方残高」という表現からマイナスの状態を読み取れず、貸借を逆に書いてしまうミスが典型です。

合格演習11-X5 株主資本の計数の変動標準

株式会社青葉商事は、株主総会の決議により、資本準備金¥1,500,000をその他資本剰余金に振り替えるとともに、利益準備金¥1,000,000を繰越利益剰余金に振り替えた。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
資本準備金1,500,000その他資本剰余金1,500,000
利益準備金1,000,000繰越利益剰余金1,000,000

計数の変動は株主資本の内部での振替えであり、純資産合計は1円も変わらないことをまず押さえます。資本性のもの(資本準備金→その他資本剰余金)と利益性のもの(利益準備金→繰越利益剰余金)は、それぞれの系統の中でしか振り替えられません。本試験では、資本準備金を繰越利益剰余金へ振り替えるといった資本と利益の混同を誘う形で出題されます。

合格演習11-X6 吸収合併(のれんの計上)本試験レベル

株式会社北都販売は、株式会社小樽商店を吸収合併し、同社の株主に対して当社の株式500株(合併時点の時価は1株につき¥26,000)を交付した。小樽商店から受け入れた諸資産の時価は¥28,000,000、諸負債の時価は¥16,000,000である。資本金には1株につき¥20,000を組み入れ、残額は資本準備金とする。合併時の仕訳を示しなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
諸資産
のれん
28,000,000
1,000,000
諸負債
資本金
資本準備金
16,000,000
10,000,000
3,000,000

手順は、①合併の対価=交付株式の時価総額500株×¥26,000=¥13,000,000、②受入純資産=時価¥28,000,000−¥16,000,000=¥12,000,000、③差額¥1,000,000をのれん(借方)とする、の順です(パーチェス法)。資本金・資本準備金への組入れは問題の指示(1株につき¥20,000)に従い、のれんの計算とは切り離して行います。受け入れる資産・負債を時価でなく帳簿価額としてしまう誤りと、のれんを資本金組入額との差額で計算してしまう誤りが本試験での典型的な失点です。

合格演習11-X7 吸収合併(負ののれん発生益)本試験レベル

株式会社みなと商事は、株式会社室蘭物産を吸収合併し、同社の株主に対して当社の株式400株(合併時点の時価は1株につき¥27,500)を交付した。室蘭物産から受け入れた諸資産の時価は¥20,000,000、諸負債の時価は¥8,500,000である。資本金には1株につき¥20,000を組み入れ、残額は資本準備金とする。合併時の仕訳を示しなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
諸資産20,000,000諸負債
資本金
資本準備金
負ののれん発生益
8,500,000
8,000,000
3,000,000
500,000

対価¥11,000,000(400株×¥27,500)が受入純資産の時価¥11,500,000を下回るため、差額¥500,000は負ののれん発生益(収益)となります。のれんと異なり償却はせず、発生した期の特別利益に表示します。本試験では、貸方に「のれん」と書いてしまう誤りと、営業外収益に分類してしまう誤りが典型的な失点パターンです。

第12章税金と税効果会計例題・演習 18問

図12-A 税効果会計 ― 会計と税法のズレを調整する
会計の利益(費用:会計基準で計上)貸倒引当金繰入・減価償却費 など 税法の所得(損金:限度額あり)繰入限度超過・償却限度超過 → 損金不算入 一時差異 = いずれ解消するズレ 将来減算一時差異(税金の前払い)繰延税金資産 / 法人税等調整額(貸方) 将来加算一時差異(税金の後払い)法人税等調整額(借方)/ 繰延税金負債

12-1 法人税等

図12-1 法人税等の1年間の流れ
①中間申告(期中)
概算で納付
仮払法人税等
②決算年税額を確定
法人税、住民税
及び事業税
③差額年税額-中間分
未払法人税等
④確定申告(翌期)
未払分を納付
例題12-1 法人税等基本

(1) 中間申告を行い、法人税・住民税及び事業税の中間納付額¥1,300,000を現金で納付した。
(2) 決算において、当期の法人税、住民税及び事業税が¥3,100,000と算定された。
(3) 確定申告を行い、未払分を当座預金から納付した。
(4) 【別解】(2)で年税額が¥1,100,000であった場合の決算整理仕訳。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)仮払法人税等1,300,000現 金1,300,000
(2)法人税、住民税及び事業税3,100,000仮払法人税等
未払法人税等
1,300,000
1,800,000
(3)未払法人税等1,800,000当座預金1,800,000
(4)法人税、住民税及び事業税
未収還付法人税等
1,100,000
200,000
仮払法人税等1,300,000

(4)のように中間納付が多すぎた場合は、払いすぎた分が戻ってくる=資産(未収還付法人税等)になります。

12-2 消費税(税抜方式)

暗記 税抜方式は「預かった分-払った分」を納める 仮受消費税(預かった) - 仮払消費税(払った) = 未払消費税(納付額)
仮払のほうが多ければ未収還付消費税(資産)になります。消費税は費用でも収益でもありません——ここが最大のポイントです。
例題12-2 消費税(税抜方式)標準

(1) 商品¥800,000(税抜)を仕入れ、消費税¥80,000とともに掛けとした。
(2) 商品¥1,400,000(税抜)を売り上げ、消費税¥140,000とともに掛けとした。
(3) 決算にあたり、消費税の納付額を確定した。
(4) 確定申告により、上記の消費税を現金で納付した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)仕 入
仮払消費税
800,000
80,000
買掛金880,000
(2)売掛金1,540,000売 上
仮受消費税
1,400,000
140,000
(3)仮受消費税140,000仮払消費税
未払消費税
80,000
60,000
(4)未払消費税60,000現 金60,000

税抜方式では仕入も売上も「税抜きの本体価格」だけを記録します。P/Lに消費税は一切登場しません。

12-3 税効果会計 ― なぜ必要なのか

考え方 「会計の利益」と「税務の所得」はズレる 会計は「正しい業績を示す」ため、税務は「公平に課税する」ためのルールなので、同じ会社でも利益の計算結果が違います
たとえば会計では貸倒引当金を¥100万積んでも、税務では¥60万までしか経費(損金)と認めない、ということが起こります。すると税金だけが不釣り合いに多く見えてしまうので、その分を調整して「会計上あるべき税金の額」に直すのが税効果会計です。
図12-2 税効果会計のイメージ(実効税率30%)
 税効果会計を適用しないと…税効果会計を適用すると
税引前当期純利益1,000,0001,000,000
法人税、住民税及び事業税360,000360,000
法人税等調整額△60,000
当期純利益640,000700,000
実質的な税負担率36%(不自然)30%(あるべき姿)

12-4 一時差異と仕訳のパターン

2級で出る一時差異内容生じる勘定
貸倒引当金の繰入限度超過額会計で計上した繰入額のうち、税務が認めない部分繰延税金資産
(将来の税金が減る)
減価償却費の償却限度超過額会計の耐用年数が税務より短いために生じる差
棚卸資産の評価損など税務上、当期の損金と認められない部分
その他有価証券の評価差益時価が上がったが、まだ売っていないので課税されていない繰延税金負債
(将来の税金が増える)
暗記 仕訳のかたち
場面仕訳
差異が発生(繰入限度超過など)繰延税金資産 / 法人税等調整額
差異が解消(実際に貸倒れた など)法人税等調整額 / 繰延税金資産
その他有価証券の評価差益その他有価証券 / 繰延税金負債・評価差額金
(法人税等調整額を使わない!)
例題12-3 貸倒引当金と減価償却の税効果応用

当社(法定実効税率30%)の資料は次のとおりである。税効果会計に関する決算整理仕訳を示しなさい。なお、期首の繰延税金資産は¥90,000(すべて貸倒引当金に係るもの)である。

  • 当期末の貸倒引当金繰入額は¥500,000であるが、税務上の損金算入限度額は¥380,000であった
  • 当期の減価償却費は¥900,000であるが、税務上の損金算入限度額は¥720,000であった
解答・解説を見る
Step1 当期末に必要な繰延税金資産
項目会計税務一時差異×30%
貸倒引当金繰入500,000380,000120,00036,000
減価償却費900,000720,000180,00054,000
合計300,00090,000
Step2 期首残高との差額を調整する

期末にあるべき繰延税金資産 ¥90,000 - 期首残高 ¥90,000 = ±0

借方科目金額貸方科目金額
仕訳なし(期首と期末の繰延税金資産が同額のため調整不要)
最重要 税効果は「残高で考える」 税効果会計の仕訳は、当期の差異を足し算するのではなく、「期末にあるべき繰延税金資産の残高」と「期首の残高」の差額を計上します。
たとえば期首残高が¥60,000だったなら、90,000 - 60,000 = 30,000 を追加計上して
繰延税金資産 30,000 / 法人税等調整額 30,000 となります。
この「洗替え」の発想が身につけば、税効果はもう怖くありません。
例題12-4 税効果を含む決算(総合)応用

当社(法定実効税率30%、決算日3月31日)の資料は次のとおり。必要な決算整理仕訳を示し、損益計算書の末尾(税引前当期純利益から当期純利益まで)を作成しなさい。

  • 税引前当期純利益 ¥5,000,000
  • 法人税、住民税及び事業税の年税額 ¥1,740,000(仮払法人税等 ¥700,000 が計上済み)
  • 期首の繰延税金資産 ¥120,000、当期末に必要な繰延税金資産 ¥210,000
解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
法人税、住民税及び事業税1,740,000仮払法人税等
未払法人税等
700,000
1,040,000
繰延税金資産90,000法人税等調整額90,000
損益計算書(末尾)
税引前当期純利益5,000,000
 法人税、住民税及び事業税1,740,000
 法人税等調整額△90,000
(差引)1,650,000
当期純利益3,350,000
  • 繰延税金資産の増加 = 210,000 - 120,000 = ¥90,000(借方=資産の増加)
  • 相手勘定の法人税等調整額は貸方 → P/Lではマイナス表示(△)となり、税金費用を減らします
  • 検算:5,000,000 × 30% = 1,500,000。実際の税金費用1,650,000との差は、永久差異(交際費の損金不算入など)があるためです(2級では調整しません)
POINT 繰延税金資産・負債のB/S表示 繰延税金資産は「投資その他の資産」(固定資産)、繰延税金負債は「固定負債」に表示します。同一の納税主体のものは相殺して純額で表示します。流動資産に置かないよう注意してください。

12-5 確認問題

確認問題12-1 税金・税効果の仕訳8問標準

法定実効税率は30%とする。

  1. 法人税等の中間納付として¥950,000を当座預金から納付した。
  2. 決算において、当期の法人税、住民税及び事業税が¥2,400,000と確定した(中間納付額は上記1のとおり)。
  3. 決算において、当期の法人税、住民税及び事業税が¥820,000と確定した(中間納付額は上記1のとおり)。
  4. 商品¥600,000(税抜)を仕入れ、消費税10%とともに掛けとした(税抜方式)。
  5. 商品¥950,000(税抜)を売り上げ、消費税10%とともに掛けとした(税抜方式)。
  6. 決算において、仮受消費税¥1,480,000と仮払消費税¥1,020,000を相殺し、納付額を確定した。
  7. 決算において、貸倒引当金繰入額¥400,000のうち¥250,000が損金不算入となった。期首の繰延税金資産はゼロである。
  8. 決算において、当期末に必要な繰延税金資産は¥180,000と算定された。期首の繰延税金資産は¥260,000である。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仮払法人税等950,000当座預金950,000
2法人税、住民税及び事業税2,400,000仮払法人税等
未払法人税等
950,000
1,450,000
3法人税、住民税及び事業税
未収還付法人税等
820,000
130,000
仮払法人税等950,000
4仕 入
仮払消費税
600,000
60,000
買掛金660,000
5売掛金1,045,000売 上
仮受消費税
950,000
95,000
6仮受消費税1,480,000仮払消費税
未払消費税
1,020,000
460,000
7繰延税金資産75,000法人税等調整額75,000
8法人税等調整額80,000繰延税金資産80,000
計算の内訳
  • 7:損金不算入額 250,000 × 30% = 75,000。期首ゼロなので全額を計上。
  • 8:180,000 - 260,000 = △80,000(減少) → 繰延税金資産を減らし、法人税等調整額は借方(=税金費用を増やす)。

合格演習 — 本試験レベルの追加5問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習12-1 法人税等の中間納付と確定標準

①中間申告により法人税等¥900,000を当座預金から納付した。②決算により当期の法人税、住民税及び事業税が¥2,100,000と確定した。それぞれの仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
① 中間納付時
仮払法人税等¥900,000当座預金¥900,000
② 決算時(確定)
法人税、住民税及び事業税¥2,100,000仮払法人税等¥900,000
未払法人税等¥1,200,000
合計¥2,100,000合計¥2,100,000

中間納付は仮払法人税等でプール→確定時に精算し、不足分を未払法人税等に。翌期に納付したら未払法人税等を取り崩します。

合格演習12-2 消費税(税抜方式)標準

①商品¥660,000(税込・消費税率10%)を仕入れ、代金は掛けとした。②商品を¥990,000(税込)で販売し、代金は掛けとした。③決算時に消費税の納付額を確定させる。それぞれの仕訳を示しなさい(税抜方式)。

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解答(仕訳)

借方貸方
① 仕入時
仕入¥600,000買掛金¥660,000
仮払消費税¥60,000
合計¥660,000合計¥660,000
② 販売時
売掛金¥990,000売上¥900,000
仮受消費税¥90,000
合計¥990,000合計¥990,000
③ 決算時
仮受消費税¥90,000仮払消費税¥60,000
未払消費税¥30,000
合計¥90,000合計¥90,000

税込金額÷11=消費税額(10%の場合)。決算で仮受と仮払を相殺し、差額が未払消費税(還付なら未収還付消費税)です。

合格演習12-3 税効果会計(引当金の繰入限度超過)応用

当期の決算で貸倒引当金繰入¥500,000を計上したが、このうち¥200,000は税法上の損金算入が認められなかった。法定実効税率を30%として、税効果に関する仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
繰延税金資産¥60,000法人税等調整額¥60,000

損金不算入額は「税金の前払い」に相当するため、将来減算一時差異として繰延税金資産を計上します。翌期に認容されたら逆仕訳です。

合格演習12-4 税効果会計(減価償却の償却限度超過)応用

当期に計上した備品の減価償却費¥800,000のうち、¥300,000が税法上の償却限度額を超過している。法定実効税率30%として税効果の仕訳を示し、あわせて損益計算書上の「法人税等調整額」がどちら側に表示されるか答えなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
繰延税金資産¥90,000法人税等調整額¥90,000

解答

法人税等調整額は法人税等から減算(貸方計上のため)

貸方の法人税等調整額は税金費用を減らす方向に働きます。差異が解消する期には借方に発生し、費用を増やします。

合格演習12-5 その他有価証券と税効果応用

決算日現在、その他有価証券(取得原価¥2,000,000、時価¥2,300,000)を保有している。全部純資産直入法により、法定実効税率30%で税効果を適用した決算整理仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
その他有価証券¥300,000繰延税金負債¥90,000
その他有価証券評価差額金¥210,000
合計¥300,000合計¥300,000

評価差益はP/Lを通さないため、法人税等調整額は使いません。差額の30%を繰延税金負債、残り70%を評価差額金として純資産に直入します。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習12-X1 法人税等の中間納付と確定申告標準

株式会社羊丘商事(決算年1回、3月31日)の次の一連の取引について仕訳を示しなさい。

1. 11月28日、法人税等の中間申告を行い、前期の法人税等¥3,600,000の2分の1を現金で納付した。
2. 3月31日、決算により当期の法人税、住民税及び事業税が¥4,100,000と確定した。
3. 5月29日、確定申告を行い、未払分を普通預金口座から納付した。

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No借方科目金額貸方科目金額
1仮払法人税等1,800,000現金1,800,000
2法人税、住民税及び事業税4,100,000仮払法人税等
未払法人税等
1,800,000
2,300,000
3未払法人税等2,300,000普通預金2,300,000

中間納付額は仮払法人税等でいったんプールし、決算で確定額¥4,100,000を費用計上して仮払分を精算、不足額¥2,300,000を未払法人税等とする流れです。翌期の確定申告時は未払法人税等を取り崩すだけで、費用は計上しません。本試験ではどの時点も単独で出題され、確定申告時に再び法人税等を費用計上してしまうミスが典型です。

合格演習12-X2 課税所得と法人税等の計算本試験レベル

株式会社大通商事の当期の税引前当期純利益は¥5,000,000であった。税務上、減価償却費の償却限度超過額¥300,000と貸倒引当金の繰入限度超過額¥200,000は損金として認められない(損金不算入)。法人税等の実効税率を30%として、(1)当期の課税所得の金額、(2)法人税、住民税及び事業税の金額を計算し、(3)決算時の仕訳を示しなさい。なお、中間納付は行っていない。

解答・解説を見る

(1) 課税所得: ¥5,500,000 (2) 法人税、住民税及び事業税: ¥1,650,000

借方科目金額貸方科目金額
法人税、住民税及び事業税1,650,000未払法人税等1,650,000

課税所得=税引前当期純利益¥5,000,000+損金不算入額(¥300,000+¥200,000)=¥5,500,000で、これに税率30%を掛けた¥1,650,000が法人税等となります。会計上の利益と税務上の課税所得は一致せず、損金不算入額を加算して橋渡しする関係が問われます。本試験では税効果会計とセットで出題されることが多く、会計利益¥5,000,000に直接税率を掛けてしまうのが最も多い失点です。

合格演習12-X3 消費税(税抜方式)の処理標準

株式会社豊平商店(消費税は税抜方式で記帳、税率10%)の次の取引について仕訳を示しなさい。

1. 商品を¥660,000(税込み)で仕入れ、代金は掛けとした。
2. 商品を¥990,000(税込み)で販売し、代金は掛けとした。
3. 決算にあたり、消費税の納付額を計算し、これを確定した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕入
仮払消費税
600,000
60,000
買掛金660,000
2売掛金990,000売上
仮受消費税
900,000
90,000
3仮受消費税90,000仮払消費税
未払消費税
60,000
30,000

税抜方式では、支払った消費税は仮払消費税(資産)、受け取った消費税は仮受消費税(負債)として本体価格と分けて記帳します。決算で両者を相殺し、差額¥30,000を未払消費税とします。税込金額÷11で消費税額を求める計算(税率10%の場合)と、売上・仕入を税抜金額で計上することがポイントで、税込のまま売上・仕入を計上するミスが典型です。

合格演習12-X4 貸倒引当金と税効果会計本試験レベル

株式会社真駒内商事(法人税等の実効税率30%)は、×1年度の決算において売掛金に対して貸倒引当金¥400,000を繰り入れたが、このうち¥150,000は税務上損金算入が認められなかった。×2年度に当該売掛金が実際に貸し倒れ、×1年度に否認された¥150,000の損金算入が認められた。税効果会計に関する仕訳を、(1)×1年度決算時、(2)×2年度の差異解消時についてそれぞれ示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1繰延税金資産45,000法人税等調整額45,000
2法人税等調整額45,000繰延税金資産45,000

繰入限度超過額¥150,000は損金不算入(将来減算一時差異)なので、その30%である¥45,000を繰延税金資産として計上し、相手科目は法人税等調整額とします。差異が解消した期には、発生時と逆の仕訳で繰延税金資産を取り崩します。本試験では発生と解消がセットで問われ、解消時にも発生時と同じ向きの仕訳を書いてしまうミスが典型です。なお、繰入額¥400,000全額ではなく否認された¥150,000だけが税効果の対象である点にも注意してください。

合格演習12-X5 減価償却と税効果会計本試験レベル

株式会社藻岩工業(法人税等の実効税率30%)は、×1年度期首に備品¥1,200,000を取得した。会計上は耐用年数4年・残存価額ゼロの定額法で減価償却するが、税務上の法定耐用年数は6年であり、償却限度額を超える部分は損金不算入となる。次の各時点における税効果会計の仕訳を示しなさい。

1. ×1年度決算時(第1期末)
2. ×2年度決算時(第2期末)
3. ×5年度決算時(第5期末。会計上の減価償却は×4年度末で終了している)

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1繰延税金資産30,000法人税等調整額30,000
2繰延税金資産30,000法人税等調整額30,000
3法人税等調整額60,000繰延税金資産60,000

会計上の償却費¥300,000(4年)と税務上の限度額¥200,000(6年)の差¥100,000が毎期発生し、その30%=¥30,000ずつ繰延税金資産が増えていきます。各期末の仕訳は累計額ではなく当期発生分のみで行うのが最重要ポイントです。会計上の償却が終わった後は差異が年¥200,000ずつ解消するため、×5年度末は¥60,000の取崩し(貸借が逆)になります。本試験では第2期末に累計額¥60,000を計上してしまうミスが典型です。

合格演習12-X6 その他有価証券の評価差額と税効果会計本試験レベル

株式会社宮の森商事(法人税等の実効税率30%)は、その他有価証券として次の2銘柄を保有している。全部純資産直入法により、決算時の時価評価と税効果会計の仕訳を銘柄ごとに示しなさい。

1. A社株式: 取得原価¥800,000、期末時価¥950,000
2. B社株式: 取得原価¥600,000、期末時価¥520,000

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1その他有価証券150,000繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
45,000
105,000
2繰延税金資産
その他有価証券評価差額金
24,000
56,000
その他有価証券80,000

全部純資産直入法では評価差額を損益とせず、税効果控除後の純額(70%分)をその他有価証券評価差額金(純資産)とします。評価差益¥150,000には繰延税金負債(×30%=¥45,000)、評価差損¥80,000には繰延税金資産(×30%=¥24,000)が相手になります。本試験では相手科目を法人税等調整額としてしまう誤りが最頻出で、差益と差損で繰延税金の科目が入れ替わる点も確認してください。

合格演習12-X7 一時差異の分類判定標準

次の1.から5.の項目について、それぞれ(ア)将来減算一時差異・(イ)将来加算一時差異のいずれに該当するかを記号で答え、あわせて貸借対照表に計上される勘定科目(繰延税金資産または繰延税金負債)を答えなさい。

1. 売掛金に対する貸倒引当金の繰入限度超過額
2. 備品の減価償却費の償却限度超過額
3. その他有価証券の評価差益
4. その他有価証券の評価差損
5. 賞与引当金繰入額の損金不算入額

解答・解説を見る
No判定計上される科目
1(ア)将来減算一時差異繰延税金資産
2(ア)将来減算一時差異繰延税金資産
3(イ)将来加算一時差異繰延税金負債
4(ア)将来減算一時差異繰延税金資産
5(ア)将来減算一時差異繰延税金資産

判定の軸は「将来、差異が解消したときに税金がどう動くか」です。費用の否認(貸倒引当金・減価償却・賞与引当金の限度超過や評価差損)は、将来損金に算入されて税金を減らすため将来減算一時差異=繰延税金資産となります。2級の範囲では、その他有価証券の評価差益だけが将来加算一時差異=繰延税金負債であり、本試験では評価差損とセットで出して逆を選ばせる引っかけが定番です。

合格演習12-X8 法人税等調整額の表示と繰延税金資産・負債の相殺本試験レベル

株式会社琴似商事の決算整理後の資料は次のとおりである。

・法人税、住民税及び事業税: ¥1,500,000
・繰延税金資産の期末残高: ¥180,000(期首残高¥120,000。すべて貸倒引当金・減価償却に係るもの)
・繰延税金負債の期末残高: ¥45,000(期首残高ゼロ。全額がその他有価証券の評価差益に係るもの)

(1) 損益計算書に計上される法人税等調整額の金額を求め、法人税等に加算されるか、法人税等から控除されるかを答えなさい。(2) 法人税等調整額を考慮した後の法人税等の合計額を求めなさい。(3) 貸借対照表に表示される繰延税金資産または繰延税金負債の金額と、その表示区分を答えなさい。

解答・解説を見る
解答
(1)法人税等調整額 60,000(法人税等から控除・△表示)
(2)1,440,000
(3)繰延税金資産 135,000(固定資産・投資その他の資産の区分)

法人税等調整額は繰延税金資産の増加分¥60,000(¥180,000−¥120,000)の貸方残高となり、損益計算書では法人税等から控除(△表示)します。その他有価証券の評価差益に係る繰延税金負債¥45,000は法人税等調整額に影響させない点が本問最大の引っかけです(相手科目は評価差額金)。貸借対照表では繰延税金資産と繰延税金負債を相殺した純額¥135,000を、必ず投資その他の資産(負債側なら固定負債)に表示します。

第13章決算と財務諸表 ― 第3問の攻略例題・演習 19問

図13-A 第3問の全体像 ― 決算整理から財務諸表へ
決算整理前残高試算表期中仕訳の集計結果 決算整理仕訳(約10種) ・売上原価の算定・貸倒引当金の設定・減価償却・有価証券の評価・経過勘定(前払・未払等)・貯蔵品への振替え・引当金の繰入れ・税金の計上(法人税・消費税) 損益計算書(P/L)収益・費用 → 当期純利益報告式・区分表示 貸借対照表(B/S)資産・負債・純資産流動・固定の区分/1年基準
この章がゴール地点 第3問(20点)はここまでの全論点が集まる場所です。やり方さえ手順化すれば、毎回同じ作業の繰り返しになります。この章では「解く順番」と「表示のルール」を固めます。

13-1 経過勘定 ― 費用収益の見越し・繰延べ

図13-1 4つの経過勘定
科目区分状況決算整理仕訳
前払費用資産まだサービスを受けていないのに払った前払○○ / ○○費(費用を減らす)
未払費用負債サービスは受けたのにまだ払っていない○○費 / 未払○○(費用を増やす)
前受収益負債まだサービスを提供していないのにもらった受取○○ / 前受○○(収益を減らす)
未収収益資産サービスは提供したのにまだもらっていない未収○○ / 受取○○(収益を増やす)

これらは翌期首に「再振替仕訳」(逆仕訳)を行います。第2問の勘定記入で必ず問われます。

例題13-1 経過勘定標準

当社(決算日3月31日)の資料により、決算整理仕訳を示しなさい。

  1. 保険料は、X5年8月1日に向こう1年分¥360,000を一括して支払ったものである。
  2. 借入金¥4,000,000は X5年12月1日に年利率3%、期間1年、利息は返済時に元本とともに支払う条件で借り入れたものである。
  3. 受取地代は、X5年10月1日に向こう6か月分¥180,000を受け取ったものである。
  4. 貸付金¥2,400,000は X6年2月1日に年利率2.5%で貸し付けたもので、利息は返済時に受け取る。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1前払保険料120,000保険料120,000
2支払利息40,000未払利息40,000
3仕訳なし(10/1〜3/31の6か月分がすべて当期に対応するため)
4未収利息10,000受取利息10,000
計算
  • 1:X5/8/1〜X6/7/31の1年分。翌期分は4月〜7月の4か月 → 360,000 × 4/12 = 120,000を前払費用へ。
  • 2:X5/12/1〜X6/3/31の4か月分が当期の費用 → 4,000,000 × 3% × 4/12 = 40,000
  • 3:X5/10/1〜X6/3/31 = ちょうど当期の6か月分。繰り延べる分がないので仕訳不要。「6か月分もらった=必ず前受け」と反射的に処理するのが典型的なミスです。
  • 4:X6/2/1〜X6/3/31の2か月分 → 2,400,000 × 2.5% × 2/12 = 10,000

13-2 損益計算書の様式(報告式)

図13-2 損益計算書の5つの利益
区分主な科目
Ⅰ 売上高売上
Ⅱ 売上原価
 期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高
 +棚卸減耗損+商品評価損(指示があれば)
仕入、棚卸減耗損、商品評価損
= 売上総利益
Ⅲ 販売費及び一般管理費給料、法定福利費、広告宣伝費、支払家賃、水道光熱費、通信費、旅費交通費、租税公課、支払手数料、貸倒引当金繰入(営業債権)、減価償却費、のれん償却、ソフトウェア償却、賞与引当金繰入、退職給付費用、修繕引当金繰入、商品保証引当金繰入、研究開発費
= 営業利益
Ⅳ 営業外収益受取利息、有価証券利息、受取配当金、仕入割引、有価証券評価益、有価証券売却益、為替差益、償却債権取立益、雑益
Ⅴ 営業外費用支払利息、手形売却損、債権売却損、電子記録債権売却損、有価証券評価損、有価証券売却損、為替差損、貸倒引当金繰入(営業外債権)、雑損
= 経常利益
Ⅵ 特別利益固定資産売却益、保険差益、負ののれん発生益、国庫補助金受贈益
Ⅶ 特別損失固定資産売却損、固定資産除却損、固定資産廃棄損、火災損失、固定資産圧縮損
= 税引前当期純利益
 法人税、住民税及び事業税
 法人税等調整額
= 当期純利益
注意 区分を間違えやすい3つ
  • 貸倒引当金繰入:売掛金・受取手形に対するもの=販管費/貸付金に対するもの=営業外費用
  • 手形売却損:販管費ではなく営業外費用(利息の性質)
  • 固定資産売却損益特別損益(営業外ではない)

13-3 貸借対照表の様式と表示科目の読み替え

帳簿上の勘定科目貸借対照表の表示科目
繰越商品商品
売買目的有価証券有価証券(流動資産)
満期保有目的債券、その他有価証券投資有価証券(投資その他の資産)
子会社株式、関連会社株式関係会社株式(投資その他の資産)
前払保険料、前払家賃…前払費用(1年超は長期前払費用)
未払利息、未払家賃…未払費用
貸倒引当金売掛金・受取手形から控除する形式で表示
減価償却累計額建物・備品から控除する形式で表示
当座預金の貸方残高当座借越または短期借入金(流動負債)
暗記 ワン・イヤー・ルール 決算日の翌日から1年以内に現金化・支払期限が到来するものは流動、1年を超えるものは固定に分類します。
例:長期借入金のうち1年以内に返済する分 → 1年内返済長期借入金(流動負債)/リース債務のうち1年超の分 → 長期リース債務(固定負債)

13-4 第3問の解答手順

  1. 答案用紙をざっと見て、何を作るのか確認する(財務諸表か/精算表か/後T/Bか)
  2. 決算整理事項に通し番号を振り、下書用紙に仕訳を書く。ここでは答案用紙に書かない
  3. 動かない項目を先に答案用紙へ写す(現金、当座預金、資本金、資本準備金、土地など)
  4. 4点セットを処理する:①売上原価 ②貸倒引当金 ③減価償却 ④経過勘定
  5. 残りの整理事項を上から処理。詰まったら飛ばす
  6. 最後に当期純利益を計算(時間が足りなければ空欄でよい)
得点戦略 当期純利益は「最後の最後」 当期純利益は全部の数字が合って初めて正解になります。配点はせいぜい3点。ここに10分かけるより、他の空欄を5個埋めるほうが確実に得点は伸びます。

13-5 総合問題(第3問形式)

総合問題13-1 損益計算書の作成応用

次の決算整理前残高試算表(一部)と決算整理事項により、損益計算書の金額を答えなさい。会計期間はX5年4月1日〜X6年3月31日。法定実効税率30%。

決算整理前残高試算表(一部)
借方金額貸方金額
繰越商品840,000貸倒引当金32,000
売掛金3,600,000建物減価償却累計額2,700,000
受取手形1,400,000売上28,500,000
建物9,000,000受取地代240,000
仕入19,200,000  
給料4,300,000  
保険料480,000  
仮払法人税等380,000  

決算整理事項

  1. 期末商品:帳簿棚卸高¥910,000、実地棚卸高¥880,000、正味売却価額による評価額¥855,000。棚卸減耗損・商品評価損はともに売上原価に算入する。
  2. 売掛金および受取手形の期末残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。
  3. 建物について定額法(耐用年数30年、残存価額ゼロ)により減価償却を行う。
  4. 保険料はX5年11月1日に向こう1年分を支払ったものである。
  5. 受取地代のうち¥60,000は翌期分である。
  6. 法人税、住民税及び事業税を¥1,050,000計上する。
  7. 税効果会計を適用する。期首の繰延税金資産は¥45,000、期末に必要な繰延税金資産は¥66,000である。
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Step1 決算整理仕訳
No借方科目金額貸方科目金額
1仕 入
繰越商品
棚卸減耗損
商品評価損
仕 入
840,000
910,000
30,000
25,000
55,000
繰越商品
仕 入
繰越商品
繰越商品
棚卸減耗損・商品評価損
840,000
910,000
30,000
25,000
55,000
2貸倒引当金繰入68,000貸倒引当金68,000
3減価償却費300,000建物減価償却累計額300,000
4前払保険料280,000保険料280,000
5受取地代60,000前受地代60,000
6法人税、住民税及び事業税1,050,000仮払法人税等
未払法人税等
380,000
670,000
7繰延税金資産21,000法人税等調整額21,000
Step2 計算の内訳
  • 1:棚卸減耗損=910,000-880,000=30,000/商品評価損=880,000-855,000=25,000
  • 2:(3,600,000+1,400,000)×2%=100,000 - 残高32,000 = 68,000
  • 3:9,000,000÷30年=300,000
  • 4:X5/11/1〜X6/10/31の1年分。翌期分は4月〜10月の7か月 → 480,000×7/12=280,000
  • 7:66,000-45,000=21,000(増加=貸方に法人税等調整額)
Step3 損益計算書
区分・科目金額
Ⅰ 売上高28,500,000
Ⅱ 売上原価
 840,000 + 19,200,000 - 910,000 + 30,000 + 25,000
19,185,000
売上総利益9,315,000
Ⅲ 販売費及び一般管理費
 給料 4,300,000 + 保険料 200,000 + 貸倒引当金繰入 68,000 + 減価償却費 300,000
4,868,000
営業利益4,447,000
Ⅳ 営業外収益 受取地代(240,000-60,000)180,000
経常利益=税引前当期純利益4,627,000
 法人税、住民税及び事業税1,050,000
 法人税等調整額△21,000
当期純利益3,598,000
確認ポイント
  • 保険料は 480,000 - 280,000 = 200,000 がP/Lの金額。
  • 棚卸減耗損・商品評価損は「売上原価に算入する」指示があるので、販管費ではなく売上原価の内訳に含めます。
  • 当期純利益 = 4,627,000 - 1,050,000 + 21,000 = 3,598,000

13-6 製造業を営む会社の決算

商品を仕入れて売る会社ではなく、自社で製造する会社の場合、損益計算書の売上原価の内訳が変わります。ここが工業簿記との接続点です。

商品売買業

期首商品棚卸高
+ 当期商品仕入高
- 期末商品棚卸高
= 売上原価

製造業

期首製品棚卸高
当期製品製造原価
- 期末製品棚卸高
= 売上原価

「当期製品製造原価」は製造原価報告書で計算します(第26章)。

注意 製造業のB/Sに出てくる棚卸資産は3種類 材料・仕掛品・製品——この3つが流動資産に並びます。「商品」ではありません。

13-7 確認問題

確認問題13-1 表示区分の判定標準

次の各項目が、損益計算書のどの区分に表示されるか答えなさい。

  1. 棚卸減耗損(原価性あり・売上原価に算入する指示あり)
  2. 手形売却損
  3. 貸倒引当金繰入(長期貸付金に対するもの)
  4. 固定資産除却損
  5. のれん償却
  6. 仕入割引
  7. 保険差益
  8. 為替差損
  9. 研究開発費
  10. 退職給付費用
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No項目表示区分
1棚卸減耗損売上原価(内訳)
2手形売却損営業外費用
3貸倒引当金繰入(貸付金)営業外費用
4固定資産除却損特別損失
5のれん償却販売費及び一般管理費
6仕入割引営業外収益
7保険差益特別利益
8為替差損営業外費用
9研究開発費販売費及び一般管理費
10退職給付費用販売費及び一般管理費

この10問が即答できれば、財務諸表作成問題の表示区分でつまずくことはほぼなくなります。

確認問題13-2 貸借対照表の表示標準

次の資料により、貸借対照表に表示される金額を答えなさい。

  • 売掛金 ¥2,800,000、受取手形 ¥1,200,000、貸倒引当金 ¥80,000(すべて営業債権に係るもの)
  • 建物 ¥12,000,000、建物減価償却累計額 ¥4,800,000
  • 繰越商品(決算整理後)¥760,000
  • 売買目的有価証券 ¥940,000、満期保有目的債券 ¥1,952,000、子会社株式 ¥3,000,000
  • 長期借入金 ¥6,000,000(うち¥1,500,000は翌期中に返済期限が到来する)
  • 繰延税金資産 ¥66,000
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区分表示科目金額
流動資産受取手形 1,200,000
 貸倒引当金 △24,000
1,176,000
売掛金 2,800,000
 貸倒引当金 △56,000
2,744,000
商品760,000
有価証券940,000
固定資産建物 12,000,000
 減価償却累計額 △4,800,000
7,200,000
投資有価証券1,952,000
関係会社株式3,000,000
繰延税金資産(投資その他の資産)66,000
流動負債1年内返済長期借入金1,500,000
固定負債長期借入金4,500,000
3つのポイント
  • 貸倒引当金は受取手形と売掛金に按分して控除形式で表示(1,200,000:2,800,000=3:7 → 24,000と56,000)。合算して一括控除する形式で示す場合もあるので、答案用紙の形式に従います。
  • 売買目的=有価証券(流動)、満期保有=投資有価証券(固定)、子会社株式=関係会社株式(固定)と科目名を必ず読み替える
  • 長期借入金は1年内返済分を流動負債へ振り替える(ワン・イヤー・ルール)。

合格演習 — 本試験レベルの追加5問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習13-1 売上原価の算定標準

期首商品棚卸高は¥640,000、当期商品仕入高は¥7,200,000、期末商品棚卸高は¥580,000である。①売上原価を「仕入」の行で算定する決算整理仕訳を示し、②売上原価の金額を求めなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
① 期首商品の振替え
仕入¥640,000繰越商品¥640,000
② 期末商品の振替え
繰越商品¥580,000仕入¥580,000

解答

売上原価 ¥7,260,000

「期首+仕入−期末」。仕訳の型(しー・くり・くり・しー)と、精算表・財務諸表での金額の流れを一体で押さえましょう。

合格演習13-2 棚卸減耗損と商品評価損応用

期末商品の帳簿棚卸数量は200個(原価@¥500)、実地棚卸数量は190個であり、正味売却価額は@¥460に下落している。棚卸減耗損と商品評価損を求めなさい。

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解答

棚卸減耗損 ¥5,000/商品評価損 ¥7,600

減耗損=数量差×原価、評価損=実地数量×値下り幅。ボックス図を描いて「先に数量、次に単価」の順で計算するとミスが激減します。

合格演習13-3 経過勘定のまとめ標準

決算(3月末)にあたり、次の決算整理仕訳を示しなさい。①受取家賃のうち¥90,000は翌期4月分の前受けである。②貸付金の利息の当期未収分が¥12,000ある。

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解答(仕訳)

借方貸方
① 家賃の前受け
受取家賃¥90,000前受家賃¥90,000
② 利息の未収
未収利息¥12,000受取利息¥12,000

収益側の経過勘定です。「前受=もらいすぎ→負債」「未収=もらい足りない→資産」。費用側(前払・未払)とあわせて4類型を表で整理しましょう。

合格演習13-4 決算整理後の当期純利益応用

決算整理後の各勘定残高は次のとおりである。当期純利益を求めなさい。
売上¥9,600,000/受取手数料¥150,000/仕入(売上原価)¥6,900,000/給料¥1,400,000/支払家賃¥480,000/減価償却費¥260,000/貸倒引当金繰入¥40,000/支払利息¥30,000

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解答

¥640,000

収益合計9,750,000−費用合計9,110,000。第3問で最後に問われる金額です。収益・費用の科目を素早く仕分けする訓練をしておきましょう。

合格演習13-5 貯蔵品への振替え基本

決算日現在、購入時に費用処理した収入印紙¥18,000と郵便切手¥6,000が未使用のまま残っている。決算整理仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
貯蔵品¥24,000租税公課¥18,000
通信費¥6,000
合計¥24,000合計¥24,000

未使用分を貯蔵品(資産)へ振り替え、翌期首に再振替します。印紙=租税公課、切手=通信費という元の科目に戻す点がポイントです。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習13-X1 売上原価の算定と棚卸減耗損・商品評価損本試験レベル

株式会社手稲商事(会計期間は4月1日から3月31日)の決算整理前残高試算表には、仕入¥18,600,000、繰越商品¥1,400,000が計上されている。期末商品の帳簿棚卸数量は500個(原価@¥3,200)、実地棚卸数量は480個であり、期末における正味売却価額は@¥3,000であった。売上原価は仕入勘定で算定し、棚卸減耗損と商品評価損は売上原価に算入しない。次の1.から4.の決算整理仕訳を示し、あわせて損益計算書に計上される売上原価の金額を求めなさい。

1. 期首商品の振替え 2. 期末商品の振替え 3. 棚卸減耗損の計上 4. 商品評価損の計上

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕入1,400,000繰越商品1,400,000
2繰越商品1,600,000仕入1,600,000
3棚卸減耗損64,000繰越商品64,000
4商品評価損96,000繰越商品96,000

売上原価: ¥18,400,000(¥1,400,000+¥18,600,000−¥1,600,000)

手順は、①仕入・繰越商品間の振替えで売上原価を算定、②数量不足分20個×@¥3,200=¥64,000を棚卸減耗損、③実地数量480個×値下り@¥200=¥96,000を商品評価損とする、の順です。商品評価損を帳簿数量500個で計算してしまう誤りが最頻出の引っかけです。本試験第3問の財務諸表・精算表作成では、この内訳計算をボックス図で素早く正確に行えるかが得点差になります。

合格演習13-X2 決算整理仕訳の総合演習標準

株式会社月寒商店(会計期間は4月1日から3月31日)の決算整理事項は次のとおりである。1.から5.の決算整理仕訳を示しなさい。

1. 購入時に費用処理した郵便切手¥12,000と収入印紙¥8,000が未使用のまま残っている。
2. 保険料は、当期の8月1日に向こう1年分¥360,000を支払ったものである。
3. 借入金¥2,000,000は当期の1月1日に期間1年・年利率3%(利息は返済時に一括後払い)で借り入れたものであり、当期末までの利息を月割で見越し計上する。
4. 建物(取得原価¥9,000,000、残存価額ゼロ、耐用年数30年)について定額法により減価償却を行う(間接法)。
5. 受取手形¥1,500,000と売掛金¥2,500,000の期末残高合計に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。決算整理前の貸倒引当金残高は¥30,000である。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1貯蔵品20,000通信費
租税公課
12,000
8,000
2前払保険料120,000保険料120,000
3支払利息15,000未払利息15,000
4減価償却費300,000建物減価償却累計額300,000
5貸倒引当金繰入50,000貸倒引当金50,000

経過勘定は「いつからいつまでの分か」を月数の線分図で整理します(保険料は未経過の4か月分¥120,000を前払保険料へ、利息は経過3か月分¥15,000を見越し計上)。切手・印紙の未使用分は貯蔵品に振り替え、購入時の費用勘定(通信費・租税公課)から減らします。貸倒引当金は設定額¥80,000と残高¥30,000の差額¥50,000だけを繰り入れる差額補充法で、設定額をそのまま繰り入れるミスが典型です。本試験第3問の決算整理はこの5パターンの組合せが軸になります。

合格演習13-X3 精算表の推定(修正記入欄からの復元)本試験レベル

株式会社厚別商店の精算表(一部)は次のとおりである。修正記入欄の金額から、(1)行われた決算整理仕訳を復元して示しなさい。また、(2)損益計算書に計上される売上原価の金額を求めなさい。なお、売上原価は仕入勘定で算定している。

勘定科目残高試算表(借方)残高試算表(貸方)修正記入(借方)修正記入(貸方)
繰越商品800,000950,000800,000
仕入12,150,000800,000950,000
前払保険料60,000
保険料240,00060,000
貸倒引当金15,00035,000
貸倒引当金繰入35,000
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕入800,000繰越商品800,000
2繰越商品950,000仕入950,000
3前払保険料60,000保険料60,000
4貸倒引当金繰入35,000貸倒引当金35,000

売上原価: ¥12,000,000(¥12,150,000+¥800,000−¥950,000)

推定問題は「修正記入欄の借方に金額がある科目=仕訳の借方」と機械的に読み戻すのが手順です。繰越商品の貸方¥800,000が期首商品、借方¥950,000が期末商品を意味します。本試験第3問の空欄推定では期首と期末を取り違えるミスが最も多いため、「仕入の借方に入る金額=期首商品」という対応で必ず確認してください。なお、損益計算書の保険料は¥240,000−¥60,000=¥180,000となります。

合格演習13-X4 損益計算書の表示区分の判定標準

次の1.から8.の項目は、損益計算書のどの区分に表示されるか。(ア)売上原価 (イ)販売費及び一般管理費 (ウ)営業外収益 (エ)営業外費用 (オ)特別利益 (カ)特別損失 から選び、記号で答えなさい。

1. 商品評価損(原則的な処理による場合)
2. 建物の減価償却費
3. 売掛金に対する貸倒引当金繰入
4. 長期貸付金に対する貸倒引当金繰入
5. 受取配当金
6. 支払利息
7. 備品の売却益
8. 火災損失

解答・解説を見る
No解答
1(ア)売上原価
2(イ)販売費及び一般管理費
3(イ)販売費及び一般管理費
4(エ)営業外費用
5(ウ)営業外収益
6(エ)営業外費用
7(オ)特別利益
8(カ)特別損失

区分判定は「営業活動に直接関係するか」「経常的か臨時か」の2軸で行います。同じ貸倒引当金繰入でも、売掛金(営業債権)に係るものは販売費及び一般管理費、貸付金(営業外債権)に係るものは営業外費用と、対象債権の性質で区分が変わる点が最大のポイントです。商品評価損は原則として売上原価の内訳項目となることも、本試験第3問の損益計算書作成で頻出です。

合格演習13-X5 営業外損益と特別損益の判定本試験レベル

次の1.から6.について、損益計算書上の表示科目と表示区分(営業外収益・営業外費用・特別利益・特別損失のいずれか)を答えなさい。

1. 売買目的で保有する株式を売却して生じた利益
2. 長期利殖目的で保有する株式(その他有価証券)を売却して生じた利益
3. 満期保有目的で保有する社債の利息の受取り
4. 外貨建ての買掛金を決済したことにより生じた損失
5. 前期に貸倒れとして処理した売掛金の一部を当期に回収した
6. 営業用トラックを売却して生じた損失

解答・解説を見る
No表示科目表示区分
1有価証券売却益営業外収益
2投資有価証券売却益特別利益
3有価証券利息営業外収益
4為替差損営業外費用
5償却債権取立益営業外収益
6固定資産売却損特別損失

同じ「株式の売却益」でも、売買目的なら有価証券売却益(営業外収益)、その他有価証券なら投資有価証券売却益(特別利益)と、保有目的によって科目も区分も変わります。償却債権取立益は前期以前に処理済みの債権の回収なので営業外収益です。経常的に生じるもの(利息・配当・為替差損益・売買目的有価証券の損益)は営業外、臨時のもの(固定資産や投資有価証券の売却損益・災害損失)は特別と整理しておくと、表示区分の問題で迷いません。

合格演習13-X6 決算振替仕訳(帳簿の締切り)標準

株式会社白石商店の決算整理後における収益・費用の各勘定残高は次のとおりである。決算振替仕訳(1. 収益の損益勘定への振替え、2. 費用の損益勘定への振替え、3. 当期純利益の繰越利益剰余金勘定への振替え)を示しなさい。

売上 ¥25,000,000  受取手数料 ¥500,000  仕入 ¥17,500,000  給料 ¥4,200,000  支払利息 ¥300,000

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売上
受取手数料
25,000,000
500,000
損益25,500,000
2損益22,000,000仕入
給料
支払利息
17,500,000
4,200,000
300,000
3損益3,500,000繰越利益剰余金3,500,000

手順は、①収益勘定を借方に振り替えて損益勘定の貸方へ、②費用勘定を貸方に振り替えて損益勘定の借方へ、③損益勘定の貸方残高¥3,500,000(当期純利益)を繰越利益剰余金の貸方へ、の3段階です。当期純損失の場合は逆に繰越利益剰余金の借方への振替えとなります。本試験第2問では損益勘定や繰越利益剰余金勘定の空欄推定の形で出題され、振替方向を逆に書くミスが典型です。

合格演習13-X7 月次決算の処理標準

株式会社平岸商事は月次決算を行っている。次の4月末に行う月次決算整理の仕訳を示しなさい。

1. 備品(取得原価¥2,400,000、残存価額ゼロ、耐用年数5年、定額法・間接法)について、年間の減価償却費の12分の1を計上する。
2. 賞与は年2回、支給対象期間6か月分をまとめて支給しており、次回の支給見込額は¥1,800,000である。当月の負担分を月割で引き当てる。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1減価償却費40,000備品減価償却累計額40,000
2賞与引当金繰入300,000賞与引当金300,000

月次決算は、年間で発生する費用を月割で平準化して毎月の業績を正しくつかむ手続です。減価償却費は¥2,400,000÷5年÷12か月=¥40,000、賞与引当金繰入は¥1,800,000÷6か月=¥300,000と、割る月数がそれぞれ異なる点に注意してください。本試験では、年度決算時に月次計上額の累計と年間確定額との差額だけを追加計上させる形でも問われます。

合格演習13-X8 株主資本等変動計算書の作成本試験レベル

株式会社宮沢商事(会計期間は4月1日から3月31日)の当期首の純資産は、資本金¥30,000,000、資本準備金¥3,000,000、利益準備金¥1,800,000、繰越利益剰余金¥6,400,000であった。当期中の取引は次のとおりである。株主資本等変動計算書に記載される各項目の当期変動額合計と当期末残高を求めなさい。

1. 6月の定時株主総会において、繰越利益剰余金を財源とする¥4,000,000の配当を決議し、会社法に規定する額の利益準備金を積み立てた。
2. 10月に増資を行い、払込金¥5,000,000を当座預金に受け入れた。資本金には会社法が認める最低額を組み入れた。
3. 決算において当期純利益¥3,900,000を計上した。

解答・解説を見る
項目当期変動額合計当期末残高
資本金2,500,00032,500,000
資本準備金2,500,0005,500,000
利益準備金400,0002,200,000
繰越利益剰余金△500,0005,900,000
株主資本合計4,900,00046,100,000
No借方科目金額貸方科目金額
1繰越利益剰余金4,400,000未払配当金
利益準備金
4,000,000
400,000
2当座預金5,000,000資本金
資本準備金
2,500,000
2,500,000
3損益3,900,000繰越利益剰余金3,900,000

まず期中仕訳を書き、項目ごとに「期首残高+当期変動額=期末残高」を縦の列で集計するのが手順です。利益準備金は配当¥4,000,000×10分の1=¥400,000(基準額¥7,500,000に対し既積立¥4,800,000で余地十分)、増資は最低組入で資本金・資本準備金¥2,500,000ずつです。繰越利益剰余金は減少¥4,400,000と純利益¥3,900,000を相殺した△¥500,000が変動額合計となる点が本試験第2問の得点ポイントで、減少側だけ・増加側だけを書いて集計を誤るミスが典型です。

合格演習13-X9 貸借対照表の表示区分の判定標準

次の1.から8.の項目は、貸借対照表のどの区分に表示されるか。(ア)流動資産 (イ)固定資産 (ウ)流動負債 (エ)固定負債 から選び、記号で答えなさい。なお、当社の決算日は×5年3月31日である。

1. 受取手形
2. ×7年6月30日に満期日が到来する定期預金
3. 満期日まで4年ある満期保有目的債券
4. 商品
5. 建設仮勘定
6. 買掛金
7. ×8年3月31日を返済期日とする借入金
8. 保険料の前払分のうち、×6年4月1日以降に費用となる部分

解答・解説を見る
No解答
1(ア)流動資産
2(イ)固定資産
3(イ)固定資産
4(ア)流動資産
5(イ)固定資産
6(ウ)流動負債
7(エ)固定負債
8(イ)固定資産

受取手形・売掛金・商品・買掛金など営業循環内の項目は、期間に関係なく正常営業循環基準で常に流動と判定します。それ以外は一年基準で、決算日の翌日(×5年4月1日)から起算して1年以内に期限が到来すれば流動、超えれば固定です。1年超の定期預金は長期性預金、前払費用の1年超部分は長期前払費用としていずれも投資その他の資産となり、建設仮勘定は完成前でも有形固定資産に含める点がひっかけです。

合格演習13-X10 当期純利益の計算(法人税等と税効果)本試験レベル

株式会社藤野商事の当期の税引前当期純利益は¥6,000,000である。税務上の損金不算入額は¥400,000(全額が将来減算一時差異に該当する)であり、法人税等の実効税率は30%である。中間納付は行っていない。(1)法人税、住民税及び事業税の計上および税効果会計の決算整理仕訳を示しなさい。(2)損益計算書の末尾(税引前当期純利益から当期純利益まで)を完成させなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1法人税、住民税及び事業税1,920,000未払法人税等1,920,000
2繰延税金資産120,000法人税等調整額120,000
税引前当期純利益6,000,000
法人税、住民税及び事業税1,920,000
法人税等調整額△120,0001,800,000
当期純利益4,200,000

法人税等は課税所得(¥6,000,000+¥400,000)×30%=¥1,920,000、税効果は¥400,000×30%=¥120,000の繰延税金資産計上です。損益計算書では法人税等調整額を△表示で法人税等から控除し、控除後の¥1,800,000はちょうど税引前当期純利益×30%に一致します(これが税効果会計の目的です)。本試験第3問の末尾集計で、調整額を加算してしまう方向ミスと当期純利益¥4,200,000までの流れを確実に押さえてください。

第14章本支店会計例題・演習 15問

支店を持つ会社が、支店にも独立した帳簿を持たせて記帳する仕組みです。第3問で「本支店合併損益計算書・貸借対照表」または「本店の損益勘定」を作らせる形で出題されます。

14-1 本店勘定と支店勘定 ― 鏡のような関係

POINT 本店勘定と支店勘定は必ず貸借逆で一致する 本店の帳簿にある「支店」勘定と、支店の帳簿にある「本店」勘定は、同じ金額が反対側に立つ関係になります。決算で一致しない場合は未達取引があるということです。
図14-1 本支店間取引のイメージ
【本店の帳簿】支 店
支店へ送った分(増)
支店から受けた分(減)
【支店の帳簿】本 店
本店へ送った分(減)
本店から受けた分(増)

支店勘定は本店にとっての「支店への投資」=資産的な性格、本店勘定は支店にとっての「本店からの元手」=純資産的な性格を持ちます。

例題14-1 本支店間取引標準

次の取引について、本店・支店それぞれの仕訳を示しなさい。なお、本店から支店への商品の発送は原価で行っている。

  1. 本店は支店に現金¥500,000を送金した。
  2. 本店は支店に商品¥800,000(原価)を発送した。
  3. 支店は本店の買掛金¥300,000を小切手を振り出して支払った。
  4. 支店は本店の売掛金¥250,000を現金で回収した。
  5. 本店は支店の広告宣伝費¥120,000を現金で立替払いした。
解答・解説を見る
No【本店】借方金額【本店】貸方金額
1支 店500,000現 金500,000
2支 店800,000仕 入800,000
3買掛金300,000支 店300,000
4支 店250,000売掛金250,000
5支 店120,000現 金120,000
No【支店】借方金額【支店】貸方金額
1現 金500,000本 店500,000
2仕 入800,000本 店800,000
3本 店300,000当座預金300,000
4現 金250,000本 店250,000
5広告宣伝費120,000本 店120,000
暗記 外部との取引以外は必ず「支店/本店」が出てくる 本支店間の取引では、相手勘定は必ず「支店」(本店側)または「本店」(支店側)になります。両者の仕訳を並べると、支店勘定と本店勘定が必ず貸借逆になっていることを確認してください。

14-2 支店が複数ある場合 ― 2つの制度

支店分散計算制度

支店同士が直接やりとりする。各支店は相手支店の勘定を設ける。

例:札幌支店が旭川支店に現金を送った
【札幌支店】旭川支店 / 現金
【旭川支店】現 金 / 札幌支店
【本 店】仕訳なし

本店集中計算制度

すべて本店を経由したものとみなす。各支店は本店勘定だけを持つ。

例:同じ取引
【札幌支店】本 店 / 現金
【旭川支店】現 金 / 本店
【本 店】旭川支店 / 札幌支店

注意 本店集中計算制度では本店にも仕訳が必要 実際にはお金は本店を通っていないのに、「札幌支店 → 本店 → 旭川支店」と動いたものとみなして本店にも仕訳を切ります。第1問でよく問われるポイントです。

14-3 決算手続と本支店合併財務諸表

  1. 未達取引の処理 本店の支店勘定と支店の本店勘定が一致するように、届いていない側で仕訳を追加する
  2. 決算整理 本店・支店それぞれで、売上原価・減価償却・貸倒引当金・経過勘定などを処理する
  3. 合併 本店と支店の金額を合算し、支店勘定と本店勘定を相殺消去して合併財務諸表を作る
例題14-2 未達取引と合併応用

決算にあたり、本店の支店勘定は借方残高¥1,850,000、支店の本店勘定は貸方残高¥1,690,000であった。調査したところ次の未達事項が判明した。必要な仕訳を示し、一致後の金額を求めなさい。

  1. 本店が支店へ発送した商品¥180,000(原価)が支店に未達である。
  2. 支店が本店の売掛金¥90,000を回収したが、本店に未達である。
  3. 本店が支店の費用¥70,000を立替払いしたが、支店に未達である。
解答・解説を見る
未達の仕訳(届いていない側で切る)
No借方科目金額貸方科目金額
1【支店】仕 入180,000本 店180,000
2【本店】支 店90,000売掛金90,000
3【支店】諸費用70,000本 店70,000
一致の確認
本店の「支店」勘定支店の「本店」勘定
1,850,000 + 90,000(No.2)1,690,000 + 180,000(No.1)+ 70,000(No.3)
1,940,0001,940,000 一致 ✔
得点戦略 未達は「差額」で検算できる 最初の差額は 1,850,000 - 1,690,000 = 160,000
一方、未達事項を仕分けると 支店側で処理するもの(180,000+70,000=250,000)- 本店側で処理するもの(90,000)= 160,000
この2つが一致すれば、どちらの側で仕訳を切るかの判断が正しいということです。合わないときは、必ず「どちら側で切るか」を間違えています。
参考 商品を原価より高い金額で振り替える場合 本店が支店へ商品を送るとき、原価に一定の利益(内部利益)を上乗せする方法もあります。この場合は決算で未実現の内部利益を控除する処理が必要になりますが、近年の2級の出題では「原価で発送する」前提の問題がほとんどです。問題文に「原価の10%増しで送付している」等の記載があった場合のみ、指示に従って控除してください。
例題14-3 本店の損益勘定応用

本店の当期純利益は¥2,400,000、支店の当期純利益は¥900,000であった。会社全体の当期純利益と、本店の帳簿における振替仕訳を示しなさい。

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帳簿借方科目金額貸方科目金額
支店損 益900,000本 店900,000
本店支 店900,000損 益900,000
本店損 益3,300,000繰越利益剰余金3,300,000

会社全体の当期純利益 = 2,400,000 + 900,000 = ¥3,300,000

支店は自分で繰越利益剰余金を持ちません。支店の利益は本店に振り替えられ、本店の損益勘定で合算されてから繰越利益剰余金になります。

合格演習 — 本試験レベルの追加7問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習14-1 本支店間の送金基本

本店は支店へ現金¥500,000を送付し、支店はこれを受け取った。本店側・支店側それぞれの仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答

本店:(借)支店 500,000/(貸)現金 500,000
支店:(借)現金 500,000/(貸)本店 500,000

支店勘定と本店勘定は貸借が鏡の関係(照合勘定)。残高は常に一致します。どちらの帳簿の仕訳かを最初に確認するクセをつけましょう。

合格演習14-2 支店への商品送付標準

本店は支店へ商品(原価¥800,000)を原価のまま送付し、支店はこれを受け取った。本店側・支店側それぞれの仕訳を示しなさい。

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解答

本店:(借)支店 800,000/(貸)仕入 800,000
支店:(借)仕入 800,000/(貸)本店 800,000

原価送付の場合、本店は仕入勘定の貸方で商品の減少を表します。支店は通常の仕入と同じ形です。

合格演習14-3 立替払いの処理標準

支店は、本店が負担すべき広告宣伝費¥120,000を現金で立替払いした。本店側・支店側それぞれの仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答

支店:(借)本店 120,000/(貸)現金 120,000
本店:(借)広告宣伝費 120,000/(貸)支店 120,000

費用は負担すべき側(本店)に計上します。支店は「本店の代わりに払っただけ」なので本店勘定で処理します。

合格演習14-4 未達取引の整理①応用

決算日現在、本店の支店勘定残高は¥1,860,000(借方)、支店の本店勘定残高は¥1,700,000(貸方)である。差異の原因は、本店が支店へ発送した商品¥160,000(原価)が支店に未達であることによる。支店側で必要な仕訳を示し、整理後の一致残高を答えなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
仕入¥160,000本店¥160,000

解答

一致残高 ¥1,860,000

未達整理は「連絡がまだ届いていない側」が仕訳します。整理後に支店勘定=本店勘定となることを必ず確かめましょう。

合格演習14-5 未達取引の整理②応用

決算日現在、支店が本店の売掛金¥240,000を回収したことが本店に未達である。本店側で必要な仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
支店¥240,000売掛金¥240,000

支店が回収した時点で支店側は「(借)現金/(貸)本店」を仕訳済み。未達なのは本店側なので、本店が支店勘定を増やして売掛金を消します。

合格演習14-6 合併損益計算応用

本店の売上は¥12,000,000、支店の売上は¥5,000,000、本店から支店への商品送付高(原価)は¥2,000,000である。会社全体の損益計算書に計上される売上高を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

¥17,000,000

本支店間の商品のやり取り(内部取引)は外部への売上ではないため、合併損益計算書では相殺・除外します。外部売上だけを合算します。

合格演習14-7 支店の当期純利益の振替え標準

支店は決算の結果、当期純利益¥350,000を計上した。支店側および本店側で行う振替仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答

支店:(借)損益 350,000/(貸)本店 350,000
本店:(借)支店 350,000/(貸)損益 350,000

支店の利益は本店の損益勘定へ集約されます。会社全体の純利益は本店の損益勘定で確定する、という流れを図でイメージしましょう。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習14-X1 本支店間の送金・商品発送の仕訳標準

当社は支店独立会計制度を採用しており、本支店間の商品移送は原価によって行っている。次の取引について、指示された側の仕訳を示しなさい。
1. 本店は支店へ現金¥300,000を送付した(本店側の仕訳)。
2. 上記1.について、支店は現金を受け取った(支店側の仕訳)。
3. 本店は支店へ原価¥450,000の商品を発送した(本店側の仕訳)。
4. 上記3.について、支店は商品を受け取った(支店側の仕訳)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1支店300,000現金300,000
2現金300,000本店300,000
3支店450,000仕入450,000
4仕入450,000本店450,000

本店の帳簿には支店勘定、支店の帳簿には本店勘定を設け、同じ取引を貸借逆の形で記録します(照合勘定)。2級では商品を原価で移送するため、商品の発送は支店 / 仕入のように仕入勘定の付け替えで処理し、売上勘定は使いません。本試験の第1問では「本店側の仕訳か支店側の仕訳か」が必ず指定されるので、主語の読み落としが最大の失点原因です。

合格演習14-X2 支店間取引(本店集中計算制度)標準

当社は名古屋支店と大阪支店を設けており、支店相互間の取引について本店集中計算制度を採用している。名古屋支店は大阪支店へ現金¥200,000を送付し、大阪支店はこれを受け取った。次の各帳簿における仕訳を示しなさい。
1. 名古屋支店 2. 大阪支店 3. 本店

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1本店200,000現金200,000
2現金200,000本店200,000
3大阪支店200,000名古屋支店200,000

本店集中計算制度では、支店間の取引を「各支店が本店と取引した」とみなして処理するため、各支店の帳簿に相手支店の勘定は現れず、本店の帳簿で両支店の勘定を付け替えます。これに対して支店分散計算制度では、名古屋支店が大阪支店 200,000 / 現金 200,000、大阪支店が現金 200,000 / 名古屋支店 200,000と直接記帳し、本店は仕訳を行いません。本試験では「本店の仕訳を答えなさい」という形が頻出で、分散計算制度なら本店は「仕訳なし」になる点まで対比して覚えると確実です。

合格演習14-X3 未達取引の整理と照合勘定の一致本試験レベル

決算日現在、本店における支店勘定の残高は¥826,000(借方)、支店における本店勘定の残高は¥700,000(貸方)であり、次の未達事項が判明した。各未達事項について、記帳が必要となる側の帳簿で行う仕訳を示しなさい。また、未達事項整理後に一致する支店勘定・本店勘定の残高を答えなさい。
1. 本店は支店へ原価¥90,000の商品を発送したが、支店に未達である。
2. 支店は本店へ現金¥60,000を送金したが、本店に未達である。
3. 本店は支店の売掛金¥50,000を回収したが、その連絡が支店に届いていない。
4. 支店は本店が負担すべき広告宣伝費¥26,000を立替払いしたが、その連絡が本店に届いていない。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕入90,000本店90,000
2現金60,000支店60,000
3本店50,000売掛金50,000
4広告宣伝費26,000支店26,000

未達整理後の残高:支店勘定は826,000−60,000−26,000=¥740,000(借方)、本店勘定は700,000+90,000−50,000=¥740,000(貸方)となり一致します。

解く手順は「情報がまだ届いていない側」を見抜き、その側の帳簿でだけ仕訳することです(相手側は記帳済みなので、二重に仕訳してはいけません)。1と3は支店側、2と4は本店側の仕訳になり、整理後は支店勘定(借方残高)と本店勘定(貸方残高)が必ず同額で一致します。本試験では本支店合併財務諸表の作成や勘定記入の前提として未達整理が置かれ、ここを誤ると後の数値がすべて崩れます。特に3のように「相手の債権を回収した」パターンで貸借の向き(支店側で本店勘定を借方に記入)を誤りやすいので注意してください。

合格演習14-X4 本支店合併損益計算書の売上高・仕入高本試験レベル

次の資料にもとづき、本支店合併損益計算書に計上される売上高と当期商品仕入高を計算しなさい。当社は本支店間の商品移送を原価によって行っている。
〔資料〕
・本店:売上 ¥3,200,000、仕入 ¥2,000,000(支店への商品発送額¥400,000を貸方に記入した後の残高)
・支店:売上 ¥1,750,000、仕入 ¥950,000(本店から到達済みの商品を含む。ただし、本店が発送した商品のうち¥50,000が決算日現在未達であり、上記は未達整理前の残高である)

解答・解説を見る
科目金額
売上高4,950,000
当期商品仕入高3,000,000

まず未達商品¥50,000を支店の仕入に加算して¥1,000,000とし、そのうえで本店と支店の金額を合算します。売上高は3,200,000+1,750,000=4,950,000、当期商品仕入高は2,000,000+1,000,000=3,000,000で、原価で移送しているため本店の仕入の貸方記入400,000と支店の仕入の借方記入400,000(未達整理後)は合算によって自動的に相殺され、外部との取引額だけが残ります。本試験では合併損益計算書や合併貸借対照表の一部の金額だけを答えさせる形式が定番です。内部利益の控除は2級では不要(原価移送のため内部利益が生じない)である点と、未達分¥50,000の加算漏れが典型的なミスです。

合格演習14-X5 帳簿の締切と総合損益勘定本試験レベル

決算にあたり、本店の損益勘定の貸方残高(本店独自の当期純利益)は¥800,000、支店の損益勘定の貸方残高(支店の当期純利益)は¥300,000であった。当社は本店に総合損益勘定を設けて会社全体の純損益を算定しており、会社全体の税引前当期純利益に対して30%の法人税、住民税及び事業税を計上する(全額未払い)。次の一連の仕訳を示しなさい。
1. 支店における当期純利益の振替 2. 本店における本店独自の当期純利益の振替 3. 本店における支店当期純利益の受入れ 4. 法人税、住民税及び事業税の計上 5. 法人税、住民税及び事業税の総合損益勘定への振替 6. 会社全体の当期純利益の繰越利益剰余金への振替

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1損益300,000本店300,000
2損益800,000総合損益800,000
3支店300,000総合損益300,000
4法人税、住民税及び事業税330,000未払法人税等330,000
5総合損益330,000法人税、住民税及び事業税330,000
6総合損益770,000繰越利益剰余金770,000

支店の純利益は支店の帳簿で損益 / 本店と振り替え、本店はこれを支店 / 総合損益で受け入れます(支店の帳簿に総合損益勘定はありません)。総合損益勘定には貸方に1,100,000(800,000+300,000)、借方に法人税等330,000が集まり、貸借差額770,000が会社全体の当期純利益として繰越利益剰余金へ振り替えられます。本試験の第2問では総合損益勘定の空欄推定として出題されるので、貸借差額で純利益を求める流れまで押さえておきましょう。税引前の1,100,000をそのまま繰越利益剰余金へ振り替えてしまう誤りが多発します。

第15章伝票会計と帳簿組織例題・演習 13問

15-1 3伝票制

伝票起票する取引仕訳のかたち
入金伝票現金が増える取引借方は必ず現金 → 伝票には貸方科目だけ書く
出金伝票現金が減る取引貸方は必ず現金 → 伝票には借方科目だけ書く
振替伝票現金が動かない取引借方・貸方の両方を書く

15-2 一部現金取引の2つの起票方法

「商品¥300,000を売り上げ、¥100,000は現金で受け取り、残額は掛けとした」——このように現金取引と非現金取引が混ざった取引は、2通りの起票方法があります。

方法① 取引を分解する

入金伝票
(借)現金 100,000 /(貸)売上 100,000

振替伝票
(借)売掛金 200,000 /(貸)売上 200,000

方法② いったん全額を掛けとみなす

振替伝票
(借)売掛金 300,000 /(貸)売上 300,000

入金伝票
(借)現金 100,000 /(貸)売掛金 100,000

暗記 見分け方は「入金伝票の貸方科目」 入金伝票の貸方が「売上」なら方法①(分解)「売掛金」なら方法②(いったん全額掛け)
問題では振替伝票か入金伝票の一部が空欄になっており、埋まっている側から方法を判定してもう一方を埋めます。
例題15-1 一部現金取引の起票標準

商品¥480,000を仕入れ、¥180,000は現金で支払い、残額は掛けとした。次の2つの方法で起票しなさい。

解答・解説を見る
方法① 取引を分解する
伝票借方科目金額貸方科目金額
出金伝票仕 入180,000(現 金)180,000
振替伝票仕 入300,000買掛金300,000
方法② いったん全額を掛けとみなす
伝票借方科目金額貸方科目金額
振替伝票仕 入480,000買掛金480,000
出金伝票買掛金180,000(現 金)180,000

出金伝票の借方が「仕入」なら方法①「買掛金」なら方法②です。

15-3 仕訳日計表と総勘定元帳への転記

1日分の伝票を集計して作る表が仕訳日計表です。ここから総勘定元帳へ合計転記します。

例題15-2 仕訳日計表標準

X6年5月10日の伝票は次のとおりであった。仕訳日計表の現金・売掛金・売上の金額を求めなさい。

伝票内容
入金伝票 No.101売掛金 ¥250,000
入金伝票 No.102売上 ¥130,000
出金伝票 No.201買掛金 ¥180,000
出金伝票 No.202水道光熱費 ¥24,000
振替伝票 No.301(借)売掛金 ¥560,000 /(貸)売上 ¥560,000
振替伝票 No.302(借)仕入 ¥400,000 /(貸)買掛金 ¥400,000
解答・解説を見る
借方勘定科目貸方
380,000現 金204,000
560,000売掛金250,000
180,000買掛金400,000
売 上690,000
400,000仕 入
24,000水道光熱費
1,544,000合 計1,544,000
  • 現金:借方=入金伝票の合計 250,000+130,000=380,000/貸方=出金伝票の合計 180,000+24,000=204,000
  • 売掛金:借方=振替伝票 560,000/貸方=入金伝票 250,000
  • 売上:貸方=130,000+560,000=690,000
POINT 入金伝票・出金伝票の「現金」は書かれていない 入金伝票に書いてあるのは相手科目(貸方)だけ。集計するときに「借方 現金」を自分で補う必要があります。ここを忘れると現金の金額が合いません。

合格演習 — 本試験レベルの追加6問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習15-1 一部現金取引(分解方式)標準

商品¥300,000を販売し、代金のうち¥100,000は現金で受け取り、残額は掛けとした。3伝票制(入金伝票・出金伝票・振替伝票)を採用し、取引を「現金売上」と「掛け売上」に分解して起票する場合、各伝票の記入内容(科目と金額)を答えなさい。

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解答

入金伝票:売上 100,000
振替伝票:(借)売掛金 200,000/(貸)売上 200,000

分解方式(取引を分ける方法)は、現金部分=入金伝票、掛け部分=振替伝票へ素直に分けます。

合格演習15-2 一部現金取引(擬制方式)応用

上記と同じ取引(売上300,000、うち現金100,000)を、「いったん全額を掛け売上とし、直ちに一部を回収した」とみなして起票する場合、各伝票の記入内容を答えなさい。

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解答

振替伝票:(借)売掛金 300,000/(貸)売上 300,000
入金伝票:売掛金 100,000

擬制方式では振替伝票の売上が総額になります。伝票の科目(売上か売掛金か)から、どちらの方式かを逆算させる出題が定番です。

合格演習15-3 仕訳日計表の作成標準

ある日の伝票は次のとおりであった。仕訳日計表の「現金」欄の借方合計と貸方合計を求めなさい。
入金伝票:売掛金回収¥150,000、売上¥80,000
出金伝票:買掛金支払¥120,000、消耗品費¥15,000

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解答

借方合計 ¥230,000/貸方合計 ¥135,000

入金伝票=現金の借方、出金伝票=現金の貸方に集計されます。日計表から総勘定元帳へ合計転記することで転記の手間と誤りを減らせます。

合格演習15-4 元帳への合計転記標準

仕訳日計表の売掛金欄は、借方合計¥420,000・貸方合計¥260,000であった。総勘定元帳の売掛金勘定(前日残高¥900,000・借方)の本日残高を求めなさい。

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解答

¥1,060,000(借方)

日計表からの転記は1日1回の合計額で行います。個別の得意先ごとの内訳は売掛金元帳(補助簿)が受け持ちます。

合格演習15-5 伝票の推定応用

出金伝票に「買掛金 200,000」と記入されている。また振替伝票に「(借)買掛金 300,000/(貸)支払手形 300,000」とある。この日、買掛金の総勘定元帳残高は合計でいくら減少したか。

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解答

¥500,000

出金伝票の科目は必ず「現金の相手科目」。買掛金は現金支払200,000と手形振出300,000の両方で減少しています。

合格演習15-6 二重転記の防止標準

3伝票制において、「商品¥250,000を仕入れ、代金のうち¥50,000は現金払い、残額は掛け」という取引を擬制方式で起票した。振替伝票に記入される金額を答えなさい。

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解答

¥250,000((借)仕入 250,000/(貸)買掛金 250,000)

擬制方式なら振替伝票は総額、出金伝票は「買掛金 50,000」。同じ取引を2枚の伝票で二重に仕訳しないよう、方式の区別を明確にしましょう。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習15-X1 一部現金取引の起票(分解方式)標準

株式会社元町商店は3伝票制(入金伝票・出金伝票・振替伝票)を採用している。商品¥500,000を仕入れ、代金のうち¥100,000は現金で支払い、残額は掛けとした。この取引を「取引を分解する方法」により起票する場合、出金伝票と振替伝票のそれぞれに記入される仕訳を示しなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
仕入100,000現金100,000
仕入400,000買掛金400,000

1行目が出金伝票(科目欄には「仕入」¥100,000と記入)、2行目が振替伝票の仕訳です。分解方式では、取引を「現金仕入¥100,000」と「掛け仕入¥400,000」の2つの取引に分けて起票します。本試験では伝票の記載から逆に仕訳や起票方法を推定させる形で出題され、擬制方式(出金伝票の科目が買掛金になる)との区別がつくかが問われます。

合格演習15-X2 一部現金取引の起票(擬制方式)本試験レベル

株式会社宮の沢商店は3伝票制を採用している。商品¥700,000を売り上げ、代金のうち¥200,000は現金で受け取り、残額は掛けとした。この取引について、入金伝票には「売掛金 200,000」と記入されている。(1)この起票は「取引を分解する方法」「いったん全額を掛け取引として起票する方法」のどちらによっているか。(2)振替伝票に記入される仕訳を示しなさい。

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(1) いったん全額を掛け取引として起票する方法(擬制方式)

借方科目金額貸方科目金額
売掛金700,000売上700,000

入金伝票の科目が「売掛金」なので、いったん全額を掛け売上とし、直後に¥200,000を回収したとみなして起票していると判定できます。したがって振替伝票は総額の¥700,000で、¥500,000としないことが最大の引っかけです。入金伝票の科目が「売上」であれば分解方式で、振替伝票は¥500,000になります。伝票の記載から起票方法を逆判定させるこの形式は本試験の定番です。

合格演習15-X3 仕訳日計表の作成本試験レベル

株式会社琴似商店は3伝票制を採用し、毎日の伝票を仕訳日計表に集計している。×5年6月1日に起票された伝票は次のとおりである。仕訳日計表を作成し、(1)現金勘定の借方合計、(2)売上勘定の貸方合計、(3)仕訳日計表の合計額を求めなさい。

入金伝票: 売掛金 ¥150,000 / 売上 ¥80,000
出金伝票: 買掛金 ¥120,000 / 通信費 ¥30,000
振替伝票: (借方)売掛金 ¥350,000 (貸方)売上 ¥350,000
振替伝票: (借方)仕入 ¥260,000 (貸方)買掛金 ¥260,000

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借方勘定科目貸方
230,000現金150,000
350,000売掛金150,000
120,000買掛金260,000
売上430,000
260,000仕入
30,000通信費
990,000合計990,000

(1) 現金の借方合計: ¥230,000 (2) 売上の貸方合計: ¥430,000 (3) 合計額: ¥990,000

手順は、入金伝票=「借方が現金」、出金伝票=「貸方が現金」と機械的に仕訳へ読み替えてから科目ごとに集計することです。売上の貸方合計は入金伝票の¥80,000と振替伝票の¥350,000の合算で、どちらか一方を落とすのが最も多いミスです。最後に借方合計と貸方合計が¥990,000で一致することを必ず確認してください。

合格演習15-X4 仕訳日計表からの合計転記標準

株式会社二十四軒商店は、毎日の伝票を仕訳日計表に集計し、仕訳日計表から総勘定元帳へ転記している。×5年6月1日の仕訳日計表には、現金勘定は借方¥230,000・貸方¥150,000、売掛金勘定は借方¥350,000・貸方¥150,000と集計されている。前日末の残高は、現金¥400,000(借方)、売掛金¥600,000(借方)であった。(1)総勘定元帳の現金勘定と売掛金勘定の、6月1日の転記後の残高を求めなさい。(2)このときの転記方法の名称と、総勘定元帳の摘要欄に記入される帳簿名を答えなさい。

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(1) 現金勘定: ¥480,000(借方残高) 売掛金勘定: ¥800,000(借方残高)
(2) 転記方法: 合計転記 / 摘要欄: 仕訳日計表

仕訳日計表制度では、伝票1枚ごとではなく1日分の合計額で1回だけ転記(合計転記)するため、転記の手間と誤りを減らせます。現金は¥400,000+¥230,000−¥150,000=¥480,000、売掛金は¥600,000+¥350,000−¥150,000=¥800,000です。摘要欄には相手科目ではなく「仕訳日計表」と記入する点が、個別転記との違いとして本試験で問われます。

合格演習15-X5 補助簿の選択標準

株式会社発寒商店は、当座預金出納帳・仕入帳・売上帳・商品有高帳・受取手形記入帳・支払手形記入帳・売掛金元帳・買掛金元帳・固定資産台帳を補助簿として用いている。次の1.から6.の取引で記入される補助簿をすべて答えなさい。

1. 商品¥300,000を掛けで仕入れた。
2. 商品¥450,000を売り上げ、代金は先方振出しの約束手形で受け取った。
3. 買掛金¥200,000の支払いのため、約束手形を振り出した。
4. 売掛金¥250,000が当座預金口座に振り込まれた。
5. 備品¥600,000を購入し、代金は小切手を振り出して支払った。
6. 1.で仕入れた商品のうち¥50,000を品違いのため返品した。

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No記入される補助簿
1仕入帳・商品有高帳・買掛金元帳
2売上帳・商品有高帳・受取手形記入帳
3買掛金元帳・支払手形記入帳
4売掛金元帳・当座預金出納帳
5固定資産台帳・当座預金出納帳
6仕入帳・商品有高帳・買掛金元帳

まず取引の仕訳を書き、登場した勘定科目に対応する補助簿を機械的に拾うのが確実な手順です。商品の増減をともなう取引では商品有高帳を忘れやすく、返品も仕入帳(控除記入)・商品有高帳・買掛金元帳のすべてに記入する点が引っかけです。本試験では「すべて選びなさい」の指示なので、1つでも漏れると失点になることを意識して練習してください。

第16章連結会計 ― 第2問の最重要テーマ例題・演習 23問

図16-A 連結会計の時間軸 ― 開始仕訳+当期の修正
支配獲得日 前期末 当期末(連結決算日) 投資と資本の相殺消去・S社株式 × S社純資産・のれん の計上・非支配株主持分 の計上 開始仕訳(過年度分の引継ぎ)・科目は「〜当期首残高」・過年度の のれん償却 etc.を反映・毎年やり直す(連結精算表方式) 当期の連結修正仕訳・のれん償却/非支配株主損益・内部取引・債権債務の相殺・未実現利益の消去
この章にかける時間 第2問で連結会計が出題される確率は50%以上と言われています。しかも出題されるのは基本パターンばかり。難問は出ません。「開始仕訳+4本の定型仕訳」を機械的に書けるようにするだけで、第2問の点数が一気に安定します。

16-1 連結会計とは ― 3つの大原則

図16-1 連結財務諸表ができるまで
P社の個別F/S
S社の個別F/S
単純合算
連結修正仕訳
(グループ内部の
取引を消す)
連結F/S
POINT 絶対に押さえる3つの原則
  1. 連結修正仕訳は「帳簿には書かない」。P社もS社も、自分の帳簿は個別のまま。連結精算表の上だけで修正します。
  2. したがって翌期になると修正はリセットされる。だから毎期過去の修正をもう一度やり直す「開始仕訳」が必要になります。
  3. 開始仕訳では、過去の損益項目はすべて「利益剰余金当期首残高」に置き換えます(過去の損益は、いまや利益剰余金の一部だから)。

16-2 連結第1年度 ― 4本の定型仕訳

通しの設例(この章でずっと使います) P社はX4年3月31日にS社の発行済株式の80%¥4,000,000で取得し、支配を獲得した。
支配獲得日のS社の純資産:資本金 ¥3,000,000/資本剰余金 ¥500,000/利益剰余金 ¥1,000,000
のれんは10年で定額償却する。決算日はP社・S社とも3月31日。

■ 仕訳① 投資と資本の相殺消去(資本連結)

図16-2 のれんと非支配株主持分の求め方
S社の資本(支配獲得日)金額持分の行き先
資本金3,000,000合計 ¥4,500,000 を
P社80% = 3,600,000
非支配株主20% = 900,000 に分ける
資本剰余金500,000
利益剰余金1,000,000
合計4,500,000
P社が払った金額
S社株式 ¥4,000,000
手に入れたS社資本のP社持分
4,500,000 × 80% = ¥3,600,000
差額 ¥400,000 = のれん(払いすぎた分=ブランド力などへの対価)
借方科目金額貸方科目金額
資本金
資本剰余金
利益剰余金
のれん
3,000,000
500,000
1,000,000
400,000
S社株式
非支配株主持分
4,000,000
900,000
暗記 資本連結は「4つ書いて2つ書く」 借方にS社の資本3つ+のれん、貸方にS社株式+非支配株主持分
のれん = 取得原価 -(S社資本合計 × 取得割合)非支配株主持分 = S社資本合計 ×(1 - 取得割合)

■ 仕訳② のれんの償却

借方科目金額貸方科目金額
のれん償却40,000のれん40,000

400,000 ÷ 10年 = ¥40,000。連結損益計算書では販売費及び一般管理費に表示します。

■ 仕訳③ 子会社の当期純利益の按分

S社の当期純利益のうち非支配株主に帰属する分(20%)を、連結上の利益から外します。S社の当期純利益が¥600,000だったとすると:

借方科目金額貸方科目金額
非支配株主に帰属する当期純利益120,000非支配株主持分120,000

600,000 × 20% = ¥120,000。S社が損失を出した場合は逆仕訳になります。

■ 仕訳④ 子会社の配当金の修正

S社が¥200,000の配当をした場合、P社が受け取った分はグループ内部のお金の移動にすぎないので消します。

借方科目金額貸方科目金額
受取配当金
非支配株主持分
160,000
40,000
剰余金の配当200,000
  • P社分 200,000 × 80% = 160,000 → P社が計上した受取配当金を取り消す
  • 非支配株主分 200,000 × 20% = 40,000 → 非支配株主に払った分だけ非支配株主持分を減らす

16-3 タイムテーブル ― これを書けば迷わない

図16-3 タイムテーブル(設例+第1年度)
 X4/3/31
(支配獲得日)
→ 第1年度 →X5/3/31
資本金3,000,0003,000,000
資本剰余金500,000500,000
利益剰余金1,000,000+600,000(利益)
△200,000(配当)
1,400,000
S社資本合計4,500,000+400,0004,900,000
P社持分 80%3,600,0003,920,000
非支配株主持分 20%900,000+120,000
△40,000
980,000
のれん400,000△40,000(償却)360,000

非支配株主持分とのれんの「期末残高」がタイムテーブルから直接読み取れるのが最大の利点です。第2問では、まずこの表を下書用紙に書いてください。

16-4 連結第2年度 ― 開始仕訳がすべて

ここが連結の山場 第2年度になると、前期の連結修正仕訳①〜④は帳簿に残っていないので消えてしまいます。そこで、前期の修正をまとめてもう一度切り直すのが開始仕訳です。
このとき、前期の損益項目(のれん償却・非支配株主に帰属する当期純利益・受取配当金・剰余金の配当)はすべて「利益剰余金当期首残高」に置き換えます。
例題16-1 開始仕訳を組み立てる応用

設例について、連結第2年度(X5年4月1日〜X6年3月31日)の開始仕訳を示しなさい。

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Step1 前期の①〜④が利益剰余金に与えた影響を集計する
前期の修正損益項目利益剰余金への影響
② のれん償却のれん償却(費用)△40,000
③ 当期純利益の按分非支配株主に帰属する当期純利益△120,000
④ 配当の修正受取配当金(収益の取消)△160,000
④ 配当の修正剰余金の配当(配当の取消)+200,000
純額△120,000
Step2 開始仕訳
借方科目金額貸方科目金額
資本金当期首残高
資本剰余金当期首残高
利益剰余金当期首残高
のれん
3,000,000
500,000
1,120,000
360,000
S社株式
非支配株主持分当期首残高
4,000,000
980,000
数字の根拠
  • 利益剰余金当期首残高 = 支配獲得日の1,000,000 + 前期修正の影響120,000 = 1,120,000
  • のれん = 400,000 - 40,000(前期償却済み) = 360,000
  • 非支配株主持分当期首残高 = 900,000 + 120,000 - 40,000 = 980,000(タイムテーブルのX5/3/31欄)
  • 検算:借方合計 4,980,000 = 貸方合計 4,980,000 ✔
最重要 利益剰余金だけは「S社の帳簿の金額」ではない 資本金3,000,000・資本剰余金500,000・S社株式4,000,000・非支配株主持分980,000・のれん360,000は、タイムテーブルからそのまま写せます。
しかし利益剰余金当期首残高だけは、S社の帳簿上の当期首残高(1,400,000)ではなく1,120,000を使います。内訳は
支配獲得日の利益剰余金 1,000,000 + 前期の連結修正による減少 120,000 = 1,120,000
なお、この金額は「貸借差額」でも求められます——4,000,000+980,000 -(3,000,000+500,000+360,000)=1,120,000。本試験では貸借差額で出すのが最速です。
POINT 第2年度に切る仕訳の全体像
  1. 開始仕訳(前期分のやり直し)
  2. のれんの償却(当期分 40,000)
  3. 当期純利益の按分(当期のS社利益 × 20%)
  4. 配当金の修正(当期のS社配当)
  5. 成果連結(16-5以降)

16-5 成果連結 ― 内部取引を消す

■ ① 内部売上高と売上原価の相殺

P社がS社に商品¥1,500,000を売った場合、グループ全体で見れば右のポケットから左のポケットに移しただけ。売上も仕入も消します。

借方科目金額貸方科目金額
売上高1,500,000売上原価1,500,000

■ ② 債権債務の相殺

期末にP社の売掛金¥400,000とS社の買掛金¥400,000が残っている場合:

借方科目金額貸方科目金額
買掛金400,000売掛金400,000

■ ③ 貸倒引当金の修正

消した売掛金に対して設定していた貸倒引当金も、当然に取り消します(P社が2%設定していた場合):

借方科目金額貸方科目金額
貸倒引当金8,000貸倒引当金繰入8,000

400,000 × 2% = ¥8,000。仕訳の向きが「引当金を減らす/費用を減らす」である点に注意してください。

■ ④ 未実現利益の消去(期末商品)

図16-4 ダウンストリームとアップストリーム
ダウンストリーム(親 → 子)

利益を上乗せしたのはP社
非支配株主は関係ない。

売上原価 / 商品
これ1本だけ

アップストリーム(子 → 親)

利益を上乗せしたのはS社
S社の利益は非支配株主にも20%帰属している。

売上原価 / 商品
非支配株主持分 / 非支配株主に帰属する当期純利益
2本必要

例題16-2 未実現利益の消去応用

S社の期末商品のうち¥300,000はP社から仕入れたものである。P社は原価に25%の利益を加算して販売している(=売価に対する利益率20%)。

(1) ダウンストリームの場合の連結修正仕訳
(2) 【比較】P社の期末商品¥300,000がS社から仕入れたもので、S社が同じ利益率で販売していた場合(アップストリーム、P社持分80%)

解答・解説を見る
Step1 未実現利益の計算

「原価に25%加算」= 原価100 → 売価125。売価に含まれる利益は 25/125 = 売価の20%
未実現利益 = 300,000 × 20% = ¥60,000

(1) ダウンストリーム
借方科目金額貸方科目金額
売上原価60,000商 品60,000
(2) アップストリーム
借方科目金額貸方科目金額
売上原価60,000商 品60,000
非支配株主持分12,000非支配株主に帰属する当期純利益12,000

60,000 × 20%(非支配株主の持分割合)= ¥12,000。S社の利益を60,000減らしたので、非支配株主の取り分も20%減らすという理屈です。

注意 利益率の読み間違いに気をつける
  • 「原価に25%の利益を加算」「付加率25%」 → 未実現利益 = 期末商品 × 25/125(=20%)
  • 「売上総利益率20%」「利益率20%」 → 未実現利益 = 期末商品 × 20%

どちらも答えは同じ20%になりますが、「原価の20%を加算」と書かれていたら 20/120 = 16.67% です。文言を必ず確認してください。

期首商品に含まれる未実現利益 前期末の商品に含まれていた未実現利益は、当期に売れて実現します。開始仕訳で
利益剰余金当期首残高 / 商品 を切ったうえで、当期に
商品 / 売上原価 で戻す(実現させる)——という2段構えになります。

■ ⑤ 未実現利益の消去(土地などの固定資産)

例題16-3 土地の未実現利益標準

当期、P社は帳簿価額¥2,000,000の土地をS社に¥2,300,000で売却した。S社はこの土地を期末現在も保有している。連結修正仕訳を示しなさい(ダウンストリーム)。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
固定資産売却益300,000土 地300,000

グループ内で土地を動かしただけなので、売却益¥300,000は実現していません。土地の金額もグループ全体では2,000,000のままであるべきなので、300,000を減らします。

16-6 総合演習(第2問形式)

総合問題16-1 連結第2年度の連結財務諸表応用

設例(16-2)の続きである。連結第2年度(X5年4月1日〜X6年3月31日)に関する資料は次のとおり。連結損益計算書と連結貸借対照表の主要項目を求めなさい。

  • S社の当期純利益 ¥700,000、S社の配当 ¥250,000
  • 当期、P社はS社に商品¥1,800,000を販売した(ダウンストリーム、利益率20%)
  • 期末のP社売掛金のうち¥500,000はS社に対するもの。P社は売掛金に2%の貸倒引当金を設定している
  • S社の期末商品のうち¥400,000はP社から仕入れたもの。期首商品にP社仕入分はなかった
  • 単純合算後の金額:売上高 ¥42,000,000/売上原価 ¥30,000,000/のれん ¥0/商品 ¥3,600,000/売掛金 ¥6,800,000/買掛金 ¥4,500,000/貸倒引当金 ¥136,000/貸倒引当金繰入 ¥58,000/受取配当金 ¥310,000
解答・解説を見る
Step1 連結修正仕訳
 借方科目金額貸方科目金額
開始資本金当期首残高
資本剰余金当期首残高
利益剰余金当期首残高
のれん
3,000,000
500,000
1,120,000
360,000
S社株式
非支配株主持分当期首残高
4,000,000
980,000
のれん償却40,000のれん40,000
非支配株主に帰属する当期純利益140,000非支配株主持分140,000
受取配当金
非支配株主持分
200,000
50,000
剰余金の配当250,000
売上高1,800,000売上原価1,800,000
買掛金500,000売掛金500,000
貸倒引当金10,000貸倒引当金繰入10,000
売上原価80,000商 品80,000
Step2 計算の内訳
  • ③ 700,000 × 20% = 140,000
  • ④ 250,000 × 80% = 200,000(受取配当金)/250,000 × 20% = 50,000(非支配株主持分)
  • ⑦ 500,000 × 2% = 10,000
  • ⑧ 400,000 × 20% = 80,000(ダウンストリームなので1本のみ)
Step3 連結財務諸表の金額
項目計算金額
売上高42,000,000 - 1,800,00040,200,000
売上原価30,000,000 - 1,800,000 + 80,00028,280,000
のれん償却40,000
貸倒引当金繰入58,000 - 10,00048,000
受取配当金310,000 - 200,000110,000
非支配株主に帰属する当期純利益140,000
商品3,600,000 - 80,0003,520,000
売掛金6,800,000 - 500,0006,300,000
買掛金4,500,000 - 500,0004,000,000
貸倒引当金136,000 - 10,000126,000
のれん360,000 - 40,000320,000
非支配株主持分980,000 + 140,000 - 50,0001,070,000
得点戦略 単純合算するだけの行が半分ある 連結精算表の問題では、現金預金・建物・資本金・給料などは「P社+S社」を足すだけで正解になります。難所の非支配株主持分や利益剰余金が解けなくても、合算行を全部埋めるだけで10点前後は確保できます。まず合算、それから修正——この順番を守ってください。
確認問題16-1 連結の仕訳8問標準

P社はS社の株式の70%を保有している。次の連結修正仕訳を示しなさい。

  1. 支配獲得日:S社株式の取得原価¥5,600,000、S社の資本金¥5,000,000、資本剰余金¥1,000,000、利益剰余金¥1,500,000。投資と資本の相殺消去を行う。
  2. 上記1で生じたのれんを20年で償却する(当期1年分)。
  3. S社の当期純利益は¥900,000であった。
  4. S社は¥400,000の配当を行った。
  5. 当期、P社はS社に商品¥2,400,000を販売した。内部売上高を相殺する。
  6. 期末のP社の受取手形のうち¥600,000はS社振出のものである。
  7. S社の期末商品のうち¥500,000はP社から仕入れたものである。P社の売上総利益率は25%(ダウンストリーム)。
  8. 上記7がアップストリーム(S社→P社、S社の利益率25%)であった場合。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1資本金
資本剰余金
利益剰余金
のれん
5,000,000
1,000,000
1,500,000
350,000
S社株式
非支配株主持分
5,600,000
2,250,000
2のれん償却17,500のれん17,500
3非支配株主に帰属する当期純利益270,000非支配株主持分270,000
4受取配当金
非支配株主持分
280,000
120,000
剰余金の配当400,000
5売上高2,400,000売上原価2,400,000
6支払手形600,000受取手形600,000
7売上原価125,000商 品125,000
8売上原価
非支配株主持分
125,000
37,500
商 品
非支配株主に帰属する当期純利益
125,000
37,500
計算の内訳
  • 1:S社資本合計=5,000,000+1,000,000+1,500,000=7,500,000。P社持分70%=5,250,000 → のれん=5,600,000-5,250,000=350,000。非支配株主持分=7,500,000×30%=2,250,000。(検算:借方7,850,000=貸方7,850,000)
  • 2:350,000÷20年=17,500
  • 3:900,000×30%=270,000。 4:400,000×70%=280,000/×30%=120,000。
  • 7:500,000×25%=125,000。 8:125,000×30%=37,500を追加。
6の注意債権債務の相殺は売掛金・買掛金だけでなく、受取手形・支払手形、貸付金・借入金、未収入金・未払金でも同じように行います。
連結会計 総まとめ ― 本試験で書く順番
  1. 下書用紙にタイムテーブルを書く(資本金・資本剰余金・利益剰余金・のれん・非支配株主持分)
  2. 開始仕訳を切る(前期までの累積)
  3. のれん償却 → 当期純利益の按分 → 配当の修正(当期分の3本)
  4. 成果連結(売上・債権債務・貸倒引当金・未実現利益)
  5. 答案用紙は合算だけで埋まる行から先に書く

合格演習 — 本試験レベルの追加6問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習16-1 投資と資本の相殺消去標準

P社は当期末に、S社の発行済株式の80%を¥5,000,000で取得して支配を獲得した。同日のS社の純資産は、資本金¥4,000,000・利益剰余金¥1,500,000である。支配獲得日の連結修正仕訳(投資と資本の相殺消去)を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
資本金¥4,000,000S社株式¥5,000,000
利益剰余金¥1,500,000非支配株主持分¥1,100,000
のれん¥600,000
合計¥6,100,000合計¥6,100,000

S社純資産5,500,000のうち80%分4,400,000と投資5,000,000の差額がのれん600,000。20%分1,100,000は非支配株主持分へ。連結の出発点となる最重要仕訳です。

合格演習16-2 のれんの償却と非支配株主への按分標準

連結第1年度において、①のれん¥600,000を10年で定額償却する。②S社の当期純利益は¥800,000であった(P社持分80%)。連結修正仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
① のれんの償却
のれん償却¥60,000のれん¥60,000
② 子会社利益の按分
非支配株主に帰属する当期純利益¥160,000非支配株主持分¥160,000

子会社の利益のうち非支配株主分(20%)を振り替えます。科目名が長いので、「非支配株主に帰属する当期純利益」を正確に書く練習をしておきましょう。

合格演習16-3 開始仕訳応用

支配獲得日(前期末)の相殺消去で、資本金¥4,000,000・利益剰余金¥1,500,000・のれん¥600,000・非支配株主持分¥1,100,000を計上していた。連結第2年度の開始仕訳では、純資産の科目をどのように表すか。前期にのれん償却¥60,000と非支配株主帰属利益¥160,000(S社利益800,000×20%)があったものとして開始仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
資本金当期首残高¥4,000,000S社株式¥5,000,000
利益剰余金当期首残高¥1,720,000非支配株主持分当期首残高¥1,260,000
のれん¥540,000
合計¥6,260,000合計¥6,260,000

過年度の連結修正を「〜当期首残高」で引き継ぎます。利益剰余金当期首残高=1,500,000+のれん償却60,000+非支配株主帰属利益160,000。積み重ねの構造を理解すれば暗記は不要です。

合格演習16-4 内部取引の相殺標準

当期において、P社はS社へ商品¥2,400,000を掛けで販売した。期末現在、S社のP社に対する買掛金残高は¥400,000である。必要な連結修正仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
① 内部売買の相殺
売上高¥2,400,000売上原価¥2,400,000
② 内部債権債務の相殺
買掛金¥400,000売掛金¥400,000

グループ内部の売買・債権債務は連結上「なかったこと」にします。売上高と売上原価を同額相殺する点がポイント(利益への影響は未実現利益の消去で調整)。

合格演習16-5 未実現利益の消去(ダウンストリーム)応用

P社はS社へ原価率80%で商品を販売しており、S社の期末商品のうち¥500,000はP社からの仕入分である。必要な連結修正仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
売上原価¥100,000商品¥100,000

期末在庫に含まれる利益500,000×利益率20%=100,000を消去。親→子(ダウンストリーム)では全額を親会社が負担し、非支配株主への按分はしません。

合格演習16-6 債権債務の相殺と貸倒引当金の調整応用

P社の売掛金のうち¥600,000はS社に対するものであり、P社はこれに2%の貸倒引当金を設定している。必要な連結修正仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
① 債権債務の相殺
買掛金¥600,000売掛金¥600,000
② 貸倒引当金の調整
貸倒引当金¥12,000貸倒引当金繰入¥12,000

内部債権を消したら、それに対応する貸倒引当金も消去します。繰入(費用)の戻しとセットで覚えましょう。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習16-X1 支配獲得日の資本連結(100%子会社)標準

P社は×1年3月31日にS社の発行済株式のすべて(100%)を¥5,000,000で取得し、同社に対する支配を獲得した。同日のS社の純資産は、資本金¥3,000,000、資本剰余金¥800,000、利益剰余金¥700,000であった。支配獲得日の連結貸借対照表を作成するために必要な連結修正仕訳(投資と資本の相殺消去)を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
資本金
資本剰余金
利益剰余金
のれん
3,000,000
800,000
700,000
500,000
S社株式5,000,000

解く手順は、①S社の資本合計3,000,000+800,000+700,000=4,500,000を求め、②取得原価5,000,000との差額500,000をのれん(借方)とする、の2段階です。支配獲得日は連結貸借対照表だけを作成するため、損益項目は登場しません。個別上の勘定科目は子会社株式ですが、連結の問題ではS社株式と表記するのが通例です。取得原価が資本合計より小さい場合は負ののれん発生益(貸方・収益)となる点との混同や、のれんを貸方に書いてしまう貸借の逆転が定番のミスです。

合格演習16-X2 部分所有の資本連結(非支配株主持分)標準

P社は×1年3月31日にS社の発行済株式の80%を¥4,000,000で取得し、同社に対する支配を獲得した。同日のS社の純資産は、資本金¥3,000,000、資本剰余金¥500,000、利益剰余金¥1,000,000であった。支配獲得日の連結修正仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
資本金
資本剰余金
利益剰余金
のれん
3,000,000
500,000
1,000,000
400,000
S社株式
非支配株主持分
4,000,000
900,000

手順は、①S社資本合計4,500,000を求める、②P社持分80%=3,600,000と取得原価4,000,000を比べてのれん400,000を計算する、③残り20%=900,000を非支配株主持分(貸方)とする、の順です。S社の資本はP社分・非支配株主分を問わず全額消去し、非支配株主分は非支配株主持分に置き換えるのがポイントです。2級の本試験はほぼ部分所有の形で出題されます。のれんを資本合計4,500,000と直接比較して貸方差額と誤るミスが最も多く、のれんは必ず「取得原価−P社持分」で求めてください。

合格演習16-X3 のれんの償却と連結第1年度の開始仕訳標準

P社は×1年3月31日にS社の発行済株式の80%を¥5,200,000で取得し、支配を獲得した。同日のS社の純資産は、資本金¥4,000,000、資本剰余金¥1,000,000、利益剰余金¥1,000,000であった。のれんは支配獲得の翌年度から10年間にわたり定額法により償却する。連結第1年度(×1年4月1日から×2年3月31日)の連結財務諸表を作成するにあたり、次の仕訳を示しなさい。
1. 開始仕訳 2. のれんの償却

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1資本金
資本剰余金
利益剰余金
のれん
4,000,000
1,000,000
1,000,000
400,000
S社株式
非支配株主持分
5,200,000
1,200,000
2のれん償却40,000のれん40,000

S社資本の合計は6,000,000で、P社持分80%=4,800,000との比較からのれんは5,200,000−4,800,000=400,000、非支配株主持分は6,000,000×20%=1,200,000です。支配獲得日が前期末(×1年3月31日)なので、連結第1年度の開始仕訳は支配獲得日の投資と資本の相殺消去をそのまま引き継ぐだけです。のれん償却は年額400,000÷10年=40,000で、支配獲得が期末日のため月割計算は不要です。本試験では「のれんは10年(以内)で償却」という指示で出題され、のれん償却(販売費及び一般管理費)の計上忘れが最も多いミスです。

合格演習16-X4 非支配株主に帰属する当期純利益標準

P社はS社の発行済株式の70%を保有し、同社を支配している。当期のS社の個別損益計算書における当期純利益は¥600,000であった。S社の当期純利益のうち非支配株主に帰属する部分を振り替える連結修正仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
非支配株主に帰属する当期純利益180,000非支配株主持分180,000

連結損益計算書ではS社の収益・費用をいったん全額合算するため、S社の当期純利益600,000のうち非支配株主の取り分30%=180,000を「非支配株主に帰属する当期純利益」(借方=連結上の利益の控除項目)として振り替え、同額だけ非支配株主持分(貸方)を増やします。本試験の連結精算表ではほぼ毎回登場する定番仕訳です。P社持分の70%=420,000の方を計上してしまう誤りと、貸借を逆にする誤りが典型的なミスです。

合格演習16-X5 子会社の配当金の修正標準

P社はS社の発行済株式の80%を保有し、同社を支配している。S社は当期中に利益剰余金を財源として¥400,000の配当を行い、P社は持分に応じた配当金を受け取っている。この配当に関する連結修正仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
受取配当金
非支配株主持分
320,000
80,000
剰余金の配当400,000

手順は「配当額400,000を持分比率で按分してから、それぞれの行き先を消す」ことです。P社受取分80%=320,000は企業集団内部の資金移動なので受取配当金と相殺し、非支配株主分20%=80,000は非支配株主持分の減少(借方)とし、貸方の剰余金の配当400,000で利益剰余金の減少を取り消します(連結貸借対照表のみを作成する場合は貸方を利益剰余金とすることもあります)。本試験では前問の利益の按分とセットで出題されるのが定番です。全額を受取配当金と相殺してしまう誤りと、非支配株主持分を貸方(増加)にしてしまう誤りに注意してください。

合格演習16-X6 連結第2年度の開始仕訳(タイムテーブル)本試験レベル

P社は×1年3月31日にS社の発行済株式の80%を¥4,600,000で取得し、支配を獲得した。同日のS社の純資産は、資本金¥3,000,000、資本剰余金¥800,000、利益剰余金¥1,200,000であった。のれんは支配獲得の翌年度から10年間にわたり定額法により償却する。S社の×1年度(×1年4月1日から×2年3月31日)の当期純利益は¥500,000であり、同年度中に¥200,000の配当を行っている。連結第2年度(×2年4月1日から×3年3月31日)の連結財務諸表を作成するための開始仕訳を、過年度の連結修正をひとつにまとめた形で示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
資本金
資本剰余金
利益剰余金
のれん
3,000,000
800,000
1,320,000
540,000
S社株式
非支配株主持分
4,600,000
1,060,000

手順は3段階です。①S社資本の推移(タイムテーブル):利益剰余金は1,200,000+当期純利益500,000−配当200,000=1,500,000となり、×2年3月31日の資本合計は3,000,000+800,000+1,500,000=5,300,000。②按分:非支配株主持分は5,300,000×20%=1,060,000、のれんは取得時600,000(=4,600,000−5,000,000×80%)から1年分60,000を償却した540,000。③開始仕訳:資本金・資本剰余金は取得時のまま消去し、利益剰余金の消去額は貸借差額の1,320,000(=取得時1,200,000+利益剰余金増加額300,000×20%の60,000+のれん償却60,000)となります(連結株主資本等変動計算書を作成する場合は「利益剰余金当期首残高」などの科目名を用います)。本試験の第2問は×2年度以降の精算表で出題されることが多く、利益剰余金を取得時の1,200,000のまま消去する誤りや、のれん償却1年分を忘れて600,000で計上する誤りがそのまま合否を分けます。

合格演習16-X7 債権債務・内部取引高の相殺消去標準

P社はS社の発行済株式の80%を保有し、同社を支配している。当期の連結財務諸表の作成にあたり、次の各事項について必要な連結修正仕訳を示しなさい。
1. P社の売掛金のうち¥350,000はS社に対するものである。
2. 当期におけるP社からS社への商品の売上高は¥1,900,000である。
3. P社は当期首にS社へ¥600,000を貸し付けている(期間1年、年利率2%、利息は期末に受け払い済み)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1買掛金350,000売掛金350,000
2売上高1,900,000売上原価1,900,000
3借入金
受取利息
600,000
12,000
貸付金
支払利息
600,000
12,000

債権債務は期末残高を、取引高は当期の発生額をそのまま相殺します。個別上の「仕入」は連結損益計算書では売上原価に集約されるため、内部売上の相殺は売上高 1,900,000 / 売上原価 1,900,000とするのがポイントです。資金取引では貸付金と借入金の相殺に加えて、受取利息と支払利息600,000×2%=12,000も忘れずに相殺します。本試験では精算表の修正記入としてほぼ毎回出題され、相手科目を「仕入」と書く誤りと利息の相殺漏れが典型的な失点です。

合格演習16-X8 未実現利益の消去(ダウンストリーム)標準

P社はS社の発行済株式の80%を保有し、同社を支配している。P社はS社に対して売上総利益率20%で商品を販売しており、S社の期末商品棚卸高のうち¥500,000はP社から仕入れたものである。期末商品に含まれる未実現利益を消去する連結修正仕訳を示しなさい(S社の期首商品にP社からの仕入分はない)。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
売上原価100,000商品100,000

売上総利益率20%は「売価に対する」利益率なので、未実現利益は500,000×20%=100,000と直接計算でき、売上原価 / 商品で消去します。親会社から子会社への販売(ダウンストリーム)では未実現利益を全額消去し、全額を親会社が負担するため非支配株主持分への按分は行いません。本試験では利益率の与え方が「売上総利益率」か「原価に一定率の利益を加算」かで計算式が変わるため、必ず基準を確認してください(もし「原価に20%の利益を加算」なら未実現利益は500,000×0.2÷1.2で計算し直すことになります)。

合格演習16-X9 未実現利益の消去(アップストリーム)本試験レベル

P社はS社の発行済株式の80%を保有し、同社を支配している。S社はP社に対して原価に25%の利益を加算して商品を販売しており、P社の期末商品棚卸高のうち¥750,000はS社から仕入れたものである。期末商品に含まれる未実現利益を消去する連結修正仕訳を示しなさい(P社の期首商品にS社からの仕入分はない)。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
売上原価
非支配株主持分
150,000
30,000
商品
非支配株主に帰属する当期純利益
150,000
30,000

原価に25%の利益を加算しているので売価750,000は原価の125%にあたり、未実現利益は750,000×25/125=150,000です。子会社から親会社への販売(アップストリーム)では未実現利益を全額消去したうえで持分比率により按分し、非支配株主負担分150,000×20%=30,000だけ非支配株主持分を減らすとともに、非支配株主に帰属する当期純利益を減額(貸方)します。手順は「消去→按分」の2段階で、ダウンストリームとの違いはこの按分の有無だけです。750,000×25%=187,500としてしまう付加利益率の読み違いと、按分を忘れて全額親会社負担とする誤りが2大失点ポイントです。

合格演習16-X10 土地に含まれる未実現利益本試験レベル

P社はS社の発行済株式の80%を保有し、同社を支配している。P社は当期中に、帳簿価額¥2,000,000の土地を¥2,300,000でS社に売却し、S社は決算日現在この土地を保有している。次の仕訳を示しなさい。
1. 当期の連結修正仕訳 2. S社がこの土地を保有し続ける場合の翌期の開始仕訳

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1固定資産売却益300,000土地300,000
2利益剰余金300,000土地300,000

企業集団内部への売却なので、売却益2,300,000−2,000,000=300,000は未実現利益として全額消去し、土地を集団としての帳簿価額2,000,000に戻します。土地は減価償却を行わないため、S社が集団外部へ売却しない限り利益は実現せず、翌期以降も毎期「利益剰余金(連結株主資本等変動計算書を作成する場合は利益剰余金当期首残高) / 土地」の開始仕訳を繰り返します。本試験の第2問では、精算表の土地の行と固定資産売却益の行の修正としてよく出題されます。ダウンストリームなので非支配株主持分への按分はない点も確認してください(S社がP社へ売却するアップストリームの場合のみ20%を按分します)。

合格演習16-X11 連結精算表の金額推定本試験レベル

P社はS社の発行済株式の80%を保有し、同社を支配している。次の資料にもとづき、連結損益計算書の売上高・売上原価および連結貸借対照表の商品の金額を計算しなさい。
〔資料〕
1. 個別財務諸表の金額:売上高はP社¥9,600,000・S社¥4,200,000、売上原価はP社¥6,700,000・S社¥3,000,000、商品はP社¥900,000・S社¥500,000である。
2. 当期におけるP社からS社への売上高は¥1,200,000である。
3. S社の期末商品棚卸高のうち¥300,000はP社から仕入れたものであり、P社の売上総利益率は30%である(S社の期首商品にP社からの仕入分はない)。

解答・解説を見る
科目個別合算修正・消去連結財務諸表
売上高13,800,000△1,200,00012,600,000
売上原価9,700,000△1,200,000
+90,000
8,590,000
商品1,400,000△90,0001,310,000

手順は、①内部売上高1,200,000を売上高と売上原価の両方から控除、②期末商品の未実現利益300,000×30%=90,000を売上原価に加算して商品から控除、③連結金額=個別合算±修正、の順です(表の△は減算を表します)。売上原価の修正が「−1,200,000+90,000」と減算・加算の両方になるのが本問最大のポイントで、未実現利益の消去は売上原価を増やす方向に働きます。本試験の第2問(連結精算表)では修正・消去欄を埋めながら連結財務諸表の列を完成させる形式で出題されます。未実現利益90,000を売上原価からも差し引いてしまう誤りと、商品の△90,000の忘れが典型的なミスです。

合格演習16-X12 連結会社間の手形取引と割引本試験レベル

P社はS社の発行済株式の80%を保有し、同社を支配している。P社は当期中に、仕入代金の支払いのためにS社に対して約束手形¥800,000を振り出した。S社はこのうち¥500,000を銀行で割り引き(割引時に手形売却損¥5,000を計上している)、残額¥300,000は決算日現在保有している。連結財務諸表の作成に必要な次の連結修正仕訳を示しなさい。
1. S社が保有する手形の相殺 2. 割引に付した手形の修正 3. 手形売却損の振替

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1支払手形300,000受取手形300,000
2支払手形500,000短期借入金500,000
3支払利息5,000手形売却損5,000

S社が保有し続けている¥300,000は企業集団内部の債権債務なので、受取手形と支払手形を相殺します。一方、S社がすでに割り引いた¥500,000は、連結上「P社が手形を振り出して銀行から資金を借り入れた」のと同じ状態になるため、支払手形から短期借入金へ振り替え、あわせて個別上の手形売却損は利息の性格をもつことから支払利息へ振り替えます。本試験の第2問水準では、このように保有分と割引分を区別させる出題が定番です。割引分まで受取手形と相殺してしまうのが最頻出のミスで、割引によってS社の帳簿から受取手形はすでに消えていることを押さえてください。

第17章工業簿記の基礎 ― 全体像をつかむ例題・演習 13問

図17-A 工業簿記の勘定連絡図 ― 原価はこの一本道を流れる
材料購入・消費 賃金支払・消費 経費支払・測定・月割 製造間接費間接費を集めて配賦 仕掛品直接費+配賦額を集計月初・月末はここに残る 製品完成品の在庫 売上原価売れた分だけ 直接材料費 直接労務費 直接経費 間接費 予定配賦 完成 販売 直接費(跡づけできる)→ 仕掛品へ直行 / 間接費(跡づけできない)→ 製造間接費に集めて配賦 第18〜22章はこの図の「入口」を、第23〜25章は「仕掛品の中身」を詳しく学ぶ
工業簿記は「2級で最も点が取りやすい」領域 第4問(28点)+第5問(12点)=40点。範囲は商業簿記の半分以下で、出題パターンもほぼ固定。工業簿記を満点にできれば、商業簿記は60点中30点でも合格できます。ここは絶対に落とさない領域として作り込んでください。

17-1 工業簿記と商業簿記の違い

商業簿記(商品売買業)

買ってきた商品をそのまま売る。
売上原価=仕入れた金額。

「いくらで買ったか」は請求書を見ればわかる。

工業簿記(製造業)

材料を買い、加工して製品にして売る。
売上原価=自分で計算した製造原価。

「この製品にいくらかかったか」は自分で集計しないと誰も教えてくれない。

だから工業簿記の本質は「原価を集めて、製品に割り当てる作業」です。この一点さえ意識していれば、どの論点も同じことをやっているとわかります。

17-2 原価の3つの分類

図17-1 原価の分類 ― 3つの切り口
切り口分類中身
①形態別分類
何にかかったか
材料費モノにかかった原価(鉄板、部品、ネジ、工場の消耗品)
労務費ヒトにかかった原価(工員の賃金、工場長の給料、法定福利費)
経 費それ以外すべて(工場の減価償却費、電気代、外注加工賃、保険料)
②製品との関連
紐づけられるか
製造直接費どの製品にいくら使ったか直接わかるもの
製造間接費複数の製品に共通してかかり、個別には紐づけられないもの
③操業度との関連
生産量で増えるか
変動費作れば作るほど増える(材料費、出来高給)
固定費作っても作らなくても一定(工場の家賃、減価償却費、月給)
図17-2 ①と②を組み合わせた6分類
 製造直接費製造間接費
材料費直接材料費
主要材料費、買入部品費
間接材料費
補助材料費、工場消耗品費、消耗工具器具備品費
労務費直接労務費
直接工の直接作業時間に対する賃金
間接労務費
直接工の間接作業賃金・手待賃金、間接工賃金、給料、従業員賞与手当、退職給付費用、法定福利費
経 費直接経費
外注加工賃・特許権使用料の2つだけ
間接経費
減価償却費、電力料、ガス代、水道料、賃借料、保険料、棚卸減耗費、修繕費
暗記 直接費になるのは3つだけ ①直接材料費 ②直接労務費(直接工の直接作業分) ③直接経費(外注加工賃・特許権使用料)
これ以外はすべて製造間接費と覚えてしまって構いません。「工場長の給料」「工場の減価償却費」「電気代」——迷ったら間接費です。
注意 工場のものだけが製造原価 同じ「減価償却費」でも、工場の建物なら製造間接費(原価)、本社の建物なら販売費及び一般管理費(非原価)です。
また、次のものは非原価項目として製造原価に入れません:支払利息、有価証券売却損、火災損失、法人税等、株主への配当金。

17-3 原価計算の流れと勘定連絡図

図17-3 勘定連絡図 ― この1枚が工業簿記のすべて
費目別計算製品別計算完成販売
材 料
購入 → 消費
仕掛品
直接材料費
直接労務費
直接経費
+製造間接費配賦額

月初仕掛品+当月投入
-月末仕掛品
当月完成品原価
製 品
月初製品
+当月完成品
-月末製品
売上原価
売上原価

損 益
賃金・給料
支払 → 消費
経 費
支払 → 消費
製造間接費 ← 間接材料費・間接労務費・間接経費を集める → 配賦率を掛けて仕掛品

左から右へ、原価が一方通行で流れていく——これが工業簿記の全体像です。第4問(1)の仕訳問題は、この図のどこか1か所を切り取って聞いているだけです。

例題17-1 勘定連絡の仕訳基本

次の取引を仕訳しなさい。

  1. 材料¥800,000を掛けで購入した。
  2. 材料を消費した。直接材料費¥600,000、間接材料費¥120,000であった。
  3. 賃金¥900,000を消費した。直接労務費¥700,000、間接労務費¥200,000であった。
  4. 当月の間接経費¥340,000を計上した(減価償却費¥180,000、電力料¥160,000)。
  5. 製造間接費¥660,000を仕掛品に配賦した。
  6. 当月完成品原価は¥1,850,000であった。
  7. 製品¥1,600,000を売り上げた(売上原価の計上のみ示すこと)。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1材 料800,000買掛金800,000
2仕掛品
製造間接費
600,000
120,000
材 料720,000
3仕掛品
製造間接費
700,000
200,000
賃 金900,000
4製造間接費340,000減価償却累計額
未払電力料
180,000
160,000
5仕掛品660,000製造間接費660,000
6製 品1,850,000仕掛品1,850,000
7売上原価1,600,000製 品1,600,000
POINT 第4問(1)はこの7パターンの組み合わせ 直接費は「仕掛品」へ、間接費は「製造間接費」へ——この振り分けさえできれば、工業簿記の仕訳問題12点はほぼ確実に取れます。相手勘定が2つに割れる仕訳(No.2・No.3)が最頻出です。

合格演習 — 本試験レベルの追加7問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習17-1 原価の分類(形態別×製品との関連)基本

次の各費用を「直接材料費・間接材料費・直接労務費・間接労務費・直接経費・間接経費」のいずれかに分類しなさい。
①製品の主要材料の消費額 ②工場建物の減価償却費 ③直接工の直接作業賃金 ④工場長の給料 ⑤外注加工賃 ⑥機械の修理用部品代

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解答

①直接材料費 ②間接経費 ③直接労務費 ④間接労務費 ⑤直接経費 ⑥間接材料費

「どの製品にいくらかかったか跡づけできるか」が直接・間接の分かれ目。⑤外注加工賃は数少ない直接経費の代表例として頻出です。

合格演習17-2 原価・非原価の判定基本

次のうち、製品の製造原価に算入しないもの(非原価項目または期間費用)をすべて選びなさい。
ア 工場の電力料 イ 本社役員の給料 ウ 支払利息 エ 工場で使う消耗品費 オ 火災による工場設備の焼失損 カ 完成品を届ける配送費

解答・解説を見る

解答

イ・ウ・オ・カ

イ・カは販売費及び一般管理費、ウ・オは非原価項目(営業外費用・特別損失)。「工場で発生したか」がおおまかな判定基準です。

合格演習17-3 製造原価の構成標準

当月の原価データは次のとおり。①製造直接費、②製造間接費、③当月総製造費用を求めなさい。
直接材料費¥1,200,000/間接材料費¥180,000/直接労務費¥950,000/間接労務費¥320,000/直接経費¥50,000/間接経費¥400,000

解答・解説を見る

解答

¥2,200,000 ②¥900,000 ③¥3,100,000

直接費は仕掛品勘定へ直行、間接費はいったん製造間接費勘定に集めてから配賦します。この2ルートが工業簿記の背骨です。

合格演習17-4 仕掛品勘定の完成品原価標準

仕掛品勘定の記録は次のとおりである。当月の完成品原価を求めなさい。
月初仕掛品¥400,000/直接材料費¥1,500,000/直接労務費¥1,100,000/製造間接費配賦額¥900,000/月末仕掛品¥520,000

解答・解説を見る

解答

¥3,380,000

完成品原価=月初+当月投入−月末。仕掛品勘定は「箱」として、入りと出のバランスで機械的に解けるようにしましょう。

合格演習17-5 勘定連絡の流れ標準

材料の当月消費額のうち、直接材料費¥800,000・間接材料費¥150,000であった。材料勘定から振り替える仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
仕掛品¥800,000材料¥950,000
製造間接費¥150,000
合計¥950,000合計¥950,000

消費のたびに「直接→仕掛品」「間接→製造間接費」へ振り替えます。労務費・経費もまったく同じ型です。

合格演習17-6 売上原価への流れ標準

当月の完成品原価は¥3,380,000、月初製品棚卸高は¥600,000、月末製品棚卸高は¥720,000であった。①完成時と②販売時(売上原価への振替え)の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
製品¥3,380,000仕掛品¥3,380,000
売上原価¥3,260,000製品¥3,260,000
合計¥6,640,000合計¥6,640,000

売上原価=月初製品+完成品−月末製品。仕掛品→製品→売上原価と原価がバトンリレーしていく流れを勘定連絡図で確認しましょう。

合格演習17-7 工業簿記の月次サイクル応用

次の資料から当月の売上総利益を求めなさい。
売上高¥5,200,000/月初製品¥450,000/当月完成品原価¥3,600,000/月末製品¥550,000

解答・解説を見る

解答

¥1,700,000

売上原価3,500,000を差し引くだけですが、完成品原価と売上原価の違いを混同しないこと。売れた分だけが売上原価です。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習17-X1 原価の分類 ― 製造原価・期間原価と直接費・間接費標準

次の1〜8の原価・費用は、ア(製造原価のうち直接費)、イ(製造原価のうち間接費)、ウ(期間原価=販売費及び一般管理費)のいずれに該当するか。記号で答えなさい。
1. 製品の本体となる素材の消費額
2. 工場の機械装置の減価償却費
3. 本社営業部門の従業員の給料
4. 製品の組立てを行う直接工の直接作業賃金
5. 工場長の給料
6. 本社ビルの減価償却費
7. 製品にそのまま取り付ける買入部品の消費額
8. 完成した製品を得意先へ発送するための運送費

解答・解説を見る
No解答No解答
1ア(直接材料費)5イ(間接労務費)
2イ(間接経費)6ウ(期間原価)
3ウ(期間原価)7ア(直接材料費)
4ア(直接労務費)8ウ(期間原価)

判定手順は「工場で発生したか(製造原価か期間原価か)→特定の製品に消費額を直接たどれるか(直接費か間接費か)」の2段階です。本試験第4問(1)では、仕訳や勘定記入の前提としてこの分類が問われ、迷ったら「工場・製造のため=製造原価、本社・営業のため=期間原価」と切り分けます。8の発送運送費は工場の外で行われる販売活動の費用なので、間接経費(製造原価)に含めないことが最大の引っかけポイントです。

合格演習17-X2 勘定連絡図の金額推定本試験レベル

当月の資料は次のとおりである。製造間接費は実際配賦している。
・材料:月初有高¥120,000、当月仕入高¥780,000、月末有高¥100,000。材料消費額のうち¥650,000は直接材料費、残りは間接材料費である。
・賃金:当月消費額は直接労務費¥520,000、間接労務費¥180,000。
・経費:当月消費額¥270,000(すべて間接経費)。
・仕掛品:月初有高¥250,000、月末有高¥190,000。
・製品:月初有高¥310,000、月末有高¥280,000。
①当月の材料消費額、②製造間接費の実際発生額、③当月の完成品原価(当月製品製造原価)、④当月の売上原価を計算しなさい。

解答・解説を見る
①材料消費額¥800,000
②製造間接費実際発生額¥600,000
③完成品原価¥1,830,000
④売上原価¥1,860,000

勘定連絡図は材料→仕掛品→製品→売上原価の順に、各ボックスで「月初+当月受入−月末=当月払出」を繰り返して読むのが手順です。①材料は120,000+780,000−100,000=800,000、②間接材料費は800,000−650,000=150,000で、これに間接労務費180,000と間接経費270,000を加えて600,000です。③仕掛品ボックスは借方に月初250,000と当月製造費用(650,000+520,000+600,000)を置き、貸方の月末190,000を差し引いて完成品原価1,830,000、④製品ボックスで310,000+1,830,000−280,000=1,860,000となります。本試験では連絡図の一部を空欄にして推定させる形で出題されるため、間接材料費を二重に集計しないこと、月末有高の引き忘れがないことを図の上で確認しましょう。

合格演習17-X3 工業簿記の一連の仕訳(購入から販売まで)標準

当社は実際個別原価計算を採用している。次の一連の取引の仕訳を示しなさい。
1. 素材¥500,000を掛けで購入し、引取運賃¥20,000は現金で支払った。
2. 材料¥490,000を消費した。うち¥400,000は直接材料費、¥90,000は間接材料費である。
3. 当月に製造指図書の製品が完成した。完成品原価は¥950,000である。
4. 原価¥900,000の完成品を¥1,300,000で掛け販売した(売上の計上と売上原価の振替をあわせて行うこと)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1材料520,000買掛金
現金
500,000
20,000
2仕掛品
製造間接費
400,000
90,000
材料490,000
3製品950,000仕掛品950,000
4売掛金
売上原価
1,300,000
900,000
売上
製品
1,300,000
900,000

工業簿記の仕訳は「材料→仕掛品(直接費)または製造間接費(間接費)→製品→売上原価」という勘定連絡の流れをそのままなぞるのが手順です。購入原価には引取運賃などの材料副費を含める点、販売時には売上の計上と同時に製品原価を売上原価へ振り替える点が型になります。本試験第4問(1)では勘定科目が語群で指定されるため、商業簿記の癖で仕入勘定を使わず、材料勘定で処理することに注意してください。

合格演習17-X4 製造原価の三要素の集計標準

当月の原価に関する資料は次のとおりである。
1. 素材消費高¥760,000(すべて特定の製造指図書向け)
2. 買入部品消費高¥140,000(すべて特定の製造指図書向け)
3. 補助材料消費高¥95,000
4. 直接工賃金のうち直接作業分¥680,000
5. 直接工賃金のうち間接作業分¥70,000
6. 工場事務職員の給料¥150,000
7. 外注加工賃¥120,000(特定の製造指図書向け)
8. 工場建物・機械の減価償却費¥210,000
9. 工場の電力料¥85,000
①直接材料費、②直接労務費、③直接経費、④製造間接費、⑤当月総製造費用を計算しなさい。

解答・解説を見る
①直接材料費¥900,000
②直接労務費¥680,000
③直接経費¥120,000
④製造間接費¥610,000
⑤当月総製造費用¥2,310,000

手順は「まず直接費(素材・買入部品・直接作業賃金・外注加工賃)を拾い出し、残りをすべて製造間接費に集める」という一方通行です。形態別(材料費・労務費・経費)×製品との関連(直接・間接)のマトリクスに数字を置けば、間接材料費95,000+間接労務費(70,000+150,000)+間接経費(210,000+85,000)=610,000と機械的に集計できます。本試験では買入部品費を間接材料費に、外注加工賃を間接経費に誤分類させる出題が定番なので、この2つは直接費と即断できるようにしておきましょう。

合格演習17-X5 原価計算の種類の判定基本

次の1〜5の説明に最も適する原価計算の種類を、ア(個別原価計算)、イ(総合原価計算)、ウ(実際原価計算)、エ(標準原価計算)から1つずつ選び、記号で答えなさい。
1. 顧客の注文ごとに仕様の異なる特注機械を受注生産している場合に適した、製品原価の計算方法
2. 同一規格の清涼飲料を連続して大量生産している場合に適した、製品原価の計算方法
3. 実際の消費量と実際の価格(または予定価格)にもとづいて製品原価を計算する方法
4. 科学的・統計的調査にもとづいてあらかじめ定めた原価をもとに製品原価を計算し、実際発生額との差異を分析する方法
5. 船舶や特注の大型設備など、受注生産形態の業種に適した製品原価の計算方法

解答・解説を見る
No12345
解答

判定の軸は「生産形態(受注生産か大量見込生産か)」と「計算に使う原価(実際か標準か)」の2つで、両者は独立に組み合わされます(例:標準総合原価計算)。本試験では冒頭の語句選択や理論の空欄補充で問われる論点で、確実に得点すべきサービス問題です。個別=受注生産、総合=市場見込みの大量生産という対応が反射的に出るようにしておきましょう。

第18章材料費例題・演習 15問

18-1 材料の購入原価

暗記 購入原価の公式

購入原価 = 購入代価 + 材料副費

材料副費=引取運賃・購入手数料・関税などの外部副費+ 検収費・保管費などの内部副費

例題18-1 材料副費の予定配賦標準

(1) 材料¥1,200,000を掛けで購入した。材料副費は購入代価の5%を予定配賦する。
(2) 当月の材料副費の実際発生額は¥68,000であり、現金で支払った。
(3) 材料副費の予定配賦額と実際発生額の差額を材料副費差異勘定に振り替えた。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
(1)材 料1,260,000買掛金
材料副費
1,200,000
60,000
(2)材料副費68,000現 金68,000
(3)材料副費差異8,000材料副費8,000
  • 予定配賦額 = 1,200,000 × 5% = 60,000 → 材料の取得原価は 1,200,000 + 60,000 = 1,260,000
  • 差異 = 予定60,000 - 実際68,000 = △8,000(不利差異=借方差異)
暗記 差異の有利・不利 予定 - 実際 がプラス → 有利差異(貸方差異)/マイナス → 不利差異(借方差異)
「予定より実際にかかったほうが多い=損している=不利」と考えれば覚える必要はありません。

18-2 材料費の消費額の計算

例題18-2 実際消費額(平均法・先入先出法)標準

当月の材料の受払は次のとおりであった。(1)平均法、(2)先入先出法それぞれによる当月消費額と月末有高を求めなさい。

日付摘要数量単価金額
6/1月初有高100kg50050,000
6/8購 入400kg530212,000
6/20消 費450kg
解答・解説を見る
(1) 平均法

平均単価 = (50,000 + 212,000) ÷ (100 + 400) kg = 262,000 ÷ 500 = @¥524
消費額 = 450kg × 524 = ¥235,800 / 月末有高 = 50kg × 524 = ¥26,200

(2) 先入先出法

消費額 = 100kg × 500 + 350kg × 530 = 50,000 + 185,500 = ¥235,500
月末有高 = 50kg × 530 = ¥26,500

検算:どちらも 262,000 = 消費額 + 月末有高 ✔

18-3 予定消費価格と材料消費価格差異

図18-1 なぜ予定価格を使うのか

実際の購入単価は月によって変動します。それをそのまま製品原価にすると、同じ製品なのに月によって原価が違うという不合理が起きます。また、月末に実際単価が確定するまで原価計算ができません。
そこであらかじめ決めた予定価格で消費額を計算し、実際との差は「差異」として別に把握する——これが予定価格法です。

例題18-3 材料消費価格差異標準

例題18-2の資料により、予定消費価格@¥520を用いた場合の (1) 消費時の仕訳 (2) 材料消費価格差異の計上(実際消費額は平均法で計算する)を示しなさい。なお、消費した450kgのうち400kgは直接材料、50kgは間接材料である。

解答・解説を見る
計算
  • 予定消費額 = 450kg × 520 = ¥234,000(直接 400×520=208,000/間接 50×520=26,000)
  • 実際消費額(平均法)= ¥235,800
  • 差異 = 234,000 - 235,800 = △1,800(不利差異)
No借方科目金額貸方科目金額
(1)仕掛品
製造間接費
208,000
26,000
材 料234,000
(2)材料消費価格差異1,800材 料1,800
材 料
月初有高50,000
当月購入212,000
仕掛品(直接)208,000
製造間接費(間接)26,000
材料消費価格差異1,800
月末有高26,200

材料勘定の貸借が一致していることを確認してください(262,000=208,000+26,000+1,800+26,200)。

18-4 棚卸減耗

例題18-4 材料の棚卸減耗基本

月末に材料の実地棚卸を行ったところ、帳簿有高は50kg(@¥524)であったが、実地有高は47kgであった。減耗は正常なものである。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
製造間接費1,572材 料1,572

(50 - 47)kg × @524 = ¥1,572。正常な棚卸減耗費は「間接経費」として製造間接費に含めます。商業簿記のように「棚卸減耗損」という費用にはしません。

※異常な(多額の)減耗の場合は非原価項目として営業外費用・特別損失に計上します。

合格演習 — 本試験レベルの追加5問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習18-1 材料の購入原価基本

素材800kg(@¥500)を掛けで購入し、引取運賃¥20,000は現金で支払った。仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
材料¥420,000買掛金¥400,000
現金¥20,000
合計¥420,000合計¥420,000

引取運賃などの材料副費は購入原価に含めます。購入原価=購入代価+材料副費。

合格演習18-2 材料の消費基本

当月の材料出庫高は¥650,000であり、うち¥560,000は製品製造のための消費(特定の製造指図書向け)、残りは機械修繕用の消費であった。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
仕掛品¥560,000材料¥650,000
製造間接費¥90,000
合計¥650,000合計¥650,000

指図書番号が付く消費=直接材料費、付かない消費=間接材料費。出庫票の集計から仕訳へつなげる基本型です。

合格演習18-3 先入先出法による消費額標準

材料の月初在庫は100kg(@¥400)、当月仕入は300kg(@¥430)である。当月に320kgを消費した場合の、先入先出法による消費額を求めなさい。

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解答

¥134,600

古いものから払い出すと仮定:100kg×400+220kg×430。月末在庫80kgはすべて@430で評価されます。

合格演習18-4 予定消費価格と材料消費価格差異応用

材料の予定消費価格は@¥450である。当月の実際消費量は500kg、実際消費価格は@¥468であった。①予定価格による消費の仕訳(全額直接材料費)と、②材料消費価格差異への振替仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
① 予定価格による消費
仕掛品¥225,000材料¥225,000
② 差異の振替え
材料消費価格差異¥9,000材料¥9,000

実際468>予定450なので不利差異(借方差異)。差異=実際消費量×(実際価格−予定価格)。有利なら貸借が逆になります。

合格演習18-5 棚卸減耗の処理標準

材料の帳簿棚卸高は¥180,000であるが、実地棚卸高は¥171,000であった。減耗は正常な範囲内である。仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
製造間接費¥9,000材料¥9,000

正常な棚卸減耗費は間接経費として製造間接費へ。商業簿記の「棚卸減耗損」と勘定が違う点に注意しましょう。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習18-X1 材料の購入原価と値引・返品標準

材料の購入と値引・返品に関する次の取引の仕訳を示しなさい。当社は引取運賃などの材料副費を材料の購入原価に含めて処理している。
1. 素材600kg(購入代価@¥1,000)を掛けで購入し、引取運賃¥30,000は小切手を振り出して支払った。
2. 上記の素材のうち品質不良のものがあったため、¥50,000(購入代価)分を返品し、代金は買掛金から差し引くこととした。
3. さらに素材の一部に規格違いが見つかり、¥20,000の値引を受け、代金は買掛金から差し引くこととした。

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No借方科目金額貸方科目金額
1材料630,000買掛金
当座預金
600,000
30,000
2買掛金50,000材料50,000
3買掛金20,000材料20,000

購入原価=購入代価+材料副費(引取運賃・購入手数料など)が出発点で、600,000+30,000=630,000を材料勘定に計上します。値引・返品はいずれも買掛金 / 材料で取得原価を直接取り消す仕訳になり、購入時と貸借が逆になるだけです。本試験第4問(1)では引取運賃を費用処理させたり、返品を仕入勘定で処理させたりする誤りを誘うので、工業簿記では材料勘定で一貫させることを徹底してください。

合格演習18-X2 予定消費価格による消費と材料消費価格差異本試験レベル

材料の消費額の計算には予定消費価格@¥520を用いている。月初棚卸高は200kg(実際購入原価@¥500)、当月購入高は1,000kg(実際購入原価@¥530)、当月消費量は1,050kg(うち直接材料としての消費950kg、間接材料としての消費100kg)である。実際消費額の計算は平均法による。
1. 予定消費価格による当月の材料消費の仕訳を示しなさい。
2. 材料消費価格差異を計算し、その振替仕訳を示しなさい(借方差異・貸方差異の別も明らかにすること)。

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No借方科目金額貸方科目金額
1仕掛品
製造間接費
494,000
52,000
材料546,000
2材料消費価格差異5,250材料5,250

材料消費価格差異は借方差異(不利差異)¥5,250です。手順は「①予定価格×実際消費量で先に仕訳→②材料ボックスで実際消費額を計算→③予定−実際で差異」の3段階で、ボックスの左側に月初100,000と当月購入530,000を並べ、平均単価(100,000+530,000)÷1,200kg=@525を出してから消費1,050kg分551,250を右側に記入します。予定546,000に対して実際551,250と多くかかっているため、差額5,250は材料勘定の貸方から材料消費価格差異勘定の借方へ振り替えます。本試験では有利・不利の判定が最頻出の引っかけなので、「実際が予定より高ければ不利(借方)」と機械的に判断できるようにしましょう。

合格演習18-X3 先入先出法と平均法による消費額標準

次の資料にもとづき、当月の材料消費額を①先入先出法、②平均法(総平均法)のそれぞれで計算しなさい。
・月初有高 200kg(@¥440 ¥88,000)
・当月購入 10日 300kg(@¥460 ¥138,000)、25日 100kg(@¥500 ¥50,000)
・当月消費量 500kg(月末有高100kg)

解答・解説を見る
①先入先出法¥226,000
②平均法¥230,000

材料ボックスを描き、左側に月初と当月購入を日付順に積み、右側の上に消費500kg・下に月末100kgを置くのが読み方の手順です。先入先出法は左の古い順に消費へ充当して200kg×@440+300kg×@460=226,000、平均法は左側合計276,000÷600kg=@460を消費量に掛けて500kg×@460=230,000となります。本試験では同一データで両方を計算させて理解を試すため、月末有高からの逆算(先入先出法の月末は最も新しい@500の100kg=50,000、合計276,000−50,000=226,000)で検算できるようにしておくと安全です。

合格演習18-X4 月末棚卸と棚卸減耗費の計上標準

月末における素材の帳簿棚卸高は300kg(@¥450)であったが、実地棚卸数量は290kgであった。減耗は正常な範囲のものである。
1. 棚卸減耗費を計上する仕訳を示しなさい。
2. 棚卸減耗費を間接経費として製造間接費勘定へ振り替える仕訳を示しなさい。

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No借方科目金額貸方科目金額
1棚卸減耗費4,500材料4,500
2製造間接費4,500棚卸減耗費4,500

減耗量(300−290)kg×@450=¥4,500を材料勘定から減らし、正常な減耗は原価性があるため製造間接費(間接経費)として製品原価に含めるのが手順です。本試験では月末の一連処理(消費→棚卸→差異振替)の流れの中で問われ、棚卸減耗費勘定を経由する方法と、直接製造間接費 / 材料とする方法のどちらの指示もあり得ます。正常な減耗を営業外費用などへ直行させない点と、単価は帳簿価額@450を使う点が間違えやすいポイントです。

合格演習18-X5 材料副費の予定配賦と材料副費差異本試験レベル

当社は材料副費について、購入代価の5%を予定配賦している。次の取引の仕訳を示しなさい。
1. 素材¥900,000(購入代価)を掛けで購入し、材料副費の予定配賦額をあわせて材料勘定に計上した。
2. 月末に、当月の材料副費の実際発生額が¥48,000であることが判明したため、予定配賦額との差額を材料副費差異勘定へ振り替えた。

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No借方科目金額貸方科目金額
1材料945,000買掛金
材料副費
900,000
45,000
2材料副費差異3,000材料副費3,000

検収費や保管費などの材料副費は実際額の集計が遅れるため、予定配賦率で先に購入原価へ算入するのが手順です(900,000×5%=45,000を材料副費勘定の貸方に計上)。実際発生額48,000に対して予定45,000と配賦不足なので、材料副費勘定の借方残高3,000を材料副費差異勘定の借方へ振り替えます(借方差異・不利差異)。本試験では予定配賦額の貸方科目を現金などとしてしまう誤りが多く、購入時点では支払いがなくても材料副費勘定の貸方で予定額を計上する、という点が最大のポイントです。

合格演習18-X6 直接材料費と間接材料費の消費仕訳標準

次の材料の消費に関する取引の仕訳を示しなさい。なお、材料はすべて材料勘定で処理している。
1. 素材¥520,000を製造指図書#201向けに出庫した。
2. 買入部品¥180,000を製造指図書#202向けに出庫した。
3. 機械の補修に用いる補助材料の当月消費高は¥60,000であった。
4. 工場消耗品の当月消費高は¥25,000であった(棚卸計算法により把握)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕掛品520,000材料520,000
2仕掛品180,000材料180,000
3製造間接費60,000材料60,000
4製造間接費25,000材料25,000

消費の仕訳は「特定の製造指図書に紐づくか」で借方が決まり、素材・買入部品の指図書向け出庫は仕掛品、補助材料・工場消耗品・消耗工具器具備品は製造間接費です。貸方はいずれも材料勘定で統一されます(内訳勘定を設けない2級の標準的な前提)。本試験では「素材でも機械の修繕に使えば間接材料費」といった用途基準の引っかけが出るため、材料の名称ではなく使い方で判定する癖をつけましょう。

第19章労務費例題・演習 14問

19-1 直接労務費になるのは「直接工の直接作業」だけ

図19-1 労務費の分類
誰の何の時間か分類
直接工
(製品を直接加工する工員)
直接作業時間(加工そのもの)直接労務費
間接作業時間(機械の掃除、運搬など)間接労務費
手待時間(材料待ちなどの待機)間接労務費
間接工
(修繕・運搬などの補助作業)
すべての時間間接労務費
工場事務員
工場長
すべての時間(給料)間接労務費

直接工の賃金だからといって全部が直接労務費ではありません。ここが第4問(1)の最頻出ひっかけです。

19-2 支払額と消費額のズレ ― 給与計算期間と原価計算期間

暗記 当月消費額の公式

当月消費額 = 当月支払額 - 前月末未払額 + 当月末未払額

「前月分を引いて、当月分を足す」——経過勘定と同じ考え方です。

例題19-1 賃金の消費額標準

当月の直接工に関する資料は次のとおりである。当月の直接労務費・間接労務費と、賃率差異を求め、仕訳を示しなさい。

  • 当月賃金支払額 ¥1,500,000(前月末未払 ¥280,000、当月末未払 ¥310,000)
  • 予定賃率 @¥1,200
  • 当月の直接工の作業時間:直接作業時間 1,100時間、間接作業時間 150時間、手待時間 20時間
解答・解説を見る
Step1 予定賃率による消費額
  • 直接労務費 = 1,100時間 × 1,200 = ¥1,320,000
  • 間接労務費 = (150 + 20)時間 × 1,200 = ¥204,000
  • 予定消費額の合計 = 1,270時間 × 1,200 = ¥1,524,000
Step2 実際消費額

1,500,000 - 280,000 + 310,000 = ¥1,530,000

Step3 賃率差異

1,524,000 - 1,530,000 = △¥6,000(不利差異)

借方科目金額貸方科目金額
仕掛品
製造間接費
1,320,000
204,000
賃金・給料1,524,000
賃率差異6,000賃金・給料6,000
賃金・給料
当月支払1,500,000
当月末未払310,000
前月末未払280,000
仕掛品1,320,000
製造間接費204,000
賃率差異6,000

借方 1,810,000 = 貸方 1,810,000 ✔

合格演習 — 本試験レベルの追加8問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習19-1 賃金の支払い基本

当月の賃金支給総額は¥2,300,000であり、源泉所得税等の預り金¥280,000を差し引いた残額を当座預金から支払った。仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
賃金¥2,300,000預り金¥280,000
当座預金¥2,020,000
合計¥2,300,000合計¥2,300,000

支給総額を賃金勘定の借方へ。預り金は後日納付します。ここまでは商業簿記の給料と同じ感覚でOKです。

合格演習19-2 賃金の消費標準

当月の直接工の作業時間の内訳は、直接作業時間400時間・間接作業時間50時間であった。消費賃率は1時間あたり¥1,300である。賃金消費の仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
仕掛品¥520,000賃金¥585,000
製造間接費¥65,000
合計¥585,000合計¥585,000

直接工でも間接作業(修繕・清掃など)の時間は間接労務費。作業時間の内訳で振り分けます。

合格演習19-3 要支払額(当月消費額)の計算応用

賃金の当月支払高は¥2,300,000、前月末の未払高は¥350,000、当月末の未払高は¥410,000である。当月の賃金消費額(要支払額)を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

¥2,360,000

消費額=支払高−前月未払+当月未払。給与計算期間(20日締めなど)と原価計算期間(月末締め)のズレを調整する、超頻出の計算です。

合格演習19-4 予定賃率と賃率差異応用

予定賃率は1時間あたり¥1,250である。当月の実際作業時間は450時間(全額直接作業)、実際賃金消費額は¥576,000であった。①予定賃率による消費の仕訳と、②賃率差異への振替仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
① 予定賃率による消費
仕掛品¥562,500賃金¥562,500
② 差異の振替え
賃率差異¥13,500賃金¥13,500

実際576,000>予定562,500で不利差異¥13,500。差異勘定への振替の向き(借方差異=賃金勘定の貸方から振り替え)を体で覚えましょう。

合格演習19-5 間接工の賃金標準

間接工の当月支払賃金は¥480,000、前月未払は¥60,000、当月未払は¥75,000であった。間接工賃金の消費の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
製造間接費¥495,000賃金¥495,000

間接工の賃金消費額は作業時間ではなく要支払額で計算し、全額が間接労務費になります。

合格演習19-6 労務費の分類基本

次のうち間接労務費に該当するものをすべて選びなさい。
ア 直接工の直接作業分の賃金 イ 工場事務員の給料 ウ 直接工の手待時間分の賃金 エ 工員の法定福利費(社会保険料の会社負担分) オ 本社営業部員の給料

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解答

イ・ウ・エ

手待時間は作業をしていないので間接労務費。法定福利費も間接労務費です。オは販売費及び一般管理費で、そもそも原価(製造原価)に入りません。

合格演習19-7 賃金勘定の締め標準

賃金勘定の記録は、借方:当月支払高¥2,300,000/貸方:前月未払高(再振替)¥350,000・当月消費高¥2,360,000であった。月末に必要な未払計上の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
賃金¥410,000未払賃金¥410,000

貸借差額410,000を未払賃金(負債)へ。翌月初に再振替して、支払時の仕訳をシンプルに保ちます。

合格演習19-8 消費額の総合計算応用

直接工の予定賃率は@¥1,400、当月の直接作業時間は380時間、間接作業時間は40時間であった。当月の直接労務費と間接労務費(直接工分のみ)を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

直接労務費 ¥532,000/間接労務費 ¥56,000

直接工の消費賃金=予定賃率×実際作業時間。時間の内訳をかけ算するだけですが、第4問(1)の仕訳問題でよく問われます。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習19-X1 賃金の支給額と消費額のズレ本試験レベル

賃金の支払いは毎月20日締め・25日払いであり、月末に未払額を計上している。当月の資料は次のとおりである。
・前月末未払高 ¥180,000
・当月支給総額 ¥1,250,000(源泉所得税などの預り金¥125,000を控除し、残額を現金で支給)
・当月末未払高 ¥210,000
1. 支給時の仕訳を示しなさい。
2. 当月の賃金消費額(当月の労務費となる金額)を計算しなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
賃金1,250,000預り金
現金
125,000
1,125,000

当月の賃金消費額は¥1,280,000です。賃金勘定のボックスは、借方に当月支給1,250,000と当月末未払210,000、貸方に前月末未払180,000(再振替)を置き、貸借差額として貸方に消費額1,280,000を求めるのが読み方の手順です。式にすると消費額=支給額−前月未払+当月未払で、給与計算期間(前月21日〜当月20日)と原価計算期間(1日〜月末)のズレを未払で調整しています。本試験第4問では未払の符号を逆にする誤りが最も多いので「前月分は引く・当月分は足す」を図で確認し、支給時の借方は控除前の総額とする点にも注意してください。

合格演習19-X2 予定賃率による消費と賃率差異本試験レベル

直接工の賃金消費額の計算には予定賃率@¥1,200を用いている。当月の実際作業時間は1,000時間(うち直接作業時間850時間、間接作業時間150時間)であり、当月の実際賃金消費額は¥1,224,000であった。
1. 予定賃率による消費の仕訳を示しなさい。
2. 賃率差異を計算し、その振替仕訳を示しなさい(借方差異・貸方差異の別も明らかにすること)。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕掛品
製造間接費
1,020,000
180,000
賃金1,200,000
2賃率差異24,000賃金24,000

賃率差異は借方差異(不利差異)¥24,000です。手順は「予定賃率×実際作業時間で先に仕訳→実際消費額と比較→差額を賃率差異へ」の3段階で、材料消費価格差異と完全に同じ型です。予定1,200,000(=@1,200×1,000時間)に対して実際1,224,000と多くかかっているため、賃金勘定の借方残高24,000を賃率差異勘定の借方へ振り替えます。本試験では直接作業時間850時間だけに賃率を掛けて間接作業分を落とす誤りが頻出で、消費仕訳では総作業時間1,000時間分を賃金勘定の貸方に計上することがポイントです。

合格演習19-X3 直接工の作業時間の内訳と消費仕訳標準

直接工の消費賃率は@¥1,300である。当月の就業時間の内訳は、直接作業時間700時間、間接作業時間80時間、手待時間20時間であった。当月の賃金消費の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
仕掛品
製造間接費
910,000
130,000
賃金1,040,000

直接労務費になるのは直接作業時間だけで、間接作業時間と手待時間は間接労務費として製造間接費へ集計します((80+20)時間×@1,300=130,000)。手待時間は材料待ちや停電など工員の責任でない待ち時間であり、賃金は支払われるため原価には含めますが、特定の製品には紐づけられません。本試験では手待時間を原価から除外させる引っかけや、段取・修繕といった間接作業の名称を変えた出題があるので、「直接作業以外はすべて製造間接費」と整理しておきましょう。

合格演習19-X4 間接工賃金・給料の消費標準

間接工の賃金について、前月末未払高は¥60,000、当月支給総額は¥420,000、当月末未払高は¥75,000であった。また、工場事務職員の給料の当月要支払額は¥250,000であった。当月の労務費消費の仕訳を示しなさい(貸方は賃金勘定と給料勘定を用いること)。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
製造間接費685,000賃金
給料
435,000
250,000

間接工の消費額も直接工と同じく要支払額(420,000−60,000+75,000=435,000)で計算しますが、作業時間の記録をとらないため全額が間接労務費になります。工場事務職員や工場長の給料も同様に、すべて製造間接費へ集計します。本試験では直接工の賃金と同一の問題内で出題され、間接工の分まで仕掛品へ振り替えてしまう誤りが典型的な失点パターンです。

合格演習19-X5 定時間外作業手当(割増賃金)の処理本試験レベル

直接工の消費賃率は@¥1,500である。当月の直接作業時間は500時間であり、このうち40時間は定時間外作業(残業)によるものであった。定時間外作業に対しては通常の賃率の30%増しの手当を支払っており、割増部分は製造間接費として処理する。当月の賃金消費の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
仕掛品
製造間接費
750,000
18,000
賃金768,000

定時間外作業であっても直接作業をしている限り、基本賃率部分(500時間×@1,500=750,000)は直接労務費です。割増部分(40時間×@1,500×30%=18,000)は、たまたま残業時間帯に製造した製品だけに負担させるのは不合理なので、原則として製造間接費(間接労務費)とします。本試験では割増を含む全額を仕掛品に入れる誤りと、残業時間の基本部分まで間接費にする誤りの両方が狙われるため、「基本は直接・割増だけ間接」と覚えてください。

第20章経費例題・演習 13問

20-1 経費の4分類 ― 消費額の測り方で分ける

分類消費額の測り方
支払経費その月に支払った額(前払・未払があれば調整)修繕費、外注加工賃、旅費交通費、通信費
月割経費年額を12で割った減価償却費、保険料、賃借料、租税公課
測定経費メーターで測った当月使用量電力料、ガス代、水道料
発生経費その月に発生した事実による額棚卸減耗費、仕損費
注意 直接経費は2つだけ 外注加工賃特許権使用料——この2つだけが直接経費で、仕掛品に直接入れます。それ以外の経費はすべて製造間接費です。
例題20-1 経費の仕訳標準

当月の経費に関する資料は次のとおりである。当月の経費消費額を計算し、仕訳を示しなさい。

  1. 工場建物の減価償却費(年額¥3,600,000)
  2. 工場の電力料:当月のメーター検針量にもとづく測定額 ¥185,000(当月の支払額は¥170,000)
  3. 外注加工賃:当月支払額 ¥240,000(前月末未払 ¥30,000、当月末未払 ¥45,000)
  4. 工場の火災保険料(年額¥480,000)
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消費額の計算
項目分類計算消費額
減価償却費月割3,600,000 ÷ 12300,000
電力料測定メーター測定額をそのまま採用185,000
外注加工賃支払240,000 - 30,000 + 45,000255,000
保険料月割480,000 ÷ 1240,000
借方科目金額貸方科目金額
仕掛品
製造間接費
255,000
525,000
経 費780,000
  • 外注加工賃¥255,000は直接経費なので仕掛品へ。
  • 減価償却費300,000 + 電力料185,000 + 保険料40,000 = 525,000が製造間接費
  • 電力料は「支払額¥170,000」ではなく「測定額¥185,000」を使います。ここが引っかけです。
確認問題20-1 費目別計算の仕訳10問(第4問(1)対策)標準
  1. 素材¥1,500,000と工場消耗品¥90,000を掛けで購入した。なお、引取運賃¥24,000は現金で支払った(引取運賃は素材と工場消耗品に按分せず、全額を素材の原価に加算する)。
  2. 素材¥1,380,000(すべて直接材料)と工場消耗品¥75,000を消費した。
  3. 当月の直接工の作業時間は、直接作業1,400時間、間接作業120時間であった。予定賃率は@¥1,300である。
  4. 間接工の当月賃金消費額は¥380,000であった。
  5. 工場事務員の給料¥260,000を消費した。
  6. 直接工の実際賃金消費額は¥2,010,000であった。賃率差異を計上する(上記3による)。
  7. 工場建物の減価償却費の当月分¥420,000を計上した。
  8. 当月の電力料の測定額¥136,000を計上した(未払い)。
  9. 外注加工賃の当月消費額¥310,000を計上した(未払い)。
  10. 製造間接費の予定配賦額¥1,450,000を仕掛品に配賦した。
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No借方科目金額貸方科目金額
1材 料1,614,000買掛金
現 金
1,590,000
24,000
2仕掛品
製造間接費
1,380,000
75,000
材 料1,455,000
3仕掛品
製造間接費
1,820,000
156,000
賃金・給料1,976,000
4製造間接費380,000賃金・給料380,000
5製造間接費260,000賃金・給料260,000
6賃率差異34,000賃金・給料34,000
7製造間接費420,000減価償却累計額420,000
8製造間接費136,000未払電力料136,000
9仕掛品310,000未払外注加工賃310,000
10仕掛品1,450,000製造間接費1,450,000
計算・注意点
  • 1:1,500,000+90,000+24,000=1,614,000(買掛金は1,500,000+90,000=1,590,000)。
  • 2:工場消耗品は間接材料費なので製造間接費へ。
  • 3:直接1,400h×1,300=1,820,000/間接120h×1,300=156,000。間接作業時間分は製造間接費
  • 6:予定消費額1,976,000 - 実際2,010,000 = △34,000(不利差異=借方)。
  • 9:外注加工賃は直接経費なので仕掛品へ。製造間接費にすると不正解です。

合格演習 — 本試験レベルの追加6問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習20-1 経費の分類基本

次の経費を「支払経費・月割経費・測定経費・発生経費」に分類しなさい。
①外注加工賃 ②工場建物の減価償却費 ③電力料 ④材料棚卸減耗費 ⑤工場の火災保険料 ⑥ガス代

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解答

①支払経費 ②月割経費 ③測定経費 ④発生経費 ⑤月割経費 ⑥測定経費

消費額のつかみ方による分類です。支払額/月割額/メーター測定量/実地棚卸による把握という「はかり方」に注目しましょう。

合格演習20-2 外注加工賃標準

製品Aの製造のため、メッキ加工を外部業者へ依頼し、加工賃¥130,000は翌月払いとした(材料は無償支給)。仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
仕掛品¥130,000未払金¥130,000

外注加工賃は直接経費の代表例なので、製造間接費を経由せず仕掛品へ直行します。

合格演習20-3 減価償却費の月割計上基本

工場の機械(年間減価償却費¥1,800,000)について、当月分の減価償却費を計上する。仕訳を示しなさい(間接法)。

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解答(仕訳)

借方貸方
製造間接費¥150,000機械減価償却累計額¥150,000

原価計算は月次で回すため、年間額を12等分して毎月計上します。月割経費の典型です。

合格演習20-4 測定経費の計上標準

電力料について、当月の支払額は¥95,000、メーターによる当月測定額(消費額)は¥102,000であった。当月の経費として計上すべき金額を答えなさい。

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解答

¥102,000

測定経費は支払額ではなく当月の測定量にもとづく消費額で計上します。支払額との差は未払・前払として調整されます。

合格演習20-5 間接経費の振替え標準

当月の経費の消費額は、外注加工賃¥130,000、工場減価償却費¥150,000、工場の水道光熱費¥85,000、工場建物の賃借料¥200,000であった。仕掛品勘定と製造間接費勘定への振替額をそれぞれ求めなさい。

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解答

仕掛品 ¥130,000/製造間接費 ¥435,000

直接経費は外注加工賃のみ。それ以外の経費はすべて間接経費として製造間接費へ集計します。

合格演習20-6 発生経費標準

材料の帳簿棚卸高¥250,000に対し実地棚卸高は¥244,000であった(正常範囲内の減耗)。この差異を経費として処理する仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
製造間接費¥6,000材料¥6,000

棚卸減耗費は帳簿と実地の差として発生額を把握する経費(発生経費)。支払いを伴わない点が特徴です。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習20-X1 経費の4分類の判定標準

次の1〜8の経費は、ア(支払経費)、イ(月割経費)、ウ(測定経費)、エ(発生経費)のいずれに該当するか。記号で答えなさい。
1. 外注加工賃
2. 工場機械の減価償却費
3. 工場の電力料(メーターの検針にもとづき計上)
4. 材料の棚卸減耗費
5. 工場建物の火災保険料(1年分を月割で計上)
6. 工場のガス代・水道料(メーターの検針にもとづき計上)
7. 工場設備の修繕料(当月の請求額にもとづき計上)
8. 仕損費

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No解答No解答
1ア(支払経費)5イ(月割経費)
2イ(月割経費)6ウ(測定経費)
3ウ(測定経費)7ア(支払経費)
4エ(発生経費)8エ(発生経費)

分類の軸は「当月の消費額をどうやって測るか」で、支払額・請求額なら支払経費、年額や数か月分の按分なら月割経費、メーターの測定量なら測定経費、帳簿と実際の差などから把握されるものなら発生経費です。本試験では語句選択のほか、月割・測定の金額計算とセットで問われます。棚卸減耗費と仕損費は「お金を払っていないのに発生する」発生経費の2大例として必ず覚えておきましょう。

合格演習20-X2 外注加工賃の仕訳(直接経費)標準

当社は材料の一部について、メッキ加工を外部の工場に依頼している。次の取引の仕訳を示しなさい(経費については外注加工賃勘定を用いること)。
1. 外注先から加工品の引渡しを受け、加工賃¥140,000は小切手を振り出して支払った。
2. 月末に、当月の外注加工賃の消費高¥140,000を製造原価に振り替えた。

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No借方科目金額貸方科目金額
1外注加工賃140,000当座預金140,000
2仕掛品140,000外注加工賃140,000

外注加工賃は特定の製造指図書のために発生する典型的な直接経費なので、消費の振替先は製造間接費ではなく仕掛品です。手順は「支払時に経費の勘定へ→月末に消費高を仕掛品へ」の2段階で、経費の諸勘定を用いない指示の場合は支払時に直接仕掛品 / 当座預金とします。2級で直接経費になるのは外注加工賃と特許権使用料程度なので、「外注加工賃=仕掛品行き」と即答できることが得点差になります。

合格演習20-X3 減価償却費・保険料の月割計上標準

次の経費について、当月分を間接経費として計上する仕訳を示しなさい。
1. 工場建物の減価償却費は年間¥2,160,000と見積もられている(記帳は間接法による)。
2. 工場の火災保険料は1年分¥360,000を支払時に前払保険料勘定に計上しており、当月分を月割で振り替える。

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No借方科目金額貸方科目金額
1製造間接費180,000建物減価償却累計額180,000
2製造間接費30,000前払保険料30,000

月割経費は年額(または数か月分)を月数で割り、当月負担分だけを計上します(2,160,000÷12=180,000、360,000÷12=30,000)。工場に関する減価償却費や保険料は製品原価を構成するため、販売費及び一般管理費ではなく製造間接費へ集計するのが商業簿記との大きな違いです。本試験では年額のまま計上させる引っかけや、本社建物分(期間原価)を資料に混ぜる出題が定番なので、「工場か本社か」「年額か月額か」を必ず確認しましょう。

合格演習20-X4 電力料(測定経費)の計上本試験レベル

工場の電力料について、当月中に支払った金額は¥95,000(前月検針分)であった。当月末の検針によると、当月の使用量は3,600kWhであり、電力料は基本料金月額¥12,000に従量料金(1kWhあたり¥25)を加えて計算される。当月の経費として計上すべき電力料の金額を計算し、間接経費として計上する仕訳を示しなさい(電力料勘定から振り替えること)。

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借方科目金額貸方科目金額
製造間接費102,000電力料102,000

当月の消費額は基本料金12,000+従量料金3,600kWh×@25=¥102,000です。測定経費は「いくら払ったか」ではなく「当月どれだけ使ったか」を検針量で測って計上するため、支払額95,000は当月の原価計算には使いません。本試験では支払額と測定額を並べてどちらを使うか判断させる形が定番なので、「支払経費=支払額、測定経費=測定額、月割経費=月割額」という対応で判定するのが手順です。

合格演習20-X5 棚卸減耗費の経費処理標準

月末に材料の実地棚卸を行ったところ、帳簿棚卸数量600kg(@¥420)に対し、実地棚卸数量は580kgであった。減耗は正常なものである。棚卸減耗費勘定を用いず、直ちに製造間接費勘定へ振り替える方法により、仕訳を示しなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
製造間接費8,400材料8,400

棚卸減耗費は支払いを伴わず、帳簿と実地の差から把握される発生経費で、(600−580)kg×@420=8,400を材料勘定から減らします。正常な減耗は製品を作るうえで避けられない原価なので、間接経費として製造間接費へ集計します。本試験では棚卸減耗費勘定を経由する方法と本問のように直接振り替える方法の両方が出題されるため、問題文の勘定指定を確認してから仕訳することがミス防止のポイントです。

第21章製造間接費 ― 予定配賦と差異分析例題・演習 16問

図21-A シュラッター図 ― 予算差異と操業度差異が一目でわかる
固定費予算 予算許容額線 予定配賦率線 実際発生額 予算差異 操業度差異 実際操業度基準操業度 予算差異=実際発生額−予算許容額(変動費率×実際操業度+固定費)操業度差異=固定費率×(実際操業度−基準操業度)
ここが工業簿記の第一関門 第4問(2)でも第5問でも問われる中核論点です。シュラッター図(差異分析図)を1枚書けるようになれば、標準原価計算(第26章)まで一気に理解できます。

21-1 実際配賦の問題点と予定配賦

なぜ予定配賦するのか 実際配賦だと、①月末に実際額が判明するまで製品原価が計算できない、②夏はエアコン代で電力料が増えるため、同じ製品なのに夏だけ原価が高くなる、③生産量が少ない月は固定費の負担が重くなり原価が跳ね上がる——という不合理が起きます。
そこで年間の予算を年間の基準操業度で割った「予定配賦率」をあらかじめ決めておき、実際の操業度を掛けて配賦します。
暗記 予定配賦の2つの式

予定配賦率 = 年間の製造間接費予算 ÷ 年間の基準操業度
予定配賦額 = 予定配賦率 × 実際操業度

21-2 差異分析 ― 予算差異と操業度差異

図21-1 差異分析の公式(公式法変動予算)
差異計算式意味
総差異予定配賦額 - 実際発生額配賦しきれなかった(しすぎた)額
予算差異予算許容額 - 実際発生額ムダ遣いがあったか(コスト管理の責任)
操業度差異固定費率 ×(実際操業度 - 基準操業度)設備を予定どおり使えたか(固定費の回収不足)
予算許容額 = 変動費率 × 実際操業度 + 月間固定費予算

操業度差異は必ず「固定費率」だけで計算します。変動費は使った分だけ発生するので、操業度が下がっても損はしません。損をするのは「設備を遊ばせた分の固定費」です。

例題21-1 製造間接費の差異分析応用

当社は製造間接費を直接作業時間にもとづいて予定配賦している。次の資料により、予定配賦額・総差異・予算差異・操業度差異を求めなさい。

  • 年間製造間接費予算 ¥7,200,000(うち変動費 ¥3,600,000、固定費 ¥3,600,000)
  • 年間基準操業度 12,000直接作業時間
  • 当月の実際直接作業時間 950時間、当月の製造間接費実際発生額 ¥595,000
解答・解説を見る
Step1 率と月間データを出す
項目計算結果
予定配賦率7,200,000 ÷ 12,000時間@600
 うち変動費率3,600,000 ÷ 12,000時間@300
 うち固定費率3,600,000 ÷ 12,000時間@300
月間基準操業度12,000時間 ÷ 12か月1,000時間
月間固定費予算3,600,000 ÷ 12か月300,000
Step2 差異の計算
項目計算金額
予定配賦額@600 × 950時間570,000
実際発生額595,000
総差異570,000 - 595,000△25,000(不利)
予算許容額@300 × 950時間 + 300,000585,000
予算差異585,000 - 595,000△10,000(不利)
操業度差異@300 ×(950 - 1,000)時間△15,000(不利)

検算:△10,000 + △15,000 = △25,000(総差異)✔

Step3 仕訳
借方科目金額貸方科目金額
仕掛品570,000製造間接費570,000
予算差異
操業度差異
10,000
15,000
製造間接費25,000
Step4 シュラッター図で確認する
図21-2 シュラッター図(例題21-1)
操業度 金額 固定費予算 300,000 予算許容額線(変動費率@300+固定費) 予定配賦線(@600) 実際950h 基準1,000h 実際発生額 595,000 予算許容額 585,000 予定配賦額 570,000 予算差異 △10,000 = 予算許容額 - 実際発生額 操業度差異 △15,000 = 固定費率@300 ×(950 - 1,000)

実際操業度950hの縦線上に、上から実際発生額 → 予算許容額 → 予定配賦額の3点が並びます。上2点の差が予算差異、下2点の差が操業度差異——これがシュラッター図の読み方です。

暗記 差異分析の3ステップ
  1. 予定配賦額=予定配賦率 × 実際操業度
  2. 予算許容額=変動費率 × 実際操業度 + 月間固定費予算
  3. 予算差異=②-実際、操業度差異=①-②(=固定費率×(実際-基準))
例題21-2 固定予算の場合標準

例題21-1と同じ条件で、固定予算(月間予算額¥600,000で固定)を採用している場合の予算差異と操業度差異を求めなさい。

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  • 予定配賦額 = @600 × 950時間 = ¥570,000
  • 予算差異 = 600,000(月間予算額そのまま)- 595,000 = +¥5,000(有利)
  • 操業度差異 = 570,000 - 600,000 = △¥30,000(不利)

検算:+5,000 △30,000 = △25,000(総差異)✔

違いはここだけ 固定予算では「予算許容額=月間予算額」で、操業度に関係なく一定です。変動費率を使った按分をしません。問題文に「公式法変動予算」とあるか「固定予算」とあるかを必ず確認してください。

合格演習 — 本試験レベルの追加7問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習21-1 予定配賦率の算定基本

年間の製造間接費予算は¥14,400,000、年間の予定直接作業時間(基準操業度)は9,600時間である。予定配賦率を求めなさい。

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解答

@¥1,500/時間

予定配賦率=製造間接費予算÷基準操業度。月ごとの操業度のブレや計算の遅れを避けるため、年間ベースで決めておきます。

合格演習21-2 予定配賦の仕訳基本

予定配賦率@¥1,500、当月の実際直接作業時間は780時間であった。製造間接費の予定配賦の仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
仕掛品¥1,170,000製造間接費¥1,170,000

配賦額=予定配賦率×実際操業度。「予定」とつきますが、掛ける時間は当月の実際時間です。

合格演習21-3 配賦差異の把握標準

当月の製造間接費の実際発生額は¥1,205,000、予定配賦額は¥1,170,000であった。製造間接費配賦差異への振替仕訳を示し、有利・不利の別を答えなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
製造間接費配賦差異¥35,000製造間接費¥35,000

解答

不利差異(借方差異)¥35,000

実際>予定なので配賦不足=不利差異。製造間接費勘定の残高を差異勘定へ振り替えて勘定を空にします。

合格演習21-4 公式法変動予算による差異分析応用

公式法変動予算:変動費率@¥600、月間固定費予算¥720,000、月間基準操業度800時間。当月の実際直接作業時間は780時間、実際発生額は¥1,205,000であった。予算差異と操業度差異を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

予算差異 不利差異 ¥17,000/操業度差異 不利差異 ¥18,000

予算許容額=600×780+720,000=1,188,000。予算差異=実際1,205,000−許容額。操業度差異=固定費率900×(基準800−実際780)。シュラッター図に数値を置けば迷いません。

合格演習21-5 固定予算による差異分析応用

固定予算¥1,200,000(基準操業度800時間)、実際操業度780時間、実際発生額¥1,205,000のとき、予算差異と操業度差異を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

予算差異 不利差異 ¥5,000/操業度差異 不利差異 ¥30,000

固定予算では操業度にかかわらず予算額は一定。予算差異=実際−予算1,200,000、操業度差異=配賦率1,500×20時間。公式法変動予算との違いを対比で覚えましょう。

合格演習21-6 差異の会計処理標準

会計年度末において、製造間接費配賦差異勘定に借方残高¥42,000がある。原則的な処理(売上原価に賦課)による仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
売上原価¥42,000製造間接費配賦差異¥42,000

不利差異(借方残高)は売上原価に加算、有利差異は減算します。損益計算書の売上原価の内訳に「原価差異」として表示されます。

合格演習21-7 予定配賦の一連の流れ応用

予定配賦率@¥1,500・実際直接作業時間800時間・実際発生額¥1,180,000のとき、①予定配賦の仕訳、②差異振替の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
① 予定配賦
仕掛品¥1,200,000製造間接費¥1,200,000
② 差異の振替え(有利差異)
製造間接費¥20,000製造間接費配賦差異¥20,000

今度は予定1,200,000>実際1,180,000で有利差異(貸方差異)。差異の貸借の向きを、機械的にではなく「配賦しすぎた/足りない」で判断できるようにしましょう。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習21-X1 予定配賦率の算定と予定配賦の仕訳標準

製造間接費は機械運転時間を配賦基準として予定配賦している。年間の製造間接費予算は¥21,600,000、年間の予定機械運転時間(基準操業度)は14,400時間である。当月の実際機械運転時間は1,150時間であった。
1. 予定配賦率を計算しなさい。
2. 当月の予定配賦の仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
仕掛品1,725,000製造間接費1,725,000

予定配賦率は年間予算21,600,000÷年間基準操業度14,400時間=@¥1,500で、操業度の月ごとのブレを避けるため年間ベースで決めておきます。当月の配賦額は予定配賦率×当月の実際操業度1,150時間=1,725,000で、製造間接費勘定の貸方から仕掛品の借方へ振り替えます。「予定」と付いても掛ける時間は実際時間である点、月間予算と年間予算のどちらが与えられているかを確認せずに割ってしまう誤りが本試験での典型的な失点なので、単位(年か月か)を必ずチェックしましょう。

合格演習21-X2 配賦差異の把握と振替仕訳標準

当月の製造間接費の予定配賦額は¥1,725,000であったが、実際発生額は¥1,762,000であった。製造間接費配賦差異勘定への振替仕訳を示し、借方差異・貸方差異の別を答えなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
製造間接費配賦差異37,000製造間接費37,000

借方差異(不利差異)¥37,000です。製造間接費勘定の図を描くと、借方に実際発生額1,762,000、貸方に予定配賦額1,725,000が入り、借方残高37,000=配賦不足と読み取れます。振替は勘定を空にする方向、つまり残高と反対側(貸方)に製造間接費と書き、差異勘定の借方へ移すのが手順です。本試験では有利・不利を逆に答える失点が非常に多いため、「実際が予定を上回れば不利」を勘定の図で確認する習慣をつけてください。

合格演習21-X3 公式法変動予算による差異分析本試験レベル

製造間接費について公式法変動予算を採用している。変動費率は@¥700、月間固定費予算は¥960,000、月間基準操業度は1,200時間(直接作業時間)である。当月の実際直接作業時間は1,150時間、実際発生額は¥1,795,000であった。
①予定配賦率、②予定配賦額、③予算差異、④操業度差異を計算しなさい(③④は借方差異・貸方差異の別も示すこと)。

解答・解説を見る
①予定配賦率@¥1,500
②予定配賦額¥1,725,000
③予算差異¥30,000(借方差異・不利)
④操業度差異¥40,000(借方差異・不利)

シュラッター図の読み方は、実際操業度1,150時間の真上に「実際発生額1,795,000・予算許容額1,765,000(=変動費率700×1,150+固定費予算960,000)・予定配賦額1,725,000(=@1,500×1,150)」の3つの金額を縦に並べ、上下の差を順番に読む手順です。実際と予算許容額の差30,000が予算差異、予算許容額と予定配賦額の差40,000が操業度差異で、いずれも配賦額側が小さいので借方差異(不利差異)です。操業度差異は固定費率@800(=960,000÷1,200時間)×不足操業度50時間でも検算でき、総差異70,000(=1,725,000−1,795,000)と一致することを必ず確かめます。本試験では予算許容額を「変動費率×基準操業度+固定費」と誤計算するミスが最多で、変動費率に掛けるのは実際操業度である点が急所です。

合格演習21-X4 固定予算による差異分析本試験レベル

製造間接費について固定予算を採用している。月間予算額は¥1,440,000、月間基準操業度は1,200時間(直接作業時間)である。当月の実際直接作業時間は1,150時間、実際発生額は¥1,455,000であった。
①予定配賦率、②予定配賦額、③予算差異、④操業度差異を計算しなさい(③④は借方差異・貸方差異の別も示すこと)。

解答・解説を見る
①予定配賦率@¥1,200
②予定配賦額¥1,380,000
③予算差異¥15,000(借方差異・不利)
④操業度差異¥60,000(借方差異・不利)

固定予算では予算許容額が操業度にかかわらず月間予算額1,440,000のまま一定なので、予算差異=1,440,000−実際1,455,000=△15,000です。操業度差異は予定配賦額1,380,000(=@1,200×1,150時間)−予算額1,440,000=△60,000で、@1,200×不足50時間でも検算できます。公式法変動予算との違いは予算許容額の求め方だけなので、問題文冒頭の「固定予算」「公式法変動予算」の指定を最初に確認するのが解く手順です。総差異△75,000=予算差異+操業度差異の一致確認まで行えば、本試験でも転記ミスを防げます。

合格演習21-X5 シュラッター図の数値読み取り本試験レベル

製造間接費について公式法変動予算を採用している。次の資料にもとづき、シュラッター図を描いて①月間固定費予算額、②予定配賦額、③予算許容額、④予算差異、⑤操業度差異を計算しなさい(④⑤は借方差異・貸方差異の別も示すこと)。
・変動費率 @¥500  ・固定費率 @¥900
・月間基準操業度 1,000時間(機械運転時間)
・当月実際機械運転時間 940時間
・当月実際発生額 ¥1,376,000

解答・解説を見る
①月間固定費予算額¥900,000
②予定配賦額¥1,316,000
③予算許容額¥1,370,000
④予算差異¥6,000(借方差異・不利)
⑤操業度差異¥54,000(借方差異・不利)

固定費率は「固定費予算÷基準操業度」で定義されるので、逆算して固定費予算=@900×1,000時間=900,000がシュラッター図の縦軸の切片になります。図の読み方は、原点から傾き@1,400(=500+900)の予定配賦線を引いて実際操業度940時間の垂線との交点で予定配賦額1,316,000を読み、切片900,000から傾き@500の予算線上で予算許容額1,370,000(=500×940+900,000)を読む手順です。予算差異6,000と操業度差異54,000はどちらも借方差異で、操業度差異は@900×(1,000−940)=54,000と「固定費率×操業度の差」でも確認できます。本試験では本問のように固定費率だけを与えて予算額を逆算させる形が頻出で、変動費率と固定費率の取り違えが致命傷になります。

合格演習21-X6 原価差異の振替と売上原価への賦課標準

次の取引の仕訳を示しなさい。当社は製造間接費を予定配賦しており、配賦差異は原価差異勘定で処理している。
1. 当月の製造間接費の予定配賦額は¥1,340,000、実際発生額は¥1,368,000であった。月末に配賦差異を原価差異勘定へ振り替えた。
2. 会計年度末となり、原価差異勘定の借方残高¥45,000を売上原価勘定へ賦課した。なお、この差異はすべて正常な原因によるものである。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1原価差異28,000製造間接費28,000
2売上原価45,000原価差異45,000

月次では差異を原価差異勘定に集めておき、年度末に正常な差異を一括して売上原価へ賦課するという二段構えが手順です。借方差異(配賦不足)なら売上原価に加算する借方振替、貸方差異なら減算する貸方振替になります。本試験では損益計算書の作成問題で「原価差異を売上原価に加算するか控除するか」の判断として出題されるため、借方差異=原価が不足していた=売上原価を増やす、と理由ごと覚えておきましょう。

合格演習21-X7 基準操業度の種類の判定標準

次の1〜4の説明に該当する基準操業度の種類を、ア(理論的生産能力)、イ(実際的生産能力)、ウ(平均操業度)、エ(期待実際操業度)から1つずつ選び、記号で答えなさい。
1. 理論上達成可能な最大限の操業水準であり、機械の故障や修繕などによる中断を考慮しない。
2. 理論上の最大水準から、修繕・段取・休日など避けられない作業休止分を差し引いた操業水準。
3. 季節や景気による変動をならした、今後数年間の平均的な販売量にもとづく操業水準。
4. 次の1年間に予想される操業水準(短期の販売予測にもとづく)。

解答・解説を見る
No1234
解答

判定のキーワードは「最大限=理論的、不可避の休止を引く=実際的、数年間の平均=平均操業度、次の1年=期待実際操業度」です。本試験では理論の空欄補充や語句選択で問われるほか、期待実際操業度を基準操業度として予定配賦率を計算させる流れで登場します。理論的生産能力は現実には達成できない水準のため、基準操業度としては通常用いられない点まで押さえておくと安心です。

第22章部門別個別原価計算例題・演習 14問

製造間接費を工場全体で1本の配賦率にすると、精密機械を使う部門と手作業だけの部門が同じ扱いになってしまいます。そこで部門ごとに配賦率を分けて、より正確に製品原価を計算するのが部門別計算です。

22-1 3ステップの流れ

  1. 第1次集計(部門個別費・部門共通費の配賦) 製造間接費を各部門に集計する
  2. 第2次集計(補助部門費の配賦) 修繕部門・動力部門などの補助部門費を、製造部門に配賦する
  3. 製造部門費の製品への配賦 部門別配賦率 × 各製品の操業度

22-2 補助部門費の配賦 ― 直接配賦法と相互配賦法

直接配賦法

補助部門どうしのサービスのやりとりを無視する
補助部門費を製造部門にだけ配賦する。

計算はいちばんカンタン。

相互配賦法(簡便法)

第1次配賦:補助部門どうしのやりとりも含めて全部門に配賦
第2次配賦:第1次で補助部門に配賦された分を、製造部門にだけ配賦(=直接配賦法)

2級ではこの「簡便法」だけ出ます。

例題22-1 直接配賦法と相互配賦法応用

次の資料により、(1)直接配賦法、(2)相互配賦法(簡便法)により補助部門費を配賦し、各製造部門の製造間接費合計を求めなさい。

 製造部門補助部門
切削部門組立部門動力部門修繕部門
部門費(第1次集計後)1,200,000900,000300,000180,000
動力供給量(kWh)600300100
修繕回数(回)202010
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(1) 直接配賦法 ― 補助部門への供給量は無視する
 配賦基準切削部門組立部門
動力部門費 300,000600:300200,000100,000
修繕部門費 180,00020:2090,00090,000
製造間接費合計1,490,0001,090,000

動力:300,000 × 600/900 = 200,000/300,000 × 300/900 = 100,000  修繕:180,000 × 1/2 ずつ
検算:1,490,000 + 1,090,000 = 2,580,000 = 1,200,000+900,000+300,000+180,000 ✔

(2) 相互配賦法(簡便法)

【第1次配賦】補助部門への供給分も含めて配賦する

 配賦基準切削組立動力修繕
動力部門費 300,000600:300:—:100180,00090,00030,000
修繕部門費 180,00020:20:10:—72,00072,00036,000
第1次配賦後252,000162,00036,00030,000

【第2次配賦】補助部門に残った分を、製造部門にだけ配賦する

 配賦基準切削組立
動力部門 36,000600:30024,00012,000
修繕部門 30,00020:2015,00015,000
 切削部門組立部門
部門費(第1次集計後)1,200,000900,000
第1次配賦252,000162,000
第2次配賦39,00027,000
製造間接費合計1,491,0001,089,000

検算:1,491,000 + 1,089,000 = 2,580,000 ✔

POINT 必ず合計で検算する どの配賦方法でも、製造部門に集まる金額の合計は必ず「全部門費の合計」と一致します。答案を書き終えたら1秒で検算できるので、必ずやってください。

22-3 製造部門費の予定配賦と差異

例題22-2 部門別予定配賦標準

切削部門の年間製造間接費予算は¥18,000,000、年間基準操業度は15,000機械運転時間である。当月の実際機械運転時間は1,180時間、切削部門費の実際発生額は¥1,455,000であった。予定配賦額と部門費配賦差異を求め、仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
  • 予定配賦率 = 18,000,000 ÷ 15,000時間 = @¥1,200
  • 予定配賦額 = @1,200 × 1,180時間 = ¥1,416,000
  • 配賦差異 = 1,416,000 - 1,455,000 = △¥39,000(不利差異)
借方科目金額貸方科目金額
仕掛品1,416,000切削部門費1,416,000
部門費配賦差異39,000切削部門費39,000

合格演習 — 本試験レベルの追加6問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習22-1 部門個別費と部門共通費基本

製造部門が2部門(切削部・組立部)ある工場で、次の費用を各部門へ集計する。部門共通費に該当するものをすべて選びなさい。
ア 切削部専用機械の減価償却費 イ 工場建物の減価償却費 ウ 組立部の間接工賃金 エ 工場全体の電力料(各部門にメーターなし)

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解答

イ・エ

特定の部門で発生が跡づけられるものは部門個別費として賦課、複数部門にまたがるものは部門共通費として適切な基準で配賦します。

合格演習22-2 部門共通費の配賦標準

工場建物の減価償却費¥600,000を占有面積(切削部400㎡・組立部500㎡・修繕部100㎡)を基準に各部門へ配賦した場合の、各部門への配賦額を求めなさい。

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解答

切削部 ¥240,000/組立部 ¥300,000/修繕部 ¥60,000

共通費×(各部門の基準値÷基準値合計)。面積・人数・馬力数など、費目に応じた合理的な基準を使います。

合格演習22-3 直接配賦法①標準

補助部門費の配賦を直接配賦法で行う。修繕部費¥300,000を、修繕時間(切削部60時間・組立部40時間・修繕部自身10時間)を基準に製造部門へ配賦する場合の各製造部門への配賦額を求めなさい。

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解答

切削部 ¥180,000/組立部 ¥120,000

直接配賦法では補助部門同士・自部門への用役提供は無視し、製造部門への提供割合(60:40)だけで按分します。

合格演習22-4 直接配賦法②(複数補助部門)応用

補助部門は動力部(部門費¥450,000、動力供給:切削部2,000kWh・組立部1,000kWh)と事務部(部門費¥240,000、従業員数:切削部30人・組立部50人)である。直接配賦法による切削部への配賦額合計を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

¥390,000(動力部300,000+事務部90,000)

補助部門ごとに配賦基準が異なるのが実戦形式。動力部はkWh比、事務部は人数比で、それぞれ独立に計算します。

合格演習22-5 製造部門費の予定配賦標準

切削部の予定配賦率は@¥800(機械作業時間基準)である。当月、製造指図書#101のために切削部で機械作業時間120時間を消費した。予定配賦の仕訳を示しなさい(部門費勘定を用いる)。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
仕掛品¥96,000切削部門費¥96,000

部門別計算でも配賦のしくみは同じで、部門ごとの配賦率を使う点だけが違います。精度が上がる理由もセットで理解を。

合格演習22-6 部門別配賦の差異応用

組立部門費の当月の予定配賦額は¥520,000、補助部門費配賦後の実際発生額は¥541,000であった。組立部門費配賦差異への振替仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る

解答(仕訳)

借方貸方
組立部門費配賦差異¥21,000組立部門費¥21,000

実際>予定なので不利差異。部門別でも差異分析の考え方は製造間接費全体の場合と同じです。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習22-X1 部門個別費と部門共通費の集計(第1次集計)標準

当工場には切削部門・組立部門(製造部門)と動力部門・工場事務部門(補助部門)がある。次の資料にもとづき、各部門の部門費合計(第1次集計費)を計算しなさい。
・部門個別費:切削部門¥620,000、組立部門¥480,000、動力部門¥180,000、工場事務部門¥120,000
・部門共通費:建物減価償却費¥300,000(配賦基準は占有面積。切削500㎡、組立300㎡、動力120㎡、工場事務80㎡)

解答・解説を見る
部門切削部門組立部門動力部門工場事務部門
部門個別費¥620,000¥480,000¥180,000¥120,000
部門共通費¥150,000¥90,000¥36,000¥24,000
部門費合計¥770,000¥570,000¥216,000¥144,000

第1次集計の手順は「部門個別費はそのまま各部門へ、部門共通費は配賦基準の割合で配る」の2行だけです。共通費300,000を面積合計1,000㎡で割った@300に各部門の面積を掛ければ、150,000・90,000・36,000・24,000と機械的に配賦できます(合計1,700,000が4部門の縦計と一致するか検算)。本試験第4問では部門費集計表の空欄推定として出題され、共通費を製造部門だけに配ってしまい補助部門への配賦を忘れる誤りが典型的な失点です。

合格演習22-X2 直接配賦法による補助部門費の配賦本試験レベル

次の資料にもとづき、直接配賦法により補助部門費を製造部門に配賦し、製造部門費の合計額(第2次集計後)を計算しなさい。
・第1次集計費:切削部門¥770,000、組立部門¥570,000、動力部門¥216,000、工場事務部門¥144,000
・動力部門費の配賦基準(動力供給量):切削480kWh、組立240kWh、工場事務80kWh
・工場事務部門費の配賦基準(従業員数):切削30人、組立18人、動力12人

解答・解説を見る
部門切削部門組立部門
第1次集計費¥770,000¥570,000
動力部門費の配賦¥144,000¥72,000
工場事務部門費の配賦¥90,000¥54,000
製造部門費合計¥1,004,000¥696,000

直接配賦法では補助部門どうしの用役のやり取り(工場事務への80kWhや動力部門の12人)を完全に無視し、製造部門への提供割合だけで配賦するのが手順です。動力216,000は480:240=2:1で144,000と72,000に、工場事務144,000は30:18=5:3で90,000と54,000に分かれます。本試験では配賦基準の資料に補助部門向けの数値がわざと混ぜてあるのが定番の引っかけで、分母に80kWhや12人を含めると全滅するため、「直接配賦法=製造部門の分だけで比率を作る」と基準数値に印を付けてから計算しましょう。

合格演習22-X3 相互配賦法(簡便法)による配賦本試験レベル

次の資料にもとづき、相互配賦法(簡便法。第1次配賦では補助部門相互への配賦も行い、第2次配賦では直接配賦法による)により補助部門費を配賦し、製造部門費の合計額を計算しなさい。
・第1次集計費:切削部門¥800,000、組立部門¥640,000、動力部門¥240,000、修繕部門¥120,000
・動力部門費の配賦基準(動力供給量):切削500kWh、組立300kWh、修繕200kWh
・修繕部門費の配賦基準(修繕時間):切削40時間、組立40時間、動力20時間

解答・解説を見る
部門切削部門組立部門動力部門修繕部門
第1次集計費¥800,000¥640,000¥240,000¥120,000
第1次配賦(動力)¥120,000¥72,000¥48,000
第1次配賦(修繕)¥48,000¥48,000¥24,000
第2次配賦(動力24,000)¥15,000¥9,000
第2次配賦(修繕48,000)¥24,000¥24,000
製造部門費合計¥1,007,000¥793,000

簡便法の手順は「1回目は自部門以外のすべてへ用役提供割合で配賦→2回目は1回目で受け入れた金額だけを直接配賦法で製造部門へ」の2ステップです。2回目に配るのは動力が受け入れた24,000と修繕が受け入れた48,000だけで、第1次集計費の全額をもう一度配り直さないことが最大の注意点です。検算として製造部門費合計1,007,000+793,000=1,800,000が4部門の第1次集計費合計と一致することを必ず確認します。本試験では部門費振替表の空欄推定形式で出るため、表の縦計・横計を合わせながら埋める練習をしておきましょう。

合格演習22-X4 製造部門別の予定配賦率と予定配賦本試験レベル

当工場では製造部門別の予定配賦率を用いて製造間接費を予定配賦している。切削部門は機械運転時間基準(年間予算¥9,000,000、年間予定機械運転時間7,500時間)、組立部門は直接作業時間基準(年間予算¥6,720,000、年間予定直接作業時間8,400時間)である。当月の実際操業度は切削部門600機械運転時間、組立部門680直接作業時間であり、このうち製造指図書#101には切削部門120時間、組立部門150時間が費やされた。
1. 各部門の予定配賦率を計算しなさい。
2. 当月の予定配賦の仕訳を示しなさい。
3. 製造指図書#101への当月の配賦額を計算しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
仕掛品1,264,000切削部門費
組立部門費
720,000
544,000

予定配賦率は切削@¥1,200(=9,000,000÷7,500時間)、組立@¥800(=6,720,000÷8,400時間)、#101への配賦額は¥264,000(=120時間×@1,200+150時間×@800)です。部門別計算でも求め方は総括配賦と同じで、部門ごとに年間予算÷年間基準操業度を計算し、当月配賦額はその部門の率×その部門の実際操業度です。仕訳は各部門費勘定の貸方から仕掛品の借方へまとめて振り替えます(720,000+544,000=1,264,000)。本試験では切削の時間に組立の率を掛けるような部門と配賦基準の取り違えが頻出なので、「部門ごとの縦のライン」を崩さないことがポイントです。

合格演習22-X5 部門別配賦差異の算定標準

当月の製造部門費の予定配賦額と実際発生額は次のとおりである。各部門の配賦差異を計算し、借方差異・貸方差異の別を答えなさい。
・切削部門:予定配賦額¥720,000、実際発生額¥738,000
・組立部門:予定配賦額¥544,000、実際発生額¥532,000

解答・解説を見る
切削部門¥18,000(借方差異・不利)
組立部門¥12,000(貸方差異・有利)

差異は必ず部門ごとに「予定配賦額−実際発生額」で計算し、マイナスなら借方差異(配賦不足・不利)、プラスなら貸方差異(配賦超過・有利)です。切削は実際が18,000多いので不利、組立は実際が12,000少ないので有利と、同じ月でも部門によって方向が異なるのが部門別計算の特徴です。本試験では両部門の差異を合算・相殺してしまう誤りが狙われるため、部門費勘定ごとに独立して差異を把握することを徹底しましょう。

合格演習22-X6 補助部門費配賦の仕訳標準

直接配賦法にもとづき、月末に補助部門費を製造部門へ配賦した。次の配賦結果にもとづき、それぞれの仕訳を示しなさい。
1. 動力部門費¥216,000を、切削部門に¥144,000、組立部門に¥72,000配賦した。
2. 工場事務部門費¥144,000を、切削部門に¥90,000、組立部門に¥54,000配賦した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1切削部門費
組立部門費
144,000
72,000
動力部門費216,000
2切削部門費
組立部門費
90,000
54,000
工場事務部門費144,000

補助部門費の配賦は、補助部門費勘定の貸方から製造部門費勘定の借方へ振り替える仕訳で表現され、これにより補助部門の勘定残高はゼロになります。部門費振替表で計算した金額を、そのまま勘定の流れに置き換えるだけというのが手順です。本試験では貸借を逆にする誤りや、仕掛品勘定へ直接振り替えてしまう誤りが典型なので、「補助部門費→製造部門費→(予定配賦率を通じて)仕掛品」という2段階の流れを勘定連絡図で確認してください。

第23章個別原価計算例題・演習 15問

船・機械・建物のように受注のつど仕様が違うものを作る場合の原価計算です。製造指図書ごとに原価を集計します。

23-1 原価計算表の作り方

例題23-1 原価計算表と仕掛品勘定応用

当社は個別原価計算を採用している。次の資料により、原価計算表を完成させ、当月の完成品原価・月末仕掛品原価・売上原価を求めなさい。製造間接費は直接作業時間を基準に予定配賦率@¥800で配賦する。

指図書状況月初仕掛品原価当月直接材料費当月直接労務費当月直接作業時間
No.101前月着手・当月完成・当月引渡420,000150,000260,000200時間
No.102当月着手・当月完成・月末在庫680,000540,000450時間
No.103当月着手・月末未完成390,000310,000250時間
解答・解説を見る
原価計算表
 No.101No.102No.103合計
月初仕掛品原価420,000420,000
直接材料費150,000680,000390,0001,220,000
直接労務費260,000540,000310,0001,110,000
製造間接費
(@800×直接作業時間)
160,000360,000200,000720,000
合計990,0001,580,000900,0003,470,000
備考完成・引渡済完成・未引渡仕掛中
解答
項目内容金額
当月完成品原価No.101 + No.1022,570,000
月末仕掛品原価No.103900,000
月末製品有高No.1021,580,000
売上原価No.101(引渡済のみ)990,000
最重要 「完成」と「引渡」は別物 完成しただけでは売上原価になりません。お客に引き渡してはじめて売上原価です。
仕掛中 → 仕掛品/完成・未引渡 → 製品/完成・引渡済 → 売上原価。この3分類が個別原価計算のすべてです。備考欄を必ず確認してください。

23-2 仕損の処理

ケース処理
補修で直せる場合補修指図書を発行し、集計された原価を元の指図書に賦課する
仕掛品(元) / 仕掛品(補修)
作り直す場合
(全部が仕損)
旧指図書に集計された原価を仕損費とし、新指図書に賦課する(仕損品に売却価値があればその分を控除)
例題23-2 仕損の処理標準

指図書No.201に一部仕損が生じたため、補修指図書No.201-1を発行して補修を行った。No.201-1に集計された原価は¥85,000である。必要な仕訳を示しなさい。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
仕損費85,000仕掛品85,000
仕掛品85,000仕損費85,000

補修指図書に集めた原価を、いったん仕損費に振り替え、それを元の指図書No.201の原価に加算します。結果として、仕損の分だけNo.201の原価が増えることになります(問題によっては1行にまとめて示す場合もあります)。

確認問題23-1 部門別・個別原価計算の総合応用

当社は部門別個別原価計算を採用している。次の資料により各問に答えなさい。

  • 製造間接費の部門別予定配賦率:切削部門 @¥900(機械運転時間基準)、組立部門 @¥700(直接作業時間基準)
  • 当月の各指図書の操業度
    指図書切削部門
    機械運転時間
    組立部門
    直接作業時間
    直接材料費直接労務費
    No.301300400520,000480,000
    No.302250350460,000420,000
  • 月初仕掛品はない。No.301は当月完成、No.302は月末未完成である。
  • 切削部門費の実際発生額 ¥510,000、組立部門費の実際発生額 ¥518,000

(1) 各指図書の製造原価 (2) 完成品原価と月末仕掛品原価 (3) 各部門の配賦差異

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(1) 各指図書の製造原価
 No.301No.302合計
直接材料費520,000460,000980,000
直接労務費480,000420,000900,000
切削部門費(@900)270,000225,000495,000
組立部門費(@700)280,000245,000525,000
製造原価1,550,0001,350,0002,900,000
(2) 完成品原価と月末仕掛品原価
  • 当月完成品原価(No.301)= ¥1,550,000
  • 月末仕掛品原価(No.302)= ¥1,350,000
(3) 配賦差異
部門予定配賦額実際発生額配賦差異
切削部門495,000510,000△15,000(不利)
組立部門525,000518,000+7,000(有利)
合計1,020,0001,028,000△8,000(不利)
得点戦略 部門別計算では部門ごとに配賦基準が違うのが定番です(切削=機械運転時間、組立=直接作業時間)。どの時間にどの率を掛けるかを取り違えると全滅するので、計算を始める前に資料の見出しを指でなぞって確認してください。

合格演習 — 本試験レベルの追加6問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習23-1 原価計算表の完成標準

個別原価計算を採用する藻岩製作所の当月データは次のとおり。製造指図書#201の製造原価を求めなさい。
#201:直接材料費¥380,000、直接作業時間110時間
直接工賃率@¥1,200、製造間接費予定配賦率@¥900(直接作業時間基準)

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解答

¥611,000

指図書別に「直材+直労+製間配賦」を積み上げるだけ。個別原価計算の計算パターンはこの1本です。

合格演習23-2 完成・未完成の判定標準

当月末時点の各指図書の状況:#201(完成・引渡済)原価¥611,000、#202(完成・在庫)原価¥480,000、#203(未完成)原価¥350,000。月末の仕掛品勘定残高と製品勘定残高を求めなさい(月初残高はゼロ)。

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解答

仕掛品 ¥350,000/製品 ¥480,000

未完成分=仕掛品、完成・未引渡分=製品、引渡済み分=売上原価。指図書ごとの状態で行き先が決まります。

合格演習23-3 売上原価の算定標準

上記の状況で、当月の売上原価はいくらか。また#201を¥850,000で掛け販売した場合の売上総利益を求めなさい。

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解答

売上原価 ¥611,000/売上総利益 ¥239,000

個別原価計算では受注品ごとに原価と売価が対応するため、案件別の採算がそのまま見えます。

合格演習23-4 仕損の処理(補修による場合)応用

製造指図書#204の製造中に仕損が発生し、補修指図書#204-1を発行して補修した。補修にかかった原価は直接材料費¥30,000・直接労務費¥24,000であった。補修費用を#204へ賦課する仕訳を示しなさい(補修指図書に集計済みとする)。

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解答(仕訳)

借方貸方
仕掛品¥54,000仕掛品¥54,000

解答

実務上は仕掛品勘定内の振替(#204-1→#204)。原価計算表上で仕損費¥54,000を#204に賦課

補修可能な仕損では、補修指図書に集計した原価を仕損費として元の指図書へ賦課します。勘定上は仕掛品内部の移動です。

合格演習23-5 月初仕掛品がある場合標準

#205は前月から製造を開始しており、前月末までの原価は¥220,000であった。当月、#205に直接材料費¥150,000・直接労務費¥180,000・製造間接費配賦額¥135,000が集計され、月内に完成した。#205の完成品原価を求めなさい。

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解答

¥685,000

前月繰越額に当月発生額を積み増すだけです。原価計算表の「前月繰越」行を見落とさないように。

合格演習23-6 機械作業時間基準の配賦標準

製造間接費を機械作業時間基準(予定配賦率@¥1,100)で配賦している。当月の機械作業時間は#206が90時間、#207が60時間であった。各指図書への配賦額と仕訳(合計)を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
仕掛品¥165,000製造間接費¥165,000

解答

#206 ¥99,000/#207 ¥66,000

配賦基準は直接作業時間だけでなく機械作業時間なども使われます。機械化が進んだ工程では機械時間基準のほうが合理的です。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習23-X1 製造指図書別原価計算表の作成標準

当工場は実際個別原価計算を採用している。当月の製造直接費は次のとおりであり、製造間接費は直接労務費の150%を配賦している。製造指図書別原価計算表を作成し、各製造指図書の製造原価を計算しなさい。直接材料費:No.101 ¥300,000、No.102 ¥250,000、No.103 ¥200,000。直接労務費:No.101 ¥400,000、No.102 ¥300,000、No.103 ¥200,000。

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摘要No.101No.102No.103
直接材料費300,000250,000200,000
直接労務費400,000300,000200,000
製造間接費600,000450,000300,000
製造原価合計1,300,0001,000,000700,000

直接費は各指図書へそのまま賦課し、製造間接費だけを配賦基準(本問は直接労務費×150%)で計算して縦に合計する、というのが原価計算表の作成手順です。本試験第4問では表の一部が空欄になり、埋まっている指図書から配賦率を逆算させる形でよく出題されます。No.102で¥250,000×150%のように直接材料費へ率を掛けてしまう誤りが典型なので、配賦基準がどの金額かを最初に確認してください。

合格演習23-X2 完成・未完成の区別と勘定への振り分け標準

当月の製造指図書別原価計算表の要約は次のとおりである。No.201(製造原価¥900,000)は当月完成し顧客へ引渡済み、No.202(製造原価¥750,000)は当月完成したが月末現在未引渡、No.203(製造原価¥480,000)は月末現在製造中である。月初に仕掛品・製品の在庫はなかった。月末の仕掛品勘定残高、製品勘定残高および売上原価の金額をそれぞれ計算しなさい。

解答・解説を見る
仕掛品勘定残高480,000(No.203)
製品勘定残高750,000(No.202)
売上原価900,000(No.201)

指図書ごとに「未完成なら仕掛品、完成・未引渡なら製品、引渡済みなら売上原価」と機械的に振り分けるのが手順で、当月の完成品原価は¥900,000+¥750,000=¥1,650,000です。第4問では勘定記入や勘定残高を問う形で頻出します。完成していても引き渡していないNo.202を売上原価に含めてしまうのが最も多い誤りで、「完成=売上」ではない点に注意してください。

合格演習23-X3 月初仕掛品がある場合の完成品原価本試験レベル

製造指図書No.301は前月に製造着手しており、前月末までに¥350,000の原価が集計されている(月初仕掛品)。当月はNo.301に直接材料費¥150,000と直接労務費¥200,000が発生し、製造間接費は直接労務費の120%を予定配賦して当月完成した。また、No.302は当月着手・当月完成であり、直接材料費¥280,000、直接労務費¥250,000、製造間接費配賦額¥300,000であった。当月の完成品原価の合計を計算しなさい。

解答・解説を見る
No.301の完成品原価940,000
No.302の完成品原価830,000
当月完成品原価合計1,770,000

前月から繰り越した指図書は「前月繰越¥350,000+当月製造費用(150,000+200,000+200,000×120%=590,000)」で完成品原価¥940,000となります。本試験では原価計算表に「前月繰越」の行を設けて出題され、繰越額を足し忘れて当月発生分だけで答えるのが定番のミスです。指図書別の個別原価計算でも、月初+当月投入=完成という総合原価計算と同じ枠組みで整理すると迷いません。

合格演習23-X4 補修指図書による仕損費の処理本試験レベル

製造指図書No.401の製造中に一部が仕損となったため、補修指図書No.401-1を発行して補修を行った。補修のために直接材料費¥40,000、直接労務費¥60,000、製造間接費配賦額¥30,000が発生した。この仕損は正常なものである。No.401本体に集計された原価は直接材料費¥500,000、直接労務費¥400,000、製造間接費¥200,000であった。仕損費の金額と、No.401の製造原価を計算しなさい。

解答・解説を見る
仕損費130,000
No.401の製造原価1,230,000

補修指図書No.401-1に集計された¥130,000がそのまま仕損費となり、正常仕損なのでもとの指図書No.401へ直接経費として賦課します(1,100,000+130,000=1,230,000)。本試験では原価計算表の摘要欄に「仕損費」の行があり、補修指図書の縦計を書き移させる形で出ます。仕損費を製造間接費に含めたり、No.401-1を独立の完成品として残したりするのが誤りやすいポイントです。

合格演習23-X5 直接作業時間基準の予定配賦と配賦差異本試験レベル

当工場は製造間接費を直接作業時間を基準に予定配賦している。年間の製造間接費予算は¥7,200,000、年間の予定直接作業時間は9,000時間である。当月の直接作業時間はNo.501が300時間、No.502が250時間、No.503が150時間であり、当月の製造間接費実際発生額は¥575,000であった。(1)予定配賦率、(2)各製造指図書への配賦額、(3)製造間接費配賦差異(借方差異か貸方差異かも示す)を計算しなさい。

解答・解説を見る
予定配賦率1時間あたり800円
配賦額No.501:240,000 No.502:200,000 No.503:120,000
配賦差異15,000(借方差異・不利差異)

予定配賦率は年間予算¥7,200,000÷年間予定時間9,000時間=800円で、これに各指図書の実際直接作業時間を掛けて配賦します。配賦差異は予定配賦額合計¥560,000-実際発生額¥575,000=△15,000で、配賦不足なので借方差異(不利差異)です。月間ではなく年間データから配賦率を求めさせるのが本試験の典型で、当月実際時間の合計700時間で割ってしまう誤りに注意してください。

合格演習23-X6 個別原価計算の一連仕訳標準

次の一連の取引について仕訳を示しなさい。(1)材料¥700,000を消費した。うち直接材料費は¥620,000で残りは間接材料費である。(2)賃金¥650,000を消費した。うち直接労務費は¥540,000で残りは間接労務費である。(3)製造間接費¥460,000を予定配賦した。(4)製造指図書No.601(製造原価¥1,020,000)が完成した。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕掛品
製造間接費
620,000
80,000
材料700,000
2仕掛品
製造間接費
540,000
110,000
賃金650,000
3仕掛品460,000製造間接費460,000
4製品1,020,000仕掛品1,020,000

消費段階では「直接費は仕掛品へ、間接費は製造間接費へ」と二本立てで振り替え、配賦で製造間接費を仕掛品へ移し、完成で仕掛品から製品へ移します。第4問の仕訳問題では、このうち1〜2取引だけを抜き出して出題されるのが通例です。(1)(2)で全額を仕掛品にしてしまう、(4)で借方を売上原価としてしまう誤りが多いので、原価のリレー(材料・賃金→仕掛品→製品)を意識してください。

第24章総合原価計算例題・演習 17問

図24-A ボックス図 ― 総合原価計算はこの箱で解く
材料費のボックス(数量そのまま) 月初仕掛品200個 当月投入800個 完成品 900個 月末仕掛品 100個 加工費のボックス(換算量に直す) 月初 200×50%=100個分 当月投入(差引)=840個分 完成品 900個分 月末 100×40%=40個分 材料費と加工費は「別々の箱」で計算する ― 分母が違うことがすべての出発点 加工費の当月投入は差引きで求める:900+40−100=840個分(先入先出法の分母)
第4問(2)の主役 同じ製品を大量に作る場合の原価計算です。「ボックス図を書く → 月末仕掛品を計算する → 差額で完成品原価を出す」——この3手順を体に染み込ませてください。個別原価計算より圧倒的に出題頻度が高い論点です。

24-1 直接材料費と加工費を分けて考える

POINT なぜ2つに分けるのか
  • 直接材料費:工程の始点で全部投入されるのが普通。作りかけでも材料は100%入っている数量で按分
  • 加工費(直接労務費+製造間接費):作業の進み具合に比例する。50%しか進んでいなければ加工費も50%完成品換算量で按分

完成品換算量 = 数量 × 加工進捗度

図24-1 総合原価計算のボックス図
直接材料費(数量ベース)加工費(完成品換算量ベース)
月初仕掛品
数量そのまま
完成品
数量そのまま
月初仕掛品
×加工進捗度
完成品
数量そのまま
当月投入
(差額で求める)
当月投入
(差額で求める)
 月末仕掛品
数量そのまま
 月末仕掛品
×加工進捗度

当月投入量は「完成品+月末-月初」で差額として求めます。これを最初に計算するのがコツです。

24-2 平均法と先入先出法

平均法

月初仕掛品と当月投入を混ぜてしまう

月末仕掛品=
(月初原価+当月投入原価)
÷(完成品量+月末量)
×月末量

先入先出法

月初仕掛品から先に完成すると考える。
→ 月末仕掛品は当月投入分だけでできている。

月末仕掛品=
当月投入原価 ÷ 当月投入量
×月末量

例題24-1 単純総合原価計算(平均法・先入先出法)応用

次の資料により、(1)平均法、(2)先入先出法それぞれによる月末仕掛品原価と完成品原価を求めなさい。材料は工程の始点ですべて投入している。

生産データ数量原価データ直接材料費加工費
月初仕掛品(進捗度50%)200個月初仕掛品原価96,00062,000
当月投入1,000個当月製造費用504,000738,000
合計1,200個   
月末仕掛品(進捗度40%)200個   
完成品1,000個   
解答・解説を見る
Step1 完成品換算量を出す
 数量(材料費用)完成品換算量(加工費用)
月初仕掛品200個200 × 50% = 100個
完成品1,000個1,000個
月末仕掛品200個200 × 40% = 80個
当月投入(差額)1,000個1,000 + 80 - 100 = 980個
(1) 平均法
 直接材料費加工費
合計原価96,000 + 504,000 = 600,00062,000 + 738,000 = 800,000
合計数量1,000 + 200 = 1,200個1,000 + 80 = 1,080個
単価@500@740.74…
月末仕掛品600,000 × 200/1,200 = 100,000800,000 × 80/1,080 = 59,259
完成品原価600,000 - 100,000 = 500,000800,000 - 59,259 = 740,741

月末仕掛品原価 = 100,000 + 59,259 = ¥159,259
完成品原価 = 500,000 + 740,741 = ¥1,240,741(円未満四捨五入)

(2) 先入先出法
 直接材料費加工費
当月投入原価504,000738,000
当月投入量1,000個980個
単価@504@753.06…
月末仕掛品504,000 × 200/1,000 = 100,800738,000 × 80/980 = 60,245
完成品原価600,000 - 100,800 = 499,200800,000 - 60,245 = 739,755

月末仕掛品原価 = 100,800 + 60,245 = ¥161,045
完成品原価 = 499,200 + 739,755 = ¥1,238,955

暗記 完成品原価は「差額」で出す 完成品原価を直接計算すると端数処理でズレます。必ず「投入原価の合計 - 月末仕掛品原価」で求めてください。これなら貸借が必ず合います。

24-3 材料の投入時点による違い

問題文の書き方月末仕掛品への配分
「工程の始点で投入」作りかけでも100%入っている → 数量で按分
「工程を通じて平均的に投入」進捗度に比例して入る → 完成品換算量で按分(加工費と同じ扱い)
「工程の終点で投入」未完成品にはまだ入っていない → 月末仕掛品には配分しない(全額が完成品原価)
「加工進捗度60%の時点で投入」月末仕掛品の進捗度が60%を超えていれば数量で按分、達していなければ配分しない

24-4 仕損・減損の処理

暗記 完成品のみ負担か、両者負担か
仕損・減損の発生点負担のさせ方
月末仕掛品の進捗度より後で発生
(例:終点発生、進捗度80%発生で月末仕掛品は40%)
完成品のみ負担
→ 仕損量を完成品と同じ扱いで当月投入量に含めたまま計算する(分母から差し引かない)
月末仕掛品の進捗度より前で発生/発生点が不明平均的に発生両者負担
→ 仕損量を最初から無かったものとして当月投入量から除外して計算する(度外視法)
覚え方:完成品のみ負担=仕損を「含めて」計算(分母が大きい→月末仕掛品は小さい)/両者負担=仕損を「除いて」計算(分母が小さい→月末仕掛品は大きい)
例題24-2 正常仕損(完成品のみ負担)応用

次の資料により、月末仕掛品原価と完成品原価を求めなさい。先入先出法による。材料は工程の始点で投入し、正常仕損は工程の終点で発生した(仕損品に評価額はない)。

生産データ数量原価データ直接材料費加工費
月初仕掛品(進捗度60%)100個月初仕掛品原価42,00033,000
当月投入900個当月製造費用387,000565,500
合計1,000個   
正常仕損(終点)50個   
月末仕掛品(進捗度50%)150個   
完成品800個   
解答・解説を見る
Step1 完成品のみ負担 → 仕損は「完成品と同じ扱い」で計算に含める
 数量(材料費)換算量(加工費)
月初仕掛品100個100 × 60% = 60個
完成品800個800個
正常仕損(終点=進捗度100%)50個50 × 100% = 50個
月末仕掛品150個150 × 50% = 75個
当月投入(差額)900個800+50+75-60 = 865個
Step2 月末仕掛品(先入先出法=当月投入分から)
  • 直接材料費 = 387,000 × 150/900 = ¥64,500
  • 加工費 = 565,500 × 75/865 = ¥49,032(円未満四捨五入)
  • 月末仕掛品原価 = 113,532
Step3 完成品原価(差額)
  • 投入原価合計 = (42,000+387,000) + (33,000+565,500) = 429,000 + 598,500 = ¥1,027,500
  • 完成品原価 = 1,027,500 - 113,532 = ¥913,968
完成品のみ負担のポイント 仕損の原価は月末仕掛品には配分せず、自動的に完成品原価に含まれます。上の計算では、月末仕掛品を出したあと差額で完成品原価を求めているので、仕損分は自然に完成品側に入ります。特別な仕訳は不要です。
例題24-3 正常減損(両者負担)応用

例題24-2と同じ資料で、正常減損50個が工程を通じて平均的に発生した(=両者負担)場合の月末仕掛品原価と完成品原価を求めなさい。先入先出法・度外視法による。

解答・解説を見る
両者負担=減損量を「最初から無かった」として計算する
 数量(材料費)換算量(加工費)
月初仕掛品100個60個
完成品800個800個
正常減損計算に含めない計算に含めない
月末仕掛品150個75個
当月投入(差額)800+150-100 = 850個800+75-60 = 815個
月末仕掛品
  • 直接材料費 = 387,000 × 150/850 = ¥68,294
  • 加工費 = 565,500 × 75/815 = ¥52,040
  • 月末仕掛品原価 = 120,334
完成品原価

1,027,500 - 120,334 = ¥907,166

POINT 両者負担のほうが月末仕掛品が大きくなる 両者負担では当月投入量の分母が小さくなる(850個・815個)ので単価が上がり、月末仕掛品原価も大きくなります。
完成品のみ負担:月末113,532/両者負担:月末120,334 —— この差が「月末仕掛品も減損の損を負担した」金額です。

合格演習 — 本試験レベルの追加6問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習24-1 平均法による月末仕掛品標準

単純総合原価計算(材料は工程の始点で投入)。月初仕掛品200個(加工進捗度50%)、当月投入800個、完成品900個、月末仕掛品100個(加工進捗度40%)。月初仕掛品原価:材料費¥84,000・加工費¥50,000、当月製造費用:材料費¥376,000・加工費¥420,000。平均法による月末仕掛品原価を求めなさい。

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解答

¥66,000(材料費46,000+加工費20,000)

材料費:460,000×100/1,000=46,000。加工費は完成品換算量(900+100×40%=940)で割って、470,000×40/940=20,000。材料と加工費で分母が違うのが総合原価計算の核心です。

合格演習24-2 完成品原価と単位原価標準

上記の資料にもとづき、平均法による完成品総合原価と完成品単位原価を求めなさい。

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解答

完成品総合原価 ¥864,000/単位原価 @¥960

完成品原価=(月初+当月投入)−月末仕掛品=930,000−66,000。ボックス図の差引きで求めるのが最速・最確実です。

合格演習24-3 先入先出法による月末仕掛品応用

同じ資料(月初200個・進捗50%、当月投入800個、完成900個、月末100個・進捗40%)で、先入先出法による月末仕掛品原価を求めなさい。当月製造費用:材料費¥376,000・加工費¥420,000。

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解答

¥67,000(材料費47,000+加工費20,000)

先入先出法では月末仕掛品は当月投入分からのみ生じると仮定。材料費の分母は当月投入800個、加工費の分母は当月投入換算量(900−200×50%+100×40%=840)です。

合格演習24-4 正常仕損(完成品のみ負担)応用

当月投入1,000個のうち、工程の終点で正常仕損50個が発生した(仕損品の評価額ゼロ)。完成品900個、月末仕掛品50個(進捗60%)。仕損費を完成品のみに負担させる理由を答えなさい。

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解答

仕損が工程の終点で発生しており、月末仕掛品(進捗60%)はまだ仕損発生点を通過していないため。

負担関係は「仕損の発生点を通過したかどうか」で決めます。終点発生→完成品のみ負担、発生点不明・平均的発生→両者負担が原則です。

合格演習24-5 正常仕損(両者負担)応用

材料は始点投入。当月の正常仕損は工程の始点で発生した(評価額ゼロ)。この場合の月末仕掛品原価の計算方法として正しいものを選びなさい。
ア 仕損品の数量を無視して(最初から投入がなかったものとして)計算する
イ 仕損費をいったん分離把握してから完成品に賦課する

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解答

(度外視法・両者負担)

始点発生の仕損は完成品と月末仕掛品の両方が通過済みなので両者負担。2級では仕損分を分母から除いて自動的に按分する度外視法で処理します。

合格演習24-6 材料の平均的投入応用

材料を工程を通じて平均的に投入している場合、月末仕掛品(数量100個・加工進捗度40%)の材料費の完成品換算量は何個として計算するか。

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解答

40個(100個×40%)

平均的投入の材料費は加工費と同じく進捗度を掛けて換算します。「始点投入=数量そのまま」との違いが問われる定番論点です。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習24-X1 平均法による完成品原価と月末仕掛品原価標準

当工場は単純総合原価計算を採用している。次の資料にもとづき、平均法により月末仕掛品原価、完成品総合原価および完成品単位原価を計算しなさい。材料はすべて工程の始点で投入している。生産データ:月初仕掛品200個(加工進捗度50%)、当月投入1,000個、完成品1,000個、月末仕掛品200個(加工進捗度50%)。原価データ:月初仕掛品原価は直接材料費¥84,000・加工費¥66,000、当月製造費用は直接材料費¥456,000・加工費¥594,000。

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月末仕掛品原価150,000(材料費90,000+加工費60,000)
完成品総合原価1,050,000
完成品単位原価1個あたり1,050円

ボックス図の左側に月初200個と当月投入1,000個、右側に完成1,000個と月末200個を書き、「月初+当期投入=完成+月末」の枠組みを先に固めるのが手順です。材料費は数量のまま、加工費は月末を200個×50%=100個の完成品換算量に直し、平均法なので(月初+当月)の合計金額を(完成+月末)の合計量で割って単価450円と600円を求めます。第5問では平均法か先入先出法かの指定の読み落としが致命傷になり、加工費を換算せず200個のまま計算するのが最頻出の誤りです。

合格演習24-X2 先入先出法による完成品原価と月末仕掛品原価標準

当工場は単純総合原価計算を採用している。次の資料にもとづき、先入先出法により月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算しなさい。材料はすべて工程の始点で投入している。生産データ:月初仕掛品300個(加工進捗度40%)、当月投入1,200個、完成品1,200個、月末仕掛品300個(加工進捗度60%)。原価データ:月初仕掛品原価は直接材料費¥126,000・加工費¥48,000、当月製造費用は直接材料費¥504,000・加工費¥504,000。

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月末仕掛品原価198,000(材料費126,000+加工費72,000)
完成品総合原価984,000(材料費504,000+加工費480,000)

先入先出法では月末仕掛品がすべて当月投入分から生じると考えるため、単価は当月製造費用だけで計算します。材料費は504,000÷1,200個=420円、加工費は当月投入換算量(完成1,200-月初換算120+月末換算180=1,260個)で504,000÷1,260個=400円と求め、月末仕掛品198,000を「月初+当月投入-月末」の差引で完成品原価984,000とするのがボックス図の手順です。本試験では月初仕掛品原価を単価計算に混ぜてしまう(平均法との混同)誤りと、当月投入換算量の「-月初+月末」の符号ミスが頻出です。

合格演習24-X3 正常仕損・完成品のみ負担本試験レベル

当工場は単純総合原価計算を採用し、正常仕損の処理は度外視法によっている。次の資料にもとづき、月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算しなさい。材料はすべて工程の始点で投入しており、正常仕損は工程の終点で発生しているため仕損費は完成品のみに負担させる。仕損品の評価額はない。生産データ:月初仕掛品なし、当月投入1,100個、完成品1,000個、正常仕損50個、月末仕掛品50個(加工進捗度40%)。原価データ:直接材料費¥550,000、加工費¥642,000。

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月末仕掛品原価37,000(材料費25,000+加工費12,000)
完成品総合原価1,155,000

完成品のみ負担の場合、仕損品を完成品と同じ扱いでボックス図に入れて計算します。材料費の単価は550,000÷1,100個=500円、加工費は換算量(完成1,000+仕損50+月末20)1,070個で642,000÷1,070=600円となり、月末仕掛品37,000を差し引いた残額1,155,000がすべて完成品原価(仕損費込み)です。仕損の発生点が終点なら完成品のみ負担、と判定させるのが本試験の定番で、仕損分を数量から除いて両者負担で計算してしまうと月末仕掛品原価が変わってしまう点に注意してください。

合格演習24-X4 正常仕損・両者負担本試験レベル

当工場は単純総合原価計算を採用し、正常仕損の処理は度外視法によっている。次の資料にもとづき、月末仕掛品原価、完成品総合原価および完成品単位原価を計算しなさい。材料はすべて工程の始点で投入しており、正常仕損は工程の始点で発生しているため仕損費は完成品と月末仕掛品の両者に負担させる。仕損品の評価額はない。生産データ:月初仕掛品なし、当月投入1,250個、完成品1,100個、正常仕損50個、月末仕掛品100個(加工進捗度50%)。原価データ:直接材料費¥600,000、加工費¥690,000。

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月末仕掛品原価80,000(材料費50,000+加工費30,000)
完成品総合原価1,210,000
完成品単位原価1個あたり1,100円

両者負担の度外視法では、仕損がはじめからなかったものとみなし、ボックス図の数量から仕損50個を除外して計算します。材料費は600,000÷(完成1,100+月末100)=500円、加工費は690,000÷(完成1,100+月末換算50)=600円で、月末仕掛品80,000を差し引いた1,210,000が完成品原価です。仕損費が単価に自動的に織り込まれるのが度外視法の仕組みで、投入1,250個で割ってしまうと仕損費を誰も負担しない誤った単価になる点が引っかけどころです。

合格演習24-X5 仕損品に評価額がある場合本試験レベル

当工場は単純総合原価計算を採用し、正常仕損の処理は度外視法によっている。次の資料にもとづき、月末仕掛品原価、完成品総合原価および完成品単位原価を計算しなさい。材料はすべて工程の始点で投入しており、正常仕損は工程の終点で発生しているため仕損費は完成品のみに負担させる。仕損品には¥20,000の評価額があり、完成品総合原価から控除する。生産データ:月初仕掛品なし、当月投入1,050個、完成品900個、正常仕損100個、月末仕掛品50個(加工進捗度60%)。原価データ:直接材料費¥525,000、加工費¥618,000。

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月末仕掛品原価43,000(材料費25,000+加工費18,000)
完成品総合原価1,080,000
完成品単位原価1個あたり1,200円

手順は完成品のみ負担の計算(材料単価500円・加工単価600円、月末仕掛品43,000)までは通常どおり進め、最後に完成品側へ集まった原価1,100,000から仕損品評価額¥20,000を控除して1,080,000とします。評価額は売却などで回収できる価値なので、その分だけ完成品の負担が軽くなるという理屈です。本試験では評価額を月末仕掛品から引いたり、控除を忘れて単位原価を出したりする誤りが多く、「どこから控除するか」の指示を必ず確認してください。

合格演習24-X6 正常減損の処理本試験レベル

当工場は液体製品を製造し、単純総合原価計算を採用している。工程の途中で蒸発により減損が生じる。次の資料にもとづき、度外視法により月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算しなさい。材料はすべて工程の始点で投入している。正常減損は工程の50%地点で発生しており、月末仕掛品(加工進捗度40%)はまだ発生点を通過していないため、減損費は完成品のみに負担させる。生産データ:月初仕掛品なし、当月投入1,200kg、完成品1,000kg、正常減損100kg、月末仕掛品100kg。原価データ:直接材料費¥720,000、加工費¥872,000。

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月末仕掛品原価92,000(材料費60,000+加工費32,000)
完成品総合原価1,500,000

減損は物量が消えてなくなる点が仕損と異なりますが、計算手順は評価額のない仕損とまったく同じです。減損の換算量は発生点50%で測るため100kg×50%=50kgとし、加工費の単価は872,000÷(1,000+50+40)=800円、材料費は720,000÷1,200kg=600円で月末仕掛品92,000を求め、残額1,500,000が完成品原価です。負担関係は「月末仕掛品の進捗度40%が減損発生点50%より手前だから完成品のみ負担」と判定するのが本試験流で、発生点と進捗度の比較を飛ばして両者負担にしてしまう誤りに注意してください。

合格演習24-X7 材料の平均的投入標準

当工場は単純総合原価計算を採用している。材料は工程を通じて平均的に投入している。次の資料にもとづき、月末仕掛品原価、完成品総合原価および完成品単位原価を計算しなさい。生産データ:月初仕掛品なし、当月投入1,000個、完成品900個、月末仕掛品100個(加工進捗度50%)。原価データ:直接材料費¥570,000、加工費¥760,000。

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月末仕掛品原価70,000(材料費30,000+加工費40,000)
完成品総合原価1,260,000
完成品単位原価1個あたり1,400円

材料が平均的に投入される場合、材料費も加工費と同じく完成品換算量(完成900+月末100×50%=950個)で計算するのがポイントです。材料単価570,000÷950=600円、加工単価760,000÷950=800円から月末仕掛品70,000を求め、差引で完成品原価1,260,000とします。「始点投入」との違いはボックス図の材料費側の月末数量が100個から50個に変わるだけですが、本試験では投入方法の一文を読み飛ばして始点投入で計算する誤りが非常に多い論点です。

合格演習24-X8 材料の終点投入(追加材料)標準

当工場は単純総合原価計算を採用している。A材料は工程の始点で投入し、B材料(包装材料)は工程の終点で投入している。次の資料にもとづき、月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算しなさい。生産データ:月初仕掛品なし、当月投入1,000個、完成品800個、月末仕掛品200個(加工進捗度50%)。原価データ:A材料費¥500,000、B材料費¥240,000、加工費¥540,000。

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月末仕掛品原価160,000(A材料費100,000+加工費60,000)
完成品総合原価1,120,000(A材料400,000+B材料240,000+加工費480,000)

終点投入の材料は、まだ終点に達していない月末仕掛品には一切投入されていないため、B材料費¥240,000は全額を完成品に負担させます。A材料は始点投入なので数量比(単価500円×月末200個)、加工費は換算量(完成800+月末100=900個、単価600円)で計算し、月末仕掛品は160,000です。本試験では材料ごとに投入時点が異なる資料が与えられ、終点投入の材料まで月末仕掛品に按分してしまうのが典型的な誤りなので、「月末仕掛品が発生点を通過したか」で判断してください。

第25章工程別・組別・等級別総合原価計算例題・演習 16問

25-1 工程別総合原価計算

2つ以上の工程を経て製品ができる場合、工程ごとに総合原価計算を行い、第1工程の完成品原価を第2工程に「前工程費」として引き継ぎます

暗記 前工程費は「始点投入の材料費」と同じ扱い 第2工程での前工程費は、工程の始点で全部投入された材料費とまったく同じように計算します(=数量ベースで按分、進捗度は関係なし)。
例題25-1 工程別総合原価計算応用

次の資料により、第1工程完成品原価と第2工程の月末仕掛品原価・完成品原価を求めなさい。平均法による。材料はすべて第1工程の始点で投入している。

 第1工程第2工程
月初仕掛品数量(進捗度)100個(50%)200個(50%)
当月投入数量900個800個
月末仕掛品数量(進捗度)200個(50%)100個(40%)
完成品数量800個900個
月初仕掛品原価:材料費/前工程費38,000154,000
月初仕掛品原価:加工費21,00037,000
当月製造費用:材料費342,000
当月製造費用:加工費255,000371,000
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Step1 第1工程
 材料費加工費
合計原価38,000 + 342,000 = 380,00021,000 + 255,000 = 276,000
合計数量800 + 200 = 1,000個800 + 100(200×50%)= 900個
月末仕掛品380,000 × 200/1,000 = 76,000276,000 × 100/900 = 30,667
第1工程完成品原価380,000 - 76,000 = 304,000276,000 - 30,667 = 245,333

第1工程完成品原価 = 304,000 + 245,333 = ¥549,333(800個)

Step2 第2工程(前工程費として¥549,333が投入される)
 前工程費加工費
合計原価154,000 + 549,333 = 703,33337,000 + 371,000 = 408,000
合計数量900 + 100 = 1,000個900 + 40(100×40%)= 940個
月末仕掛品703,333 × 100/1,000 = 70,333408,000 × 40/940 = 17,362
完成品原価703,333 - 70,333 = 633,000408,000 - 17,362 = 390,638

第2工程 月末仕掛品原価 = 70,333 + 17,362 = ¥87,695
第2工程 完成品原価 = 633,000 + 390,638 = ¥1,023,638

注意第2工程の当月投入数量800個は、第1工程の完成品数量800個と一致します。ここがズレていたら、どこかで読み間違えています。

25-2 組別総合原価計算

異なる種類の製品(A製品・B製品)を同じ工場で作る場合。直接費は各組に賦課し、間接費(組間接費)は適当な基準で各組に配賦してから、組ごとに総合原価計算を行います。

例題25-2 組別総合原価計算標準

当月の組間接費は¥900,000であり、直接作業時間を基準に各組へ配賦する。A組の直接作業時間は1,200時間、B組は800時間であった。A組・B組それぞれへの配賦額を求めなさい。

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  • 配賦率 = 900,000 ÷ (1,200 + 800) 時間 = @¥450
  • A組 = 450 × 1,200時間 = ¥540,000
  • B組 = 450 × 800時間 = ¥360,000 (検算:540,000+360,000=900,000 ✔)

配賦後は、A組・B組それぞれについて第24章と同じ手順(ボックス図 → 月末仕掛品 → 差額で完成品)で計算します。

25-3 等級別総合原価計算

同じ種類だがサイズや品質が違う製品(Lサイズ・Mサイズ・Sサイズ)を作る場合。まとめて総合原価計算をしてから、等価係数を使って各等級に按分します。

例題25-3 等級別総合原価計算標準

当月の完成品原価の合計は¥3,240,000であった。次の資料により、各等級製品の完成品原価と単位原価を求めなさい。

等級製品完成品数量等価係数
L製品400個1.5
M製品600個1.0
S製品500個0.6
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等級数量等価係数積数完成品原価単位原価
L4001.56001,296,000@3,240
M6001.06001,296,000@2,160
S5000.6300648,000@1,296
1,5001,5003,240,000
計算手順
  1. 積数 = 完成品数量 × 等価係数(L:400×1.5=600 など)
  2. 積数の合計 = 600+600+300 = 1,500
  3. 完成品原価 = 3,240,000 × 各積数 ÷ 1,500(L:3,240,000×600/1,500=1,296,000)
  4. 単位原価 = 完成品原価 ÷ 完成品数量(L:1,296,000÷400個=@3,240)
暗記 等価係数の意味 「M製品1個分を1とすると、L製品1個はその1.5倍の原価がかかる」という比率です。数量に等価係数を掛けた「積数」の比で原価を分ける——それだけです。

合格演習 — 本試験レベルの追加6問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習25-1 工程別総合原価計算(累加法)標準

2つの工程で製品を製造している。第1工程の完成品原価は¥1,540,000であり、その全量が第2工程へ振り替えられた。第2工程では、この振替原価を何費として扱うか。また振替の仕訳を示しなさい(工程別の仕掛品勘定を用いる)。

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解答(仕訳)

借方貸方
第2工程仕掛品¥1,540,000第1工程仕掛品¥1,540,000

解答

前工程費として扱う(第2工程の始点投入材料費と同様に計算)

累加法では前工程の完成品原価を「前工程費」として次工程へリレーします。始点投入の材料費と同じ扱いと覚えれば計算に迷いません。

合格演習25-2 前工程費の月末仕掛品評価応用

第2工程:月初仕掛品なし、当月受入700個(前工程費¥1,540,000)、完成600個、月末仕掛品100個(進捗50%)。平均法による月末仕掛品の前工程費を求めなさい。

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解答

¥220,000

前工程費は始点投入扱いなので進捗度は掛けず、数量比で按分します(1,540,000×100/700)。加工費だけ進捗度を使います。

合格演習25-3 組別総合原価計算標準

A組・B組の2種類の製品を製造している。組間接費¥900,000を機械作業時間(A組400時間・B組200時間)を基準に配賦する場合の各組への配賦額を求めなさい。

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解答

A組 ¥600,000/B組 ¥300,000

組直接費は各組へ賦課、組間接費は配賦。配賦後は組ごとに単純総合原価計算を行うだけです。

合格演習25-4 組別の完成品原価応用

A組の当月データ:組直接費(材料費・始点投入)¥800,000、組間接費配賦額¥564,000(すべて加工費扱い)、月初仕掛品なし、当月投入500個、完成450個、月末仕掛品50個(加工進捗度40%)。平均法によりA組の完成品総合原価を求めなさい。

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解答

¥1,260,000(材料費720,000+加工費540,000)

材料費:800,000×450/500=720,000。加工費は完成品換算量470個分(450+50×40%)で割って、564,000×450/470=540,000。組別でも組ごとに普通の総合原価計算をするだけです。

合格演習25-5 等級別総合原価計算標準

等級製品X・Yを製造している。当月の完成品総合原価は¥1,800,000、完成量はX:600個(等価係数1)、Y:800個(等価係数0.5)であった。各等級製品の完成品原価を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

X ¥1,080,000/Y ¥720,000

積数=完成量×等価係数(X:600、Y:400)。完成品原価を積数の比で按分します。大きさ違いの同種製品に使う方法です。

合格演習25-6 方法の選択基本

次の製造形態に適した原価計算方法を「個別・組別・等級別・工程別」から選びなさい。
①同じ生地から大・中・小のパンを量産 ②受注ごとに仕様が異なる機械を製造 ③清涼飲料と果汁飲料を同じ工場で量産 ④切削→組立の2段階で単一製品を量産

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解答

①等級別 ②個別 ③組別 ④工程別

「同種で大きさ違い=等級別」「異種製品=組別」「受注生産=個別」「工程が分かれる=工程別」。製造形態→方法のマッピングは即答できるように。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習25-X1 工程別総合原価計算(累加法)本試験レベル

当工場は2つの工程で製品を製造し、累加法による工程別総合原価計算を採用している。次の資料にもとづき、第1工程完了品原価と第2工程完成品総合原価を計算しなさい。月末仕掛品の評価は両工程とも平均法(月初仕掛品はない)、材料はすべて第1工程の始点で投入している。第1工程:当月投入1,000個、完了品900個、月末仕掛品100個(加工進捗度50%)、直接材料費¥400,000、加工費¥570,000。第2工程:当月受入900個(第1工程完了品はすべて振替)、完成品800個、月末仕掛品100個(加工進捗度40%)、加工費¥672,000。

解答・解説を見る
第1工程完了品原価900,000(単価1,000円)
第2工程月末仕掛品原価132,000(前工程費100,000+加工費32,000)
第2工程完成品総合原価1,440,000(単価1,800円)

累加法では、まず第1工程を単独の総合原価計算として解き(材料単価400円・加工単価600円、月末70,000、完了品900,000)、その完了品原価を第2工程では「前工程費」として引き継ぎます。前工程費は第2工程の始点で投入された材料と同じ扱いなので数量比で按分し(単価1,000円×月末100個)、第2工程加工費は換算量840個で単価800円です。第5問の頻出形で、前工程費を加工費のように進捗度で換算してしまうのが最大の誤りポイントです。

合格演習25-X2 半製品がある場合の処理標準

当工場は累加法による工程別総合原価計算を採用している。当月の第1工程完了品は1,000個(単位原価1個あたり¥900)であり、このうち800個は第2工程へ振り替え、残りの200個は外部販売用として半製品の倉庫に保管した。この振替の仕訳を示しなさい。

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借方科目金額貸方科目金額
第2工程仕掛品
半製品
720,000
180,000
第1工程仕掛品900,000

第1工程完了品原価900,000を、次工程へ進む分(800個×900円=720,000)と外部販売できる状態で保管する分(200個×900円=180,000)に分け、後者は「半製品」勘定へ振り替えます。半製品は完成品(製品)ではないものの販売可能な中間生産物で、本試験では工程別の勘定連絡図の空欄として出題されます。全量を第2工程仕掛品へ振り替えてしまう、あるいは半製品を製品勘定としてしまう誤りに注意してください。

合格演習25-X3 組別総合原価計算本試験レベル

当工場はA組製品とB組製品を製造し、組別総合原価計算を採用している。組間接費¥600,000は機械運転時間(A組300時間、B組200時間)を基準に各組へ配賦する。次の資料にもとづき、各組の完成品総合原価と完成品単位原価を計算しなさい。月末仕掛品の評価は平均法、材料はすべて工程の始点で投入している。A組:月初仕掛品なし、当月投入1,000個、完成品900個、月末仕掛品100個(加工進捗度50%)、組直接費は直接材料費¥500,000・加工費¥210,000。B組:月初・月末仕掛品なし、完成品500個、組直接費は直接材料費¥300,000・加工費¥110,000。

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組間接費配賦額A組360,000 B組240,000
A組完成品総合原価990,000(単価1,100円)
B組完成品総合原価650,000(単価1,300円)

組別総合原価計算は「組間接費の配賦→組ごとに単純総合原価計算」の二段構えで解きます。配賦後のA組加工費は210,000+360,000=570,000となり、材料単価500円・加工単価600円から月末仕掛品80,000を差し引いて完成品原価990,000です。B組は仕掛品がないので当月製造費用650,000がそのまま完成品原価になります。本試験では組間接費の配賦を忘れて組直接費だけで計算する誤りと、配賦基準(機械時間)を生産量比と取り違える誤りが目立ちます。

合格演習25-X4 等級別総合原価計算標準

当工場は同一工程で1級製品と2級製品を製造し、等級別総合原価計算を採用している。当月の完成品総合原価は¥1,800,000であり、完成量は1級製品400個、2級製品800個であった。等価係数は製品1個あたりの重量にもとづき、1級製品を1、2級製品を0.5とする。各等級製品の完成品原価と完成品単位原価を計算しなさい。

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積数1級:400 2級:400(合計800)
1級製品完成品原価900,000 単価2,250円
2級製品完成品原価900,000 単価1,125円

手順は「積数(完成量×等価係数)を求める→完成品総合原価を積数の比で按分する→按分額を実際の完成量で割って単価を出す」の3ステップです。積数は1級400×1=400、2級800×0.5=400なので按分は半分ずつですが、単価は実際数量(400個と800個)で割るため2,250円と1,125円になります。本試験では最後の単価計算を積数で割ってしまう誤りが非常に多いので、「按分は積数、単価は実数量」と覚えてください。

合格演習25-X5 工程別・月初仕掛品がある場合(先入先出法)本試験レベル

当工場は累加法による工程別総合原価計算を採用している。次の資料にもとづき、先入先出法により第2工程の月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算しなさい。前工程費は第2工程の始点で投入されたものとして扱う。第2工程の生産データ:月初仕掛品200個(加工進捗度50%)、当月受入800個、完成品900個、月末仕掛品100個(加工進捗度60%)。原価データ:月初仕掛品原価は前工程費¥190,000・加工費¥46,000、当月受入の前工程費¥800,000、当月加工費¥430,000。

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月末仕掛品原価130,000(前工程費100,000+加工費30,000)
完成品総合原価1,336,000(前工程費890,000+加工費446,000)

前工程費のボックス図と加工費のボックス図を分けて書き、先入先出法なので当月分だけで単価を出します。前工程費は800,000÷800個=1,000円、加工費は当月投入換算量(完成900-月初換算100+月末換算60=860個)で430,000÷860=500円となり、月末仕掛品130,000を「月初236,000+当月1,230,000」から差し引いて完成品原価1,336,000です。工程別と月初仕掛品の組合せは第5問の本試験レベルの定番で、前工程費を進捗度で換算しない(数量のまま扱う)点と、加工費側だけ換算する点を混同しないことが得点の分かれ目です。

合格演習25-X6 工程別総合原価計算の仕訳標準

当工場は累加法による工程別総合原価計算を採用し、仕掛品勘定は工程別に設けている。次の取引について仕訳を示しなさい。(1)材料¥400,000を第1工程の始点で投入した。(2)第1工程完了品¥900,000を第2工程へ振り替えた。(3)第2工程完成品¥1,440,000が完成し、製品倉庫へ搬入した。

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No借方科目金額貸方科目金額
1第1工程仕掛品400,000材料400,000
2第2工程仕掛品900,000第1工程仕掛品900,000
3製品1,440,000第2工程仕掛品1,440,000

原価は「材料→第1工程仕掛品→第2工程仕掛品→製品」と工程の流れどおりにリレーされ、仕訳は常に「次の段階の勘定を借方、前の段階の勘定を貸方」とします。本試験では勘定連絡図の空欄推定や第4問の仕訳問題として出題されます。(2)で貸方を仕掛品(工程の区別なし)としたり、(3)で第1工程仕掛品から直接製品へ振り替えたりしないよう、勘定のつながりを図で確認してから書くのが安全です。

合格演習25-X7 等級別の按分と単位原価標準

当工場は等級別総合原価計算を採用している。当月の完成品総合原価は¥2,400,000、完成量は1級製品300個、2級製品500個であり、等価係数は1級製品1、2級製品0.6である。各等級製品の完成品原価と完成品単位原価を計算しなさい。

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積数1級:300 2級:300(合計600)
1級製品完成品原価1,200,000 単価4,000円
2級製品完成品原価1,200,000 単価2,400円

積数は1級300×1=300、2級500×0.6=300で、完成品総合原価2,400,000を300:300で按分すると各1,200,000です。単価は1級が1,200,000÷300個=4,000円、2級が1,200,000÷500個=2,400円で、等価係数どおり2級は1級の0.6倍になっているか検算できます。本試験では完成品総合原価を先に単純総合原価計算で求めさせてから按分させる複合形式が多く、按分後の単価を積数で割る誤りと、係数を掛ける前の数量比で按分する誤りが典型です。

第26章標準原価計算 ― 第5問の主役例題・演習 19問

図26-A 差異分析ボックス ― 価格差異と数量差異の切り分け
標準原価標準単価 × 標準数量 数量差異標準単価×(標準−実際) 価格差異 = 実際数量 ×(標準単価 − 実際単価)※横一本で計算する(内側の長方形との差) 標準単価 実際単価 標準数量 実際数量 直接労務費なら「単価→賃率」「数量→時間」に読み替えるだけ。ボックスを描けば符号ミスは起きない
第5問(12点)はここか、直接原価計算のどちらか 標準原価計算の原価差異分析は、パターンが完全に決まっています。差異分析図を1つ覚えるだけで12点。工業簿記でいちばんコスパの高い論点です。

26-1 標準原価計算のしくみ

考え方 実際にかかった原価をただ集計しても「高かったのか安かったのか」がわかりません。そこで「本来これくらいで作れるはず」という標準原価をあらかじめ決めておき、実際との差(原価差異)を分析して原因を突き止めるのが標準原価計算です。
図26-1 標準原価カード(製品1個あたり)
原価要素標準単価 × 標準消費量標準原価
直接材料費@¥300 × 4kg1,200
直接労務費@¥900 × 2時間1,800
製造間接費@¥700 × 2時間1,400
製品1個あたり標準原価4,400

26-2 パーシャルプランとシングルプラン

パーシャルプラン

仕掛品勘定の借方は実際原価、貸方は標準原価。
原価差異は仕掛品勘定で把握される

2級の出題はほぼこちら。

シングルプラン

仕掛品勘定の借方も貸方も標準原価
→ 原価差異は材料・賃金・製造間接費の各勘定で把握される

26-3 直接材料費差異と直接労務費差異

暗記 差異分析の基本形(材料費・労務費に共通)
差異公式
価格差異/賃率差異(標準単価 - 実際単価)× 実際消費量
数量差異/時間差異標準単価 ×(標準消費量 - 実際消費量)

覚え方:単価の差には「実際」量を、量の差には「標準」単価を掛ける。
どちらの式にも標準と実際が1つずつ入ります。「実際×実際」「標準×標準」になっていたら間違いです。

例題26-1 直接材料費差異・直接労務費差異応用

標準原価カードは図26-1のとおりである。当月の生産・原価データは次のとおりであった。直接材料費差異と直接労務費差異を分析しなさい。材料は工程の始点で投入している。

  • 当月完成品 500個、月初仕掛品なし、月末仕掛品 100個(加工進捗度50%)
  • 直接材料費 実際:実際消費量 2,450kg、実際単価 @¥310
  • 直接労務費 実際:実際直接作業時間 1,120時間、実際賃率 @¥920
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Step1 標準消費量(=当月投入量に対する標準)を出す
 数量(材料費)換算量(加工費)
完成品500個500個
月末仕掛品100個100 × 50% = 50個
当月投入600個550個
  • 標準材料消費量 = 600個 × 4kg = 2,400kg
  • 標準直接作業時間 = 550個 × 2時間 = 1,100時間
Step2 直接材料費差異
差異計算金額
標準直接材料費@300 × 2,400kg720,000
実際直接材料費@310 × 2,450kg759,500
総差異720,000 - 759,500△39,500(不利)
価格差異(@300 - @310) × 2,450kg△24,500(不利)
数量差異@300 × (2,400 - 2,450)kg△15,000(不利)

検算:△24,500 + △15,000 = △39,500 ✔

Step3 直接労務費差異
差異計算金額
標準直接労務費@900 × 1,100時間990,000
実際直接労務費@920 × 1,120時間1,030,400
総差異990,000 - 1,030,400△40,400(不利)
賃率差異(@900 - @920) × 1,120時間△22,400(不利)
時間差異@900 × (1,100 - 1,120)時間△18,000(不利)

検算:△22,400 + △18,000 = △40,400 ✔

最重要 標準消費量は「完成品」ではなく「当月投入」に対して計算する 完成品500個 × 4kg = 2,000kg としてはいけません。月末仕掛品100個にも材料は入っているので、当月投入600個分が標準になります。
また、材料は数量(600個)、加工費は換算量(550個)と基準が違う点にも注意してください。

26-4 製造間接費差異 ― 3分法

暗記 3分法の公式(公式法変動予算)
差異公式
予算差異予算許容額 - 実際発生額
予算許容額 = 変動費率 × 実際操業度 + 固定費予算額
能率差異標準配賦率 ×(標準操業度 - 実際操業度)
操業度差異固定費率 ×(実際操業度 - 基準操業度)

※能率差異を変動費部分だけで計算する方法(変動費能率差異)もあります。その場合は操業度差異 = 固定費率 ×(標準操業度 - 基準操業度)に変わります(固定費の能率部分を操業度差異に含めるため)。どちらの方法かは必ず問題文の指示で確認してください。

例題26-2 製造間接費差異の3分法応用

例題26-1の続きである。製造間接費に関する資料は次のとおり。3分法により差異分析しなさい(能率差異は標準配賦率で計算する)。

  • 標準配賦率 @¥700(変動費率 @¥300、固定費率 @¥400)
  • 月間基準操業度 1,200直接作業時間、月間固定費予算 ¥480,000
  • 実際直接作業時間 1,120時間、製造間接費実際発生額 ¥820,000
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Step1 基本数値
  • 標準操業度 = 550個 × 2時間 = 1,100時間(例題26-1のStep1より)
  • 標準製造間接費 = @700 × 1,100時間 = ¥770,000
  • 総差異 = 770,000 - 820,000 = △¥50,000(不利)
Step2 3つの差異
差異計算金額
予算許容額@300 × 1,120時間 + 480,000816,000
予算差異816,000 - 820,000△4,000(不利)
能率差異@700 × (1,100 - 1,120)時間△14,000(不利)
操業度差異@400 × (1,120 - 1,200)時間△32,000(不利)
合計△4,000 △14,000 △32,000△50,000 = 総差異 ✔
参考 変動費能率差異で計算する場合 同じ資料でも「能率差異は変動費のみで計算する」と指示された場合は次のようになります。
能率差異 = @300 ×(1,100 - 1,120)= △6,000 / 操業度差異 = @400 ×(1,100 - 1,200)= △40,000
検算:△4,000 + △6,000 + △40,000 = △50,000(総差異と一致)✔
POINT 3つの操業度を区別する
標準操業度 1,100h実際の生産量に対して「本来かかるはず」の時間
実際操業度 1,120h実際に働いた時間
基準操業度 1,200h予算を立てるときに想定した時間(=キャパシティ)

能率差異は「標準 vs 実際」、操業度差異は「実際 vs 基準」——この対応さえ間違えなければ必ず解けます。

例題26-3 仕掛品勘定(パーシャルプラン)標準

例題26-1・26-2の資料により、パーシャルプランによる仕掛品勘定を完成させなさい。月初仕掛品はない。

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仕掛品(パーシャルプラン)
直接材料費(実際)759,500
直接労務費(実際)1,030,400
製造間接費(実際)820,000
 2,609,900
製品(完成品標準原価)2,200,000
月末仕掛品(標準原価)280,000
原価差異129,900
 2,609,900
計算
  • 完成品標準原価 = 500個 × @4,400 = ¥2,200,000
  • 月末仕掛品標準原価 = 材料費 100個×1,200 + 加工費 50個×(1,800+1,400) = 120,000 + 160,000 = ¥280,000
  • 原価差異 = △39,500(材料)+ △40,400(労務)+ △50,000(間接)= △¥129,900(すべて不利=借方差異なので、仕掛品勘定の貸方に出てくる)
  • 検算:2,200,000 + 280,000 + 129,900 = 2,609,900 = 借方合計 ✔

合格演習 — 本試験レベルの追加7問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習26-1 標準原価カードと標準原価基本

製品1個あたりの標準:直接材料費2kg×@¥300、直接労務費1.5時間×@¥1,200、製造間接費1.5時間×@¥1,000。当月完成品400個の標準原価(完成品標準原価)を求めなさい。

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解答

¥1,560,000

1個あたり標準原価=600+1,800+1,500=3,900円。これに完成量400個を掛けるだけ。標準原価カードは製品原価の設計図です。

合格演習26-2 直接材料費差異の分析標準

標準:2kg×@¥300(当月投入500個分の標準消費量1,000kg)。実際:消費量1,040kg、@¥290。価格差異と数量差異を求めなさい。

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解答

価格差異 有利差異 ¥10,400/数量差異 不利差異 ¥12,000

価格差異=実際数量×(標準単価−実際単価)、数量差異=標準単価×(標準数量−実際数量)。差異分析ボックスに数値を置けば符号ミスを防げます。

合格演習26-3 直接労務費差異の分析標準

標準:1.5時間×@¥1,200(当月投入の標準作業時間750時間)。実際:作業時間780時間、実際賃率@¥1,180。賃率差異と時間差異を求めなさい。

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解答

賃率差異 有利差異 ¥15,600/時間差異 不利差異 ¥36,000

型は材料費差異と同じ(単価→賃率、数量→時間に読み替え)。実際時間が標準を30時間超過しているので時間差異は不利です。

合格演習26-4 製造間接費差異(三分法)応用

公式法変動予算:変動費率@¥400、固定費率@¥600(月間固定費¥480,000、基準操業度800時間)。当月の標準操業度750時間、実際操業度780時間、実際発生額¥790,000。能率差異(変動費・固定費両方から把握)、予算差異、操業度差異を求めなさい。

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解答

予算差異 有利差異 ¥2,000/能率差異 不利差異 ¥30,000/操業度差異 不利差異 ¥12,000

予算差異=許容額792,000−実際790,000=+2,000(有利)。能率差異=(400+600)×(750−780)=△30,000。操業度差異=600×(780−800)=△12,000。合計△40,000=標準配賦額750,000−実際790,000と一致することを必ず検算しましょう。

合格演習26-5 パーシャル・プランの仕掛品勘定応用

パーシャル・プランを採用している場合、仕掛品勘定の借方に記入される直接材料費は「標準原価」か「実際原価」か。また原価差異はどの勘定で把握されるか。

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解答

実際原価で記入し、原価差異は仕掛品勘定の中で把握される。

パーシャル・プラン=仕掛品勘定に実際原価でイン、完成品・月末は標準原価でアウト→差額(差異)が仕掛品勘定に残る方式。シングル・プラン(最初から標準でイン)との対比で覚えましょう。

合格演習26-6 シングル・プランとの比較標準

シングル・プランを採用した場合、原価差異はどの勘定で把握されるか。また仕掛品勘定の借方はどの原価で記入されるか。

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解答

差異は各費目の勘定(材料・賃金・製造間接費など)で把握され、仕掛品勘定の借方は標準原価で記入される。

シングル=仕掛品に入る前に差異を分離。差異把握が早く、責任も費目別に明確になります。どちらのプランかは仕掛品勘定の借方を見れば判別できます。

合格演習26-7 標準原価差異のまとめ応用

当月の標準原価差異は、材料価格差異△¥8,000(不利)、材料数量差異+¥5,000(有利)、賃率差異△¥6,000、時間差異△¥9,000、製造間接費差異△¥12,000であった。差異合計を求め、月次損益計算上の原則的な扱いを答えなさい。

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解答

差異合計 不利差異 ¥30,000。原則として売上原価に加算する。

不利差異の純額は売上原価にプラス(利益にマイナス)。有利差異が純額なら売上原価から控除します。符号の集計を丁寧に。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習26-X1 標準原価カードによる標準原価の計算標準

当工場は標準原価計算を採用している。製品1個あたりの標準原価は、直接材料費が標準単価¥500×標準消費量4kg、直接労務費が標準賃率¥1,200×標準直接作業時間2時間、製造間接費が標準配賦率¥1,600×標準直接作業時間2時間である。当月の完成品は500個、月末仕掛品は100個(加工進捗度50%)であり、材料はすべて工程の始点で投入している。完成品標準原価と月末仕掛品標準原価を計算しなさい。

解答・解説を見る
製品1個あたり標準原価7,600円(材料2,000+労務2,400+間接3,200)
完成品標準原価3,800,000
月末仕掛品標準原価480,000(材料費200,000+加工費280,000)

まず標準原価カードから1個あたり標準原価7,600円を組み立て、完成品は7,600円×500個で機械的に求めます。月末仕掛品は総合原価計算と同じ考え方で、材料費は数量どおり100個分(2,000円×100)、加工費(労務費+間接費5,600円)は換算量50個分だけ負担させます。標準原価計算でも「月初+当期投入=完成+月末」のボックス図は同じで、月末仕掛品の加工費を進捗度換算せず100個分としてしまうのが頻出の誤りです。

合格演習26-X2 直接材料費差異の分解本試験レベル

当工場は標準原価計算を採用している。直接材料費の標準は標準単価¥500/kg×標準消費量4kg/個であり、当月投入量(材料の完成品換算量)は600個であった。当月の実際直接材料費は実際単価¥490/kgで実際消費量2,450kgであった。直接材料費差異を計算し、価格差異と数量差異に分解しなさい(有利差異か不利差異かも示すこと)。

解答・解説を見る
直接材料費差異500(不利差異)
価格差異24,500(有利差異)
数量差異25,000(不利差異)

標準消費量は4kg×600個=2,400kgで、差異分析の面積図(縦軸に単価、横軸に数量)を書き、価格差異=(標準単価500-実際単価490)×実際消費量2,450=+24,500、数量差異=(標準2,400kg-実際2,450kg)×標準単価500=△25,000と求めます。総差異は標準1,200,000-実際1,200,500=△500で、内訳の合計と一致するか必ず検算してください。本試験では価格差異に標準消費量を掛ける・数量差異に実際単価を掛けるという掛け合わせの取り違えが最も多い誤りです。

合格演習26-X3 直接労務費差異の分解本試験レベル

当工場は標準原価計算を採用している。直接労務費の標準は標準賃率¥1,200×標準直接作業時間2時間/個であり、当月投入量(加工費の完成品換算量)は550個であった。当月の実際直接労務費は実際賃率¥1,230で実際直接作業時間1,120時間であった。直接労務費差異を計算し、賃率差異と時間差異に分解しなさい(有利差異か不利差異かも示すこと)。

解答・解説を見る
直接労務費差異57,600(不利差異)
賃率差異33,600(不利差異)
時間差異24,000(不利差異)

標準直接作業時間は2時間×550個=1,100時間です。材料費と同じ面積図で、賃率差異=(標準賃率1,200-実際賃率1,230)×実際時間1,120=△33,600、時間差異=(標準1,100時間-実際1,120時間)×標準賃率1,200=△24,000となり、合計△57,600が総差異と一致します。本試験では「標準時間は当月投入換算量×標準時間」で求めさせるのが定番で、完成品量や実際時間を使ってしまう誤り、および不利差異(借方差異)・有利差異(貸方差異)の判定ミスに注意してください。

合格演習26-X4 製造間接費差異の三分法(公式法変動予算)本試験レベル

当工場は標準原価計算を採用し、製造間接費は公式法変動予算により管理している。月間の変動費率は¥600/時間、固定費予算は¥960,000、基準操業度は1,200時間(直接作業時間)である。当月の標準操業度は1,100時間、実際操業度は1,150時間、製造間接費実際発生額は¥1,660,000であった。製造間接費差異を予算差異・能率差異・操業度差異に分解しなさい。なお、能率差異は変動費と固定費の両方から計算する(標準配賦率を用いる)。

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予算差異10,000(不利差異)
能率差異70,000(不利差異)
操業度差異40,000(不利差異)
製造間接費差異合計120,000(不利差異)

固定費率は960,000÷1,200時間=800円、標準配賦率は600+800=1,400円で、シュラッター図を書いて解きます。予算差異は実際操業度の予算許容額(600×1,150+960,000=1,650,000)と実際発生額1,660,000の差で△10,000、能率差異は(標準1,100-実際1,150時間)×1,400=△70,000、操業度差異は(実際1,150-基準1,200時間)×固定費率800=△40,000です。本試験の第5問・第4問(2)の最頻出論点で、予算許容額を「基準操業度の予算額1,680,000」としてしまう誤りと、操業度差異を標準操業度から測ってしまう誤りが二大失点源です。

合格演習26-X5 能率差異を変動費のみとする場合本試験レベル

前問と同じ資料(変動費率¥600/時間、固定費予算¥960,000、基準操業度1,200時間、標準操業度1,100時間、実際操業度1,150時間、実際発生額¥1,660,000)により、能率差異を変動費のみから計算する方法で、製造間接費差異を予算差異・能率差異・操業度差異に分解しなさい。

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予算差異10,000(不利差異)
能率差異30,000(不利差異)
操業度差異80,000(不利差異)
製造間接費差異合計120,000(不利差異)

能率差異を変動費のみとする場合、(標準1,100-実際1,150時間)×変動費率600=△30,000となり、固定費部分の能率のロスは操業度差異に含めて(標準1,100-基準1,200時間)×800=△80,000と計算します。予算差異△10,000と差異合計△120,000はどちらの方法でも変わらず、能率差異と操業度差異の内訳だけが動くのがポイントです。本試験では問題文の指示(標準配賦率か変動費率か)で計算方法が指定されるため、指示を読まずにいつもの方法で解くと能率差異・操業度差異の両方を落とすことになります。操業度差異の起点が実際操業度から標準操業度に変わる点も忘れないでください。

合格演習26-X6 パーシャルプランの勘定記入本試験レベル

当工場は標準原価計算を採用し、勘定記入はパーシャルプランによっている。月初仕掛品の標準原価は¥300,000、当月の実際製造費用は直接材料費¥1,210,000・直接労務費¥1,390,000・製造間接費¥1,660,000であった。当月の完成品標準原価は¥3,800,000、月末仕掛品標準原価は¥480,000である。仕掛品勘定から製品勘定へ振り替えられる金額と、仕掛品勘定で把握される標準原価差異の金額(借方差異か貸方差異かも示す)を計算しなさい。

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製品勘定への振替額3,800,000(完成品標準原価)
標準原価差異280,000(借方差異・不利差異)

パーシャルプランでは仕掛品勘定の借方に実際原価(月初300,000+当月実際4,260,000=4,560,000)、貸方に標準原価(完成3,800,000+月末480,000=4,280,000)を記入するため、差額280,000が仕掛品勘定の中で原価差異として把握されます。実際が標準を上回っているので借方差異(不利差異)です。本試験では仕掛品勘定の空欄推定として頻出で、「借方は実際・貸方は標準」というパーシャルプランの型を覚えていれば貸借差額で機械的に求められます。完成品への振替を実際原価で行ってしまうのがシングルプランとの混同による典型的な誤りです。

合格演習26-X7 シングルプランの勘定記入との対比標準

当工場は標準原価計算を採用し、勘定記入はシングルプランによっている。製品1個あたりの標準原価は直接材料費¥2,000、直接労務費¥2,400、製造間接費¥3,200である。当月投入量は材料(始点投入)が600個、加工費の完成品換算量が550個であった。当月に仕掛品勘定の借方へ記入される当月製造費用の合計を計算しなさい。また、シングルプランの場合に標準原価差異が把握される勘定はどこかを答えなさい。

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仕掛品勘定借方の当月製造費用4,280,000(材料1,200,000+労務1,320,000+間接1,760,000)
差異が把握される勘定各費目の勘定(材料・賃金・製造間接費の各勘定)

シングルプランでは仕掛品勘定はすべて標準原価で記入されるため、借方も「標準単価×当月投入量」で計算します(材料2,000円×600個、労務2,400円×550個、間接3,200円×550個)。原価差異は仕掛品に入る手前、材料勘定や賃金勘定など各費目の勘定で把握される点がパーシャルプランとの違いです。本試験では「仕掛品勘定に差異が出るのはどちらのプランか」を判定させる出題が多く、シングル=仕掛品はスッキリ標準のみ、パーシャル=仕掛品に差異が残る、と対で覚えるのが確実です。

合格演習26-X8 標準原価差異の月末処理標準

当工場は標準原価計算を採用している。当月の標準原価差異は¥280,000の借方差異(不利差異)であり、正常な原因によるものであるため、月末に全額を売上原価に賦課する。この処理の仕訳を示しなさい。差異は原価差異勘定で処理している。

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借方科目金額貸方科目金額
売上原価280,000原価差異280,000

借方差異(不利差異)は原価差異勘定の借方に残っているため、これを消して売上原価へ移すには「売上原価/原価差異」とします。不利差異は原価が標準より多くかかった分なので売上原価が増え、利益が減るという向きで覚えると迷いません。有利差異(貸方差異)の場合は逆仕訳(原価差異/売上原価)になります。本試験では損益計算書上で売上原価に差異を加算・減算させる形でも問われ、加減の向きを逆にするのが典型的な誤りです。

合格演習26-X9 標準原価差異分析の総合問題本試験レベル

当工場は標準原価計算を採用している。製品1個あたりの標準原価は、直接材料費¥400/kg×5kg、直接労務費¥1,000×3時間、製造間接費¥1,200×3時間(公式法変動予算:変動費率¥500/時間、固定費率¥700/時間、月間固定費予算¥1,050,000、基準操業度1,500時間)である。当月は月初・月末仕掛品はなく、完成品は480個であった。実際発生額は、直接材料費が2,450kg×¥390=¥955,500、直接労務費が1,470時間×¥1,020=¥1,499,400、製造間接費が¥1,790,000(実際操業度1,470時間)である。(1)価格差異、(2)数量差異、(3)賃率差異、(4)時間差異、(5)予算差異、(6)能率差異(標準配賦率で計算)、(7)操業度差異を計算しなさい。

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No差異金額
1価格差異24,500(有利)
2数量差異20,000(不利)
3賃率差異29,400(不利)
4時間差異30,000(不利)
5予算差異5,000(不利)
6能率差異36,000(不利)
7操業度差異21,000(不利)

最初に標準消費量2,400kg(480個×5kg)と標準時間1,440時間(480個×3時間)を確定させ、材料・労務は面積図、間接費はシュラッター図で一気に解きます。価格差異(400-390)×2,450=+24,500、数量差異(2,400-2,450)×400=△20,000、賃率差異(1,000-1,020)×1,470=△29,400、時間差異(1,440-1,470)×1,000=△30,000、予算差異は許容額1,785,000-実際1,790,000=△5,000、能率差異(1,440-1,470)×1,200=△36,000、操業度差異(1,470-1,500)×700=△21,000です。本試験第5問はまさにこの全部盛りの形で出題され、標準消費量・標準時間を完成品量から作る最初の一歩を誤ると全滅するため、そこだけは必ず検算してください。

第27章直接原価計算とCVP分析例題・演習 18問

図27-A CVP図 ― 損益分岐点はどこにあるか
売上高線 総費用線 固定費 損益分岐点 損益分岐点売上高 利益ゾーン 損失ゾーン 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 貢献利益率(1−変動費率)。図の交点を式で求めているだけ
第5問のもう一方の主役 「いくら売れば黒字になるか」を計算する論点です。公式を3つ覚えるだけで、第5問の12点が取れます。

27-1 全部原価計算と直接原価計算の違い

全部原価計算(制度上の計算)

製造原価に固定製造間接費も含める
→ 固定費が仕掛品・製品に含まれて翌月に繰り越される
→ 生産量を増やすと利益が増えてしまう

直接原価計算(管理目的)

製造原価は変動費だけ
固定製造間接費は発生した月に全額を費用(期間原価)にする。
→ 売上に応じて利益が動くので意思決定に使える

図27-1 直接原価計算の損益計算書
売上高5,000,000
 変動売上原価1,800,000
 変動販売費400,000
貢献利益(=売上高 - 変動費)2,800,000
 固定製造原価1,200,000
 固定販売費及び一般管理費800,000
営業利益800,000

貢献利益=固定費を回収し、利益を生み出すもとになる金額。この考え方がCVP分析の土台です。

27-2 CVP分析の公式

暗記 これだけ覚える
貢献利益率= 貢献利益 ÷ 売上高 = 1 - 変動費率
損益分岐点の売上高固定費 ÷ 貢献利益率
目標利益を達成する売上高(固定費 + 目標利益)÷ 貢献利益率
安全余裕率=(実際売上高 - 損益分岐点売上高)÷ 実際売上高
例題27-1 CVP分析標準

図27-1の資料により、次を求めなさい。

  1. 貢献利益率 2. 損益分岐点の売上高 3. 営業利益¥1,400,000を達成する売上高 4. 安全余裕率 5. 売上高が10%増加したときの営業利益
解答・解説を見る
  • 1:貢献利益率 = 2,800,000 ÷ 5,000,000 = 56%
  • 2:固定費 = 1,200,000 + 800,000 = 2,000,000 → 2,000,000 ÷ 0.56 = ¥3,571,429(円未満四捨五入)
  • 3:(2,000,000 + 1,400,000) ÷ 0.56 = ¥6,071,429
  • 4:(5,000,000 - 3,571,429) ÷ 5,000,000 = 28.6%
  • 5:売上5,500,000 → 貢献利益 5,500,000×56% = 3,080,000 → 営業利益 = 3,080,000 - 2,000,000 = ¥1,080,000
POINT 5の意味を味わってほしい 売上が10%(50万円)増えただけで、営業利益は80万円 → 108万円と35%も増えます。固定費は増えないので、増えた貢献利益がまるごと利益になるからです。これが「営業レバレッジ」であり、経営者がCVP分析を重視する理由です。

27-3 固変分解(高低点法)

例題27-2 高低点法標準

過去6か月の生産量と製造間接費のデータから、最高操業度は生産量1,800個・製造間接費¥1,240,000、最低操業度は生産量1,000個・製造間接費¥920,000であった。高低点法により変動費率と月間固定費を求めなさい。

解答・解説を見る
  • 変動費率 = (1,240,000 - 920,000) ÷ (1,800 - 1,000)個 = 320,000 ÷ 800 = @¥400
  • 固定費 = 1,240,000 - @400 × 1,800個 = 1,240,000 - 720,000 = ¥520,000
  • 検算(最低点):@400 × 1,000個 + 520,000 = 920,000 ✔

高低点法は「操業度が最高の月」と「最低の月」の2点だけを使います。原価が最高/最低の月ではありません。ここは要注意です。

27-4 固定費調整

暗記 全部原価計算と直接原価計算の利益の差

全部原価計算の営業利益 = 直接原価計算の営業利益 + 期末在庫の固定製造原価 - 期首在庫の固定製造原価

在庫が増えれば、その分の固定費が翌期に繰り延べられるので全部原価計算のほうが利益が大きくなります。

例題27-3 固定費調整標準

直接原価計算による営業利益は¥800,000であった。期首製品に含まれる固定製造原価は¥90,000、期末製品に含まれる固定製造原価は¥150,000である。全部原価計算による営業利益を求めなさい。

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800,000 + 150,000 - 90,000 = ¥860,000

在庫が増えた(90,000 → 150,000)ので、その差60,000だけ固定費が翌期に繰り越され、当期の費用が減って利益が大きくなります。

合格演習 — 本試験レベルの追加6問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習27-1 変動費と固定費の分解基本

当社の月間データ:売上高¥4,000,000、変動費¥2,400,000、固定費¥1,200,000。変動費率と貢献利益率を求めなさい。

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解答

変動費率 60%/貢献利益率 40%

貢献利益率=1−変動費率。CVP分析の計算はすべて貢献利益率を軸に回ります。まずこの2つを瞬時に出せるように。

合格演習27-2 損益分岐点売上高標準

上記のデータ(貢献利益率40%、固定費¥1,200,000)から、損益分岐点売上高を求めなさい。

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解答

¥3,000,000

損益分岐点売上高=固定費÷貢献利益率。「固定費を貢献利益でちょうど回収できる売上高」という意味を図とセットで理解しましょう。

合格演習27-3 目標利益を達成する売上高標準

同じ条件で、営業利益¥600,000を達成するために必要な売上高を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

¥4,500,000

(固定費+目標利益)÷貢献利益率。損益分岐点の式の分子に目標利益を足すだけの拡張形です。

合格演習27-4 安全余裕率標準

当月の実際売上高は¥4,000,000、損益分岐点売上高は¥3,000,000であった。安全余裕率と損益分岐点比率を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

安全余裕率 25%/損益分岐点比率 75%

安全余裕率=「売上があと何%落ちても赤字にならないか」。両者を足すと必ず100%になります。

合格演習27-5 直接原価計算のP/L応用

次の資料から、直接原価計算による損益計算書の①貢献利益と②営業利益を求めなさい。
売上高¥6,000,000/変動売上原価¥3,000,000/変動販売費¥600,000/固定製造原価¥1,400,000/固定販売費及び一般管理費¥400,000

解答・解説を見る

解答

①貢献利益 ¥2,400,000 ②営業利益 ¥600,000

売上高−変動費=貢献利益、貢献利益−固定費=営業利益。固定製造原価を期間費用として全額差し引くのが全部原価計算との違いです。

合格演習27-6 経営レバレッジの感覚応用

貢献利益率40%の会社で、売上高が¥500,000増加した場合、営業利益はいくら増加するか(固定費・変動費率は不変とする)。

解答・解説を見る

解答

¥200,000増加

固定費が不変なら、売上の増加×貢献利益率がそのまま利益の増加になります。「利益はいくら増える?」型の設問は貢献利益率で即答できます。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習27-X1 直接原価計算方式の損益計算書標準

当社の当期の資料は次のとおりである。販売量1,000個、販売価格1個あたり¥5,000、変動売上原価¥2,500,000、変動販売費¥500,000、固定製造原価¥900,000、固定販売費及び一般管理費¥600,000。直接原価計算方式の損益計算書を作成し、貢献利益、営業利益および貢献利益率を計算しなさい。期首・期末に仕掛品と製品の在庫はない。

解答・解説を見る
売上高5,000,000
変動売上原価2,500,000
変動販売費500,000
貢献利益2,000,000(貢献利益率40%)
固定費1,500,000(固定製造原価900,000+固定販管費600,000)
営業利益500,000

直接原価計算の損益計算書は「売上高-変動費(変動売上原価+変動販売費)=貢献利益、貢献利益-固定費=営業利益」という2段構えで作ります。貢献利益率は2,000,000÷5,000,000=40%で、この率がそのままCVP分析の道具になります。本試験第5問では、変動販売費を貢献利益の計算から漏らす誤りと、固定製造原価を売上原価側に混ぜてしまう(全部原価計算との混同)誤りが頻出です。

合格演習27-X2 全部原価計算との営業利益の差(固定費調整)本試験レベル

当社の当期の生産量は1,000個、販売量は900個であり、期末製品は100個である(期首製品および期首・期末仕掛品はない)。当期の固定製造間接費は¥600,000であった。直接原価計算による営業利益が¥400,000であるとき、全部原価計算による営業利益を計算しなさい。

解答・解説を見る
期末製品に含まれる固定製造間接費60,000(600円×100個)
全部原価計算による営業利益460,000

直接原価計算では固定製造間接費¥600,000を当期の費用として全額計上しますが、全部原価計算では製品原価に含めるため、期末製品100個分(600,000÷1,000個×100個=60,000)が費用にならず資産として翌期へ繰り延べられます。その分だけ全部原価計算の利益が大きくなり、400,000+60,000=460,000です。「全部の利益=直接の利益+期末在庫の固定費-期首在庫の固定費」という固定費調整の式で覚えるのが本試験対応の近道で、加減の向きを逆にする誤りが最も多い論点です。

合格演習27-X3 損益分岐点売上高と販売量標準

当社の製品の販売価格は1個あたり¥2,500、1個あたり変動費は¥1,500であり、固定費は年間¥1,200,000である。損益分岐点における販売量と売上高を計算しなさい。

解答・解説を見る
損益分岐点販売量1,200個
損益分岐点売上高3,000,000

1個あたり貢献利益は2,500-1,500=1,000円なので、固定費1,200,000を回収するのに必要な販売量は1,200,000÷1,000=1,200個、売上高は1,200個×2,500円=3,000,000です。売上高は貢献利益率40%を使って1,200,000÷0.4でも求められ、両方の解法で一致するか検算すると確実です。本試験では「固定費÷貢献利益率」の分母に変動費率60%を入れてしまう誤りが典型なので、割る率がどちらかを式の意味(貢献利益で固定費を回収する)から確認してください。

合格演習27-X4 目標営業利益を達成する売上高標準

当社の製品の販売価格は1個あたり¥2,500、1個あたり変動費は¥1,500、固定費は年間¥1,200,000である。目標営業利益¥600,000を達成するために必要な売上高と販売量を計算しなさい。

解答・解説を見る
必要売上高4,500,000
必要販売量1,800個

貢献利益で「固定費+目標利益」をまかなうと考え、必要売上高=(1,200,000+600,000)÷貢献利益率0.4=4,500,000、販売量は4,500,000÷2,500円=1,800個です。検算として1,800個×貢献利益1,000円=1,800,000から固定費1,200,000を引くと目標の600,000に一致します。損益分岐点の式の分子に目標利益を足すだけ、という構造を理解していれば新しい公式は不要で、本試験では目標利益を固定費から引いてしまう誤りが目立ちます。

合格演習27-X5 安全余裕率と損益分岐点比率標準

当社の当期の売上高は¥4,000,000、貢献利益率は40%、固定費は¥1,200,000である。損益分岐点売上高を求めたうえで、安全余裕率と損益分岐点比率を計算しなさい。

解答・解説を見る
損益分岐点売上高3,000,000
安全余裕率25%
損益分岐点比率75%

損益分岐点売上高は1,200,000÷0.4=3,000,000で、安全余裕率は(実際売上4,000,000-損益分岐点3,000,000)÷実際売上4,000,000=25%、損益分岐点比率は3,000,000÷4,000,000=75%です。両者は足すと必ず100%になる裏表の関係なので、片方を出せばもう片方は引き算で求められます。本試験では分母を損益分岐点売上高にしてしまう誤りが多く、「実際売上高を100%とみて測る」ことを固定して覚えてください。

合格演習27-X6 販売価格を変更した場合の損益分岐点本試験レベル

当社の製品の販売価格は1個あたり¥2,000、1個あたり変動費は¥1,200、固定費は年間¥960,000である。次期に販売価格を1個あたり¥1,800へ値下げすることを検討している(変動費と固定費は変わらない)。値下げ前と値下げ後の損益分岐点販売量をそれぞれ計算し、損益分岐点販売量が何個増加するかを答えなさい。また、値下げ後の損益分岐点売上高も計算しなさい。

解答・解説を見る
値下げ前の損益分岐点販売量1,200個
値下げ後の損益分岐点販売量1,600個(400個増加)
値下げ後の損益分岐点売上高2,880,000

値下げは1個あたり貢献利益を800円から600円へ直撃するため、損益分岐点販売量は960,000÷800=1,200個から960,000÷600=1,600個へ400個増えます。売上高は1,600個×1,800円=2,880,000です。条件変更型のCVPは「変わるのは貢献利益のどの要素か」を最初に特定するのが手順で、本試験では値下げ後も旧価格2,000円で売上高を計算してしまう、旧貢献利益率40%を使い回してしまうといった更新漏れが典型的な誤りです。

合格演習27-X7 固定費が増加した場合の必要販売量本試験レベル

当社の製品の販売価格は1個あたり¥2,000、1個あたり変動費は¥1,200、固定費は年間¥950,000である。次期に広告宣伝費¥250,000を追加して販売強化を図る計画である。固定費増加後も営業利益¥400,000を達成するために必要な販売量と売上高を計算しなさい。

解答・解説を見る
増加後の固定費1,200,000
必要販売量2,000個
必要売上高4,000,000

広告宣伝費は操業度に関係なく発生するため固定費に加算し、増加後の固定費950,000+250,000=1,200,000と目標利益400,000の合計を1個あたり貢献利益800円で割って2,000個、売上高4,000,000を求めます。固定費の増減は損益分岐点を直接動かすため、CVPでは「価格・変動費は率に、固定費・目標利益は分子に」と整理するのが手順です。本試験では広告費を変動費扱いにして率を変えてしまう誤りが多く、費用の性質(販売量に比例するか)で判定してください。

合格演習27-X8 高低点法による原価の固変分解本試験レベル

当工場の過去6か月の製造間接費の実績のうち、正常な範囲内で操業度が最高であった月は直接作業時間5,000時間・発生額¥3,700,000、最低であった月は3,000時間・¥2,500,000であった。高低点法により、(1)変動費率、(2)月間固定費を推定し、(3)直接作業時間が4,200時間と予想される月の製造間接費発生額を予測しなさい。

解答・解説を見る
変動費率1時間あたり600円
月間固定費700,000
4,200時間の予想発生額3,220,000

変動費率は2点間の傾きとして(3,700,000-2,500,000)÷(5,000時間-3,000時間)=600円と求め、固定費はどちらかの点から変動費を差し引いて3,700,000-600×5,000=700,000とします(最低点で検算:2,500,000-1,800,000=700,000)。予想額は600×4,200+700,000=3,220,000です。本試験では「発生額の最高・最低」ではなく操業度の最高点と最低点を選ぶ決まりで、正常操業圏外のデータが混ぜてある場合は除外させる出題もあるため、点の選び方が最大の引っかけです。

合格演習27-X9 変動費率と貢献利益率の関係標準

当社の当期の売上高は¥6,000,000、変動費は¥3,600,000、固定費は¥1,800,000である。(1)変動費率と貢献利益率、(2)損益分岐点売上高、(3)当期の営業利益を計算しなさい。

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変動費率60%
貢献利益率40%
損益分岐点売上高4,500,000
営業利益600,000

変動費率は3,600,000÷6,000,000=60%で、貢献利益率は100%-60%=40%という補数の関係にあります。損益分岐点売上高は固定費1,800,000÷0.4=4,500,000、営業利益は売上高×貢献利益率-固定費=6,000,000×0.4-1,800,000=600,000です。本試験では変動費率だけを与えて貢献利益率を自分で作らせる形が多く、0.6のまま割ってしまうと損益分岐点が3,000,000という誤答になるため、「1-変動費率」への変換を反射的にできるようにしておきましょう。

第28章本社工場会計例題・演習 13問

工場に独立した帳簿を持たせる場合の処理です。本支店会計とまったく同じ考え方で、「本社」勘定と「工場」勘定が貸借逆で一致します。第4問(1)の仕訳で出題されます。

例題28-1 本社工場会計標準

当社は工場に独立した帳簿を設けている。工場の帳簿には「材料・賃金・製造間接費・仕掛品・製品・本社」の各勘定が設けられている。次の取引について工場の仕訳を示しなさい。

  1. 本社が材料¥900,000を掛けで購入し、工場に送付した。
  2. 工場で材料¥750,000を消費した(直接材料費¥620,000、間接材料費¥130,000)。
  3. 本社が工員の賃金¥1,100,000を当座預金から支払った。
  4. 工場で賃金を消費した(直接労務費¥880,000、間接労務費¥220,000)。
  5. 工場設備の減価償却費¥340,000を計上した(減価償却累計額は本社の帳簿にある)。
  6. 製造間接費¥700,000を仕掛品に配賦した。
  7. 製品¥2,100,000が完成した。
  8. 完成した製品のうち¥1,800,000を本社へ送付した。
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No【工場】借方金額【工場】貸方金額
1材 料900,000本 社900,000
2仕掛品
製造間接費
620,000
130,000
材 料750,000
3賃 金1,100,000本 社1,100,000
4仕掛品
製造間接費
880,000
220,000
賃 金1,100,000
5製造間接費340,000本 社340,000
6仕掛品700,000製造間接費700,000
7製 品2,100,000仕掛品2,100,000
8本 社1,800,000製 品1,800,000
POINT 工場に無い勘定は全部「本社」に置き換える 工場の帳簿には買掛金・当座預金・減価償却累計額がありません。だから1・3・5では、それらの代わりに「本社」勘定を使います。
「工場の帳簿にある勘定はどれか」を最初に確認する——これが本社工場会計の唯一のコツです。問題文に必ず列挙されています。

合格演習 — 本試験レベルの追加7問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習28-1 工場側の材料購入標準

工場会計を独立させている。本社は材料¥700,000を掛けで購入し、工場の倉庫へ直送させた(材料勘定は工場元帳にある)。本社側・工場側の仕訳を示しなさい。

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解答

本社:(借)工場 700,000/(貸)買掛金 700,000
工場:(借)材料 700,000/(貸)本社 700,000

支払い窓口は本社、モノの受入れは工場。工場勘定・本社勘定が本支店会計の支店勘定・本店勘定と同じ役割を果たします。

合格演習28-2 賃金の支払いと消費標準

①本社は工場従業員の賃金¥1,100,000を当座預金から支払った(賃金勘定は工場元帳)。②工場では当月の賃金消費額¥1,150,000を、直接労務費¥1,000,000・間接労務費¥150,000として消費した。工場側の仕訳をそれぞれ示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
① 支払時(本社が立替え)
賃金¥1,100,000本社¥1,100,000
② 消費時
仕掛品¥1,000,000賃金¥1,150,000
製造間接費¥150,000
合計¥1,150,000合計¥1,150,000

①は「本社が払ってくれた」ので貸方が本社勘定。②は通常の賃金消費と同じです。どの勘定が工場元帳にあるかを問題文から丁寧に拾いましょう。

合格演習28-3 製造間接費の配賦基本

工場は、当月の製造間接費¥620,000を仕掛品へ予定配賦した(配賦額¥600,000)。配賦の仕訳(工場側)を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
仕掛品¥600,000製造間接費¥600,000

配賦のしくみは独立前とまったく同じ。工場会計の独立で変わるのは本社・工場間の取引だけです。

合格演習28-4 完成品の本社への送付応用

工場で完成した製品¥1,900,000(製造原価)を本社の倉庫へ発送した(製品勘定は本社元帳にある)。本社側・工場側の仕訳を示しなさい。

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解答

工場:(借)本社 1,900,000/(貸)仕掛品 1,900,000
本社:(借)製品 1,900,000/(貸)工場 1,900,000

製品勘定が本社側にある設定では、工場は仕掛品から直接本社勘定へ振り替えます。勘定の所在で仕訳が変わる、本社工場会計らしい問題です。

合格演習28-5 工場側の減価償却標準

決算にあたり、工場の機械の減価償却費¥240,000を計上する。機械減価償却累計額勘定は本社元帳にある。工場側の仕訳を示しなさい。

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解答(仕訳)

借方貸方
製造間接費¥240,000本社¥240,000

累計額勘定が本社にあるため、工場側の貸方は本社勘定になります。「累計額はどちらの元帳か」が最大の引っかけポイントです。

合格演習28-6 本社側の売上標準

本社は、工場から受け入れた製品(原価¥1,500,000)を¥2,100,000で掛け販売した。本社側の仕訳を示しなさい(売上原価対立法)。

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解答(仕訳)

借方貸方
売掛金¥2,100,000売上¥2,100,000
売上原価¥1,500,000製品¥1,500,000
合計¥3,600,000合計¥3,600,000

販売取引は本社の仕事。売上計上と同時に原価を製品から売上原価へ振り替えます(売上原価対立法)。

合格演習28-7 本社勘定・工場勘定の一致応用

月末現在、本社元帳の工場勘定は借方残高¥3,200,000である。工場元帳の本社勘定はどちら側にいくらの残高となるか。

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解答

貸方残高 ¥3,200,000

工場勘定と本社勘定は鏡写し(照合勘定)。不一致なら未達取引や誤記入を疑います。本支店会計と同じ構造です。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習28-X1 工場元帳制度の一連仕訳(工場側)標準

当社は本社会計から工場会計を独立させており、工場元帳には材料・賃金・製造間接費・仕掛品・製品・本社の各勘定を設けている。次の取引について工場側の仕訳を示しなさい。(1)本社が材料¥800,000を掛けで購入し、工場の倉庫に搬入した。(2)材料を消費した。直接材料費¥600,000、間接材料費¥100,000である。(3)賃金を消費した。直接労務費¥500,000、間接労務費¥120,000である。(4)製造間接費¥400,000を予定配賦した。(5)製品¥1,400,000が完成し、工場の倉庫に保管した。

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No借方科目金額貸方科目金額
1材料800,000本社800,000
2仕掛品
製造間接費
600,000
100,000
材料700,000
3仕掛品
製造間接費
500,000
120,000
賃金620,000
4仕掛品400,000製造間接費400,000
5製品1,400,000仕掛品1,400,000

工場側の仕訳のコツは、工場元帳にない勘定(買掛金など)が必要になったら、すべて「本社」勘定で置き換えることです。(1)は本来なら貸方が買掛金ですが、買掛金勘定は本社の帳簿にあるため本社勘定を使います。(2)以降の製造プロセスの仕訳は通常の工業簿記とまったく同じで、本試験では設定された勘定科目の一覧が必ず与えられるので、その範囲内だけで仕訳を組む練習をしてください。一覧にない科目を書いた時点で誤りです。

合格演習28-X2 工場元帳制度の一連仕訳(本社側)標準

当社は本社会計から工場会計を独立させており、工場元帳には材料・賃金・製造間接費・仕掛品・製品・本社の各勘定を設けている。次の取引について本社側の仕訳を示しなさい。(1)材料¥800,000を掛けで購入し、工場の倉庫に直接搬入させた。(2)工場従業員の賃金¥620,000を現金で支給した。(3)工場の機械装置の減価償却費¥150,000を計上した。減価償却累計額勘定は本社に設けている。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1工場800,000買掛金800,000
2工場620,000現金620,000
3工場150,000機械装置減価償却累計額150,000

本社側では、工場の帳簿に属する勘定(材料・賃金・製造間接費など)が必要になる部分をすべて「工場」勘定で置き換えます。(3)は費用の計上先(製造間接費)が工場元帳にあるため借方が工場、累計額勘定は本社にあるため貸方はそのまま記入します。本社の工場勘定と工場の本社勘定は貸借が逆で必ず一致する照合勘定であり、本試験では同じ取引の「本社側」「工場側」を書き分けさせる形が定番です。どちらの帳簿に何の勘定があるかを問題文の指定から確認する習慣をつけてください。

合格演習28-X3 完成品を本社倉庫へ送付する場合本試験レベル

当社は本社会計から工場会計を独立させており、工場元帳には材料・賃金・製造間接費・仕掛品・本社の各勘定を設けている(製品勘定は本社に設けている)。当月完成した製品(製造原価¥1,200,000)を本社の倉庫へ発送した。(1)工場側、(2)本社側の仕訳をそれぞれ示しなさい。

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No借方科目金額貸方科目金額
1本社1,200,000仕掛品1,200,000
2製品1,200,000工場1,200,000

製品勘定が本社側にあるため、完成品は工場の仕掛品勘定から本社勘定を経由して本社の製品勘定へ渡します。工場側は「本社/仕掛品」、本社側は「製品/工場」で、両者の照合勘定が同額で対応していることを確認してください。前問までのように製品勘定が工場にある設定なら仕訳は「製品/仕掛品」だけで完結するため、勘定の所在ひとつで答えが変わるのがこの論点の核心です。本試験では工場元帳の勘定一覧に製品があるかどうかを最初に確認するのが鉄則です。

合格演習28-X4 本社が材料を購入して工場へ送付する場合本試験レベル

当社は本社会計から工場会計を独立させており、工場元帳には材料・賃金・製造間接費・仕掛品・製品・本社の各勘定を設けている。本社は材料¥500,000を掛けで購入し、引取運賃¥20,000を現金で支払って工場の倉庫へ直送させた。材料の購入原価には引取運賃を含める。(1)工場側、(2)本社側の仕訳をそれぞれ示しなさい。

解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1材料520,000本社520,000
2工場520,000買掛金
現金
500,000
20,000

材料の購入原価は付随費用込みの¥520,000で、材料勘定は工場元帳にあるため工場側が「材料/本社」、本社側は支払手段別に「工場/買掛金・現金」とします。引取運賃を材料原価に含めるのは通常の材料購入と同じ処理で、本社工場会計になっても原価計算のルール自体は変わりません。本試験では運賃¥20,000を本社の費用として処理してしまい、両社の照合勘定が¥500,000と¥520,000で食い違う誤りが典型なので、本社勘定と工場勘定の金額一致を検算に使ってください。

合格演習28-X5 売上原価の計上(製品勘定が本社にある場合)標準

当社は本社会計から工場会計を独立させており、製品勘定と売上原価勘定は本社に設けている。本社は工場から受け入れて倉庫に保管していた製品(製造原価¥1,500,000)を、得意先へ¥2,000,000で掛け販売した。本社側の仕訳を示しなさい(売上の計上と売上原価の計上をあわせて行うこと)。

解答・解説を見る
借方科目金額貸方科目金額
売掛金
売上原価
2,000,000
1,500,000
売上
製品
2,000,000
1,500,000

販売の仕訳は「売掛金/売上」を売価で、「売上原価/製品」を原価で計上する2本立てです。製品も売上原価も本社の帳簿にあるため、この取引で工場側の仕訳は不要(仕訳なし)である点も確認してください。本試験では売価と原価の2つの金額が与えられ、売上原価の行を原価ではなく売価で書いてしまう誤りや、貸方を仕掛品としてしまう誤りが目立ちます。もし製品勘定が工場側にある設定なら、工場を経由する仕訳(売上原価/工場など)に変わることも意識しておきましょう。

第29章製造原価報告書と損益計算書例題・演習 14問

29-1 製造原価報告書(C/R)の様式

図29-1 製造原価報告書 → 損益計算書のつながり
製造原価報告書
Ⅰ 材料費×××
Ⅱ 労務費×××
Ⅲ 経費×××
  当期総製造費用×××
  + 期首仕掛品棚卸高×××
  - 期末仕掛品棚卸高△×××
  = 当期製品製造原価×××
損益計算書
Ⅰ 売上高×××
Ⅱ 売上原価  期首製品棚卸高×××
    + 当期製品製造原価(← C/Rから)×××
    - 期末製品棚卸高△×××
    + 原価差異(不利差異の場合)×××
  売上総利益×××
注意 原価差異は売上原価で調整する 予定配賦を採用している場合、不利差異は売上原価に加算、有利差異は売上原価から減算します。製造原価報告書の中では「製造間接費配賦差異」として加減する形式もあるので、答案用紙の様式に従ってください。
例題29-1 製造原価報告書と損益計算書応用

次の資料により、製造原価報告書の当期製品製造原価と、損益計算書の売上原価・売上総利益を求めなさい。

  • 材料:期首 ¥180,000、当期仕入 ¥2,400,000、期末 ¥210,000(すべて直接材料)
  • 労務費:直接工賃金(当期消費額)¥1,850,000、間接工賃金 ¥420,000
  • 経費:工場減価償却費 ¥560,000、電力料 ¥240,000、外注加工賃 ¥180,000
  • 仕掛品:期首 ¥320,000、期末 ¥410,000
  • 製品:期首 ¥480,000、期末 ¥520,000
  • 売上高 ¥8,500,000
解答・解説を見る
製造原価報告書
区分金額
Ⅰ 材料費 180,000 + 2,400,000 - 210,0002,370,000
Ⅱ 労務費 1,850,000 + 420,0002,270,000
Ⅲ 経 費 560,000 + 240,000 + 180,000980,000
  当期総製造費用5,620,000
  + 期首仕掛品棚卸高320,000
  - 期末仕掛品棚卸高△410,000
当期製品製造原価5,530,000
損益計算書
区分金額
Ⅰ 売上高8,500,000
Ⅱ 売上原価 期首製品棚卸高480,000
    + 当期製品製造原価5,530,000
    - 期末製品棚卸高△520,000
売上原価5,490,000
売上総利益3,010,000
暗記 3つの「期首+当期-期末」 材料:期首材料+当期仕入-期末材料=材料費
仕掛品:期首仕掛+当期総製造費用-期末仕掛=当期製品製造原価
製品:期首製品+当期製品製造原価-期末製品=売上原価
同じ形が3回出てくるだけです。勘定連絡図(図17-3)を思い出してください。
工業簿記 総まとめ ― 本試験での立ち回り
  1. 第4問(1):勘定連絡図のどこかを1つ切り取った仕訳。直接費→仕掛品、間接費→製造間接費の振り分けだけ。12点を確実に。
  2. 第4問(2):総合原価計算が最頻出。ボックス図 → 月末仕掛品 → 差額で完成品の3手順。
  3. 第5問:標準原価計算の差異分析か、直接原価計算・CVP分析。どちらも公式暗記だけで解けるので、両方とも仕上げておく。

工業簿記は「手を動かした回数」がそのまま点数になる分野です。同じ問題を3回ずつ解いてください。

合格演習 — 本試験レベルの追加7問

例題・確認問題の総仕上げです。すべてこのテキストのための書き下ろし問題です(解けたらチェック)。

合格演習29-1 材料費の計算標準

当期の資料:期首材料棚卸高¥300,000、当期材料仕入高¥2,500,000、期末材料棚卸高¥350,000。製造原価報告書に記載される当期材料費を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

¥2,450,000

材料費=期首+仕入−期末。商業簿記の売上原価と同じボックス計算です。

合格演習29-2 当期総製造費用標準

当期材料費¥2,450,000、当期労務費¥1,900,000、当期経費¥1,150,000のとき、当期総製造費用を求めなさい。

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解答

¥5,500,000

3要素の当期消費額の合計。製造原価報告書の中段の小計にあたります。

合格演習29-3 当期製品製造原価標準

当期総製造費用¥5,500,000、期首仕掛品棚卸高¥600,000、期末仕掛品棚卸高¥720,000のとき、当期製品製造原価を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

¥5,380,000

仕掛品のボックスを通過させます。この金額が損益計算書の売上原価の内訳(当期製品製造原価)へつながります。

合格演習29-4 損益計算書の売上原価応用

当期製品製造原価¥5,380,000、期首製品棚卸高¥800,000、期末製品棚卸高¥750,000、原価差異は不利差異¥30,000(売上原価に賦課)であった。損益計算書の売上原価を求めなさい。

解答・解説を見る

解答

¥5,460,000

製品ボックスで5,430,000を計算し、不利差異を加算。有利差異なら減算です。差異の符号処理が最後の関門になります。

合格演習29-5 製造間接費の表示(予定配賦)応用

製造間接費を予定配賦している場合、製造原価報告書では実際発生額を記載したあと、どのような調整項目を用いて予定配賦額に修正するか。

解答・解説を見る

解答

製造間接費配賦差異を加算または減算して修正する。

報告書は実際発生額ベースで積み上げ→末尾で差異を調整して当期総製造費用を予定配賦ベースに直します。表示の流れを様式で確認しておきましょう。

合格演習29-6 C/RとP/Lの接続標準

製造原価報告書(C/R)の最終値「当期製品製造原価」は、損益計算書(P/L)のどの区分のどの行に転記されるか。

解答・解説を見る

解答

売上原価の区分の「当期製品製造原価」の行(期首製品棚卸高に加算される)。

C/R→P/L→(貸借対照表の製品・仕掛品・材料)という財務諸表の連携を一枚の図として頭に入れておくと、第4問の様式問題に強くなります。

合格演習29-7 勘定と報告書の対応応用

製造原価報告書の「当期総製造費用」「当期製品製造原価」は、それぞれ仕掛品勘定のどの部分と対応するか。

解答・解説を見る

解答

当期総製造費用=仕掛品勘定の借方の当期投入合計/当期製品製造原価=仕掛品勘定の貸方の製品勘定への振替額

報告書は仕掛品勘定を縦書きにした「読み物」です。勘定との対応がわかれば、様式の穴埋めは怖くありません。

合格演習プラス ― 本試験レベル追加演習

合格演習29-X1 製造原価報告書の作成(形態別分類)標準

次の資料にもとづき、材料費・労務費・経費の形態別に区分する様式により製造原価報告書を作成し、当期総製造費用と当期製品製造原価を計算しなさい。期首素材棚卸高¥200,000、当期素材仕入高¥1,500,000、期末素材棚卸高¥300,000、補助材料費(当期消費額)¥100,000、直接工賃金¥1,000,000、間接工賃金¥300,000、減価償却費¥400,000、水道光熱費¥200,000、期首仕掛品棚卸高¥300,000、期末仕掛品棚卸高¥400,000。

解答・解説を見る
材料費1,500,000(素材費1,400,000+補助材料費100,000)
労務費1,300,000(直接工1,000,000+間接工300,000)
経費600,000(減価償却費400,000+水道光熱費200,000)
当期総製造費用3,400,000
当期製品製造原価3,300,000

素材費は「期首+仕入-期末」の消費額1,400,000で計上するのが第一の手順で、仕入高1,500,000をそのまま使ってはいけません。材料費・労務費・経費を合計した当期総製造費用3,400,000に期首仕掛品300,000を足し、期末仕掛品400,000を引いて当期製品製造原価3,300,000とします。この末尾の加減は仕掛品勘定の「月初+当期投入=完成+月末」と同じ構造で、本試験第4問では期首・期末仕掛品の加減の向きを逆にする誤りが最も多い失点源です。

合格演習29-X2 製造直接費と製造間接費で区分する様式標準

次の資料にもとづき、製造直接費と製造間接費に区分する様式により製造原価報告書を作成し、当期総製造費用と当期製品製造原価を計算しなさい。直接材料費¥1,400,000、直接労務費¥1,000,000、直接経費(外注加工賃)¥100,000、間接材料費¥100,000、間接労務費¥300,000、間接経費¥500,000、期首仕掛品棚卸高¥250,000、期末仕掛品棚卸高¥350,000。

解答・解説を見る
製造直接費2,500,000(直材1,400,000+直労1,000,000+直接経費100,000)
製造間接費900,000(間材100,000+間労300,000+間接経費500,000)
当期総製造費用3,400,000
当期製品製造原価3,300,000

この様式では、直接費(直接材料費・直接労務費・直接経費)を先に並べ、間接費は間接材料費・間接労務費・間接経費をまとめて「製造間接費」として一括表示します。合計の当期総製造費用3,400,000以降の計算(期首仕掛品を加え期末仕掛品を引く)は形態別様式と同じです。本試験では形態別様式との読み替え(材料費=直材+間材のように、縦の区切り方が違うだけで合計は同じ)を問う出題があり、外注加工賃を間接経費に含めてしまう誤りが典型なので、直接経費であることを押さえてください。

合格演習29-X3 製造間接費配賦差異がある場合の表示本試験レベル

当社は製造間接費を予定配賦している。次の資料にもとづき、製造原価報告書の当期総製造費用と当期製品製造原価を計算し、製造間接費配賦差異の製造原価報告書および損益計算書における取扱いを答えなさい。直接材料費¥1,200,000、直接労務費¥900,000、製造間接費実際発生額¥950,000、製造間接費予定配賦額¥900,000、期首仕掛品棚卸高¥200,000、期末仕掛品棚卸高¥300,000。

解答・解説を見る
製造間接費配賦差異50,000(不利差異・借方差異)
当期総製造費用3,000,000(予定配賦額900,000で計算)
当期製品製造原価2,900,000
損益計算書での取扱い売上原価に配賦差異50,000を加算

製造原価報告書では経費の中に実際発生額950,000がいったん集計されるため、末尾で「製造間接費配賦差異△50,000」を減算して予定配賦額900,000ベースに修正し、当期総製造費用を3,000,000とします。仕掛品勘定に流れるのはあくまで予定配賦額だからです。損益計算書側では、不利差異50,000を売上原価に加算して実際額へ戻します。本試験第4問の定番で、報告書で減算・損益計算書で加算という「逆向きの調整のペア」を丸ごと問われるため、有利差異なら両方の符号が反対になることまで整理しておきましょう。

合格演習29-X4 当期総製造費用と当期製品製造原価の区別標準

次の資料にもとづき、(1)当期総製造費用、(2)当期製品製造原価、(3)売上原価を計算しなさい。当期の材料費¥1,600,000、労務費¥1,400,000、経費¥800,000、期首仕掛品棚卸高¥500,000、期末仕掛品棚卸高¥600,000、期首製品棚卸高¥400,000、期末製品棚卸高¥300,000。

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当期総製造費用3,800,000
当期製品製造原価3,700,000
売上原価3,800,000

当期総製造費用は当期に投入した原価の合計3,800,000、当期製品製造原価はそれを仕掛品の増減で調整した完成品の原価3,700,000、売上原価はさらに製品の増減で調整した販売分の原価3,800,000で、三つは「投入→完成→販売」と段階が異なります。計算は仕掛品のボックス(+期首500,000-期末600,000)、製品のボックス(+期首400,000-期末300,000)を順に通すだけです。本試験では用語だけで金額を選ばせる形も多く、名前が似ているため取り違えやすいこと、本問のように偶然金額が一致する場合もあることから、必ず段階をたどって計算してください。

合格演習29-X5 損益計算書との接続(売上原価の内訳)本試験レベル

次の資料にもとづき、損益計算書の売上原価の区分を作成し、売上原価と売上総利益を計算しなさい。売上高¥6,000,000、期首製品棚卸高¥500,000、当期製品製造原価¥3,700,000、期末製品棚卸高¥400,000、原価差異¥30,000(借方差異であり、売上原価に賦課する)。

解答・解説を見る
期首製品棚卸高500,000
当期製品製造原価3,700,000
期末製品棚卸高400,000
差引3,800,000
原価差異(加算)30,000
売上原価3,830,000
売上総利益2,170,000

工業簿記の損益計算書では、売上原価の内訳を「期首製品+当期製品製造原価-期末製品」と段階表示し、製造原価報告書の末尾の金額(当期製品製造原価3,700,000)がそのまま2行目に接続します。差引3,800,000に借方差異30,000を加算した3,830,000が売上原価で、売上総利益は2,170,000です。商業簿記の「当期商品仕入高」の位置に当期製品製造原価が入るという対応関係を押さえるのが理解の近道で、本試験では原価差異の加算を忘れる・貸方差異なのに加算してしまうという誤りが頻出です。

合格演習29-X6 勘定の金額推定本試験レベル

当期の仕掛品勘定と製品勘定に関する資料は次のとおりである。仕掛品勘定:期首有高¥350,000、直接材料費¥1,300,000、直接労務費¥1,100,000、製造間接費¥900,000、期末有高¥450,000。製品勘定:期首有高¥600,000、期末有高¥550,000。仕掛品勘定から製品勘定へ振り替えられた当期製品製造原価と、製品勘定から損益計算書へ計上される売上原価を推定しなさい。

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当期製品製造原価3,200,000
売上原価3,250,000

仕掛品勘定の借方合計(期首350,000+当期総製造費用3,300,000=3,650,000)から期末450,000を差し引くと、貸方の完成品への振替額3,200,000が求まります。この金額を製品勘定の借方に受け入れ、同じく「期首600,000+受入3,200,000-期末550,000」で売上原価3,250,000を導きます。勘定の貸借差額で未知の金額を推定させるのは第4問の頻出形式で、二つの勘定がリレーでつながっている(仕掛品の貸方=製品の借方)ことを使うのが手順です。期末有高を足してしまう貸借の混乱が典型的な誤りなので、必ずT字勘定を書いて位置で判断してください。

直前対策仕訳トレーニング150・最終チェック

本試験の第1問(仕訳・20点)と第4問(1)(工業簿記の仕訳・12点)は、合わせて30点超を占める最大の得点源です。ここでは商業・工業の頻出仕訳を15テーマ×10問=150問に凝縮しました。1問30秒、1日1ラウンドを目安に、本試験までに全問「○」にできれば仕訳問題はほぼ完成です。

仕訳トレーニング150 — 1日1ラウンド10問全150問
Q1商品¥480,000をクレジット払いの条件で販売した。信販会社への手数料(販売代金の2%)は販売時に計上する。

解答

借方貸方
クレジット売掛金¥470,400売上¥480,000
支払手数料¥9,600
合計¥480,000合計¥480,000
手数料を差し引いた残額がクレジット売掛金。480,000×2%=9,600
Q2商品¥300,000を販売し、代金は注文時に受け取っていた手付金¥60,000を充当し、残額は掛けとした。

解答

借方貸方
前受金¥60,000売上¥300,000
売掛金¥240,000
合計¥300,000合計¥300,000
手付金は前受金(負債)→売上計上時に充当する
Q3得意先に商品¥750,000を掛け販売し、当社負担の発送運賃¥8,000を現金で支払った。

解答

借方貸方
売掛金¥750,000売上¥750,000
発送費¥8,000現金¥8,000
合計¥758,000合計¥758,000
当社負担の運賃は発送費(費用)。先方負担なら売掛金に含める処理もある
Q41年分の保守サービス契約料¥240,000を現金で受け取り、契約負債として処理していた。決算日までに8か月分のサービス提供が完了した。

解答

借方貸方
契約負債¥160,000役務収益¥160,000
サービス業の収益は提供が完了した分だけ計上。240,000×8/12
Q5当月の売上高¥2,000,000について、得意先との契約にもとづき2%のリベート(売上割戻)の支払いが見込まれるため、この分を売上から控除する(代金は掛け)。

解答

借方貸方
売掛金¥2,000,000売上¥1,960,000
返金負債¥40,000
合計¥2,000,000合計¥2,000,000
割戻見込額は売上に含めず返金負債(負債)として計上する
Q6商品¥520,000を仕入れ、代金のうち¥120,000は注文時に支払った手付金を充当し、残額は約束手形を振り出して支払った。

解答

借方貸方
仕入¥520,000前払金¥120,000
支払手形¥400,000
合計¥520,000合計¥520,000
手付金は前払金(資産)。仕入時に充当する
Q7販売用の中古車を取り扱う当社(車両販売業)は、販売目的の中古車¥900,000を掛けで購入した。

解答

借方貸方
仕入¥900,000買掛金¥900,000
販売目的なら車両でも「商品(仕入)」。業種で科目が変わる定番ひっかけ
Q8商品(原価¥140,000)を¥200,000で掛け販売した。当社は商品売買について、販売のつど売上原価勘定に振り替える方法(売上原価対立法)で記帳している。

解答

借方貸方
売掛金¥200,000売上¥200,000
売上原価の振替え
売上原価¥140,000商品¥140,000
売上原価対立法=販売と同時に商品→売上原価へ振替え。決算整理(しーくり)は不要になる
Q9建築業を営む当社は、受注した工事の外注費¥350,000を小切手を振り出して支払い、役務原価として処理した。

解答

借方貸方
役務原価¥350,000当座預金¥350,000
サービス提供のための直接的な費用は役務原価
Q10商品を¥660,000(税込・消費税率10%)で掛け販売した(税抜方式)。

解答

借方貸方
売掛金¥660,000売上¥600,000
仮受消費税¥60,000
合計¥660,000合計¥660,000
税込660,000÷1.1=600,000が売上。消費税は仮受消費税へ

試験当日の時間配分と解く順序

順序大問内容配点目標時間目標得点
1第1問仕訳 5題20点10分16点〜
2第4問工業簿記(仕訳+計算)28点20分24点〜
3第5問標準原価計算・CVPなど12点10分10点〜
4第2問連結・株主資本等・個別論点20点20分10点〜
5第3問決算(財務諸表・精算表)20点25分14点〜
合計(見直し5分を残す)100点85分74点〜
POINT 「取りやすい順」に解く

得点源の工業簿記(第4・5問=40点)を先に確保し、重量級の第2・3問は「取れる小問だけ確実に拾う」のが2級攻略の定石です。第2問が難しい回でも、他の大問で十分に70点へ届きます。

直前チェックリスト30

試験前日〜当日朝に最終確認したい30項目です。チェックはこの端末に保存されます。

第30章本試験形式 模擬試験 第1回例題・演習 6問

受験の心得 必ず90分を計って、通しで解いてください。電卓と白紙2枚だけを用意します。解答順は第1問 → 第4問 → 第5問 → 第2問 → 第3問。時間配分は 15分 → 20分 → 10分 → 20分 → 25分(見直し不要)を目安に。
途中で解答を見ないこと。90分経ったら手を止め、そこまでの答案で採点してください。

第1問(20点)仕訳問題

次の各取引について仕訳しなさい(各4点)標準
  1. 札幌商事に商品300個を1個あたり¥900で掛け販売した。同社との間には、当期中に商品を合計500個以上購入した場合に販売額の8%をリベートとして支払う取決めがあり、条件達成の可能性は高いと判断した。
  2. 備品(取得原価¥1,800,000、期首減価償却累計額¥1,050,000、耐用年数8年、残存価額ゼロ、定額法、間接法、決算日3月31日)をX9年6月30日に¥620,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることとした。
  3. X5年4月1日に締結したファイナンス・リース契約(年間リース料¥840,000、リース期間5年、見積現金購入価額¥3,780,000、利子抜き法・定額法により利息を配分)について、X6年3月31日に年間リース料を当座預金から支払った。
  4. 決算にあたり、その他有価証券として保有する株式(取得原価¥2,400,000、期末時価¥2,180,000)を評価替えする。法定実効税率30%として税効果会計を適用する。
  5. 株主総会において、繰越利益剰余金を財源として株主配当金¥5,000,000および会社法が規定する額の利益準備金の積立てが決議された。なお、決議時点の資本金は¥60,000,000、資本準備金は¥8,000,000、利益準備金は¥6,600,000である。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売掛金270,000売 上
返金負債
248,400
21,600
2減価償却累計額
減価償却費
未収入金
固定資産売却損
1,050,000
56,250
620,000
73,750
備 品1,800,000
3リース債務
支払利息
756,000
84,000
当座預金840,000
4繰延税金資産
その他有価証券評価差額金
66,000
154,000
その他有価証券220,000
5繰越利益剰余金5,400,000未払配当金
利益準備金
5,000,000
400,000
計算の内訳
  • 1:300個×@900=270,000。リベート 270,000×8%=21,600 → 売上 248,400。
  • 2:年償却額=1,800,000÷8年=225,000。4/1〜6/30の3か月=225,000×3/12=56,250。帳簿価額=1,800,000-1,050,000-56,250=693,750 → 売却価額620,000との差=固定資産売却損 73,750
  • 3:利息総額=840,000×5年-3,780,000=420,000 → 年84,000。元本返済=840,000-84,000=756,000。
  • 4:評価損220,000 → 繰延税金資産 220,000×30%=66,000、評価差額金 154,000(借方)。
  • 5:① 5,000,000×1/10=500,000 ② 60,000,000×1/4-(8,000,000+6,600,000)=15,000,000-14,600,000=400,000 → 小さいほうの400,000

第2問(20点)連結精算表

連結第2年度の連結財務諸表応用

P社は X6年3月31日にS社の発行済株式の70%を¥3,500,000で取得し、支配を獲得した。次の資料により、連結第2年度(X7年4月1日〜X8年3月31日)の連結財務諸表に計上される金額を答えなさい。のれんは10年で定額償却する。

  • 支配獲得日のS社純資産:資本金¥3,000,000、資本剰余金¥500,000、利益剰余金¥1,000,000
  • 連結第1年度:S社当期純利益¥500,000、S社配当¥150,000
  • 連結第2年度:S社当期純利益¥620,000、S社配当¥200,000
  • 当期、P社はS社に商品¥2,000,000を販売(ダウンストリーム、売上総利益率25%)
  • 期末のP社売掛金のうち¥600,000はS社に対するもの。P社は売掛金に2%の貸倒引当金を設定している(期首の内部売掛金はなかった)
  • S社の期末商品のうち¥480,000はP社から仕入れたもの(期首にP社仕入分はなかった)
  • 単純合算額:売上高¥58,000,000、売上原価¥41,000,000、貸倒引当金繰入¥94,000、受取配当金¥380,000、商品¥5,200,000、売掛金¥9,400,000、買掛金¥6,100,000、貸倒引当金¥188,000

 (1)開始仕訳 (2)当期の連結修正仕訳 (3)連結損益計算書・連結貸借対照表の各金額

解答・解説を見る
Step1 タイムテーブル
 X6/3/31
支配獲得日
X7/3/31
第1年度末
X8/3/31
第2年度末
資本金3,000,0003,000,0003,000,000
資本剰余金500,000500,000500,000
利益剰余金1,000,0001,350,0001,770,000
S社資本合計4,500,0004,850,0005,270,000
非支配株主持分 30%1,350,0001,455,0001,581,000
のれん350,000315,000280,000

のれん=3,500,000 -(4,500,000×70%=3,150,000)=350,000/償却=350,000÷10年=35,000
第1年度末の非支配株主持分=1,350,000+(500,000×30%=150,000)-(150,000×30%=45,000)=1,455,000

(1) 開始仕訳
借方科目金額貸方科目金額
資本金当期首残高
資本剰余金当期首残高
利益剰余金当期首残高
のれん
3,000,000
500,000
1,140,000
315,000
S社株式
非支配株主持分当期首残高
3,500,000
1,455,000

利益剰余金当期首残高は貸借差額で求めるのが最速:(3,500,000+1,455,000)-(3,000,000+500,000+315,000)=1,140,000
内訳の検算:支配獲得日1,000,000 + 前期修正の影響〔のれん償却35,000+非支配株主帰属利益150,000+受取配当金消去105,000-配当取消150,000=140,000〕=1,140,000 ✔

(2) 当期の連結修正仕訳
 借方科目金額貸方科目金額
のれん償却35,000のれん35,000
非支配株主に帰属する当期純利益186,000非支配株主持分186,000
受取配当金
非支配株主持分
140,000
60,000
剰余金の配当200,000
売上高2,000,000売上原価2,000,000
買掛金600,000売掛金600,000
貸倒引当金12,000貸倒引当金繰入12,000
売上原価120,000商 品120,000

② 620,000×30%=186,000/③ 200,000×70%=140,000・×30%=60,000/⑥ 600,000×2%=12,000/⑦ 480,000×25%=120,000

(3) 連結財務諸表の金額
項目計算金額
売上高58,000,000 - 2,000,00056,000,000
売上原価41,000,000 - 2,000,000 + 120,00039,120,000
貸倒引当金繰入94,000 - 12,00082,000
受取配当金380,000 - 140,000240,000
のれん償却35,000
非支配株主に帰属する当期純利益186,000
商品5,200,000 - 120,0005,080,000
売掛金9,400,000 - 600,0008,800,000
買掛金6,100,000 - 600,0005,500,000
貸倒引当金188,000 - 12,000176,000
のれん315,000 - 35,000280,000
非支配株主持分1,455,000 + 186,000 - 60,0001,581,000

第3問(20点)損益計算書の作成

決算整理と損益計算書応用

次の決算整理前残高試算表(一部)と決算整理事項により、損益計算書の各金額を答えなさい。会計期間はX7年4月1日〜X8年3月31日、法定実効税率30%。

借方金額貸方金額
繰越商品1,150,000貸倒引当金46,000
売掛金4,200,000備品減価償却累計額1,440,000
受取手形1,800,000売上42,600,000
備品3,600,000受取手数料360,000
のれん640,000  
仕入28,900,000  
給料6,200,000  
広告宣伝費840,000  
支払利息120,000  
仮払法人税等700,000  

決算整理事項

  1. 期末商品:帳簿棚卸高¥1,280,000、実地棚卸高¥1,240,000、正味売却価額による評価額¥1,205,000。棚卸減耗損・商品評価損はともに売上原価に算入する。
  2. 売掛金・受取手形の期末残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。
  3. 備品は200%定率法(耐用年数5年)により減価償却する。
  4. のれんは取得後4年目である。取得時の金額は¥1,000,000で、10年で均等償却している。
  5. 受取手数料のうち¥90,000は翌期分である。
  6. 広告宣伝費の未払分¥70,000を計上する。
  7. 法人税、住民税及び事業税を¥1,780,000計上する。
  8. 税効果会計を適用する。期首の繰延税金資産は¥96,000、期末に必要な繰延税金資産は¥138,000である。
解答・解説を見る
Step1 決算整理の計算
項目計算金額
棚卸減耗損1,280,000 - 1,240,00040,000
商品評価損1,240,000 - 1,205,00035,000
売上原価1,150,000 + 28,900,000 - 1,280,000 + 40,000 + 35,00028,845,000
貸倒引当金繰入(4,200,000+1,800,000)×2% - 46,00074,000
減価償却費償却率=1/5×200%=0.4/期首帳簿価額=3,600,000-1,440,000=2,160,000
2,160,000 × 0.4
864,000
のれん償却1,000,000 ÷ 10年100,000
受取手数料360,000 - 90,000270,000
広告宣伝費840,000 + 70,000910,000
法人税等調整額138,000 - 96,00042,000(貸方)
Step2 損益計算書
区分金額
Ⅰ 売上高42,600,000
Ⅱ 売上原価28,845,000
売上総利益13,755,000
Ⅲ 販売費及び一般管理費
 給料 6,200,000 + 広告宣伝費 910,000 + 貸倒引当金繰入 74,000
 + 減価償却費 864,000 + のれん償却 100,000
8,148,000
営業利益5,607,000
Ⅳ 営業外収益 受取手数料270,000
Ⅴ 営業外費用 支払利息120,000
経常利益 = 税引前当期純利益5,757,000
 法人税、住民税及び事業税1,780,000
 法人税等調整額△42,000
当期純利益4,019,000
つまずきやすい2点
  • 3:定率法は取得原価ではなく期首帳簿価額(3,600,000-1,440,000=2,160,000)に償却率を掛けます。
  • 4:のれん償却は残高640,000÷残存年数ではなく、取得時の1,000,000÷10年。「均等償却」なので毎期同額です。

第4問(28点)工業簿記

(1) 仕訳問題(12点・各4点)標準

当社は工場に独立した帳簿を設けている。工場の帳簿には「材料・賃金・製造間接費・仕掛品・製品・本社」の勘定がある。次の取引について工場の仕訳を示しなさい。

  1. 本社が素材¥1,700,000と工場消耗品¥130,000を掛けで購入し、工場に送付した。
  2. 直接工の作業時間は直接作業1,500時間、間接作業180時間であった。予定賃率は@¥1,250である。
  3. 工場設備の減価償却費の当月分¥580,000を計上した(減価償却累計額は本社の帳簿にある)。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1材 料1,830,000本 社1,830,000
2仕掛品
製造間接費
1,875,000
225,000
賃 金2,100,000
3製造間接費580,000本 社580,000

2:直接 1,500h×1,250=1,875,000/間接 180h×1,250=225,000。工場に買掛金・減価償却累計額の勘定がないので「本社」で受けるのがポイントです。

(2) 総合原価計算(16点)応用

当社は単純総合原価計算を採用している。次の資料により、月末仕掛品原価と完成品原価および完成品単位原価を求めなさい。平均法による。材料は工程の始点で投入し、正常仕損は工程の終点で発生している(仕損品に評価額はない)。

生産データ数量原価データ直接材料費加工費
月初仕掛品(進捗度40%)250個月初仕掛品原価137,50062,000
当月投入1,350個当月製造費用742,500895,000
合計1,600個   
正常仕損(終点)100個   
月末仕掛品(進捗度60%)300個   
完成品1,200個   
解答・解説を見る
Step1 完成品のみ負担 → 仕損を計算に含めたまま
 数量(材料費)換算量(加工費)
完成品1,200個1,200個
正常仕損(終点=100%)100個100個
月末仕掛品300個300 × 60% = 180個
合計(平均法の分母)1,600個1,480個
Step2 月末仕掛品原価
 直接材料費加工費
合計原価137,500 + 742,500 = 880,00062,000 + 895,000 = 957,000
月末仕掛品880,000 × 300/1,600 = 165,000957,000 × 180/1,480 = 116,392

月末仕掛品原価 = 165,000 + 116,392 = ¥281,392

Step3 完成品原価(差額)と単位原価
  • 投入原価合計 = 880,000 + 957,000 = ¥1,837,000
  • 完成品原価 = 1,837,000 - 281,392 = ¥1,555,608
  • 完成品単位原価 = 1,555,608 ÷ 1,200個 = @¥1,296.34(円未満四捨五入で@¥1,296)
注意完成品のみ負担なので仕損100個の原価はすべて完成品に含まれます。したがって単位原価は「完成品原価 ÷ 完成品1,200個」で計算します(1,300個で割らないこと)。

第5問(12点)標準原価計算

原価差異の分析応用

当社は標準原価計算を採用している。次の資料により、直接材料費差異・直接労務費差異・製造間接費差異を分析しなさい(製造間接費は3分法、能率差異は標準配賦率で計算する)。

標準原価カード(製品1個あたり)
直接材料費@¥250 × 6kg1,500
直接労務費@¥1,000 × 3時間3,000
製造間接費@¥800 × 3時間2,400
合計6,900
  • 当月完成品 800個、月初仕掛品なし、月末仕掛品 200個(加工進捗度50%)。材料は始点投入。
  • 実際直接材料費:実際消費量 6,100kg、実際単価 @¥260
  • 実際直接労務費:実際直接作業時間 2,750時間、実際賃率 @¥1,020
  • 製造間接費:実際発生額 ¥2,280,000/変動費率 @¥300、固定費率 @¥500/月間基準操業度 3,000時間、月間固定費予算 ¥1,500,000
解答・解説を見る
Step1 標準消費量(当月投入基準)
 数量(材料)換算量(加工)
完成品800個800個
月末仕掛品200個200 × 50% = 100個
当月投入1,000個900個
  • 標準材料消費量 = 1,000個 × 6kg = 6,000kg
  • 標準直接作業時間 = 900個 × 3時間 = 2,700時間
Step2 差異分析
差異計算金額
直接材料費 総差異@250×6,000 - @260×6,100 = 1,500,000 - 1,586,000△86,000(不利)
 価格差異(250 - 260) × 6,100kg△61,000(不利)
 数量差異250 × (6,000 - 6,100)kg△25,000(不利)
直接労務費 総差異@1,000×2,700 - @1,020×2,750 = 2,700,000 - 2,805,000△105,000(不利)
 賃率差異(1,000 - 1,020) × 2,750時間△55,000(不利)
 時間差異1,000 × (2,700 - 2,750)時間△50,000(不利)
製造間接費 総差異@800×2,700 - 2,280,000 = 2,160,000 - 2,280,000△120,000(不利)
 予算差異(@300×2,750 + 1,500,000) - 2,280,000 = 2,325,000 - 2,280,000+45,000(有利)
 能率差異@800 × (2,700 - 2,750)時間△40,000(不利)
 操業度差異@500 × (2,750 - 3,000)時間△125,000(不利)
原価差異合計△86,000 △105,000 △120,000△311,000

検算:製造間接費 +45,000 △40,000 △125,000 = △120,000 ✔

この問題の配点イメージ 6つの差異×2点=12点。価格差異・数量差異・賃率差異・時間差異の4つは公式に当てはめるだけなので、ここだけで8点は確実に取れます。操業度差異の「実際 - 基準」を逆にしないことだけ注意してください。

模擬試験 第1回 自己採点と復習ガイド

大問配点復習すべき章
第1問20点第2章(返金負債)・第5章(期中売却)・第6章(リース)・第8章(その他有価証券)・第11章(利益準備金)
第2問20点第16章(連結会計)
第3問20点第2章(棚卸減耗)・第5章(定率法)・第7章(のれん)・第9章(貸倒引当金)・第12〜13章
第4問28点第19章(予定賃率)・第24章(総合原価計算)・第28章(本社工場)
第5問12点第26章(標準原価計算)
点数別・次にやるべきこと
得点次の一手
70点以上合格ライン。間違えた大問の章だけを復習し、あとは第1問の仕訳を毎日10問解いて維持する
55〜69点あと一歩。工業簿記(第4問・第5問)で40点満点を取りにいくのが最短ルート。第17〜29章を通しでもう1周
40〜54点第1問の仕訳と工業簿記に集中。第2問・第3問は後回しでよい。仕訳が固まれば自然に伸びる
40点未満まだテキストの理解が不足。第1章〜第9章と第17章〜第21章を、例題を紙に書きながらもう一度
本試験前日・当日のチェックリスト
  • 前日:新しい問題を解かない。間違えた問題の解き直しだけ。電卓の電池を確認。
  • 当日の持ち物:受験票、身分証明書、電卓(関数電卓・音の出るものは不可)、筆記用具、時計。
  • 試験開始直後:まず全体をめくって第2問・第3問が何の論点かだけ確認する(10秒)。そのうえで第1問から解き始める。
  • 時間が来たら:第3問の当期純利益は空欄でも構いません。埋まっている欄の正確さのほうが点になります。
最後に 簿記2級はセンスの試験ではなく、反復の試験です。ここまでの30章を1周した段階では、まだ半分も解けなくて当たり前。同じ問題を3回解いたとき、ようやく本試験で戦える速度になります。
このテキストは何度でも戻ってこられる場所です。続けて模擬試験 第2回・第3回も用意してあります。合格まで、ぜひ使い倒してください。

第31章本試験形式 模擬試験 第2回例題・演習 6問

第1回とは別の論点で構成しています 第2回は第2問=株主資本等変動計算書、第3問=貸借対照表の作成、第4問(2)=部門別個別原価計算、第5問=直接原価計算とCVP分析。第1回と組み合わせることで、本試験で出るパターンをほぼ網羅できます。必ず90分を計って通しで解いてください。

第1問(20点)仕訳問題

次の各取引について仕訳しなさい(各4点)標準
  1. 当社は函館物産と、商品X(¥400,000)と商品Y(¥600,000)を販売する契約を締結し、本日、商品Xを引き渡した。代金は商品Yを引き渡した後にまとめて請求する契約であり、商品Xの代金についてはまだ顧客との契約から生じた債権となっていない。なお、商品Xの引渡しと商品Yの引渡しは、それぞれ独立した履行義務として識別する。
  2. かねて建設中であった倉庫が完成し、引渡しを受けた。請負金額は¥24,000,000であり、うち¥15,000,000はすでに支払って建設仮勘定に計上されている。残額は3か月後に支払うこととした。また、この倉庫の取得にあたり受け取っていた国庫補助金¥4,000,000について、直接減額方式による圧縮記帳を行う。
  3. かねて割り引いていた約束手形¥750,000が満期日に不渡りとなり、銀行より償還請求を受けたので、額面金額に延滞利息¥12,000と償還請求費用¥8,000を加えた金額を小切手を振り出して支払った。
  4. 米国の得意先に対する売掛金 $8,000(取引時の直物為替相場は1ドル¥142)について、決済日を期日とする為替予約を行った。予約時の先物為替相場は1ドル¥138である。振当処理による。
  5. 当社は室蘭商会を吸収合併し、諸資産(時価¥18,000,000)と諸負債(時価¥11,500,000)を引き継いだ。対価として当社の株式2,000株(時価@¥4,000)を交付し、会社法が規定する最低額を資本金とし、残額は資本準備金とした。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1契約資産400,000売 上400,000
2建 物
固定資産圧縮損
24,000,000
4,000,000
建設仮勘定
未払金
建 物
15,000,000
9,000,000
4,000,000
3不渡手形770,000当座預金770,000
4為替差損益32,000売掛金32,000
5諸資産
のれん
18,000,000
1,500,000
諸負債
資本金
資本準備金
11,500,000
4,000,000
4,000,000
解説
  • 1:「まだ顧客との契約から生じた債権となっていない」=契約資産を使うサイン。売掛金にすると不正解です。
  • 2:完成引渡しで建設仮勘定を建物へ振り替え、続けて圧縮記帳。建物が借方と貸方に1回ずつ出る形になります(2つの仕訳を1つにまとめた形)。未払金=24,000,000-15,000,000=9,000,000。
    ※借方の建物を相殺して「建物20,000,000/建設仮勘定15,000,000・未払金9,000,000」+「固定資産圧縮損4,000,000/建物4,000,000」と2行に分けて示す形でも正解です。
  • 3:750,000+12,000+8,000=770,000。延滞利息も償還請求費用も相手に請求できるので、支払利息や手数料ではなく全額を不渡手形とします。
  • 4:予約レートによる金額=$8,000×138=1,104,000。帳簿の$8,000×142=1,136,000より32,000少ない → 売掛金を減らし為替差損32,000。以後、決算日レートで換算替えはしません。
  • 5:対価=2,000株×4,000=8,000,000。受入純資産=18,000,000-11,500,000=6,500,000 → のれん1,500,000。資本金は8,000,000×1/2=4,000,000、残り4,000,000が資本準備金。

第2問(20点)株主資本等変動計算書

純資産の変動を追う応用

当社(会計期間X7年4月1日〜X8年3月31日)の資料は次のとおりである。株主資本等変動計算書を完成させなさい(単位:千円)。

  • 当期首残高:資本金 80,000/資本準備金 8,000/その他資本剰余金 3,000/利益準備金 5,000/別途積立金 5,000/繰越利益剰余金 24,000
  • X7年6月24日の株主総会で次のとおり決議された。
    • 繰越利益剰余金を財源とする株主配当金 8,000、別途積立金の積立て 2,000
    • その他資本剰余金を財源とする株主配当金 2,000
    • 配当にともない、会社法が規定する額の準備金を積み立てる
  • X7年10月1日、増資を行い、払込金額 20,000 の全額が当座預金に払い込まれた。会社法が規定する最低額を資本金とした。
  • 当期純利益は 15,600 であった。
解答・解説を見る
Step1 準備金の積立額
  • 積立枠 = 資本金 80,000 × 1/4 -(資本準備金 8,000 + 利益準備金 5,000)= 20,000 - 13,000 = 7,000
  • 配当総額の1/10 =(8,000 + 2,000)× 1/10 = 1,000  → 積立枠7,000のほうが大きいので、小さいほうの「配当額の1/10」を積み立てる
  • 利益準備金 = 8,000 × 1/10 = 800(利益剰余金を財源とする配当分)
  • 資本準備金 = 2,000 × 1/10 = 200(その他資本剰余金を財源とする配当分)
Step2 株主資本等変動計算書
 資本金資本剰余金利益剰余金株主資本
合計
資本
準備金
その他
資本剰余金
合計利益
準備金
別途
積立金
繰越利益
剰余金
合計
当期首残高80,0008,0003,00011,0005,0005,00024,00034,000125,000
剰余金の配当
(利益剰余金より)
800△8,800△8,000△8,000
剰余金の配当
(資本剰余金より)
200△2,200△2,000△2,000
別途積立金の積立2,000△2,00000
新株の発行10,00010,00010,00020,000
当期純利益15,60015,60015,600
当期変動額合計10,00010,200△2,2008,0008002,0004,8007,60025,600
当期末残高90,00018,20080019,0005,8007,00028,80041,600150,600
検算の3ポイント
  • :利益剰余金からの配当行 = 800 +(△8,800)= △8,000(社外に出る配当金だけ)/資本剰余金からの配当行 = 200 +(△2,200)= △2,000
  • 積立金の行はゼロ:別途積立金への振替は純資産内の移動
  • :125,000 + 25,600 = 150,600 ✔(25,600 = 増資20,000 + 当期純利益15,600 - 配当10,000)
この問題の急所 その他資本剰余金を財源とする配当では、積み立てるのは「資本準備金」です。利益準備金にすると資本と利益が混ざってしまい、大幅減点になります。

第3問(20点)貸借対照表の作成

決算整理と貸借対照表応用

次の決算整理前残高試算表(一部)と決算整理事項により、貸借対照表に計上される金額を答えなさい。会計期間はX7年4月1日〜X8年3月31日。

借方金額貸方金額
現 金320,000貸倒引当金58,000
当座預金1,850,000建物減価償却累計額4,400,000
受取手形2,400,000備品減価償却累計額960,000
売掛金3,600,000仮受消費税3,410,000
繰越商品1,480,000退職給付引当金4,200,000
仮払消費税2,180,000借入金5,000,000
建 物12,000,000  
備 品2,400,000  
満期保有目的債券1,940,000  
長期貸付金2,000,000  

決算整理事項

  1. 銀行残高証明書の残高は¥2,250,000であった。不一致の原因は、①仕入先へ振り出した小切手¥180,000が未取付けであった ②得意先から売掛金¥320,000の振込みがあったが当社に未通知であった ③水道光熱費¥100,000が当座預金から自動引落しされていたが未記帳であった、の3点である。
  2. 期末商品:帳簿棚卸高¥1,560,000、実地棚卸高¥1,530,000、正味売却価額による評価額¥1,495,000。
  3. 受取手形および売掛金の期末残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。なお、決算整理前の貸倒引当金¥58,000はすべて営業債権に係るものである。
  4. 長期貸付金に対して1%の貸倒引当金を設定する(営業外債権)。
  5. 建物は定額法(耐用年数30年、残存価額ゼロ)、備品は200%定率法(耐用年数5年)により減価償却する。
  6. 満期保有目的債券(額面¥2,000,000、X7年4月1日取得、償還日X12年3月31日)について償却原価法(定額法)を適用する。
  7. 退職給付引当金の当期繰入額は¥780,000である。
  8. 消費税(税抜方式)の納付額を確定する。
  9. 借入金は X9年8月31日に一括返済する契約である。
解答・解説を見る
Step1 主な計算
項目計算金額
当座預金1,850,000 + 320,000 - 100,000
(検算:銀行 2,250,000 - 未取付 180,000 = 2,070,000 ✔)
2,070,000
売掛金3,600,000 - 320,000(振込未通知の回収)3,280,000
棚卸減耗損1,560,000 - 1,530,00030,000
商品評価損1,530,000 - 1,495,00035,000
貸倒引当金(営業債権)(2,400,000 + 3,280,000) × 2%113,600
 うち受取手形分113,600 × 2,400/5,68048,000
 うち売掛金分113,600 × 3,280/5,68065,600
貸倒引当金(長期貸付金)2,000,000 × 1%20,000
建物減価償却費12,000,000 ÷ 30年400,000
備品減価償却費(2,400,000 - 960,000) × 0.4576,000
償却原価法(2,000,000 - 1,940,000) ÷ 5年12,000
未払消費税3,410,000 - 2,180,0001,230,000
Step2 貸借対照表
区分表示科目金額
流動資産現 金320,000
当座預金2,070,000
受取手形 2,400,000 貸倒引当金 △48,0002,352,000
売掛金 3,280,000 貸倒引当金 △65,6003,214,400
商 品1,495,000
固定資産建物 12,000,000 減価償却累計額 △4,800,0007,200,000
備品 2,400,000 減価償却累計額 △1,536,000864,000
投資有価証券1,952,000
長期貸付金 2,000,000 貸倒引当金 △20,0001,980,000
流動負債未払消費税1,230,000
固定負債長期借入金5,000,000
退職給付引当金4,980,000
この問題の落とし穴4つ
  1. 売掛金は320,000減らす。銀行勘定調整で「振込未通知」を修正すると、当座預金が増えて売掛金が減ります。貸倒引当金もこの修正後の金額に対して設定します。
  2. 満期保有目的債券は「投資有価証券」と読み替え、時価ではなく償却原価1,952,000で計上。
  3. 借入金はX9年8月返済=決算日X8年3月31日から1年超 → 固定負債の「長期借入金」
  4. 備品の定率法は取得原価ではなく期首帳簿価額(2,400,000-960,000=1,440,000)に0.4を掛けます。

第4問(28点)工業簿記

(1) 費目別計算の仕訳(12点・各4点)標準
  1. 素材¥2,400,000を掛けで購入し、引取運賃¥36,000は現金で支払った。引取運賃は素材の購入原価に加算する。
  2. 当月の材料消費額を予定消費価格により計上した。直接材料費は¥1,980,000、間接材料費は¥240,000である。
  3. 当月の材料の実際消費額は¥2,245,000であった。材料消費価格差異を計上する。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1材 料2,436,000買掛金
現 金
2,400,000
36,000
2仕掛品
製造間接費
1,980,000
240,000
材 料2,220,000
3材料消費価格差異25,000材 料25,000

3:予定消費額 2,220,000 - 実際消費額 2,245,000 = △25,000(不利差異=借方)。材料勘定の貸方に25,000を追加して実際消費額に合わせるイメージです。

(2) 部門別個別原価計算(16点)応用

次の資料により、相互配賦法(簡便法)によって補助部門費を配賦し、各製造部門の製造間接費合計を求めなさい。

 製造部門補助部門
切削部門組立部門動力部門事務部門
部門費(第1次集計後)2,400,0001,800,000480,000360,000
動力供給量(kWh)600300100
従業員数(人)302010
解答・解説を見る
【第1次配賦】補助部門への供給分も含めて配賦する
 配賦基準切削組立動力事務
動力部門費 480,000600:300:—:100288,000144,00048,000
事務部門費 360,00030:20:10:—180,000120,00060,000
第1次配賦後の補助部門残高60,00048,000
【第2次配賦】製造部門にだけ配賦する
 配賦基準切削組立
動力部門 60,000600:30040,00020,000
事務部門 48,00030:2028,80019,200
【集計】
 切削部門組立部門
部門費(第1次集計後)2,400,0001,800,000
第1次配賦468,000264,000
第2次配賦68,80039,200
製造間接費合計2,936,8002,103,200

検算:2,936,800 + 2,103,200 = 5,040,000 = 2,400,000+1,800,000+480,000+360,000 ✔

得点戦略 配賦基準が動力=供給量、事務=従業員数と別々である点に注意。第1次では補助部門どうしの供給も含めて配賦し、第2次では製造部門だけに配賦します。最後に必ず合計で検算してください。

第5問(12点)直接原価計算とCVP分析

損益分岐点と目標利益標準

当社の当期の資料は次のとおりである。各問に答えなさい。

  • 販売単価 @¥2,500  販売量 4,000個(生産量=販売量)
  • 変動製造費 @¥1,100  変動販売費 @¥150
  • 固定製造原価 ¥2,800,000  固定販売費及び一般管理費 ¥1,700,000

問1 直接原価計算による損益計算書を作成しなさい。
問2 損益分岐点の売上高と販売量を求めなさい。
問3 安全余裕率を求めなさい。
問4 営業利益¥1,500,000を達成するために必要な売上高と販売量を求めなさい。
問5 売上高営業利益率10%を達成するために必要な売上高を求めなさい。
問6 【問1〜問5とは無関係の別資料】ある会社の直接原価計算による営業利益が¥500,000、期首製品に含まれる固定製造原価が¥0、期末製品に含まれる固定製造原価が¥140,000であるとき、全部原価計算による営業利益を求めなさい。

解答・解説を見る
問1 直接原価計算の損益計算書
売上高 @2,500 × 4,000個10,000,000
 変動売上原価 @1,100 × 4,000個4,400,000
 変動販売費 @150 × 4,000個600,000
貢献利益5,000,000
 固定製造原価2,800,000
 固定販売費及び一般管理費1,700,000
営業利益500,000
問2〜問6
計算解答
2貢献利益率 = 5,000,000 ÷ 10,000,000 = 50%
損益分岐点売上高 = 4,500,000 ÷ 0.5
販売量 = 9,000,000 ÷ @2,500
9,000,000
3,600個
3(10,000,000 - 9,000,000) ÷ 10,000,00010%
4(4,500,000 + 1,500,000) ÷ 0.5 = 12,000,000
12,000,000 ÷ @2,500
12,000,000
4,800個
5売上高をSとすると 0.5S - 4,500,000 = 0.1S
0.4S = 4,500,000
11,250,000
6500,000 + 140,000 - 0640,000
問5の解き方(頻出) 「売上高営業利益率○%」は貢献利益率から目標利益率を引いた率で固定費を割ると一発です。
必要売上高 = 固定費 ÷(貢献利益率 - 目標売上高営業利益率) = 4,500,000 ÷(0.5 - 0.1)= 11,250,000
検算:11,250,000 × 50% - 4,500,000 = 1,125,000 = 11,250,000 × 10% ✔
問6の考え方 在庫が0 → 140,000に増えたので、その分の固定製造原価が製品として翌期に繰り越されます。当期の費用が140,000減る=全部原価計算のほうが利益が140,000大きい、ということです。

第32章本試験形式 模擬試験 第3回例題・演習 6問

最終仕上げ 第3回は第2問=固定資産の総合問題、第3問=本支店会計、第4問(2)=工程別総合原価計算(先入先出法)、第5問=標準原価計算+仕掛品勘定。第2問〜第4問は第1回・第2回で扱わなかった論点、第5問は第1回と同じ標準原価計算ですが、今回は「パーシャルプランの仕掛品勘定を完成させる」形式で出題頻度の高いパターンを補っています。これで本試験の主要パターンは網羅完了です。

第1問(20点)仕訳問題

次の各取引について仕訳しなさい(各4点)標準
  1. 売上原価対立法により記帳している。原価¥620,000の商品を¥890,000で販売し、代金は掛けとした。
  2. 取引銀行に電子記録債権¥800,000を¥782,000で売却し、手取金が当座預金口座に入金された。
  3. 備品(取得原価¥1,500,000、減価償却累計額¥1,275,000、間接法)を当期首に除却した。この備品の処分価値は¥120,000と見積もられた。
  4. 決算(決算日3月31日)にあたり、賞与引当金を設定する。当社は毎年6月10日と12月10日に賞与を支給しており、6月支給の賞与の支給対象期間は12月1日から5月31日まで、支給見込額は¥7,200,000である。
  5. 増資にあたり募集していた株式400株(1株の払込金額¥12,000)について、払込期日となったので、別段預金に払い込まれていた申込証拠金を資本金(会社法が規定する最低額)および資本準備金に振り替え、あわせて別段預金を当座預金に預け替えた。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1売掛金
売上原価
890,000
620,000
売 上
商 品
890,000
620,000
2当座預金
電子記録債権売却損
782,000
18,000
電子記録債権800,000
3減価償却累計額
貯蔵品
固定資産除却損
1,275,000
120,000
105,000
備 品1,500,000
4賞与引当金繰入4,800,000賞与引当金4,800,000
5株式申込証拠金
当座預金
4,800,000
4,800,000
資本金
資本準備金
別段預金
2,400,000
2,400,000
4,800,000
解説
  • 1:売上原価対立法では、販売時に「収益の計上」と「原価の振替」の2つを必ず記録します。原価の振替(売上原価/商品)を書き忘れないことが最大のポイントです。
  • 3:帳簿価額225,000 - 処分価値120,000 = 除却損105,000。処分価値は貯蔵品(資産)で受けます。
  • 4:支給対象期間12/1〜5/31の6か月のうち、当期に属するのは12月・1月・2月・3月の4か月 → 7,200,000 × 4/6 = 4,800,000。
  • 5:払込総額 400株 × 12,000 = 4,800,000。資本金は1/2の2,400,000、残り2,400,000が資本準備金。別段預金→当座預金の振替も忘れずに

第2問(20点)固定資産の総合問題

取得・売却・減価償却を一気に処理する応用

当社(会計期間X7年4月1日〜X8年3月31日、減価償却は間接法)の固定資産に関する資料は次のとおりである。各問に答えなさい。

資産取得日取得原価償却方法
建物AX0年4月1日18,000,000定額法・耐用年数30年・残存価額ゼロ
備品BX5年4月1日3,000,000200%定率法・耐用年数5年
車両CX6年10月1日2,400,000定額法・耐用年数4年・残存価額ゼロ

当期の取引

  1. X7年8月1日、備品D ¥1,800,000を購入し、代金は小切手を振り出して支払った(200%定率法・耐用年数5年)。
  2. X7年11月30日、車両Cを¥1,500,000で売却し、代金は翌月末に受け取ることとした。

問1 各資産の当期減価償却費 問2 車両C売却の仕訳 問3 当期の減価償却費合計と、期末の建物・備品の貸借対照表価額

解答・解説を見る
問1 当期減価償却費
資産計算当期償却費
建物A18,000,000 ÷ 30年600,000
備品B償却率 = 1/5 × 200% = 0.4
X5年度 3,000,000×0.4=1,200,000/X6年度 1,800,000×0.4=720,000
期首帳簿価額 = 3,000,000 - 1,920,000 = 1,080,000
1,080,000 × 0.4
432,000
車両C年 2,400,000 ÷ 4年 = 600,000
4/1〜11/30 の8か月 600,000 × 8/12
400,000
備品D1,800,000 × 0.4 × 8/12(8/1〜3/31)480,000
合計1,912,000
問2 車両C売却の仕訳
  • 期首減価償却累計額 = X6/10/1〜X7/3/31 の6か月 = 600,000 × 6/12 = 300,000
  • 売却時の帳簿価額 = 2,400,000 - 300,000 - 400,000 = 1,700,000
  • 売却価額 1,500,000 - 1,700,000 = 売却損 200,000
借方科目金額貸方科目金額
車両減価償却累計額
減価償却費
未収入金
固定資産売却損
300,000
400,000
1,500,000
200,000
車両運搬具2,400,000
問3 期末の貸借対照表価額
科目計算B/S価額
建物18,000,000 - 減価償却累計額(4,200,000 + 600,000 = 4,800,000)13,200,000
備品(3,000,000 + 1,800,000) - 減価償却累計額(1,920,000 + 432,000 + 480,000 = 2,832,000)1,968,000
車両運搬具売却済み0
この問題の急所3つ
  1. 定率法の期首累計額を自分で積み上げる。備品Bは2年分(1,200,000+720,000=1,920,000)を計算しないと当期分が出ません。
  2. 売却月まで減価償却する。11月30日売却なら4月〜11月の8か月分を計上します。
  3. 期中取得は取得月から月割。備品Dは8月1日取得なので8か月分(8月〜翌3月)。7か月と数えないこと——取得月も1か月に数えます。

第3問(20点)本支店会計

本支店合併損益計算書の作成応用

当社は札幌の本店のほかに旭川支店を有し、支店独立会計制度を採用している。次の資料により、本支店合併損益計算書の各金額を求めなさい。会計期間はX7年4月1日〜X8年3月31日。なお、本店から支店への商品の発送は原価で行っている。

決算整理前残高試算表(一部)本 店支 店
繰越商品680,000420,000
仕 入12,400,0006,300,000
給 料2,800,0001,500,000
支払家賃960,000480,000
支 店3,150,000
売 上18,600,0009,800,000
本 店3,040,000

未達事項

  1. 本店が支店へ発送した商品¥180,000(原価)が支店に未達である。
  2. 支店が本店の売掛金¥70,000を回収したが、本店に未達である。

決算整理事項

  1. 期末商品棚卸高は、本店¥720,000、支店¥510,000(未達商品を含まない)である。
解答・解説を見る
Step1 未達事項の処理と勘定の一致確認
No借方科目金額貸方科目金額
1【支店】仕 入180,000本 店180,000
2【本店】支 店70,000売掛金70,000
本店の「支店」勘定支店の「本店」勘定
3,150,000 + 70,0003,040,000 + 180,000
3,220,0003,220,000 一致 ✔
Step2 合併損益計算書
区分金額
Ⅰ 売上高 18,600,000 + 9,800,00028,400,000
Ⅱ 売上原価
  期首商品棚卸高 680,000 + 420,000
1,100,000
  + 当期商品仕入高 12,400,000 + 6,300,000 + 180,000(未達)18,880,000
  - 期末商品棚卸高 720,000 +(510,000 + 180,000△1,410,000
売上原価18,570,000
売上総利益9,830,000
Ⅲ 販売費及び一般管理費
  給料 2,800,000 + 1,500,000 = 4,300,000
  支払家賃 960,000 + 480,000 = 1,440,000
5,740,000
営業利益4,090,000
未達商品の「二重の効果」に注意 未達商品¥180,000は、①当期仕入高に加算し、②期末商品棚卸高にも加算します。まだ支店に届いていなくても、会社全体としては在庫として存在しているからです。
両方に加算するので売上原価への影響は差引ゼロですが、答案の「当期仕入高」「期末商品棚卸高」の欄には、それぞれ加算後の金額を書かなければ正解になりません。片方だけ加算すると売上原価が180,000ずれます。
得点戦略 本支店会計の第3問は、「本店+支店を単純に足す」だけで埋まる欄が大半です。給料・支払家賃などは足すだけ。未達と期末商品だけ気をつければ、20点中15点は取れます。

第4問(28点)工業簿記

(1) 工業簿記の仕訳(12点・各4点)標準
  1. 当月の直接工の作業時間は、直接作業1,600時間、間接作業140時間であった。予定賃率は@¥1,400である。
  2. 製造間接費を予定配賦率@¥950により、上記1の実際直接作業時間にもとづいて各製造指図書に配賦した。
  3. 当月の完成品原価¥5,800,000を製品勘定に振り替えた。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1仕掛品
製造間接費
2,240,000
196,000
賃金・給料2,436,000
2仕掛品1,520,000製造間接費1,520,000
3製 品5,800,000仕掛品5,800,000

1:直接 1,600h×1,400=2,240,000/間接 140h×1,400=196,000。間接作業時間分は製造間接費です。
2:950 × 1,600h = 1,520,000。配賦基準は「直接作業時間」なので、間接作業140時間は含めません(1,740時間としないこと)。また、実際発生額ではなく予定配賦率×実際操業度で配賦します。

(2) 工程別総合原価計算(16点)応用

当社は2つの工程を経て製品を製造している。次の資料により、第1工程完成品原価、第2工程の月末仕掛品原価および完成品原価を求めなさい。先入先出法による。材料は第1工程の始点ですべて投入している。

生産データ第1工程第2工程
月初仕掛品(加工進捗度)200個(50%)150個(60%)
当月投入1,100個1,000個
月末仕掛品(加工進捗度)300個(40%)250個(40%)
完成品1,000個900個
原価データ第1工程第2工程
月初仕掛品:直接材料費/前工程費88,000162,000
月初仕掛品:加工費39,00051,000
当月:直接材料費517,000
当月:加工費663,000637,000
解答・解説を見る
Step1 第1工程
 数量(材料費)換算量(加工費)
完成品1,000個1,000個
月末仕掛品300個300 × 40% = 120個
月初仕掛品△200個△100個(200×50%)
当月投入1,100個1,020個
 直接材料費加工費
月末仕掛品517,000 × 300/1,100 = 141,000663,000 × 120/1,020 = 78,000
第1工程完成品原価(88,000+517,000) + (39,000+663,000) - (141,000+78,000) = 1,088,000
Step2 第2工程(前工程費として1,088,000が投入される)
 数量(前工程費)換算量(加工費)
完成品900個900個
月末仕掛品250個250 × 40% = 100個
月初仕掛品△150個△90個(150×60%)
当月投入1,000個910個
 前工程費加工費
月末仕掛品1,088,000 × 250/1,000 = 272,000637,000 × 100/910 = 70,000
  • 第2工程 月末仕掛品原価 = 272,000 + 70,000 = ¥342,000
  • 第2工程 完成品原価 = (162,000+1,088,000) + (51,000+637,000) - 342,000 = ¥1,596,000
POINT 前工程費は「始点投入の材料費」と同じ 前工程費は数量ベース(250/1,000)で按分します。加工進捗度は関係ありません。
また、第2工程の当月投入1,000個 = 第1工程の完成品1,000個。ここが一致していることを必ず確認してください。

第5問(12点)標準原価計算と仕掛品勘定

差異分析とパーシャルプラン応用

当社は標準原価計算(パーシャルプラン)を採用している。次の資料により、各原価差異を分析し、仕掛品勘定を完成させなさい。

標準原価カード(製品1個あたり)
直接材料費@¥400 × 5kg2,000
直接労務費@¥1,200 × 2時間2,400
製造間接費@¥900 × 2時間1,800
合計6,200
  • 生産データ:月初仕掛品 100個(加工進捗度40%)、当月投入 1,000個、月末仕掛品 200個(加工進捗度50%)、完成品 900個。材料は工程の始点で投入。
  • 実際直接材料費:実際消費量 5,150kg、実際単価 @¥390
  • 実際直接労務費:実際直接作業時間 1,950時間、実際賃率 @¥1,230
  • 製造間接費:実際発生額 ¥1,790,000。標準配賦率@¥900の内訳は変動費率@¥400・固定費率@¥500。月間基準操業度 2,000時間、月間固定費予算 ¥1,000,000。能率差異は標準配賦率で計算する。
解答・解説を見る
Step1 標準消費量(当月投入基準)
 数量(材料)換算量(加工)
完成品900個900個
月末仕掛品200個100個(200×50%)
月初仕掛品△100個△40個(100×40%)
当月投入1,000個960個

標準材料消費量 = 1,000個 × 5kg = 5,000kg / 標準直接作業時間 = 960個 × 2時間 = 1,920時間

Step2 差異分析
差異計算金額
直接材料費 総差異@400×5,000 - @390×5,150 = 2,000,000 - 2,008,500△8,500(不利)
 価格差異(400 - 390) × 5,150kg+51,500(有利)
 数量差異400 × (5,000 - 5,150)kg△60,000(不利)
直接労務費 総差異@1,200×1,920 - @1,230×1,950 = 2,304,000 - 2,398,500△94,500(不利)
 賃率差異(1,200 - 1,230) × 1,950時間△58,500(不利)
 時間差異1,200 × (1,920 - 1,950)時間△36,000(不利)
製造間接費 総差異@900×1,920 - 1,790,000 = 1,728,000 - 1,790,000△62,000(不利)
 予算差異(@400×1,950 + 1,000,000) - 1,790,000 = 1,780,000 - 1,790,000△10,000(不利)
 能率差異@900 × (1,920 - 1,950)時間△27,000(不利)
 操業度差異@500 × (1,950 - 2,000)時間△25,000(不利)
原価差異合計8,500 + 94,500 + 62,000△165,000
Step3 仕掛品勘定(パーシャルプラン)
仕掛品(パーシャルプラン)
月初仕掛品(標準)368,000
直接材料費(実際)2,008,500
直接労務費(実際)2,398,500
製造間接費(実際)1,790,000
 6,565,000
製品(完成品標準原価)5,580,000
月末仕掛品(標準)820,000
原価差異165,000
  
 6,565,000
仕掛品勘定の金額の根拠
  • 月初仕掛品 = 材料 100個×2,000 + 加工 40個×(2,400+1,800) = 200,000 + 168,000 = 368,000
  • 完成品 = 900個 × 6,200 = 5,580,000
  • 月末仕掛品 = 材料 200個×2,000 + 加工 100個×4,200 = 400,000 + 420,000 = 820,000
  • 貸借とも 6,565,000 で一致 ✔
価格差異が「有利」である点に注意 この問題では材料の実際単価@390が標準@400より安かったので、価格差異は有利(+51,500)です。すべての差異が不利になるとは限りません。符号を機械的に「不利」と書かず、必ず計算結果で判断してください。

3回分の総まとめ ― 論点カバー表

大問第1回第2回第3回
第1問返金負債/期中売却/リース利子抜き/その他有価証券の税効果/利益準備金契約資産/建設仮勘定と圧縮記帳/手形の不渡り/為替予約/合併とのれん売上原価対立法/電子記録債権売却/除却と貯蔵品/賞与引当金/株式申込証拠金
第2問連結会計株主資本等変動計算書固定資産の総合問題
第3問損益計算書の作成貸借対照表の作成本支店会計
第4問(1)本社工場会計費目別計算(材料)費目別計算(労務費・配賦・完成)
第4問(2)単純総合原価計算(平均法・仕損)部門別個別原価計算(相互配賦法)工程別総合原価計算(先入先出法)
第5問標準原価計算(差異分析)直接原価計算・CVP分析標準原価計算+仕掛品勘定
3回とも70点を超えたら 本試験でも十分に合格できる実力です。あとは同じ3回分を「時間を短縮して」解き直すだけ。1回目より10分早く解けるようになれば、本番の緊張でペースが落ちても間に合います。
1回でも70点に届かなかったら 落とした大問の章に戻ってください。新しい問題集に手を広げるより、この3回を完璧にするほうが確実に伸びます。
特に工業簿記(第4問・第5問)で40点満点を取れるようになれば、商業簿記は60点中30点で合格ラインです。工業簿記は3回とも満点を目指してください。
最後に ― 合格へ 第0章で書いたとおり、簿記2級は「全部わかった人」ではなく「70点を取った人」が受かる試験です。
このテキスト(第0章〜第29章)と模擬試験3回分を3周すれば、必要な力は必ず身につきます。分からない論点があっても、立ち止まらず先に進んでください。2周目には不思議と分かるようになっています。
あなたの合格を心から応援しています。

本テキストは2026年度(2021年度改定・2022年度適用の商工会議所簿記検定試験出題区分表)に基づいて作成しています。
出典:日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表」https://www.kentei.ne.jp/bookkeeping/exam-list
制度・基準は改正されることがあります。受験前に必ず商工会議所の公式発表をご確認ください。

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第33章本試験形式 模擬試験 第4回例題・演習 6問

受験の心得 第4回は総仕上げ回です。本番と同じ90分を計り、必ず通しで解いてください。机の上は電卓・計算用紙2枚・時計だけにします。解答順は今回も第1問 → 第4問 → 第5問 → 第2問 → 第3問を推奨。時間配分は 15分 → 20分 → 10分 → 20分 → 25分 が目安です。
90分が経過するまで、解答・解説は絶対に開かないこと。採点後は、正解できた問題も含めて「自分の解く手順」と解説の手順が一致しているかまで確認すると、本試験での再現性が一気に高まります。

第1問(20点)仕訳問題

次の各取引について仕訳しなさい(各4点)標準
  1. デザイン業を営む当社は、かねて受注していたウェブサイト制作(契約額¥900,000。代金は契約時に全額受け取り、契約負債に計上済み)を本日完成させ、顧客への引渡しを完了した。なお、この案件のために当期に発生した給料¥310,000と出張旅費¥140,000は、発生時に仕掛品勘定に振り替えている。
  2. かねて交付申請していた国庫補助金¥1,500,000は、受取時に適切に処理している。本日、この補助金に自己資金を加えて機械装置¥4,000,000を購入し、代金は小切手を振り出して支払うとともに、補助金相当額について直接減額方式による圧縮記帳を行った。
  3. 得意先に対する売掛金について発生記録の請求を行っていた電子記録債権¥800,000のうち、¥500,000は仕入先石狩商店に対する買掛金の決済のために譲渡記録を行い、残りの¥300,000は取引銀行に¥294,000で譲渡し、譲渡代金は当座預金とした。
  4. 決算にあたり、その他有価証券として保有する北広島産業株式会社の株式(取得原価¥1,900,000、期末時価¥2,260,000)を全部純資産直入法により評価替えする。法定実効税率を30%として税効果会計を適用する。
  5. 当社は江別物産株式会社を吸収合併し、同社の諸資産(時価¥7,200,000)と諸負債(時価¥2,700,000)を引き継ぐとともに、対価として当社の新株1,000株(1株あたりの時価¥5,200)を発行して交付した。なお、増加する株主資本のうち¥3,000,000を資本金とし、残額は資本準備金とした。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1契約負債
役務原価
900,000
450,000
役務収益
仕掛品
900,000
450,000
2機械装置
固定資産圧縮損
4,000,000
1,500,000
当座預金
機械装置
4,000,000
1,500,000
3買掛金
当座預金
電子記録債権売却損
500,000
294,000
6,000
電子記録債権800,000
4その他有価証券360,000繰延税金負債
その他有価証券評価差額金
108,000
252,000
5諸資産
のれん
7,200,000
700,000
諸負債
資本金
資本準備金
2,700,000
3,000,000
2,200,000
計算の内訳
  • 1:役務原価=310,000+140,000=450,000。サービスの提供完了時に「契約負債 → 役務収益」「仕掛品 → 役務原価」の2本をセットで切ります。収益だけ振り替えて原価を忘れるのが典型的な失点です。
  • 2:圧縮後の帳簿価額=4,000,000-1,500,000=2,500,000。翌期以降の減価償却は圧縮後の2,500,000を基礎に計算します。取得と圧縮は同時に行ってかまいません。
  • 3:銀行への譲渡分の差額 300,000-294,000=6,000 が電子記録債権売却損。買掛金決済のための譲渡(¥500,000)には損益は生じません。
  • 4:評価差額=2,260,000-1,900,000=360,000(評価差益)。差益の場合は繰延税金負債 360,000×30%=108,000、純資産直入額は残りの252,000(貸方)です。
  • 5:交付株式の時価=@5,200×1,000株=5,200,000。受入純資産=7,200,000-2,700,000=4,500,000 → のれん700,000。資本準備金は5,200,000-3,000,000=2,200,000。

採点基準:各4点×5問。勘定科目と金額がすべて正しい仕訳のみ得点(部分点なし)。

第2問(20点)連結精算表

連結第2年度の連結精算表応用

P社はX5年3月31日にS社の発行済株式の80%を¥4,800,000で取得し、支配を獲得した。次の資料にもとづき、連結第2年度(X6年4月1日〜X7年3月31日)の連結精算表(連結損益計算書欄・連結貸借対照表欄)に計上される各金額を答えなさい。のれんは10年で定額償却する。

  • 支配獲得日のS社純資産:資本金¥4,000,000、資本剰余金¥600,000、利益剰余金¥800,000
  • 連結第1年度:S社当期純利益¥600,000、S社配当¥250,000
  • 連結第2年度:S社当期純利益¥750,000、S社配当¥300,000
  • 当期、P社はS社に商品¥3,600,000を販売している(ダウンストリーム)。P社の売上総利益率は30%
  • 期末のP社売掛金のうち¥900,000はS社に対するもの。なお、連結会社間の債権には貸倒引当金を設定していない
  • S社の期末商品のうち¥650,000はP社から仕入れたもの(期首商品にP社仕入分はなかった)
  • 単純合算額:売上高¥72,000,000、売上原価¥50,400,000、受取配当金¥520,000、商品¥6,800,000、売掛金¥11,500,000、買掛金¥8,200,000

 (1)開始仕訳 (2)当期の連結修正仕訳 (3)連結精算表の各金額

解答・解説を見る
Step1 タイムテーブル
 X5/3/31
支配獲得日
X6/3/31
第1年度末
X7/3/31
第2年度末
資本金4,000,0004,000,0004,000,000
資本剰余金600,000600,000600,000
利益剰余金800,0001,150,0001,600,000
S社資本合計5,400,0005,750,0006,200,000
非支配株主持分 20%1,080,0001,150,0001,240,000
のれん480,000432,000384,000

のれん=4,800,000 -(5,400,000×80%=4,320,000)=480,000/償却=480,000÷10年=48,000
第1年度末の非支配株主持分=1,080,000+(600,000×20%=120,000)-(250,000×20%=50,000)=1,150,000

(1) 開始仕訳
借方科目金額貸方科目金額
資本金当期首残高
資本剰余金当期首残高
利益剰余金当期首残高
のれん
4,000,000
600,000
918,000
432,000
S社株式
非支配株主持分当期首残高
4,800,000
1,150,000

利益剰余金当期首残高は貸借差額で求めるのが最速:(4,800,000+1,150,000)-(4,000,000+600,000+432,000)=918,000
内訳の検算:支配獲得日800,000 + 前期修正の影響〔のれん償却48,000+非支配株主帰属利益120,000+受取配当金消去200,000-配当取消250,000=118,000〕=918,000 ✔

(2) 当期の連結修正仕訳
 借方科目金額貸方科目金額
のれん償却48,000のれん48,000
非支配株主に帰属する当期純利益150,000非支配株主持分150,000
受取配当金
非支配株主持分
240,000
60,000
剰余金の配当300,000
売上高3,600,000売上原価3,600,000
買掛金900,000売掛金900,000
売上原価195,000商 品195,000

② 750,000×20%=150,000/③ 300,000×80%=240,000・×20%=60,000/⑥ 650,000×30%=195,000(ダウンストリームなので全額消去・非支配株主への按分なし)

(3) 連結精算表の金額
項目計算金額
売上高72,000,000 - 3,600,00068,400,000
売上原価50,400,000 - 3,600,000 + 195,00046,995,000
受取配当金520,000 - 240,000280,000
のれん償却48,000
非支配株主に帰属する当期純利益150,000
商品6,800,000 - 195,0006,605,000
売掛金11,500,000 - 900,00010,600,000
買掛金8,200,000 - 900,0007,300,000
のれん432,000 - 48,000384,000
非支配株主持分1,150,000 + 150,000 - 60,0001,240,000

採点基準:精算表の金額 2点×10か所。タイムテーブルさえ正確なら、開始仕訳の利益剰余金は貸借差額で出せます。

第3問(20点)損益計算書の作成

決算整理と損益計算書応用

次の決算整理前残高試算表(一部)と決算整理事項にもとづき、損益計算書の各金額を答えなさい。会計期間はX7年4月1日〜X8年3月31日、法定実効税率は30%である。

借方金額貸方金額
繰越商品1,540,000貸倒引当金52,000
売掛金3,900,000建物減価償却累計額3,240,000
受取手形2,100,000備品減価償却累計額900,000
満期保有目的債券2,910,000借入金3,000,000
建物9,000,000退職給付引当金1,850,000
備品2,400,000売上48,500,000
仕入33,400,000有価証券利息30,000
給料7,300,000  
保険料288,000  
支払利息90,000  
仮払法人税等800,000  

決算整理事項

  1. 期末商品:帳簿棚卸高¥1,620,000、実地棚卸高¥1,575,000、正味売却価額による評価額¥1,545,000。棚卸減耗損と商品評価損はいずれも売上原価に算入する。
  2. 売掛金・受取手形の期末残高に対して2%の貸倒引当金を差額補充法により設定する。
  3. 建物は定額法(耐用年数30年、残存価額ゼロ)、備品は200%定率法(耐用年数8年)により減価償却する。
  4. 満期保有目的債券は、当期首に額面総額¥3,000,000の社債(償還期間5年、利率年1%、利払日3月末)を¥2,910,000で取得したものである。額面金額と取得価額の差額は金利の調整と認められるため、償却原価法(定額法)を適用する。
  5. 保険料は、当期の12月1日に向こう1年分を支払ったものである。前払分を月割で計上する。
  6. 支払利息の未払分¥20,000を計上する。
  7. 翌期6月に支給予定の従業員賞与¥1,080,000について、支給対象期間(当期12月〜翌期5月)のうち当期に属する4か月分を賞与引当金として計上する。
  8. 退職給付引当金について、当期の負担に属する¥260,000を繰り入れる。
  9. 法人税、住民税及び事業税として¥1,650,000を計上する。仮払法人税等との差額は未払法人税等とする。
  10. 税効果会計を適用する。将来減算一時差異はすべて引当金に係るものであり、期首の繰延税金資産は¥204,000、期末の繰延税金資産は¥258,000である。
解答・解説を見る
Step1 決算整理の計算
項目計算金額
棚卸減耗損1,620,000 - 1,575,00045,000
商品評価損1,575,000 - 1,545,00030,000
売上原価1,540,000 + 33,400,000 - 1,620,000 + 45,000 + 30,00033,395,000
貸倒引当金繰入(3,900,000+2,100,000)×2% - 52,00068,000
減価償却費建物 9,000,000÷30年=300,000
備品 償却率=1/8×200%=0.25/(2,400,000-900,000)×0.25=375,000
675,000
有価証券利息30,000 + (3,000,000-2,910,000)÷5年48,000
保険料前払分=288,000×8/12=192,000/288,000 - 192,00096,000
支払利息90,000 + 20,000110,000
賞与引当金繰入1,080,000 × 4/6720,000
退職給付費用260,000
法人税等調整額258,000 - 204,00054,000(貸方)
Step2 損益計算書
区分金額
Ⅰ 売上高48,500,000
Ⅱ 売上原価33,395,000
売上総利益15,105,000
Ⅲ 販売費及び一般管理費
 給料 7,300,000 + 保険料 96,000 + 貸倒引当金繰入 68,000 + 減価償却費 675,000
 + 賞与引当金繰入 720,000 + 退職給付費用 260,000
9,119,000
営業利益5,986,000
Ⅳ 営業外収益 有価証券利息48,000
Ⅴ 営業外費用 支払利息110,000
経常利益 = 税引前当期純利益5,924,000
 法人税、住民税及び事業税1,650,000
 法人税等調整額△54,000
当期純利益4,328,000
つまずきやすい3点
  • 4:償却額は(額面-取得価額)÷償還期間5年=18,000。有価証券利息に「加算」し、債券の帳簿価額も2,928,000に増えます。クーポン利息30,000と合算するのを忘れずに。
  • 7:賞与引当金は1,080,000×4/6。支給予定額の全額ではなく、当期に属する12月〜3月の4か月分だけを引き当てます。
  • 10:繰延税金資産が増加(204,000→258,000)したときの法人税等調整額54,000は貸方=利益を増やす方向。損益計算書では法人税等から控除する形(△表示)になります。

採点基準:2点×10か所(売上原価・売上総利益・販管費合計・営業利益・有価証券利息・支払利息・経常利益・法人税等・法人税等調整額・当期純利益)。

第4問(28点)工業簿記

(1) 仕訳問題(12点・各4点)標準

次の各取引について仕訳しなさい。勘定科目は次の中から最も適当なものを選ぶこと。
材料 賃金 製造間接費 仕掛品 買掛金 材料副費 賃率差異

  1. 素材2,000kg(購入代価@¥1,200)を掛けで購入した。なお、引取運賃などの材料副費については、購入代価の4%を予定配賦している。
  2. 直接工の賃金消費額は予定賃率@¥1,300で計上している。当月の実際作業時間は直接作業1,700時間・間接作業200時間であり、当月の賃金実際消費額は¥2,508,000であった。月末に賃率差異を計上する。
  3. 当月の製造間接費を、直接作業時間を基準として各製造指図書に予定配賦する。製造間接費の年間予算は¥21,600,000、年間の予定直接作業時間は24,000時間であり、当月の実際直接作業時間は1,700時間であった。
解答・解説を見る
No借方科目金額貸方科目金額
1材 料2,496,000買掛金
材料副費
2,400,000
96,000
2賃率差異38,000賃 金38,000
3仕掛品1,530,000製造間接費1,530,000

1:購入代価=2,000kg×@1,200=2,400,000/材料副費予定配賦額=2,400,000×4%=96,000。副費も材料の取得原価に含めるので材料は2,496,000。
2:予定消費額=(1,700+200)時間×@1,300=2,470,000。実際2,508,000のほうが大きいので38,000の借方(不利)差異を賃金勘定から振り替えます。
3:予定配賦率=21,600,000÷24,000時間=@900/配賦額=@900×1,700時間=1,530,000。

(2) 部門別個別原価計算(16点)応用

当社は切削部門・組立部門の2つの製造部門と、動力部門・修繕部門の2つの補助部門を有し、製造間接費は部門別の予定配賦率によって各製造指図書に配賦している。補助部門費の製造部門への配賦は直接配賦法による。次の資料にもとづき、各問に答えなさい。

年間予算データ切削部門組立部門動力部門修繕部門
部門費(年間予算)9,000,0007,020,0003,600,0001,800,000
動力供給量6,000kWh4,000kWh 500kWh
修繕時間300時間200時間100時間 
  • 予定配賦率の算定基準:切削部門は機械運転時間(年間予定7,200時間)、組立部門は直接作業時間(年間予定6,120時間)
  • 当月の製造指図書No.101の実績:切削部門の機械運転時間45時間、組立部門の直接作業時間38時間

問1 直接配賦法により補助部門費を配賦した後の各製造部門費(年間予算額)を求めなさい。
問2 各製造部門の予定配賦率を求めなさい。
問3 製造指図書No.101に対する当月の製造間接費予定配賦額を求めなさい。

解答・解説を見る
問1 補助部門費の配賦(直接配賦法)
摘要切削部門組立部門
部門費(年間予算)9,000,0007,020,000
動力部門費の配賦2,160,0001,440,000
修繕部門費の配賦1,080,000720,000
製造部門費(配賦後)12,240,0009,180,000

動力部門費:3,600,000×6,000/(6,000+4,000)=2,160,000/×4,000/10,000=1,440,000
修繕部門費:1,800,000×300/(300+200)=1,080,000/×200/500=720,000
検算:12,240,000+9,180,000=21,420,000=4部門の部門費合計 ✔

問2 予定配賦率
  • 切削部門:12,240,000 ÷ 7,200時間 = @¥1,700(機械運転時間あたり)
  • 組立部門:9,180,000 ÷ 6,120時間 = @¥1,500(直接作業時間あたり)
問3 No.101への予定配賦額

@1,700×45時間 + @1,500×38時間 = 76,500 + 57,000 = ¥133,500

注意直接配賦法では補助部門どうしの用役のやり取り(動力→修繕500kWh、修繕→動力100時間)を無視し、製造部門への提供量だけで按分します。動力部門費の分母は10,000kWh(10,500kWhにしない)、修繕部門費の分母は500時間(600時間にしない)ことが最大のポイントです。

採点基準:問1 各3点×2、問2 各3点×2、問3 4点。

第5問(12点)標準原価計算

原価差異の分析応用

当社は標準原価計算を採用している。次の資料にもとづき、直接材料費差異・直接労務費差異・製造間接費差異を分析しなさい(製造間接費は公式法変動予算による3分法、能率差異は標準配賦率で計算する)。

標準原価カード(製品1個あたり)
直接材料費@¥400 × 5kg2,000
直接労務費@¥1,200 × 2時間2,400
製造間接費@¥1,100 × 2時間2,200
合計6,600
  • 生産データ:月初仕掛品100個(加工進捗度50%)、当月完成品900個、月末仕掛品150個(加工進捗度40%)。材料は工程の始点で投入。
  • 実際直接材料費:実際消費量 4,880kg、実際単価 @¥390
  • 実際直接労務費:実際直接作業時間 1,860時間、実際賃率 @¥1,230
  • 製造間接費:実際発生額 ¥2,065,000/変動費率 @¥400、固定費率 @¥700/月間基準操業度 1,900時間、月間固定費予算 ¥1,330,000
解答・解説を見る
Step1 標準消費量(当月投入基準)
 数量(材料)換算量(加工)
完成品900個900個
月末仕掛品150個150 × 40% = 60個
月初仕掛品(差し引く)△100個△100 × 50% = △50個
当月投入950個910個
  • 標準材料消費量 = 950個 × 5kg = 4,750kg
  • 標準直接作業時間 = 910個 × 2時間 = 1,820時間
Step2 差異分析
差異計算金額
直接材料費 総差異@400×4,750 - @390×4,880 = 1,900,000 - 1,903,200△3,200(不利)
 価格差異(400 - 390) × 4,880kg+48,800(有利)
 数量差異400 × (4,750 - 4,880)kg△52,000(不利)
直接労務費 総差異@1,200×1,820 - @1,230×1,860 = 2,184,000 - 2,287,800△103,800(不利)
 賃率差異(1,200 - 1,230) × 1,860時間△55,800(不利)
 時間差異1,200 × (1,820 - 1,860)時間△48,000(不利)
製造間接費 総差異@1,100×1,820 - 2,065,000 = 2,002,000 - 2,065,000△63,000(不利)
 予算差異(@400×1,860 + 1,330,000) - 2,065,000 = 2,074,000 - 2,065,000+9,000(有利)
 能率差異@1,100 × (1,820 - 1,860)時間△44,000(不利)
 操業度差異@700 × (1,860 - 1,900)時間△28,000(不利)
原価差異合計△3,200 △103,800 △63,000△170,000

検算:製造間接費 +9,000 △44,000 △28,000 = △63,000 ✔

この問題の配点イメージ 6つの差異×2点=12点(採点基準)。今回は月初仕掛品があるため、当月投入=完成品+月末-月初で標準消費量を出すのが第一関門です。もう1つ、実際単価@390は標準@400より安いので価格差異は有利差異。「差異=すべて不利」と思い込まず、符号は毎回計算で確かめてください。

模擬試験 第4回 自己採点と復習ガイド

大問配点復習すべき章
第1問20点第2章(役務収益)・第4章(電子記録債権)・第5章(圧縮記帳)・第7章(合併とのれん)・第8章+第12章(その他有価証券と税効果)
第2問20点第16章(連結会計)
第3問20点第2章(棚卸減耗・商品評価損)・第8章(償却原価法)・第9章(賞与引当金・退職給付)・第12章(税効果)・第13章(損益計算書)
第4問28点第18章(材料副費)・第19章(賃率差異)・第21章(予定配賦)・第22章(部門別個別原価計算)
第5問12点第26章(標準原価計算)
点数別・次にやるべきこと
得点次の一手
70点以上4回分を完走して合格圏。本試験まで新しい教材には手を出さず、毎日「仕訳10問+間違えた大問1問」のリズムで精度を維持する
55〜69点落とす大問が固定化しているはず。該当章の例題 → この模試の解き直しを48時間以内に。工業簿記が満点でないなら第17〜29章を最優先
40〜54点第1問・第4問・第5問の合計60点分を確実に取る作戦へ切り替える。仕訳と工業簿記の反復が最短ルート
40点未満模試の周回より基礎の再構築。第1〜9章と第17〜21章の例題を、答えを見ずに紙へ書き直すことから再開する
本試験前日・当日のチェックリスト
  • 前日:新しい問題には触れない。第1回〜第4回で間違えた問題だけを解き直し、持ち物は前夜のうちに揃える。
  • 当日の持ち物:受験票、身分証明書、電卓(12桁・音の出ないもの)、筆記用具、時計。
  • 試験開始直後:30秒だけ全体をめくり、第2問・第3問の論点を確認してから第1問に着手する。
  • 迷ったとき:白紙にせず、まず仕訳を書く。部分点は答案を書いた人にしか入りません。
最後に 4回の模擬試験、おつかれさまでした。ここから本試験までに必要なのは新しい知識ではなく、解いたことのある問題を確実に取り切る精度です。第1回〜第4回で間違えた問題をもう一度だけ解き直せば、それがあなた専用のいちばん当たる予想問題集になります。
簿記2級は70点で合格。満点は要りません。当日は深呼吸して、いつも通りの手順で。合格の報告を待っています。
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