- カテゴリ:法人税
- 根拠:措法42の12の5
- 入力3項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
前期より従業員の給与を増やした会社は、その増加額の一定割合を法人税額から直接差し引ける賃上げ促進税制という制度があります。控除率は基本部分に、教育訓練費の増加などの上乗せ要件を満たすと加算され、企業規模によって上限も変わります。この計算式は、その税額控除額がいくらになるかを求めるものです。
この計算式を3行でいうと
- 控除額は「給与等支給増加額×控除率」で計算し、控除率は基本部分と上乗せ部分の合計です。
- 控除額には上限があり、当期の法人税額の20%を超える部分は税額控除の対象になりません。
- 控除率は企業規模や要件の充足状況で変わり、中小企業では最大45%程度まで上がることがあります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
賃上げ促進税制の税額控除
措法42の12の5★結果コピーリンク雇用者給与等の増加額に控除率(基本+上乗せ)を掛けた額を法人税額から控除。上限は法人税額の20%です。
| 増加額×控除率 | ¥1,500,000 |
| 上限(法人税額×20%) | ¥1,600,000 |
| 控除額 | ¥1,500,000 |
| 控除しきれない額(中小は5年繰越) | ¥0 |
こんなときに使います
- 前期より従業員の給与や賞与を増やし、賃上げ促進税制が使えるか確認したいとき
- 決算対策として、賃上げによる税額控除がどのくらいの節税効果になるか試算したいとき
- 教育訓練費を増やす計画があり、控除率の上乗せがどれくらい見込めるか知りたいとき
- 今期の法人税額に対して、控除額が上限に収まっているか確かめたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 給与等支給増加額 | 当期の雇用者給与等支給額から、前期(比較事業年度)の雇用者給与等支給額を差し引いた増加分です。 | 賃金台帳や給与集計表から、当期と前期の支給総額を比較して求めます。 |
| 合計控除率 | 基本の控除率に、教育訓練費の増加や、子育てとの両立支援に関する認定取得などの上乗せ要件を満たした分を加えた合計の率です。 | 自社の給与増加率や、上乗せ要件の充足状況をもとに判定します。区分や要件は年度で変わるため、最新の制度で確認してください。 |
| 当期の法人税額 | 控除前の、当期の法人税額です。 | 法人税申告書別表一の「法人税額計」欄などで確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 給与等支給増加額を確認する:前期に比べて増加した雇用者給与等支給額を求めます。増加していなければ、この制度は使えません。
- 控除率を掛けて控除額を出す:給与等支給増加額に、基本控除率と上乗せ控除率を合計した控除率を掛けます。
- 法人税額の20%と比べる:手順2で求めた金額と、当期の法人税額の20%を比べ、小さい方が実際に控除できる金額です。
具体例で確かめる
例1 給与等支給増加額500万円、合計控除率30%、法人税額800万円のケース
控除額(上限適用前) = 5,000,000円 × 30% = 1,500,000円 法人税額の20% = 8,000,000円 × 20% = 1,600,000円 小さい方を選ぶ = 1,500,000円
税額控除額は150万円。上限の160万円以内なので、全額を控除できる
例2 賃上げ幅が大きく、控除額が上限に達するケース
給与等支給増加額1,000万円、合計控除率30%、法人税額800万円の場合 控除額(上限適用前) = 10,000,000円 × 30% = 3,000,000円 法人税額の20% = 8,000,000円 × 20% = 1,600,000円
上限の160万円が実際の税額控除額になる。残りの140万円は控除しきれない
例3 上乗せ要件を満たして控除率が上がったケース
給与等支給増加額500万円、合計控除率が上乗せ込みで45%になった場合 控除額(上限適用前) = 5,000,000円 × 45% = 2,250,000円 法人税額800万円の20% = 1,600,000円
控除額は上限の160万円。控除率が上がっても、上限を超える分は使えない
ここを間違えやすい
1|控除率は毎年見直されます
基本控除率や上乗せ要件の内容・率は、税制改正のたびに変わります。前年度の資料をそのまま使わず、適用する事業年度の制度内容を必ず確認してください。
2|企業規模で控除率の仕組みが異なります
大企業・中堅企業・中小企業のどこに区分されるかで、基本控除率や上乗せ要件の内容が変わります。資本金や従業員数などの区分要件も年度によって見直されることがあります。
3|赤字で法人税額がゼロの場合は控除額もゼロです
控除額の上限は当期の法人税額の20%であるため、法人税額がゼロであれば、控除できる金額もゼロになります。控除しきれなかった金額の扱いは、その年度の制度内容によって異なります。
4|給与等支給額の範囲を正しく把握する必要があります
比較の対象になる雇用者給与等支給額には、役員やその特殊関係者への給与など、含めない人件費があります。集計の範囲を誤ると増加額がずれるため、対象範囲を確認してから計算してください。
よくある質問
- 個人事業主でもこの制度は使えますか。
- 個人事業主向けにも同様の賃上げ促進税制の制度が用意されています。ただし控除率や上限の考え方が法人と異なる部分があるため、別途確認が必要です。
- 教育訓練費を増やすと、どのくらい控除率が上がりますか。
- 教育訓練費の増加割合が一定の要件を満たすと、上乗せとして控除率が加算されます。加算される率は年度の制度で定められているため、最新の要件を確認してください。
- 控除しきれなかった金額は翌期に繰り越せますか。
- 繰越の可否や年数は、適用する年度の制度によって異なります。制度改正で取り扱いが変わることがあるため、申告時点の最新のルールを確認してください。
- この制度と他の税額控除は同時に使えますか。
- 研究開発税制など、他の税額控除制度と組み合わせて使える場合がありますが、控除額全体に別の上限が設けられていることがあります。複数の制度を使う場合は個別の確認が必要です。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 租税特別措置法第42条の12の5(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)
- 国税庁・中小企業庁「賃上げ促進税制」関連の公表資料
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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