賃上げ促進税制の税額控除の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:法人税
  • 根拠:措法42の12の5
  • 入力3項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

前期より従業員の給与を増やした会社は、その増加額の一定割合を法人税額から直接差し引ける賃上げ促進税制という制度があります。控除率は基本部分に、教育訓練費の増加などの上乗せ要件を満たすと加算され、企業規模によって上限も変わります。この計算式は、その税額控除額がいくらになるかを求めるものです。

この計算式を3行でいうと

  1. 控除額は「給与等支給増加額×控除率」で計算し、控除率は基本部分と上乗せ部分の合計です。
  2. 控除額には上限があり、当期の法人税額の20%を超える部分は税額控除の対象になりません。
  3. 現行制度(令和6年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度)の控除率は、中小企業が給与増加率1.5%以上で15%・2.5%以上で30%、これに教育訓練費の上乗せ10%とくるみん・えるぼし認定の上乗せ5%を加えて最大45%。大企業・中堅企業は最大35%です。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

賃上げ促進税制の税額控除

措法42の12の5結果コピーリンク

雇用者給与等の増加額に控除率(基本+上乗せ)を掛けた額を法人税額から控除。上限は法人税額の20%です。

控除額 = 給与等支給増加額 × 控除率(上限:法人税額×20%)
税額控除額 ¥1,500,000
増加額×控除率¥1,500,000
上限(法人税額×20%)¥1,600,000
控除額¥1,500,000
控除しきれない額(中小は5年繰越)¥0
控除率は区分・要件で変動(中小最大45%等)。適用年度要確認。
目次

こんなときに使います

  • 前期より従業員の給与や賞与を増やし、賃上げ促進税制が使えるか確認したいとき
  • 決算対策として、賃上げによる税額控除がどのくらいの節税効果になるか試算したいとき
  • 教育訓練費を増やす計画があり、控除率の上乗せがどれくらい見込めるか知りたいとき
  • 今期の法人税額に対して、控除額が上限に収まっているか確かめたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
給与等支給増加額当期の雇用者給与等支給額から、前期(比較事業年度)の雇用者給与等支給額を差し引いた増加分です。賃金台帳や給与集計表から、当期と前期の支給総額を比較して求めます。
合計控除率基本の控除率に、教育訓練費の増加や、子育てとの両立支援に関する認定取得などの上乗せ要件を満たした分を加えた合計の率です。自社の給与増加率や、上乗せ要件の充足状況をもとに判定します。中小企業(令和6年4月1日〜令和9年3月31日開始事業年度)は、雇用者給与等支給額の増加率が前年度比1.5%以上で15%、2.5%以上で30%。教育訓練費が前年度比5%以上増加(かつ雇用者給与等支給額の0.05%以上)なら+10%、くるみん・えるぼし(2段階目以上)の認定があれば+5%です。大企業は継続雇用者の給与増加率3%・4%・5%・7%以上で10〜25%、中堅企業(従業員2,000人以下)は3%以上10%・4%以上25%で、いずれも教育訓練費+5%・認定+5%の上乗せがあります。
当期の法人税額各種の税額控除を差し引く前の、当期の法人税額(調整前法人税額)です。法人税申告書別表一の「法人税額」欄(所得金額×税率の金額)で確認します。特別控除や留保金課税などを加減する前の金額です。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 給与等支給増加額を確認する:前期に比べて増加した雇用者給与等支給額を求めます。増加していなければ、この制度は使えません。
  2. 控除率を掛けて控除額を出す:給与等支給増加額に、基本控除率と上乗せ控除率を合計した控除率を掛けます。
  3. 法人税額の20%と比べる:手順2で求めた金額と、当期の法人税額の20%を比べ、小さい方が実際に控除できる金額です。

具体例で確かめる

例1 給与等支給増加額500万円、合計控除率30%、法人税額800万円のケース

控除額(上限適用前) = 5,000,000円 × 30% = 1,500,000円 法人税額の20% = 8,000,000円 × 20% = 1,600,000円 小さい方を選ぶ = 1,500,000円

税額控除額は150万円。上限の160万円以内なので、全額を控除できる

例2 賃上げ幅が大きく、控除額が上限に達するケース

給与等支給増加額1,000万円、合計控除率30%、法人税額800万円の場合 控除額(上限適用前) = 10,000,000円 × 30% = 3,000,000円 法人税額の20% = 8,000,000円 × 20% = 1,600,000円

上限の160万円が実際の税額控除額になる。残りの140万円は当期には控除できない(中小企業なら翌期以後5年間繰り越せる)

例3 上乗せ要件を満たして控除率が上がったケース

給与等支給増加額500万円、合計控除率が上乗せ込みで45%になった場合 控除額(上限適用前) = 5,000,000円 × 45% = 2,250,000円 法人税額800万円の20% = 1,600,000円

控除額は上限の160万円。控除率が上がっても、上限を超える65万円は当期には使えない(中小企業は5年間の繰越が可能)

ここを間違えやすい

1|控除率は毎年見直されます

基本控除率や上乗せ要件の内容・率は、税制改正のたびに変わります。現行の制度は令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する事業年度に適用されるものです。前年度の資料をそのまま使わず、適用する事業年度の制度内容を必ず確認してください。

2|企業規模で控除率の仕組みが異なります

大企業・中堅企業・中小企業のどこに区分されるかで、基本控除率や上乗せ要件の内容が変わります。中小企業向けの措置は、資本金1億円以下(大規模法人に支配されていないこと)または従業員1,000人以下の青色申告法人などが対象で、中堅企業は従業員2,000人以下の法人(中小企業を除く)です。大企業向けの措置は継続雇用者ベースで増加率を判定し、一定規模以上の会社はマルチステークホルダー方針の公表も必要です。

3|赤字で法人税額がゼロの場合は控除額もゼロです

控除額の上限は当期の法人税額の20%であるため、法人税額がゼロであれば、その期に控除できる金額もゼロになります。中小企業は、令和6年4月1日以後に開始する事業年度で控除しきれなかった金額を翌期以後5年間繰り越せます(繰り越す年度も雇用者給与等支給額が前年度より増えていることが条件)。大企業・中堅企業には繰越はありません。

4|給与等支給額の範囲を正しく把握する必要があります

比較の対象になる雇用者給与等支給額には、役員やその特殊関係者への給与など、含めない人件費があります。集計の範囲を誤ると増加額がずれるため、対象範囲を確認してから計算してください。

よくある質問

個人事業主でもこの制度は使えますか。
個人事業主向けにも同様の賃上げ促進税制の制度が用意されています。ただし控除率や上限の考え方が法人と異なる部分があるため、別途確認が必要です。
教育訓練費を増やすと、どのくらい控除率が上がりますか。
中小企業は、教育訓練費が前年度比5%以上増加し、かつ教育訓練費が雇用者給与等支給額の0.05%以上であれば、控除率が10%上乗せされます。大企業・中堅企業は前年度比10%以上の増加(同じく0.05%以上)で5%の上乗せです。教育訓練費の明細書の保存が必要です。
控除しきれなかった金額は翌期に繰り越せますか。
中小企業向けの措置では、令和6年4月1日以後に開始する事業年度分から、控除しきれなかった金額を翌期以後5年間繰り越せます。繰り越した金額を使う事業年度は、雇用者給与等支給額が前年度より増加していることが条件で、控除額の上限(法人税額の20%)はその年度でも適用されます。大企業・中堅企業向けの措置には繰越はありません。
この制度と他の税額控除は同時に使えますか。
研究開発税制など、他の税額控除制度と組み合わせて使える場合がありますが、控除額全体に別の上限が設けられていることがあります。複数の制度を使う場合は個別の確認が必要です。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 租税特別措置法第42条の12の5(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)
  • 国税庁・中小企業庁「賃上げ促進税制」関連の公表資料

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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