欠損金の繰戻し還付の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:法人税
  • 根拠:法法80
  • 入力3項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

今期が赤字になってしまった会社でも、前期は利益が出て法人税を納めていた場合、その税金の一部を取り戻せる制度があります。それが欠損金の繰戻し還付です。今期の赤字(欠損金)を前期に繰り戻したことにして、前期に納めすぎた税金の還付を請求する仕組みで、主に中小法人等が使えます。この計算式は、その還付金額がいくらになるかを求めるものです。

この計算式を3行でいうと

  1. 還付金額は「前期の法人税額×(当期の欠損金額÷前期の所得金額)」の式で計算します。
  2. 欠損金額が前期の所得金額を超える場合は、前期の所得金額が上限となり、還付率は100%が上限です。
  3. この制度は主に資本金1億円以下の中小法人等が対象で、青色申告を続けていることが条件です。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

欠損金の繰戻し還付

法法80結果コピーリンク

当期の欠損金を前期に繰戻し、前期に納めた法人税の一部の還付を受けます(中小法人等)。

還付金額 = 前期法人税額 × (欠損金額 / 前期所得金額)
還付請求金額 ¥1,000,000
前期法人税額¥3,000,000
適用欠損金/前期所得5,000,000 / 15,000,000
還付金額¥1,000,000
目次

こんなときに使います

  • 今期が赤字(欠損金)になりそうで、前期に納めた法人税の一部が戻ってこないか確認したいとき
  • 急な業績悪化など、前期は黒字だったのに今期だけ大きく落ち込んだとき
  • 資金繰りが厳しく、繰越控除ではなく今すぐ現金で還付を受けたいとき
  • 解散や事業の廃止を検討していて、欠損金をできるだけ早く回収する方法を知りたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
当期の欠損金額今期の法人税の計算上生じた赤字(欠損金)の金額です。法人税申告書別表一の欠損金額欄、または別表七(一)で確認します。
前期の法人税額前期に確定申告で納めた法人税額(控除前の金額)です。前期の法人税申告書別表一の「差引所得に対する法人税額」欄などで確認します。
前期の所得金額前期の法人税の計算のもとになった所得の金額です。前期の法人税申告書別表一・別表四の所得金額の欄で確認します。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 当期の欠損金額を確定する:青色申告をしている事業年度に生じた欠損金額を確認します。
  2. 前期の所得金額に占める割合を求める:当期の欠損金額を前期の所得金額で割ります。欠損金額が前期の所得金額を超える場合は、前期の所得金額を上限として計算します。
  3. 前期の法人税額に割合を掛ける:前期の法人税額に、手順2で求めた割合を掛けた金額が還付金額です。

具体例で確かめる

例1 当期の欠損金額500万円、前期の法人税額300万円、前期の所得金額1,500万円のケース

割合 = 5,000,000円 ÷ 15,000,000円 = 1/3 還付金額 = 3,000,000円 × 1/3

還付金額は100万円。前期に納めた法人税300万円のうち100万円が戻ってくる

例2 欠損金額が前期の所得金額と同じくらい大きいケース

当期の欠損金額1,400万円、前期の法人税額300万円、前期の所得金額1,500万円の場合 割合 = 14,000,000円 ÷ 15,000,000円 = 約93.3% 還付金額 = 3,000,000円 × 約93.3%

還付金額は約280万円。前期に納めた法人税のほとんどが還付される

例3 欠損金額が前期の所得金額を超えるケース

当期の欠損金額2,000万円、前期の法人税額300万円、前期の所得金額1,500万円の場合 欠損金額2,000万円は前期の所得金額1,500万円を上回るため、割合は上限の100%で計算 還付金額 = 3,000,000円 × 100%

還付金額は300万円。前期に納めた法人税の全額が上限になる

ここを間違えやすい

1|大法人は原則としてこの制度を使えません

欠損金の繰戻し還付は、主に資本金1億円以下の中小法人等を対象とした制度です。資本金の額が大きい法人は、災害や解散などの特別な事情がある場合を除き、原則として適用が停止されています。

2|青色申告の継続が前提条件です

欠損金が生じた事業年度と、繰り戻す前期の両方について、連続して青色申告書を提出していることが条件です。どちらかが白色申告の期であれば、この制度は使えません。

3|繰戻しできるのは前期分だけです

欠損金を繰り戻せるのは、欠損が生じた事業年度の直前1年間、つまり前期だけです。2期前や3期前にまでさかのぼって繰り戻すことはできません。

4|還付請求書の提出が必要です

繰戻し還付を受けるには、欠損事業年度の確定申告書の提出と同時に、還付請求書を税務署に提出する必要があります。何もしなければ自動的に還付されるわけではありません。

よくある質問

繰戻し還付と繰越控除はどちらを選ぶべきですか。
繰戻し還付はすぐに現金で還付を受けられる一方、繰越控除は将来の黒字と相殺して税負担を減らす方法です。資金繰りを優先するか、将来の節税を優先するかによって選び方が変わります。両方を試算して比較することをおすすめします。
還付を受けるとその後の税務調査が心配です。
繰戻し還付の請求があった場合、税務署は還付の対象になった欠損金額などについて調査を行うことがあります。ただし、これは制度上想定されている通常の確認手続きです。
前期が赤字だった場合はどうなりますか。
前期の所得金額がない場合は、還付の計算のもとになる前期の法人税額もないため、繰戻し還付は生じません。この場合は欠損金の繰越控除を検討することになります。
還付されるまでどのくらいかかりますか。
還付請求書の提出後、税務署による審査を経て還付されるため、一定の期間がかかります。具体的な期間は個別の状況によって異なります。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 法人税法第80条(欠損金の繰戻しによる還付)、租税特別措置法第66条の12(中小企業者等以外の法人の繰戻しの停止)
  • 国税庁タックスアンサー No.5763「欠損金の繰戻しによる還付請求」

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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