- カテゴリ:法人税
- 根拠:法法67
- 入力4項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
同族色の強い会社が、利益を配当せずに会社の中にため込みすぎると、通常の法人税に加えて留保金課税という特別な税金が上乗せされることがあります。対象になるのは資本金1億円を超える、株主が少数に偏った会社です。この計算式は、その特別な税額がいくらになるかを求めるものです。
この計算式を3行でいうと
- 資本金1億円超で、株主が少数に偏った特定同族会社が、利益を過度に内部留保すると課税対象になります。
- 課税留保金額は「留保金額-留保控除額」で求め、留保控除額は3つの基準のうち最も大きい金額を使います。
- 課税留保金額には10%・15%・20%の段階的な特別税率がかかり、通常の法人税に上乗せして課税されます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
特定同族会社の留保金課税
法法67★結果コピーリンク資本金1億円超の被支配会社が対象。留保金額から留保控除額を引いた課税留保金額に特別税率を課します。
| 所得基準40% | ¥40,000,000 |
| 定額基準2,000万 | ¥20,000,000 |
| 積立金基準(資本金25%−利益積立金) | ¥20,000,000 |
| 留保控除額(最大) | ¥40,000,000 |
| 課税留保金額 | ¥40,000,000 |
| 留保金課税額 | ¥4,500,000 |
こんなときに使います
- 株主が少人数の同族会社で、資本金が1億円を超えているとき
- 配当をあまり出さず、利益の大部分を会社の内部に留保する方針をとっているとき
- 決算対策として、留保金課税がかかるかどうか、かかるならいくらになるか試算したいとき
- 増資や自己株式の取得を検討していて、留保金課税への影響を確認したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 当期留保金額 | 当期の所得等の金額のうち、配当や税金などで社外に出さずに会社の中に留め置いた金額です。 | 法人税申告書別表三(一)で計算する留保所得金額の欄で確認します。 |
| 所得金額 | 当期の法人税の計算のもとになる所得の金額です。 | 法人税申告書別表一・別表四の所得金額の欄で確認します。 |
| 資本金 | 決算日時点の資本金の額です。 | 決算書の純資産の部、または登記事項証明書で確認できます。 |
| 利益積立金額 | 過去から積み上がってきた、税務上の利益の蓄積額です。単純な「利益剰余金」とは一致しないことがあります。 | 法人税申告書別表五(一)の期末現在利益積立金額の合計欄で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 留保控除額を3つの基準で計算する:所得基準額(所得金額×40%)、定額基準額(年2,000万円)、積立金基準額(資本金×25%-利益積立金額)の3つを計算します。
- 3つのうち最も大きい金額を留保控除額とする:3つの基準のうち、いちばん大きい金額が実際に差し引ける留保控除額です。
- 課税留保金額に特別税率を掛ける:当期留保金額から留保控除額を引いた課税留保金額に、10%・15%・20%の段階的な特別税率を適用して税額を求めます。
具体例で確かめる
例1 留保金額8,000万円、所得金額1億円、資本金2億円、利益積立金額3,000万円のケース
所得基準額 = 100,000,000円 × 40% = 40,000,000円 定額基準額 = 20,000,000円 積立金基準額 = 200,000,000円 × 25% - 30,000,000円 = 20,000,000円 最も大きい留保控除額 = 40,000,000円 課税留保金額 = 80,000,000円 - 40,000,000円 = 40,000,000円
課税留保金額は4,000万円。この金額に段階的な特別税率をかけて税額を求める
例2 積立金基準額がいちばん大きくなるケース
留保金額8,000万円、所得金額5,000万円、資本金3億円、利益積立金額2,000万円の場合 所得基準額 = 50,000,000円 × 40% = 20,000,000円 定額基準額 = 20,000,000円 積立金基準額 = 300,000,000円 × 25% - 20,000,000円 = 55,000,000円
最も大きい積立金基準額5,500万円が留保控除額になる。課税留保金額は2,500万円に圧縮される
例3 留保控除額のほうが留保金額より大きいケース
留保金額3,000万円、所得金額1億円、資本金2億円、利益積立金額3,000万円の場合 所得基準額 = 40,000,000円(例1と同じ) 課税留保金額 = 30,000,000円 - 40,000,000円 = マイナス
課税留保金額はゼロとして扱われる。留保金課税はかからない
特別税率の区分
| 課税留保金額の区分 | 特別税率 |
|---|---|
| 年3,000万円以下の部分 | 10% |
| 年3,000万円超1億円以下の部分 | 15% |
| 年1億円超の部分 | 20% |
例1の課税留保金額4,000万円であれば、3,000万円までの部分に10%、残り1,000万円の部分に15%を掛けて合計します。3,000,000円 + 1,500,000円 = 4,500,000円が、上乗せされる留保金課税の税額です。
ここを間違えやすい
1|資本金1億円以下の中小企業は原則として対象外です
留保金課税は、資本金の額が1億円を超える特定同族会社が対象です。ただし、資本金の額が大きい法人に発行済株式のすべてを保有されている場合など、資本金1億円以下でも対象になる例外があります。
2|「特定同族会社」に該当するかどうかの判定が必要です
特定同族会社に当たるには、1株主グループの持株割合が一定以上を占める被支配会社であることが前提です。株主構成が分散している会社は対象になりません。
3|留保金額は単純な利益の残りとは限りません
留保金額は、当期の所得等の金額から、配当や税金として社外に流出した金額などを差し引いて計算する、税務上独自の金額です。決算書上の当期純利益とはずれることがあります。
4|留保控除額の3基準は毎期計算し直します
所得基準額・定額基準額・積立金基準額は、いずれもその事業年度の数値をもとに毎期計算し直します。前期に有利だった基準が今期も有利とは限りません。
よくある質問
- 配当を出せば留保金課税はかからなくなりますか。
- 配当として社外に流出した金額は留保金額の計算から除かれるため、配当を増やせば留保金額が減り、結果として留保金課税の負担が軽くなることがあります。
- 赤字の期でも留保金課税はかかりますか。
- 所得等の金額がない期は、通常は留保金額も生じないため、留保金課税がかかることは基本的にありません。
- この制度はいつから続いているのですか。
- 特定同族会社の留保金課税は法人税法に古くから設けられている制度です。対象範囲や控除額の基準は改正されることがあるため、適用年度の内容を確認してください。
- グループ会社が複数ある場合、留保金額は合算しますか。
- 留保金課税は法人ごとに判定・計算します。グループ通算制度を適用している場合の取り扱いは別途確認が必要です。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 法人税法第67条(特定同族会社の特別税率)ほか関連条文
- 国税庁タックスアンサー No.5759「特定同族会社の留保金課税」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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