- カテゴリ:法人税
- 根拠:措法42の6
- 入力3項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
中小企業が機械装置などの設備投資をしたとき、税負担を軽くできる制度が中小企業投資促進税制です。取得した金額の30%を通常の減価償却に上乗せできる「特別償却」と、取得した金額の7%を法人税額から直接差し引ける「税額控除」の、どちらか一方を選んで使います。どちらが有利かは会社の利益や資金繰りの状況によって変わります。
この計算式を3行でいうと
- 特別償却は取得価額の30%を上乗せして損金にでき、税額控除は取得価額の7%を法人税額から直接差し引けます。
- 税額控除には上限があり、その事業年度の法人税額の20%を超える部分はその年には使えません。
- 税額控除を選べるのは、資本金3,000万円以下等の一定の中小企業者等に限られます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
中小企業投資促進税制
措法42の6★結果コピーリンク中小企業者等が機械等を取得した場合、取得価額の30%の特別償却か7%の税額控除(法人税額の20%上限)を選べます。
| 取得価額×7% | ¥700,000 |
| 上限(法人税×20%) | ¥1,600,000 |
| 税額控除 | ¥700,000 |
こんなときに使います
- 中小企業が機械装置や一定の工具・器具備品などを新たに取得したとき
- 特別償却と税額控除のどちらを選ぶと有利になるか、金額で比較したいとき
- 税額控除を選びたいが、法人税額の20%という上限にひっかからないか確認したいとき
- 今期の利益状況から、償却を厚くするか税額を直接減らすか判断材料がほしいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 取得価額 | 対象設備を取得するためにかかった金額(本体価格に付随費用を含めた金額)です。 | 設備の売買契約書・請求書・固定資産台帳で確認します。 |
| 0特別償却/1税額控除 | 特別償却を計算する場合は0、税額控除を計算する場合は1を入力します。 | どちらの制度で試算したいかに応じて選びます。 |
| 法人税額 | 税額控除の上限を確認するために使う、当期の法人税額です。 | 法人税申告書別表一の「法人税額」欄で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 特別償却限度額を出す:取得価額に30%を掛けます。これが通常の減価償却費に上乗せできる金額です。
- 税額控除額を出す:取得価額に7%を掛けます。これが法人税額から直接差し引ける金額の候補です。
- 税額控除の上限を確認する:2で求めた金額と、法人税額の20%を比べます。少ないほうが、その年に実際に控除できる金額です。
特別償却と税額控除は選択制で、同じ資産について両方を使うことはできません。特別償却は将来の通常の減価償却費を先取りするものであるのに対し、税額控除は税額そのものを直接減らせる点が異なります。
具体例で確かめる
例1 1,000万円の機械を取得し、税額控除を選んだケース
税額控除額 = 10,000,000円 × 7% = 700,000円 上限 = 8,000,000円(法人税額) × 20% = 1,600,000円
700,000円は上限1,600,000円以内なので、全額をそのまま法人税額から差し引ける
例2 同じ機械で特別償却を選んだケース
特別償却限度額 = 10,000,000円 × 30%
特別償却限度額3,000,000円 → 通常の減価償却費に加えて300万円を上乗せして損金にできる
例3 取得価額が大きく、税額控除が上限にかかるケース
税額控除額 = 30,000,000円 × 7% = 2,100,000円 上限 = 4,000,000円(法人税額) × 20% = 800,000円
控除できるのは上限の800,000円まで。差額1,300,000円はその年には控除できない
特別償却と税額控除のちがい
| 区分 | 特別償却(30%) | 税額控除(7%) |
|---|---|---|
| 効果の出方 | その年の損金が増え、課税所得が下がる | 計算された法人税額から直接差し引かれる |
| 将来への影響 | 先に多く償却する分、将来の減価償却費は少なくなる(課税の繰延べに近い) | 将来の減価償却費には影響しない |
| 上限 | 特にないが、あくまで損金算入額が増えるだけ | 法人税額の20%が上限(超えた分は1年間繰越可) |
| 対象となる法人 | 青色申告書を提出する中小企業者等(税額控除より対象が広い) | 資本金3,000万円以下等の、より要件の厳しい中小企業者等に限定 |
ここを間違えやすい
1|特別償却は税負担を減らすのではなく「先送り」に近い効果です
特別償却で多く損金算入した分だけ、将来の年度の通常の減価償却費が減ります。長い目で見ると損金算入できる総額は変わらないため、税額控除とは効果の性質が異なります。
2|税額控除を選べる会社には資本金の要件があります
特別償却は青色申告書を提出する中小企業者等であれば幅広く使えますが、税額控除は資本金3,000万円以下等の、より要件の厳しい中小企業者等に限られます。資本金が3,000万円を超える会社は特別償却のみが選択肢になる場合があります。
3|対象になる設備には種類・金額の条件があります
機械装置は1台または1基が160万円以上であることなど、対象資産の種類ごとに取得価額の下限や対象範囲が細かく定められています。要件を満たさない資産は対象外です。
4|貸付けの用に供する設備は原則として対象外です
取得した設備を自社で使わず、他社にリース・貸付けする目的で保有する場合は、原則としてこの制度の対象になりません(一部の対象業種を除く)。
よくある質問
- 特別償却と税額控除、結局どちらが得ですか。
- 一概には言えません。資金繰りを早期に改善したい、その年の税負担をできるだけ抑えたいという場合は税額控除が有利になりやすい一方、将来にわたる損金算入のタイミングを重視するなら特別償却が合う場合もあります。会社の利益計画とあわせて試算することをおすすめします。
- 税額控除で控除しきれなかった分はどうなりますか。
- その事業年度の法人税額の20%を超えて控除しきれなかった金額は、翌事業年度に限り繰り越して控除できます。翌々期以降には繰り越せない点に注意してください。
- 中古の機械を購入した場合も対象になりますか。
- 原則として、この制度は新品の資産を対象としています。中古資産の取得は対象外となる場合が多いため、個別の確認が必要です。
- 少額減価償却資産の特例と同時に使えますか。
- 同じ資産について複数の特例を重複して適用することはできません。取得価額や会社の状況に応じて、どの特例を使うのが有利かをあらかじめ比較しておくことをおすすめします。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 租税特別措置法第42条の6(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)
- 国税庁タックスアンサー No.5433「中小企業投資促進税制」
- 国税庁タックスアンサー No.5432「措置法上の中小法人及び中小企業者」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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