- カテゴリ:法人税
- 根拠:措法67の5
- 入力3項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
中小企業者等が、取得価額40万円未満(令和8年3月31日以前に取得した資産は30万円未満)の資産を購入したとき、通常の減価償却をせずに、その事業年度で全額を経費にできる制度があります。これが少額減価償却資産の特例です。令和8年度改正で令和8年4月1日以後に取得して事業に使い始めた資産から上限が40万円未満に広がり、適用期限も令和11年3月31日まで延長されました。ただし使えるのは1年間で合計300万円までという上限があり、これを超える部分には適用できません。今期すでにどれくらいこの特例を使ったかを踏まえて判断する必要があります。
この計算式を3行でいうと
- 取得価額40万円未満(令和8年4月1日以後の取得・事業供用分。それ以前は30万円未満)の資産は、購入した年に全額を損金算入できます。1件ごとの判定です。
- この特例を使える金額は、1事業年度あたり合計300万円が上限です。上限を超える資産には使えません。
- 対象になるのは資本金1億円以下・常時使用する従業員400人以下等、一定の要件を満たす青色申告の中小企業者等に限られ、貸付用の資産は対象外である点にも注意が必要です。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
少額減価償却資産の特例(中小・40万円未満)
措法67の5★結果コピーリンク中小企業者等(資本金1億円以下・常時使用従業員400人以下の青色申告法人等)は、取得価額が一定額未満の減価償却資産を即時損金にできます。令和8年度改正で令和8年4月1日以後に取得・供用した資産は「40万円未満」(改正前30万円未満)に拡大、年間300万円の上限は据置きです。
| 取得価額 | ¥250,000(400,000円未満) |
| 年300万円の残枠(適用前) | ¥3,000,000 |
| 損金算入額(全額) | ¥250,000 |
| 適用後の残枠 | ¥2,750,000 |
| 適用要件 | 資本金1億円以下・常時使用従業員400人以下の青色申告法人等(貸付用資産は除外)・令和11年3月31日まで |
こんなときに使います
- 中小企業者等が、パソコンや什器など40万円未満(令和8年3月31日以前の取得は30万円未満)の資産を購入したとき
- 今期すでにこの特例を何件か使っていて、あと何円分使えるか確認したいとき
- 複数の少額資産を年度末にまとめて購入する予定があり、上限を超えないか事前に試算したいとき
- 一括償却資産(20万円未満・3年均等)と、どちらで処理すべきか比較したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 1件の取得価額 | 今回判定したい資産1件(または1組)の取得価額です。引取運賃や据付費など、事業で使えるようにするための付随費用も含めた金額で判定します。 | 購入時の領収書・請求書の金額で確認します。 |
| 当期の適用累計額 | この特例を使って、今期すでに損金算入した金額の合計です。まだ1件も使っていなければゼロを入力します。 | 固定資産台帳や、この特例を適用した資産の一覧表で集計します。 |
| 令和8年4月1日以後に取得・事業供用 | その資産を令和8年4月1日以後に取得して事業に使い始めたなら1、令和8年3月31日以前なら0を入れます。1なら判定基準が40万円未満、0なら30万円未満になります。 | 納品書・検収日や固定資産台帳の取得日・供用開始日で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 単体の金額を確認する:判定したい資産1件の取得価額が40万円未満(令和8年3月31日以前の取得・供用分は30万円未満)かどうかを確認します。基準額以上のものはそもそも対象になりません。貸付用の資産(主要な事業として行うものを除く)も対象外です。
- 年間の累計額を確認する:これまでに適用した累計額に、今回の取得価額を足します。
- 上限と比べる:合計額が年間300万円(事業年度が1年未満のときは300万円×月数÷12)以内であれば、その資産の取得価額全額をその事業年度の損金にできます。上限を超える場合は、その資産にはこの特例を使えません。
上限を超えて特例を使えない資産については、通常の減価償却や、要件を満たせば一括償却資産(20万円未満・3年均等)などほかの方法で処理することになります。
具体例で確かめる
例1 25万円のノートパソコンを1台購入したケース
取得価額250,000円は40万円未満につき対象(令和8年4月1日以後の取得。改正前の30万円未満の基準でも対象) 当期の累計額 = 0円 + 250,000円 = 250,000円(300万円以内)
250,000円の全額をその事業年度の損金に算入できる
例2 年間の上限に近づいているところへ追加購入したケース
当期はすでに2,900,000円をこの特例で損金算入済み 今回28万円の複合機を追加購入(280,000円は40万円未満で単体の要件は満たす) 2,900,000円 + 280,000円 = 3,180,000円(年間300万円の上限を超える)
この複合機にはこの特例を使えない。通常の減価償却などで処理する必要がある
例3 取得価額が40万円以上で、そもそも対象にならないケース
取得価額420,000円は40万円以上につき、単体の要件を満たさない (なお取得価額320,000円の資産は、令和8年4月1日以後の取得・供用なら40万円未満で対象。令和8年3月31日以前の取得なら30万円以上で対象外)
この特例の対象外。通常の減価償却で処理する(一括償却資産の対象にもならない)
ここを間違えやすい
1|300万円の上限は「会社全体で1年間」です
資産1件ごとに300万円まで使えるのではなく、その事業年度に適用したすべての資産の合計で300万円が上限です。何件にも分けて購入していると、思ったより早く上限に達することがあります。
2|対象になる会社には資本金などの要件があります
この特例を使えるのは、資本金または出資金の額が1億円以下で、常時使用する従業員の数が400人以下であることなど、一定の要件を満たす青色申告の中小企業者等に限られます。大企業の子会社など、一定の会社に支配されている場合や、前3事業年度の平均所得が15億円を超える「適用除外事業者」は対象外になります。
3|適用を受けるには申告書への明細の添付が必要です
この特例の適用を受けるには、確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付する必要があります。添付がないと適用が認められない場合があります。
4|償却資産税(固定資産税)の対象からは外れません
この特例で全額を損金算入した資産も、一括償却資産とは異なり、市区町村が課す償却資産税の課税対象には含まれます。台帳への記載漏れに注意してください。
よくある質問
- 個人事業主でも使えますか。
- 使えます。青色申告をしている個人事業主で、常時使用する従業員の数が法人と同じ基準以下であれば同様に適用できます(租税特別措置法第28条の2)。白色申告の場合はこの特例を使えません。
- 1件の取得価額はどうやって判定しますか。
- 通常、1つの取引の単位(1台・1組など)ごとに判定します。応接セットのように複数点セットで使うものは、セット全体の金額で40万円未満(令和8年3月31日以前の取得は30万円未満)かどうかを判定します。
- この特例と一括償却資産は、同時にどちらも検討できますか。
- 取得価額が20万円未満の資産であれば、この特例(即時償却・300万円枠を消費・償却資産税の対象)と一括償却資産(3年均等・年間枠の消費なし・償却資産税の対象外)のどちらかを選べます。年間300万円の枠を温存したい場合や償却資産税を抑えたい場合は、一括償却資産を選ぶ方法もあります。
- 期の途中で会社の規模が変わり、中小企業者等でなくなったらどうなりますか。
- その事業年度終了の時点で中小企業者等の要件を満たしているかどうかで判定するのが原則です。年度の途中で要件を満たさなくなった場合の扱いは個別の判断が必要になるため、早めに確認することをおすすめします。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 租税特別措置法第67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)・第28条の2(個人)/令和8年度税制改正(取得価額40万円未満への引上げ・令和11年3月31日までの延長)
- 国税庁タックスアンサー No.5408「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
- 国税庁タックスアンサー No.5432「措置法上の中小法人及び中小企業者」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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