繰越欠損金の控除限度の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:法人税
  • 根拠:法法57
  • 入力3項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

過去に赤字だった年の欠損金は、そのまま消えるわけではなく、その後の黒字の年の所得から差し引くことができます。これが繰越欠損金の控除です。ただし、資本金1億円を超えるような大法人は、当期の所得のうち控除できる金額に上限(原則50%)が設けられています。一方、中小法人は所得の100%まで使えるため、同じ欠損金額でも会社の規模によって控除できる額が変わります。

この計算式を3行でいうと

  1. 控除額は「繰越欠損金の残高」と「所得×控除限度率」の少ないほうです。限度率は中小法人100%、大法人は原則50%です。
  2. 控除しきれなかった繰越欠損金は、期限(原則10年)の範囲内で翌期以降に繰り越せます。
  3. 青色申告を続けていることなど、一定の要件を満たしていないと繰越控除は使えません。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

繰越欠損金の控除限度

法法57結果コピーリンク

過去の繰越欠損金は当期所得から控除できますが、大法人は所得の50%が上限です(中小は100%)。

控除額 = min(繰越欠損金, 所得×控除限度率)
控除額 ¥8,000,000
控除限度(中小100%/大50%)¥10,000,000
控除額¥8,000,000
控除後所得¥2,000,000
翌期繰越¥0
繰越期間10年。
目次

こんなときに使います

  • 過去に赤字の年があり、今期の黒字からその欠損金をどれだけ差し引けるか知りたいとき
  • 自社が中小法人か大法人かで、控除できる金額がどれくらい変わるかを比較したいとき
  • 繰越欠損金を使いきれずに、翌期以降にどれだけ残るかを事前に把握したいとき
  • 黒字化した年の納税額を試算し、資金繰りの計画を立てたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
当期の所得金額繰越欠損金を差し引く前の、当期の所得金額です。法人税申告書別表四の、繰越控除前の所得金額欄で確認します。
繰越欠損金残高過去の事業年度から繰り越されてきている、欠損金の残高(まだ使いきっていない金額)です。法人税申告書別表七(一)の欠損金の繰越控除欄で確認します。
中小1/大0自社が中小法人(控除限度100%)に該当するなら1、大法人(原則50%)に該当するなら0を入力します。期末資本金の額や、大法人の子会社かどうかなどで判定します。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 控除限度率を確認する:中小法人であれば100%、大法人であれば原則50%が、その事業年度に使える控除の上限割合です。
  2. 控除限度額を出す:当期の所得金額に、1で確認した控除限度率を掛けます。
  3. 実際の控除額を決める:繰越欠損金の残高と、2で求めた控除限度額を比べ、少ないほうが実際に控除できる金額です。

繰越欠損金の残高が控除限度額より多い場合、控除しきれなかった分は翌期以降に繰り越されます。逆に繰越欠損金の残高のほうが少なければ、その残高全額を使い切ることができます。

具体例で確かめる

例1 中小法人で、欠損金を全額使えるケース

控除限度額 = 10,000,000円 × 100%(中小法人) = 10,000,000円 控除額 = min(8,000,000円, 10,000,000円)

控除額8,000,000円(全額使える) → 課税所得は2,000,000円に圧縮される

例2 同じ数字で大法人のケース

控除限度額 = 10,000,000円 × 50%(大法人) = 5,000,000円 控除額 = min(8,000,000円, 5,000,000円)

控除額5,000,000円(限度まで) → 課税所得は5,000,000円。残り3,000,000円は翌期に繰越

例3 繰越欠損金のほうが所得より少なく、全額使い切れるケース

控除限度額 = 20,000,000円 × 100%(中小法人) = 20,000,000円 控除額 = min(6,000,000円, 20,000,000円)

控除額6,000,000円(欠損金の全額) → 課税所得は14,000,000円。翌期への繰越はゼロ

ここを間違えやすい

1|大法人は所得がすべて黒字でも半分は必ず課税されます

大法人(資本金1億円超の法人等)は、繰越欠損金がどれだけ残っていても、当期の所得の50%までしか控除できません。欠損金が潤沢に残っていても、黒字の年には必ず一定の税負担が生じます。

2|「中小法人」の判定は資本金だけで決まらない場合があります

資本金1億円以下の法人であっても、大法人(資本金5億円以上の法人等)に発行済株式のすべてを保有されている場合などは、中小法人の特例から除外され、控除限度率が50%になることがあります。

3|繰越期間は無期限ではありません

繰越欠損金を控除できるのは、その欠損金が生じた事業年度から原則10年以内(平成30年4月1日前に開始した事業年度に生じたものは9年)です。期限が切れると、その分は使えなくなります。

4|青色申告を続けていないと繰越控除は使えません

繰越欠損金の控除を受けるには、欠損金が生じた事業年度に青色申告書を提出し、かつ、それ以降の各事業年度について連続して確定申告書を提出していることが要件です。申告を怠った年があると、繰越控除ができなくなる場合があります。

よくある質問

複数の年度にわたって欠損金がある場合、どの年度分から使いますか。
原則として、古い事業年度に生じた欠損金から順番に控除していきます。繰越期限が近いものから使う形になるため、期限切れで無駄にならないよう管理が必要です。
会社を設立して間もない場合、控除限度率はどうなりますか。
中小法人に該当する新設法人であれば、原則として100%の控除限度率が適用されます。ただし資本金の額や、他の大法人との資本関係によって扱いが変わる場合があるため、個別に確認してください。
繰越欠損金がある会社を合併した場合、そのまま引き継げますか。
合併の形態(適格合併かどうか)や支配関係の継続期間などにより、引き継げる範囲や制限が細かく定められています。単純に全額を引き継げるとは限らないため、個別の検討が必要です。
欠損金の繰戻し還付と、繰越控除は両方使えますか。
同じ欠損金について、繰戻し還付を受けた部分は繰越控除の対象からは外れます。どちらを選ぶかで資金の戻ってくるタイミングが変わるため、あわせて比較することをおすすめします。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 法人税法第57条(青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し)
  • 国税庁タックスアンサー No.5762「青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」
  • 国税庁タックスアンサー No.5432「措置法上の中小法人及び中小企業者」

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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