- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:評基通188
- 入力6項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
非上場株式の評価方法は、株式を取得する人が会社にとってどのような立場にあるかによって変わります。経営に強く関わる同族株主なら原則的評価方式、そうでない少数株主なら簡易な配当還元方式です。グループの議決権割合と本人の立場(中心的な同族株主かどうか・役員かどうか)を入力すると、同族株主のいない会社の15%基準も含めて、どちらの方式で評価すべきかがわかります。
この計算式を3行でいうと
- 議決権50%超のグループがある会社ではそのグループ、なければ30%以上のグループに属する株主が「同族株主」で、原則的評価方式が適用されます。同族株主以外の株主は配当還元方式です。
- 30%以上のグループがない「同族株主のいない会社」では、15%以上のグループに属する株主が原則的評価方式、15%未満のグループの株主は配当還元方式です。
- 原則的評価方式になる株主でも、取得後の議決権割合が5%未満で、会社に中心的な同族株主(中心的な株主)がいて、本人がそれに該当せず役員でもない場合は、例外的に配当還元方式が使えます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
同族株主の判定(原則的評価か配当還元か)
評基通188★結果コピーリンク会社の株主構成(議決権50%超のグループの有無・30%以上のグループの有無)と取得者の立場から、財産評価基本通達188の(1)〜(4)に沿って原則的評価方式と配当還元方式のどちらで評価するかを判定します。
| 会社の区分 | 同族株主のいる会社(議決権50%超のグループあり) |
| 同族株主の判定 | 同族株主に該当 |
| 理由 | 同族株主で取得後の議決権割合5%以上 |
| 評価方法 | 類似業種比準・純資産(会社規模による) |
こんなときに使います
- 相続や贈与で非上場株式を取得し、原則的評価方式と配当還元方式のどちらを使うか確認したいとき
- 自分がその会社の「同族株主」にあたるかどうかがわからないとき
- 役員に就任している(または就任予定の)少数株主が株式を取得するとき
- 家族内で株式が分散していて、自分のグループの議決権割合を整理したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 筆頭グループ(議決権最大)の議決権割合 | 会社の中で、もっとも議決権割合が大きい株主グループ(株主とその同族関係者)の割合です。50%超なら「50%超のグループがある会社」、30%以上50%以下なら「30%以上のグループがある会社」、30%未満なら「同族株主のいない会社」になります。 | 会社の株主構成をグループごとに整理し、もっとも大きいグループの割合を確認します。 |
| 取得者の属するグループの議決権割合 | 株式を取得する人と、その同族関係者(配偶者・親族・支配している会社など)を合わせたグループの、取得後の議決権割合です。 | 取得者本人と同族関係者の持株数を合計し、会社の議決権総数で割って算出します。 |
| 取得後の本人の議決権割合 | 今回の相続・贈与で株式を取得したあとの、本人1人だけの議決権割合です(同族関係者を含みません)。 | 取得後の本人の持株数を、議決権総数で割って算出します。 |
| 会社に中心的な同族株主(又は中心的な株主)がいる(1/0) | 同族株主のいる会社では、同族株主のうち本人・配偶者・直系血族・兄弟姉妹・1親等の姻族(これらの者が支配する会社を含む)の議決権を合計して25%以上になる株主(中心的な同族株主)が1人でもいるかどうかです。同族株主のいない会社では、15%以上のグループに属し単独で10%以上の議決権を持つ株主(中心的な株主)がいるかどうかです。 | 株主名簿をもとに、各株主について上の範囲の親族の議決権を合計して確認します。誰か1人でも該当すれば「1」です。 |
| 本人が中心的な同族株主(又は中心的な株主)(1/0) | 株式を取得する本人自身が、上の中心的な同族株主(同族株主のいない会社では中心的な株主)に当たるかどうかです。 | 本人を中心にみた配偶者・直系血族・兄弟姉妹・1親等の姻族の議決権を合計して25%以上かどうか(同族株主のいない会社では本人が単独で10%以上かどうか)を確認します。 |
| 役員(課税時期の翌日から法定申告期限までに役員となる者を含む)1/0 | 株式を取得する本人が、課税時期に役員(社長・理事長・代表権のある役員・副社長・専務・常務など。平取締役は含みません)であるか、課税時期の翌日から法定申告期限(相続税は10か月以内、贈与税は翌年3月15日)までの間に役員になることが決まっているかです。 | 役員名簿や、就任予定の有無で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 会社の区分を確認する:筆頭グループの議決権割合が50%を超える会社では、そのグループに属する人だけが同族株主です。50%超のグループがなく30%以上のグループがある会社では、30%以上のグループに属する人が同族株主です。30%以上のグループがない会社は「同族株主のいない会社」です。
- 取得者のグループで原則的評価方式か配当還元方式かを判定する:同族株主のいる会社では、同族株主は原則的評価方式、同族株主以外の株主は配当還元方式です(評基通188(1))。同族株主のいない会社では、議決権割合15%以上のグループに属する株主は原則的評価方式、15%未満のグループの株主は配当還元方式です(評基通188(3))。
- 原則的評価方式になる人は5%未満の例外を確認する:取得後の本人の議決権割合が5%未満で、会社に中心的な同族株主(同族株主のいない会社では中心的な株主)がいて、本人がそれに該当せず、役員でもない場合に限り、例外的に配当還元方式が使えます(評基通188(2)(4))。これ以外の場合は原則的評価方式(類似業種比準価額方式・純資産価額方式など)で評価します。
この判定は、いわば入口の分かれ道です。同族株主として原則的評価方式に進むのか、少数株主として配当還元方式に進むのかで、その後の株価計算がまったく異なります。同じ会社の株式でも、取得する人の立場によって評価額が大きく変わることがあるのは、この判定があるためです。
具体例で確かめる
例1 支配的な立場の株主のケース(この計算機の初期値)
筆頭グループの議決権割合60%、取得者の属するグループの議決権割合60%(一致) 筆頭グループが50%超のため、このグループだけが同族株主 取得後の本人の議決権割合10%(5%以上)のため例外に該当しない
同族株主に該当し、例外の条件も満たさないため、原則的評価方式で評価する
例2 同じグループに属する少数株主のケース
筆頭グループの議決権割合55%、取得者の属するグループの議決権割合55%(一致) 筆頭グループが50%超のため、このグループだけが同族株主 取得後の本人の議決権割合3%(5%未満)、会社には中心的な同族株主がいるが本人は該当せず、役員でもない
同族株主のグループには属するが、例外の条件(5%未満・中心的な同族株主がいる会社で本人は非該当・非役員)をすべて満たすため、配当還元方式が使える
例3 自分のグループが最大グループではないケース
筆頭グループの議決権割合55%、取得者の属するグループの議決権割合20%(不一致) 筆頭グループが50%超のため、55%のグループだけが同族株主となり、20%のグループはそもそも同族株主に該当しない
同族株主に該当しないため、本人の議決権割合や役員かどうかにかかわらず配当還元方式になる
例4 同族株主のいない会社(30%以上のグループがない)のケース
筆頭グループの議決権割合25%、取得者の属するグループの議決権割合12% 30%以上のグループがないため「同族株主のいない会社」。15%以上のグループに属するかどうかで判定する
取得者のグループは15%未満のため配当還元方式。もし取得者のグループが20%(15%以上)なら原則的評価方式となり、その場合でも本人の取得後の議決権割合が5%未満で、中心的な株主がいる会社で本人が中心的な株主でも役員でもなければ配当還元方式が使える
判定の全体像 早見表
2段階の判定を、パターンごとに整理すると次のようになります。
| 筆頭グループの議決権割合(会社の区分) | 取得者の属するグループ | 判定 |
|---|---|---|
| 50%超(同族株主のいる会社) | 筆頭グループと一致(同族株主) | 原則的評価方式。ただし取得後5%未満で、中心的な同族株主がいる会社で本人が中心的な同族株主でも役員でもなければ配当還元方式(188(2)) |
| 50%超(同族株主のいる会社) | 筆頭グループ以外(同族株主以外の株主) | 配当還元方式(188(1)) |
| 30%以上50%以下(同族株主のいる会社) | 議決権割合30%以上のグループ(同族株主) | 原則的評価方式。ただし上と同じ例外を満たせば配当還元方式(188(2)) |
| 30%以上50%以下(同族株主のいる会社) | 議決権割合30%未満のグループ(同族株主以外の株主) | 配当還元方式(188(1)) |
| 30%未満(同族株主のいない会社) | 議決権割合15%以上のグループ | 原則的評価方式。ただし取得後5%未満で、中心的な株主(15%以上のグループ内で単独10%以上)がいる会社で本人が中心的な株主でも役員でもなければ配当還元方式(188(4)) |
| 30%未満(同族株主のいない会社) | 議決権割合15%未満のグループ | 配当還元方式(188(3)) |
ここを間違えやすい
1|「議決権割合」は本人だけでなく同族関係者を含めた数字です
配偶者や親、子、兄弟姉妹などが持つ株式もあわせて、グループ全体の議決権割合で判定します。自分ひとりの持株比率だけで判断すると誤ります。
2|例外の条件は「すべて」満たす必要があります
取得後5%未満、会社に中心的な同族株主(中心的な株主)がいる、本人がそれに該当しない、役員でない、のどれか1つでも当てはまらなければ、原則的評価方式になります。会社に中心的な同族株主が1人もいない場合は、5%未満でも例外は使えません。
3|役員は「就任予定」も含みます
課税時期には役員でなくても、課税時期の翌日から法定申告期限(相続税は10か月以内、贈与税は翌年3月15日)までの間に役員になる人は役員として扱われ、配当還元方式の例外は使えなくなります。ここでいう役員は社長・理事長・代表権のある役員・副社長・専務・常務などで、平取締役は含みません。
4|50%超のグループがある会社では、それ以外のグループは同族株主にすらなりません
議決権割合が仮に30%を超えていても、別のグループが50%を超えていれば、そちらだけが同族株主として扱われます。30%という数字だけを見て判断せず、まず会社全体に50%超のグループがあるかどうかを確認してください。
よくある質問
- 「同族関係者」にはどこまでの親族が含まれますか。
- 配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族など、民法上の親族の範囲を基本に、一定の特別な関係にある会社なども含まれます。詳しい範囲は個別の確認が必要です。
- 中心的同族株主と、ふつうの同族株主はどう違いますか。
- 中心的同族株主は、本人・配偶者・直系血族・兄弟姉妹・1親等の姻族の持株を合計して議決権割合25%以上になる、より会社に近い立場の株主です。この立場にあると、配当還元方式の例外は使えません。同族株主のいない会社では、これに代わって「中心的な株主」(15%以上のグループに属し、単独で10%以上の議決権を持つ株主)で判定します。
- 判定の結果、配当還元方式になったらどうすればよいですか。
- 配当還元方式の計算機で、直前2期の配当実績をもとに評価額を計算します。原則的評価額もあわせて計算しておくと、比較のうえで安心です。
- この判定は誰が行うのですか。
- 最終的には税理士が、株主名簿や親族関係を確認したうえで判定します。この計算機は、判定の考え方を理解するための目安として使ってください。実際の申告では、株主名簿の異動履歴や親族関係を裏づける戸籍などの資料をあわせて確認します。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 財産評価基本通達188(同族株主以外の株主等が取得した株式)
- 財産評価基本通達188の(1)から(4)(同族株主・中心的な同族株主の定義)
- 国税庁タックスアンサー No.4638「取引相場のない株式の評価」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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