- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:評基通189
- 入力7項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
会社の配当・利益・純資産が長期間ゼロに近い状態だと、通常の評価方式とは違う扱いを受けることがあります。それが比準要素数1の会社や比準要素数0の会社です。直前期と直前々期、それぞれを基準にした3つの要素のうち、いくつがゼロになっているかを入力して判定します。
この計算式を3行でいうと
- 直前期を基準にした配当・利益・純資産のうち2つがゼロ、かつ直前々期を基準にした3つのうち2つもゼロなら、比準要素数1の会社に該当します。
- 直前期を基準にした3つの要素がすべてゼロの会社は、比準要素数0の会社として、原則として純資産価額方式だけで評価します。
- 開業後3年未満の会社は、配当・利益・純資産の状況にかかわらず、原則として特定評価会社として純資産価額方式で評価します。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
特定評価会社の判定(比準要素数1・開業3年未満)
評基通189★結果コピーリンク直前期末基準で配当・利益・純資産のうちいくつが0かを数え、比準要素数1の会社・比準要素数0の会社(純資産評価等)に該当するかを判定します。
| 直前期基準でゼロの要素 | 1個 |
| 直前々期基準でゼロの要素 | 2個 |
| 評価方法 | 会社規模に応じた原則的評価 |
こんなときに使います
- 業績が低迷している、または特殊な状況にある会社の自社株を評価するとき
- 直前期・直前々期の配当や利益がほとんどない会社を評価するとき
- 会社を設立してからまだ3年に満たない場合に、評価方式の扱いを確認したいとき
- 税理士から「比準要素数1の会社」と言われて、意味を確認したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| ⓑ配当(直前期基準・2期平均) | 直前期末を基準にした、1株あたりの年配当金額です。 | 類似業種比準価額の計算で使うⓑと同じ考え方で算出した金額(2期の平均)を入力します。配当がなければ0です。 |
| ⓒ利益(直前期基準) | 直前期末を基準にした、1株あたりの年利益金額です。 | 直前期の利益と2期平均のうち低いほうを使います。赤字なら0として扱います。 |
| ⓓ純資産(直前期基準) | 直前期末を基準にした、1株あたりの帳簿純資産価額です。 | 直前期末の帳簿純資産をもとに算出します。マイナスなら0として扱います。 |
| ⓑ配当(直前々期基準) | 直前々期末を基準にした、1株あたりの年配当金額です。 | 直前々期とその前期の2期平均で算出します。 |
| ⓒ利益(直前々期基準) | 直前々期末を基準にした、1株あたりの年利益金額です。 | 直前々期の利益と、その前期との2期平均のうち低いほうを使います。 |
| ⓓ純資産(直前々期基準) | 直前々期末を基準にした、1株あたりの帳簿純資産価額です。 | 直前々期末の帳簿純資産をもとに算出します。 |
| 開業後3年未満(1/0) | 会社を設立してから、課税時期までまだ3年経っていないかどうかです。 | 設立年月日と課税時期(相続開始日など)を比較して確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 開業後3年未満かどうかを確認する:該当する場合は、それだけで特定評価会社(開業後3年未満の会社等)となり、原則として純資産価額方式で評価します。
- 直前期基準の3要素を確認する:ⓑⓒⓓ(直前期基準)のうち3つともゼロなら、比準要素数0の会社です。原則として純資産価額方式のみで評価し、比準要素数1の会社のような併用の余地もありません。
- 直前期・直前々期の両方で2要素がゼロかを確認する:比準要素数0に該当しない場合で、直前期基準の3要素のうち2つがゼロ、かつ直前々期基準の3要素のうち2つもゼロなら、比準要素数1の会社です。原則として純資産価額方式で評価しますが、一定の算式による併用も認められます。
- どちらにも該当しなければ通常の区分へ:開業後3年未満でもなく、比準要素数0にも1にも該当しなければ、会社規模に応じた通常の評価方式に進みます。
この判定は、業績が極端に小さい、または設立間もない会社について、類似業種比準価額方式が使いにくいという理由から設けられています。配当・利益・純資産のほとんどがゼロという状況では、上場している類似業種の会社と比べる比準要素そのものが乏しく、公平な比較ができないためです。
具体例で確かめる
例1 どちらにも該当しない標準的なケース(この計算機の初期値)
直前期基準:配当0・利益30・純資産350 → ゼロの要素は1つ(配当のみ) 直前々期基準:配当0・利益0・純資産320 → ゼロの要素は2つ
直前期基準でゼロが2つに達していないため、比準要素数1の会社にも0の会社にも該当しない
例2 比準要素数1の会社に該当するケース
直前期基準:配当0・利益0・純資産400 → ゼロの要素は2つ(配当・利益) 直前々期基準:配当0・利益15・純資産0 → ゼロの要素は2つ(配当・純資産)
直前期・直前々期のどちらの基準でも2要素がゼロのため、比準要素数1の会社に該当する
例3 比準要素数0の会社に該当するケース
直前期基準:配当0・利益0・純資産0 → 3要素すべてゼロ 直前々期基準:配当0・利益5・純資産200(この基準の状況は問わない)
直前期基準の3要素がすべてゼロのため、比準要素数0の会社に該当する。原則として純資産価額方式のみで評価する
特定評価会社の種類と評価方法
| 区分 | 該当条件 | 原則の評価方法 |
|---|---|---|
| 開業後3年未満の会社等 | 設立から課税時期までが3年未満 | 純資産価額方式 |
| 比準要素数0の会社 | 直前期基準の配当・利益・純資産が3つともゼロ | 純資産価額方式のみ(併用不可) |
| 比準要素数1の会社 | 直前期・直前々期の両方で、3要素のうち2つがゼロ | 純資産価額方式が原則(一定の算式による併用も可) |
ここを間違えやすい
1|「直前期基準」と「直前々期基準」は別々に数えます
それぞれの基準で独立して、3要素のうちいくつがゼロかを数えます。両方の基準をまとめて、合計6項目のうち何個ゼロか、という数え方ではありません。直前期基準だけ2つゼロで、直前々期基準は1つしかゼロがない場合は、比準要素数1の会社には該当しません。
2|比準要素数0の会社には、比準要素数1のような併用の余地がありません
比準要素数1の会社は一定の算式で類似業種比準価額方式との併用が認められますが、比準要素数0の会社は原則として純資産価額方式のみで評価します。
3|開業後3年未満の判定は、配当・利益・純資産の状況とは無関係です
たとえ黒字で配当も出している会社でも、設立から3年経っていなければ、特定評価会社として扱われます。業績のよしあしとは別の判定です。
4|休業中・清算中の会社は、この判定とは別の扱いになります
休業中の会社や清算中の会社は、比準要素数にかかわらず、それぞれ別の評価ルールが適用されます。通常の事業を行っていない状態そのものが特殊な扱いの理由になるため、該当する場合は個別の確認が必要です。
よくある質問
- 「ゼロ」の判断はどこまで厳密ですか。
- 文字どおり金額がゼロの場合を指します。わずかでも配当や利益があれば、ゼロとしては数えません。マイナス(赤字)の利益や純資産は、通常ゼロとして扱われます。1円でも金額があれば、ゼロの要素としてはカウントしない点に注意してください。
- 比準要素数1の会社に該当すると、株価は上がりますか下がりますか。
- 一般的には、比準要素数1の会社は類似業種比準価額方式が使いにくいため、純資産価額方式の比重が高まります。会社に含み益があれば評価額が上がる傾向があり、逆に含み損があれば下がることもあります。資産構成によって結果は変わります。
- 開業後3年未満かどうかは、決算期で数えますか、日数で数えますか。
- 会社の設立年月日から課税時期(相続開始日など)までの実際の期間で判断します。決算期の回数ではありません。
- 比準要素数0や1の判定は自分でもできますか。
- この計算機で大まかな判定はできますが、ⓑⓒⓓの金額の算出には、配当・利益・純資産のそれぞれについて細かいルールがあります。正式な判定は税理士に確認することをおすすめします。なお、該当したからといって必ず不利になるとは限りません。含み益が少ない会社ではそれほど大きな差が出ないこともあるため、実際の数値で両方の評価方式を試算して比較することをおすすめします。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 財産評価基本通達189(特定の評価会社の株式)、189-2(比準要素数1の会社の株式の評価)
- 財産評価基本通達189-4(土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価)
- 国税庁タックスアンサー No.4638「取引相場のない株式の評価」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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