- カテゴリ:法人税
- 根拠:地法72の14〜
- 入力5項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
資本金が1億円を超える会社には、法人事業税の一部として外形標準課税という仕組みが適用されます。その中の付加価値割は、利益ではなく、給与や利子・家賃の支払いといった「事業の規模」をもとに税額を計算するのが特徴です。そのため、赤字の年であっても、人件費などの支払いが多ければ税金が発生することがあります。
この計算式を3行でいうと
- 付加価値割の課税標準は「収益配分額(給与+利子+賃借料)+単年度損益-雇用安定控除」で計算します。
- 給与が収益配分額の70%を超える会社には、その超えた部分を差し引く雇用安定控除が適用されます。
- 利益ではなく事業規模をもとにするため、赤字の年でも人件費が多い会社は課税される場合があります。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
外形標準課税・付加価値割
地法72の14〜★結果コピーリンク資本金1億円超の法人の事業税の一部。人件費・利子・賃借料の合計(収益配分額)に単年度損益を加え、雇用安定控除後に税率を掛けます。
| 収益配分額 | ¥550,000,000 |
| 雇用安定控除 | ¥115,000,000 |
| 付加価値額 | ¥535,000,000 |
| 付加価値割(×1.2%) | ¥6,420,000 |
こんなときに使います
- 資本金1億円超の会社で、事業年度の外形標準課税がどれくらいになるか目安を知りたいとき
- 今期が赤字の見込みでも、人件費が多いために税負担が出るかどうかを事前に確認したいとき
- 増資・減資を検討していて、外形標準課税の対象になるかどうかを判断する材料がほしいとき
- 報酬給与額の比率が高く、雇用安定控除がどれくらい適用されるかを試算したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 報酬給与額 | 役員報酬・給与・賞与・退職給与など、従業員や役員に支払った金額の合計です。 | 賃金台帳・役員報酬の集計、法人事業税の付表で確認します。 |
| 純支払利子 | 支払った利子から、受け取った利子を差し引いた金額です。 | 総勘定元帳の支払利息・受取利息の集計から確認します。 |
| 純支払賃借料 | 土地・家屋の賃借料として支払った金額から、受け取った賃借料を差し引いた金額です。 | 地代家賃の支払明細・契約書から集計します。 |
| 単年度損益 | その事業年度の所得金額に相当する額(繰越欠損金を控除する前の損益)です。 | 法人事業税の付表・法人税申告書の所得金額をもとにします。 |
| 付加価値割税率 | 都道府県ごとに定められた付加価値割の税率(パーセント)です。 | 事業所を置く都道府県の法人事業税に関する案内で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 収益配分額を出す:報酬給与額・純支払利子・純支払賃借料を合計します。
- 雇用安定控除を出す:報酬給与額が収益配分額の70%を超える場合、報酬給与額から収益配分額の70%相当額を差し引いた金額が雇用安定控除になります。70%以下の場合、雇用安定控除はゼロです。
- 付加価値額と付加価値割を出す:収益配分額に単年度損益を加え、雇用安定控除を差し引いたものが付加価値額です。これに税率を掛けると付加価値割の税額になります。
付加価値割は法人事業税の一部にすぎず、これとは別に資本金等の額を課税標準とする資本割や、所得を課税標準とする所得割、特別法人事業税もあわせて計算する必要があります。
具体例で確かめる
例1 給与の割合が高い黒字会社のケース
収益配分額 = 500,000,000円 + 30,000,000円 + 20,000,000円 = 550,000,000円 報酬給与額の比率 90.9%(70%超)につき、雇用安定控除 = 500,000,000円 - 550,000,000円 × 70% = 115,000,000円 付加価値額 = 550,000,000円 + 100,000,000円 - 115,000,000円 = 535,000,000円
付加価値額5億3,500万円 → 税率1.2%で付加価値割6,420,000円
例2 給与の割合が70%以下で雇用安定控除がないケース
収益配分額 = 200,000,000円 + 50,000,000円 + 50,000,000円 = 300,000,000円 報酬給与額の比率 66.7%(70%以下)につき、雇用安定控除はゼロ 付加価値額 = 300,000,000円 + 30,000,000円 - 0円 = 330,000,000円
付加価値額3億3,000万円 → 税率1.2%で付加価値割3,960,000円
例3 単年度が赤字でも課税されるケース
収益配分額 = 400,000,000円 + 10,000,000円 + 10,000,000円 = 420,000,000円 雇用安定控除 = 400,000,000円 - 420,000,000円 × 70% = 106,000,000円 付加価値額 = 420,000,000円 +(-80,000,000円) - 106,000,000円 = 234,000,000円
単年度損益が8,000万円の赤字でも、付加価値額2億3,400万円が残り、付加価値割2,808,000円が発生
ここを間違えやすい
1|赤字でも税金が発生することがあります
付加価値割は利益だけでなく人件費・利子・賃借料も課税標準に含まれるため、単年度損益がマイナスでも、給与などの支払いが多ければ税額が発生します。例3のように赤字と税負担が両立するケースは珍しくありません。
2|対象になるかどうかは「期末時点の資本金」で判定するとは限りません
期中に減資をした場合など、外形標準課税の対象法人の判定には資本金と資本剰余金の合計額を用いる見直しが行われています。単純に期末の資本金額だけで対象外と判断すると誤ることがあります。
3|付加価値割だけでは事業税全体はわかりません
外形標準課税の対象法人には、付加価値割のほかに資本割・所得割・特別法人事業税もあわせて課されます。このページの計算は付加価値割単独の金額であり、事業税の総額とは別です。
4|雇用安定控除の70%ラインは業種によって差が出やすい点です
人件費の比重が大きいサービス業などでは雇用安定控除が大きくなりやすく、逆に設備投資や借入が多い業種では純支払利子・賃借料の比重が上がり、控除が働きにくくなります。業種特性を踏まえて試算することが大切です。
よくある質問
- 外形標準課税の対象になるのはどんな会社ですか。
- 原則として、事業年度終了の日時点で資本金の額が1億円を超える普通法人が対象です。あわせて、減資や100%子法人等に関する追加的な判定基準も設けられているため、資本金が1億円前後の会社は個別の確認をおすすめします。
- 役員報酬も報酬給与額に含まれますか。
- 含まれます。役員に対する給与・賞与・退職給与のほか、従業員の給与・賞与・退職給与、確定拠出年金の掛金なども報酬給与額の対象になります。ただし一定の要件で除外されるものもあります。
- 純支払利子や純支払賃借料がマイナスになることはありますか。
- あります。受取利子・受取賃借料が支払額を上回る場合はマイナスになりますが、その場合は収益配分額の計算においてゼロとして扱うなど、一定の調整ルールが設けられています。
- 税率は全国どこでも同じですか。
- いいえ。付加価値割の税率は都道府県ごとに定められており、標準税率と、財政状況に応じて上乗せされる超過税率がある場合があります。事業所を置く都道府県の最新の税率を確認してください。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 地方税法第72条の14から第72条の23(付加価値割の課税標準等)
- 総務省「地方税制度:法人事業税における外形標準課税」
- 各都道府県「法人事業税(外形標準課税)」の案内ページ
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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