外国子会社配当の益金不算入の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:国際税務
  • 根拠:法法23の2
  • 入力2項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

海外に子会社を持つ会社がその子会社から配当を受け取ると、海外で法人税を納めたあとの利益に、日本でもう一度課税してしまい、税負担が重くなりすぎることがあります。これを防ぐために設けられているのが外国子会社配当の益金不算入制度です。一定の要件を満たす外国子会社からの配当は、受け取った金額の大部分を法人税の計算上、利益に含めなくてよいことになっています。

この計算式を3行でいうと

  1. 持株割合25%以上・6か月以上保有という要件を満たせば、配当の95%が益金不算入になります。
  2. 残りの5%相当額は、配当を得るための費用を概算したものとみなされ、益金に算入されて課税対象になります。
  3. この制度を使う場合、受け取った配当にかかった外国源泉税は法人税の計算上、損金にできません。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

外国子会社配当の益金不算入

法法23の2結果コピーリンク

持株25%以上・6か月以上保有の外国子会社からの配当は95%が益金不算入。外国源泉税は損金不算入です。

益金不算入 = 配当 × 95%(5%は課税)
益金不算入 ¥95,000,000
益金不算入(95%)¥95,000,000
課税対象(5%)¥5,000,000
外国源泉税(損金不算入・税額控除も不可)¥10,000,000
租税条約により持株要件が緩和される場合あり。損金算入配当(ハイブリッド)は対象外。
目次

こんなときに使います

  • 海外に子会社があり、その子会社から日本の親会社へ配当を受け取ったとき
  • 海外子会社の利益を、配当として日本の親会社に還流させるかどうかを検討しているとき
  • 外国子会社からの配当にかかる法人税の計算方法を確認したいとき
  • 外国税額控除ではなく、この益金不算入制度が使えるかどうかを確かめたいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
外国子会社からの配当要件を満たす外国子会社から、その事業年度に受け取った配当等の金額です。剰余金の配当のほか、利益の分配に相当するものも含めて考えます。配当の支払通知書、外国子会社の株主総会議事録、送金明細で確認します。
外国源泉税配当を受け取る際に、現地の税法にもとづいて外国で源泉徴収された税額です。租税条約で軽減された税率が適用されている場合もあります。配当の支払通知書に記載された源泉徴収税額の欄、または現地の税務当局が発行する納税証明書で確認します。

益金不算入の対象になる主な要件

要件内容
持株割合配当の支払義務が確定する日以前6か月以上、発行済株式等の25%以上を継続して保有していること
保有期間持株割合の要件を満たした状態を、6か月以上継続していること
配当の性質損金算入配当(支払う側の国で経費として扱われる、いわゆるハイブリッド配当)でないこと

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 要件を満たすか確認する:持株割合25%以上・6か月以上の継続保有という要件を満たしているかを確認します。租税条約によって、この持株要件が緩和されている国もあるため、あわせて確認します。
  2. 配当の95%を益金不算入にする:要件を満たす配当については、受け取った金額の95%を法人税の所得計算上、益金に算入しなくてよいことになります。
  3. 残り5%と外国源泉税を確認する:残りの5%相当額は益金に算入されます。また、配当にかかった外国源泉税は、この制度を使う場合、損金には算入できません。

この5%相当額は、配当を得るために必要な費用をおおまかに見積もったものとして課税される仕組みです。実際にかかった費用の額を個別に計算する必要はなく、一律5%として扱われます。配当の金額が大きいほど、この5%部分にかかる税額も大きくなる点はあらかじめ見込んでおくとよいでしょう。

具体例で確かめる

例1 外国子会社からの配当1億円、外国源泉税1,000万円のケース

益金不算入額 = 100,000,000円 × 95% = 95,000,000円 益金算入額(課税対象) = 100,000,000円 - 95,000,000円 = 5,000,000円

益金に算入されるのは500万円だけ。外国源泉税1,000万円は損金にできない点に注意

例2 持株割合の要件を満たさないケース

持株割合が20%で、25%の要件を満たさない場合 益金不算入制度は使えない

配当1億円は原則として全額が益金に算入され、別途、外国税額控除の対象になるかを検討する

例3 保有期間の要件を満たさないケース

持株割合30%だが、株式を取得してから4か月しか経っていない場合 6か月以上の継続保有という要件を満たさない

この配当については益金不算入制度を使えず、原則どおり全額が益金に算入される

外国税額控除との比較

比較する視点益金不算入制度外国税額控除
対象になる主なお金持株25%以上・6か月以上保有の子会社からの配当海外で直接納付した法人税や、配当にかかる源泉税など
手続きの手間比較的シンプルで、配当の95%を除外するだけで計算できる控除限度額の計算など、やや複雑な計算が必要になる
外国源泉税の扱い損金に算入できない控除の対象そのものになる

同じ配当について、益金不算入制度と外国税額控除の両方を適用することはできません。要件を満たす配当は、通常どちらか一方を選んで申告することになります。どちらの制度を使うかによって、その事業年度の税負担や事務の手間が変わってくるため、事前に試算しておくことが望ましいといえます。

ここを間違えやすい

1|外国源泉税は二重に有利にはなりません

益金不算入制度を使う配当については、その配当にかかった外国源泉税を損金に算入することはできません。益金不算入と外国税額控除を、同じ配当について両方使うことはできない仕組みになっています。両方を計算して比べたうえで、有利なほうを選ぶという発想はできません。

2|「損金算入配当」は対象外です

支払う側の国で経費(損金)として扱われる、いわゆるハイブリッド配当は、この益金不算入制度の対象になりません。海外子会社が所在する国の税制によっては、この点の確認が必要です。対象外と判定された配当は、原則どおり益金に算入して法人税を計算することになります。

3|持株要件は租税条約で変わることがあります

通常は持株割合25%以上が要件ですが、日本が締結している租税条約によっては、この割合がより低い水準に緩和されている国もあります。子会社の所在地国との租税条約の内容を確認したうえで、どちらの基準が適用されるかを判断する必要があります。

4|保有期間は「配当の支払義務が確定する日」から数えます

6か月の保有期間は、配当を受け取った日ではなく、配当の支払義務が確定する日(通常は決議日など)を基準に、さかのぼって計算します。株式を取得した時期によっては要件を満たさないことがあるため、取得時期の記録を残しておくことが大切です。

よくある質問

持株割合が25%未満の場合はどうなりますか。
益金不算入制度は使えず、原則として配当の全額が益金に算入されます。その代わり、外国で納めた源泉税について、外国税額控除の対象にできないかを検討することになります。
外国子会社とは、どこの国の子会社でも対象になりますか。
原則として国を問いませんが、いわゆるタックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)との関係で、別途の検討が必要になる場合があります。子会社が税負担の低い国や地域にある場合は特に、所在地国の税制もあわせて確認することをおすすめします。
配当を受け取っていない年でも申告は必要ですか。
配当を受け取っていない年は、この制度自体を使う場面がないため、この計算は不要です。配当を受け取った事業年度の申告で、確定申告書に益金不算入額の計算に関する明細を添付し、適用を受ける手続きを行います。
益金不算入と外国税額控除はどちらが有利ですか。
要件を満たす配当であれば、多くの場合、益金不算入制度のほうが手続きも簡単で有利になりやすいといわれます。ただし外国源泉税を損金にできない点も含めて、配当の金額や源泉税率によっては結果が変わることもあるため、個別の状況に応じて比較したほうがよいケースもあります。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 法人税法第23条の2(外国子会社から受ける配当等の益金不算入)
  • 国税庁「外国子会社から受ける配当等の益金不算入制度」関連通達・パンフレット

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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