- カテゴリ:法人税
- 根拠:法法69
- 入力4項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
海外に子会社や支店があり、その国で法人税に相当する税金を納めている会社は、同じ利益に日本と外国で二重に税金がかかってしまいます。これを防ぐのが外国税額控除です。ただし、外国で納めた税金がいくらでも無条件に控除できるわけではありません。控除できる金額には「控除限度額」という上限があり、これを超えた分は原則としてその年には使えません。
この計算式を3行でいうと
- 控除限度額は「法人税額×(調整国外所得金額÷所得金額)」で計算します。海外の所得割合が高いほど、控除できる上限も大きくなります。
- 外国で納めた税額が控除限度額を超えると、超えた分はその年は控除できません。反対に限度額に余裕があるときも生まれます。
- 控除しきれなかった額や余った限度額は、一定の要件のもとで3年間繰り越すことができます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
外国税額控除の控除限度額(法人)
法法69★結果コピーリンク外国で納めた税を二重課税排除のため控除。限度額は法人税額に国外所得割合を掛けた額で、超過・余裕額は3年繰越です。
| 調整国外所得(所得の90%上限) | ¥30,000,000 |
| 控除限度額 | ¥6,960,000 |
| 控除税額 | ¥6,960,000 |
| 限度超過額(3年繰越) | ¥1,040,000 |
| 控除余裕額(3年繰越) | ¥0 |
こんなときに使います
- 海外に支店や子会社があり、その国で法人税に相当する税金を源泉徴収・納付しているとき
- 海外からの利子・配当・使用料などについて、外国で税金が源泉徴収されているとき
- 今期、外国税額控除をいくらまで使えるのか、上限の目安を先に知りたいとき
- 控除しきれない外国税額が出そうで、繰越の余地があるか確認したいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| 当期の法人税額 | 控除や税額調整をする前の、当期の法人税額(基準となる金額)です。 | 法人税申告書別表一の「法人税額」欄で確認します。 |
| 調整国外所得金額 | 全世界所得のうち、国外で生じた所得として一定の調整を加えた金額です。 | 法人税申告書別表六(二)の計算にもとづきます。 |
| 当期の所得金額(全世界) | 国内・国外を合わせた、当期の所得金額の合計です。 | 法人税申告書別表一・別表四の所得金額で確認します。 |
| 控除対象外国法人税額 | その事業年度に、外国で実際に納付した法人税に相当する税額です。 | 現地の納税証明書や源泉徴収の計算書類で確認します。 |
計算のしくみ(3ステップ)
- 国外所得の割合を出す:調整国外所得金額を、当期の所得金額(全世界)で割ります。この割合は原則として90%が上限です。
- 控除限度額を出す:当期の法人税額に、1で求めた割合を掛けます。これが、その年に外国税額控除として使える上限です。
- 実際に控除できる額を決める:控除対象外国法人税額と控除限度額を比べ、少ないほうが実際に控除できる金額になります。
控除対象外国法人税額が控除限度額を超える場合、超えた部分(限度超過額)はその年には控除できません。逆に控除対象外国法人税額が限度額より少ない場合は、限度額の余り(余裕額)が生まれます。
具体例で確かめる
例1 外国税額が限度額を超えるケース
控除限度額 = 23,200,000円 × (30,000,000円 / 100,000,000円) = 23,200,000円 × 30% 控除対象外国法人税額は8,000,000円
控除限度額6,960,000円 → 控除できるのは限度額までの6,960,000円。残り1,040,000円は限度超過額
例2 外国税額が限度額より少ないケース
控除限度額 = 20,000,000円 × (20,000,000円 / 100,000,000円) = 20,000,000円 × 20% 控除対象外国法人税額は3,000,000円
控除限度額4,000,000円 → 外国税額3,000,000円を全額控除でき、余裕額1,000,000円が生まれる
例3 海外売上の比重が大きい会社のケース
控除限度額 = 46,400,000円 × (80,000,000円 / 200,000,000円) = 46,400,000円 × 40% 控除対象外国法人税額は20,000,000円
控除限度額18,560,000円 → 控除できるのは18,560,000円まで。残り1,440,000円は限度超過額
ここを間違えやすい
1|外国で納めた税金が無条件に全額戻るわけではありません
控除できるのはあくまで控除限度額の範囲内です。海外での税負担が重い国に進出している場合、限度超過額が毎期発生し続けることがあります。
2|「所得に対する負担が高率な部分」は対象外です
外国で納めた税額のうち、その所得に対する税負担の割合が著しく高い部分(目安として35%を超える部分)は、そもそも控除対象外国法人税額に含まれません。現地の税率が高い国では注意が必要です。
3|限度超過額・余裕額の繰越には期限があります
その年に使いきれなかった限度超過額や、逆に生じた限度額の余裕額は、一定の要件のもとで3年間繰り越すことができますが、期限を過ぎると消滅します。毎期の管理が欠かせません。
4|地方税(住民税・事業税)にも影響します
外国税額控除は法人税だけでなく、地方法人税や道府県民税・市町村民税の計算にも関係します。法人税の控除限度額を使いきれない場合、地方税の控除枠を使う仕組みもあるため、あわせて確認が必要です。
よくある質問
- 外国税額控除と損金算入は、どちらが有利ですか。
- 外国で納めた税額は、控除を受けずに損金に算入することも選べます。一般的には税額から直接差し引ける控除のほうが有利になることが多いですが、その年の所得状況によっては損金算入が有利になる場合もあるため、試算して比較することをおすすめします。
- 控除対象にならない外国税額もありますか。
- あります。通常の取引と認められない取引から生じた所得に対する外国税額や、日本の法令で法人税が課されない金額を課税標準として課される外国税額などは、控除対象外国法人税額に含まれません。
- 調整国外所得金額は、単純な海外支店の利益と同じですか。
- 同じではありません。国外源泉所得から、それに対応する費用を控除するなど一定の調整計算が必要です。また、所得金額(全世界)の90%が上限として設定されています。
- 海外子会社からの配当にも外国税額控除は使えますか。
- 外国子会社からの受取配当については、多くの場合、益金不算入制度の対象となり、その配当にかかる外国源泉税は外国税額控除の対象から除かれます。配当か支店利益かで扱いが異なるため、個別の確認が必要です。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 法人税法第69条(外国税額の控除)、法人税法施行令第141条・第142条
- 法人税基本通達 第16章第3節第2款「外国法人税の控除」
- 国税庁「法人税のあらましと申告の手引」(外国税額控除の解説部分)
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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