グループ通算(損益通算)の計算方法|自動計算ツール

  • カテゴリ:法人税
  • 根拠:法法64の5
  • 入力3項目・その場で自動計算
  • 令和8年度の数値に対応

完全支配関係にある複数の会社をグループとして、赤字の会社の欠損金を黒字の会社の所得と通算できる制度がグループ通算制度です。それぞれの会社は個別に申告しますが、欠損金だけはグループ全体で分け合います。この配分は「所得の大きさに応じて按分する」という考え方で行われ、この按分計算のことをプロラタ計算と呼びます。

この計算式を3行でいうと

  1. 欠損法人の欠損金は、所得法人の所得の大きさに応じて配分(プロラタ計算)され、各社の損金に算入されます。
  2. 配分額 = 欠損金合計 ×(各所得法人の所得 ÷ 所得法人の所得合計)で計算します。
  3. 欠損金の合計が所得の合計より大きいときは、配分しきれない分が欠損法人側の繰越欠損金として残ります。

まずは計算してみる(自動計算ツール)

グループ通算(損益通算・プロラタ)

法法64の5結果コピーリンク

通算グループ内の欠損法人の欠損金を、所得法人へ所得比で配分(プロラタ)して損金算入する基本イメージ。

配分額 = 欠損金合計 × (各所得法人の所得 / 所得合計)
通算後 P ¥3,000,000 / Q ¥2,000,000
Pへ配分(欠損×P/合計)¥3,000,000
Qへ配分¥2,000,000
P通算後所得¥3,000,000
Q通算後所得¥2,000,000
R:益金算入額¥5,000,000
欠損>所得合計なら残額を繰越。地方税・税率は各法人ごと。
目次

こんなときに使います

  • 完全支配関係にあるグループ会社の中に、黒字の会社と赤字の会社が両方あるとき
  • グループ通算制度を導入した場合に、グループ全体でどれくらい法人税が軽くなるかを試算したいとき
  • 赤字会社の欠損金が、黒字会社にどのように配分されるかのイメージをつかみたいとき
  • 欠損金がグループ全体の所得より大きく、繰越がどれだけ残るかを確認したいとき

入力する項目のかんたん解説

入力する項目どんな数字かどこを見ればよいか
所得法人Pの所得グループ内で黒字(所得がプラス)の1社目の、通算前の所得金額です。各社の法人税申告書別表四の所得金額欄で確認します。
所得法人Qの所得グループ内で黒字の2社目の、通算前の所得金額です。同じく各社の申告書の所得金額欄で確認します。
欠損法人Rの欠損額(正で入力)グループ内で赤字(欠損)になっている会社の、当期の欠損金額です。マイナスの符号は付けず、正の数で入力します。欠損法人の法人税申告書別表四の欠損金額欄で確認します。

計算のしくみ(3ステップ)

  1. 所得法人の所得合計を出す:黒字の各社の所得を合計します。
  2. 各社への配分額を出す:欠損金の合計に、各所得法人の所得が所得合計に占める割合を掛けます。これがその会社に配分される損金算入額です。
  3. 通算後の所得を出す:各所得法人の所得から、配分された欠損金を差し引きます。これが通算後にその会社が法人税を計算するもとになる所得です。

欠損金の合計が所得の合計を超える場合は、所得の合計額までしか配分できません。配分しきれなかった残りは、欠損法人自身の繰越欠損金として翌期以降に持ち越されます。

具体例で確かめる

例1 P社・Q社が黒字、R社が赤字のケース

所得合計 = 6,000,000円 + 4,000,000円 = 10,000,000円 P社への配分額 = 5,000,000円 × (6,000,000円 / 10,000,000円) = 3,000,000円 Q社への配分額 = 5,000,000円 × (4,000,000円 / 10,000,000円) = 2,000,000円

P社の通算後所得300万円、Q社の通算後所得200万円(合計500万円圧縮)

例2 欠損金が所得合計より大きく、配分しきれないケース

所得合計 = 3,000,000円 + 2,000,000円 = 5,000,000円(欠損金は9,000,000円) P社への配分額 = 5,000,000円 × (3,000,000円 / 5,000,000円) = 3,000,000円 Q社への配分額 = 5,000,000円 × (2,000,000円 / 5,000,000円) = 2,000,000円

P社・Q社とも所得はゼロに。配分しきれなかった4,000,000円はR社の繰越欠損金として残る

例3 所得の比率が偏っているケース

所得合計 = 8,000,000円 + 2,000,000円 = 10,000,000円(欠損金は3,000,000円) P社への配分額 = 3,000,000円 × (8,000,000円 / 10,000,000円) = 2,400,000円 Q社への配分額 = 3,000,000円 × (2,000,000円 / 10,000,000円) = 600,000円

P社の通算後所得560万円、Q社の通算後所得140万円(所得の大きいP社に多く配分される)

ここを間違えやすい

1|連結納税とは違い、各社が個別に申告します

グループ通算制度は、以前の連結納税制度とは異なり、法人税額の計算と申告は各社が個別に行います。損益通算などの調整だけをグループ全体で行うイメージです。

2|対象は「完全支配関係」にあるグループだけです

親会社が発行済株式のすべてを直接・間接に保有しているなど、完全支配関係にある会社同士でなければグループ通算制度の対象になりません。一部だけを保有する関係会社は対象外です。

3|地方税や税率は各社ごとに別々に計算します

損益通算はあくまで法人税の所得計算上の調整です。法人住民税・法人事業税は、通算後の所得金額をもとに各社・各自治体ごとに個別に計算します。実効税率が会社ごとに異なる点に注意してください。

4|後から修正が入っても、原則は他社に影響しません

グループ内のある会社の所得に後日誤りが見つかり修正・更正が生じても、原則としてほかの会社の税額計算にはさかのぼって反映させない「遮断措置」という仕組みがとられています。

よくある質問

グループ通算制度を使うには届出が必要ですか。
必要です。原則としてグループ内のすべての完全支配関係法人が、あらかじめ税務署へ承認申請を行い、適用を開始する必要があります。任意にグループの一部だけを対象にすることはできません。
親会社と子会社で決算期がずれていても使えますか。
グループ通算制度では、原則として親法人の事業年度に合わせて各法人の事業年度をみなし計算します。決算期が異なる場合の取り扱いは細かく定められているため、個別の確認が必要です。
欠損金の繰越期間や限度割合はどうなりますか。
通算前の欠損金の繰越控除にも、単体法人と同様に繰越期間や所得に対する控除限度割合(中小法人等を除き原則50%)のルールが適用されます。通算制度独自の調整計算もあわせて必要です。
グループ内の1社だけ通算制度から抜けることはできますか。
一定の要件のもとで、個別の法人がグループ通算の適用を取りやめる(就退)ことは可能ですが、原則として全体の再計算や届出などの手続きが必要になります。安易な判断は避け、事前の検討をおすすめします。

根拠となる法令・出典

本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。

  • 法人税法第64条の5(損益通算)、第64条の7(欠損金の通算)
  • 国税庁タックスアンサー No.5900「グループ通算制度の概要」
  • 国税庁「グループ通算制度に関するQ&A」

税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。

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