- カテゴリ:相続税・贈与税
- 根拠:評基通211・4-3
- 入力3項目・その場で自動計算
- 令和8年度の数値に対応
相続財産の中には、預貯金や不動産だけでなく、ゴルフ会員権や外貨預金のような、評価方法が独特な財産が含まれることがあります。ゴルフ会員権は取引相場の70%で評価し、外貨建ての財産は日本円に換算してから評価します。どちらも見落としやすい財産なので、計算方法を確認しておきましょう。
この計算式を3行でいうと
- 取引相場のあるゴルフ会員権は「取引相場×70%」で評価します。預託金制の会員権は別途調整が必要な場合があります。
- 外貨建て財産は「外貨額×課税時期のTTB(対顧客電信買相場)」で日本円に換算して評価します。
- どちらも金融機関や取引業者が示す相場・レートなど、客観的な資料にもとづいて評価額を求めます。
まずは計算してみる(自動計算ツール)
ゴルフ会員権・外貨建財産の評価
評基通211・4-3★結果コピーリンク取引相場のあるゴルフ会員権は相場の70%で評価。外貨建財産は課税時期のTTB(対顧客電信買相場)で換算します。
| ゴルフ会員権(相場×70%) | ¥2,100,000 |
| 外貨建財産(×TTB) | ¥15,500,000 |
こんなときに使います
- 亡くなった人がゴルフ会員権を持っていて、相続財産としての評価額を知りたいとき
- 外貨預金や外貨建ての株式・保険など、外国通貨建ての財産を相続財産に含めるとき
- 海外に口座を持っていた人が亡くなり、財産評価の基本的な考え方を確認したいとき
- ゴルフ会員権を生前に贈与する場合の評価額の目安を、贈与前にあらかじめ知りたいとき
入力する項目のかんたん解説
| 入力する項目 | どんな数字か | どこを見ればよいか |
|---|---|---|
| ゴルフ会員権の取引相場 | そのゴルフクラブの会員権が、取引市場でいくらで売買されているかを示す相場です。同じゴルフ場でも、時期によって相場が変動します。 | ゴルフ会員権の取引業者が公表している相場表や、直近の取引実績で確認します。 |
| 外貨建財産の額 | 外貨預金の残高や、外貨建ての有価証券などの金額です。外国通貨の単位のまま入力します。 | 金融機関の残高証明書、証券会社の取引報告書で確認します。 |
| TTBレート | 課税時期(相続開始日や贈与日)における、円に換算するための為替レートです。 | 取引先の金融機関が公表する、課税時期のTTB(対顧客電信買相場)を使います。 |
ゴルフ会員権と外貨建財産は、性質のまったく異なる2種類の財産ですが、どちらも「客観的な相場や公表レートに、決められた計算式を当てはめる」という考え方は共通しています。まずはそれぞれの財産について、根拠となる資料をそろえることから始めます。
計算のしくみ(3ステップ)
- ゴルフ会員権の評価額を出す:取引相場に70%を掛けます。取引相場のある会員権のうち、預託金制のものは、預託金の返還額との比較など、追加の調整が必要になる場合があります。
- 外貨建財産の評価額を出す:外貨の金額に、課税時期のTTB(対顧客電信買相場)を掛けて、日本円に換算します。
- それぞれを相続財産・贈与財産に合算する:ゴルフ会員権と外貨建財産は別々の財産として評価し、他の財産とあわせて相続税や贈与税の課税価格を計算します。
TTBは、銀行が「お客様の外貨を円で買い取るときのレート」です。相続や贈与では、外貨建ての財産を円に換算していくらの価値があるかを見るため、このTTBが使われます。逆に外貨建ての借入金など負債を円換算する場合は、対顧客電信売相場(TTS)を使う点もあわせて覚えておくと役立ちます。TTBとTTSは為替手数料の分だけ差があるため、どちらを使うかによって評価額がわずかに変わります。
具体例で確かめる
例1 取引相場300万円のゴルフ会員権のケース
評価額 = 3,000,000円 × 70%
評価額は210万円
例2 外貨預金10万ドル、TTBが155円のケース
評価額 = 100,000ドル × 155円
評価額は1,550万円。外貨のままでは非課税になるわけではなく、円に換算して評価する
例3 ゴルフ会員権と外貨預金の両方を相続財産に含めるケース
ゴルフ会員権の評価額210万円(例1)と、外貨預金の評価額1,550万円(例2)を合算する 合計 = 2,100,000円 + 15,500,000円
2つの財産をあわせた評価額は1,760万円。他の預貯金や不動産、有価証券などと合算して相続財産全体の総額を求める
ゴルフ会員権の種類と評価の考え方
| 会員権の種類 | 評価の考え方 |
|---|---|
| 株式を保有することで会員資格を得るタイプ(株式会員制)で、取引相場があるもの | 取引相場の70%を基本に、株式としての価値もあわせて評価します。 |
| 預託金を預けて会員資格を得るタイプ(預託金会員制)で、取引相場があるもの | 取引相場の70%と、預託金の返還額をもとにした金額とを比較して評価する場合があります。 |
| 取引相場がなく、預託金の返還請求権もないもの | 財産としての評価額がゼロ、またはごく少額とされることがあります。 |
会員権の規約や、実際にどのような権利が付いているかによって、評価方法の細部は変わります。ゴルフクラブが発行する会則や、会員権の売買を扱う専門業者に確認すると、自分の持つ会員権がどの種類にあたるかがわかります。相続の対象になる財産かどうか自体が不明な場合も、まずはゴルフ場の事務局に問い合わせて確認するとよいでしょう。
ここを間違えやすい
1|預託金制の会員権は単純に70%で終わらないことがあります
預託金を預けるタイプのゴルフ会員権は、取引相場の70%評価に加えて、預託金の返還額との比較などの調整が必要になる場合があります。会員権の種類(株主会員制・預託金制など)を最初に確認してください。単純に70%を掛けるだけで済むとは限らない点が、この計算式のいちばんの注意点です。
2|取引相場がない会員権は評価方法が異なります
市場でほとんど取引されていない会員権や、取引相場が公表されていない会員権は、この計算式をそのまま使えません。預託金や株式の価額をもとにした、別の評価方法で計算することになります。まずは取引業者に相場情報があるかどうかを確認するところから始めてください。
3|為替レートは「課税時期」のものを使います
外貨建財産の評価に使うTTBは、相続開始日や贈与日など、課税時期のレートです。申告書を作成する時点のレートや、財産を取得した時点より前後のレートを使うと評価額を誤ります。為替が大きく動いた時期は特に注意してください。
4|複数の金融機関でレートが異なることがあります
TTBは金融機関ごとに公表されており、多少の差があります。原則として取引先の金融機関が公表する課税時期のレートを使いますが、複数の金融機関を利用している場合は、それぞれの口座の取引先が公表するレートを確認してください。どの金融機関のレートを使ったかは、記録として残しておくと安心です。
よくある質問
- 会員権を複数持っている場合はどうしますか。
- 会員権ごとに、それぞれのゴルフクラブの取引相場を確認し、個別に評価額を計算します。クラブによって相場は大きく異なるため、まとめて平均するようなことはせず、1つずつ積み上げて合計します。
- ハワイの不動産など、外貨建ての不動産も同じ計算方法ですか。
- 外貨建ての不動産も、現地通貨での評価額を円に換算する点は共通していますが、不動産そのものの評価は、その国の評価方法や取引実績にもとづいて行うため、日本の路線価方式とはそのままイコールになりません。現地の不動産鑑定や売買実例などをもとに評価額を求め、それを課税時期のレートで円換算します。
- 外貨建ての生命保険金も同じように評価しますか。
- 外貨建ての生命保険金も、受け取る金額を課税時期のTTBで円に換算して評価します。死亡保険金の非課税枠の計算などは、円換算後の金額をもとに、通常の生命保険金と同じ考え方で行います。
- 会員権の相場は、どの時点のものを使えばよいですか。
- 相続税であれば相続開始日、贈与税であれば贈与を受けた日、つまり課税時期における取引相場を使います。相場は日々変動するため、できるだけ近い日付の相場情報を、取引業者の公表資料などで確認してください。
根拠となる法令・出典
本ページは次の公的資料にもとづいて作成しています(最終確認:2026年8月)。
- 財産評価基本通達211(ゴルフ会員権の評価)、4-3(外貨建てによる財産及び国外にある財産の邦貨換算)
- 国税庁タックスアンサー No.4667「ゴルフ会員権を持っている場合」
税制は毎年改正されます。実際の申告にあたっては最新の条文・通達および税理士の確認をお願いします。
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